寿命により一度滅び、一人の天才の手で延命・再生した未来の地球を舞台に繰り広げられる時計仕掛けの世界の天才バトル。「ノーゲーム・ノーライフ」は全盛期の靴・富士見だなってよく思うんだけど、こちらはもう1世代後、キノ・ブギポ以降のちょっと薄暗い異能モノが全盛期だった電撃だなあ。とある異能力を持つがそれ以外はごく普通(?)の機械が好きで仕方ない少年・ナオトが若くして数々の功績を打ち立てて文武両道に秀でた天才少女のマリーと、誰も治すことが出来ずに眠っていた自動人形のリューズと出会い、それぞれの目的やら思惑の為に故郷を揺るがす陰謀を阻止するために奔走するお話。
一癖も二癖もある登場人物たちが好き勝手に暴れまわるむちゃくちゃぶりと、ド真ん中で王道なボーイ・ミーツ・ガール展開が読んでて凄く気持ちいい!ツンデレというよりもデレセメント(違)なリューズのある時は主人を主人と思わない、それでいてしっかり「主人」に惚れこんでいるらしい態度が可愛くて仕方ないんだけど、人間側ヒロイン・マリーが大人の思惑の中で虚勢を張り葛藤し苦しみながらそれでも都市を救う為に立ち上がる姿がアツい。そして色々なしがらみから解き放たれた彼女の大活躍に転がるしかない。
色々な意味で、読んでいて胸がすくような、爽快感がたまらない物語でした。これは続きが楽しみ!
そして「ノーゲーム・ノーライフ」とは違った意味であとがきが面白い。作者2人がノリノリで物語の世界観を作り上げていく様子にこちらまでにやにやしてしまうのだけど、解説の「ナオトは榎宮さんの思う天才、マリーは暇奈さんの思う天才」というのにとても納得しました。2人とも全く違った意味での「天才」なんだよね。
しかし、一番榎宮作品臭を色濃く残しているのが彼であるだけに、どうしてもナオトのイメージが榎宮絵で再生されてやばかった。茨乃さんの絵も凄く良いのだけど脳内イメージとの食い違いがすごすぎる…。
▼ 最近の記事
問題児たちが異世界から来るそうですよ? 暴虐の三頭龍
文句なしに面白かっただけに発売月遅らせても構わないからちゃんと1冊まるまる本編にしてよー!!今回も酷いところで続いたなあ。同じ角川で「まるマ」シリーズとかも似たような本編短編抱き合わせ商法やってたけど、OVAつき限定版とかあったから仕方ないんだろうけど、レビューでみたOVA版の内容が色々な意味でアレだったので、色々こう何か、納得のいかないものが…!!!(OVAどうしてああなった)
悪い意味で「前巻からの続き」で、かつ「次巻に続く」だから書く事がない。飛鳥・耀の戦闘メンバーとしての成長がめざましかったのと、十六夜の過去がまた少し明らかになったくらいかなあ?金糸雀との「作られた」親子関係が凄く良かった。とりあえず次巻を楽しみにしたいです。
短編の方はリリとコッペリアがメインの謎解き短編も面白かったけど、問題児達3人がそれぞれの時代についてぶっちゃけトークをする「異邦人のお茶会」が面白かった。飛鳥と十六夜の時代が若干繋がってそうで繋がってなさそうな部分とかは以前からそれとなく言われていたけど、予想していたより十六夜と耀の世代差あるっぽい?ヘッドホンの問題があるので親と子供くらいの世代差しかないと思ってたんだけど……
デーゲンメイデン 2.池袋、穿孔
あとがきが汁だく(意味深)
や、やっぱりこのノリのあとがきで続けるんですか!?予想以上に長くてびっくりしたけど凄いジワジワと笑わされたw人間の姿をとり不思議な力を持つ『Dアーム』と、彼らと契約した人間「伝承者」達が東京を舞台に繰り広げる武器バトル第2巻。
自分の戦う理由を否定された練司の上司・ライラが周囲の人間やDアーム達の“戦う理由”を知り、自らの戦う理由を見つめなおす展開が凄く良かった。正義のため、でも別に良いのにわざわざ台詞を言い換えたり、かっこいいけど実は凄く年齢相応の女の子らしさをもってるライラが可愛い。そして糸はすっかり男前になってまあ……。
うーんしかし、「ミロク」以上にバトルメインというか駆け足というか……キャラクター達は魅力的なのにキャラの掘り下げほっぽってバトルばかりが進行するもどかしさが……。というか、1巻以上に展開が駆け足。4巻完結らしいのである程度駆け足にしないと進まないというのはあるかもしれないけど、それにしてもバトルばかりの展開はきついなあ。
死別した幼馴染との再会やら、対立する両組織の思惑やらで色々きな臭い感じに。単純な「善」と「悪」という構図にならずに敵にも敵の正義があると薄々気づいた上でそれでも譲れないもののために戦う、という構図がとても好きなんですが練司とかはそこまで割り切れてない感あるので次の巻でどうなるのかなあ。というかいすかこれヤンデレフラグ立ってませんよね大丈夫だよね!?
ハイ☆スピード!
テレビアニメ「Free!」の面々の小学生時代を描く原案小説。水に入るのは好きだけど勝ち負けに拘ることがあまり得意ではない遙が一方的に遙の事をライバル視する転校生の凛に誘われ、幼馴染の真琴や後輩の渚と共にメドレーリレーに出場することになる、というお話。
序盤はとにかくころころ変わるキャラの視点に戸惑ってなかなか読み進められなかったんだけど、後半の盛り上がりぶりは凄かった!視点がわかり辛いのは本文装丁の微妙さも手伝ってる気がするんですけどそこんとこどうなんでしょうね。下手すると段落の切り替わりがわからないまま気がついたら視点が変わってて困惑、とかあった。多分文章をページの内側ギリギリまで入れすぎなのと、全体的に行間詰まってる印象受けたんだけど……
真琴や渚の水泳選手としてのスペックとかは今までのアニメの物語だけだとどうしても分かり辛い部分があったので補完的な意味でもありがたかった。アニメでも凛が解説者状態で頑張ってくれてましたけど!!真琴が背泳ぎしてるときのなんとも言えない開放感とか、渚と凛が平泳ぎ勝負をするシーンでの得体の知れない恐怖感とか、文章でなければ出せないなんともいえない迫力があって凄く好き。渚は小学生時代からあざと怖いショタでした。
勝ち負けに意味を見出せない遙やそれぞれの過去に縛られている真琴や凛など、ばらばらだった彼らが本当に少しずつ、自分のコンプレックスと折り合って目的のために歩み寄っていく姿がアツい。そして直前ギリギリまでなかなかまとまらなかった彼らがドタンバで発揮した一体感に胸が熱くなる。本当にあの、リレーの場面は良かった…!!
それにしても、正直なところ凛と遙のやりとりも時々あれれだったけど、遙と真琴の関係はどこか小学生男子の健全なそれを越えているというか……真琴のトラウマのせいもあるんだろうけど、どこか不健全なやらしさがあるなあと思ってしまうのは私が腐っているからなんでしょうか。ちょっと共依存してるよね、というか……。凛と遙も互いを過剰に意識しすぎ感あるんだけど。
2.43 清陰高校男子バレー部
まぶしいほどに純粋、てれくさいほど真っ直ぐな青春小説、誕生! 東京の強豪中学バレーチームで仲間を自殺未遂に追い込んでしまった灰島公誓は、 子供時代を過ごした母方の郷里・福井に転居し、幼なじみの黒羽祐仁と再会。 ずばぬけた身体能力を持ちながらプレッシャーに弱い黒羽と、バレーへの圧倒的な 情熱と才能ゆえに周囲との摩擦を引き起こしてばかりの灰島はエースコンビとして 成長していく。 だが、中学最後の県大会で二人は衝突。絶縁状態のまま、やがて地元の 清陰高校に共に進学する。 身長163cmの熱血主将小田と身長193cmのクールな副主将 青木の凸凹コンビや日光アレルギーで常に長袖長ズボンの2年生棺野らと出会い、 黒羽と灰島はもう一度バレーで全国を目指すが……
従兄弟の腰巾着しながら適当に生きていた黒羽はひょんなことから東京に転校して戻ってきた幼なじみ・灰島につきあってバレー部の活動に精を出すことに。ところが、そこには様々な困難が待ち受けていた。思った事をそのまま口に出してしまう性格と高すぎる能力ゆえに周囲から浮き上がりがちな天才セッター・灰島と、身体能力は高いがプレッシャーに弱いおぼっちゃん体質のアタッカー・黒羽がすれ違いや衝突を繰り返しながら名コンビへと成長していくお話。
黒羽・灰島を中心に様々なコンプレックスやトラウマを抱えた登場人物たちがそれぞれの形でそれを克服し、1つの強い「チーム」へとまとまっていく姿に胸がアツくなる。中学時代の歯車が合おうとする度に上手くかみ合わない鬱屈した展開が結構ツラいんだけど、離れている間にもお互いへの強い執着を隠しきれていない態度が!!もうね!!!最初は二人の仲を邪魔するばかりだったドラ従兄弟の頼道がだんだんデレていくのにはニヤニヤせざるをえない。
メイン2人の物語も荊と棺野のすれ違いラブコメ具合も凄く美味しかったけど、高校編に入ってからの小田・青木の関係性が物凄く好きで……この2人メインのスピンオフください!!黒羽・灰島にも似たような事言えるけどお互いに憧憬しあいながらも同時に強いコンプレックスを抱きあう関係ってとっても美味しいです。あとエピローグの青木が意味深すぎるんですがどういうことなんですか。
スポーツに掛ける少年少女の熱い思いと成長と、それだけでは収まらない人間関係のあれこれがとても楽しかったです。

最初敵として出会った影山と日向がどんどん名コンビとして成長していく課程がたまらないのですがそれ以上に、チームメイトや先輩達、敵として出会う他校チームのひとりひとりそれぞれから熱い思いが伝わってくるのがもうほんと凄くて、大好きなマンガです。
僕は友達が少ない 9
小鷹と理科が本当の意味で「友達」になり、それをみていた夜空が逃走し……からの続きです。
夜空面倒くさいよ、夜空
バックグラウンドが重いもは解った、解ったが、誘い受け全開の構ってちゃんアピールからはじまって壮絶な自虐に見せかけた他者全否定っぷりとかマジでリアルすぎて辛い。あまりにも残念すぎる姿は面白くもあるんだけど、その一方で他者からの本気の好意を自虐のために全否定する姿に本気で苛々した。星奈にはデレの兆候あるからまだマシとはいえ、理科ちゃんの否定されかたとか、見ていて胃が痛い辛い。
経緯はどうあれ「残念で面倒くさくて重い女」としての本性を見せる事が出来るようになったということはそれだけ彼女が隣人部に対して心を開いている証であるとは思うし、隣人部の面々がそんな夜空の一面を見た上で彼女を見捨てない程度に密接な人間関係を構築したという証でもあるとおもうんだけど。初期巻でこれやったらたぶん間違いなく無言で全員から見捨てられて終わりだろうしなあこれ……。
8巻での星奈から小鷹の告白の流れを受けて、一応本妻確定?の流れではあるんだけど、告白ってなんだっけ?って思うくらいに星奈が空気で色々な意味で一連の流れで割食ったのは彼女ではないかとおもう(夜空はフルボッコだけど自業自得だしな)。そして完全に理科ちゃん正妻じゃないですかやだーーー!!!友達って言ってるけど完全にイチャついてるじゃないですかやだーーー!!なんでこいつらつきあってないんですか甘ぁーーーーー!!!
優柔不断主人公を欲しいままにした伝説の名台詞「え、なんだって?」を封印した小鷹や新しい人間関係を構築して間違った方面で男らしさに磨きをかけた感のある幸村といい、全体的に隣人部の成長が見て取れる巻で、それだけに夜空の誘いうけっぷりが痛々しいわけですが。次巻で夜空回なんだろうなあというフラグは全力で立っているのでそちらに期待ではあるんだけど……
もう夜空は、星奈と付き合えばいいと思うんだ(真顔)
あと幸村は今の男前ぶりでメイド服着てください惚れる自信ある。
「好きなライトノベルを投票しよう!!2013上期」に投票します
企画元:好きなライトノベルを投票しよう!! 2013年上期
今回も参加させていただきます。本日最終日です!!
下半期に読んだ本がかなり少なめだったので、10票入れられる枠があるんですが削りました。
既存5、新規2です。下期はもうちょっとよみたい。書影クリックでamazonの作品ページに飛びます。
既存シリーズ

「雄二じゃなくて、霧島さんのためならね」
【13上期ラノベ投票/9784047287525】

【13上期ラノベ投票/9784797372847】

【13上期ラノベ投票/9784048914062】

【13上期ラノベ投票/9784840149587】

【13上期ラノベ投票/9784829138663】
新規シリーズ

「1000人より、1001人を呼ぶためだ」
【13上期ラノベ投票/9784829138281】

『温泉はどこじゃ』
【13上期ラノベ投票/9784906866175】
はたらく魔王さま!9
挿絵のアルシエルが性的(挨拶)
サリエルさん天使バージョンやっぱりそれ公式なんですかとか全力で年齢隠そうとするエメさんババアかわいいとかおもってたら終盤の挿絵で撃沈したわけですがあのアル シ エル の お し り (遺言)
ガブリエルに攫われたアルシエルとノルドを追いかけて異世界エンテ・イスラへと帰還する魔王&鈴乃と無力感にさいなまれる恵美、新生魔王軍の中で新たな真実にたどり着こうとする芦屋。様々な事実が明かされる一方で視点も3つに別れ、若干わかり辛い部分もありましたがそんな中でも一貫して漂ってくる生活感やばい。真っ先にシフトの計算を始める真奥と芦屋は流石のシンクロ具合という感じでしたが恵美とアラス・ラムスが食べ物&トイレに振り回される話がさもありなんすぎて……日本のトイレは綺麗ですよね、ほんと……。
ここにきて漸く明かされた魔王軍の「エンテ・イスラ侵攻」の真実ですが、これまでの話から考えて当然といえば当然の、あまりにもありふれた理由から始まった侵略だったんだなあ。良かれと思ってやったはずの事が裏目に出てしまうのがもどかしい。そしてそれを当事者である恵美にこそ知って欲しくないという真奥の遠回りな優しさにきゅんとしました。そして立ってる、なんとかさんフラグがたってるよちーちゃん!!!
日本に残ったちーちゃんがますます女神だったり、異世界に帰還し新生魔王軍やその裏にいる天使達と渡り合うアルシエルがかっこよすぎだったり、ちゃらんぽらんしてるとばかり思ってたサリエルの決意表明にギャー!!ってなったり(っていうか能力の相性的な問題があるとはいえガブリエルより強いんだってことに正直もえざるをえない)、水面下で暗躍して思惑がイマイチ見えてこないガブリエルさん超ハシビロコウ萌えるとか、ほんと色々萌えポイントありましたが8巻に引き続きまた凄い所での引き。異世界編もとても楽しいけど、次くらいで解決してまた笹塚での庶民派生活に戻って欲しいなあと思いつつ、続きを楽しみにしたいと思います。
わ、和ヶ原先生!!そろそろ真奥さんに原チャリ免許取らせてあげてください!!
温泉ドラゴン王国1 ユの国よいとこ、一度はおいで
これといった売りがないせいで戦争に巻き込まれずにも済んでるけど財政が傾きまくりのユ国。国民と農作業に勤しむ父王を尻目になんとか国家財政を立て直そうとがんばるアリマ王子の元に隣国から「温泉を研究したい」という研究者の女の子・ハナが現れる。温泉の効能を組み合わせて、魔法のような効果が得られるらしいのだが……そうだ、温泉旅館やろう!!というお話。
ドラゴンとか勇者とか魔法とか戦争大好き帝国とか出てくるけど、あくまでメインは温泉で国興で、全体的にユル〜いノリが楽しいファンタジー。姉姫の怪我を治癒するところからはじまって、ドラゴンの願いやら最終的には国家間紛争までを収めてしまう温泉の「効能」が万能すぎて、なんでも温泉で解決してしまう流れはあまりにもむちゃくちゃでご都合主義感漂ってたけどそれが良い!!ほんとなんか、軽い気持ちで楽しめるのが嬉しい物語でありました。温泉に入りに来る巨大ドラゴン圧倒されるしかない。
特にドラゴンを巡っては色々対立構図があったりするわけだけど、それ以上にユ国の人達の国民性というかご近所感というか、平和ボケからくるのどかさみたいなのがとても心地良い。一見ちゃらんぽらんに見える父王がいざという時に培った人徳を発揮してくるのにもニヤニヤします。
温泉シーンやら猫耳やら要所要所であざとい要素が盛り込まれてるのに苦手なあざといお色気が殆どないのもうれしい。「ToLOVEる」じゃなくて「らんま1/2」系の健康的なお色気。あとあの猫耳は萌えない(真顔)でも筋肉系男子とか好きな人は是非、ラストの挿絵だけでも見てみるといいとおもうよ!!
翠星のガルガンティア(1)
はるか宇宙の深淵、人類は種の存亡を懸け、宇宙生物ヒディアーズと闘争を繰り広げていた。異形の天敵を前に敗戦を重ねる人類銀河同盟は、乾坤一擲の反撃を試みる。その作戦中、少年兵士レドは人型機動兵器チェインバーとともに不測のワープ事故に巻き込まれてしまう。辿り付いたのは翠の海に覆われた辺境の惑星、地球。滅びたはずの世界に暮らす人々との出会いは、戦いしか知らない少年に何をもたらすのか―。大人気アニメ待望の公式ノベライズ登場! (「BOOK」データベースより)
アニメ「翠星のガルガンティア」のノベライズ。宇宙でずっと宇宙生物相手に命がけの生存戦争をやってきたレドが何の因果か人類の故郷である地球にたどり着き、宇宙とか神話の世界な地球人との価値観の違いに戸惑う、みたいな展開。元は同じ人類でありながら全く考え方の違う彼らの異文化コミュニケーション具合が面白かったです。あとチェインバーさんかわいい。中に人などいない。
悪くはなかったけどこの手のアニメ忠実ノベライズにありがちな、起承転結の「起」で終わっちゃった感がとても強くて、アニメを見ないで読むとかなり物足りない。良くも悪くも「アニメの副読本」として楽しむべきノベライズなんだろうなあと感じました。物語自体も映像で見たほうが面白そうな感じだったので、時間を作って改めてアニメ版を見てみたい。