「ですから、今から少しでも学園の雰囲気に慣れておきたいので、来月の文化祭を一緒に回ってほしいんです。いえ、決して下心はありません。純粋な職業意識からです。手を繋ぎたいなどと贅沢は言いません。隙あらば人気のないところに行こうなどとは思っていません。そもそもあなたがお化け屋敷なんかで怖がってくれないことは分かっています。くそ……ああ、失礼。とにかく下心はありませんし、食べたい物があればなんでも奢りますから」
カシュヴァーン様 マジ残念(挨拶)
期待の更に上を行く最初から最後まで全開に残念なカシュヴァーン様に腹筋を破壊されましたルアークのツッコミがまた的確すぎて……本編がシリアス入っててこういう能天気なお話が殆どなかった分、余計に破壊力が……
ビズログ文庫の人気作・期待作の番外編を集めたアンソロジー。シリーズの中でマトモに読んでるのが「死神姫の再婚」のみでほぼそれ目当てで買ったのでちょっと他の作品についてはよく知らないんですが、多分「神とある国の物語」以外は完全なパロディ・パラレルネタな外伝の詰め合わせのようです。
個人的に「死神姫」以外で一番のお気に入りだったのは「おこぼれ姫と円卓の騎士 アンラッキースパイシーラブ」。突然マフィアの次期頭首候補として指名されてしまったヒロインが警察官のデュークと自分の立場を隠して恋に落ちるお話。実の兄をはじめとしたマフィアのファミリー達に振り回されながらも、ただ状況に振り回されるのではなく、彼らの上に立つ為の力を付けながら最終的には彼らを撲滅するため頑張ろうとする姿が男前過ぎました。
元の作品は、中世ファンタジーらしいよ!↓
「さっさと頭を下げなさい!」←この女王様が、スゴイ!!!
ソルヴェール国の第一王女・レティーツィアは、将来自分が“女王になる”ことを知っていた??。結果、優秀な兄たちの“おこぼれ”で王位が転がり込んできたレティは、王の専属騎士団(ナイツ・オブ・ラウンド)を作るべく、漢(おとこ)の中の男と評判の騎士・デュークを強引に勧誘。けれど彼は「『おこぼれ姫』の愛人と呼ばれるのは願い下げ」と一刀両断!!ますます彼がほしくなったレティは……!?第13回えんため大賞優秀賞受賞作!!
もうひとつ面白かったのは「双界幻幽伝 竹取物語だけどかぐや姫は月に還りたくないそうです。」。以前だれかにオススメされた時に聞いたときはヒロインの引きこもり属性がとても気になっていたんだけど、舞台が中世日本になったせいで聞いていたほど引きこもり属性的ななにかは感じず、その分、蒼刻の無双っぷりと静心のシスコンぶりが光っていたような。次から次へと無茶振りをふっかける静心の鬼舅具合とあるときは悠々と、またある時は必死に静心の出す試練を乗り越えていく蒼刻のやりとりが楽しかったです。
元の作品は、中華ファンタジーらしいです。
噂の「天然公主」は超引きこもり! 幽霊もビックリの中華ファンタジー開幕!
姚朧月は死者の霊=幽鬼が見える少女。ユーモラスな幽鬼に囲まれて育ったので、感性がちょっと変わっている。──ついたあだ名が「天然公主」! そんな彼女のもとに、劉蒼刻という武人がやってきた。幽鬼が見える朧月にどうやら依頼があるらしい。嫌がる朧月に、「とりあえず連れ出せば、あとはなるようになるだろう」と、蒼刻は無理やり連れ出してしまい──!?
しかし、本編とリンクがやや強いせいで世界観・キャラがつかみきれなかった「瑠璃龍守護録」と「神とある国の物語」、登場するキャラ数が多い「闇の皇太子」の3つに関しては、正直原作読んでないと厳しいものがある気がする。各作品、それなりに未読者への配慮はあるんですが……正直元作品のあらすじと簡単なキャラクター紹介くらいは載せてくれてもよかったんじゃないかなあ。楽しめた2つも含めて、世界観設定自体を変えてしまっている作品が殆どだったため結局これどういう話なんですかという話が多くて、そこはちょっと残念でした。
とりあえず、「おこぼれ姫」と「双界幻幽伝」はちかいうちによんでみたいとおもいます。