“中村 恵里加” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:中村 恵里加 (27 件 / 3 ページ)

ひがえりグラディエーター

 

「よくわからないけど、あなたがいい気がする」少女に選ばれ、少年の日常は一変する!
 突如現れた少女・アールによって、異世界に誘われた天海蔵人。その異世界で流行っていたのは、なんと地球の人間を拉致し、互いに戦わせるという恐ろしい『娯楽』だった。一方的に銃とナイフを与えられ、見ず知らずの誰かとの戦いを強いられることに蔵人は戸惑い続ける。だが、その『娯楽』の頂点に立っている地球人……初戦以外は完全無敗の人物が、幼き日に行方不明になった自分の妹である可能性が高い、ということを知り──!?   斬新な切り口で「戦い」を描く、ハードアクション&バトルストーリー!

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事前情報ほとんど確認せずにいったら表紙がカモフラージュすぎて5分くらい探してしまった件。この人の作品で萌え表紙とかトラップすぎる。そして中身は異星人から突然「娯楽」のためにリアル武器を用いた人間同士での戦いを強制されたり、虫が体内這いずったり流血したり内臓はみでたり……という安心のエグさ。戦うために「セクト」と呼ばれる虫を体内に入れて身体能力・治癒能力を高めているから基本的に戦いでは死なない……という設定を逆手に取って割とやりたい放題でした。

突然そんな戦いに巻き込まれて、たとえ死ぬことがないとしても他人を傷つけることにどうしても抵抗を覚える主人公が、6年前に失踪した妹の手がかりを見出し、その手がかりを追うためには勝ち上がらなければならないと知っても、それでも人を傷つけることに踏み出せないのが普通の少年らしくて良いなあ。そんな彼が背中を押してくれる人たちの存在を自覚して(たとえそのうちの1人が自分を巻き込んだ張本人だとしても)、妹の為でなく彼女たちの為に戦おうと決意するのがなんか良かったです。

物語としては完全に序章といったところなので、今後この設定でどこまでエグいことになるのか大変楽しみです。……続編出るよね!?ナンバリングされてないけどこれ2巻出るよね!?

あとがきによると、元はと言えば電撃文庫コラボレーション企画「まい・いまじね?しょん」に寄稿した物語を真面目に書いたら……というコンセプトだったらしいです。こちらはレトロゲームネタが大量なギャグっぽい短編なので、未読の人は読み比べてみると面白いかと思います。


まい・いまじねーしょん?電撃コラボレーション (電撃文庫)
まい・いまじねーしょん?電撃コラボレーション (電撃文庫)

 

ぐらシャチ

 
双 

この春高校生となる少女・秋津島榛奈は、全国うっかりランキング10位以内にノミネートされる(弟・孝雄談)以外はごく普通の女の子。海辺で祖母の形見であるオカリナを吹いていた彼女は、急な高波にさらわれたところを「ある生き物」に助けられるのだが──?そしてその「出会い」から、榛奈の日常は少しずつ波乱を含み始め、そして──。『ダブルブリッド』の中村恵里加が贈る、かなり奇抜なボーイミーツガール&ファーストコンタクト・ストーリー、満を持して登場!(公式サイトより)

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ちょっとぼんやりしてるけど普通の女子高生が言語を解する不思議なシャチと出会う、ガールミーツ謎の未確認生物モノ。

感想:すごくいつもの中村恵里加だった!!
どこか飄々としたキャラクター達が淡々と創り上げる独特の爽やさとグロさが共存する不思議な空間は、もう読んだことある人なら「中村恵里加でした」と言う感想ひとつで片づけられそうなレベル。

主人公の榛奈と謎のシャチ・グラボラスとのちょっぴりピントのズレたやりとりにニヤニヤしていたら、徐々に雲行きが怪しくなってきて……中盤以降は人間とは別種の生き物であるグラボラスの持つ無邪気な残酷さがグサグサ刺さるように。グラボラスの無邪気な好意を素直に受け入れられず、少しずつ疑心暗鬼と自己嫌悪にかられていく榛奈が見ていて痛々しいのですが、正直同じ状況に遭遇したら普通は疑心暗鬼くらいにはならないとおかしいよ!無差別動物殺人の時はひそかに、いつ飼い犬が犠牲になるのかと戦々恐々でしたとも。

基本は榛奈とグラの関係に終始するこの物語ですが、個人的にはグラ(というか…モゴモゴ)の友人となる平八が好きだったなあ。別人のようになって奇妙な言動を繰り返すようになった親友に戸惑いながらも当たり前のように受け入れ、新たな関係を築いて行こうとする姿に彼の人間としての大きさを感じる。

1巻完結と言われても不思議ではなさそうな本編だけど、続編があるなら平八さんにはもっと大きく活躍して頂きたいところ。こっそり2巻を楽しみにしてみたいと思います。
とりあえず、中村恵里加作品好きならオススメ!読んだことが無い人は、入門編として是非。

それで、ソウル・アンダーテイカーの2巻まだー?


4840229430ソウル・アンダーテイカー (電撃文庫)メディアワークス 2005-02

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ダブルブリッド Drop Blood

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

ある晴れた日、フェンスで囲われた屋上で布団を干している大田真章に向かって声が掛けられた。やたらと不機嫌そうなその声は、フェンスの向こうから聞こえてきて…捜査六課の面々の日常、片倉優樹の過去、そして『あれから』の話を収録した短編集。
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これで正式に完結!なダブルブリッドの短編集。

「Dead or Alive」「Momentary Happiness」「汝の隣人は燃えているか」
それぞれ大田、安藤&虎司、夏純のなんてことない日常を描いた短編。
このまま本編の間にちょっと入ってても何の違和感のないだろう、ほんとうになんてことない「日常」を描いた3作…なのに、完結した後に読むとちょっと切なくなってしまうのは何故だろう。個人的に一番好きだったのは安藤さんと虎司が焼肉に行く話を描いた「Momentary Happiness」かな。メインである焼肉の話もなんかもうありありと情景が浮かんできて素敵なのですが、ちょっとだけ追加された『あの後』の話にぐっとなりました。安藤さんと虎司の初々しいカップル(?)ぶりが素敵。

「こどもらしくないこどものはなし」「こどもらしくないこどもにすくわれたはなし」「こどもらしくないこどもとぶこつなおにのはなし」
片倉優樹が小学生の時に起きたとある事件に関わった、2人の同級生の話と小学生時代の優樹が飯田と出かける話。
自分の気持ちを伝えられない事を後悔し続ける少年と、気持ちを伝えられた筈なのに上手く伝えられなくて今でも時々彼女に想いを馳せる少女の話は、この物語の結末を知っていると無性に切なくなる。優樹の気付かないところで彼女の優しさに触れた人々が確かに存在したのだと、感慨深い気持ちになりました。

…といいつつ、一番ツボだったのは誰がなんと言おうと「ぶこつなおにのはなし」です。飯田可愛いよ飯田
さりげなく浦木に振り回されてたり、お嬢さんの反応に一喜一憂する飯田モエー。

「続いた世界のある顛末」

片倉優樹が物語の舞台から去った後、捜査六課に戻った山崎太一朗と未知、そして残された捜査六課の面々のお話。
警戒心バリバリの未知にどこか不器用な形で接する太一朗に思わずニヤニヤ。太一朗に触られる事を拒む未知に対し、太一朗が打ち出した妥協案には爆笑してしまいました。この二人、予想以上に良いコンビだ。

捜査六課に戻った後の展開は…特に何処がどう、というわけでもないのに無性に涙が出た。取り返しのつかないことをしたと、元の関係には戻れないのだと言外に強調する大田。かつてと変わらない虎司。様々な意味で変わってしまった太一朗。それでも、この3人が再びお互いに語り合う姿を見られたのが無性に嬉しかったのか。それとも、そこに片倉優樹の不在を感じてかなしくなってしまったのか。淡々と未知やアヤカシ達の怒りの言葉を受け、それでも「死にたいと願いながら死ぬまで生きる」と言う太一朗の姿には、どこかいなくなってしまったあの人の姿を感じさせて、余計に哀しくなった。何気にまともに喋るのは初めてな夏純と太一朗のやりとりがなんか好きだったなあ。

そして優樹の「全て任せる」という言葉を受けて彼女の意図を汲んで行動していく大田がかっこよすぎる。本編9巻以降、美味しいところは片っ端からこの傍観者が総取りしていった気がしてなりません。

「おじさんは、ゆうさんのこと、すきだったの?」
「ああ、好きだよ」


最後の未知と太一朗の会話がまた、胸をしめつけてくる。未知が過去形で問いかけた質問に対し、「現在形で」応える太一朗の想いが切ない。短い邂逅の中、最後の最後まで分かり合えない二人が片倉優樹を通して通じ合う言葉のやりとりに、また無性に泣けてきた。ほんとにもう、なにがなんだかわかんないくらいに泣いた。

最後までダブルブリッドらしい、最高の物語でした。
これで最後なのは哀しいけど、次の物語を楽しみに待ちたいと思います。
ダブルブリッド完結で4年待った私に怖いものなんかないぜ!たとえ続きが絶望視されても「ソウル・アンダーテイカー」の続編を夢見続けたいと思います!いや、ほら、こないだ久しぶりに続きが載ったし!!

…「ゲームネタ満載の笑えそうで笑えないパラレル番外編」が超気になります。それで1冊出しませんか。学園キノ的なノリで。

 

ダブルブリッド10

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

ぼろぼろに傷つき、多くの記憶を失ってしまった二重雑種・片倉優樹。“童子斬り”に取り憑かれて正気を失い、童子斬りの本能と自身の妄執によって動く“兇人”・山崎太一朗。かつて“友人”と呼べる関係を築いた二人は互いを認識できないまま遂に対決する。一方、自らの死期を本能的に悟ったキマイラ・片倉晃は自らの望みを叶える為、片倉優樹の元を目指すが…
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今までばらばらに動いていた捜査六課のアヤカシ達・クロスブリード・特高の三勢力が
一気に集結し、すべてに決着をつける最終巻。

9巻まで再読した際、これだけ広げるだけ広げられた風呂敷をどうやって残り1冊でたためるか、どこまで伏線を回収していってくれるかが不安だったり楽しみだったりしたのですが……良い方向で期待を裏切られまくりの最終巻でした。いや、本当に堀内なんて皆が明らかに忘れてるキャラに張られた伏線すら回収しにくるとは思わなかったね!皆さん覚えてますか?4巻で特高に引き抜かれてた優樹の主治医?の堀内さん。私はすっかり忘れてました。

Ωサーキットの目的、“主”の行動理由、片倉晃と優樹の関係などという大きな謎は勿論、クロスブリードの二角である鈴香や千堂が特高を憎む理由、飯田の因縁、キマイラ達が作られた理由など、様々な伏線・謎が一気に種明かしされ、しかもそれが見事に今までばらばら出会ったように見えた人物達と繋がっていく様子は、本当に読みながら息を飲みました。特に4巻後半で登場して以来、イマイチ立ち位置が明確ではなかった晃が自らの死期を前に心を決め、自分の目的の為に動き出す様子には胸を打たれました。今回の物語の前半は見事に彼に持っていかれっぱなしといっても過言ではありません。あと、はぅ?虎司くんかぁいぃよぉお持ち帰りぃぃー!モードの安藤希さんに。(←あながち間違ってないとおもう)

ただ、こういうふうな終わりになるならなおさら間をおかずに出してほしいというのはあるんですけどねー…正直、この最終巻の凄さは、9巻までの内容がほぼ完全に把握できてないと実感できないと思う。とりあえず、最終巻読む人はその前にやっぱ9巻まで再読されることをオススメしたいです。私のまとめエントリも結構参考にしていただけたようでありがたい限りですが、結構穴ありますからー…。

メインである優樹と太一朗については、もうこの二人が最後の最期で普通に会話する様子が見れただけで私満足といいますか……9回裏ツーアウトから状況をひっくり返されたような心境で。“主”とか浦木とか、ラスボスになりそうだった存在があまりにも色々とあっけなかったのがちょい(いえ、だいぶ!)ご都合主義を感じてしまわなくもないのですが、もうとりあえず最後の会話が見れただけで満足ですとも。記憶を失った優樹さんの無意識の一言が太一くんの魂を揺さぶったってだけでもう、無条件になんかボロボロ出ましたとも。優樹さんの「あの一言」見た瞬間、「やったよ太一くん!!!」と叫びながらまたボロボロなんか出ましたとも、しょっぱい食塩水が目から。もうごめん、大好きだ、この二人。優樹さんと太一くん、大好きだーーーっ!!!

余韻を残したちょっと寂しいエピローグが、どうしようもなくこの物語に相応しいように思えて、また泣けてきてしまいました。もう本当に、4年半待ってよかったと心から思えるエンディングをありがとうございます。この物語の結末をちゃんと見届けることが出来て、本当に嬉しい。二人が最後に少しだけでも言葉を交わせて、本当によかった。もうなんていうか、そんな言葉しか出てきません。最高の物語と、最高の結末をありがとうございました。

…ところで、ダブルブリッド本編はここで終了だけど、電撃hp等に掲載された分で短編集が1冊出るのを、信じていいよね…?まとめて読みたいので電撃文庫MAGAZINEとか買ってないんですが…

 

最終巻発売前に「ダブルブリッド」をおさらいしてみる(シリーズ既読者向)

4048670654ダブルブリッド (10) (電撃文庫 (1588))中村 恵里加


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——待ち人は、ここに居た。

本編最終巻となる「ダブルブリッド10」の発売まで、遂に10日をきりました。しかし、実に4年半ぶりの新刊ということで、「内容を忘れた」「そもそも“●●●●”って何だっけ?」という方も多いのではないでしょうか。というわけで、備忘録を兼ねて、未熟ながらも5巻以降の「ダブルブリッド」各キャラクターの動向を箇条書きでまとめてみました。再読が間に合わなかった方の一助となれば幸いです。


※注意※
このエントリは、シリーズ9巻までの重要ネタバレが満載です。
シリーズ未読者の方は閲覧を御遠慮くださいませ。



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ダブルブリッド9

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

虎司と安藤の前に現れたのは、童子斬りに取り付かれた“兇人”山崎太一朗だった。安藤への気持ちに迷いを抱えながらも太一朗に立ち向かう虎司だが、一方的な攻撃を受け続ける羽目になってしまう。何故か“童子斬り”での攻撃を行わない太一朗。そして、虎司の“アヤカシ”としての姿を目の当たりにした安藤は……
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こ、ここから約4年半寸止め喰らってたのか、俺達は…
本文といい挿絵といい、ラストページが酷い引き。7巻のアレから続いて、3巻連続酷い引きってどうなんですか!!というわけで遂にクライマックス直前!!のシリーズ第9巻。

物語はまんま8巻の続き。虎司と太一朗の闘い、そして虎司の安藤への気持ちに一応の決着が付きます。安藤さんと虎司の捜査六課でのやり取りは大好きなんだけど、こうやって改めて読み直すと物凄く色々不安なフラグを孕んでいるように思えてなりません。最後に虎司がいったように、安藤さんと喰うの喰われるかのギリギリのラインで本編終了後も適当にお付き合いしていければいいんでしょうけど…。というかですね、全くの気のせいかもしれないけど、これってものっそ安藤さんが「鬼斬り」に寄生されるフラグ立ってません……か……。虎司との会話が始まる直前のアレとか、凄い気になるんですけど…!!

一方、喪われていく自らの記憶に対する執着を徐々に失っていく優樹と“未知”ではない過去の自分を忘れ去りたい未知に対し、自分の考えをぶつける大田がまたもや良い味を出してました。なんていうか、改めて読み直すと大田の微妙な立ち位置とか、自らも迷いながら、それでも「傍観者」を貫いていこうとする様子が凄く良い。八牧を喪った後の大田はまた更に良いキャラになった気がしますね。彼が最終巻でどのような立ち位置を取ろうとするのか期待。

しかし、改めて読み直してみて自分がどれだけ前回8巻を読んだ際、それまでの内容を忘れたまま読んでいたかを実感しました。読み直してみると、他の巻と比べて明らかに読み落としている部分や理解できないまま読み進めたのであろう部分が多くて、びっくり。太一朗の様子についても、ちょっとだけ明るい展望が見えたように見せかけて、実はもっと酷い方向にフラグが立っちゃってる気がします。今の太一朗ヤバイマジヤバイ。特に最後の挿絵が気味悪くてめちゃやべえ…!!

もうなんていうか、全滅エンド以外のエンディングが思い浮かばないくらいの最悪な状況での幕引きで終わっている9巻。5月に発売される最終巻で、このヒトとアヤカシの物語にどのような決着が付くのか非常に楽しみです。片倉晃の過去とか“オメガサーキット”の秘密とか空木とか“主”とか浦木の思惑とか、未回収の伏線が大量にあって、本当に1巻で終わるのか激しくドキドキするというのも微妙にあったりするんですが。

願わくば、最期の一瞬だけでもいいから、優樹と太一朗が平和な時間を過ごせますよう……。

 

ダブルブリッド8

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

兇人を殺す為、八牧の仇を討つため、動き出す捜査六課の面々。そんな中で相川虎司は自らの“人間を喰らいたい”という欲望を自覚してしまう。しかも喰いたいと思う相手はただ一人・クラスメイトの安藤希だけ。喰べたくてたまらない相手なのに、彼女を殺してしまうことにはどうしても抵抗を覚えて……
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安藤と虎司の関係に焦点が当たる、シリーズ第8巻。一気に9巻まで読んじゃったんですが、こうやって読み返すと8と9は1冊で出しても良かったくらいの内容ですね。そしてまた終わりの引き方が鬼だ……!!

八牧を殺された後の捜査六課の面々の姿が痛々しい。特に大田の独白はなんていうか、無性に寂しさを覚えました。元々「傍観者」を自称しながらもどこか傍観者になりきれない大田のキャラクターは大好きなのですが、6巻を境目にしてどんどん魅力が増している気がします。ほんと、大田はいいキャラだ…。

アヤカシとして安藤を喰べたくて仕方ない気持ちと、せっかく築いた安藤との関係を自分が安藤を“殺してしまう”事で終わらせてしまう事に対する恐れの間で揺れ動く虎司の始めての戸惑いと、自分への態度が変わってしまった虎司の様子を見て寂しく思う安藤さんの様子が……こんな作品では浮いて見える言葉ですが実に「青春」してて素敵です。いえ、安藤さんはとにかく虎司の考えていることは青春なんて甘酸っぱい言葉とはかけ離れてるわけですが!!

一方、どんどんボロボロになっていく優樹に、意外な所から救いの手が。…というかこれがまたどうみても「救い」ではないだろうなって感じの救いの「手」(文字通り)な訳ですが…。このシリーズ、最後は浦木の一人勝ちで終わってもなんら不思議はない気がしてきました。エピローグで全滅したみんなの姿を見ながら浦木が高笑いとか、正直ありそうで怖いですね。

それにしても、改めて読むと安藤さんのキャラは良いですね。
虎司のあの発言に、生返事で「うん」って言っちゃうそのセンスが素敵です。

 

ダブルブリッド7

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

元捜査六課のアヤカシ・八牧厳は、自分と自分の仲間たちを脅かす“兇人”を殺そうと決意した。自らが返り討ちに遭う事まで想定して仕組まれた殺人計画を実行に移す為、彼は偶然懐かれてしまった一人の少女を捜査六課に押し付ける。一方、山崎太一朗は自らの狂気と戦いながらも“童子斬り”を切り離す為、大田の言い残した僅かな希望に縋るのだが…
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とにかく希望の無いこのシリーズの中でも格別に救いの無い、シリーズ第七巻。

空木を探すという一筋の希望に縋りながら少しずつ正気を喪って行く太一朗、意識を乗っ取っていた右目を切り離して以来身体の様子がおかしくなっている優樹と、主人公格2人がダブルで絶望的な展開。双方から少しずつでも確実にお互いに関する“記憶”が失われていく様子が悲しかった。太一朗が実家に電話をかけるシーンとか、赤川と太一朗の噛みあわない会話とかで今後の展開がなんとなく予想がついてしまうのがまた…。

もうとにかく、太一朗サイドは精神的に、優樹サイドは肉体的に痛い。特に優樹の傷に関する描写は、シリーズ屈指のグロさです(個人的に一番痛いのは1巻の描写だと思うんだけど、それに追随するレベル)

唯一、八牧と彼が拾った少女・未知のやりとりが地味に平和で面白かったりするのですがこの2人も既に“終わり”が見えてしまっているので痛々しくてしょうがない。特に八牧さんは冒頭から思いっきり死亡フラグ立ててますから…そんな彼がお風呂に入って浦木に会いに行くシーンは爆笑でしたが。

八牧さんと未知の関係は凄く好きでした。“利用するだけの関係”といいながらもいつのまにか未知に情が移ってしまっている八牧の姿がほほえましいんだけど、状況を考えると切なくてしょうがない。大田と八牧のやりとりも最高でした。八牧さんはあんな風貌してるのに実に良いツンデレですね(台無しだ!)

しかし、当時リアルタイムに読んでいてちょうどこの頃から刊行ペースが落ち始めたのだと記憶していますが、今読んでもこの引きはあんまりだ!!!

 

ダブルブリッド6

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

緊急捕縛部隊と米軍の合同演習が行われることになり、舞台となる無人島に旧捜査六課のメンバーが集う。久しぶりの再会を喜ぶ面々だが、その影では米軍による恐るべき陰謀が動いていた。更に、“特高”に所属するアヤカシ・鵺のネジが捕縛部隊のとある人物に復讐するため、合同訓練中の島に現れて…!?
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物語が決定的に残酷な方向へ動き出すシリーズ第六弾。

改めてこの話読むと痛い、痛いよ……痛すぎるよ…。久しぶりに六課メンバー揃い踏みで鍋を囲んだり、優樹との一件を引きずりつつも捕縛部隊で先輩達とワイワイやってる太一朗の姿が今までになく和気藹々と描かれているだけに、ラストの展開が痛すぎる。

「……おかしいんですよ、私」
「そうだね、君はおかしくなった。その原因全てが君にあるとは言わないが、僕はとても悲しいよ」

右目の「侵食」により今までとは明確に違う、今までになく攻撃的な考えを覗かせはじめる優樹。共同演習では、今回は仮想標的としては御役御免となったものの、米軍の陰謀で虎司が重傷を追って動くことを余儀なくされ、再び彼女の中で“主”と呼ばれる鬼が目を醒ますことに。シリーズ通して痛々しい描写がとにかく多かった優樹ですが、今回はなんだか和気藹々と平和な雰囲気……とか思ってるとラストで激しくカウンターパンチ。ラストの痛々しさは、戦闘相手を考慮しても今までの中で格別です。

「……君は、本当におかしくなってしまったんだね。僕は少し悲しいよ」

一方、捕縛演習のため森林の中に居た太一朗は赤川や木島と自らの考え方の違いや捕縛対象として現れた虎司に対して自分がとってしまった行動に若干の違和感を覚えながらも復讐のため島に乱入したネジと交戦し、最後の決定的な“何か”を明け渡してしまう事に。優樹が彼を評して「誰かに似ている」と言うシーンがありますが、ラストの様子なんかもろに4巻ラストの高橋幸児的で、多分それのことを言いたかったんじゃないかなあと思ってみたり。しかし彼のことを一番嫌っていた太一朗がそうなってしまうというのはなんとも皮肉です。

彼に宿った“モノ”がいつを境に根を張り出したのかが物凄く気になるところですが、太一朗の思考が決定的にその方向に傾いてしまった時といえばやはり4巻のアレかなあ…5巻で登場した彼女との相違点を考えると、“それ”が人間の手に委ねられる条件というのがなんとなく見えてきそうな気がしますが…うーん。

好きだった。
色々あったが、嫌な記憶ばかりでは決してない。彼らを殺したいなどと、決して思わない。
それなのに、心に浮かんでくるのは、殺意ばかり。
理由も何もない、彼自身の殺意ではない殺意。

「さようならだ、山崎太一朗くん。僕は決して君のことが嫌いじゃなかった。できれば君の死を見届けたかったが、もうそれすらも不可能だ。僕は君の助言者になることはできない」

全てが終わったあと、船上での大田と太一朗の会話が地味に涙を誘うっていうか……思わず緩みかける涙腺と戦った。ていうか、こんなことになるまでそんな事すら気付けなかった太一朗のツンデレっぷりがなんか凄い哀れで、なんかもう……

 

ダブルブリッド5

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

殺されたアヤカシの事件を調査する為、浦木の依頼で元同僚のアヤカシ・帆村夏純とともに事件のあった京都にやってきた片倉優樹。捜査を続けるうち、犯人とおぼしきとある人物にたどり着くのだが…。一方EATの先輩から休暇を勧められ、実家のある神奈川に戻った山崎太一朗はかつて交際していた女性と出会って…
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他所の感想で「この巻以降、表紙は全部優樹一人」というのを見て改めて寂しくなった今日この頃。しかし、個人的にイラストレーター変わって以降だと、この巻の表紙が一番ツボだったりします。優樹さん可愛いよ優樹さん。

今後、この物語の鍵となってくる“鬼斬り”が本格的に登場(いえ、ブツ自体は4巻から出てましたが…)する一方、優樹と太一朗は違うところでお互いの関係を見つめなおす事に。太一朗と同じ“アヤカシを愛してしまった”女性と出会いその愛の形に恐怖する優樹と、実家でかつての恋人と出会い、現在の自分の優樹に対する気持ちを再確認する太一朗。二人とも「いつかまた、以前のように接する事が出来ればいい」という望みは持ちながらも、やはりその気持ちはすれ違ったまま。

太一朗にされるという状況を考えたとき、“抵抗する自分の姿が思い浮かばない自分”が恐ろしかったという優樹はやはりなんだかんだいってこの時点では太一朗にかなり惹かれていたんだと思うんだけどなあ…。そもそも、“彼女”と太一朗を重ね合わせてしまうのはさすがに太一朗が可哀想に思えてしょうがなかったりするのですが……でも4巻の時点でも相当アレか。5巻の時点ではまだしも、後半の太一朗は最凶の男ヤンデレだからな!(言っちゃったー!)

個人的には、来栖と夏純のギクシャクしたやりとりが物語唯一の清涼剤でした。夏純に対してかなりツンデレデレな「くるさん」が超可愛い。さりげなく理由をつけて夏純に取って貰ったぬいぐるみを身に着けてるくるさんがマジ可愛い。ほんと、彼は5巻のみの登場となってしまったのがとっても残念です。

それにしても、ラストの戦闘シーンは最初読んだときかなりインパクトあった印象があるんだけど、今回読んだときにはイマイチたいしたことないように思えてしまったのはその後のもっと凄い展開に慣らされてしまったということなのか……