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しずまれ! 俺の左腕

 
NOCO

善良なリア充である高校2年生の篠中紳士は、ある日謎の飛来物と衝突、異世界の魔王に憑依されてしまう! 紳士の左腕を乗っ取った魔王は、その恐るべき力を用いて……ネトゲ三昧!? 「くくく、携帯をよこせ! まとめサイトを見るのだ! 」「やめろ魔王! くっ、しずまれ僕の左腕……! 」リア充から一転、邪気眼へとクラスチェンジしてしまった紳士の運命は!? 『伝説兄妹! 』のおかもと(仮)が贈る、笑いと感動の庶民派ラブコメディ、いよいよ開幕!

宝島社様より献本をいただきました!

 リア充高校生が爆発したら、左手に魔王が憑依していた。な、なにをいっているかわからねえとおもうがry←あらすじ

 左手に憑依した魔王は無類のゲーム好きだった。ことあるごとに左手を操ってはネトゲやソーシャルゲーをやりこもうとする魔王を抑えようとする主人公・紳士だけど、その行動が結果的にどうみても邪気眼にしかみえなくて……という周囲とのディスコミュニケーション具合が楽しい。

 そんな奇妙な一身同体生活を送るうちに魔王の可愛いところが少しずつ見えてきて、いつしか……という流れは少々強引に思えたけど、魔王への気持ちを自覚した後の紳士の恋する男子高校生具合はたいへんニヤニヤできました。彼女を護る為に強くなろうと思って空回りし、魔王と引き離されても彼女を助け出す為に頑張る男子高校生の妄想力マジ最強。

 個人的には、魔王を追う勇者や警察の特殊部隊が動き出してからが本番かなあという印象。浪人生で超豆腐メンタル系ヤンギレ勇者・赤井川兎や頭髪に不安のある大鳥局長とのやりとりが楽しかった。シリアスバトルの最中にヅラだの浪人だの入ってイチイチ脱力させられるグダグダ具合は好き嫌いわかれそうだけど、個人的には結構好きです。

 あと、幼なじみの2人が可愛すぎる。邪気眼認定されてクラスメイト達が距離を置いても、引きながらも以前と変わらぬ付き合いをしてくれる二人の友情って実は凄く貴重なものだとおもうんですが、正直恋する幼馴染暴走特急・巻名ちゃんが濃厚すぎて友情とか幼馴染とのほのLOVEとか感じてる場合じゃない感。健気可愛いんだけど、健気可愛いんだけどいろんないみで強キャラすぎる!!!


声優ラジオのウラオモテ #10 夕陽とやすみは認められたい?

 

2024年TVアニメ放送!渡辺千佳が本心に向き合う、第10弾!
――佐藤。泊めて。  母に一人暮らしを反対され、我慢ならず家出してきた千佳。母は自分が声優として独り立ちすることをどう思っているのか。怒りと不安に苛まれる彼女のもとへ、同じく母親と不和を抱える双葉ミントが現れる。 「声優なんて、俳優になれない人がやる仕事でしょう……?」  そう言い切るのは、世界的大女優であるミントの母親・双葉スミレ。  親に声優活動を否定されるミントと自分を重ねた千佳は、どうすれば声優のすごさを見せつけられるか頭を悩ませる。だが由美子は勝負では解決しない、歪な親子関係の『真実』に気づいていて――。  2024年TVアニメ化も決定の声優青春ストーリー、第10弾!!

高校卒業後の一人暮らしを母親から反対され、喧嘩して由美子の家に逃げ込んできた千佳。そこにさらに、将来の話で母親と衝突した現役女子小学生先輩声優・双葉ミントが逃げ込んでくる。ミントを迎えに来た彼女の母親である大女優・双葉スミレの「声優は俳優になれなかった人がなる職業」という言葉に激昂した千佳はスミレに声優の凄さを見せつけようするが、由美子はその行動に違和感を覚えて……。

似てないようでやっぱり似ている2つの親子関係が印象的だった

双葉ミントの家庭の事情に切り込みつつ、序盤に出てきたきりなぁなぁになってた渡辺家の母子関係にも改めて切り込むお話。前巻に引き続き由美子の活動休止中の出来事で、由美子の方の事情が色々と片付いた分今回は千佳側からの視点が多く入っているんですが……渡辺千佳というか夕暮夕陽さん、マジで「歌種やすみ」の評価がメチャクチャ高くて震えた。声優の凄い演技の代表として、そして自分の目指すべき高みとして──当たり前のように大御所声優の名前と歌種やすみの名前を並べて大絶賛してくるじゃん……。

今回はなによりもミントの母である大女優・双葉スミレのキャラクターが強かったです。有名人オーラを完全にコントロールしている超絶演技力、大御所俳優として千佳達と対峙した時の威圧感についてはもう紙面を通じてこちらにまで伝わってくるようなヤバさだったし、そんな圧倒的な演技力で形成された強固な心の壁をコミュ強ギャルの佐藤由美子が少しずつ崩していくまでの駆け引き、何枚もの強固な防壁の裏に隠された「母親」としてミントを気遣う彼女の不器用な本心には圧倒されるばかりでした。いやしかし、将来への迷いを振り切って心の余裕が出てきた由美子のコミュ力・フォロー力とカリスマ性が無ければ乗り切れなかったであろう局面が多すぎて……特に初手からギクシャクしてた渡辺母と双葉母を左右に並べて真ん中で相対するのとかマジで由美子にしかできないよね……これは千佳もクソデカ評価しますわ……。

そんな双葉スミレの娘である双葉ミント──オフでは小学生としての年相応な顔を見せながらも、時に同じ業界の「先輩」として大人びた一面を覗かせるというギャップが印象的でした。ミント先輩というとどうしてもライブ前の過剰レッスンで無理して倒れかけたエピソードの印象が強かったんだけど、親の七光りが届かない場所で体力面や時間面で大きなハンデを抱えながらこの業界で生き抜いてきたのは伊達じゃなかった。半ば彼女のために用意されたイベント舞台で、桜並木乙女や夕暮夕陽といった実力派若手声優の中にあっても全く臆せず、かつて目指して挫折した俳優ではなく「声優として」圧倒的な演技力を見せつけるクライマックス、母親に認められるために演技の道を選んでスミレの言う通りそこから逃げ出して声優の道を選んだ双葉ミント……母親の存在に縛られ続けてきた彼女が自らの意志で「声優」として歩む道を改めて選ぶ……という展開がめちゃくちゃアツかったです。

そして、1巻でとりあえず決着は付いたもののギクシャクしたままだった渡辺母子の改めての話し合いも凄く良かったなあ……相変わらず声優としての仕事の不安定さを不安視しつつも同じ母親として大女優である双葉ミントにすら物怖じせずに自分の意見を言う渡辺母の株がマジで上がりすぎだった。喧嘩するたびに由美子の家に駆け込む千佳に頭を抱える姿が微笑ましいし、なんだかんだで母親のことを意識すると緊張してしまう千佳にニヨニヨしてしまう。

そんなわけでふたりの将来に関する悩みも概ね振り切ったところで次巻、いよいよ「卒業」な展開でどうなる!?


ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編11

 

「私は裏切……いえ、橋本正義のことがちょっぴり気になるお年頃でして。恋?」
3年生がリーダーを務め、1,2年生クラス混合のグループで挑む合宿『交流会』が発表された。ただ今年の合宿は退学ペナルティもクラスポイントの増減も一切ない、他学年との交流がメインの緩いイベント。綾小路は鬼龍院リーダーの下、橋本、森下、山村、椎名等と同じグループとなり、押し花作り、トランプ、アーチェリーなど体験学習ゲームに参加する。 一方、勝利が求められない交流会の緩さを利用して、堀北は天沢とのリベンチマッチを計画。綾小路に対しアドバイスを求める。 「あ? 俺は真面目に相談してるぜ? 必死に助かる方法を探ってるんだよ」 綾小路に急接近する橋本の他、学年末に向け各クラスも動き出して――!

学年末試験を控えたこの時期に、1〜2年生と3年生の選抜メンバーで挑む交流会を兼ねた合宿が開かれた。クラスポイントの増減もなく、ショッピングモールでしか使えないちょっとしたポイントを賭けたリクリエーションゲームが行われるだけという特別試験未満のゆるい企画。そんな中で南雲は綾小路に勝負を持ちかけ、掘北は天沢とのリベンジマッチを計画する。更に、Aクラスの中で裏切り者として立場が危なくなった橋本が綾小路に相談を持ちかけてきて……。

南雲元生徒会長の引き際に(噛ませ犬の)美学を感じる

めちゃくちゃ先延ばしにされていた南雲元生徒会長と綾小路の勝負回。正直このまま忘れ去られるのかと思ってましたけど忘れられてなかったわ。良かったね南雲元会長……!!

学力や体力勝負ではない「お遊び」的な勝負になってしまったことをやや不満に思っている南雲ですが、正直これ対綾小路への勝ち筋としてはメチャクチャイイ線付いてたのでは??明確な回答があるわけじゃない、運や芸術点に左右される勝負に持ち込んだ上に南雲自身が得点を上げなくて良いの上手いんですよね。実際にお遊びの勝負とはいえ綾小路をかなりイイところまで追い詰めてたわけだし。かつての混合合宿で掘北兄相手にやった勝負もそうだったけど、南雲のこの「試合には勝てないけど勝負には勝つ」みたいな嗅覚って相当なものだと思う。二人のファーストコンタクトであったトランプ勝負にふたりとも足を掬われてるのもまたなんだか微笑ましい。

一年半以上学園を実質支配したものの掘北兄や綾小路のような突き抜けた才能を持つ相手にはどうしても叶わなかった永遠の二番手・南雲が彼らに勝利することへの執着を失わないまま、でもどこか吹っ切れたような穏やかな顔で舞台を降りていく姿がとても良かったですし、噛ませ犬の美学みたいなものを感じました。それはそれとしてこの後の展開が衝撃すぎて南雲の良かった話が全部吹き飛んでいくの、本当に南雲先輩は「こう」でなくっちゃね!!!!!としか言いようがなくて最高だったな!!!(酷い)

おそらくこれが2年生編「最後の」コミカル話なんだよなあ……

交流会が中心である今回の合宿はどちらかというとコミカルな展開が多くて久しぶりに肩の力を抜いて楽しく読めました。押し花や彫刻・パッチワークといった自分のやったことのないクリエイティブな体験に異常に熱中する綾小路がめちゃくちゃ面白いですし、何よりこの合宿で同じチームになり今回の表紙も飾っているAクラスの森下藍がおもしれえ女すぎる。綾小路の「実力が伴わない女版高円寺」の評は流石に人の心がなさすぎて笑ってしまったけどでもたしかに、一番近いのはなんか……高円寺なんですよね……わかるわ……。そして明言はされてないものの綾小路の巨チンネタ今回もしっかりネタにしてくるの笑ってしまう。一緒に風呂入った後輩達からの手のひらクルーに困惑する綾小路で腹抱えて笑ってしまった。本人は既に例の一件(黒歴史として)忘れ去ってるんだなあwww

あとほんと、前巻でも感じたんですが堀北と綾小路が二人でいるときの空気感が変わってきてて凄く好きだ……。堀北相手のときだけこころなしか柔らかい感じというか素っぽい綾小路も良いのですが、今回は天沢にリベンジマッチを挑む関係で掘北伊吹櫛田のわちゃわちゃが見れたのとても良かったです。綾小路の前で表情は変えずにめちゃくちゃ毒づいてくる櫛田、「誰が負けても飯がうまい」で天沢と堀北のリベンジマッチを見に来る櫛田、綾小路のことなんだかんだ結構気になってきている態度を隠しきれない櫛田、マジでいい性格になったな。伊吹は癒やし。

でも、そんな中で今後の展開への種まきが着々と行われている模様。前回の試験で明確に「Aクラスの裏切り者」として認識されてしまった橋本の暗躍、心を許せる側近だった神室を失って本調子になれない坂柳、綾小路の今後やろうとしてることを見抜いてそうな高円寺、あと椿の意味深発言とかもありましたね、そして「今後」に向けて着々と準備を進める綾小路。そして…………最後の最後の坂柳と龍園の「賭け」の話、そんなことってある!? マジでそれまでの南雲先輩の退場展開良かったわ〜〜って気分が吹き飛んだんですけど!せっかく綺麗に退場した南雲先輩に謝れ!!

正直これ、どっちが勝つかはまだ予想できないな?と思ってるしなんなら橋本から流れを聞いた綾小路がしれっと介入に入るパターンな気がしなくもないんですが(個人的な希望的観測も相当あります)もう最悪の覚悟を決めて置いたほうが良いのか。悲しいことにCクラスのほうがその結末を前にリカバリ効きそうな感じではあるんだよな……。ていうかここまで酷い切りかたで次巻遅れるんです!?生殺しが酷いです先生!!(衣笠先生お体に気をつけてどうぞ無理しないでゆっくり病気治してください……新刊発売多少遅れてもぜんぜんいいので(相反する感情))

というか今後二年生編で消化されてないイベントって「どうかんがえても大惨事になりそうな学年末試験」「どう考えても別れ話が待ってそうな軽井沢との春休み映画デート」「どう考えてもタダではすまなさそうな綾小路家三者面談」の三本なんですけどもう不穏なイベントしかないんですけど!?どうなる次回!!!


悪役令嬢レベル99 その6 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜

 
Tea

裏ボス令嬢、半分(左側)だけ死す……ってどういうこと!?
王都の騒動を経て、領地に戻り落ち着いていた私、ユミエラ。だが「ユミエラさんと張り合えるのはユミエラさんしかいませんわね」というエレノーラの発言がきっかけで、脳内私VS私バトルが始まってしまう。そして気がついたら――私の左半分が死後の国に迷い込んでいたってどういうこと!?ともあれ生き返るため、この謎の国の探索を始めることに。 一方現世のもう半分の私も、未決着の左右対決に勝利するため――もとい、この状況を解決するため動き始めて……!?

エレノーラの不容易な発言をきっかけにして、朝起きたらユミエラが左半分と右半分に別れてしまった!!しかも左半分は死後の世界──「薄明の国」に迷い込んでしまったらしい。ユミエラ(右)は左半分を救い出すため手がかりを求めて王宮に。一方、ユミエラ(左)は薄明の国で王を自称する人物と遭遇して……。

絶望的に煽り耐性とツッコミ要員が足りない!!

ユミエラの左半分と右半分どっちが戦ったら強いのかな?とか妄想していたらなぜかユミエラが分裂していた。何を言っているか分からねえと思うが俺も(略)。アニメの放送合わせででた巻なのに、最新刊の内容がアニメ化できなさそうすぎてすごい(出来なくはないだろうけど大変そう!)

とにかく今回は色々な意味で最後の牙城であったパトリックすらツッコミを放棄してしまったのでいつもにもましてツッコミが居なくて大変だった。巨大ユミエラ(ただし半分)を見た瞬間、自信満々に「ユミエラ最強」コールはじめるパトリック&エレノーラで無限に草生えるし、応援上映作戦が破れて早々に絶望してるのに更に笑わされた。ユミエラが分裂してるせいで片方をヨイショするともれなくもう片方を煽ってしまう……って確かにそうなんだけどさ!?何よりもユミエラの煽り耐性低すぎるのが問題な気がしてきた。クライマックスでアツいバトルやってるはずなのに腹筋が攣るほど笑った。

強い未練を持ったまま死んだ人間たちがその未練を晴らすまで逗まる場所・薄明の国で明かされる「魔王」と「勇者」の悲しきすれ違いとその真実、かつての勇者が「王」に固執する理由。数百年かけて少しずつ歪まされ、醸成されていったおぞましい妄執……バルシャイン王国の建国を巡る物語がめちゃくちゃ良かったし、互いに憎み合う素振りを見せながらも最後にはかつての関係性に戻っていった魔王と勇者の姿が大変に美味しかった……のですが、とにかくメインであるはずのユミエラ達がひたすらツッコミ足りない状態だったのでどんないい話されても「さっきまでとの温度差ァ!!!」って反応になってしまうのどうしようもなかった。いやでも勇者と魔王本当に良い関係でしたね……あと、なにげにその前に出てきた猫耳おじさんの話がめちゃくちゃいい話だったな……猫耳おじさんだけどさ……。

ツッコミ不在でひたすら迷走していくユミエラたち、その横で勝手に友情と愛憎と男男間クソデカ感情物語やってくる勇者と魔王の温度差に困惑してたら描き下ろしでめちゃくちゃ微笑ましいユミエラとパトリックのおデート話で散々イチャイチャされて横から殴られた。だから温度差がさァ!!!!!

でもそのデート短編がまた、めちゃくちゃに良かった。いつものユミエラとパトリックの微妙に噛み合わないやりとりも健在で微笑ま可愛いし、珍しくパトリック視点のパートがあるのが心ニクい演出ですね。いや、パトリックって改めてめちゃくちゃユミエラ好きじゃん……デートしてる時とかめっちゃときめいてるじゃんね……ふぅん……(本編の応援上映展開から目をそらしながら)


ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編10

 

3学期最初の試験は4クラスの攻防戦『生存と脱落の特別試験』!
冬休みが終わり高度育成高校の3学期が始まった。直後に告知された『生存と脱落の特別試験』は4クラスがジャンル別課題を対戦クラスにぶつける攻防戦。だが1位以外はクラスポイントが減少する過酷な試験で――!?

3学期が始まった途端に告知された次の特別試験『生存と脱落の特別試験』はAからDまでのクラスがそれぞれの対戦先クラスの生徒を5人指名し、順番にテストの問題を解かせていくという攻防戦。1位のクラスには大量のポイントが加算されるが、それ以外のクラスは大幅な減点。更に最下位のクラスからは退学者が出るという過酷な試験だった。攻撃より防御が、学力よりも他クラス含めて生徒達の得意不得意の把握やクラスリーダーの考え方などの高度な情報戦が要求される特別試験を前に早速各クラスリーダー達は策略を巡らしはじめて……。

クラスのリーダー達を中心に繰り広げられる高度な情報戦が楽しかった

各クラス・キャラクターの関係性の変化が如実になった2年生同士の情報戦、ガチの蹴落とし合いがめちゃくちゃ面白かった〜!!やっぱりよう実、同学年のクラス対抗でバチバチしてる回の面白さは段違いですな。

個人的にはなにより前巻で覚醒していた一之瀬がクラスメイトたちを切り捨てるような戦略取ってくるのではと戦々恐々していたのですが、他クラスへの攻撃性を獲得した事でクラス全員で生き残る基本戦略はそのままに狡猾な戦略も使いはじめて、一気に侮れない強敵へと進化してきたの強すぎました。どこまでその路線を貫けるのかも含めて今後が楽しみすぎる。それにしても執拗に軽井沢を標的にしてたの、退学に出来るとは思ってなくても「こいつなら退学になってもいい」くらいは思ってそうだな一之瀬……。

そして高度な情報戦や水面下での策略といったらある意味龍園クラスの十八番というか、もう今回は本当に悪い顔の龍園さんの挿絵がいっぱい見れて大興奮ですよ!!ただ、これまで以上に諸刃の剣感が強かったというか真っ当に学力で戦わせたらどうにもならないという弱点も露呈していることには危機感を覚える展開で、どうなっていくのかが不安なクラスではあるんだよなあ。そして全リーダーの中で一番綾小路の教えを受けてきた堀北が、露骨に戦略に綾小路の影響受けちゃってるのメチャクチャ良い。その反面で誰よりも慈悲深いリーダーになりつつあるのが更に良い。元々尖った才能を持っていた坂柳・一之瀬・龍園と違い良くも悪くも何も持っていなかった掘北と「作られた天才」である綾小路、何かと共通する部分も多いんだろうなあ。

そんななか、今回メインで光が当たっていたように思うのは坂柳とAクラスの面々。反対派筆頭だった葛城を排除して一丸となったと思いきや、そのAクラスの中で少しずつ育っていた裏切り者の気配。良くも悪くも天才肌の自信家でなんでもひとりでどうにかしてきた坂柳が高度育成高校で初めて受けた挫折と敗北。最後の最後にむき出しになった本人も自覚していなかった本当の気持ちが印象的でした。

どこかのクラスが勝ち抜け・脱落するのはありえないような状況なのでもう今回のポイント設定から見ても勝敗にかんしては順当な結末といえなくもないのか。そして坂柳にダメージを与えたいならたしかにそこしかないけどそう来るの……。遂に捕捉可能な点差に堕ちた坂柳クラス、立ち直るには時間がかかりそうな雰囲気だし落ち目だった一之瀬クラスの復権・どう出るかわからない龍園クラスの動向も含めて色々な意味で今後のAクラス争奪戦がどう変化していくのか楽しみすぎます。

クラスメイト達の変化、綾小路自身の変化にも目が離せない

今回に関してはもう色々な意味でカラー口絵の堀北とのシーンこれさあ!!!!!! !!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!しか言いようがないんですけど、2年生も終盤に差し掛かり本当にわずかながら綾小路が幼い頃に極限まで擦り減らした自身の感情を取り戻しつつある雰囲気なの凄い気になるんですよね。いやそれが良い方に転ぶのか悪い方に転ぶのかは本当にわからないんですが。かつて1年生の頃に「最後に勝ってさえいればいい」といっていた綾小路が漏らした最後の言葉、良くも悪くも彼自身も変化してきているのではないかという感じがあって今後が楽しみ。いやまた地文すらも欺いてる展開かもしれないけど。余談ですがちょっと前から匂わされてる綾小路のクラス移動の話、今回の話でもう移動先が一之瀬クラスしかないだろうなって感じになってきたけどどうなるんだろう。綾小路も割りと強者と戦いたい系の欲求を持ち始めてる気配なので、自分が育てた堀北クラスと戦いたいみたいなアレありそうな気はする。

あと個人的には掘北・櫛田・伊吹の仲悪トリオが最高に良くて、掘北に餌付けされている伊吹とふたりを見守るポジションの櫛田のキャットファイトで初っ端からニコニコになってしまった。綾小路から伊吹の退学を匂わされて動揺する掘北さんにニヤニヤするし、コミュ力低め孤高の女である堀北の弱点部分を補う左腕として機能しはじめた櫛田桔梗が有能すぎて滾る。いやほんとこの3人がメインの短編がもう1本ほしいもっと読みたい……コミックアライブ付録の9.75巻も最高だったのでみんなよもう……電子版にも付いてくるらしいので買おうな……。

月刊コミックアライブ編集部(編集) 「【電子版】月刊コミックアライブ 2023年9月号 [雑誌]」
月刊コミックアライブ編集部(編集) (著)
KADOKAWA
発行:2023-07-27T00:00:00.000Z


Twitterのリンク用サムネをアイキャッチとは別に作成・設定したい

ずっとやりたいと思っていたんですが……twitterでURLを貼ったときに表示されるサムネをマ●ュマロとかn●teのデフォルトみたいな文字主体の画像にしたいという話。

今は書影の画像をアイキャッチに設定してそれがTwitterのサムネにもなるようにしてたんですが、感想記事はともかく、まとめ記事系は書影貼ってもインパクト薄くないですか…?個人的に記事タイトルをドカンと見せたほうが強い気がしてるんですが……。ブログのアクセス数を稼ぐことに関してそこまで強い執念はないのですが、まとめ記事って毎回無駄に時間がかかるので出来ればもう少しtwitterで引きを強くしたい。同人サイトのアクセスは諦めているけどこちらのアクセスはモチベのために一定数維持したい。人付き合いは苦手だけどそれはそれとして沢山RT・いいねが欲しい(自分に正直)ので出来ればツイッターに流れてきた時に「おっ」と言わせる感じにしたい。

【ステップ1】サムネ画像を作る

まずNoteやマシュマロがやってるんだからテンプレ画像に指定した文字を載せた画像を自動的に出力するシステムはおそらくある。そして多分Wordpressとかのプラグインとかもあるはず!!と検索してみたのですがみつからなかった。そもそもTwitterCardとかブログカードとかで検索するとブログ内でリンクにリンク先のサムネを拾って表示させるアレが出てくる。そうじゃない。PHPで画像に文字を載せること自体は出来るっぽいんですがやりかた知ってる人が居たらご一報下さい(絶対あるとおもうんだよな…!!!!!!!)

検索するとブログ更新をガチで頑張ってる人は1つ1つオシャレなサムネを作成して付けているようなのですが、とにかくこれ以上ブログ更新までの敷居を上げたくないのでPhotoshop等でサムネを1つ1つ作成する流れも遠慮したい。プラグインがない以上全自動での作成は難しそうだけど、せめてブラウザ内で完結させたい。

ここで思い浮かんだのがGoogle傘下の画像編集アプリ「Canva」に作成したテンプレート画像をアップし、文字の挿入位置などをざっくり決めて保存。それをテンプレートにして出力用の画像を作成・ダウンロードするという手段でした。土台は自分で適当にPhotoshopで800×418pxの画像を作成しました。


Canvaのテンプレートには「Twitter投稿用」という項目があるので、特にこだわりがなければこの辺から好きなテンプレを拾ってくると良いかとおもいます。(※「有料素材を含む」という記載のあるテンプレートは無料使用に制限がかかるので注意)


↑取りあえずこんな感じで作成完了!!(右下の本らしきなにかは自分で描いた)

【ステップ2】作ったサムネ画像をTwitterCardとして設定する

作成した画像を早速ブログ記事のアイキャッチに登録、TwitterCardに反映させてみる。文字が目立ってなかなか良い感じ……なんですが、アイキャッチが正方形サイズで固定されるブログの一覧ページでは見た目がとても残念な雰囲気に。サイト内のアイキャッチ、ほぼアイコンとしての使用なのでこっちはこれまで通りの書影がいいなあ……。



ここでカスタムフィールドに「twittercard」という要素を追加し、フィールドタイプを「画像」に設定(私は「Advanced Custom Fields」というプラグインでやってます)。このカスタムフィールドに要素が入っているときはTwitterCardのサムネを書き換えるように設定。Simplicity2では「header-twitter-card.php」「header-ogp.php」を編集すればOKでした。他のテーマだとheader.phpあたりにあるかも。

最後に、作成したカスタムフィールドの「手順」欄に作成したCanvaの編集リンクを載せる。


テンプレ右上の「共有」ボタンを押してメニューを出す→「リンクをコピー」か「テンプレートのリンク」をクリックして編集用のリンクを取得。「リンクをコピー」だとテンプレを直接編集、「テンプレートのリンク」だと最初に作ったテンプレを複製してそちらを編集する形。元テンプレを編集するのはなにかで事故った時にリスク高いな……と思ったのですがテンプレを無限に増やすのもなんか嫌だったのでテンプレを複製し、複製したテンプレを編集する形でリンクを作成しました。

完成!!


これで概ねやりたいことは出来たかなと思います。とりあえずまとめ記事とか雑記系はTwitterCardを別に作成する形で運用してみようとおもうんですが、余力があったら感想記事用のテンプレも別に作ってみたいですね。版元ドットコムさんから画像を引っ張ってきて、右側に書影・左側にタイトルとキャッチとか入れると引きが強くなるかも。

追記

そうか!OGP画像っていうのか〜!!!(そういえばTwitterでしか見方を確認してないので気にしてなかったけどOGPって項目があったね……)
「OGP画像 自動作成」で検索したらメッチャ出てきました。結構難易度高そうなので元気のある時にチェックしてみる……。

↑具体的な画像作成方法


↑どんなサムネが良いのかレイアウト面まで含めて


悪役令嬢レベル99 その5 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜

 
Tea

裏ボス令嬢、エレノーラのためドロドロ政争に殴り込み!
装備を作ると騙されて王都に連れ出され、結婚式の衣装の準備をさせられむくれたりしつつも、平穏な日々を過ごす私、ユミエラ。 そんなときにエレノーラが学園時代の旧友に会いに行くのについていったら、家が政争で王都追放寸前なのを何とかしてくれと頼まれてしまう。 だが、裏で糸を引く財務大臣は魔王と恐れられる私の動きまで計算に入れて立ち回っていて――あれ、これ腕力だけじゃ解決しない感じ!? でもこれは売られた喧嘩、高値で買って真っ正面から粉砕します!!

なんでも好きな防具をオーダーメイドさせてくれる…という甘い言葉に騙されて、実際は結婚式のドレスの採寸をするため王都にやってきたユミエラ。採寸の帰りにエレノーラの希望で彼女の取り巻きをしていた少女の家を尋ねるが、ヒルローズ伯爵が失脚してしまったこともあって門前払いを食らってしまう。ところが翌日、何故か昨日門前払いを食らったばかりのアーキアム伯爵家から使いがやってきて……?

裏ボス令嬢、政争に巻き込まれる

王都にやってきたユミエラがヒルローズ伯爵亡きあとの(※別に死んでない)中央貴族達の権力争いに巻き込まれそうになるお話。政争には絶対関わりたくないのでいつものように力づくでも拒否したいが親友・エレノーラの望みは叶えてあげたい、彼女の意向に沿おうとするとお得意の力押しが使えない……という流れで、ユミエラがアーキアム伯爵家の老獪な執事や政争大好き穏健(?)派の筆頭貴族プライナン公爵からいいようにあしらわれてしまう展開が面白い。ユミエラも頭が悪いわけではないし、パトリックもなかなかキレ者なんだけどやっぱりこういう時の年の功って強い。

政治闘争がメインの巻で割りと真面目に頭脳戦をやってるんだけど、その反面コメディ部分がキレッキレな巻でもあって各所で腹抱えて笑ってしまった。ユミエラが作ろうとした装備がどう考えても立体機○装置だったり、人形作りが趣味な令嬢とガンプ○で理解りあったり……とメタネタも多かった。そして、パルシャイン王国の中央貴族達の現状を深刻にしすぎずにブラックに皮肉っていく展開がひたすら楽しい。家族全員が趣味人というアーキアム伯爵家の処遇を巡る顛末にはニヤニヤしてしまったし、あっちにこっちに取り入ろうと物語の枠内外で右往左往する中央貴族の皆様に笑ってしまう。

なにより、気がつけばヒルローズ伯爵がやっていた「過激派のまとめ役」という貧乏くじを押し付けられそうになって絶体絶命の大ピンチ──のはずが、最終的になんだかんだでやっぱりユミエラの暴力ではない力押しで切り抜けていくという結末が面白すぎてゲラゲラ笑ってしまった。政治の世界で生きてきた百戦錬磨のプライナン公爵が、ユミエラがレベル上げに掛ける情熱という名の「純粋すぎる狂気」に対して無力すぎるの本当にズルい。やはりレベル上げこそがすべてを解決するのでは?(混乱)そして彼が読みきれなかったもうひとつが「パトリックが本当にユミエラを愛していること」で、またこういう地味なところでユミエラをどうしようもなく救ってしまうパトリックに胸が熱くなってしまう。本当に縁の下の力持ちなんだよな彼は……。

それぞれの「家族」の形が印象的

華やか(?)な政争の裏で、王都に帰還したユミエラが3巻のヒルローズ親子や前巻でのアッシュバトン兄弟や今回のアーキアム伯爵家の家族のありかたを目にして、パトリックからの言葉にも感化されて現在は幽閉状態になっている両親と再び向き合う……という展開が印象的でした。娘にとっては育児放棄していた酷い両親で権力にしか興味のない駄目貴族だったけど、実は夫婦仲は良くて……そこにトンチンカンな赤子プレイで特攻していくユミエラも大概だが、夫妻で仲良くユミエラの凶行からお互いを守り合っている姿を見てしまうとどうしてその愛情を少しだけでも娘に掛けてやれなかったのかとやるせない気持ちにもなる。まあユミエラにはもうパトリックやエレノーラやリューくんが居るわけですし無理に和解する必要もないんですけど……ねぇ……。

そんなもう実質「家族」なパトリックとは関係性的には実質2巻の時点で結婚してたようなものなのに、結婚式が引き伸ばされすぎてこれは完結時のエピローグまで温存なのか??みたいな雰囲気になってきて本当にパトリックには頑張ってほしい。近頃は毎回ふたりの結婚式準備まわりのイチャイチャを見てによによしながら「でもこのふたり、まだ結婚式してないんですよ」っていってる気がする。いやほんとうに、まだ結婚してなかったんだよな彼ら……。

前巻でフラグたったままの月に関してもどうなるのか気になる。月に立っている旗……というと、アポロ11号のクルーが立てた星条旗しか連想できないんですが、それが立っているということはもしかして……?


とりあえず伝説の勇者の伝説8 権力のワンダーランド

 

ついにライナがローランドに帰ってきた!待望のローランド編開始!
イエット崩壊の際、海に投げ出されたライナは、何処とも知れぬ無人島に流されていた。実は、そこはフェリスの私有地──つまり、ローランド国内であった。そんな彼をシオンはいぢめをもって迎える。ローランド編開始

イエット崩壊時に起きた洪水で海に投げ出されてしまったライナたち。見知らぬ無人島に漂着した……と思ったら、そこはなんとローランド帝国にあるフェリスの家の領地だった。数カ月ぶりに帰国したふたりが真っ先に思い出したのは、自分たちをこんな境遇に落としたシオンに復讐することで……!?

舞台はローランド帝国へ!#シオン寝ろ

長かったイエット共和国編が終わり、舞台はローランド帝国へ。ライナとフェリスがこれまで以上にシオンの巧みな動きで仕事を与えられて右往左往したり、逆にシオンがライナ達に振り回されたりというお話が中心。なんだかんだで内政の手伝いしてるライナは結構楽しそうにやってる気がするんですけど、なにはともあれシオンの仕事の仕方が睡眠時間度外視のブラック労働で、頭おかしいんだよなあ……ていうかこういう判断力を求められるような頭脳労働の人が睡眠時間取らないのどう考えても駄目だと思うし、これだけ徹夜が常態化してたらそりゃあ思い詰めて極端なこと考えたりするわけだよ……シオンは本当に寝ろ。

シオンの仕事を手伝わされることになったライナがシオンのベッドに居着いてしまい(シオンはそもそもベッドにほとんど戻ってこないので別に同衾はしていない)シオンの男色疑惑が発生するの味わい深さが凄いんですけど、本編であれだけ冷酷で危険な人物として描かれ続けてきたフロワードがほぼ、娘(シオン)の行き遅れを心配する面倒くさい母親みたいになってるの面白さが凄い。彼の本質自体は変わってなくてただ単純に視点を変えただけなんだけど、視点を変えただけでこれだけ変わるの面白いな……。

それにしても素朴な疑問なんですけど、二人がローランドに戻ってきてシオンに会いに行く話、今回の「きる・ざ・きんぐ」と本編6巻の両方に全く別のシチュエーションで載ってる気がするんですけど微妙にシチュエーションが違うんですよね。あと本編6巻だと戻ってきてすぐにライナが○○してる気がするんですけどこれどういう時系列……?一回戻ってきてまた出ていってたりする……?読み進めていけばわかるかな……。

ゾーラとライナの悪友っぷりが良かった…!!!

書き下ろしの過去編「天才の流儀」は前巻に引き続きライナが『隠成師』に所属していた頃。彼が『ローランド最高の魔術師』と呼ばれるようになった由縁や、前巻でメインになったゾーラとの出会いのお話。

前巻でピア達と出会って改心(?)したゾーラがなんか逆の方向に面倒くさい男になっててめちゃくちゃ笑ったし、そのノリでそのままライナにウザ絡みしていくのめちゃくちゃ楽しい。一方、暗殺者の少女・ビオとの一件やらなにやらを経て心を閉ざし気味のライナがゾーラのあまりのウザさに辟易しながらもだんだん心を許していくのがとても美味しかった。いや、なんかこの二人ものすごく「悪友」なんですよね……フェリスのような異性の相棒ともシオンのような相互クソデカ感情な親友ともピア達のような苦楽を共にした良きライバルとも微妙にちがって、いい感じにお互いに執着がないと言うか、カラっと遠慮がないのがとても良い。それにしてもゾーラは自分が懸想してる人物の名前をそっとライナに教えてあげて欲しい。ぜったいよろこぶから。いやローランド帝国側に万が一にでも伝わるの避けたくてわざと伏せてるのかもしれないけど。

ゾーラ、前巻のあとがきで「そのうちドラマガ掲載分にも出てくる」と言ってたし、ライナのようにただ上からの命令を拒絶して割を食うだけではなく、自分の譲れないポイントは死守しつつ組織の中でうまく切り抜けるような器用さも持っているようだから死んではいない気がするんですよね。ドラマガ掲載分=おそらく現在軸の短編でライナと絡むの、めちゃくちゃ楽しみになってきたなぁ。


ティアムーン帝国物語3〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜

 
Gilse

「ボク、お祖母さまにずっとお会いしたかったんです!」
革命鎮圧から半年。優雅に春休み満喫中の元わがまま姫ミーアの前に、未来から、自身の孫娘・ベルが現れた! ようやくギロチンを回避したと思ったのに、今度は未来で帝位の継承権争いが勃発。ミーアは毒殺され、ベルも処刑寸前らしい。発端となった聖女ラフィーナの独裁を止めるため、泣く泣く勝算ゼロの生徒会長選に出馬することに。だが、ミーアの血を受け継ぐベルは、頼りになるどころかへっぽこで……!?己の欲望全開の選挙公約を胸に、Wポンコツ姫が流転する運命に立ち向かう! 保身上等! 自己中最強! スイーツ必須! 歴史改変ファンタジー第3巻!

アベルの国で起こった革命を阻止し未来を描き出す日記帳も消え、平和な毎日を送っていたミーア。人のいない学園でつかの間の休暇を楽しんでいた彼女は未来からやってきた自分の孫娘・ミーアベルと出会う。自分の軽率な行動をきっかけにして、再び暗黒の未来に変わってしまったらしく…!?

ポンコツ姫とポンコツ孫娘の奮闘劇!

ミーアの未来の孫娘・ミーアベルを迎えての新展開。過去生とは全く違う状況、日記の導きもなくなって未来のバッドエンドを回避するカギは孫娘の記憶のみ…という正しいルートがほとんど見えない状態で手探りで右往左往する姿が新鮮で面白かった。それにしてもミーア+アベル=ミーアベルって安直すぎて微笑ましい。

平和な未来のためには絶対に負けられないけど勝ち目などまったくない生徒会選挙、選挙させてしまったら負けるんだからどう考えてもラフィーナ本人を落とすしか切り抜ける方法はないわけだけど、ミーアが全くそんなこと考えてないまま思考がすれ違ったままラフィーナが勝手に勘違いして自爆していくのがもう清々しいし何もかも面白い。いやまあ、思惑がすれ違っているだけで冷静に考えるとミーアのとった行動は最終的には廻り廻ってラフィーナの求めている「対等な関係」に近いナニカだったのでは……と思えなくもないけど……いややっぱりだいぶ違うかな!?ミーアはそんな理由で彼女に手を差し伸べたわけじゃない(っていうか手を差し伸べてすらいない)んだよなあ。

蜘蛛の糸のような細い足場の上で繰り広げられる綱渡りをたまたま飛んできたヘリコプターで渡り切るみたいな展開、安定感があって大変に面白かったですが、その一方でどこまでも根は善人なミーアがおっかなびっくり起こした行動が、少しずつ彼女の周囲に強固な味方を増やしている…という展開が心強かったです。ティオーネをイジメていてミーアにとっちめられた貴族の子供たちが強い味方となって生徒会選挙を共に戦い抜いてくれる展開にはほっこりしてしまった。そしてミーアの親戚である四大公爵家のサフィアス、悪役にしても小物っぽいなあと思っていたら完全にミーアと同じタイプの根は善人なポンコツだったので今後に期待しかない。

次巻以降は未来のエリスの書いたヨイショ本がミーアの日記の代わりを果たすことになるみたいだけど、色々な意味で未来はどう変わってしまっているのかが気になる。というか日記を持ち歩くのはまだ違和感なかったけど、自分がヨイショされまくってる自伝を持ち歩いてるの色々な意味でハードル高いですよね。ミーア姫は強く生きて欲しい。

書き下ろしと特典SSも良かった

今回は本編も面白かったけど、後ろに入っている書き下ろしの中編と電子特典SSがすごく良かった。書き下ろしの中編は前巻で仲間になったディオン隊長の、ミーアベルの経験した未来での最期の記録。そしてディオンに命がけで逃してもらったミーアベルが過去のディオンと出逢うお話。

戦いばかりだったディオンの生が、ミーアによっていかに変化していったのかがなんとなく見て取れる未来のお話でした。そしてそんな彼の忠義に生命を救われたミーアベルが、その記憶は持っていなくても精一杯その忠義に報いようと奮闘する姿が微笑ましい。そんな彼女の精一杯につきあわされて大の苦手なディオンと必要以上に接触することになったミーアは強く生きてほしいですが。

電子特典SSは昔懐かしのゲームブック形式で綴られる、ミーアの平穏な一日。選択肢を選んでいくと色んなキャラクターとのエピソードが読めるシステムになっているのですが、これのルードヴィッヒルートがすごく良かった。一度目の生の時のルードヴィッヒが夢の中で現在のミーアと会話をするという内容なんですけど、ミーアに軽口を叩きながらも滲み出る彼女への強い親愛の情に胸が熱くなってしまった。他のキャラのルートもどれもたいへん可愛かったです。

特典SSは小さい頃にゲームブックを膝に受けた世代なのでページの作りからしてもう懐かしさしかなかったですが正直紙でページをめくれない電子書籍でこの形やられると読みづらくてしょうがないですね。選択肢で該当のページに直接飛ぶくらいできなかったのか。


魔王2099 1.電子荒廃都市・新宿

 

第33回ファンタジア大賞――異次元の《大賞》受賞作!
統合暦2099年――新宿市。究極の発展を遂げた未来都市に、伝説の魔王・ベルトールは再臨した。巨大都市国家の輝かしい繁栄と……その裏に隠された凄惨な“闇”。新たな世界を支配すべく、魔王は未来を躍動する!

サイバーパンクにファンタジー要素を融合させたバトル描写と、500年の因縁を超えて共通した目的のために手を取り合う魔王と勇者の関係性が大変に良かった。欲をいえば魔王としての力を取り戻すためにゲーム実況をして成り上がるという展開がイマドキ風で面白かったので、もうちょっとがっつり読みたい。しかしもう挨拶の時点でめちゃくちゃに面白かったので勝ちという感じはする。

近未来の新宿で繰り広げられる、ファンタジー系サイバーパンク。

定命の者と不死の者達が生存戦争を行う魔導文明の世界とデジタル技術が発達した機械文明の世界が融合し、急速で歪な進化を遂げた2099年の新宿。500年の永き眠りから目覚めた魔王ベルトールだったが、その間に世界は大きく変わってしまっていた。魔王は再び力を、失われた信仰を取り戻すため(そして日銭を稼ぐため!)に動画配信をはじめることに……。

ファンタジーと近未来が融合したバトルや物語がとても面白かった!500年前は圧倒的な力を誇っていた魔王の無詠唱魔法というアドバンテージが、デジタル技術の発展によって補われるどころか更に上に行かれてしまう、という展開が現代の技術進化の光と闇を見ているようで面白い。世界の変化に加えて部下の裏切りにも遭って誰でも受けられるはずのデジタル技術の恩恵を受けることが出来ず、現代社会に戸惑っているうちにまともな職に着くのも難しくなってしまう魔王の凋落ぶりが印象的でした。

そんな彼が力を取り戻すために選んだ手段は「動画配信者」として名前と顔を売ること。彼に向けられる知名度が良いもの悪いものどちらも含めて彼への「信仰」という力になる、という展開が上手いなあと。動画配信を肯定的に見てくれるユーザーの興味だけでなく、アンチに粘着されることすらも一つの負の「信仰」として彼の力になると描かれているのが印象的で、ベルトールが以前よりも丸くなったみたいな話が後半で出てくるけど、動画配信者として正の信仰を集め続けたことと関係あったりするんですかね?結構集めた信仰の質によって本人の気性が左右されるみたいなのはありそうですよね。

一方で動画配信者としてのベルトールの様子はかなり必要最低限にしか描かれていなくて、もうちょっと読みたかった…!!そこがメインじゃないのはわかっているんですけど、気がつけば配信者として成り上がっているまであるのでちょっぴり物足りない感じ。でも彼の面白さは最初のカラー口絵の2Pだけで十分面白さが伝わっちゃうみたいなところもあるのでそれ以上は蛇足なのか。いやあのイラストと魔王の挨拶最高すぎない!?ドラマガにただひたすら魔王が配信するだけの短編とか載ったら雑誌ごと買うわ。

力を一時的にでも取り戻した魔王が、デジタル技術の革新による魔導技術のインフレを純粋な魔導の力のみで捻じ伏せていく終盤がまた大変に良かった。良くも悪くも500年前の魔王の凄さというものが序盤だけでは伝わりづらい部分があるんだけど、絶望的にも見えた戦力差を一瞬でもひっくり返してしまうパワーはさすが異世界の魔王!という感じで爽快。最初は致命的な弱点と思われていた「デジタル技術が一切使えない」という設定が一周回って最終決戦での強みになる展開には思わずニヤリとしてしまいました。

この魔王と勇者の関係性が美味しい!!!!

動画配信者として一角の地位を築きつつあった魔王は、思わぬ人物と再会する。それは、500年前に自身を倒した勇者グラムその人であった。定命の者であるはずの彼がどうして500年後の世界に、と疑問に思い声を掛けるが……

女神の手によって魔王達の「不死」とは違う「不老」の身体を手に入れてしまったグラム。魔王も勇者も必要のなくなった世界でヨゴレ仕事にも手を染め、かつての志を失って朽ち果てるように生きてきた彼が再臨した魔王と再び巡り会う。魔王と志を同じくすることは出来ないが、同じ目的の前に協力することは出来る──と、不死者を利用した非人道的な企みを前にして不倶戴天の敵同士であるふたりが手を取り合う展開が大変良かった。絵に描いたような正義の人だった勇者が現代社会で心が折れて擦り切れてる姿も印象強かったですが、そんな彼に本来は敵である魔王その人こそがかつての気持ちを思い起こさせてくれるというのがとても良い。いや、ほんと、お互いにしてきたことを思えば許すことは出来ないけれど背中を合わせて戦ったら誰よりも信頼できるという関係性は本当に最高なんですね!!!

魔王と勇者、二人を取り巻く女達とその関係も大変に魅力的でした。ベルトールの腹心の部下であるマキナが魔王との二人暮らしにどぎまぎする一方で魔王も500年後の生活を経て様々な変化が生まれてきて…と、だんだんラブコメのようなコントを繰り広げる二人がほほえまかわいいし、マキナの数少ない友人であり、ベルトールを配信者としてプロデュースした少女・高橋とベルトールのどこかビジネスライクな関係性も良かった。一方、勇者の方にも戦いの中で生まれた絆というか腐れ縁というかみたいな何かがはじまりそうだったり…で。この勇者と魔王の関係性は本当に美味しかったので今後もちょくちょく腐れ縁していってほしいし、できればお互いの大事な女を護るために共闘とかしていただきたい。

ファンタジーと近未来SFが融合したような世界観といい、キャラクター達の関係性といいとても楽しかったです!2巻が楽しみ。個人的には配信者魔王の挨拶、早急に声つけてもらったほうが良いって思ったんですけど確認したら原作PVがすでにやってくれてましたのでとりあえずPVを見てください。

日野聡×伊藤美来『魔王2099 1.電子荒廃都市・新宿』PV【第33回ファンタジア大賞《大賞》】