とりあえず伝説の勇者の伝説6 死力のダンスパーティ | 今日もだらだら、読書日記。

とりあえず伝説の勇者の伝説6 死力のダンスパーティ

 

超無気力人間ライナと超絶美形だんご剣士フェリスの「勇者の遺物」探索の旅は、あいかわらず辺境の異様な国イエットでストップしたまま。そこにシルという迷惑野郎までやってきて、ライナの安眠をおびやかす──。

槍(ブタのぬいぐるみらしき何かにフォークとナイフを刺した物体の事を刺す)が動き出して勝手に修行したり、伝説の勇者の遺物らしき何かを追いかけたり、ライナが下着泥棒の濡れ衣を被せられたり…「伝説の勇者の伝説」シリーズの幕間のエピソード+書き下ろしの番外編を収録した短編集第6巻。

ライナ→フェリスの名称不明のクソデカ感情、良いよね……。

ともかく一番最初の「ブーちゃんず・とらいある」がカオスすぎてともかくカオスだったということしか突っ込めない。ブーちゃんというのはブタのぬいぐるみらしき形状のものにフォークとナイフが刺さった槍です。今回の話では喋るし動くし目からビーム出るし主人から離れて勝手に修行します。何をいっているかわからねえとおもうが俺も略。

今巻は割と与太話から勇者の遺物もどきや何らかの魔術遺産的な物体につながっていく話が多くて、これまでのイエット共和国でのエピソードの中だと一番くらいにライナとフェリスが仕事しているのでは?なんですけど、入り口が割としょうもないところからなのでどうしてもシリアスになりきれない感じが相変わらず楽しい。全然関係ないんですけど、何故か占いアプリに偽装した会員制の出会い系アプリみたいなクリスタルがイエット共和国中に出回る「でぃてくてぃんぐ・くりすたる」のクリスタルで昔流行った通信機能付き占いゲーム付き電子手帳を連想して懐かしくなりました。年齢がバレる話をするのはよせ。

これまで以上にカオスな短編が多い中、「ぐれいてすと・まじしゃん」がめちゃくちゃ面白かったです。手品師の行う手品を“魔法”だと勘違いするフェリスに魔法と手品の違いを説明しようとするライナだが、何かフェリスのやりとりに違和感を感じて……というところから、気がつけば「勇者の遺物」と思しきアイテムを巡るシリアス展開につながっていくんですけど、傷ついたフェリスの姿を見た時のライナの豹変ぶりがめちゃくちゃ好き。普段はフェリスが強すぎてなかなか出てこないんだけど、時折ライナが見せる、フェリスが傷つくことへの過剰反応から溢れ出る「化物である自分と対等な存在になりうる強者」への執着というか、愛とも恋とも友情とも違いそうなクソデカ感情の気配というか……。

書き下ろしの破壊力が高すぎる

今回の書き下ろし「禁断の書」は久しぶりに現在軸の話。ローランドにいるシオンの元に『真実の勇者の伝説』というタイトルの呪われた本が送られてきて……という、導入だけはめちゃくちゃシリアスなんですが実はフェリスとライナが自分たちの書いた本をシオンに出版させて印税を得ようと送りつけてきていた、というお話。本の内容がもう、物語とは名ばかりの「童話を作る」というお題でフェリスとライナが夫婦漫才してるだけみたいなナニカで、ローランドで地獄のブラック労働に身をやつしながらライナの見せた理想と血なまぐさい現実の間で葛藤している時期のシオンにこれを送りつけてくるのマジでふたりの心が強すぎて震えるしシオンはもっと怒った方が良い。いつも通り我道を突き進むフェリス(主人公)とその主人公にいいように弄ばれるライナ(多分ヒロイン。全裸)の掛け合いが面白すぎて腹筋が辛かった。もうこういう、作中で素人がトンチンカンなリレー小説するだけみたいな話好きすぎる!!!!

一方、その原稿を受け取ったシオンも泣き寝入りするはずがなく……なぜか本当に二人の名前で出版された本がイエット共和国に届くほどの大ブームになってしまう。困惑する二人がふたりがその本を開くとそこにはとんでもない内容が…!?という展開で二重三重に畳み掛けてくるの本当に笑いすぎて過呼吸になるのでやめてほしい(もっとやってください)。フェリスパートもライナパートも基本の流れが完全に一致してる所とか微妙な投げやり感を感じてポイント高いですし、絵本の内容、その後の展開を(アニメで)知ってるとライナの方とか素直に笑ってよいのか不安になるんですがこれ大丈夫ですよね!?本当に最初から最後まで(腹筋の)破壊力が高くて凄かったです。

次巻はいよいよイエット共和国編の終盤戦とのことで、あとがきによるとイエット共和国だけどちょっぴりシリアスな展開もあるよとのこ…………シリアス????(困惑)

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