真伝勇伝・革命編 堕ちた黒い勇者の伝説4 | 今日もだらだら、読書日記。

真伝勇伝・革命編 堕ちた黒い勇者の伝説4

 

ローランドに巣くう“化け物”たち。その正体を知ったシオンは……
王族が受ける、王になるための試練。その結果、ローランド帝国には“化け物”が産み落とされていく。試練を体験し、真実を知ったシオンは、いよいよ動き出すのだが!? 知られざる過去が語られる革命編、4弾!

力を手に入れたシオンはルシルと共に『狂った勇者』を受け止めきれずに『女神』と呼ばれる化物になった自身の兄弟と対峙しようとする。ところが、その後ろから更に別の敵が現れて……。同じ頃、ルークからの報告を受けたミラーは自らの過去と、かつて相対したとある『化物』の記憶を思い出していていた。

過去編も現在の話も、リューラの人外っぷりが光ってる

ミラーの語るリューラと出会った過去の話と、現在でシオンとルシルがリューラと相対する話。表紙、誰だと思ったらリューラ(ライナ父)か!確かに金髪ライナだ……。

ミラー視点のお話凄く面白かったです。良くも悪くも感情を表に出さない彼が決して何も感じていないわけではなかったという内心の描写は彼自身の視点からじゃないとわからなかった部分が多かったし、その異常なまでに自らを抑圧していくスタイルが、かつて目の辺りにした父親の「失敗」に起因しているというのがまた闇が深い。貴族に媚びへつらい裏切り者と呼ばれながら完璧すぎるほど完璧な国家転覆計画をたてていたミラーがその裏で感じていたローランドに巣食う奇妙な闇と、その闇を背負って現れたリューラの化物っぷりが凄かった。

その一方、現在の時間軸ではそのリューラとシオン・ルシルが対峙する。本編の特に無印「伝勇伝」では得体のしれない化物としてのイメージがどこまでも強かったルシルですが、シオンと契約を結んだばかりだからか「堕ち伝」だとまだ凄く人間らしく見えるし、その分(その前に描かれたミラーの過去話もあって)リューラがめちゃくちゃ人外に思える。次巻はルシルの過去編をやりますよって感じの引きで、色々いな意味で続きが気になります。

久しぶりのALL与太話

短編はフェリスがだんご神様からの啓示(??)を受けてライナの名前で借金しまくって打倒せんべいを掲げてだんごを布教しようとする「ぼいす・おぶ・ごっど」、今度はクッキーを倒すためにだんごイベントをでっち上げようとする「ざ・でい・おぶ・らぶ」、呪いのナイフがきっかけでローランドで集団自殺未遂が発生する「むーんないと・せれなーで」の3本。まさかここまで巻が進んで再び女装ライナが拝めるとは思わなかった……収録作全部与太話なの久しぶりじゃないですか?

最近の大伝のフェリスが割と普通にヒロインしてる分、ライナに構ってもらえなくてむくれて雑な無茶振りして振り回して喜んでるフェリスさんが見れるのは大変微笑ましいんですが、自分では返す予定のない借金を最底辺のヤバい闇金融からしまくりそれをライナにおしつけて金をばらまいているフェリスさんを見ると微笑ましいというより流石にそれは純粋に人間として駄目では??という気持ちになってしまう。闇金融ごときにライナがなんとかできるわけないという相棒だからこその信頼ではあるんですけど、それも結局ライナがフェリスから押し付けられた借金を踏み倒す前提で話進めてますよねえ!闇金融さんがマジ災難すぎる。いや闇金融だからいいといえばいいのかもしれないけど……最終的にシオンの采配で闇金融さんたちもお縄になるので、最後まで闇金融さん災難な話だった。同じレーベルの某美少女天才魔道士の名言「悪人に人権はない」を地でいくような話だ。珍しく男勢にフェリスがやり込められるオチなので、そこも含めてトントンと言えなくはないけど。

「むーんないと・せれなーで」はあらすじだけ書き抜くとどうかんがえてもドシリアスな話なんだけど、すごいテンションで自殺しようとする自殺志願者と、それをめちゃくちゃ私的な理由で雑に対処するフェリス・ライナと、そこから始まる呪いのナイフをめぐる騒動がハイスピードで展開されて、めちゃくちゃ楽しい。でも、冷静に考えるとナイフの呪いを受けたライナとシオンが死にたくなってる理由全く笑えねえんだよな……。

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