[著]朝香 祥 [絵]AKIRA [カバーイラスト]A'sまりあ ブリタニアの元皇子・ルルーシュは謎の少女から絶対遵守の力“ギアス”を授けられ、妹のナナリーが幸せに暮らせる世界を求めてブリタニア打倒のため動き出す。…しかし、そんなルルーシュも普段は一人の学生。今日もアッシュフォード学園ではお騒がせの生徒会長・ミレイが無茶なミッションを押し付けてきて…!? |
えーと、これ公式でやっちゃっていいの…?
どのように「公式がヤッチャッター!」なのか、一番判りやすい一行を引用するとこんなかんじだったりする。私は丁度いい具合に属性がぴったり一致したのでウハウハだったのですが……正直、この道の耐性が無い人にはあまりオススメできません。
「スザクくん!ルルーシュくんを助けて!!」
「大変、なの!三年生に、捕まって。私を、助けようとして。縛られて。気を失っていて」
…というわけで、3編+αを収録した短編集。全編、ルルーシュがどこまでも受です。
作者さんの本命はスザルルですかわかりません。
初っ端の「学園七不思議」は興味本位からアッシュフォード学園の七不思議を調査しているうちに、幽霊騒ぎが大きくなってしまって…というお話。とある事情からルルーシュが拉致されて先輩たちから緊縛目隠し状態で暴行を受けそうになり、王子様のようなタイミングで乱入したスザクに助けられ、うっかり暫く抱き合ってしまうという物凄い腐女子的にオイシ……もとい腐女子を狙い撃ちな超展開が発生して色々な意味で噴いた。しかも、ルルーシュと先輩達のやり取りが、表現だの発言だのが深読みどんと来いな表現満載すぎて曲解すると801方面にエロくて仕方がありません。なんだこの公式スザルル同人ふざけてるのもっとやれ!!
これ以降もう何を見ても「ルルーシュは受けですね、わかります」って感想しか出なくなりました。
出会い頭のタイミングって重要ですね。
次の「ルルーシュの謎」では、自らの存在をゼロと規定し、黒の騎士団を決起しようとしていたルルの不審な行動を解き明かそうとミレイが全生徒達をけしかける……というお話なのですが、地味にルルーシュのヘタレっぷりが大爆発で大変素敵でした。私、アニメ一期でルルーシュが「ゼロ」の仮面を猫に盗られて学校中追い掛け回す話がとても好きなのですが、あれに近いものがある。妙に家庭的なルルーシュが素敵過ぎます。もう私、これから黒の騎士団見るたびにこの話を思い出して笑いがこみ上げてくるに違いない。
最後の「日本のお正月!?」はともに“日本のお正月”を体験する事になった生徒会一同のドタバタ騒動記。オチは色々と予想とおりでしたがこのオチに挿絵がつかなかった事には全力で抗議したい。女の子達のかしましいやりとりも凄く可愛かったし、是非ここは挿絵を入れてほしかったなあ。正直カラー挿絵でよく状況がわからんスザルルなっかよしーイラストを載せている場合ではないと思う。
なんだかんだとルル受的なネタを大量投下しておいて、ラストの「振袖始末記」でちゃんとルルシーでシメているところはとても好印象でした。素直になれない共犯者同士のツンツンデレデレなやりとりが可愛らしい。この話はルルーシュもC.C.も凄く可愛いくて、思わず顔がにやけてしまいます。良いエピローグでした。
ちょっと腐女子狙い的なモノを多く感じる短編集でしたが、結構おもしろかったです。なにより、R2がクライマックス突入寸前まで進んでしまったこの時期に敢えて一期「コードギアス」の、まだ物語が本格的に動き出す前のドタバタ話をやったのはニクイ演出だと思いました。
ドタバタ系のコメディなのに、時々発作のように物悲しくなるんだ…特にシャーリーとかシャーリーとか。