[著]竹宮 ゆゆこ [絵]ヤス 中学最後の夏。親友のそんな言葉に浮かされて彼女を作ると心に決めた田村雪貞が相手として選んだのは、進路調査票に“故郷の星へ帰る”と書いちゃうような同級生・松澤小巻。彼女に近づく為、早速早朝トレーニングを始めた田村くんだけど、彼女には複雑な事情があって… |
「とらドラ!」の竹宮さんの前作ということもあり、個々のエピソードはとても面白かったのですが、そして大切な人のためにとまっすぐで一生懸命頑張れる田村くんにはとても共感がもてるのですが……それだけに後半の相馬のエピソードの際、どうしても女の子(特に松澤)視点でモノを見てしまっていたのが困りモノ。というわけで、後半の相馬エピソードは素直に楽しめないものがありました。
そりゃあ中学生にとって半年近くって物凄く長いものですけど、あれだけドラマティックに物語が展開しておいて、半年くらいであっさり他の女の子が気になっちゃうものなのかなー…と、田村くんにモヤモヤ。田村くん自身もそれに関して悩んでいるような描写はあったものの、二人の過去がとてもとても重いだけに、無責任に心を開かせるだけ開かせておいて次に行ってしまうような態度に苛立ちを隠せませんでした。いっそ完全に無意識だったらここまでイラつくこともなかっただろうに。
ただ、最後の最後で転んでもただでは起きない松澤のグーパンチが炸裂で、思わず「いいぞ松澤!もっとやれー!!」。本当にこの子、このまま忘れ去られていく存在になったりしたらどうしてくれようかと!!良くも悪くも、これは2巻でどう落とし前をつけてくれるかで物凄く評価が変わってしまいそうです。上手くオチをつけてくれるといいなぁ。
ちなみに「松澤派?相馬派?」と聞かれたら……松澤派、かなぁ。どうしても最初にくっついた方に肩入れしてしまう部分はあるかも。ただ、相馬はどうしてもキャラクター的に「とらドラ!」の大河と被る部分を感じたので、あれを読む前だったら正直どっちに転んでいたかはわからないかも。