[著]菊池 たけし / F.E.A.R. [絵]佐々木 あかね 大切な仲間を喪い、意気消沈するノエル達は彼女の母が居るという沈黙の氷原を目指す。しかし、その前にノエル達を反逆者とみなした神殿が立ちふさがる。一方、悪の組織<ダイナストカバル>の大首領は新たな人工生命を彼女達のもとへ送り込んで… | ![]() ![]() |
実際キャラクターたちの熱い想いも痛いほど伝わってくるんだけど、それ以上にセッションに参加している人たちが和気藹々とセッションを楽しんでいる様子が伝わってきて、それが凄く面白かった。TRPGに限らず、親しい仲間達と居るとめちゃくちゃ物語りはシリアスな場面なのになんかもう笑いが止まらないー!とか、実際あるある(笑)通常の小説では伝わってこない、物語の「作り手」達の感情がこちらにまで伝わってくるのが新鮮でしょうがなかったです。あと、本当に序盤ではレベル4のモンスターに四苦八苦していたメンバーの成長が目に見えてうかがえて、面白かった。
そんなこんなで物語的には、前巻でトランが抜けた穴に新たな悪の組織の人造人間・レントが参入。少しずつ明るさを取り戻していく一行ですが、所々にトランの事を忘れられない一行の描写が突然挿入されるのがもう、あざといまでに此方の涙腺刺激してきます。戦闘中にうっかり…とか、どこか彼の面影を持ったレントと出会ったときのノエルの一言とか。そして新キャラのレントとNPCの皆様が総じてその辺の空気読まない(笑)
しかし、最初は典型的なアンドロイドタイプで無感情系だったレントが、物語が進むにつれどんどんトランっぽくなってくるのはわざとなんですか!わざとなのですか!!(中の人が同じというのはもちろんあるんでしょうけど、“これだから神殿は”は意図的な発言だよなあ)言葉の端々からトランを感じてしまって始終ホロリとしまくっていた私です。
バトルはなんていうか、本当にノエルのプレイヤーさんが期待を裏切らない(笑)主人公と言うかもはや勇者的なサイコロ運持ってて、終始ハラハラドキドキしっぱなしでした。サイコロが全てを決めるTRPGだからこそ本当にどちらに転ぶかわからなくてハラハラ。「でもきっとここならやってくれるに違いない!」って所でしっかりクリティカルが出たりしてドキドキ。なんかもう力丸さんのサイコロ運がこんなじゃなかったら物語パートはともかく、戦闘パートはここまで盛り上がらなかったんじゃないかと思います。
3巻までの感想でも書きましたとおり、これが始めて読む「リプレイ」で、TRPG自体も全くの初心者の私が友人に薦められて始めて手を出したシリーズでしたが、本当にTRPGの、そして「リプレイ」小説の楽しさを初心者にあますことなく教えてくれたという感じのシリーズでした。今後TRPGをプレイする機会があるかどうかは神のみぞ知るって感じですが、このリプレイ小説の雰囲気は凄く好きだったのでまた何か面白そうなものがあったらこっそり手を出してみようかな?