ページ 164 | 今日もだらだら、読書日記。

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量産型はダテじゃない!

[著]柳実 冬貴 [絵]銃爺

人間は自らが生み出した“UD(アルティメット・ドール)”に叛乱を起こされ、彼らと戦う日々を送っていた。天才少女科学者・ヘキサは自らの作り上げたUD「シュナイダー」にパーツを届けるため、自ら前線にある砂漠の村へと赴く。ところが乗ってきた輸送艦が敵に襲われ、命からがら逃げ出す羽目に。絶体絶命かと思われた瞬間、廃棄されたUDの研究所を発見して…
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プライドが高くて高飛車で生意気な天才科学者のヘキサと、廃棄された研究所で発見した量産型のUD・ナンブが色々とドタバタしながら敵のUDと戦いながら“シュナイダー”にパーツを届けようと奮闘するお話。

粗を探せば色々と見つかりそうな気がしますが、そんなものもぶっとばすようなハイテンションな勢いに押されてラストまで一気読み。生産コンセプトは「低コスト」、一番の武器は「気合と根性」と恥ずかしげも無く言ってしまう、全くロボットらしくないナンブのどこかズレた発言と、そこに容赦無くツッコミを入れるツンデレ少女・ヘキサのやりとりがとにかく読んでて楽しいのです。また、輸送艦の生き残りコンビ二人も美味しい所ではしっかり締めてくれて…とにかくキャラクターが魅力的で彼らの掛け合いは読んでいて楽しくてたいまりませんでした。

後半になるとストーリーはかなりシリアスになって、ヘキサが頑なに“守られたくない”と言う理由や逆にナンブが命令を無視してでも“守りたい”と思う理由が明かされます。正反対の考えをもつ二人の闘いが凄く熱くて、どんどんストーリーに引き込まれる。圧倒的な強さを誇るEXDシリーズに対して、全くオンボロで量産型なナンブが100%の不可能を気合と根性だけでひっくり返すような強引な展開が物凄くツボでした。

とにかく物凄くツボとしか言いようの無いストーリー展開だったのですが、唯一不満点があるとすればラストでナンブのコアにちょっとヒミツがあるような展開になってしまったことですかね。これで「実はナンブには凄い秘密が隠されていたんだよ!!(な、なんだってー!!)」って展開になったらめちゃくちゃ興ざめだなあ…。「量産型のオンボロ」ナンブに「気合や根性が力となる最新パーツ」グロリアスのコンビでいい具合に釣り合いが取れていると思うので、続編が出るならぜひともそのコアがどうのこうのって話は無かった事にして欲しいです。だってこれでコアが特別製だったらちっとも量産型じゃないJAN!!

この気合と根性だけで乗り切っていくようなノリが激しくツボだったので、是非とも続編が出て欲しいなぁ。

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Dクラッカーズ 5 追憶?refrain?

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都

セルネットを壊滅させ、ようやく学生としての日常に戻った梓達。クラス替えで新しい友達を作って楽しそうな梓達を尻目に、景はどうしても日常になじめない自分を感じていた。そんな彼の元に、一人の少女が現れる。一方、DDに不穏な動きがあると聞いた梓達は景を除いた3人で彼らのドラッグパーティに潜入し…
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た、確かにこれは景の「浮気話」…!!(笑)

日常に戻りクラスにも段々溶け込んできた梓とは対照的に、梓達とは一人だけクラスもわかれ、なんとなく4人で居ても疎外感を感じてしまう景にクラスの惚れっぽい女の子が猛アタックをかけてきて…というお話。これまでは作品内でもあまり語られなかった景からの心情が直接的に描かれて、彼の過去とあわせて今までどんな気持ちで戦ってきたかと思うと切ないものがありました。

メインの話以上に静に振り回される景のヘタレっぷりが素敵。今までクールでかっこいい「悪魔狩りのウィザード」というイメージが先行していたけど、押しの強い静に振り回されてオロオロする姿は実にヘタレで可愛らしい。そんなヘタレっぷりと後半のいつもにも増したデンジャーさとのギャップがかなりツボだったりしました(笑)

DDの裏で動いていた計画が動き出して様々な弊害が出始めて、遂に“女王”との決着をつける為“王国”へ赴く事を決意する景ですが、それに至るまでの過程がほんと哀しい。せっかく梓との別離から立ち直ろうとしていた景を打ちのめした過去話も凄く切なかったし、特に甲斐と茜ちゃんのデコボココンビが大好きだった身としては序盤のメールのあたりからもう大ショックだったわけですが…何よりもエピローグが切なすぎる。唯一“ドラッグ”の影響を受けていない千絵の涙が印象的でした。

最終決戦前の梓と景のやりとりが凄くツボ。正直今まで千絵と甲斐・茜コンビにいいところを持っていかれがちだった(超個人的な印象ですが)二人ですが、主人公コンビの強さを魅せつけてきました。「一秒以内に答えなさい、物部景!」は名台詞すぎる。ていうか梓さんかっこいいよ梓さん。

個人的には静を巡るやりとりが大好き。

「ふふ。本人も緊張してるみたいだったよ。クラスメイトと連れ立って遊びに行くなんて、初めてのことみたいだから」
(中略)
「でも、ちょっとびっくりしちゃったわ。これまで梓さん、物部くんのこととなったら一番先走って動揺してたのに……ずいぶん成長したものね」

「梓ちゃん、僕は……」
『滝田さんのこと、実は結構気になってたでしょ?』
とんでもない変化球がきた。
「……は?」
『は?じゃないわよっ。どうなのっ。あからさまにアタックされて、実はいい気になってたでしょ!』
「そ、そんな別に……」

実はめちゃくちゃ気にしてたーーーっ!!

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「そう、あたしたちはこんなにも変てこなライトノベルを(略)」投票

■偏り投票企画「そう、あたしたちはこんなにも変てこなライトノベルを愛しているのだらよ」(まいじゃー推進委員会さん)


以前から気になっていた企画ですが遂に投票開始とのことで、早速参加してみます!

過去三年間以内に発売された、内容がバカだったり電波だったり、あるいは著しい偏りが見られたりといった、いわゆる一風変わった内容のライトノベル。


とのことですが、こうやって振り返ると割合正統派(?)なラノベばかり読んできたような気がしなくも無い今日この頃。趣旨からして出来るだけ他の人が投票しなさそうなもの、そしてお馬鹿というか「突き抜けてるモノ」という観点で作品を選んでみましたが、割合面白みが無くて申し訳ありません。むしろ自分の投票よりも結果が楽しみでしょうがなかったり(笑)

というわけで、投票です。


【変ラノ/4840237344】連射王

ラノサイ杯でもこれに投票しましたが、しつこく推してみます。自らの進路に悩む高校生が繰り広げる、ひたすら熱い根性モノの青春小説。
でも題材、シューティング。
お前、情熱使う所間違ってるちゃうんかとか突っ込むのは野暮ってもんです。ていうか中身が正統派すぎるだけに題材の突き抜けっぷりがこの上も無く「変」なんです!!超オススメ(笑)
 

【変ラノ/4840229430】ソウル・アンダーテイカー

自他共に認める「お馬鹿」な少女・比呂緒が彷徨う魂を葬送する「ソウル・アンダーテイカー」という仕事をすることになるというお話です。
比呂緒の独特なキャラクターが非常に魅力的なのと、どう考えてもバッドエンド確定なんだろうなあと思わせる不のオーラで満ち満ちた作品の雰囲気が非常に突き抜けてて素敵。一般受けはしないかもしれないけど。自分の感想に書いてある、「241Pの名台詞」が何なのか気になる。現物が見つからなくて確認できない…。
 

【変ラノ/9784059040361】キスとDO?JIN!

同人初心者の腐女子ヒロイン・七海がカリスマ同人作家達と繰り広げるシンデレラストー…リー……?同人作家だけでなく、幼馴染の脱税漫画家と腐女子が喜びそうなエピソードを持っているメガネの税務員だの、お嬢様馬鹿のイカレ暴走執事等、バラエティ豊かです(笑)内容は乙女ゲー的ですが、同人界のマニアックな事情等が結構詳しく語られており、そっちの世界の空気を体験したい人にもオススメな作品。
つかもう2巻の執事の「あの」挿絵だけで1票入れる価値があると思うんだ。いやマジで。
 

【変ラノ/9784829163801】ネコのおと リレーノベル・ラブバージョン

かつてここまで自レーベルをけなしまくった一冊があっただろうか、いやない。
3人目の水城先生から始まる楽屋裏ネタが最高にイカレてる(褒め言葉)。ていうか正直ラスト2人の富士ミスけなしがたまりません。富士ミスから出てるのに、けなしすぎ(笑)編集長の「だってミステリーばっか書くから」は文句なしの名言。ていうかラストのあざの先生の原稿から、色々と苦労が見て取れてなんていうかもう…
 

【変ラノ/9784840218665】Missing

散々悩んだんだけどとりあえず様々な意味で「突き抜けてる」という意味ではこれが一番かなあという結論に。都市伝説を下敷きにした学園ホラーもの。巻を重ねるごとに右肩上がりでグロく…もとい面白くなっていきますので、4巻くらいまではいっき読みしていただきたく。正直「断章のグリム」なんかメじゃないくらい突き抜けてます。個人的には「合わせ鏡の物語」と「夜魔」が真骨頂すぎると思う。
 



以下、次点。

 ・化物語 …と「バカとテストと?」は絶対誰かが入れてる気がするから。
 ・絶望系 閉じられた世界 …なんかこれも「突き抜けてる」という意味では定番感が…
 ・学園キノ ドクロちゃんです …色々な意味でバカ以外にならないわけが無いと思うので。


期間縛りさえなければ入れたのにという作品。

おしまいの日

今考えると、これってある意味「ヤンデレ小説」?
仕事が忙しすぎて全く家族の時間を取れない旦那を毎日家で待っているうちに精神を崩してしまった美津子が「おしまいの日」に至るまでの物語。精神をおかしくした美津子は徐々に正常な思考を失い、被害妄想に陥り、最期には……となるのですが、ただのヤンデレ小説だと思っているとラストで冷水をぶっかけられます。ラスト1行は本当に鳥肌立ちました。
 
ちなみに、同じ新井素子の作品だと「ハッピー・バースデイ」のあきらは完全にヤンデレ。
こっちなら文庫版が2005年発売なので投票できそうな気がするのですが、
最早「変ラノ」の趣旨からは外れてきたので投票はしないでおこう…。

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DDD2 Decoration Disorder Disconnection

[著]奈須 きのこ [絵]こやま ひろかず

オリガ記念病院から退院したばかりの石杖アリカは、高校時代の友人霧栖の主催する野球ゲーム「SVS」に参加することに。同じ頃、そのゲームの参加者が次々に殺害されるという事件が起こっていた。アリカは事件の犯人?"シンカー"と呼ばれる"悪魔憑き"を祓うよう依頼を受けるのだが…
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相変わらず奈須きのこの文章は立ち上がりが壮絶に読みづらいというか…ビジュアルノベルの時は気にならない、独特の文章が読み薦めるのを元気良く妨げるのはいい加減なんとかなりませんか。この勿体つけた綺麗な表現は凄く好きなんだけど、いっぺんに読めない。序盤は本当に5行進んで3行戻る状態で、他の作家さんの3倍は時間かかったような気がしますorz

今回は「シンカー」と呼ばれる悪魔憑きとの野球対決をするという、アリカが初めての悪魔を祓ったエピソード。前評判で知ってはいたけど、なんだかとっても青春小説でした(笑)ただ、一心に野球に執着した少年と、あっさり野球を捨ててしまった少年が長い時間を越えて一騎打ちをする話…かと思いきや例によって裏にはドロドロとしたエピソードが隠れていたりして、面白かったです。「シンカー」の母親のエピソードも「スラッガー」が野球を辞めたきっかけとなるエピソードも凄く良かった。

しかし、個人的には後半の2つの短編の方がお気に入りだったり。っていうか「FOMALHAUT」で秋星がのたまうキメゼリフにうっかり燃えてしまった私はセンスが80年代ということなのでしょうか!そしてなんといってもツボなのは、最後の短編。アリカの妹である最凶妹・カナタが遂に…というエピソード。

正直、カナタたんに激しく 萌 え る 。

超暴力的なヤンデレ妹・カナタたんは3巻で大活躍しそうな予感がするのでとっても楽しみです。いろいろと。あの無邪気極まりないラストの対戦表がツボすぎだっ!!「時間とか止められても。」とか惚れる。

しかし、対戦表ラストに明らかに見逃してはならなげな名前が含まれていた気がするのは気のせい?妹VS秋星激突フラグ!?

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勇者王ガオガイガー2005 獅子の女王?リオン・レーヌ?

[著]竹田 裕一郎 [原作]矢立 肇
[絵]木村貴宏 [絵]高倉武史 [絵]歩き目です


Gストーンのサイボーグであるルネ・カーディフは対特殊犯罪組織シャッセールの捜査官として活動していた。彼女は父の姓である「獅子王」の名を憎み、母の仇を討つため国際的犯罪結社バイオネットを追う。ところがバイオネットが物質瞬間創生艦フツヌシと新型勇者ロボ・光竜を強奪し…!?
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「原種大戦」下のヨーロッパでバイオネットを追うルネの姿を描いた、アニメ本編とOVAを繋ぐ外伝小説。OVAではサラっとしか語られていない、ルネがサイボーグになった理由や実父である獅子王雷牙博士との不仲の話が詳細に描かれるのでルネ好きにはかなり必見な内容となってます。

原種大戦は主に宇宙で繰り広げられていたのでその頃地球はどうなっていたかとか、そういう部分が描かれていたのが個人的にはかなり面白かったかも。何気にTV本編の内容とクロスオーバーしたり、救援に駆けつけた凱とGストーンのサイボーグである事に誇りをもてないルネのぎくしゃくした関係なんかもかなり新鮮でしたね。ていうか凱兄ちゃんは、結構他人に遠慮しないタイプという印象があったので、ルネとギクシャクしてる姿はなんだか微笑ましかったかも(笑)

なんといってもこの話で必見なのはルネの相棒であるエリックやポルコートの存在。紳士っぷりが空回りしている彼らと容赦ないルネのやりとりが凄くツボでした。ポルコートなんかは是非FINAL本編に出して欲しかったなあ。Jとルネをくっつけるために邪魔な伏線としてカットされたんだとしたら惜しい。第三次αではこの外伝の話、確かポルコートが行動不能になった後か何かの話って設定で、助けに来るのもJになってたし…orz(←というか、これが正史なんだと思ってました)

ちょっと(というかかなり)現在入手が難しくなっている本なので手に入れるのにかなり値が張ってしまいましたが、凄く面白かったし3000円くらいならまだ惜しくないかなあという感じの内容でした。文句なしに面白かったです!

ただぶっちゃけ、1話掛けてベター○ンの販促するくらいなら、この外伝映像化してくれよとか思ったけどね。<FINALGGGの方


ちなみに、以前こちらも原価以上の価格でゲットした「ガオガイガーFINAL」の小説版ですが、先日地元の○ックオフで100円で売ってるのを偶然みかけてちょっと哀しくなりました。100円て…。

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メイド刑事5

[著]早見 裕司 [絵]はいむら きよたか

「メイド刑事」として、海堂から申し付けられた仕事はとあるノンフィクション作家の身辺警護。母親が悪徳リフォーム業者に騙され、母の無念を晴らすためにその業者の不正を暴こうとして命を狙われていると言う。その業者の裏に木ノ上が居ると聞かされた葵は仕事を引き受けるが…
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久しぶりに短編3本の形に戻った「メイド刑事」。長編・中編も良いけどやはりこの「短編3本」という形が一番落ち着きます。もうなんていうか様式美的なまでに。

木ノ上が影に居る事件に葵が挑む、いつも通りの様式美炸裂な短編2本に加え、番外編的なルカの初恋話1本。いつも通りのスカっと悪事を解決していくメイド刑事・若槻葵も非常にかっこいいのですが今回はやっぱりルカの初恋騒動が最高に面白かった。恋するルカの姿に過去の自分を重ねて少々嫉妬しつつもルカが心配でしょうがない葵、普段は冷静でキレモノだけど好々爺という印象なのに、今回ばかりは爺馬鹿炸裂で大暴走を繰り広げる朝倉執事、事態を暖かく(?)見守るさくら夫人やニキータの普段見せない姿にもニヤニヤしっぱなしなのですが、何よりも普段通りの姿を装いつつ、明らかにルカの初恋の顛末が気になって仕方ないっぽい御主人様サイコー。いやーあの台詞とかあの台詞とか、内心どんな気持ちで吐き出したのかとか考えると、笑いが止まりませんw

いつもの短編の方は、良い意味で「いつも通りの」展開。個人的には1本目の話で、ずさんな食生活ばかり送っている作家先生とそのアシスタント達の中に、葵がメイドの妙技(違)で少しずつ打ち解けていく描写が凄く良かったです。特に気難しい手島が少しずつ葵に心を許していく過程は最高でした。

そして、次回あたりストーリーが大きく動きそうな予感で、ますます続きが楽しみな感じです。エピローグから推測するに、そろそろ木ノ上との直接対決が来そう?

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アリアンロッド・リプレイ・ルージュ4 ノエルと蒼穹の未来

[著]菊池 たけし / F.E.A.R. [絵]佐々木 あかね

大切な仲間を喪い、意気消沈するノエル達は彼女の母が居るという沈黙の氷原を目指す。しかし、その前にノエル達を反逆者とみなした神殿が立ちふさがる。一方、悪の組織<ダイナストカバル>の大首領は新たな人工生命を彼女達のもとへ送り込んで…
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最後までハラハラドキドキワクワクし通しのリプレイシリーズ、最終巻でした。最後ということで今までに登場したNPCたちがどんどん出てきたり、あの人の意外な素性が明かされたり…でシリアスで熱い展開が目白押しなのですが、なんでこんなに笑いが止まらないんでしょう。

実際キャラクターたちの熱い想いも痛いほど伝わってくるんだけど、それ以上にセッションに参加している人たちが和気藹々とセッションを楽しんでいる様子が伝わってきて、それが凄く面白かった。TRPGに限らず、親しい仲間達と居るとめちゃくちゃ物語りはシリアスな場面なのになんかもう笑いが止まらないー!とか、実際あるある(笑)通常の小説では伝わってこない、物語の「作り手」達の感情がこちらにまで伝わってくるのが新鮮でしょうがなかったです。あと、本当に序盤ではレベル4のモンスターに四苦八苦していたメンバーの成長が目に見えてうかがえて、面白かった。

そんなこんなで物語的には、前巻でトランが抜けた穴に新たな悪の組織の人造人間・レントが参入。少しずつ明るさを取り戻していく一行ですが、所々にトランの事を忘れられない一行の描写が突然挿入されるのがもう、あざといまでに此方の涙腺刺激してきます。戦闘中にうっかり…とか、どこか彼の面影を持ったレントと出会ったときのノエルの一言とか。そして新キャラのレントとNPCの皆様が総じてその辺の空気読まない(笑)

しかし、最初は典型的なアンドロイドタイプで無感情系だったレントが、物語が進むにつれどんどんトランっぽくなってくるのはわざとなんですか!わざとなのですか!!(中の人が同じというのはもちろんあるんでしょうけど、“これだから神殿は”は意図的な発言だよなあ)言葉の端々からトランを感じてしまって始終ホロリとしまくっていた私です。

バトルはなんていうか、本当にノエルのプレイヤーさんが期待を裏切らない(笑)主人公と言うかもはや勇者的なサイコロ運持ってて、終始ハラハラドキドキしっぱなしでした。サイコロが全てを決めるTRPGだからこそ本当にどちらに転ぶかわからなくてハラハラ。「でもきっとここならやってくれるに違いない!」って所でしっかりクリティカルが出たりしてドキドキ。なんかもう力丸さんのサイコロ運がこんなじゃなかったら物語パートはともかく、戦闘パートはここまで盛り上がらなかったんじゃないかと思います。

3巻までの感想でも書きましたとおり、これが始めて読む「リプレイ」で、TRPG自体も全くの初心者の私が友人に薦められて始めて手を出したシリーズでしたが、本当にTRPGの、そして「リプレイ」小説の楽しさを初心者にあますことなく教えてくれたという感じのシリーズでした。今後TRPGをプレイする機会があるかどうかは神のみぞ知るって感じですが、このリプレイ小説の雰囲気は凄く好きだったのでまた何か面白そうなものがあったらこっそり手を出してみようかな?

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お・り・が・み 澱の神

[著]林 トモアキ [絵]2C=がろあ?

伊織貴瀬を礎として、新たな世界の枠組み“ユグドラシル・システム”を築こうとする天の勢力に対し、魔王にして聖女となった鈴蘭は徹底抗戦を決意する。ゼピルムの魔人に加えて神殿協会の枢機卿達の殆どをも味方に付け、絶対防壁となった大神殿に乗り込むのだが、そこには澱深くに眠り絶大な力を持つ“カミ”達が立ちふさがる?!
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最後までシリーズの持ち味を残したまま、綺麗に終わってくれました。前回の「光の徒」なんかはギャグ分抑え目だったのがちょっと残念だったけど、この「澱の神」はあくまでシリアスメインにしつつ、ギャグも忘れていないこの絶妙なバランスが最高でした。

とりあえず……一生ついていきます、律子枢機卿!!
典型的な剣と魔法の世界の話で、魔王も聖女も天も魔も出てくる話でありながら、律子枢機卿の説得のシーンとかその辺の現実的な感覚がまた素敵。予想以上に現実的な聖騎士の皆様も素敵すぎ。いや、実際正義のために結束するよりもああいう理由の方が常識的な人間としては説得力があるに決まってるよね(笑)そしてダシに使われた挙句「案外少ないな?」とか言われちゃうショーペンハウアー様に、今回一番の不幸大賞の座を謙譲したい。

作品に登場した多くのキャラクターがそれぞれの想いを貫くために戦い、様々な形でぶつかり合う最終回。意外な者が敵になったり、また味方になったり…と、目まぐるしい展開の目白押しでしたがどの戦いもとにかく熱くて凄く良かったです。個人的には翔希・睡蓮とほむら鬼の戦いが好きでした。翔希は勇者の筈なのに最後までイマイチいいところなかったですけど。

エピローグも実にこの物語のオチにふさわしい感じで、最後まで素敵でした。やっぱり、どんなに綺麗ごとを言ってもこの物語に死者は似合わないとおもう。今までのボスキャラ達がまるで某勇者アニメで浄解された元ゾンダーが如く偉くいい人になって再登場するのは微妙にご都合主義を感じてしまいましたが、この物語だからこそアリな結末だと感じてしまいました。ていうかあまりにも素晴らしく円満終了なラストに、不覚にも涙が流れそうになってしまいました。

何はともあれ、こうして物語は「戦闘城塞マスラヲ」に続くわけですね。一応「お・り・が・み」を読まなくても楽しめるシリーズとして作られているようですが、こうして「お・り・が・み」を読み終えると、マスラヲをパーフェクトに楽しむにはこのシリーズの存在が不可欠だということを実感します。2冊だけだし、今すぐ読み返してみようかなとおもうほど、マスラヲの続きが思いも新たに楽しみになってまいりました。

「マスラヲ」が好きで「お・り・が・み」に手を出していない人は3巻が発売される前に読破しておくと「マスラヲ」が100倍楽しめますよ!!(微妙に誇張表現)

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お・り・が・み 光の徒

[著]林 トモアキ [絵]2C=がろあ?

国際展示場がテロリスト達に占拠された。彼らには警察も自衛隊も歯が立たず、関東機関も魔人の襲撃に遭い、壊滅に追い込まれてしまう。翔希と共に偶然展示場にやって来ていたシスター・クラリカは必死の脱出を試みるが、協会は事件の裏側に居る黒幕を聖女である鈴蘭だと断定して!?
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クライマックスに向けて、元々持っていたギャグ分がすっかり鳴りを潜めてしまったのは残念なんだけど、それ以上に最初から息を付かせぬままに最後まで突っ走るこの熱さが最高でした。血と硝煙が漂う国際展示場を中心にそれぞれが自分の想いの為に孤軍奮闘していく姿が熱い。そして本来の主役である鈴蘭が黒幕容疑をかけられ、終盤まで姿を見せないというのがまた逆に緊迫感を煽ります。

それにしても今回外せないのがやっぱりシスター・クラリカの奮闘劇。神殺しの一族でもなく、魔人でもアウターでもない、ある意味最も“一般人”な彼女がボロボロになりながら奮闘する姿がひたすらかっこいいです。それにしても彼女、もっと融通が聞かずに上の与えた教義に狂信的なタイプだと思っていたので、今回の行動は予想外でした。それにしてもやはり彼女を守った自衛隊の行動がクラリカの神殿協会への不信のきっかけになったのは確かでしょうし、だからこそラストのあの発言があったのも確かでしょうから、彼らの死は無駄ではなかったんだと思いたいです。とにかくいろいろな人の“想い”が伝わってくる話でした。

そんなこんなで次で遂に最終巻になるわけですが、今回の話で○○した沙穂も復活しそうな感じですし、もう色々な意味でどういう風に決着をつけてくれるのか楽しみでなりません。あらゆる意味で楽しみだ…!

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お・り・が・み 正の闇

[著]林 トモアキ [絵]2C=がろあ?

魔王としての道を選ぶ事を決めた鈴蘭。それを恐れた神殿協会は魔王として完全に覚醒する前に彼女を“聖女”として引き入れようと計画する。「人間の敵となるのか」という枢機卿・ショーペンハウアーの言葉を聞き、揺れる鈴蘭だが…!?
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クライマックスに向けて確実に何かが動き出した話。今まで明確ではなかった“敵”が遂に明示されて、鈴蘭がその目標に向けて動き出す巻…とでも言えばよいのでしょうか。

リップルラップルの友人の子狐・セリアと「先読みの魔女」として協会に狙われている彼女を守ろうとしているクーガーさんの逃走劇に鈴蘭が人質として巻き込まれるというお話。

正直前半はギャグも少なめで普段のハイテンポな展開も抑え気味で、今回はイマイチだなあ、なんて思っていたのですがラストに向かうにつれどんどん熱くなってきて後はラストまで一気読み。協会の上層部から翔希達に真実が知らされてるのと同じ頃、鈴蘭とクーガー達が“もしも鈴蘭が魔王になったら?”話題で盛り上がってる所なんか、まんまアレでソレなフラグ立ちまくりにしか見えないし。

何よりもクーガーがいい漢すぎて泣けた(つдT)
自らの存在を犠牲にして“世界を少しだけ変えた”その心意気が漢らしすぎました。彼の今回の一連の行動によってこのシリーズでイマイチ不透明だった「ラスボス」が遂に浮き彫りになり、その犠牲をきっかけに今まで“魔王”としても“聖女”としても消極的だった鈴蘭が自発的に行動を始めるのだからその行動が世界に与えた影響は、確かに凄くちっぽけだけど、物語を終息に向けて動き出させるには必須の要素だったんじゃないでしょうか。

その心意気を受けて動き出した鈴蘭の、ラストの言動がかっこよすぎ。次巻が物凄く楽しみです。

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