白姫彼方はどこからどうみても“美少女”にしか見えない男の子。少女にしか見えない程の若作りで、いつもハチャメチャな母親・此方に振り回され、どこか諦観する日々を送っていた。ところがある日突然母親から魔法の力を授けられた彼方は喋る猫・モエルと共に、魔法“少女”として謎の侵略者から町の平和を守る事に!?
いやー「少女のような外見」というのは設定上仕方ないとはいえ、何らかの変身前・変身後での明確なギャップがほしかったです。いえ、性格はいいんですよそのままで外見上のギャップを恥らう主人公が変身女装少年モノの醍醐味なんですから(なんだそれ)。個人的には変身前は短い髪が伸びてあの髪型になる、とか主人公が普段は男らしさを演出するために眼鏡をかけているけど実は美少女顔、とか、コスチュームがガッツリとフリフリレースの超・少女趣味な衣装になるとか。
…という、「女装少年モノ」としての部分に深く突っ込まなければ、非常に面白い作品でした。この作品は変身モノとしてはかの名作「美少女戦士セーラームーン」のお約束を忠実に再現しているんじゃないかと思うので、まあもう少しギャップ欲しかったけどこれはこれで。喋る猫といい、コスチュームがなぜか制服を元にしていることとか変身後の髪型が(お団子じゃないけど)ツインテールなこととか、変身前後でキャラとしての変化が無いのになぜか知り合いの前で戦ってもバレないこととか(これは笑った)、こういったお約束の「共通点」を探していくと結構面白いですね。
また、主人公がとにかく周囲の友人や母親やサポート役のモエルからセクハラ紛いの事をされつつ必死に頑張るコミカルな部分も良いのですが、最初はツンツンしながらもだんだん「魔法少女」としての自分を受け入れていく過程が非常にツボです。普段は悪乗りがちょっと過ぎるところもある友達だけど、友達として実に良い関係を築いているのが素敵でした。特に最終話の丈の台詞にはジーンときた。
内容はなんだかんだ言いながらも非常に王道な変身モノですが、なんといっても「変身女装美少年モノ」ですので、そういうのでもOKな人にはお勧めです。あ、でもあんまり「変身女装美少年モノ」だという事を期待して読むと私のようにちょっとだけ後悔するかもしれません。
しかし…ピチピチスパッツは正直良くやった、と思った。
なんていうか、実にエロイですね。