ページ 158 | 今日もだらだら、読書日記。

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されど月に手は届かず 魍魎の都

[著]本宮 ことは [絵]眠民

春宮・師貞親王が夜な夜な悪夢に魘されている、と親王の乳母をしている母から相談を受けた橘則光は、陰陽師に協力を仰ごうとする。加茂家から当代きっての陰陽師・安部晴明を紹介してもらったところ、妖怪退治で有名な源頼光とその四天王が遣わされてきて…
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諸事情により本編より先に出ていたというシリーズ番外編です。本編でも少しだけ話題に上った橘則光が頼光四天王と共に東宮に障っている妖怪を退治する……というお話。

諾子もちょっとだけ登場して、二人の出会いが今度は則光側から描かれたりするのでその辺のリンク具合が結構面白かったです。ただ、私の場合本編から先に手をとったのですが、この番外編は本編の後に読んだ方が明らかに正解な印象でした。こちらから先に読んだら「なんで諾子はここしか出番が無いんだろう?」って感じになりそうですし、本編でネタ振りされてるからこそ面白かったという部分が多いようにも感じます。ドラマCD化のためだったらしいとはいえ、ちょっと勿体無い使い方だなあ。

そんなわけで本編に登場した個性豊かなキャラクター達の魅力については語るまでも無いのですが、綱とは違う方向のキレモノ美形・源頼光やご本人の登場は無いものの美味しい所をもってきまくりな安部晴明が地味に素敵です。そしてますます謎が深まる稀代の陰陽師様の素顔が非常に気になります。で、出るよね!?

ちなみに頼光四天王では公時がだいすきです。
次に好きなのは貞通です。
判りやすいですか、そうですか。

後半は東宮に憑いていた妖怪、そして綱達と「鬼」との戦いがメインになってきますが……下敷きにされている原典がまた、自分の好きな物語の中でも複数の作品から下敷きにされているなじみのある物語で、原典も読んだ事無いのに思い入れありまくりな私はとにかく脊髄反射しまくりでした。というかもう本当にこのシリーズ、時代設定と下敷きになってる人物・事件がいちいちツボすぎる。よりによって「大江山」なんて!!茨木童子だなんて!設定だけで萌え死ねる…!!

挿絵はこちらの方のほうが平安っぽくて好きだったりします。
本編の挿絵、ポップで可愛くて確かに本編の作風には合ってると思うんですが……明らかに、露骨に平安じゃないパーツが平然と描かれているのが平安時代萌えとして許せない…特に諾子の服装。なんで十二単の下からフリルがのぞいてるのかと小一時間問い詰めたい。

ところで問題のドラマCDに好きな声優さんが出演されてて、物凄く気になります。
その人が則光役だったら正直即買いだったんだけどな…!!

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アビスゲート 1 果て見えぬ淵の畔に

[著]神坂 一 [絵]芳住 和之

クラウスと叔父のルグナードは傭兵として仲間達と山賊退治に向かう。ところが、山賊達は目の前で邪悪な“海”・アビスゲートに飲み込まれ、依頼料が出なかった事に腹を立てた傭兵仲間の一人が依頼主を刺殺してしまう。二人はアリサという少女と共に、依頼主を殺した男を追う羽目になるのだが…
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正直スルーする気マンマンだったのですが「DOORS」が面白すぎたので思わず買ってしまいました、神坂一の新シリーズ。「スレイヤーズ」「ロスト・ユニバース」のような不思議な力が満ち溢れた異世界を舞台にしたファンタジーものです。

しかし、どうしても上記2作品を中学・高校生時代にリアルで追いかけていた人間としては主人公が「盗賊虐めが趣味の貧乳天才美少女魔術師」だの「祖母コンでマントマニアな刃物マニア」くらいキャラがトんでないと物足りない気分になってしまうのです。あと妹が触手とか。

今回の主人公・クラウスは確かに多少ヘンな所はあるけど(魔力を使うと●●になる…という設定には噴いたw)凄く正統派なキャラクターでした。以前家族をアビスゲートの災害で失ったらしい描写があって、その為アビスゲート災害には過剰に反応してしまうっていうくらいで、それ以外はいたって普通。……彼のキャラは「スレイヤーズすぺしゃる」で毎回依頼を持ちかけてくる依頼人達よりも余程薄い気がする。

でも「キャラクターが濃くない」以外は流石ベテランというか、安定した面白さでした。轟音と共に、突然海が現れて世界の一部を飲み込んでしまう災害“アビスゲート”や、その仲から現れる異形の怪物たちという設定は面白かったし、バトルも結構熱いし、主人公クラウスと謎の少女アリサもなんかの伏線がありそうで……と、普通にファンタジーを読みたいならかなり楽しめる作品だと思います。とにかく“アビスゲート”という災害の設定が面白くて、異形の怪物達のおぞましさにゾクゾクしながら先を読み進んでいきました。

ただ、ひたすら濃ゆいキャラクターたちの破天荒な行動に振り回されるような展開を楽しみにしていたので、ちょっと個人的に「読みたい」と思っていた神坂作品とはズレていたかもというのが印象だったり。

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魍魎の都 姫様、出番ですよ

[著]本宮 ことは [絵]堤 利一郎

歌人・清原元輔の末娘である諾子は父と共に、時の権力者である藤原兼家の家で催される「宵庚申」の宴に招待される。気が乗らないながら宴に参加した諾子だが、彼女の事を田舎者と馬鹿にした相手の女性が突然亡くなってしまう。犯人として濡れ衣を着せられそうになった諾子は自ら事件解決のため捜査に乗り出すが!?
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久しぶりにコテコテの平安モノなラブコメが読みたくなってうずうずしていたら「bookslines.net」さんの物凄く楽しそうな感想が目に入って衝動的に購入。「十二国記」は友人に借りたし、中学時代はティーンズハートしか読まなかったのでホワイトハート(X文庫)は初体験だったりします。

うわぁ?やばいヤバイたのしい面白い!!魅力的なキャラクター達といい、時代背景といい、ピッタリすぎるほどにツボポイント直撃でした。元々、十二単とか狩衣とか藤原氏とか陰陽師とか安部晴明とか源頼光&頼光四天王あたりはもう、名前が出ただけでも無条件でときめくポイントなので、とにかく時代背景だけでもニヤニヤが止まらなかったりするのですが!!

そして、ヒロインである諾子の破天荒でお転婆な行動がめちゃくちゃ可愛い。勉学が大好きで学の高い自分に自信と誇りは持っているけど、自分が美人ではない事や男と違って大学に行けないこと、鄙つ女(田舎者)であることに物凄いコンプレックスを持っていて、その為ますます虚勢を張ってしまう姿がとにかくなんだか可愛く思えてしまうんですよね。そして彼女とまるで正反対で文官一族に生まれたのに武術が好きという粗忽者・橘則光との初々しいコンビの姿がひたすら微笑ましい。ツンデレ全開のお姫様の姿に始終萌え萌えさせてもらいました。

この他、気障で典型的な権力者の息子という趣きの道長様や、とにかく個性豊かすぎる頼光四天王など、個性豊かなキャラクターがとにかく素敵。ミステリー仕立ての本編も凄く面白いし、諾子の正体があの才女ということは?…って考え始めると続きにどういう展開が待っているのか楽しみでなりません。個人的にはもう一人の才女さんとの対決も描いてほしいなあ。とにかく、続編が楽しみすぎる1冊でした。

余談ですが「頼光四天王」というと、今まで読んだ作品の影響で物凄く「悪役」イメージだったので彼らが一応味方な設定(今後裏切らないとは限らないけど)というだけでかなり新鮮で胸がときめいたりします。いや、頼光四天王の存在を知ったのが夢来鳥ねむの「緋翔伝」だったりするので、物凄く悪役なイメージなんだ…(「緋翔伝」はかなり神漫画なので、絶版でさえなければ全力で布教したい作品の1つなんですが…)。

番外編では橘則光と四天王がメインと聞いたので、切実に読まなければと思いました。四天王いいよ四天王。

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鉄球姫エミリー

[著]八薙 玉造 [絵]瀬之本 久史

王女ながら自ら大甲冑を纏い、「鉄球姫」という二つ名で呼ばれる少女・エミリーは跡目争いを回避するため辺境の古城で静かに(?!)暮らしていた。しかし病弱な弟王に代わり彼女を王位に据えようとする動きは後を絶たず、遂には親王派筆頭である貴族が彼女に暗殺者を送り込んで…
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勝気で傲慢で自己中で超下品(強調)な王女・エミリーがお付の護衛騎士や装甲侍女達とお下品な会話をしながら辺境の地でそれなりに平和に暮らしているという話…だと思っていたら、序盤のお下品でコメディな展開から一転、真っ逆さまに殺伐で血みどろで欝なお話になってしまいます。グロくてバイオレンスな展開が苦手な人は拒否反応を示しそうなのですが、その辺りさえ大丈夫なら非常に面白かったです!

序盤では王女のあまりに唯我独尊まっただなかな発言に正直閉口したりしましたが、その発言の中に王女なりの自尊心とか意地みたいなものが見え隠れし始める頃から一気に面白くなりました。意地を張って修道院入りを見送っているうちに取り返しの付かない事になってしまい、それを悔やんでいるのに、人前でそれを言えないエミリーが意地らしくてそして可愛く思えて、一気に惹きこまれます。特に城攻めに遭ったときにエミリーが呟いた本音(傍にいないマティアスに向かって「妾も修道院のこと、考えていなくもなかったのだぞ」的なセリフの部分)なんかは胸に堪えました。

そして彼女達を襲った"亡霊騎士"と呼ばれる暗殺者の側にもまた彼らなりの"事情"があって、快楽のために殺すとかではなく生きるために仕方なくやっている…というのがまた。彼らが"亡霊騎士"に身を堕とす切っ掛けにはまた切ないドラマがあって…というのが素敵でした。作中で行われる殺人は本当に容赦なく、登場人物の生存率は限りなく低いという展開が続くのですが、どんなに酷い展開でも敵側を憎むことが出来ませんでした。

圧倒的な力を持つ強敵である亡霊騎士達に、独りで立ち向かう王女の姿が凄く熱かったです。ただ、キャラクターたちの会話(特にエミリー)は非常に面白いんだけどバトル描写がイマイチ読み辛くて、イマイチ何が起こっているのかわかりづらかったのが残念だったような。描写が多すぎて文章が読み辛いというかテンポが悪いというか…ううむ。

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積読についていろいろかんがえてみる


部屋を片付けたついでにこれ以上積読本を増やさないよう、リストを作成してみました。

我が家の積読本リスト。
リストの順番は作者別順不同。特に読みたい順ではない。

平均月20冊弱しか読まない人間に、80冊の積読本はあまりにも多いですorz
バイト先が古本関係なんで、気がつくと増えている…。
ていうかこんなに秋田禎信と西尾維新溜め込んでどうする気なんだ。

「イコノクラスト!」は2巻まで一応読んでいるのですが、内容を完全に忘却しているので全巻積読リスト行き。「R.O.D.」も1巻の内容忘れてるので読むなら1巻からかなあ…ていうか、1巻だけ読んで2巻積読ってパターンが多すぎます。1巻が可も無く不可もなくという状態だと、2巻以降は買うだけ買って積読に行く可能性が高いみたいです。

あとネットの古本屋関係は送料無料範囲まで強引に本買わないと結構全体的に高くなってしまうから、積読本作りやすいなあ…。1500円とか2000円でも文庫本だけにすると5?6冊は余裕で買えますしね。(ちなみに電撃のハードカバー系と刀語は、ほぼ全部中古…)

とりあえず、今月は新刊も少ないので地味に消化していきたいと思いますが、何かこの中でオススメなシリーズがありましたら教えてください。
で、出来れば読みやすいやつを……w

「ばいおれんす☆まじかる」「魔女式アポカリプス」の2シリーズは
個人的に結構気になってるので早めに手を出す予定。

【追記】
せっかくなので、この積読本リストの中身がどういう本で形成されているのか、具体的に考えてみる。


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盗みにまいります! 平安盗賊恋絵巻

[著]剛 しいら [絵]乙橘

退屈に耐えかねていつもの通り身分を隠し、都大路へ出かけた東宮・慶仁は最近都を騒がせている盗賊「黒丸」の一味と遭遇し、剣を交える。しかし、剣を交えた相手の頭領の息子・赤丸はなんと女の子だった…!それ以来彼女のことが忘れられなくて…
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申し訳ないけどびみょー。
剣を交えた盗賊が男装した女の子で、しかも実はとある貴族の家から攫われたお姫様で……というその手の話では割合王道っぽい平安モノ。展開がどこからどこまで「お約束」すぎて、ちょっと王道過ぎて食傷気味なストーリーだったかも。全体的に意外性の無いストーリーの中、唯一隠し玉になっているのが実はヒロインがとある貴族の家のお姫様という設定なわけですが、これがあっさりと公式あらすじで暴露されてしまうため、どこにも意外性…ない…orz

結局こういう物語の場合、キャラクターの誰かに萌えれないとかなりやっていけないわけなんですが、シリーズ化前提で文庫化しているのかページ数が薄く、キャラクターもイマイチ書き込みが足りない印象。とにかくパンチが足りない。せっかく「男装の少女」「それにゾッコンな男」という美味しすぎる設定があるんだから、もうちょっとギャグ方向で健全なBL臭を放ってしまって良かったのに。赤丸の描写は(挿絵を含み)まるで女の子のそれであるため、男装した赤丸の正体に気づかずにかなりマジで告白してしまう慶仁のシーンとかもちっとも生きてこない。ここの場面が普通に男女の告白シーンにしか見えないのは致命傷だと思う。

作者さんはBLではかなり有名な人のようなので、BLの雰囲気を残しつつ一般の少女小説を書こうとして失敗したっていう印象を受けました。もうちょっと本来のガチな方向に暴走してもらっても問題なかったと思うんですよねえ、ラノベ界にはもっとギリギリなガチ小説なんていくらでもあるわけですし。

脇役の書き込みが異常に少ないので、メイン2人である赤丸&慶仁親王のどちらかに萌えられないと相当厳しい気がします。せめてページ数をもうちょっと増やして、ストーリーの内容をもう少し増やしてくれれば違ったのかもしれないけど。

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秋津島三 神ながら人ながら

[著]鷹野 祐希 [絵]水上 カオリ

諏訪に居る佐唯の元に現れたのは、あの日殺されたはずの廣沢秋人だった。彼が生きていた事に喜ぶ佐唯だが、同時に言いようの無い違和感・不快感に襲われる。一方、佐唯の事で託宣を受けた厳島の斎・弥彦は感応している市寸島比売の制止も聞かず、厳島を飛び出すが…
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完結編。地味に面白かったけど、クライマックスがイマイチ盛り上がらなくて、あっさり終わってしまったのがちょっと残念。

序盤の秋人vs佐唯は、元々血みどろ&(精神的に)グログロ気味なこのシリーズ中でも最高級の盛り上がり&グロ描写が素敵でした。初めて対峙したときの薄気味悪さもさることながら、バトル描写が……うわあ。なんというか、最高に醜悪。そんな醜悪なバトルの中だからこそ、その後の展開が黄泉返ってしまった秋人だけでなく、今まで佐唯が持っていた“復讐”というわだかまりも持っていってしまったのが嬉しくてたまりませんでした。良くも悪くも、序盤の黄泉返った廣沢秋人vs佐唯の対決がシリーズ最大の山場だといってもいいのではないかと。

少しずつ大物主命の斎としての自分を認め、恋人の死を乗り越え、人間的にも成長していく対する佐唯に対し、彼女を亡き者にして“天孫”の世の中を作ろうとする祥姫は次々に目論見を崩され、追い詰められる事に…っていうかこの子あれだよね。黒いっていうか物凄いヤンデレですよね。弥彦と戦ったときに覗かせた、佐唯への歪んだ愛憎がとってもヤンデレ的。ラストは是非“お姉様”と和解して元通り(とはいかないまでも、それに近いくらいの)関係を築いて欲しかったです。というか、ここまでヤンデレっぷりを見せ付けておいてラストがあっけなさ過ぎる……色々無理してたみたいだからラストであっさり陥落してしまったということでしょうか。

それにしても、本編となる血みどろストーリーもさることながら、今回も色々と大暴走な大物主命が素敵過ぎます。ちょっとラストが駆け足気味な終わり方だったこともあるし、あと1冊くらい続けてもうちょっと濃厚に大物主命と佐唯の夫婦漫才…もとい魂の触れ合いが見たかったです。ちょっと3巻で終わらせてしまうのが残念なシリーズでした。

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化物語 下

[著]西尾 維新 [絵]VOFAN

忍野に頼まれて山の中の神社に出かけた阿良々木暦と神原駿河は、切り刻まれた蛇の死体と少女を見かけた。しかもその少女は妹の友人で、阿良々木とも面識があって…。彼女に憑いた"蛇"の怪奇を祓おうとする阿良々木だが!?
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半年以上空きましたが、下巻の感想です。引き続き、とにかくキャラクター同士の漫才的なやりとりが素敵すぎるシリーズ。正ヒロインであるはずの戦場ヶ原ひたぎの出番が少なめなのはちょっと残念だけど、サブヒロイン達がしっかり代わりに素敵なやりとりを繰り広げてくれます。そして「つばさキャット」では出番殆ど無いのにしっかり正ヒロインとしておいしいところは持っていくひたぎさん、ほんと蕩れーーー!!!

特に神原駿河とのエロトークがいろいろな意味で素敵すぎました。何このエロッ娘!ひたぎさんがデレ担当に回って出番が減ったのと相対的に考えて、正直下巻の見所は彼女との掛け合いが最重要ポイントとみなしても過言ではない気がします。しかも百合属性でBL好き(=腐女子)とは実に素敵なキャラ設定ですね!

「ふふふ、世間広しと言えど、私を本気で走らせることができるのは阿良々木先輩と、戦場ヶ原先輩と、BL小説の発売日だけだ」
「誤解を恐れずに言わせてもらえれば、そこに並べられたことで、いまいち嬉しくない台詞になってるぞ…!」

「しかし阿良々木先輩、私はBLならば大抵のジャンルはいける口だが、中には不得手なものもあってな……そういう小説の場合は、本気で走る事はできない」
「訊いてねえー!」
しかも。
本気で走らないだけで、結局は買うらしい。

うんあった…BL小説じゃないけど私にもそんなパワフルな時期があったよ…某漫画雑誌のコミックスをほぼ全部買ってたりとか、発売日2日前の書店に2時間張り込んでフラゲして帰ったり……いやあ若かったねあの頃は……

しかし、色々な意味で感想を書きづらい本ですねー。「ここのやりとりにホレた!!」というところを語りだすとあまりにも抜き出したい箇所が多すぎて長くなりすぎてしまうし、かといって「会話のやりとりが面白すぎた」だけでまとめるのも勿体無い気が…とにかく、機関銃のような勢いで繰り広げられる会話の数々が最高でした。上巻の感想とあまり変わらない…。

とりあえず、未収録らしい?「こよみヴァンプ」の書籍化が楽しみでなりません。

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その宿命は星に訊け 岐伯春秋

[著]北条 風奈 [絵]櫻 ゆり

炎帝・神農氏を主君と仰ぐ薬師・岐伯は帝の命令により北部を収める帝の異父弟・軒轅氏に仕えることになる。様々な出会いを経て北部の飢饉から人々を救おうとする岐伯だが、兄へ劣等感を抱く軒轅氏と神農氏の間で戦争が起きて…
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その宿命は星に訊け—岐伯春秋
封神演義時代以前の中国を舞台にした中華ロマン。「封神演義」に登場するキャラクターたちが多く登場するので、某マンガ世代の人たちにはちょっとなじみの深い名前が多いかも。ちなみに発売当初買ったまま5年も積んでた一冊です…って考えると、これが実質的な「初ビーンズ」だったのか…。

エニックスで長いことSF系のノベライズを出していた北条風奈さんの小説、ということでエニックス側で出されていた著作の大ファンだったのですが……後書きで低年齢層を意識して文章の書き方を意図的に変えているという文章がありましたが、その所為かエニックス時代の文章を読んだときに感じた魅力が全くなくなってしまっていました。何よりもキャラクターや舞台の臨場感溢れる(一部では「やりすぎ」とまで言われた)描写表現がきっぱりさっぱり削られているのはもうなんていうか…。淡白といえば聞こえはいいけど、なんか以前の過剰なくらいの描写表現に慣れきった身としては違和感感じまくりでした。

いや、なんていうか「小説TWINSIGNAL」を読んだときに毎回感じていた、舞台になった街に一緒に旅行に言ったような気分になるそういう臨場感とか、そういうのが皆無だったのが個人的に期待はずれすぎたんだよー。もっと南部と北部の人々の生活の様子とか、そういうの書いてほしかったっていうかその辺を期待してたというか。

ストーリー自体は、中盤くらいまではまだ良かったかなあとおもうのですが、ラストが酷い。最後の2Pくらいで散々張り巡らされた伏線を後日談と言う形で強引に解決しておしまい。ヤバイくらいに何も落ちてない。ジャンプの10週打ち切りマンガみたいだ。シリーズものの1巻として、「彩雲国物語」の1巻みたいに未来の姿を暗示して、次巻につなぐって感じでも無いしなあ…。

各キャラクターの描写がとにかく浅くて、なぜ彼らが岐伯に絡んでくるのかとかそういう辺りがあまり見えてこない。主人公の描写はしっかりしていて、北と南の帝の間で揺れ動く様なんかはとても素敵なものがあるのですが(それでも最後の方に駆け足で書かれた部分という印象が否めないんだけど)、全体的に物語として浅い気がするのです…。

「古代中国ロマン」という今までの著作物とは一線を画するジャンルに挑戦したのがまずかったのか、角川に移って編集者にいろいろ言われて路線変更を迫られたのかはしりませんが、「小説TWINSIGNAL」や「奇跡の知性」が自分の中でかなり神だっただけに、この出来はショックでした。うーん、中学・高校時代に一番読み込んだ作家さんだと言っても過言ではない方だけに、この作品を最後に消えてしまったのが本当にもったいないと思えてしょうがないのですが。是非、いつか路線をSFに戻して復活してほしい作家さんです。(ビーンズよりも富士見Fか電撃か富士ミスあたりのほうが活躍できそうな作家さんだとおもうんだけどな?…)


ちなみにエニックス時代に出したオリジナルSF作品「奇跡の知性」は正直神がかってるとおもうので、うっかりこの本を読んでしまって欝になった貴方は是非古本屋で探してご一読してみてください。amazonさんで何故か定価以上の価格で売られててびっくりしましたが。

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キノの旅XI The beautiful world

[著]時雨沢 恵一 [絵]黒星 紅白

キノが立ち寄ったとある国では、大人達が大きな焚き火にテレビとつなげて遊ぶゲームや、マンガしか描かれていない本や、集めて遊ぶカードゲームなんかを燃やしていました。国の大人達に頼まれ、国の子供達と会話をしてみたら…?「子供の国」他10篇を収録。そして今回の「あとが(略)
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ヤァミンナ!年に一度のキノの旅最新巻ダヨ!!
のべるのぶろぐ。さんの紹介文にうっかり噴いたのでちょっとパクってみた)

今回はいつも以上に「キノ」らしくて面白い。やっぱりキノは長編よりも短編の寄せ集めの方が面白いな?とおもう今日この頃。というかこのくらい殺伐としてないとダメだとおもう(それもどうかと)。現代の何でもアニメやゲームの所為にしようとする大人達のような人々が集まる「子供の国」、ネタがどうみても某巨大掲示板な「つながっている国」、そしてサブタイトル界歴代ロングタイトルギネス記録を狙ったとしか思えない「アジン(略)の国」がお気に入りだったりします。

特に「アジン(略)の国」は、タイトルからしてもう明らかにネタ話だろうと思って掛かったらキノらしい殺伐さと優しさが共存する非常に良い話でした。全部書いたら5P半にも及ぶ長い長い国の名前を小さな子供がしゃべれるようになったら真っ先に覚えさせるという住民達の真の意図に気がついてしまうとちょっとジンワリしてしまったり。遠まわしに、そしてあっさりと後日談を語っているラストの語りも素敵です。

そしてすっかり恒例となりつつある「あとがき」。"みつけやすい"あとがきの方が何気に見付け辛いと思ったのは私だけでしょうか。普段読み終わるまでカバーはずさないので危うく見落とすところでした…。

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