ページ 157 | 今日もだらだら、読書日記。

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ぼくと魔女式アポカリプス 2 Cradle Elves Type

[著]水瀬 葉月 [絵]藤原 々々

街を歩いていた澪は突然サンバイザーを掛けたチャイナドレス姿の少女から渾身のドロップキックを戴き、首の骨を折られて半ば「殺され」た。“正義の味方”を自称し、代替魔術師であるという自覚もない彼女・蘭乱爛崎寝々はレンテンシアと冥子を「悪」であると断じ、正義の名の元に正殺しようとするが…!?
   個人的お気に入り度数
前作でもあれだけ鬱々とした展開になった本シリーズですが、2巻では更に痛々しく、欝な展開になってまいりました。前回の戦いの結果として殺してしまった少女の事を未だ受け入れられず、必死にそこから逃避しようとする澪の心の動きが痛々しくもあり、悲しくもあり…。

でもその「死」と向かい合った後の澪は凄く強かった。「普通を嫌う」という、中二病臭い設定が今回のラストであんな台詞として生かされるとは思わなかったです。大切な物の死を最終的に受け入れ、前へと進んだモノ。そしていつまでも進めず、何もかも判らないまま哀しい未来を迎えてしまったもの。一歩間違えたら自らが歩んでいたかもしれない未来を目の前にして、結局救う事が出来なかったラストの救いのなさは本当に秀逸だったと思います。そして志半ばで倒れたレンテンシアの想いがまた切ない…。

物語は3巻で一応の完結(打ち切り…?)という事らしいので、最後1冊、登場人物たちがどのような最後を迎えるのか。ハッピーエンドの可能性は限りなく低そうですが非常に楽しみです。

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秋山瑞人×古橋秀之講演会に行ってきました。

すでに各所でレポートがアップされているのであまり必要ないかもしれませんが
備忘録代わりに軽く感想をば?。
本当に私観入りまくりの「感想」かつ「日記」なので、まじめな
レポートを見たい方は他所の方の記事を参考にされてください。
こちらに講演会のレポートまとめがあるみたいです。

というわけで11/4に法政大学で行われた講演会に行って参りました。
出かけようとおもった最大の理由は自宅の近くから法政大学多摩キャンパス行きのバスが出ているので、簡単に行けそうだという理由だったのですが、出かける直前にサインしてもらう予定だった「イリヤ」1巻が行方不明になったり、日曜日でバスの間隔が1時間に1.5本というすばらしい状況になっていたり、時間調整だかなんだかで西八王子駅前で15分近く停車しやがったりと見事東京の癖に地方もビックリのすばらしさを見せ付けてくれやがりまして、その後も広大な法政のキャンパス内で迷ったりとたどり着くまでがすばらしい波乱万丈ぶり。というわけで講演も途中からしか聞けませんでした…

講演中に両先生も仰られてましたが本当に大学と広大な自然以外何も無いですね…。
いや、地元民だし知ってた。知ってたけど!!
学部棟と学部棟をつなぐ通路?からみえる景色が偉く広大で綺麗でした。
大自然を満喫するには良いキャンパスだと思います。

会場は大学の大教室で、序盤ちょっと内輪ネタっぽい話題が多かったのと、1つのマイクを2人の先生が使っているのが気になったりしましたが、それはそれで大学の学園祭の出し物という感じで味がありましたw
対談をしながらプロジェクターを使って秋山さんが部誌に投稿した「猫の地球儀」の雑誌投稿前のオリジナルバージョンとか、古橋さんが描いた漫画の挿絵(大学時代は漫研だったらしい)とか見れたのもなかなか面白かったです。

話の内容としてはライトノベルの話題も多かったですが、創作中のエピソードとか創作関連の話題が多かった気がします。執筆中の様子とか癖とか、あと新作についての話題もありましたね。後の質問コーナーでも現役文芸部在籍中の方、小説を投稿している方なんかが質問してました。「どうやったら長い話を規定の枚数にまとめられますか?」って質問の後、「長編小説を書けません。古橋先生、長編小説を書くコツを…」なんてのが来たのはひそかにツボでしたw

方向は違いますが創作活動をしている身としては色々創作意欲を喚起させるような内容で、これから年末に向けて頑張ろうという気分にさせてもらえたのが、個人的には一番の収穫だったかもしれません。お話を聞く限りお二人の執筆スタイルがほぼ正反対という感じなのでそういう意味でも両者の違いを楽しめて面白かったです。

ラノベ関係だと質問コーナーで真っ先に交わされた質問が「秋山先生、E.G.コンバットとミナミノミナミノの新刊は…」だったていうのがなんとも…せ、切実なものを感じました…。どちらも未読なのですが「E.G.コンバット」の方は巻数が変わった関係ですでに2回くらいラストまで書いてあるとかなんとか…も、勿体無い。


2時間みっちりお話を伺って、最後にサイン頂いて終了。結構和気藹々とした雰囲気で進んでいくので楽しかったです。学生時代から講演会というものが苦手だったので今まで敬遠してきた部分があるのですが、こういうイベントだったらまた参加しても良いな?と思いました。



余談。
サインを頂こうと秋山さんの方の列に並んでいた際、すぐ後ろでサイン待ちしてたのがどうもこの方とかこの方だったっぽいんですが…たぶん。うーん、ここは一つ「いつもブログ見てます!」とかなんとか一言ご挨拶させて貰おうかと思ったのですが、いまいち確証持ちきれなかったので結局声かけられませんでした。チラチラ後ろ見てる不審人物が居たらそれは私です。ほんとすいません…。

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面白検索キーワード&今月のオススメ[2007年10月分]

さてさて毎度微妙に趣旨が変わったり変わったりして微妙に迷走気味の「今月のまとめ」コーナーですが、
検索ワードが毎回同じような本ばかりになって面白くない」という理由から、
大幅に前半の方向性を変えてみました。

人気検索キーワードで取り上げた本のまとめっていうのが何気に難しく…。
だって何故か途中までしか読んでもいないのに人気検索ワードの2位が某香辛料とか!
検索キーワードTOP5の5位以外、全部今月読んだ本じゃないとか!
どうしろと!ある意味オモシロいけどさ!

というわけで

2007年10月のオススメ本。


されど月に光は届かず(⇒感想

鉄球姫エミリー(⇒感想

お狐サマの言うとおりッ!(⇒感想

「魍魎の都」がツボ過ぎでした!おかげで暫く脳内歴史モノ祭でしたよ!
鉄球姫エミリーはエミリーのお下品ぶりとそれとは裏腹なグロ展開に燃え。

2007年10月の人気(?)感想三選。


キノの旅XI(⇒感想

ドアーズ1(⇒感想

アビスゲート(1)(⇒感想

早い話が「アクセス数の高かった順」というやつで。
随時当サイトの検索ワードの4割を占めるキノたんと神坂新シリーズ作品が仲良くランクイン。
アビスゲートはとにかく、DOORSはマジオススメです。さすが大御所(違)


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彩雲国物語 隣の百合は白

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

年末に士気が下がる左右羽軍の面々を盛り上げるため、武術大会が催されることになった。優勝者は宮廷一の色男・櫂瑜様の恋愛指南が受けられると聞いて左右羽軍以外の部署の官吏達や御馴染みの面々までが飛び入り参加して…!?
他、邵可が黒狼を継ぐきっかけとなった話、そして百合姫から見た通称「悪夢の国試」の顛末のお話の計3本+αを収録。
   個人的お気に入り度数
遂に黎深様の時代がやって参りました。

後半2篇がまさに黎深様スペシャル。ここんところ、全体的に出番も無く影が薄くなりがちな黎深様の登場を心待ちにしていた貴方は絶対買いの1冊となってますw

「恋愛指南争奪戦!」はあらすじやタイトルからも想像出来る通りの、典型的なコメディ話。必死に優勝を狙う武官達を容赦なく追い落としていく御馴染みの面々の容赦ない姿も素敵過ぎますが、オチもいい具合にいかしてます。しかし、終始笑いの止まらない作品だっただけに、ラストではしんみりしてしまいましたね。

次の「お伽噺のはじまりは」は、紅家三兄弟の兄弟想いな姿が伝わってくる良い話。弟たちの為に自らの手を血に染める事を決意した邵可の姿にも胸を打たれるのですが、それ以上にラストの黎深・玖狼のやりとりが素敵すぎでした。黎深かこいいよ黎深。

そして書下ろしとなる「地獄の沙汰も君次第」。天上天下唯我独尊まっただなかの黎深が、邵可の傍に居たいが為に国試を受けようとして…という話。邵可や秀麗にはあんなにストレートな愛情表現をする黎深様が百合姫や「悪夢の国試組」に対してみせる素晴らしいツンデレっぷりに、最後までニヤニヤが止まらない話でした。紅家の経済力をフル活用した挙句、最終的には「あの」前王まで巻き込んで……というくだりではもう爆笑しっぱなし。黎深様かこいいよ黎深様。

そして更に何げに良い味出しすぎなのが、コウくんこと幼少時代の絳攸。黎深を無邪気に慕うその姿は様々な意味で同情を禁じえませんでしたが、その後も黎深と百合の仲を誤解(でもあながち間違いではない)してみたり、百合と噛み合わない会話をしてみたり……と可愛さ炸裂でした。

今まで出た「彩雲国物語」の短編シリーズの中では文句なしに一番面白かったんじゃないでしょうか。特に紅家及び吏部ファンの人は必読の一冊です。


れいしん様かっこいいよれいしん様。

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行けるかどうか判らないけど


多摩地区自主法政祭(11月2日?4日)にて『古橋秀之・秋山瑞人講演会』を開催いたします。
(法政大学SF研究会 in hatena)

法政の多摩キャンバスといえば、家からバスで一本じゃないですか。
あの辺りのバスもようやくSuicaに対応したことだし、
何も無ければ日曜日に出かけてみようかな。

しかし…

*古橋先生、秋山先生の著作持参にて一人一冊でお願いします。

一応「イリヤの空」を2巻まで持ってる秋山作品はとにかく
古橋先生の本を1冊も持っていないという壮大なトラップが!

えっちょっ、週末までに何か探して1冊読んどくか…

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Dクラッカーズ・ショート 2 過日 ?roots?

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都

「情報屋」の水原が組んだ相手は、ブルーのウィンドブレーカーを身に纏い、凶暴な悪魔を操って「ウィザード」と恐れられ始めた少年・物部景だった。派手で、一見無茶そうに見える景の行動に不安を抱く水原だったが、彼らの活躍を聞いたセルネットは、予想もしない大物を差し向けてきて…!?
   個人的お気に入り度数
「Dクラッカーズ」シリーズの短編集第二段。コンビを組み始めた頃の水原と景の騒動の話や景と甲斐氷太の初対決、セルネットの執行細胞トリオ誕生秘話などなど物語のはじまりを描いた短編のほか、幼い頃の梓達を描いた短編やいつもは強気な千絵が覗かせる弱音の話、各キャラクターの過去話を中心にとにかく美味しい短編が目白押しとなっています。

とりあえず、子供時代の梓と景が可愛すぎる。現在以上に押しの強い梓が、今以上にヘタレな景をつれまわす姿は見ていてほほえましいのなんの。「夜道」でのやりとりも良かったんだけど、様々なキャラクターがさりげな?く登場する「夏祭り」は本当に最初から最後までニヤケ笑いが止まらなかったです。ラストはちゃんとラブラブな展開で落としてくれるのも嬉しいポイントですね?。

シリアス方面の短編では、甲斐氷太との初バトル「狂犬」も面白かったのですが、景と水原の出会いを描いた「相棒」がドツボ。ヘタレながらも必死に景の役に立とうとする水原の姿が非常に印象的でした。そして二人の前に立ちふさがる敵がまた、いかにも憎めない“悪役”という感じのキャラクターで良いんですよね。本編には登場しないのがちょっぴり残念だと思うほど魅力的なキャラクターだったと思います。

ラスト近くの「Dクラッカーズ・ショート・ショート」は、5巻「追憶」ラストで景が“王国”へ向かった後に、残された面々が決意も新たに「実践捜査研究会」を再結成するという内容で、次巻への期待がいやがおうにも高まります。次回は遂に執行細胞・女王との直接対決…ということで、ますます来月発売の最新刊が楽しみになってきました…!

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天元突破グレンラガン 2

[著]砂山 蔵澄 [絵]品川 宏樹 [原作]GAINAX

螺旋王配下の四天王の一人・チミルフをなんとか倒し、ダイガンザンを手に入れた「大グレン団」。しかし、その戦いで祓われた犠牲はあまりにも大きかった。特にシモンとヨーコの落胆は激しく、自暴自棄になったシモンは大グレン団の中で孤立してしまう。そんな中、戦闘中にラガンのコントロールが効かなくなったシモンは奇妙なコンテナばかりが広がる谷に不時着して…
   個人的お気に入り度数
アニメの「第二部」にあたる部分を描いたノベライズ第二段。1巻の突き抜けるような熱さが控えめになってしまっていますが、その分前回とは別の方向で面白くなってきました。

精神的主柱でもあったカミナを失い、途方にくれるシモンとヨーコが謎の少女・ニアの真っ直ぐな信頼をきっかけに立ち直っていくという過程がすごくツボでした。特に立ち直ったシモンの売り口上がまたかっこいいのなんの。前半ずっと鬱々した展開が続くので、後半の成長したシモンの姿が余計頼もしく感じました。

ただ、個人的にニアのキャラクターはいまいちピンとこなかったかも。なんか微妙に信頼の仕方がおしつけがましいというか、信頼の寄せ方が少々無責任すぎるように感じてしまい…なんでもシモン一人に任せておけばいいってもんじゃないだろという気がしてしまって。信じることが何より難しいあの状況の中、結局彼女の無条件の信頼がシモンを立ち直らせたのは確かなのでしょうが、ちょっとあの信頼の置き方は怖いなあという気がしてしまうのでした。彼女に魅力を感じられるかどうかで、物語への移入度がぜんぜん変わってしまうような予感がするのでちょっと残念。アニメを見ればまた違ってくるのかなあ…。

むしろ大グレン団へと襲い掛かる螺旋王配下の四天王達が非常に魅力的に描かれてます。この辺の心象描写は小説版オリジナルらしいとのですが…特にチミルフを失ったアディーネのくだりとか、目の敵にしていたカミナの死を知ったときのヴィラルのなんともいえない複雑な心情なんかはすごく上手く表現されていて、魅力的でした。とにかく敵それぞれのドラマがすごく素敵だったので、この辺目当てに買うのは十分アリかと思います。

でもやはり他所の感想なんかを見てると、ある意味当たり前かもしれませんがアニメの副読本として読むのが正しい楽しみ方って感じはしますね?…一部アニメで脳内補完していかないと物足りない部分を感じました。もちろん、アニメを知らなくても普通に楽しめることは楽しめるんですけども。

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RIGHT×LIGHT 空っぽの手品師と半透明な飛行少女

[著]ツカサ [絵]近衛 乙嗣

船の事故で両親と妹を亡くした啓介は、妹の手を掴めなかった「右手」で掴んだ物を消してしまうという呪いにも似た力を得る。事件以来孤独を恐れ、周囲に怯えながら生きてきた彼はある日、自らを魔術師と名乗る半透明な少女・アリッサに出会い、何故か彼女にとり憑かれる羽目に!?
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過去の事件がトラウマになってしまって、周囲の顔色をうかがいながら生きてきた主人公が前向きで正義感の強いアリッサと出会って変わっていくというとても素敵なボーイミーツガールものでした。最初は謎の“仮面”達に襲われているアリッサを見ても助けようとすらしないくらい臆病で酷薄だった啓介が、気持ちがいいくらい真っ直ぐなアリッサの物言いに共感して過去の自分を取り戻して、さらには過去の事件のトラウマから解き放たれていく…という過程は凄く直球な青春物語という感じでとっても素敵。

色々とトラウマとかグログロした展開もあり、魔術師達の話だけあってエグい展開も多少はありますが、表紙イラストから印象的な「空」のイメージが良く似合う、とても爽やかなお話でした。エピローグも綺麗にまとまってて…特に主人公が自らが作っていた「壁」を自覚する所なんかは凄く良かったです。

個人的にはいささか主人公の後半の行動がかなり唐突過ぎるのと、後半になるにつれて露骨に奈須きのこ臭がプンプンしてくるのはどうかなーと思ったりしますが、まあ面白かったので無問題です。よく判らない所でやたらと強調文字を使うのがちょっと厨臭いとか、後半の行動原理がもうどうしようもなくどっかの衛宮士郎だろとか、多分ツッコミしちゃいけない部分。強調表現は、地の文で十分に表現できていたと思うんで余計な事しない方が普通に良かった気がするんだけど。

ただ、「魔法」と「魔術」の定義の違いのあたりは、ちょっと説明不足気味なものを感じたかも。前述の奈須きのこ作品をはじめとして既存の作品でもそういう設定の作品がちょくちょくあるようなので説明不要と思われてるっぽい印象を受けましたが、そういう知識がまったく無い人には判り辛かったんじゃないでしょうか。

そんなこんなで全体的にバトルシーンがちょっとイマイチな印象を受けたのですが、ボーイミーツガールものとして読むと非常にツボな作品でした。イラストも雰囲気に合ってて、文句なし。続編が出るか、新作が出るときには是非ともバトル分薄めにした少年少女の成長物語を読んでみたいなあ。

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お狐サマの言うとおりッ!

[著]かたやま 和華 [絵]風都 ノリ

兄と共に父の遺した剣術道場を営みつつ、貧乏ながらも慎ましやかに暮らしていた桐緒はとある満月の夜に白猫を助けることに。翌朝、その白猫をつれて彼女の家に現れた男・紗那王は自分のことを九尾の狐だといい、猫を助けてくれた恩返しにこの家に憑いてやる、と言い出して…!?
   個人的お気に入り度数
江戸時代を基にしたパラレル世界で、九尾の狐・紗那王にひょんなことからとり憑かれてしまった桐緒を中心に繰り広げられるラブコメです。

直情型で色恋沙汰にうとい桐緒が超偉そうで余裕たっぷりな紗那王やその周囲の妖怪達に振り回される姿が素敵でした。一見男勝りな桐緒だけど、内心では女の子らしい優しさを覗かせてくれるのがなんとも可愛い。そんな桐緒に対して「恩返し」だのなんだのといいながら、気がつけばすっかり御主人様気取りな紗那王の方も、主人である桐緒の無鉄砲な行動をさりげなく心配している様子が要所要所でうかがえてニヤニヤしっぱなし。二人の関係が凄く微笑ましくて、ツボでした!

そしてそんな二人を見守る脇役達も良い味出してる。なかなか進展しない二人を暖かく(?)見守る桐緒の兄・鷹一郎もさりげなくかっこいいし、紗那王のお付きでやんちゃざかりの化け猫少年などなど…魅力的なキャラクターが目白押しで、とにかく飽きさせません。

ただ、個人的には黒幕の正体があからさま過ぎるほどにあからさまだったもんで、その辺だけもうちょっとひと捻り欲しかったような。それでさえそのポジションのキャラは敵になりやすいのに行動が露骨に怪しくて、出てきて5Pもしないうちに「きっとこいつが黒幕に違いない!」とか思ってしまったのはちょっと切なかったかも…(そして見事予想通りの展開に…)

しかし世界観といいキャラクターといい見事ドツボな作品だったので、少し落ち着いたら続編もチャレンジしてみようかと。同じ作者で江戸時代を元にした作品がもう1シリーズあるとのことなので、そちらも気になります。

あと、表紙買いした作品の中では久しぶりに挿絵が非常にツボ。元々挿絵の人は同人の方で予めそれなりに知ってる方だったので元々不安は持ってませんでしたが、「和服にフリル・レース」なんていうある意味ミスマッチになりかねないファッションも上手いこと違和感無く可愛く表現していて、素敵でしたー。

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されど月に手は届かず 魍魎の都

[著]本宮 ことは [絵]眠民

春宮・師貞親王が夜な夜な悪夢に魘されている、と親王の乳母をしている母から相談を受けた橘則光は、陰陽師に協力を仰ごうとする。加茂家から当代きっての陰陽師・安部晴明を紹介してもらったところ、妖怪退治で有名な源頼光とその四天王が遣わされてきて…
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諸事情により本編より先に出ていたというシリーズ番外編です。本編でも少しだけ話題に上った橘則光が頼光四天王と共に東宮に障っている妖怪を退治する……というお話。

諾子もちょっとだけ登場して、二人の出会いが今度は則光側から描かれたりするのでその辺のリンク具合が結構面白かったです。ただ、私の場合本編から先に手をとったのですが、この番外編は本編の後に読んだ方が明らかに正解な印象でした。こちらから先に読んだら「なんで諾子はここしか出番が無いんだろう?」って感じになりそうですし、本編でネタ振りされてるからこそ面白かったという部分が多いようにも感じます。ドラマCD化のためだったらしいとはいえ、ちょっと勿体無い使い方だなあ。

そんなわけで本編に登場した個性豊かなキャラクター達の魅力については語るまでも無いのですが、綱とは違う方向のキレモノ美形・源頼光やご本人の登場は無いものの美味しい所をもってきまくりな安部晴明が地味に素敵です。そしてますます謎が深まる稀代の陰陽師様の素顔が非常に気になります。で、出るよね!?

ちなみに頼光四天王では公時がだいすきです。
次に好きなのは貞通です。
判りやすいですか、そうですか。

後半は東宮に憑いていた妖怪、そして綱達と「鬼」との戦いがメインになってきますが……下敷きにされている原典がまた、自分の好きな物語の中でも複数の作品から下敷きにされているなじみのある物語で、原典も読んだ事無いのに思い入れありまくりな私はとにかく脊髄反射しまくりでした。というかもう本当にこのシリーズ、時代設定と下敷きになってる人物・事件がいちいちツボすぎる。よりによって「大江山」なんて!!茨木童子だなんて!設定だけで萌え死ねる…!!

挿絵はこちらの方のほうが平安っぽくて好きだったりします。
本編の挿絵、ポップで可愛くて確かに本編の作風には合ってると思うんですが……明らかに、露骨に平安じゃないパーツが平然と描かれているのが平安時代萌えとして許せない…特に諾子の服装。なんで十二単の下からフリルがのぞいてるのかと小一時間問い詰めたい。

ところで問題のドラマCDに好きな声優さんが出演されてて、物凄く気になります。
その人が則光役だったら正直即買いだったんだけどな…!!

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