ページ 155 | 今日もだらだら、読書日記。

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ネクラ少女は黒魔法で恋をする5

[著]熊谷 雅人 [絵]えれっと

ネクラだった自分を克服し、演劇部にもクラスにも自らの居場所を少しずつ作っていた真帆。ところが、憧れの先輩・一之瀬とは犬猿の仲と言う生徒会長に黒魔法少女である事を指摘され、彼の『死んだ人を生き返らせる』という願いに協力するよう持ちかけられる。それを拒否したところ、翌日から心なしか周囲とギクシャクしはじめて…
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「ネクラ少女?」シリーズ完結編。生徒会長の策略により再びネガティブ思考の罠にハマってしまった真帆が、上手くいかない周囲との自らの後ろ向き思考との齟齬に苦しみながらも奮闘します。ラブコメとしても青春物語としても綺麗にソツなく終わった印象。

とにかく疑心暗疑に陥りながらも必死に自分の思考に負けないように頑張る真帆の姿が印象的。一度こういうのに陥ると自分から立ち直る事ってなかなか難しいし、1巻の頃の“ネクラ少女”の姿から考えると信じられないほど精神的成長を果たした真帆の姿をみて、こちらまでとっても暖かい気持ちになりました。「ネクラ少女」としての彼女の姿が見られなくなったのは残念だったけど、その不満を打ち消して余りあるほどの成長振りに嬉しくなりながら、エピローグで●●の記憶が無い事を一之瀬先輩に確認しちゃうチャッカリした姿に思わずにんまりしてしまったり。

でも何より、そんな彼女を時には厳しく、時には暖かく迎え入れてくれる演劇部の面々や、裏表なく元気いっぱいに受け止めてくれる大河内、普段は情けないけどやる時はやる永音先生、ツンデレだけど実は姉想いな妹の夏樹、そして今回遂に正体を明らかにしたオジ様・伊丹氏などの周囲の暖かさが胸にしみます。とにかく最初から最後まで、仲間や友人の暖かさを教えてくれる素敵なシリーズでした。本当に真帆は良い仲間を持ったなあ…。

個人的には一つだけ、やはりシリーズ通して神門との三角関係が全く描けてないのが残念だったけども。4巻では一之瀬先輩が空気だっていったけど、5巻は一之瀬と真帆が接近した所為で神門が完全に空気に……やはり神門は2巻でのゲストキャラ止まりにしておくべきだったと思うんですよ。おそらく神門が出張ってくる3?4巻をすっとばして1、2、5巻を読むだけでも十分物語としては成立してしまう気がして、まるで3・4巻だけまるで別シリーズを挟み込んだかのように浮き上がっているように感じるんだよなあ。単純に誤解させるだけじゃなくて、神門が“恋敵”として一之瀬先輩につっかかっていくような展開があるだけでもここまでの違和感は生じなかったと思うので、そういう描写が全く無かったのは本当に残念でした。

でも無理に二人をくっつけず、彼氏彼女以前の関係のまま含みを持たせたエピローグには大満足。
面白い物語を本当にありがとうございました。

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黄昏色の詠使い5 全ての歌を夢見る子供たち

[著]細音 啓 [絵]竹岡 美穂

意識を取り戻さないクルーエルの容態は日増しに悪化していった。ティンカは少しでも彼女を救う可能性を求め、サリナルヴァが副局長を務めるケルベルク研究所へ彼女を移す事を決める。治療のためなら仕方ないと周囲が思っていた中、唯一クルーエルを移す事に反対したネイトは一人で研究所を目指そうと学園を飛び出すが…?
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灰色名詠を使うミシュダルとの対決やクルーエルとアマリリスのに決着がつく、第一部(というかEpisode1)の完結編となるシリーズ第5巻。

クルーエルを心配するネイトやミオ、そしてクラスメイト達の姿に思わず心が暖かくなりました。1巻を読んだときに感じた独特の「綺麗さ」や「暖かさ」が全開のお話になってて、大満足でした。特にクルーエルとネイトが二人で詠を唄い合うシーンは本っ当に最高。

ちょっと中盤辺りで詰め込みすぎというか少々わかりづらい印象を受けたのですが、エピソード2への波乱をちょっと含みながらも最終的には誰もが哀しい想いをしていない、素敵な決着のつけ方はなんともこのシリーズらしいというカンジで大好きでした。

……なんて感想もあるにはあるんですが、もうその辺は正直建前で。今回はとにかくネイトとクルーエルの二人に悶えた…ッ!!クルーエルを心配するネイトの姿がもうとにかく可愛いのなんの。本文でも挿絵でも、散々悶えさせてもらいました。もうとにかく今回はかなりオープンにラブラブな二人を見られます。

???おやすみのキス、して?

「だめですクルーエルさん。僕、おやすみのキスなんて絶対しません」
「ねえ、クルーエルさん」
「もし僕が……おやすみなさいじゃなくて、おはようございますってキスしたら……クルーエルさんは目を覚ましてくれますか?」

ぶっちゃけこのやりとりを見たときは電車の中なのにも関わらず転げまわりたい衝動にかられました。
お、おおおおおおおお持ち帰りィィィィッ…!!!(落ち着け)

今後は4月に短編集、そして完結編となるエピソード2へ続いていくとのことで、個人的にはもうひとりの美少年キャラ(と勝手に脳内で認定しました)シャオ君とネイトの対決がとっても楽しみです。

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ベン・トー サバの味噌煮290円

[著]アサウラ [絵]柴乃 櫂人

烏田高等学校の学生寮では『自立した生徒を育てる』という教育方針の下、昼食・夕食が出ない。少ない仕送りを少しでも有効に利用しようと閉店間際のスーパーの半額弁当を手に取ろうとした佐藤洋は、嵐のような『何か』に巻き込まれ吹き飛ばされてしまう。数日連続で弁当争奪戦に敗北した洋は、『氷結の魔女』と呼ばれ怖れられる少女・槍水仙に教えを請うのだが…
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いや?ネットでの評判は聞いていたけど、予想以上に面白かった!閉店間際のスーパーの半額弁当を狙って繰り広げられる命知らずのバトルロワイヤルに、何も知らないオバカな主人公が巻き込まれて少しずつ成長していくという物語。面白そうだとかネットでの評判とか「ある種バカテスに通じる」なんて自分的後押し発言もあったわけですが、購入を決意した元凶がこの発言であったことは紛れも無い現実です。責任とってくだs(強制終了)

内容を一言で言うとやってることは半額弁当版『学校の階段』、ただしキャラクターは『バカテス』風味、みたいな。バカテス風味というか、洋のキャラがどこかバカテスの明久っぽいのか…性格はとにかく、貧乏でヘタレでバカで趣味最優先の金の使いっぷりら辺。個人的にはやはりメイン4人のキャラクターが凄くツボでした。ヘタレでバカな洋と孤高の強者なのに寂しがり屋な槍水先輩のほのかなラブ描写にニヤニヤしつつ、最初はクールなクラス委員というイメージだった白梅梅が後半に行くにつれガンガン壊れていく姿に爆笑しつつ、やはり一人の腐女子として一人何か間違った方向に暴走する白粉花を応援せずに居られません。ていうかとりあえず『筋肉刑事』シリーズ読ませろ。話はそれからだ。なんかもう素晴らしく阿呆らしそうで実に気になる。彼女にはスーパーダッシュに咲く一輪の腐った花として頑張っていただきたいです。

キャラクターも魅力的ですが、『半額弁当』に賭ける漢達の(無駄に)熱い生き様には思わず胸を震わされる。ブツはただの半額弁当だが、幾つかの暗黙の了解と共に在る闘いは妙に気高い。半額弁当を手に入れることが出来なくても、認め合った宿敵同士でお互いを恨んだりせずに声を掛け合う様子は恐ろしく清清しい。個人的には顎鬚の「ワン公」って呼び方が、まるで鍛え概ある後輩に対する態度のようなカンジで凄い好きだったりします。そしてそんな強敵たちを乗り越えて半額弁当を漸く手にしたときの喜び、弁当の美味しさの描写といったらもう……最高です。本当にありがとうございました。

考えると金の無い学生時代、中学時代から人一倍食べるようになった私はどれだけ安いお金で腹を満たせるか色々手を巡らせたものです。なんとなく、そんな学生時代の自分を思い出して懐かしくなりました。いつから自分は食を“浪費”するようになってしまったんだろう…。いや、今コンビニ弁当派なのは単純に職場の近くにスーパーがないからなんですけど、ね…orz
ともかく、明日から腹が減ったからと調子に乗って暴食するのはやめようと思いました。

「なんで半額弁当?」とか言っちゃ駄目。考えるな、感じるんだ!!!

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ネクラ少女は黒魔法で恋をする4

[著]熊谷 雅人 [絵]えれっと

高校受験を目の前に控えた空口夏樹は、彼氏と上手くいかずに悩んでいた。それなのに姉の真帆ときたら、残しておいた冷蔵庫のプリンは勝手に食べるし、挙句人の枕元でブツブツと黒魔法の呪文を唱え始めるし…。思わず夏樹は一方的に姉を無視することにしてしまうのだが…
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「ネクラ少女?」シリーズ、4作目は各キャラクターに焦点を当てた短編集。空口姉妹の仲違い、大河内&雛浦が暴漢を退治するため奔走する話、湊山先輩のちょっぴり甘酸っぱい勘違い話(笑)と、演劇部の夏合宿の話の4本を収録。

真帆のネクラ成分は順調に薄くなり気味で、それが少女の成長を描く青春ラブコメとしてひとつの魅力ではあるんだけど、それが逆にこのシリーズ最大の個性であろう「ネクラ少女」という部分を徐々に殺しつつあるのが難しいところだなあ。なんていうか、ただの青春ラブコメになってしまって、安定した面白さはあるんだけどラブコメが元々あんまり好きじゃない身としてはいまいちピンとこない作品になりつつある…。

それでも各キャラクターの個性が立っているので、それぞれの短編は非常に面白かったです。一見仲悪そうに見えるんだけどお互いがお互いを気にせずには居られない空口姉妹の関係にニヤニヤしつつ、雛浦さんのまるでマンガみたいな(…小説だけど)家庭環境と、そんな彼女を引きずり回す大河内との凸凹コンビっぷりが微笑ましくなったりとかなり楽しめました。湊山先輩は……その……ご愁傷様、です。

ただ、真帆の毒気が抜けつつある現状では、演劇部の夏合宿を描く「空口真帆と仲間たちの夏」は正直微妙だった。一之瀬先輩との仲も進展するかと思いきや一之瀬は気絶しっぱなしで肩透かし食らわされたカンジだし……ここは一つ一之瀬先輩と色々なぶっちゃけ話をするみたいな嬉し恥ずかしイベントを挿入すべきだったよ!というか、一之瀬先輩の影が薄すぎて、「本当にコイツとくっつくの???」ってカンジが否めない。今のままだとこの二人の関係は真帆の空回りにしか見えなくて、次で余程上手い事やってくれないと、くっついても「え、なんで?」って思っちゃいそうだ。

そもそも、1巻以外での一之瀬先輩の存在が物凄く空気なので、何故真帆がそこまで一之瀬に固執するのかが見えてこないのが致命的です。キャラも他の演劇部の面々が上手い事キャラを立てているのに対し、あんまりキャラが立っていないように見える。読んでいるほうとしては、真帆も神門とくっついてしまえば?という気持ちにならなくもなく……

神門は2巻で登場した時には結構好きなキャラだったんだけど、本当に一之瀬と真帆をくっつける予定になっているのなら、神門は2巻のみのゲストキャラにしておいて3巻以降は真帆と一之瀬の恋愛模様に話を絞って欲しかったかなあ。

さてさて、物語は次で最終巻ということですが、殆ど全く進展が見られない一之瀬先輩との関係や3巻で意味ありげに出てきた割に4巻では存在ごとスルーされた生徒会長、真帆の傍に潜んでいるらしい黒幕悪魔……などなど、大量にあるような気がする伏線をどうやって回収してくれるのでしょうか。大きく物語が動くであろう最終巻に期待。

個人的にはラスボスっぽい雰囲気を纏った生徒会長の活躍がとても楽しみ(あれ?)

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文庫版「空の境界(上)」+映画版1〜3章感想

 

2年間の昏睡から目覚めた少女・両儀式(りょうぎしき)が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる“直死の魔眼”。浮遊する幽霊の群れ。人の死を蒐集する螺旋建築……。この世の存在のすべてを“殺す”、式のナイフに映る数々の怪異。非日常の世界は、日常の世界と溶け合って存在している。 あの伝説の同人小説の講談社ノベルス化が満を持して成就。“新伝綺”ムーブメントの到来を告げる傑作中の傑作がいま新生する!!

映画と同時進行で1ヶ月1章ペースで再読を進めていた「空の境界」、漸く文庫版の上巻分まで読み終わったので映画版とあわせての感想を。どちらかというと映画版感想の比重が高いかも。

1/俯瞰風景
実は私、映画化決定直後に再読を決意して、1章読みきるのに1週間を要して力尽きたという素晴らしい体験をしました。映画のパンフレットに掲載された解説に「わざと難解な作りにした」との言がありますがぶっちゃけそれから判断すると私は一応最後まで読んだものの、確実に“奮い落とされた”側でしょう。空の境界という物語は元々判り辛い物語に7章の時間軸がバラバラに配置されていることで更に読みづらさを上げている作品ですが、この「俯瞰風景」という物語は物語の中ですら時間軸が錯綜します。そこに良い具合で橙子さんや幹也の薀蓄が入り込み……で、一言で言えばとにかく読み辛い。

…で、この時間軸の錯綜が映画版では発生しないのでかなりシンプルな物語として描かれます。映画版のビジュアルで補完しながら読むと、あれだけ解読に時間のかかった1章があっさり数十分で読めました。1章で投げてしまっている人は、とりあえず映画版を観てから本編を読むのもアリかと思います。この文章ならではの「読みづらさ」が解消されると物凄く面白いんですよね、実際のところ。

それで映画版の方ですが、個人的にはテーマソングもストーリーも、今までに見た3章の中では一番好きだったり。「銀幕で観る」事を意識した効果音にはとにかく惹きこまれるし、ビルの上を浮遊する少女達というどこか現実離れした風景は美しい。屋上で繰り広げられるバトルシーンもどこか現実離れしたかっこよさが…。そして田中理恵さん演じる巫条霧絵の最期の独白シーンには泣かされました。この回だけ2回見に行ってしまったのですが、とにかくあっという間の1時間でした。

あとハーゲンダッツの殺傷能力が高すぎます。式可愛いよ式。

2/殺人考察(前)
高校生時代の幹也が式と出会い、式が昏睡状態になるまでの話。最初に本編を読んだときも一番内容を覚えていた話なんだけど、やはり1章&3章と比較すると全然読みやすかった印象。実はというか予想通りというか、この話に登場する式のもう1つの人格“織”が凄い好きなので、織と幹也のデートシーンではニヤニヤが止まりませんでした。ちなみに映画版のデートシーンではもうひとつ、「月姫」シリーズ好きには思わずニヤリな仕掛けが。

映画版は幹也と式(織)の日常がメインになる分、他の2章よりも冗長な印象を少しだけ受けました。というか、内容を全く理解できてなかった1章・3章と比べて内容をそれなりに覚えていたのが逆に冗長さにつながってしまったのか…でもまだ初々しい二人のやりとりにニヤニヤ出来る、良い話です。式の笑顔が結構良い確率で見れるのも個人的には美味しい。後半殺伐だけど気にしたら負け。

余談ですが、織と幹也のカップリングはやはり腐カップリング扱いなのでしょうか。うーむ。1章・2章終わったあとに「コクトーはヒロイン!!コクトーはヒロイン!!と騒いでいたのは何を隠そう私です。

3/痛覚残留
式が目覚めて2ヵ月後に起こった、式が左腕を失うきっかけとなる話。出番が空気でお姫様状態な1章、なんとなく妙に悟った感じの高校生時代な2章と比べ、不思議と3章の幹也が凄く人間臭く感じてました。それまで解説担当というか薀蓄担当みたいな印象があった彼がアクティブに動く姿が見れるからかな。しかし、1度読んでる筈なのにカケラも内容を覚えていなかったのはなんでだ…orz

映画版を観た後に原作を読んだら、かなり様々な部分が削られてシェイプアップされてますね。藤乃と幹也のやりとりは相当短縮されてますし。ただ、だからこそ「映画を見た後に原作を読んだら、映画では判らなかった部分が理解できた」というのが結構多かったように感じます。かといって、映画がつまらなかったと言うことは全く無く、細かい描写を省いた分バトル面が引き立っていたような。バトルシーンは3章が一番気合はいってます。式と藤乃の超能力者対決は特に必見。

ちなみに映画版は始まった途端にいきなり「ギッコンバッタン」です。
擬音が何を示すかは推して知るべし。
てっきりグロ方面やファン層の関係でレイトショー公開だと思っていたのでこっちの方面で攻めてくるとは予想外でした。いや、確かに原作でもそういう類の表現あったけどよ!!!

映画版。ラストの式の笑顔は反則です。可愛すぎます。

総括
「空の境界」本編はとにかく難解で判り辛く、読みづらい小説です(少なくても私にとっては)。ただ、そのとんでもない読みづらさを無理に押してでも、ラストまで読んでしまうような魅力を持つ作品であると思います。解説の綾辻行人さんが評されているとおり、キャラクターにしろストーリーにしろとにかく「かっこいい」という言葉が似合う作品。

とりあえず映画を見て、ビジュアル面での補完を行ってから本編を読むと非常に読みやすくなるので、その辺で詰ってしまっている人にはとりあえず映画見るのを超オススメします。映画は本当にクォリティ高いので、原作を全く知らない人でも十分楽しめるかと。そして、該当する章を読んだ後で再度映画館行くと、文庫版で更に補完が出来ているので新しい発見があったりするかも。

とにかく、文庫版は単独で読もうとすると難解なんだよなあ……私の読解力が無いといわれればそこまでですが、特に「俯瞰風景」で投げてしまう人は凄い多そう。Web小説として掲載する際は確かにある程度読者の振り落としを必要としたのかもしれないけど、それが現在まで残ってしまっているのはなんだかもったいない。

あと、今回映画版を見てつくづく思ったのですが、やはり奈須氏の文章はビジュアル面での補強がそろって初めて真価を発揮するんじゃなかろうかと思うのですよ。「DDD」ではその読みづらさは多少なりを潜めた印象がありますが、やはりどこか読みづらい印象は拭えない。その読みづらさが、「月姫」や「Fate stay/night」では全く感じられないんですよね。別に文章力が無いとかそういうことを言いたいわけではなく、ただ「そういう」文章なんじゃないかと。だからこそ、やはり小説版で満足している人も映画版を一緒に見て欲しいなあと思う。「小説版」「映画版」の相互補完によって空の境界という作品は初めて完成するのではないかと、そういう印象を受けました。

そして映画版。とにかく効果音とかが映画の大迫力で観ることを前提に作られているというカンジなので、観れる環境があるなら是非映画館に見に行くべき!!と主張したい作品です。…とはいうものの、常時満員御礼&Web予約は日付変更後数分で完売という状態が3ヶ月続いているので相当の気合とか根性が必要となりますが…上映映画館少ないし、地方じゃやってないし。あと男性比重が極端に多いので、個人的に女性一人では入り辛い雰囲気が結構ありますね。女性一人で行って立見とかになると相当きついかも。でもそんな障害を乗り越えてでも、見に行く価値のある映画だと思います。

最後に、映画が始まる前のクレイアニメーションは型月厨的に超必見。猫アルクとかやさぐれ凛とかが何気なく出てきて、ファン心をくすぐりまくりやがります。
DVD化の際は当然映像特典として収録していただきたいところ。

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天元突破グレンラガン3

[著]中島 かずき [絵]品川 宏樹 [原作]GAINAX

ロージェノムを倒し、地上に人間と獣人の共存する国を作り上げた大グレン団。総司令になったシモン、その補佐になったロシウを筆頭に殆どの大グレン団メンバーは樹立された政府の要職になり、そして7年間の平和を謳歌していた。ロージェノムが遺した言葉に不安を感じたロシウを除いて。そして7年後、月から謎の新たなる敵が襲来して…!?
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アニメ版の「第三部」を描いたノベライズ第三弾。いきなりシモンが大人になってるよ!?いや、以前から第三部でいきなり大人になるって話は聞いてたんですが…実際目の当たりにするとビックリでしたw

7年間の平和な生活によりすっかり平和ボケした大グレン団の前に、更に強大で絶望的な敵が襲い掛かる!という展開で、今までになく絶望的な敵と立場が大きくなりすぎてしまった所為で1つにまとまれない味方……と、後半までもどかしい展開が続きます。かつての大グレン団の面々と、ロシウ率いる“第二世代”の戦後派の対立は本当に見ていてもどかしいというか、「そんなことしてる場合じゃないでしょー!!」と叫びたくなってしまいました。正直「あの」行き当たりばったりな大グレン団に政治なんてものが勤まるとは思えなかったのですが、もろにその予想とおりだったというか…彼らを疎ましく思うロシウの気持ちも正直判る。

それでも、彼らもただのうのうと7年間を貪っただけではないんだなあと思うような描写が多く、その辺は非常に楽しめました。父親になった二人の葛藤とかも興味深かったし、それ以上にキタンの葛藤する様子は凄く感慨深かったです。自分よりもずっと若い筈のロシウが、どんな思いで感情を殺してあの判断をしたのかなんて、以前のキタンだったら気付かなかったんじゃないかなあと思いますし。2巻まではただのキレやすいバカ男としか思えなかった(酷)のがすっかりいい男になって…(正直、そのいい男っぷりが死亡フラグに思えてしょうがないのはきっと気のせい。…なんかそんな噂を聞いた気がするのもきっと気のせい。)

そしてなんといっても一番成長したのは総司令になったシモンでしょう。特に2巻でのうじうじしっぱなしのシモンの姿が印象に残っているので、ニアがああいうことになってしまっても、自分の処刑を叫ぶ市民達の姿を見ても、自分の殻に篭らず毅然として対応している姿は物凄くかっこよく感じた。ほんと大人になったんだねシモン…。ヴィラルとの凸凹関係も非常に良かったです。こういう元宿命のライバル同士がなんだかんだいいながら共闘する姿って言うのは燃えますね!!

というかあれはどうみてもシモン×ヴィラr(強制終了)

後半の、大グレン団の活躍はやはりこうでなくちゃというか、この人たちは前線で戦ってるのが似合うよなあといわざるを得ない爽快な展開。ていうか、もろに「俺達の戦いはこれからだ!!」な終わり方なんですが、まだ4巻があるんだよね!?(笑)

最終巻が楽しみです。

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ネクラ少女は黒魔法で恋をする3

[著]熊谷 雅人 [絵]えれっと

なぜか“アスガルドの特派員”として働く事になってしまった空口真帆は永音先生の部屋の掃除をさせられて悪態を付きながらも、それなりに充実した日々を送っていた。そんな彼女のクラスにやってきた転校生がやってくる。日常的に、とにかく不幸な目に遭いまくりながらも微笑を崩さない彼女を「強い」と感じる真帆だったが、実は彼女には悪魔が憑いていて…!?
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1巻の頃の「内弁慶毒舌少女」という特徴は薄れつつあるんだけど、その分オーソドックスに面白いお話になってきた感じ。それでも真帆のブラック極まりないユーモアは満載で、そんな彼女の姿を見るたびにニヤニヤさせられます。思わず黒魔法的な事を口走ってしまったり、演劇部で歌を歌わされればうっかり“ドナドナ”を歌って周囲をドン引きさせてしまったり……。「屠るぞ」はちょっと名言だと思ったw

個人的にはストーリー本線とは全く離れてしまうのですが、クラスメイトの大河内に対して徐々に遠慮が無くなっていく真帆の姿が実に素敵です。1巻の時点ではただの脇役だった大河内さんですが、ちょっとバカで小さなことは速攻忘れるという彼女の人格は内面真っ黒な真帆が遠慮なく黒い部分をさらけ出せる、良い友人になるのではないかと。

今回はとにかく不幸の星に生まれ、悪魔に取り憑かれてしまった転校生・宮脇の悪魔を祓う為、またもや真帆が奮闘します。本来その仕事を請け負うはずの永音先生はちっとも役に立たないし、悪魔に対抗するため神門と連れ立って行動しなきゃいけなくてまた誤解を生むし、それなのに他の人には事情を話せないし…でヤキモキする真帆の姿が微笑ましいです。しかし、神門との仲は地味に進展してるのに肝心の先輩との仲はちっとも進まないというのは読んでる方としてもヤキモキしますね。あと2冊でどう決着をつけるつもりなんだろう?まさかこのまま神門ルートなんてことは…(悶々)

一之瀬先輩といえば、遂に前回からちょくちょく影をちら付かせていた演劇部の敵こと生徒会長が遂に登場しました。これがまた典型的な悪役と言うカンジで……普段おっとりした一之瀬先輩が怒りを露にする姿がまた新鮮で。今後彼がどんな風に物語に絡んでくるのか実に楽しみだったりします。腐女子的にも二人の対決に期待!!(いえ、別に801萌え的な展開を期待しているわけではないですよ!?)

様々な紆余曲折はあったものの、最後には宮脇さんが目の前の不幸の中から小さな幸せをみつけて、「ラッキー」と言えるようになったことが一番嬉しかったです。読み終わって暖かい気持ちになれた1冊でした。続きも楽しみ。

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イラストレーター・作家別感想リスト作成しました。

以前からやろうやろうと思っていたのですが、とりあえず雛形だけ作成してみました。

作者別感想一覧 | イラストレーター別感想一覧
→今はこちらに移動1巻感想まとめ

作者・シリーズ別でいちいちカテゴリを作成すると膨大な量のカテゴリが必要になるので、作者別カテゴリを廃して検索結果で引っ掛けるようにしてみました。流石にカテゴリ数200突破は避けたいので…orz
2005年以前の記事の一部がまだこの検索で引っかかるような形に対応してないので、一部引っかからない記事があるのですが、大体出るかと。

データをエクスポートする際に、挿絵作家さんのデータも大体拾えたので、ついでにイラストレーター別も作成してみたり。こちらもほぼ全部出てくる筈です。



ところで、昨日アップしたばかりのフルメタ感想に凄い勢いでアクセスが集中してるんですが何事ですか!
2月の月間アクセスはバカテス新刊効果で偉いことになってるんですが、ますますカオスなことになりそうです。

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ネクラ少女は黒魔法で恋をする2

[著]熊谷 雅人 [絵]えれっと

2年生になった「ネクラ少女」空口真帆は、なけなしの勇気を振り絞ってなぜか気になる先輩が居る演劇部に入部した。ところが、演劇部は顧問の先生と部員の不足から、廃部の危機に立たされていた。自分にも出来ることはないかと“黒魔法”での人集めを思い立った真帆だが、公園で黒魔法を使うところを他人に見られてしまって!?
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予想以上にヘビーな方向で来ました。あっさり記憶を取り戻してしまったのは正直意外だったのですが、これがまた痛い展開で…

自分の中には既にある筈の記憶を誰とも共有出来ない。真帆にとっては死に物狂いで築いた筈の人間関係が、あっさりと瓦解しているというのは本当につらかっただろうと思います。先輩との関係を再び1からやり直す事をとるか、既に自分のことを好いてくれている相手で妥協するか、思わずゆれてしまう真帆の気持ちも痛いほど理解できる気がする。

個人的には悪魔に頼らず、今度こそ自分の力だけで再び関係を築いていく真帆の姿を見たかったので、記憶が戻ってしまったのはちょっと意外というか拍子抜けな部分もあったのですが、それ以上に強くなった真帆が自分と同じ間違い・同じ過ちを繰り返そうとする神門の間違いを正そうと奔走する姿が素敵だった。1巻からの成長が如実に見て取れるところが好印象。まあ、なんだかんだいって中身はネクラな毒舌少女のままなんですけど(笑)

ただ、個人的には真帆の心が「みんなの記憶を取り戻そう!」じゃなくて早く「ここはひとつ、イチから関係を作り直そう」って方向に行ってほしいかな、と思ってみたり。前者の方向に気持ちが流れるのが微妙だなあと思ったので再び関係を築く方向に話が動く事に期待をしてたんですけどね。いや、そちらの方に気持ちが傾くのは当たり前だし、それでこそネクラ少女であるとも言えるんですが。

そして最初「うぜえ!!」とばかり思っていた永音先生が最後の最後で…!!実はいい人ってパターンかよ!!と地味に噴きました。永音先生かっこいいよ永音先生。

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メイド刑事6

[著]早見 裕司 [絵]はいむら きよたか

突然海堂のお屋敷に現れた男は、さくら夫人に料理対決を申し込んだ。彼は、両親が破滅したのはさくら夫人が過去に取ったとある行動が原因だと言うのだが…?そして命を狙われた堂本大臣の警護の為、保養先に“メイド刑事”として同行した葵に、木ノ上の魔の手が迫る…!?
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さくら夫人の過去が明らかになる短編と、葵の両親の敵である木ノ上との対決を描いた中編の2本を収録。相変わらず良い意味で「いつも通りの」メイド刑事、という印象で、面白かったんだけど語るべきことが見つからないのも事実だったりして。

短編の方は珍しく“メイドの一里塚……”が出てこない、ちょっと番外編的なお話。いつもお客さんの状態を見て料理を作るという「料理人」ではなくて海堂家のシェフとしてのさくら夫人の細やかな気遣い溢れる、良い話でした。本当に前しか見えてない対決相手・高橋の痛々しさに苦笑しつつ、最後に改心した後に高橋に向けられた人情にほこほこしてしまいました。

中編は遂に後がなくなった宿敵・木ノ上との最終決戦。宿敵の影を前にいつもの冷静を失いがちな葵に、“メイド刑事”としての自分を取り戻させたルカの言葉が非常にかっこいい。メイドとしても一人の人間としても少しずつ、しかし着実に成長した現在のルカの姿と、初登場の頃の向こう見ずな彼女の姿を重ねて思わず感慨を覚えたりしてました。

そして木ノ上との直接対決はベッタベタな「中ボス戦」という印象。結局葵は敵側の内紛に命を救われたという印象を拭えませんが、木ノ上との闘いを経て一つ大きな壁を乗り越えて成長した事を感じさせる終わり方にちょっと嬉しくなりました。しかしこの御時世に忍者て、発想が素敵過ぎます(笑)今後は更に大きな敵に向けて戦っていかなければいけないであろう「メイド刑事」の、今後の活躍に期待。

しかし、今回の中編を読んで、こっそりこのシリーズを実写ドラマで見てみたくなりました。水曜21時の刑事モノサスペンス枠(「はぐれ刑事」とか「相棒」とかやってる枠)でドラマ化したりしないですかね?ライトノベルのシリーズの中では最も実写に向いてるシリーズだと思うのですが…。

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