ページ 152 | 今日もだらだら、読書日記。

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ラメント I. はじまりの歌

[著]後藤 リウ [原作]淵井 鏑(ニトロプラス) [絵]柳原 澪

《虚ろ》と呼ばれる呪いと《失軀》と呼ばれる奇病が蔓延し、世界に住む多くの《猫》達が飢えに脅かされる中、火楼の集落では生贄と称して同族喰らいを定期的に容認することで秩序を保っていた。そんな村に住む青年・コノエはある日、“世界に禍をもたらす者”と伝えられている姿そのままに耳や尻尾の色が変化してしまい、村を出ることになるのだが…
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「咎狗の血」でBLゲー同人界ブームを築いた(と私が勝手に思っている)Nitro+CHiRALのBLゲーム「Lamento」のノベライズ。原作が18禁BLなのにスニーカー、しかも書いてるのが「ガンダムSEED」のノベライズの後藤リウさん!と言われたら、とりあえず腐ラノベ読みとしては買うしかないじゃないか。やはり後藤さんは腐の人だったんですね!(超笑顔)
いや、だって、運命の小説版とか明らかにアスシ……ゲフンゲフン(失礼しました)

原作がBLゲーだけあって極端に女性の割合が低く、時々元が18禁BLだったんだなあと思わせるような設定が顔を覗かせる以外、基本的に普通に男性が読んでも楽しめる作品になってます。まあ時々コノエが女性だったら完璧なのにと思わなくもないですがその辺は言ったら野暮というものです。ライやアサトがいくらなんでもコノエ好き過ぎだろー!というのにも突っ込んではいけません。というか、ライがそこまでコノエに執着する理由がイマイチ判らなくて違和感感じてみたりはしますが、きっとこの辺で本来ボーイズでラブな展開があって、その辺がサックリ割愛されたのだろうと予想。あときっと終盤の試練のとことか悪夢の辺りはエロスな描写があったんだろうなどと妄想してみたり!

物語は基本的に。初っ端から村を追われ、その後も関わった人々が敵になったり容赦なく殺されたりするのでとにかく容赦がない。敵の能力や能力の発現シーンもえげつない。この素敵なまでの容赦なさは思わず某「Fate/Zero」を思い出しました。流石だぜニトロプラス…。

その一方、サブタイトルにもあるとおり『歌』が戦闘中、一つの鍵となっているこの物語。様々な歌い手が物語りに登場しますが彼らが歌うシーンはとにかく幻想的で素敵でした(敵の歌はえげつないけど!)。自らの内から“歌”を引き出すという設定が中々好みだー。いやあしかしコノエはこの“歌”という設定も含めて実にポジションがヒロインですね!!

ライやアサトにも隠された過去がありそうだし、続編が楽しみ。ニトロは好きだけどBLゲーはなあ…と思っているニトロプラスファンの男性の方はこの機会に如何でしょうか?

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今月のオススメと面白検索キーワード[2008年3月分]

3月の読了冊数は24冊でした。
2007年から読了冊数を付けてますが、実は2007年9月以来の記録更新だったり。
……といっても今月は再読が9冊まざってるので結構ズルっ子なんですが。

2008年3月の人気(?)感想4選

 今月も読了冊数が多かったので4選で行きます。
 なお、1位のフルメタ、3位のバカテス1、4位バカテス3.5は割愛します。
 ……4/1だからなんかネタを仕込もうと思ったのですが、素直に1?4位を並べると先月の顔ぶれとなんら変わらないという現実が一番ネタな気がしてきました…。

バカとテストと召喚獣2
⇒感想

SH@PPLE-しゃっぷる-
⇒感想

生徒会の一存
⇒感想

空の境界(上)
⇒感想

感想全面改稿までして、1ヶ月プッシュしてた「バカとテストと召喚獣2」が未だ根強い1巻を打ち破って今月のアクセス数第二位。ありがとうございます文化祭万歳!!メイド明久に栄光あれ!!

そしてここ1週間のアクセス数ではバカテス各巻のアクセスにも負けずとも劣らないのが5位「しゃっぷる」。各感想サイトでも非常に評価の高かった作品ですが、あらすじ&イラストでヒいてる人は今すぐ買うべき。女装萌え要素よりも入れ替わり系青春ラブコメものとしての要素が強く、正統派に楽しめる作品です。

6位の「生徒会の一存」は先月オススメで取り上げましたが今月2巻が出ますよ?。7位の「空の境界」は映画版の感想も入っているので順当なところかも。先月もフルメタとバカテスさえいなければ結構いいところに居たんですが…しかし、検索キーワードにも殆ど引っかかっておらず、言及リンクもされてないのに妙にアクセス高いのが不思議でしょうがありません。

2008年3月のオススメ本。


リトルバスターズ!SSS
⇒感想

千の剣の舞う空に
⇒感想

ダブルブリッド
⇒感想

征服娘。
⇒感想

女装ラノベまとめエントリーを書いた所為なのかなんなのか、今月は「おとまほ」「えむえむ」「しゃっぷる」……とやたら女装ネタラノベを読みまくった月でした…。

その中でも個人的に2008年3月のベスト・オブ・女装ネタ!と褒め称えたいのが「リトルバスターズ!SSS」。様々な理由をかけつけて女装させられる主人公・理樹たんの恥じらいっぷりは最早原作が美少女ゲームとは到底思えないほどの素晴らしい女性向な萌えっぷりで、女装理樹のために本気で「リトバス」本編購入を悩む私が居るわけですが。
SSSシリーズは続刊予定とのことなんで、今後も素敵な女装ネタを期待してみます!(やめなさい)

秀吉のしおり目当てで買った ファミ通新人さんで掘り出し物だったのが「千の剣の舞う空に」。ネトゲーだけどスポ魂的な要素を受け継ぎ、読了後の爽快感が本当に素敵な作品でした。FBオンラインに掲載された短編も中々良かったです。才能もあるけどとにかく堅実な貴族の少女が世界を手にする為頑張る「征服娘。」も続刊が楽しみなシリーズです。

そして遂に最終巻を来月に控えた「ダブルブリッド」!読み直してみると、忘れている設定やキャラクターが大量に居たりしたので4年半待ちのファンは最終巻の前に再読することをオススメしてみます。特に8巻の内容は、結構重要なのに7巻との間がありすぎた所為で結構理解できていない部分が多かった…。

3月の面白検索キーワード

先月大量放出された所為か、今月はまたネタがありません…。
ちなみに作品名別検索語句トップは
バカテス>ツァラトゥストラ>フルメタ>吸血鬼のひめごと>とらドラ!
でした。

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ドアーズ 2 新たなる敵を修繕せよ!

[著]神坂 一 [絵]岸和田 ロビン

クローゼットを開けたらヘンな植物がびっしり生えていた。これは堪らない…と今日もおかしくなった世界を必死に治して回るミヤ。そんな姉の姿を横目に、リスの姿の妹・チサは複雑な思いを抱えていた。「世界を修繕するのって、本当に良い事なの?」…と。そんな彼女の思いをよそに、勘違いしたミヤはシュリンと二人で修繕に向かい……
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妹がリスになったり触手になったり……といろいろな世界の『普通』がおかしくなってしまって、なしくずしに異世界を修繕して回ることになってしまった姉妹の物語。完結編。シリーズ終了に向けてどんどんシリアス要素が増していって、1巻程の破壊力が殆どなくなってしまったのが残念。それでもSF好きの人に喧嘩売りまくってるような「SF」とか、色々とギリギリなナ●シカネタとか、要所要所で腹抱えて笑わせてくれるのは素敵でした。

その場のノリで魔王を倒してしまうミヤに対して勢いでは勝てないと思ったチサが何故か百物語で勝負を挑んだり、ラスボスが も の す ご く ショボかったり……とヘンな部分で妙な方向に突っ走るノリはまさに『いつもの』神坂一。そして終わり方がいまいちすっきりしないのもいつも通り。良くも悪くもいつも通り。1巻でこてこてのギャグをやられたあとに、このしんみりした終わり方というのがなんとも違和感を感じてしまう…。

…うん、この人の作品、凄く好きなんだけど、どうしても終わり方が好きになれないんだ……。ヤミサダの3巻は丸々いらないと思ったし、スレイヤーズ本編の終わり方もあまり好きではなかったし、…それなりに納得した終わり方したのはロユスニくらいか…でもあれも、漫画版で脳内補完しなかったら正直キツかったような…。

ミヤの発禁魔法少女は是非ともどんなカンジなのか見てみたかったです。
あとやっぱり反響あったのは触手か。触手だったのか。

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生

[著]入間 人間 [絵]左

なんとか病院から退院して、まーちゃんとの二人暮しを再開したみーくん。まーちゃんからのバレンタインチョコに絶句したり、ダイエットと称して自分の肉を包丁で削ごうとしたまーちゃんを必死に宥めたりとそれなりに平和(?)な日々を送っていたのだが、夜の散歩の最中に死んだ筈の妹(らしきもの)と遭遇する。そしてその直後、連続動物殺害事件は殺人事件へと発展して…
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うむむむむ、とりあえず最後まで行こうと頑張って読んでみたけどちょっとこれはキツかった…良くない意味で。

1、2巻の頃はまだ「味」として読むことが出来た、回りくどいみーくんの一人称が3巻では更に気合入ってパワーアップ。あまりにも頻繁に「嘘だけど」「嘘だけど」って来るのでもう何が現実で何が嘘なのか区別がつかなくなってきました。もうこれがこのシリーズ最大の味であるのは間違いないし、三人称や「嘘だけど」が入らないみーまーなんか具のないお握りみたいなもんですが、テンポ悪いし読みづらいことこの上ない。

完璧に壊れてしまっているまーちゃんと違って、正常と異常のボーダーラインの上で意図的に“異常”の方に身を置きながらもゆらゆらしているみーくんの心情は実に様々な方向が不安定で、そんな彼の一人称に感情移入して読もうとすると全く理解できないまま物語が進んでしまうといいますか。結局何がなんだかわからないまま物語そのものに理解されるのを拒まれてしまったというか、煙に巻かれてしまったという印象。それが味といえば味なんでしょうけど。

まーちゃんの嫉妬をギリギリのラインでかわしながら他の女の子とコミュニケーション取ったり、まーちゃんの常識がスコーンと抜け落ちた珍妙な行動を見ているのは中々楽しいんですが、そのエッセンスだけでは楽しめないものがありました。あ、あと小指で繋がれた赤い糸のシーンが地味にグロくてきつかった……なんか無駄に想像できてしまうのが痛かった…。

うーん、嫌いな作風ではないんだけど、この読みづらさを我慢しても続きを読みたいかといわれるとどうにも。4巻はおそらく買わないかなあ。

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リトルバスターズ!SSS Vol.1

[著]糸井 健一 他  [絵]ひづき 夜宵 他 [原作]VisualArt's/Key

“家庭科部の活動が忙しい”と言って草野球の練習もそこそこに姿を消してしまうクドリャフカ。そんな様子を見たリトルバスターズの面々はこっそり彼女のあとをつけることに。追跡がバレないよう、面々が考え出した必殺の作戦とは…!?
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「Alles ist im Wandel」さん方面からピンポイントに超強力な布教電波を受信しました。
「腐女子ネタ」「女装少年ネタ装備」と言われたらもうね……もうね!!

というわけで全年齢美少女ゲーム「リトルバスターズ!」のヒロイン3人にそれぞれスポットを当てた短編3つを収録。基本的にゲーム本編をやった人向けのつくりになっているのでキャラクターや設定に対する説明がまるでなく、少々戸惑った部分はありましたがその辺は無視しても全然楽しめる物語になっています。(きっとこれを読んで“結局、リトルバスターズって何さ!?”と思う人はゲームをやれということなのだ…このくらいの説明不足はある意味ゲーム本編に興味を向けさせるという点に於いて上手いと思うので、ゲームノベライズとしては上出来だと思う)

まああれです、内容はどうでもいいんです。そんなもんは飾りです。

第一幕、第二幕が素晴らしい女装ネタ小説。
これ以上に何と語る部分があろう。
いえ、勿論3幕も凄く良かったんだけどね?公式サイトで見たときから唯湖さんが気になるキャラだった私としては。

第一幕はもうちょっと女装した理樹へのセクハラとか、弄りネタがあってもいいかな?と思ったのですが、特に素晴らしいのが腐女子ヒロイン・西園美魚をメインとした第二幕。校内で開催される男子禁制のサバト…もとい同人誌即売会に女装した理樹が潜入するというストーリーなのですが、自分やその友人達を元にしたBL同人を見てオロオロワタワタする理樹の様子が非常に可愛い!その後の対決?で自分から自分達を使った同人誌を読み上げる羽目になってどんどん撃沈していく男子メンバーの姿にも大爆笑してしまいました。

正直、「腐女子ネタ」については幾つか違和感を感じる部分はあったのですが(確かに最終的にヤることは同じなんだけど、受攻逆になったら交わされるやり取りも会話も全然変わってくるんだよ!?リバカプで、セリフまで同じでキャラ名だけ違うとかって普通にありえないよ!!)、逆にステレオタイプな腐女子像を上手いことギャグにしていて、このくらい現実から乖離してるほうが個人的にはギャグとしては素直に楽しめた気がします。腐女子や同人ネタは現実にあんまり忠実だと心が痛い時があるのよね……うふふ。

とにかく、女装理樹タンで存分に女装萌え成分を補給させていただきました。本当にご馳走様でした。
しかし、リトバスってこんなに素晴らしい男子萌えゲームだったのか……
今度出るという「エクスタシー」で、女装理樹のCGがあるとかいう情報が出たら、買っちゃいそうだよ、マジで。


【以下、全く本の感想とは関係ないBL的余談。】

VisualArt's/KeyというとAIRクリア、Kanonは名雪ルート中盤で放置中の私ですが、
実は商業BLゲーで一番ツボにハマったゲームが、Visual Art'sブランドの作品だったりします。

二次創作専門の私にとっては、ホントこのジャンルでツボに来るって珍しいんですよ、一応。
基本的にショタゲーなのですが、選択次第でヤンデレ攻化する主人公の双子の弟が実にツボでした。
わざと弟がヤンデレ化するBADエンドルート行ってニヤニヤしたのも良い思い出だ…。

リトバスSSSを読んで、このゲームが無性にやりたくなったので、ついでにちょっとだけ布教してみました。
ビジュアルアーツさま、ここのブランドの次回作まだですかー!?とか思いつつ、
きっと私がツボにハマったということは世間的には……と思わなくもなかったり。

女装少年萌えは突き詰めるとショタ萌えにたどり着く予感がするので、
今こそこのゲームが再び脚光を浴びても良い筈だ!!たぶん。
そういえば主人公の琴耶も素晴らしい弄られキャラで、女装CGあったなあ…。

B000F1HWFKぼくらはみんな、恋をする

pekoe 2006-05-26
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吸血鬼のひめごと The Secret of the Past

[著]鈴木 鈴 [絵]片瀬 優

絵里香が姿を消して2ヶ月…レレナは絵里香の行方が気にしながらも新しい友人達とそれなりに平和な日々を送っていた。ところが夏祭りの日に神社で凄惨な殺人事件が起き、それに『貪』の末端が関わっていると感じた朧はレレナと青磁に事件の調査を命じる。調査の最中、レレナは友人から『絵里香を見つけた』という報告を受けるのだが…
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うわああああああ…orz

表紙&挿絵や他所の感想からなにやらイヤーな予感はあったのですが、想像を超える悪趣味っぷり全開でまたも全滅エンドすらいつ発生しても不思議ではない展開になってまいりました。前巻の感想で「全滅エンドの可能性すら視野に入れて読みますよ!」とはいったものの、2巻で早々にその覚悟が打ち砕かれそうです。というか後書きのセリフは信じていいの!?ねえ信じていいの!!?

『貪』の正体も十分に悪趣味なのですが、その後の展開はそれを上回る悪趣味さ。もうとにかくレレナのトラウマにひたすら塩を塗りたくるような、悪趣味な展開のオンパレード。特に貪の“模様替え”の真意を知ったときは、うすうす察していたながらもショックが大きかった…

前作「おしごと」では色んな意味で張り切りすぎな拷問シーンとかヒロイン失禁とかがいろいろな意味で話題になったシリーズでしたが、今回の「ひめごと」では精神的な悪趣味さが際立っている気がします。それでも面白いのがある意味困る。というか、もうこのシリーズそのものがレレナという一人のヒロインを苛める為だけに存在してるのではないかという疑問すら生まれてきました。なんて屈折した作者のキャラ愛なんだ…!

とりあえず、ラストで絵里香が一命を取り留めた(ネタバレ)のは一応ハッピーエンドへの伏線であると信じたいなあ…更なる不幸へのフラグっぽく思えてならないけど。
全滅エンドへの心の準備は出来ているがやっぱ出来ればハッピーエンドで終わっていただきたい!

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征服娘。

[著]神楽坂 淳 [絵]鈴羅木 かりん

名門貴族の娘として生まれ、商才に恵まれた少女・マリア。彼女は才能があっても血筋や性別の所為で損をしなければならない社会に我慢することが出来ず自らがこの世界を掌握せんと、侍女にして親友のアッシャと共に動き出す。ひとまず目先に迫った結婚から逃れる為、2年間修道院に入る事にしたのだが…
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才能はあるのに“女”であるがゆえに結婚して家庭に入るという将来が確定してしまっている貴族の令嬢が、自らの手で未来を切り開く為に国家の頂点に立つという野望を抱く…という物語。

自分の弱点や欠点を正確に把握して、自分に出来るところから少しずつでも堅実に野望に向かって邁進していくマリアの姿がとにかくかっこいい。将来、父や兄と事を構えることも視野に入れながらも彼らから間違いを正されればきちんと受け止めるし、自分が弱者である事も認めたうえでそれを出し抜く計画を練る。その大それた望みとは対照的に堅実な動き方が好印象でした。「世界征服の第一歩として、まずはカーニバルの露店から!」という小ささが凄く良い。

また、そんな彼女に惹かれて集まる協力者達が非常にかっこいいのです。侍女であり親友にして訳ありっぽくてクールな元王女・アッシャ、貴族だけどアウトローでマリアと同じく野望を持ったラウラの魅力は勿論の事、彼女の「信望者」とも言うべき庶民達がまたかっこいい。特に水夫のマルコの発言には痺れたなぁ。ある意味最大のライバルともいえる父親・ジャコモとマリアの駆け引きも物凄く面白かった。

マリアが手がける「ティー」や「チョコレート」をはじめとして現在ではデザートとして広く流通している嗜好品がまだ一般化しておらず、それをマリア達が女性ならではの感性で一般に流通させていこうとするという過程も興味深かったです。今後もこういった甘味流通ネタが出てきそうな気配なので、そちらも併せて楽しみ。

…しかし、個人的にはほぼ文句なしだったんですが、唯一挿絵が……鈴羅木さんは某社のゲームアンソロ時代からのファンなのでラノベの挿絵と聞いて楽しみにしていたのですが、キャラを重点に押し出した派手な画風や、線の太いしっかりとした描き方がイマイチこの作品には合っていないように感じました。良くも悪くも「1枚のイラスト」として完成してしまっていて文章の挟まる必要すら無い空気を感じるというか…なんなんだろうなぁ、この違和感…。

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ダブルブリッド9

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

虎司と安藤の前に現れたのは、童子斬りに取り付かれた“兇人”山崎太一朗だった。安藤への気持ちに迷いを抱えながらも太一朗に立ち向かう虎司だが、一方的な攻撃を受け続ける羽目になってしまう。何故か“童子斬り”での攻撃を行わない太一朗。そして、虎司の“アヤカシ”としての姿を目の当たりにした安藤は……
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こ、ここから約4年半寸止め喰らってたのか、俺達は…
本文といい挿絵といい、ラストページが酷い引き。7巻のアレから続いて、3巻連続酷い引きってどうなんですか!!というわけで遂にクライマックス直前!!のシリーズ第9巻。

物語はまんま8巻の続き。虎司と太一朗の闘い、そして虎司の安藤への気持ちに一応の決着が付きます。安藤さんと虎司の捜査六課でのやり取りは大好きなんだけど、こうやって改めて読み直すと物凄く色々不安なフラグを孕んでいるように思えてなりません。最後に虎司がいったように、安藤さんと喰うの喰われるかのギリギリのラインで本編終了後も適当にお付き合いしていければいいんでしょうけど…。というかですね、全くの気のせいかもしれないけど、これってものっそ安藤さんが「鬼斬り」に寄生されるフラグ立ってません……か……。虎司との会話が始まる直前のアレとか、凄い気になるんですけど…!!

一方、喪われていく自らの記憶に対する執着を徐々に失っていく優樹と“未知”ではない過去の自分を忘れ去りたい未知に対し、自分の考えをぶつける大田がまたもや良い味を出してました。なんていうか、改めて読み直すと大田の微妙な立ち位置とか、自らも迷いながら、それでも「傍観者」を貫いていこうとする様子が凄く良い。八牧を喪った後の大田はまた更に良いキャラになった気がしますね。彼が最終巻でどのような立ち位置を取ろうとするのか期待。

しかし、改めて読み直してみて自分がどれだけ前回8巻を読んだ際、それまでの内容を忘れたまま読んでいたかを実感しました。読み直してみると、他の巻と比べて明らかに読み落としている部分や理解できないまま読み進めたのであろう部分が多くて、びっくり。太一朗の様子についても、ちょっとだけ明るい展望が見えたように見せかけて、実はもっと酷い方向にフラグが立っちゃってる気がします。今の太一朗ヤバイマジヤバイ。特に最後の挿絵が気味悪くてめちゃやべえ…!!

もうなんていうか、全滅エンド以外のエンディングが思い浮かばないくらいの最悪な状況での幕引きで終わっている9巻。5月に発売される最終巻で、このヒトとアヤカシの物語にどのような決着が付くのか非常に楽しみです。片倉晃の過去とか“オメガサーキット”の秘密とか空木とか“主”とか浦木の思惑とか、未回収の伏線が大量にあって、本当に1巻で終わるのか激しくドキドキするというのも微妙にあったりするんですが。

願わくば、最期の一瞬だけでもいいから、優樹と太一朗が平和な時間を過ごせますよう……。

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ダブルブリッド8

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

兇人を殺す為、八牧の仇を討つため、動き出す捜査六課の面々。そんな中で相川虎司は自らの“人間を喰らいたい”という欲望を自覚してしまう。しかも喰いたいと思う相手はただ一人・クラスメイトの安藤希だけ。喰べたくてたまらない相手なのに、彼女を殺してしまうことにはどうしても抵抗を覚えて……
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安藤と虎司の関係に焦点が当たる、シリーズ第8巻。一気に9巻まで読んじゃったんですが、こうやって読み返すと8と9は1冊で出しても良かったくらいの内容ですね。そしてまた終わりの引き方が鬼だ……!!

八牧を殺された後の捜査六課の面々の姿が痛々しい。特に大田の独白はなんていうか、無性に寂しさを覚えました。元々「傍観者」を自称しながらもどこか傍観者になりきれない大田のキャラクターは大好きなのですが、6巻を境目にしてどんどん魅力が増している気がします。ほんと、大田はいいキャラだ…。

アヤカシとして安藤を喰べたくて仕方ない気持ちと、せっかく築いた安藤との関係を自分が安藤を“殺してしまう”事で終わらせてしまう事に対する恐れの間で揺れ動く虎司の始めての戸惑いと、自分への態度が変わってしまった虎司の様子を見て寂しく思う安藤さんの様子が……こんな作品では浮いて見える言葉ですが実に「青春」してて素敵です。いえ、安藤さんはとにかく虎司の考えていることは青春なんて甘酸っぱい言葉とはかけ離れてるわけですが!!

一方、どんどんボロボロになっていく優樹に、意外な所から救いの手が。…というかこれがまたどうみても「救い」ではないだろうなって感じの救いの「手」(文字通り)な訳ですが…。このシリーズ、最後は浦木の一人勝ちで終わってもなんら不思議はない気がしてきました。エピローグで全滅したみんなの姿を見ながら浦木が高笑いとか、正直ありそうで怖いですね。

それにしても、改めて読むと安藤さんのキャラは良いですね。
虎司のあの発言に、生返事で「うん」って言っちゃうそのセンスが素敵です。

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ダブルブリッド7

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

元捜査六課のアヤカシ・八牧厳は、自分と自分の仲間たちを脅かす“兇人”を殺そうと決意した。自らが返り討ちに遭う事まで想定して仕組まれた殺人計画を実行に移す為、彼は偶然懐かれてしまった一人の少女を捜査六課に押し付ける。一方、山崎太一朗は自らの狂気と戦いながらも“童子斬り”を切り離す為、大田の言い残した僅かな希望に縋るのだが…
   個人的お気に入り度数
とにかく希望の無いこのシリーズの中でも格別に救いの無い、シリーズ第七巻。

空木を探すという一筋の希望に縋りながら少しずつ正気を喪って行く太一朗、意識を乗っ取っていた右目を切り離して以来身体の様子がおかしくなっている優樹と、主人公格2人がダブルで絶望的な展開。双方から少しずつでも確実にお互いに関する“記憶”が失われていく様子が悲しかった。太一朗が実家に電話をかけるシーンとか、赤川と太一朗の噛みあわない会話とかで今後の展開がなんとなく予想がついてしまうのがまた…。

もうとにかく、太一朗サイドは精神的に、優樹サイドは肉体的に痛い。特に優樹の傷に関する描写は、シリーズ屈指のグロさです(個人的に一番痛いのは1巻の描写だと思うんだけど、それに追随するレベル)

唯一、八牧と彼が拾った少女・未知のやりとりが地味に平和で面白かったりするのですがこの2人も既に“終わり”が見えてしまっているので痛々しくてしょうがない。特に八牧さんは冒頭から思いっきり死亡フラグ立ててますから…そんな彼がお風呂に入って浦木に会いに行くシーンは爆笑でしたが。

八牧さんと未知の関係は凄く好きでした。“利用するだけの関係”といいながらもいつのまにか未知に情が移ってしまっている八牧の姿がほほえましいんだけど、状況を考えると切なくてしょうがない。大田と八牧のやりとりも最高でした。八牧さんはあんな風貌してるのに実に良いツンデレですね(台無しだ!)

しかし、当時リアルタイムに読んでいてちょうどこの頃から刊行ペースが落ち始めたのだと記憶していますが、今読んでもこの引きはあんまりだ!!!

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