[著]松野 秋鳴 [絵]QP:flapper 佐渡太郎は先祖代々にその血が流れる由緒正しき(!?)ドM体質。自らの初恋成就のため、ドM体質の克服しようという決意をして『願いを叶えてくれる』という噂を持つ第二ボランティア部に足を踏み入れるが、部員の一人が太郎のドM体質を開花させるきっかけを作った少女で… |
「主人公がドン引きするくらいのドM体質」というのは読む前から聞いていたんですが、噂に聞くのと実際に読むのでは天と地ほどにも差があるというのはこのことかと生まれて初めて実感した気がします。……体質だと、それがどうにもならない遺伝体質だとわかっていてもやっぱり主人公がキモイ。正直この「ドM体質」はこのラブコメにおけるコメディ部分を受け持つ重要な要素であることは理解できるのですが、人間には、理屈では判っていても我慢できない「生理的嫌悪感」というものがあるのだということを思い知った気分です………コメディで済ませるレベルじゃねえぞ!!!
えーと内容としては、正太郎まで変態になっちゃった「ボンボン坂高校演劇部」という印象でしょうか。あの漫画は正太郎が唯一の常識人だからこそ成り立っていたのに(後半ちょっと壊れてたような記憶があるけど…)、この物語では最初から唯一の良心のはずのポジションがどうしようもなく陥落してしまっています。
なんか全体的に、キャラクターが肌に合わなくてきつかった。主人公のドM体質にもドン引きだったし、ベッドに潜り込んで近親相●を求めてくる母親&姉にもドン引きだったのですが、それ以上に辰吉の女装が……うわああああん!!!ぶっちゃけ「女装少年」という言葉を期待して買ったという裏話があるだけに本気で泣いた。あれはないわ…前半の“シホリ姫”のくだりあたりまでは結構良かったのですが、その後辰吉の才能が開花してしまったところで漢泣きした。……先生、ムリです……アレに萌えるには、女装少年萌えスキルよりもオカマ属性萌えスキルが必要な気がしてしょうがありません……イタイケなオトコノコに女装させて、頬を染めながら嫌がる姿をみて萌える私にはもう……もう……(えぐっえぐっ)
……ただ、もうとにかくキャラクターは駄目だったのですが、主人公の家族以外の女の子キャラがかなり魅力的なのと本筋は結構…いや、文句なしに面白かったのは本当にどうしたらいいのでしょう。ツンデレっつーかむしろサドデレ?な石動先輩が時々見せる、後輩思いの優しさには思わずグっとくるものがありますし、嵐子と太郎が不器用ながら少しずつ二人の距離を詰めていく(文字通りの意味で)姿は素敵でした。過去のトラウマに怯える嵐子の所に太郎が駆けつけるシーンは、ドM体質をそんなところで利用するのか!!!と噴き出してしまいました。そしてラストの殴り合いのシーンが熱過ぎる。それまで駄目人間すぎだった部分を散々見せられてきたからこそ、最後のシーンでは胸が熱くなった。ほんと、あの体質がもうちょっとアレなら、結構好きなタイプのキャラなのに、もったいないなあ…!!
いやもうなんていうか、本当に新しすぎるというか私には完全に評価不能。
どうしても一部キャラへの生理的嫌悪感が……物語の本筋は面白かったんで、あと1?2冊くらいなら読んでもいいかなーと思うんだけど、正直キャラが受け入れられないのが致命的すぎる気がするのでサクっと切ってしまった方が良さそうな気が……ラブコメ強化方向に行ってくれるなら読みたいのですが、これ以上ドM体質とか女装趣味とかに磨きがかかると、挫折しそうな予感でいっぱいです。
4巻に入るという噂のBL展開が気になって手を出したシリーズなのですが、太郎と女装モード辰吉でBLっていう話だったら、正直いらないかなー……