“三嶋 くろね” の検索結果 | ページ 2 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:三嶋 くろね (17 件 / 2 ページ)

ロクでなし魔術講師と禁忌教典9

 

先の戦いから行方をくらましていた宿敵、ジャティス=ロウファン。彼の策略により、ルミアは誘拐され、さらにはフェジテ市庁舎爆破テロの容疑者として、グレンは指名手配を受けてしまい…「先生!私も先生の力になりたいんです…!」相棒として着実に成長しつつあるシスティーナ。彼女の助力のもと、事件解決にあたるべく、グレンはフェジテの街を駆け回るのだが、直面したのは存在しえない、かつての強敵で―街ひとつをまるごと崩壊する術式・“メギドの火”をめぐり、フェジテに集結する天の智慧研究会、宮廷魔導士団。それぞれの思惑が交錯し、フェジテ最悪の三日間の幕が開く!(「BOOK」データベースより)

 ギリギリの所で保ってきた平穏が崩壊する、転機の回。なんとかかんとか事件は解決したけどそのためにグレンたちが支払った代償はあまりにも大きくて、あのまま元通りの生活に戻れるとは到底思えないんだけど、その辺は一切触れないまま次の巻に続いていて…続きが気になる!

 天の智慧研究会やら特務分室やら様々な人々の思惑が交錯する混乱の中、隠れた台風の目となったジャティスの悪役っぷりたまらない。どんな立場に立っていても自らの目的を遂げようとする歪んだ歪まなさが最高に良い。そしてアルベルトの時とは一味違う、気を許せば今にもお互いの背中を刺し合いそうなグレンとジャティスの共同戦線、本当にさいこうだな!!!

 ジャティスの歪まなさと対象的に、イヴの迷走っぷりが実にしんどい。やることなすこと空回り、周囲の反感を買いながらも無茶してジャティスを狙っていたのに、自らがかつて見捨てたセラと瓜二つのシスティーナを見捨てられない姿が、なんかもうどうしようもなく人間なんだよなあ。思惑を理解した上で付いてきてくれる特務分室の面々が居るのは本当に救いだと思う。

 グレンや頼れる大人がいないと腰砕け状態なシスティーナが毎回とても見ていて(良い意味で)しんどいんですけど、それでも様々な外部要因に助けられながらも歯食いしばって立ち上がるのが好き……魔術師として良き師を得ても、精神面はそう簡単には追いついていかないのが、どんなに才能があっても「普通のの女の子」なんだなあと。

 一方で、ルミアには凄い嫌な感じのフラグが見え隠れして……彼女に関してはクラスメイト達との関係もこれまでのようにはいかなさそうで、本当に次巻の展開が気になる……。あといよいよセリカさんの過去まわりの話が不穏すぎる……。

 物語としてはジャティスを中心とした騒動が中心でしたけど、アルザーノ魔術学院内でのやりとり色々と最高でした。特にハーレイ先生とギィブルかっこよすぎる。ハーレイ先生は今までこういうかっこいい部分が見えてなかっただけなんだとおもうけど、ギィブルは1巻の頃からの成長を感じて、良かった。


ロクでなし魔術講師と追想日誌2

 

アルザーノ帝国魔術学院には、ロクでなしに振りまわされる三人の美少女たちがいた。彼女たちの名は、システィーナ・ルミア・リィエル。そんな彼女たちの日常は波乱がいっぱいで!?記憶喪失になったシスティーナは、不覚にもグレンに懐いてしまったり。学院へ通うルミアは、変装する何者かにストーカーされたり。アルバイト生活を始めたリィエルは、お金をピンハネされたり…そんな、ロクでなしな学園の日々。「僕は、…皆を守れる強い力が欲しいのに…ッ!」ついに明かされる“愚者の世界”誕生秘話。ロクでなしになる前のグレンの学生時代を描く、書き下ろしエピソードも収録!(「BOOK」データベースより)

 マッドな先生の実験台にされそうになったり、社会生活を学ばせるためにリィエルがバイトをしたり、アルベルトが勘違いをして暴走したり、システィが記憶喪失になったり……「ロクでなし魔術講師〜」シリーズの番外編シリーズ第二巻。本編が割とシリアス側寄せなので、富士見ファンタジアの定番のやつですけど別の展開があるのは嬉しいなぁ。王道ど真ん中をいくような展開の連続で、その「お約束」ぶりがまた楽しい。

  個人的にはやはりアルベルトが偽の情報に踊らされてグレンのストーキングをする(誤解)「任務に愚直すぎる男・アルベルトの落とし穴」が好きです。シリアスをやるとかっこいいのにコミカルもできるアルベルト、まじ有能。もう明らかに誤解してるのが伝わってくる展開なので、1話まるまるアルベルトの迷走っぷりにニヤニヤできてしまう最高に楽しいお話でした。

 いろんなコミカルな話で持ち上げて、グレンの過去話「二人の愚者」でしんみり締める感じがまた好き。学校を卒業してからの苦悩はこれまで語られてきたけど、そこに辿り着くまでにも様々な苦悩があったのだなあ。グレンとニーナ、二人の道はもうきっと交わることはないだろうけれど、確かな心の繋がりを感じさせるラストが良かったです。


ロクでなし魔術講師と禁忌教典8

 

成績不振による退学を回避するため、聖リリィ魔術女学院に短期留学することになったリィエル。システィーナとルミアも同行し、さらには男子禁制の楽園でお嬢様を手玉に取ろうと、グレンも女に変身し、臨時講師として赴任することに!?…しかし、そこで見たのは、お嬢様グループ同士の抗争で!?「あっれー??ボクが想像してたのと全ッ然ちっがーう!!」女学院という名の鳥籠。先の見えた人生にくすぶる彼女たちは破天荒なロクでなしの姿に触れて―「断言してやる。俺ならお前達を『魔術師』にしてやれる」グレンの講義が、箱庭の少女達の運命の鎖を引きちぎる! (「BOOK」データベースより)

公式が薄い本(挨拶)

 落第を回避するため、とある女子校に留学しなければならなくなったリィエル。システィーナとルミアがついてきてくれることになったが、アルベルトの提案でグレンも(女体化して)学園の教師として出向くことに!?というお話。正直主犯・アルベルトという時点で発酵系ラノベ読みは盛り上がらざるを得ないわけですが、アルベルトにあっさりノセられて実行犯になっちゃうセリカのチョロインぶり可愛すぎない!?あと、第一章のタイトルがアラサー直撃すぎて笑う。

 女だけの楽園でハーレム生活……という言葉につられて行ってみたら、留学先の学校は生徒たちが勝手な派閥争いを繰り広げていてほぼ学級崩壊状態。全く授業にならないところから、派閥トップの問題児2人をたきつけ、お嬢様としての鬱屈を抱える生徒たちをまとめ上げて成長させていくグレンの「教師」としての姿が楽しかった。留学先の生徒たちとのやりとりも楽しいのですが、一番弟子とも言えるシスティーナの成長を誇らしげに見守ってるグレンが可愛いんですよね……。

 グレンに教えを受けた生徒たちが、今度は他の生徒達に更に影響を与えていく姿が爽快でした。講義シーンこそ控えめだけど、「教師」としてのグレンの力量の高さが存分に描かれていて、これぞロクアカという感じの展開で楽しかった。最近はわりとバトル偏重傾向だったもんな……。

 また、年頃の少女としてはまだ未成熟なリィエルの「人間」としての成長に胸が熱くなる。システィやルミアとはまた違う、はじめての「友達」に一喜一憂する姿がかわいくて仕方がない。まぁ、その初めての友であるエリザのほうは明らかに何か違う感情に目覚めてる感じすごかったんですけどそれに気づきながらも微笑ましく見守ってる女子生徒達が可愛かった……同性愛に優しい世界だった。

 個人的には女体化要素はあれだけ大きく謳ったわりにはいまいち薄めに感じて、女体化してもグレンは割とおおっぴらに男言葉使うし(それでこそグレンという感じではある)、途中でわりとあっさり男子に戻ってしまうのでもうちょっと女体化ならではのギリギリでスリリングな展開があってもよかったのに!と思うんですけどまあそういう話じゃないので仕方ないのか……。

 三嶋くろね先生が描く女体化グレンがめちゃくちゃかわいかったのと、巻末オマケイラストにはニヤニヤしましたというか控えめに言ってアルベルトの女体化まで(妄想らくがきとはいえ)見れるとは思わなくてニヤニヤが止まりませんありがとうございます!!


ロクでなし魔術講師と禁忌教典7

 

「久しぶりね、グレン。会えて嬉しいわ」「はっ…俺はテメェにだけは会いたくなかったがな…ッ!」迫る『社交舞踏会』に学院が沸く中、グレンの前に因縁浅からぬかつての上司―宮廷魔導士団特務分室の室長、イヴ=イグナイトが現れる。『社交舞踏会』に乗じた天の智慧研究会による『ルミア暗殺計画』を聞かされたグレンは、舞踏会を中止しようとするのだが…。イヴは逆にルミアを餌にした非道な作戦を提案してきて―。ルミア護衛のため、グレンは半強制的にダンス・コンペでルミアのパートナーとして優勝を目指すことに!特務分室VS天の智慧研究会、最後に微笑むのは―。 (「BOOK」データベースより)

 天の智慧研究会の過激派がルミアの暗殺を目論んでいるという情報を掴んだグレンの古巣・特務分室がグレンに協力を要請してくる。ところが、その内容はグレンとルミアに学園で開催される『社交舞踏会』に出場させるという囮作戦だった。ルミアにも誰にも計画の全容を話せないまま、舞踏会の当日がやってくるが…?

 久しぶりの「天の智慧研究会」との対決回で、アルベルト&リィエル以外の特務分室の面々が本格登場。一応メインはグレンの元上司であるイヴなんだけど、個人的にはバーナードおじさんが好きです。良いおっさんだな!!

 たとえ廃嫡されても「普通の女の子」ではいられないルミアがこのままで良いのかと葛藤しながらも、だからこそこれだけは譲れないと舞踏会で見せる輝きが、最高に可愛くて物悲しい。そんな彼女の決意に対して全力で応えるシスティーナとのダンス対決が熱かったです。今回のルミアは戦闘ではない部分でどうしようもなく強くてかっこよかったけど、同時のその強さが今にも折れそうな脆いもののようにも思えてしまって、今後の展開がどうなるのか心配になる。グレンがいれば大丈夫だとは思うのですが……しかしこれはいろいろな意味で恋愛方面はルミアに行くのかシスティーナに行くのか読めないな。

 終盤のバトルシーンで、現役時代を彷彿させるグレンとアルベルトの言葉にしなくても分かり合うツーカーな相棒ぶりとコンビネーションバッチリなのに事ある毎に言い合いしてる感じ最高に燃える!!んですけど、あとがきの「それ本人が言っちゃっていいの!?」感すごい。恋愛面ではルミア、バトル展開的にはアルベルトの一人勝ちってかんじで色んな意味で新キャラのイヴは不憫な感じ拭えなかった。というか、グレン争奪戦にまざってきそうな気配だけどグレンの好感度最低のところからのスタートだし、割とバックグラウンドとか積極的に出して好感度を上げていく作戦なのかもしれないけどそれ以上に今回の無能感高かったし、今のところ噛ませ犬の予感しかしないのがちょっとアレだなあ……。


ロクでなし魔術講師と禁忌教典6

 

講師として頑張ることを決意した矢先の解雇宣告。クビを回避するには自腹での古代遺跡の調査が必要で―金欠のグレンが思いついた手段は…生徒を利用するという相変わらずロクでもない方法で!?天使ルミアの厚意で生徒たちの協力を得られたグレンだったが…なぜかセリカも同行することに!?遺跡に眠る世界の深淵に触れた時、家族の絆が試される!! (「BOOK」データベースより)

 魔術学院の教師なら定期的に出さないといけない論文を出していなかったせいで、クビを言い渡されそうになったグレン。論文を書くために、生徒たちを動員してとある遺跡の調査を行うことにするが何故かそこにセリカがついてきて…!?

 力量不足に悩むシスティーナがかねてから念願の遺跡探索を前にして盛大に空回りしたり、自分よりもグレンと親密で有能なセリカの出現に動揺したり、他の生徒達がグレンに頼られてるのを見てヤキモキするの可愛すぎました。遺跡探索に向かう前のやりとりとか本当に面倒くさい子すぎてヤバい。最後はなんだかんだでグレンの役に立てて良かったね……残念な子は残念なほど可愛いのでいいぞいいぞもっとやれ!

 また、生徒たちの魔術師として人間としての成長にもニヤリとするお話でした。セリカやグレンといったプロの魔術師と比肩することは出来なくても、自らの力量を見極めた上で無茶はせず、彼らの背中を守ることを決断する展開に胸が熱くなる。セリカの名声や立場のせいで最初は腰が引け気味だった生徒たちがすぐにセリカを受け入れて仲間として扱ってくれるのにも人間としての成長を感じた。

 本編はセリカの話を通して物語の謎に迫っていくハードな展開で、自身にも解らない“使命”に取り憑かれた『永遠者』であるセリカが、グレンという家族を得てもなお止まれなかった理由がとんでもなく人間くさくて愛おしい。セリカって前の巻でも描かれた通り精神的にはむしろ脆いくらいで、あくまで普通の人間でしかないんだよなあ。改めてグレンとの深い家族の絆を感じる展開が胸に熱い。

 今後への伏線を思い切り張りましたという感じで、天の智慧研究会まわりは一休みなんだけど、色々なことが明らかになり、それ以上に今後への謎が増える展開でした。アレやらコレやらルミア周りの話も不穏な気配が立ち込めてるというか、ラストの記憶云々って多分彼女のことだよね……。


ロクでなし魔術講師と追想日誌

 

アルザーノ帝国魔術学院には、生徒もあきれるほどの一人のロクでなし魔術講師がいた。男の名はグレン=レーダス。授業では、蛇で女生徒たちを怖がらせて遊ぶも、その蛇に頭を噛みつかれたり…。図書館で失踪した女生徒の救助へ向かうも、怪異に怯えて、破壊呪文で図書館を吹き飛ばそうとしたり…。授業参観で珍しく真面目に授業をしようとするも、すぐにボロが出てしまう…そんな、ロクでなしな学園の日々。グレンの師であり育ての親セリカ=アルフォネアとの衝撃の出会いが綴られる『ロクでなし』シリーズ初の短編集! (「BOOK」データベースより)

 「ロクでなし魔術講師と禁忌経典」シリーズの日常主体、授業シーンあり、ラブコメあり、ドタバタありの短編集です。

 どこをとっても楽しかったんだけど、やっぱりこのシリーズの講義シーンが好きだなあ。学ぶことの楽しさや授業に対する情熱が伝わってくるのがたまらなく楽しい。特に「魔術講師グレン 無謀編」で魔術に対して斜め横の態度を取りつつも、自分がかつて味わった魔術の「面白さ」を懸命に伝えようとする姿は本当にニヤニヤが止まりません。

 授業参観でシスティーナの両親がやってくる「魔術講師グレン 虚栄編」も良かった。必死に模範的な教師を取り繕おうとするも、生徒たちの危機を前にしてあっさり生徒思いな“素”が出てしまうのにニヤニヤする。セリカvsシスティーナ父の親ばか対決とか微笑ましすぎてもう。

 ラストの書き下ろし「空〜孤独の魔女〜」は、グレンとセリカの出会いを描くシリアスな過去編。強い自分を演出することで自らの脆さを隠して生きてきたかつてのセリカと、そんな彼女の鉄面皮をひっぺがしてしまったとある少年の、出会いと別れにホロリとする。これはセリカさん授業参観で面倒くさい親馬鹿になってしまっても仕方ないわ……子グレン(色んな意味で)天使かな……。そんなグレンが正義の魔法使いを目指して、そしてこれまでに語られたような挫折に遭ってしまったのは不幸としか言いようが無いし、やりきれない気持ちになるけど。

 それにしても、セリカの不老不死性やグレンの記憶の件など、なにげに今後の展開への伏線がばらまかれたような印象。これからどうなっていくのか、とても楽しみです。しかし、この短編シリーズは短編シリーズで独立して続けていってほしいなあ……。


ロクでなし魔術講師と禁忌教典

 

アルザーノ帝国魔術学院非常勤講師・グレン=レーダスは、自習→居眠りの常習犯。まともに教壇に立ったと思いきや、黒板に教科書を釘で打ち付けたりと、生徒もあきれるロクでなし。そんなグレンに本気でキレた生徒、“教師泣かせ”のシスティーナ=フィーベルから決闘を申し込まれるも―結果は大差でグレンが敗北という残念な幕切れで…。しかし、学院を襲う未曾有のテロ事件に生徒たちが巻き込まれた時、「俺の生徒に手ぇ出してんじゃねえよ」グレンの本領が発揮される!第26回ファンタジア大賞“大賞”受賞の超破天荒新世代学園アクションファンタジー! (「BOOK」データベースより)

 教師なのに遅刻や居眠りの常習犯で、しかも魔術を毛嫌いするような発言すらする非常勤講師グレン。当然生徒達からの評判は最悪、当人も早く辞めたいとまで思っていたのに、とある出来事をきっかけに本気を出して……というお話。

 魔術師としての才能や適正が低かったグレン。既存の枠から“落ちこぼれ”て、だからこそ出来る授業シーンの楽しさが、読んでいるこちらにまで伝わってくるようでした。ただ教科書を鵜呑みに教えるのではなく、もっと深い所からの魔術講義が面白い。そして、生徒たちが危機に陥ると魔術への深い理解とそれを埋めるための努力で能力を補って強敵を打ち倒していく姿が爽快。

 誰よりも魔術が好で、それ故に魔術が人殺しの道具として使われているという現実に絶望していたグレンが、ルミアの“夢”を聞かされて何を考えたのかと思うと、もう。かつて思い描いた理想を捨てることが出来ず、ルミアや生徒たちに夢を託そう、そのために彼女たちを護ろうとするグレンの素直になれない悪あがきっぷりがカッコよかった。

 色々物語にも謎がありそうで、これからの展開が楽しみです。