“双 ” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

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悪の令嬢と十二の瞳 〜最強従者たちと伝説の悪女、人生二度目の華麗なる無双録〜

駄犬
 
saino

やり直しの裏に隠された秘密とは――
公爵令嬢セリーナは王太子から婚約破棄され、服毒刑にて人生を終えた――はずだったが、何故か巻き戻り二度目の人生がスタート。 ちなみにあれは冤罪だ、とんだ冤罪である。 だって「ちょっと聖女の頭めがけて植木鉢を落としただけ」で「殺してはいない」のだから。 前回の敗因は有能な部下がいなかったこと。 であれば今度は拠り所のない孤児を引き取り暗殺者に育て上げ、自分をコケにしたやつら全員をぶちのめすのだ! こうしてセリーナの従者育成計画が始まるが、過酷な訓練を経て仕上がったのはある意味(・・・・)最強の従者たちと番犬で!? 「我々はセリーナ様を愛しているか?」 「生涯忠誠! 命を懸けて! 忠誠! 忠誠! 忠誠!」 「セリーナ……、“あれ”はなんだね?」 「お父様、彼らは従者としての使命を前に、ああやって気を引き締めているのです」(すまし顔) 人生二度目の倫理観ぶっ飛びヒロインが征く、ちょっぴりおかしな逆行転生×悪党×勘違い英雄譚!

ちょっと聖女に「意地悪」をしただけなのに、「なぜか」王太子から婚約破棄されて処刑されてしまった公爵令嬢セリーナ。なぜか少女時代に戻って人生をやり直す機会を得た彼女は、こんどこそ破滅の道を歩まないよう努力することを決意する。そう、処刑の際に力付くで取り押さえられて助けてくれる部下も居なかったから死の運命を回避できなかった……それならば、自らの肉体を鍛えて対抗できるようにして、更には自分の危機となれば命を差し出しても助けてくれる忠実な部下を育成すればいいのだ!!……と。

死に戻りではなく精神年齢で変化していく価値観の描写がリアル

処刑されて人生をやり直すことになったものの色々と懲りない主人公が今度はもっと狡猾にやりたい放題やろうとするお話。作者さんの作品で読んでいるものが「誰が勇者を殺したか」しかなかったのでこちらも結構シリアスな感じの物語かなと思っていたのですが、どちらかというと懲りないセリーナの無茶苦茶な行動や、悪意を持ってやったことが微妙に斜め上の方……本人の望まぬ方面に解釈されてしまって予定が少しずつずれてしまったり一周回って本人の意図しない形で思惑通りになってしまったり……が楽しいお話でした。最後まで読んで物語の全体像を振り返ると普通にシリアスで重たい話をやっているんですが、それを重くみせない軽妙な展開が楽しかったです!

一度死んだくらいでは揺らがなかったセリーナの価値観が、精神の成熟・老成とともに変化していくのがなんというか生々しくて良かった。いや確かに、死んだくらいで倫理観変わらないよなと思うし(死んだことないからしらんけど)その一方で10代の頃の価値観と40代で持ってる価値観って明確に違うんですよね。良く言えば成熟するし、悪く言えば「枯れる」。転生物でよく言われる、精神は3〜40代を迎えているはずの人間が10代の価値観を持ったまま人生をやり直していく違和感みたいなのが全然なかった。

犬嫌いにとっての犬の描写がリアルすぎて共感しました!(犬苦手)

そんなこんなで彼女の未来の従者(=処刑されそうになったとき肉盾になってくれる心無きマシーン)にするため引き取られた孤児院の鼻つまみ者の子供たち6人が、セリーナが又聞き知識で作り上げたハート◯ン軍曹もビックリの地獄の特訓に晒される。最初は不満たらたらだったけど、実力をつけていくうちにいつのまにか「何者でもなかった自分をひとかどの人間にしてくれたセリーナ」へ恩義を感じ始めて心から忠実な従者になっていく……というちょっとしたすれ違い展開も楽しかったのですが、なによりセリーヌが子供たちに育てさせた犬(※絆が生まれたところで殺して子供たちの心を殺すつもりだったが色々目算違いが起きて殺せなくなった)への反応がリアルすぎて笑ってしまった。セリーナの犬嫌いの描写がリアルすぎる。なぜか犬を苦手としてる人間にジャレつく犬の描写わかる〜〜!!!し、すっかり犬好きになった子供たちがセリーナが本当は犬好きだと誤解してこっそり彼女に犬をけしかける展開が犬好きの傲慢〜〜!!!という感じでめっちゃ好き。そうなんだよ、犬嫌い(苦手)ってみんなこうだし犬好き・猫好きのやつらは全世界の人間が犬猫好きだと思ってるんだよな。そんなことないよ。あとがきで作者さんも犬が好きではないと仰られていてなるほどな……となってしまいました。

……ただ、犬が嫌いというだけの話に留まらず、嫌いだと思っていた犬のことを長く触れ合っているうちに「嫌い」とまでは言い切れない複雑な絆が芽生えていったり、なんだかんだ別にお前らに死んでほしいわけではない、どちらかというと死なないでほしい、くらいに情が芽生えていく描写まで含めて本当にわかるすぎて……。

セリーナの視点だけでなく、6人の子供たちのまなざしを加えることで全体像が見えてくる物語がとてもおもしろかったですし、セリーナが「なぜか」少女時代に巻き戻ってしまった理由をはじめ、物語に散らされた些細な違和感・伏線が最後の最後で一気に明かされていくラストはとても気持ちよかった!……と思わせておいて最後の最後で明かされるアレさあ!!いや本当にそこまで読んで全てに納得がいったという感じだったけど!!!

しかしひとつだけネタバレをすると犬が死ぬ話なのでそういうのがダメな人は読まないほうが良いという注釈は入れておきます。なんかツイッターでそこは教えろって話をよく見るのでな……。


TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA 嫌われ追放エンドを目指してるのに最強無双ロードから降りられない

 

最強orポンコツ?逆RTA(リアル・タイム・アタック)ファンタジー!!
神々の創ったゲーム世界で美少女(マリアンヌ)へと転生した主人公。 神々のお遊び『配信』で、ハチャメチャな条件付きで追放RTA(リアル・タイム・アタック)をすることになったマリアンヌ。 いっそ最速で追放エンドになることを目指し 「暴力」「暴言」「喧嘩」「無双」「禁呪」etc. ありとあらゆることを試した結果、なぜか学園での人気者に!? そんなとき『竜殺し』と邂逅したマリアンヌはーー ルールブレイカー必至?逆RTA(リアル・タイム・アタック)ファンタジー!!

神様が起こした不慮の事故で死んでしまった主人公は、何故か神様の粋な計らい(???)で悪役令嬢にTS転生して実は善人なのに追放される様子を配信でRTA(原文ママ)することを提案される。目標を達成したら快適なサードライフを約束してくれる(早期達成でボーナス付き)と聞いて神からの提案に乗ることにしたのはいいが、舞台となるのは原作も配役もわからない神の世界の乙女ゲー。とりあえず全員ボコったら好感度下げられるんじゃね?と思って魔法学園の入学式でその通りにしてみたが……!?

流行りの属性盛り盛りなカオス感が楽しかった

「異世界転生」「悪役令嬢」「俺TUEE」「ゲーム実況」「性転換」などなど、とにかく最近流行りの要素を全部ぶちこんで足したけど割らなかったみたいな盛り感が最高にカオスで、そこにWeb原作作品の書籍化らしい遠慮のないメタ発言の嵐がぶちこまれていて最高に楽しかったです。

神の提示した条件が相当無茶振りな所に「とりあえず全員ボコればなんとかなる」みたいなバーサーカーが投入されて大変なことになった。やはり暴力は全てを解決し……なかった。なんでも暴力(禁呪)で解決しようとするけど基本的には正義の人であり、悪役令嬢として常に高潔にそして強い女であろうとするマリアンヌ。なんだかんだで情に厚くて身内には甘くて誰かを守るためにその拳(禁呪)を奮える彼女、もうどうがんばっても(おもしれえ女だけど)普通にかっこいいのだった……主要人物達はなぜか彼女にメロメロ(死語)になってしまうのだった。

なお転生時にTSするパターンなので性転換要素はあまり強くなかったのですが、主人公のマリアンヌの全員真正面から暴力でぶちのめせば嫌われるだろうって発想の雑さ自体が絶妙に男子っぽくていいよね。根本が女子になれてない感じで。あと地文が男子の一人称・台詞はお嬢様言葉なんですけど時々現実世界でボロが出てくる感じとか良かったです。

この「快適サードライフ」の達成条件が厳しすぎる

そもそもリアルタイムアタックってゲームをやり込んだ奴がいかにゲームを効率化出来るかって競技だと思ってたんですけど未経験のジャンルで完全初見のゲームをRTAするの難しすぎない!?多重レイヤー構造的な世界観で上位世界にいる神々に人生の様子を「配信」しているという設定で、リスナーである神々のコメントからゲームの内容をある程度伺うことは出来るんですが、彼らもとくにゲームの攻略アドバイスをくれるわけではないので(まっとうなツッコミはする)本当に手探りでやるしかない。オンラインスイカ割りRTAだよこんなの。それはそれとしてマリアンヌの攻略方法が斜め上であることは間違いなく事実ですが!!(こいつぜったい前世でもギャルゲー系が苦手な人だ!)

いやでももうここまで破天荒な展開になってくると逆にタイトル詐欺配信としてめちゃくちゃ面白いし、「配信が盛り上がって神のうっかりを有耶無耶にする」という目標自体は達成できているのではないんですかね……「実は善人なのに誤解されて追放される悪役令嬢」よりよほど奇を衒ってて良いと思うんですが。ひょっとして神々としてはあらぬエンディングに辿り着いたプレイヤーが快適サードライフ送れなくて絶望する愉悦までがセットなのか?詫びセカンドライフにしては条件がハードモードすぎるとおもう。

「悪役令嬢転生善人追放RTA」というお題に対して正反対のルートに着地してしまった感が凄いエンディングだったけど、ここから軌道修正が出来るのか!?今のところ全く「嫌われ」が達成できる流れがないけど大丈夫か!?色々な意味で続きが楽しみです。


ロード・エルメロイII世の事件簿3 「case.双貌塔イゼルマ(下)」

 

「……双子による魔術とは、たとえるならば鏡合わせの自分との融合です」
双貌塔イゼルマ。至上の美を体現する、双子の黄金姫と白銀姫。そのお披露目で起きた凶悪事件は、新たな人物──アトラム・ガリアスタとその部下たちの乱入によって、さらに混迷を深めることとなった。彼らに対抗すべく、エルメロイ教室のフラットとスヴィンは師の制止を振り切って暴走し、冠位(グランド)の魔術師・蒼崎橙子は愉しげに観察する。入り乱れる魔術師たちの戦いの中、ロード・エルメロイII世は、美しき死の謎へと挑むが……!魔術と美、陰謀と闘争が交錯する『ロード・エルメロイII世の事件簿』第二幕の結末を見よ。

イゼルマの一族から殺人容疑をかけられたライネス達、不穏な動きをするロード・バリュエレータとエルメロイの「敵」に回ると宣言する「冠位」蒼崎橙子。それでさえ緊張状態だったところにイゼルマを襲撃しようとするアトラムの一派と二世の教え子の中でも双璧と呼ばれるフラット&スヴィンが加わってもう大変。

美を追求する魔術師達の麗しき物語の水面下で繰り広げられる時計塔内部の静かなる派閥争い──な上巻からうってかわって、そこかしこで魔術対決が繰り広げられるド派手な魔術闘争──!!という感じの下巻。ほんと、この巻は最初から最後までどっかしらで魔術戦やってた気がする。派手だ…!!

自らも魔術の研究結果として結実した存在であるグレイが、「黄金姫」「白銀姫」という存在に引きずられそうになりながら想いを吐露し、その言葉が"動機"を軸に事件を紐解こうとするエルメロイ二世の推理の助けになる、という流れが印象的でした。なんていうか、雑草タイプかつ努力家タイプのエルメロイ二世からしたら一番共感しづらい話だった気がして。その穴を正反対のグレイが埋めていくのが面白いなあと。

「空の境界」でも屈指を誇る蒼崎橙子との対決!!という型月ドリームマッチ具合もさることながら、個人的にはエルメロイ教室の双璧・フラットくんとスヴィンくんのコンビが大変ツボでした。この一見気が合わなさそうなしかし戦闘となると抜群のコンビネーションを発揮するの最高じゃない!?フラットくんは生みの親があの成田先生と聞いて「なるほどなー!」って感じなんですけど、スヴィンくんの一見面倒臭そうで実際はまっすぐな行動原理も好きだし、あとラストのルヴィアを交えた3人の掛け合いもめっちゃ好き。

次の巻ではFGOでお馴染みの彼女が登場するとのことで、ますます続きが楽しみです。


ロード・エルメロイII世の事件簿2 「case.双貌塔イゼルマ(上)」

 

「我が師に問う。――魔術における究極の美とは何か、と」双貌塔イゼルマに住まう、双子の姫。至高の美を持つとされる黄金姫・白銀姫のお披露目に、エルメロイII世の義妹であるライネス・エルメロイ・アーチゾルテも参加することとなった。時計塔の社交会となれば派閥抗争もありえると、ボディガードとしてグレイを連れて行ったライネスだが、そこで起こった事件は彼女の想像をも超えていた。三大貴族。冠位(グランド)の魔術師。ロード・エルメロイII世は、『時計塔』に巣くう闇をいかにひもとくか。魔術と美、幻想と陰謀とが交錯する『ロード・エルメロイII世の事件簿』、第二幕開演。

至高の美を追求することで根源に至ろうとする魔術師の一族・イゼルマ家の社交会に招かれたエルメロイ二世の義妹・ライネスと、彼女の護衛として同行することになったグレイ。ところが社交会の翌日、とんでもない事件が発生して、二人は容疑者の疑いをかけられてしまう……。

イゼルマ家が生み出した至高の美「黄金姫」「白銀姫」を巡って発生した怪事件と、その裏で蠢く時計塔内の派閥争い。れっきとした殺人事件であるはずなのに、犯人探しはそっちのけでドロドロの派閥争いが始まってしまうのはいかにも魔術師らしい。

遅れてやってきた探偵役・エルメロイ二世を交えて、推理に必要な手札が揃った所で終わったような、エピローグを読む限りまだまだ裏がありそうな……どう決着がつくのかとても楽しみです。

それにしても、まさかの橙子さん登場!!前巻でもサブヒロイン的な立ち位置で二世の後の教え子となるルヴィアが登場したりしましたが、今回は他にもどこかで見た名字の人が登場したりしていて、知らなくても楽しめる範疇ではあるんだけど型月オールスターズ感があってワクワクしてしまう。

『矛盾螺旋』での魔術師としての橙子さんの姿を知っていると、もう最後の流れだけでこいつはヤバいことになってる!!!とワクワクしてしまって駄目です。続きがどうなるか、本当に楽しみ。

「その条件なら、私は彼の──ロード・エルメロイ二世の敵に回ろう」


異世界テニス無双 テニスプレイヤーとかいう謎の男がちょっと強すぎるんですけど!

 
夕薙

超高校級の天才テニスプレイヤー相馬王助。全国を制した彼はある日、異世界に『英雄』として召喚される。「ボ、ボールが分身した!?」「残像だったの!?す、すごい!」「『ゾーン』!?なにそれ!?」彼を召喚した魔術師エリーシャは究極のテニスに驚愕してばかり。「この程度、全国じゃ必須スキルだ」異能を超えた異能―テニス。竜を一撃で葬り、魔の軍勢を殲滅し騎士団の精鋭を容易く撃破する。魔王も勇者も、強くなりすぎたテニスプレイヤーには敵わない!常識置き去りのスーパー・テニスファンタジー、試合開始!!(「BOOK」データベースより)

 異世界ファンタジーの世界に召喚されてしまったのは普通の高校生。しかし彼は、インフレを繰り返して異能力バトルのレベルまで昇華されてしまった「高校テニス」の頂点を極めた男だった……というお話。あらすじの時点で某ジャンプのバレンタインチョコの数が凄い某異能高校テニスマンガを彷彿した人、だいたい合ってます。

 インフレ能力系スポーツマンガ×俺TUEE系異世界ファンタジーという混ぜちゃいけない洗剤まぜちゃった感じのあらすじ時点でヤバイんだけど、どこかで聞いたことあるようなトンデモ技やトンデモ能力が次々と繰り出され、周囲が驚いては「こんなの全国なら常識だぞ」とあっさり受け流される姿に笑いが止まらない。発想だけでも勝利感すごいのに、そこにいちいち中二病丸出しの必殺技名くっついてるのズルいでしょ……美味しいところを持って行かれまくるヒロインが、徐々に解説ではなく「驚き担当」化していくのにめちゃくちゃ笑った。

 スポーツ漫画と異世界ファンタジー、双方のお約束をしっかりネタにしてメタメタな笑いに変えつつ、それでいてド直球の正統派王道ファンタジーなのがとてもアツかった。気がなさそうに見えてしっかり意識しちゃってるヒロインとのラブコメあり、現実世界で背中を追い続けた憧れの先輩との男と男の約束あり。ラブコメとスポ根、どちらの要素も美味しく頂けて一冊で二度おいしい。

 そして、どんなに圧倒的な能力を持っていても「スポーツ漫画の登場人物」には踏み入ることが出来ない場所があり、そこを「異世界ファンタジー」ならばやすやすと踏み越えていける。2つの世界が交わったからこそたどり着くことが出来たクライマックスが最高でした。まだまだ物語には様々な謎が隠れていそうで、続きがとても楽しみです。

 それにしても、あとがきでさらっと明かされた「異能バトル〜」のあの人の話にニヤニヤせざるをえない。めちゃくちゃ中二丸出しのネーミングセンスで笑いまくってたら……その草の根運動で定着しちゃったのかよ!!「異能バトル」は未読なのでスルーしてしまったんですが、アニメイトの店舗特典のコラボ小説確保してくればよかったなあ……。


はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ

 

「…僕って、トラブルに引き寄せられる体質だったっけ!?」フラムスティード学院の入学式に向かう途中、女性顔に悩む少年・ユウは不良に絡まれる子供をかばう、菫色の瞳の少女・カティアと出会う。超常能力“換象”を用いてユウとカティアを傷つけようとする不良から、同じく“換象”で彼らを救ったのは、クリスという名の少年だった。これをきっかけに友情を育み、共に学園生活を送ることとなった三人。だが、ユウには誰にも言えない秘密があった。それは、ある時から彼の身体に“チョールト”と呼ばれる人格が共生していること。しかし、カティアとクリスにもそれぞれ秘密があって?はるかかなたの物語が、今この時より紡ぎ始められる…。 (「BOOK」データベースより)

地球からはるかかなた離れた惑星で“換象”という超能力を得て、開拓された世界。とある事件をきっかけに、<チョールト>と名乗る人格と共生するハメになった少年・ユウ。元に戻る方法を探すため国際教育機関・フラムスティード学院に入学したが、入学式の日に不良に絡まれている同級生と出会って……というお話。

チョールトには高いの能力があるけど本人は学園内では落ちこぼれ程度の能力しかなく、チームメイトとなった二人もかなりの優等生というような状況でも他人の威を借りて奢る事も卑屈になることもなく、ただ前向きに努力しようとするユウの姿が印象深かった。そして軽口を叩きながらも彼の努力を正当に評価して見守っているチョールトとの関係がとても美味しい。ユウの中で行われる、ユウとチョールトのやりとりにはいちいちニヤニヤが止まりません。

天才型でその身に大きな秘密を秘めた少女カティア、高い能力ではなく工夫と努力で生徒達の頂点に立つ努力型のアレットという二人のヒロインも可愛い。お互いがお互いを護り合おうと誓ったユウとカティアの関係も大好きだけど、ユウの道行きを指し示す「先輩」であるアレットがユウの居ない所で覗かせた少女らしい一面が可愛いの何の……その外にもとにかく魅力的なキャラクターが多くて、各所で惹きつけられました。

ただ、唯一残念だったのはユウとカティアとクリス、3人の物語のようでいて最後の1人であるクリスが殆ど空気になってしまっていることか。中盤意図的かと思われるほど彼が絡んでくる描写がなかったのでひょっとして………なんて思ってしまったけど正体をにおわすだけで終ってしまったぜ!!次巻があるなら是非ともクリスの活躍をお願いします。っていうかユウとクリスの男同士の友情推しを是非、お願いします。


真・恋姫†無双 蜀書・外史 〜荒野の決戦!

[著]小林 正親 [絵]片桐 雛太、かんたか 他 [原作]BaseSon

現代から「三国志」の時代にタイムスリップしてしまった本郷一刀。何故か史実とは違って美少女ぞろいの猛将達と出会い、流星とともにあらわれた“天の御使い”として蜀軍に力を貸すことになるが、赤壁の戦いで魏軍をあと一歩のところまで追いつめた際に魏軍に人質として誘拐されてしまって…
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美少女ゲーム「真・恋姫無双」の(多分)外伝ノベライズ。

ストーリー以前に表現的な部分で引っかかる部分が多くて、その辺がちょっと残念。説明の多い序盤ではやたらとカッコ表記が多かったり(しかも何故か“”や『』ではなく[]で記述されていて、見慣れないせいかなんとなく落ち着かなかった…)、何よりしょっぱなで突然一刀の一人称を間違えていて、「!?」となってしまったり……いや、大体の誤字はあまり気にしない私ですが、一人称はキャラクター付けにおいて大事だと思うのは私だけですか?特に「俺」と「僕」では受けるイメージに天と地ほどの差があるよ!?いや、私が「僕」キャラフェチであることは否定しませんけどね!!!…正直、「僕」「ぼく」「ボク」の3種類から受けるイメージの違いについて語らせたら、20分くらいは語り続けられる自信があります。

あと、魏メンバーがオチるの早すぎる印象がなー……華琳様が徐々にデレていく姿にはニヤリとしたけど、春蘭はもうちょっとデレないでほしかったというか。楽進なんか序盤で速攻デレ入ったようなもんだし。華琳様も若干デレ度高めの印象。いえ、私まだ原作ゲームの方で華琳様落としてないんで、どのくらいの速度でデレが入るのか知らないのですが(私の「恋姫」知識はPS2版の途中まで及びなごみ文庫のノベライズのみという…)。

ただ、若干の気になる部分は多かったものの、ストーリーそのものはかなりハチャメチャで結構面白かったです。特に終盤での貂蝉の活躍っぷりには一本取られた。二人で1500人もの軍勢に挑む星と恋とか、名乗りを上げる愛紗と春蘭の腹心コンビとか、いがみ合う蜀魏両軍が共闘する場面とか、この作品らしい熱さも健在。偵察隊を出す場面で蜀軍メンバー全員に何故か居る袁紹までが加わってしっちゃかめっちゃかする場面では、原作ゲームを思い出してニヤリとしたなあ。

……せめて、しょっぱなの一人称間違いさえなければ、もっと素直な気持ちで楽しめた気がするんですけど……。


恋姫・無双外伝 紫電一閃!華蝶仮面 3(下) ?わたしが愛した魔王?

[原作]BaseSon [著]御門 智 [絵]水月 悠

魔王・薫卓の復活により魏は壊滅。太陽は昇らず、深刻な食糧危機に人々は困窮する。そして、華蝶仮面はあれ以来、姿を見せることはなかった……。そんな中、本郷一刀達は生き残った蜀や魏、元薫卓配下の猛将達を集めて"華蝶戦団"と呼ばれる反抗勢力を作り魔王に対抗しようとするが…
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「恋姫無双」の華蝶仮面を主人公にした外伝ノベライズの最終巻。うーん、最後の最後まで物凄い名作ノベライズだと思うのに、なんでラストでそういう方向にいくんだよう……

今まで無敵だった華蝶仮面が敗れて復活するくだりやこれまでの敵キャラが心強い味方として現れる流れ、魏・呉・蜀の三国勢が一つの仲間として協力して挑む戦い。そして敵は操られたかつての仲間。絶望的な戦いに臨み、次々と倒れていく仲間たち。多くの犠牲を払いながらも進む一刀と曹操はかつて大切な時間をともにすごし、魔王となった少女・薫卓を救うことができるのか…という感じで相変わらずベタベタな王道熱血展開の目白押しなのですが、なんでここまできて「僕たちは彼らの犠牲で勝ち取った平和をずっと忘れない…」的なオチになるんだよ?…ここまできたら当然ご都合展開で全員復活円満エンドでしょー!!!

そもそも、曹操vs薫卓のラストバトルそのものがなんかグダグダで、これまでの「華蝶仮面」シリーズとは思えないほど面白くなかった…展開そのものは悪くないけど、個人的には薫卓の不意打ち以降はなんとかならなかったのかと思う。肝心かなめの曹操vs薫卓のバトルがあんまり盛り上がらなかったというか……っていうか劉協いらないよ劉協。最期は何をしたいのかよくわからなかったし、こいつ出さないか最終決戦前に一刀あたりと相打ちさせて、早々にご退場願った方が面白かった気がするんだよな?…

賈駆が突然過去の話を持ち出してきたのもちょっと唐突に感じたというか、できれば賈駆の態度以外の部分でもそういう過去を思わせる描写がほしかったような(それともこの、白装束が一刀を戦わせるために薫卓を引っ張り出した云々の設定は原作の公式設定なのか…?)

一応曹操と薫卓に関しては生き残ったような描写がありますが(拡大解釈すればラストのあれでラストバトルにかかわった全員が生きてたという解釈もできそうだけど)、その他は生死すら不確定…というか明らかにラストバトルで死んだくさいキャラに対して救済措置が取られなかったのは残念すぎる。ラストを「ご想像にお任せします」っていう終わらせ方は悪くないと思うんですが、これだけ王道ベタベタなご都合主義で突っ走ってきたこのシリーズがそれをやる必要性がどこにあったのかがとても疑問だったりします。うーん、やっぱりラストはなんとしても納得できない……

ただ、ラスト以外の盛り上がりはシリーズ最高潮で、ほんと凄かった。特に、今までずっと悪役っぽい描かれ方をしてきた周瑜のあの発言には感動。愛紗・鈴々と一刀のデートの約束シーンもホロリとくるし、孫権・曹操が一刀に真名を呼ばせるシーンとか微笑ましすぎるし、何より素晴らしいのは袁紹一派の(たぶん)最初で最後の大活躍!!いろいろな意味でかっこいい、かっこよすぎるよ袁紹…挿絵も今まで以上に良い味を出していて、良かったです。特に決戦前の全員集合絵と無駄にかっこいい袁紹軍、一刀の一枚絵は最高でした。

ああ、しかしこのシリーズがこれで終わりなのが素直に惜しい。やっぱり原作プレイすべきですか?こういう熱血展開目白押しのエロゲならば迷わず買うんですが……

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恋姫・無双外伝 紫電一閃!華蝶仮面 3(上) ?わたしを愛した覇王?

[原作]BaseSon [著]御門 智 [絵]水月 悠

赤壁の戦いを切り抜け、新たなる仲間となった鳳統と共に呉を離れた蜀御一行。ところが再び路に迷い、今度は魏にたどり着いてしまう。そこで彼らはかつての敵である董卓軍と遭遇するのだが、様々な行き違いから董卓が曹操の元に囚われる羽目に。赤壁での無理が祟って倒れた華蝶仮面の回復を待ちながら董卓奪還に力を貸す事になった一刀達だが…
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「恋姫無双」の外伝ノベライズ第三弾。2巻までのような熱血美少女特撮モノな雰囲気は影を潜めてしまいましたが、その分普通にストーリーが面白かった。っていうか今回はラブコメモードですよ!?

史実とは対照的におどおどした引っ込み思案の少女・董卓と、2巻でもちょっぴり登場して高飛車っぷりを見せ付けてくれた曹操によるハートフル百合ストーリー。赤壁の戦いでの悪役っぷりもとても素敵だった曹操様ですが、今回は「覇王」として厳しいながらも仲間を思いやる強い王としての一面と、意地っ張りな一人の少女として自分とは対照的な董卓に惹かれていく姿が描かれます。ていうかとりあえず今回の感想曹操様可愛いよ曹操様!!でいいんじゃね!?

典型的なツンデレ少女で、気高く誇り高く強い曹操が、後半に行くにつれどんどん董卓にデレていく姿が可愛らしくてたまりません。一方で董卓の正体を知った彼女が自分付きの召使としてただの“月”という少女を愛せなくなった事に対して葛藤する姿がまたものすごく魅力的。そしてラストで魏の「覇王」としての自分を貫こうと決意した曹操が、結局どうしようもなく自らの感情に振り回されてなりふり構わずしまう董卓を追いかけてしまう姿が可愛すぎました。挿絵の入れ方がまた物凄く絶妙なんだ……。曹操と董卓、二人の関係が次に発売される「下巻」でどのようになってしまうのか、とても楽しみ。

華蝶仮面の能力に制限が加えられ、そんなときに限って彼女の力がないと厳しい事件が次々と起こるのはお約束。彼女が主役の外伝ということで、よもやこのままフェードアウト…ということはないでしょうが、上巻での絶望的に厳しい展開からの大逆転!にも期待したいところです。


恋姫・無双外伝 紫電一閃!華蝶仮面2 ?赤壁は燃えているか?

[原作]BaseSon [著]御門 智 [絵]水月 悠

長坂坡で魏の軍勢と闘っている最中、仲間とはぐれてしまった本郷一刀。華蝶仮面の助力を得て、なんとか逃げ延びたのはよかったが、たどり着いたのはなぜか呉の都!?貂蝉と諸葛亮といういつものメンツが勢ぞろいした所で仕方なく(?)喫茶店で資金を稼ぐ事にしたのだが魏が呉にも戦争をしかけてきて…
   個人的お気に入り度数
「恋姫無双」で熱血系「特撮美少女モノ」という、外伝ノベライズ第二弾。今回もエロゲのノベライズとは思えないほど素敵に熱い方向に暴走しております。

今回は呉に舞台を移し、有名な「赤壁の戦い」を舞台に華蝶仮面が大活躍。三国志の内容殆ど関係なかった1巻よりも三国志好きが脊髄反射できる内容になってます(多分)。もちろん、怒涛のような「燃え」展開も健在です。矢を筋肉で跳ね返す二号とか!うちのめされ、絶望した少女達がそれを乗り越えて力強く立ち上がる姿とか!巨大ロボいっぱいとか!!無茶苦茶な戦闘力計算式とか足りない分は気合と根性で補うとか!!一触即発状態だった呉勢力と蜀勢力が、一つの目的を前に団結して爆弾解除とか!悪役なのになんかポイントが(百合方向に)ズレてる曹操様とか!!!(あれ?)(特に曹操と鳳統とのやりとりにはコーヒー噴いた)……とにかく、前回以上にアツい展開が目白押しになってます。

主人公の一刀が現実の三国志と照らし合わせて策を先読みしようとするところとかは上手くやっているなあ。ただの高校生が御輿的な役割だとしても何故一国の王としてやっていけるのか、エロゲとはいえ結構無茶な設定だなあと思っていたのですが上手い具合に納得できました。この辺は原作設定の妙だなーと感心してしまいました。ますますいつかやってみたくなってきたよ(笑)そして片っ端からであった女の子とフラグをたてまくる姿は、さすがエロゲの主人公といわざるを得ない。

しかし、呉のギスギスフィーリングっぷりは、もうちょっと掘り下げて読みたかったな?と思わなくも無かったり。「三國無双」シリーズの超アットホームな呉の姿に慣れてると、ギスギスしてる呉はとても新鮮でした。

3巻は舞台が魏になるようなので、巻毎に舞台を変えていくみたいですね。とても楽しみです。