うららの記事一覧 | ページ 170 | 今日もだらだら、読書日記。

うらら一覧

地にはマのつく星が降る!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

災厄を呼ぶ箱・「風の終わり」を取り戻す為に参戦した天下一武道会(略してテンカブ)決勝戦、シマロン側の戦士として現れたのは行方しれずの“あの人”…。あまりの事態に動揺する一行だが、決勝戦でピンチに陥ったユーリが法力の強い武道会会場で強引に魔王としての力を引き出し、事態は更に混乱して…!?
 

長かったカロリア編もこの巻で終了。

何はともあれ、やっぱりコンラッドとの話は凄く衝撃的でした。なんとなくコンラッドは誰が敵に回っても味方に居るんだろうなあ…と思っていたし。いっそのこと完全に敵意を示してくれればいいのに、態度だけは今までとおりの優しいコンラッドだから余計にユーリには辛かったんじゃないかなと。色々とこれも裏がありそうですが、いつかまたコンラッドとユーリの仲良しコンビの姿が見れるといいな、と素直に思います。しかし武道会後のユーリの選択は、村田じゃないですが「やっぱり」って感じでしたね(笑)

そして妙に印象的な最後1ページ。
それまで殆ど描写されてこなかったけど、やはり「有利」として人間の世界に居るあいだはあの世界存在自体を疑ったことが何度もあったんでしょうね。既にあの時点で何回も眞魔国に渡っているはずの有利が今更「眞魔国」のある世界の存在を改めて認識する、というシーンが非常に印象的でした。そして同時に眞魔国の存在がユーリの中でどれだけ大切になっていたかというのを再確認できるシーン。“夢だったんじゃないか”と考えて不安に思う程あの世界が大切なんだな、と。たった2行でそれを痛い程表現出来ているのがやはり凄い。そしてそれをあっさり見抜いて、多分あの時有利が一番欲しかったであろう言葉をくれる大賢者様は偉大(笑)

「魔王」としての力に振り回される姿以上に、前巻から少しずつ表現されてきた「有利らしくない発言」というのが今後の伏線になりそうな気がしてドキドキ。一応カロリアでの騒動はカタがつきましたがコンラッドの事も含め、暫くは重い展開が続きそうですね。今後もすごく楽しみなシリーズです。


天にマのつく雪が舞う!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

シマロンに渡った災厄を呼ぶ“箱”「風の終わり」を取り戻す為にカロリア代表としてシマロン領内で行われる天下一武道会(略してテンカブ)に出場することになったユーリ達御一行。様々な障害を乗り越え、何とか決勝戦に進出するが、最終戦でユーリの対戦相手として待っていたのはあまりにも意外な人物の姿だった…!!
 

何はともあれ最後がーーーっ!?
なんとなく嫌な予感がしてはいましたが、一番当たって欲しくない予想が当たってしまったというかそんな感じが…

ストーリー的には、「きっとマのつく陽が昇る!」の頃から明らかに何かありそうだった村田の正体が遂に明らかに。何気に暗い過去話をしてみたり、昼行灯の仮面を半分脱ぎ捨てて妙に凛々しくなっちゃいましたがそんなムラケンも素敵(笑)そしてここんところ漢らしさ急上昇のヴォルフラムは今回も絶好調です。うじうじしてるユーリを殴って「求婚返し」とか、漢らしすぎですから!!

暗い話ばかりが続きますが、時々差し込まれる明るい話が一つの清涼剤。留守番組はいつでも明るい話を繰り広げてくれますし、テンカブでの予選大会の様子も何気に楽しい。そして最強の恋する熟女・ツェリ上王陛下が素敵過ぎます。今回ばかりはシリアスな一面も覗かせてくれますが、流石元魔王だけあって強いのなんの。

カロリア編も次回で終わりという事で、漸く次で一段落のようです。とりあえずキリのいいところまで一気に突っ走るぞっ!(笑)


いつかマのつく夕暮れに!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

手違いで眞魔国を敵対視しているシマロン国のど真ん中に、クラスメイトの村田と流れ着いてしまった有利。元の世界に帰る手がかりを得ようと訪れた小シマロンのカロリア領主の屋敷で捕まって監禁されて…更に本国である大シマロン国へと連れて行かれそうになるが、シマロン国内では内紛をきっかけにしたとんでもなく恐ろしい計画が水面下で進んでいた…!!
 

「きっとマのつく陽が昇る!」の続き。いつもの通り最早本能で自分を捕まえたカロリア領主夫人・フリンを色々助けてしまいつつ、その裏でコンラッドの不在への動揺や不安を隠しきれて居ない有利の姿が印象的でした。今までいつでも一緒に居てくれ、自分の世界の文化にも詳しいコンラッドの存在はそれだけ大きいものだったんでしょうね。本当に今回の有利は村田やフリンさんを助けなくては、という義務感で必死に自分を駆り立てていた感じがして、いつものとおり明るく振舞っていても物凄く脆い印象を受けます。そんな有利を影から表からフォローする村田の昼行灯ぶりが非常にツボ!そしてトサ日記のあの話がコンラッドや有利の過去だけではなく、よもやまたこんな所に繋がっていようとは…

しかし何よりツボに入ったのは、押しかけ女房もとい魔族実は似ている三兄弟三男・ヴォルフラム。あのワガママプーがユーリが心配なあまり民間用のボロい船に乗ってユーリを助けに行ってしまう辺り、本当に惚れこんでるんだなあと微笑ましいながら、初期のワガママぶりを思い出してその成長振りにニヤニヤ(笑)

そして何よりラストシーン。
力を使い果たして絶体絶命のユーリの前に颯爽と現れ、このセリフ。

「けど、お前の体重じゃ…おれを引き上げられないだろ。ヘタしたらお前まで……!」
「そうしたら」
汗で握る右手首を両手で掴み、ヴォルフラムは苦み走った笑みを見せた。
「一緒に落ちてやる」
おれのいない間に何が起こったのか、今まで知らなかった表情だ。
「ぼくを信じろ」


な、なんて漢らしい…!!!

ある意味ベタなセリフですが、熱血タイプ主人公のユーリや典型的保護者兄タイプのコンラッドが言うのではなく、このワガママプーな弟属性三男が言うと猛烈に萌えもとい燃え!そして今まで必死に虚勢を張ってきたユーリを受け止めてやる漢らしさも非常に燃えました。正直ヴォルフラムがあの三兄弟の仲で一番漢らしいと思うのですがどうですか。次回もどれだけ漢らしいところを見せてくれるのか、非常に楽しみです。

ていうかこのシリーズの続きが気になって1月の新刊がなかなか消化できませ?ん…(笑)


2006年下半期ライトノベルサイト杯に投票

2006年下半期ライトノベルサイト杯に投票します。(はてな以外の方の投票はコチラ
殆どの作品はこちらのエントリーで取り上げてるので、良ければこちらもどうぞ。
書名クリックで過去の感想に飛びます。

■単発部門


オンライン書店ビーケーワン:ネコのおと【06下期ラノベ投票/単発/4829163801 】
ネコのおと(新井 輝/築地 俊彦/水城 正太郎/師走 トオル/田代 裕彦/吉田 茄矢/ あざの 耕平/富士見書房)
2006年色々あった面白企画で一番ツボった。2006年の年末を沸かせた蝶・問題作(笑)富士見ミステリー文庫内部の自虐ネタが非常に良い感じです。

オンライン書店ビーケーワン:戦闘城塞マスラヲ Vol.1【06下期ラノベ投票/単発/4044266115 】
戦闘城塞マスラヲ Vol.1(林 トモアキ/角川書店)
何の力も無いNEETな主人公がハッタリとその場の運のみで強敵達とのバトルを潜り抜ける…という展開が非常に熱い。そういえば、実は「お・り・が・み」積んでます。今年中には読みたい。

オンライン書店ビーケーワン:DEATH NOTE【06下期ラノベ投票/単発/4087804399 】
DEATHNOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺害事件(大場 つぐみ・小畑 健/西尾 維新/集英社)
デスノ好き…特にL好きなら読んで後悔することはないでしょう。そして実はツンデレだった南空ナオミに一票。

オンライン書店ビーケーワン:みずたまぱにっく。【06下期ラノベ投票/単発/4840236453 】
みずたまぱにっく。 This is MIZUTAMASHIRO!! (ハセガワ ケイスケ/メディアワークス)
「しにがみのバラッド。」の泣きゲー的雰囲気から一転、ギャグコメへ華麗なる変身。キャラ設定の面白さにはお茶噴きました。作風の変わりっぷりに驚かされたので一票。

オンライン書店ビーケーワン:ギロチンマシン中村奈々子 義務教育編【06下期ラノベ投票/単発/4199051619 】
ギロチンマシン中村奈々子 義務教育編(日日日/徳間書店)
設定は暗いけど中身はコメディ色強めのラブコメ…でもやっぱり内容は暗い。斗貴子さ…もとい中村奈々子のある時は冷酷な殺人マシン、またあるときは恋するロボット少女…という設定がツボでした。


■シリーズ部門

オンライン書店ビーケーワン:終わる世界、終わらない夏休み【06下期ラノベ投票/複数/4757729359 】
終わる世界、終わらない夏休み(あきさか あさひ/ファミ通文庫)
[感想:前編 / 後編]
2006年で一番泣いた一冊。ループもの。特に前編で殆ど目立ってなかった桜井深優が大活躍する後編は非常に秀逸です。彼女の淡い恋心にも、母親との親子愛にも泣かされました。

オンライン書店ビーケーワン:“文学少女”と繋がれた愚者(フール)【06下期ラノベ投票/複数/4757730845 】
“文学少女”シリーズ(野村 美月/ファミ通文庫)
遠子先輩の薀蓄、文学小説になぞらえた事件を追うストーリー。
全ての「読書好き」にオススメしたい、そんな一冊です。
っていうか本が好きならとりあえず読め。

オンライン書店ビーケーワン:カーリー【06下期ラノベ投票/複数/4757729111 】
カーリー(高殿 円/ファミ通文庫)
ラブコメ、大河?浪漫、そして女装美少年。萌えの要素が詰ってます。カーリー&シャーロットのウキウキ★ヒンドゥー語レッスン(勝手に命名)は必見。

オンライン書店ビーケーワン:殺×愛(きるらぶ) 5【06下期ラノベ投票/複数/4829118687 】
殺×愛?きるらぶ?(風見 周/富士見書房)
5巻までで少しずつ築いてきた暖かい関係を一気にぶち壊す最新刊は必見。5巻と最新刊のギャップがまた…哀しい。

オンライン書店ビーケーワン:極北からの声【06下期ラノベ投票/複数/4829118423 】
フルメタル・パニック!(賀東 招二/富士見書房)
直前まで「レジンキャストミルク」とどちらにするか迷いましたが…せっかくだから俺は投票する人が居なさそうで何時も推してるこちらを選ぶぜ!!何度も言ったが、カシム(宗介)に100000票くらい入れたい。

以下次点
 ・レジンキャストミルク
 ・アストロ!乙女塾
 ・メイド刑事
 ・化物語

個人的にイマイチ1巻完結のシリーズでツボにきたものがあまり無かったので、単発部門は2巻以下のシリーズ…という形式だったら嬉しかったのになあ、と思いました。特に今期は各レーベルで2ヶ月連続刊行が続出したため上下巻完結作品で面白かった作品が凄く多くて。特に「終る世界、終らない夏休み」はシリーズモノという括りというよりも、単発で投票したかったなぁ…。

しかしファミ通文庫の多さにびっくり。2006年下半期に読んだ3シリーズは全部お気に入りという、とんでもない状態になってました。殆どファミ通文庫は手をつけてないんだけど、他にも色々読んでみようかなあ。

【追記。】 シリーズ部門への投票タグを思いっきりトチってたので修正しました。


マルアークの種 片翼の記憶

[著]細江 ひろみ [絵]みかき みかこ

幼い頃に兄が療養していたサナトリウムで事故に巻き込まれた秀人は最近、過去の悪夢に悩まされていた。偶然買った本で見かけた、そのサナトリウムへと続く山の写真。悪夢の風景と亡くなった兄を求めるかのように訪れたその山で遭難し、野犬に襲われて気を失ってしまった秀人は怪我をして父の会社の研究所に運ばれ、そこで二人の不思議な少女と出会う…。
 

ちょっと不思議な雰囲気の漂う伝奇系ラブコメ。
なんか凄くギャルゲーにありそうなシチュエーションが炸裂で、「これなんてエロゲ!」とか思いながらも結構ハマってラストまで一気に読んでしまいました。

世間を知らないヒロイン二人が外の世界からやってきた秀人に興味津々で、とんでもない勘違いをしていたり、秀人が勉強を教えてあげたり、教えるために自分が頑張って勉強したり……とほのぼのとしたシーンが凄く魅力的。それぞれ心や身体に傷を持ちながらもお互いを労わり、少しずつ接近していく3人の関係が見ていて気持ち良いです。

特に亜里沙がネットで得た間違った常識を披露して色々勘違いする、
秀人とのトンチンカンなやりとりが凄くツボ。

「ねえ、どうしてイタズラ描きがないの?」
「え?どうしてって、僕は描かないよ」
「どうして?教科書にらくがきなんて、みんな描くものでしょ?」
「する人もいるだろうけど、みんなじゃないし。僕はしない」
「友達どうしで見せ合ったりもしないの…」
突然亜里沙はハッとして言葉を止め、あわてて「この話はやめましょうね!」と打ち切った。どうやら「友達が居ない秀人君」のために、気を使ってくれているらしい。


ここまでくると最早異文化コミュニケーション状態。

一見、常識的で博識に見える彼女のトンチンカンな一面が非常にツボでした。
ていうか最初から最後までこのラブコメ路線でいけばかなりの期待作だったのに!!

後半。秀人と和葉が犯したたったひとつの“ひとだすけ”をきっかけに自由は無くても幸せだった箱庭生活は終わりを告げます。

…ということで物凄い勢いでストーリーが展開し、読者置いてきぼりのまま終了。正直なところ、各登場人物の動機や描写が薄すぎて感情移入できなかったです。秀人と和葉、和葉と蒲生所長、蒲生所長と亜里沙、そして秀人と秀一、親子の関係に至るまで、折角の美味しい設定なのに何もかもが描写不足。いくら軟禁状態で暫く過ごしたとはいえ秀人が和葉を命を投げ出してまで救おうとするのはなんかおかしい気がするし、いくら恩人とはいえ亜里沙が所長にそこまで惚れ込む理由も“一目惚れ”じゃ弱い気がします。正直彼女は恩以上の仕打ちを受けているはずなのに。また、秀人が元々淡白な性格だからか、イマイチ父親に関する描写も薄いんですよね…電話を研究所側から止められていたという設定はなんとなく読めますし。もっと秀人が研究所に居る間、連絡の無い父親に対して不安や疑念を抱いたり父親に会えない事に寂しさを抱くような描写があれば違ったんだと思いますが…

全体的に1巻に詰め込みすぎて上手くまとまってないという印象を受けます。リュックサックにお菓子を詰めすぎて重要な道具がポロポロこぼれてしまった感じ。3巻?5巻くらいでキャラクターや設定をじっくり掘り下げてくれれば確実にお気に入りの一作として紹介できた気がするので、非常に残念です。ていうかもうラブコメ部分だけでいいよこの話。

そしてエピローグ。なんか何も成長していないっぽい秀人君の姿が非常に印象的。なんだこのダメ男は!!こういう展開になったら、何もかもを捨ててでも二人を探しに行くか、いつか彼女達に見合う男になってみせる!!と一念発起するのかと思うのが筋というもんでしょう。それなのに何もかもを捨てるまでは踏ん切りがつかずに家に引きこもり、性能の良い兄貴との実力差を見せ付けられて半ニート状態になり、ギリギリの成績で中学卒業ってなんですかこのダメ男は。(ネタバレ)

これだから最近の男はダメだとか言われるんだよ!!
和葉や亜里沙が自分達の信念に基づき、最後まで“自分”を通して見せたかっこよさに対して、こいつはあまりにも情けなさ過ぎます。結局この作品を通じて秀人が自力で得た物なんて何も無かったわけです。兄貴には表面上勝ってるけど全面敗北したようなもんだし。ていうかマジ、ラストでニヤついてるんじゃねえとか思う。お前のそのふがいない半年を土下座して恥じるとかできないのか。

ライトノベルの中だけでいいので、女の子も男の子に夢を見せてください。


DDD1

[著]奈須 きのこ [絵]こやま ひろかず

精神を歪ませ、その肉体に“新部”と呼ばれる変化を起こさせる奇病・アゴニスト異常症?通称“悪魔憑き”。とある事故により左腕を失った石杖所在(アリカ)が出会う、“悪魔憑き”達の引き起こす事件とは…!?

 

読みづらいとかそのフォントはさすがにないだろうとか色々ツッコミ所はありますが、凄く面白かったです。文章も綺麗だし、志貴や士郎のような一直線な流されキャラではない、ちょっと捻くれ系主人公のアリカをはじめとしたキャラクターも良いです。特にカイエやアリカの妹はかなりのインパクト。特にアリカの妹が可愛いです。サンドバックとか素敵すぎ(笑)

1話、基本設定とかを掴むまで中々ストーリーを読み進められず、かなり辛かったです。でもラストの展開は良かったなあ。しかしツラヌイやマトさんのキャラがそれっぽいのか、妙に西尾維新っぽいと感じてしまったのは私だけでしょうか。

個人的に一番気に入ったのは2話の久織姉弟の話。日常の中に潜む異常性みたいなのが凄く良かった。怖さ的には、グロ描写のないMissingとでもいいますか。何か色々とデジャヴというか、既視感を感じると思って居たんですが「ラノベなPSP」さんの感想(のタイトルを見て合点がいきました。既視感の正体は明らかに そ れ だ !

3話。実に3回連続のミスリードに懲りずに引っかかったのは私です。トリック明かされるまで全然気づきませんでした。我ながらこういうところに疑いを持たずに読めるのは美味しい性分だなあと思いますw

しかし「空の境界」を読んだ際にも思ったけど、回りくどいというか文章が難解というか伏線張りすぎというか…一言で言えばかなり読みづらい。特に1話を読み終わるのに相当苦労しました。サウンドノベルで読めばそこまで読みづらさは感じないんだけど、この謎のとっつきにくさはなんなんだろう…。

あと、雰囲気を出すためだろうとは思うけど、文章のフォントを全文特殊フォントで書かれてしまうのはちと読みづらいです。ああいうフォントは要所要所で使うから味があるんだよ!!ついでにちょっと気になったのが、箱から出して読んでるとまるで装丁から字体から同人誌みたいな印象を受けるんですよね


きっとマのつく陽が昇る!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

夏休み、村田に誘われてやってきた海の家でのバイト中にまたまた眞魔国に呼ばれてしまった渋谷有利。ところがどうも様子がおかしい。着いた途端に刺客に襲われ、コンラッドやギュンターに庇われ、命からがら元の世界に強制送還されるのだが、着いた先は何故か敵国ど真ん中で…?!
 

一気にストーリーがシリアスになりました。戦争の匂いはプンプンするし、コンラッドは生死不明だし、ユーリは村田と一緒に敵国のど真ん中に行っちゃうし…ギュンターとグウェンダルは……もうアノ人達はギャグ担当で確定ってことにしといていいですか?

コンラッドの告白まがいかつ死亡フラグ立てまくりの意味深発言が、物凄く重い。考えてみると「トサ日記」での彼の過去話はこの話への前フリだったんですね。凄く美味しいキャラなので、生きてるといいなあ。

重苦しい雰囲気の中、村田のボケとギュンター&グウェンダル&アニシナトリオの暴走っぷりが唯一の心の清涼剤。村田の正体は実は……らしいですが、彼の正体もそろそろ明かされるのかな?ユーリが気絶した後に見せた、シリアスな発言が個人的にかなりツボです(笑)

そして良く思っていなかったはずの次兄の生死不明に心を揺らしつつ、行方不明になったユーリを探しに行こうとするヴォルフラムが、出番が少ないながら非常に良いです。長兄の立場も理解していて、自分が本来どうしなければいけないのか判っていても行動を止められないのがヴォルフラムの良いところですよね。顔には似合わない漢らしさにすっかり骨抜き。是非次巻ではドーンと活躍してくださいっ!


連射王(上)

[著]川上 稔

野球部に所属する高校生・高村コウは、何に対しても本気になりきれない事に悩んでいた。野球は「楽しい」が勝つため・レギュラーになる為一生懸命なチームメイトに共感することが出来ず、距離を感じる毎日。ある日、電車待ちの時間つぶしに立ち寄ったゲームセンターでコウは一人のゲーマーがシューティングゲームに“本気”で向き合うところを目撃する…。
 

シューティングゲームに青春を賭ける、熱き漢達の物語。

主人公が野球部での事や人間関係に悩みながら『大連射』というSTGをワンコインクリアする所までを描きます。「シューティング」というジャンルからして非常に漢らしいのですが、主人公はコンティニューをしない主義だったり、自分がクリアできていないポイントから先のプレイは見ないように心がけていたりと物凄くストイック。まさに『漢』の世界です。古きよき昔のアーケードゲーマーと言う感じ。

とにかくSTGの楽しさが伝わってくるような、そんな作品でした。ゲームをプレイしているときの爽快感やボスを倒した時の喜びなど…このジャンルのゲームは殆どプレイした事無いのに読み終わるとゲーセンに行ってコッソリとシューティングやってみようかな、と思ってしまうほど。また、主人公を間接的にSTGに引き込んだゲーマー・竹さんのシューティング解説が妙に実用的で面白い。

なんか凄く本当の「ゲーマー」達の姿を見た、という感じがします。ただお金を使い込むんじゃなくて、ただストイックに自分の目的を果たす為に色々と攻略法を考え、スティックの持ち方から何から考えて(時には熟練者にアドバイスを貰って)ラスボスを倒す。知らない人から見たら“たかがゲーム”なんでしょうが、どこか爽やかなまでに健全な、男達の勝負の世界がありました。

都市シリーズや終わりのクロニクルのような面白世界設定も異能力もありませんが、十分すぎるくらいに熱くさせてくれる青春物語です。下巻も楽しみ。

→下巻の感想はこちら。


とらドラ4!

[著]竹宮 ゆゆこ [絵]ヤス

夏休みに亜美の家の別荘に泊まりに行くことになった竜児と大河…そして北村と実乃梨。旅行の直前に“結婚して新居の犬小屋で犬の子供を生む”という悪夢を見た二人は今度こそお互いの恋路を進展させようとする。見事大河の応援を勝ち取った竜児は、大河から必勝の策を授かるが!?
 

今まで“竜児の憧れの人”というポジションで完全に脇役だったみのりんが一気に前に出てきて大活躍。正直今までただの面白発言キャラだと思っていたのですが、今回の話でかなり意外な一面が見え隠れしたりして、一気にツボにきました。こ、これは確かに可愛いよ!!

竜児も今回の件で自分から一歩踏み出すと言う事を覚えてひとつまた成長した感じ。
ほんと、竜児はラノベキャラ最強の「婿に貰いたい理想の主夫」だよ!!是非私の部屋を掃除してください、ええもう心ゆくまでお願いします(*´д`) 目の前の海に行くよりも、ホコリの溜まった別荘を掃除したがったり、幸せそうに別荘の掃除をやらかしているシーンは本気で忘れられませんw

みのりんと竜児が急接近した裏で、亜美と大河のちょっと微妙な感情表現がまた良い。最終的に竜児は大河とくっついて欲しいのですが、実は個人的にキャラとして一番魅力的だなと思うのは亜美だったりします。特に今回、洞窟での会話が挿絵もあいまってめちゃくちゃツボ。大河や実乃梨には決して持ち得ない、“大人”(社会人)としての視点を持っているからか。色々とやりすぎな部分もありますが、一番共感できるのは彼女なんですよね…まあ周囲には居て欲しくないタイプなんですが(笑)

ラストの大河は少しずつ自分の本当の気持ちに気付いてしまった感じでしょうか。実乃梨と竜児の大接近もあったことだし、突然北村と急接近しちゃいそうな感じもしますが。しかし北村と実乃梨、最終巻あたりで何気にくっついちゃいそうな予感がするのは私だけ?

大河が凄く控えめなので特有の破壊力みたいなものはあまりなかったのですが、今回は今まで以上にキャラクターが魅力的で、3巻までの破壊力を補って余りあるものがあったと思います。破壊力の方は4巻以降に期待!(笑)


とある魔術の禁書目録12

[著]鎌池 和馬 [絵]灰村 キヨタカ

学園都市中の学校が衣替えで騒がしくなっている頃、当麻は御坂美琴に大覇星祭での約束—順位の低かった方が何でもいう事を聞くという罰ゲーム—を果たすよう迫られていた。仕方なく(?)美琴に付き合う当麻だったが、そこで御坂妹や“ラストオーダー”と鉢合わせて…!?
 

久しぶりの美琴メインの話!と思いきや、肝心の美琴は散々空回りしてシスターズ達においしいところを持っていかれるという不遇ぶり。でもヤキモチを焼く美琴は本当に可愛いのでオールOKだと思いますよ。というか色々と理由をつけて(殆ど)カップル専用の携帯通話無料サービスに申し込みにいくくだりなんて、本当に可愛いです。美琴に幸あれ!!

御坂シスターズを初め、今回は既刊に出てきたキャラクターが殆ど(出番の多さ少なさあれ)総登場。使いきりのキャラクターかと思いきや、さりげなくまたストーリーに絡んできたりするから面白いですね。ただ、あんまり印象薄くて、誰だか思い出せない人が何人か居ましたけど。個人的には御坂妹VSラストオーダーとか、すっかりドジっ子というかお色気担当の神裂とその仲間達の下りが非常にツボでした。個人的には吹寄さんにもう少しスポットを…絶対美味しいキャラっぽいのにもったいない…!!

さて、そして今回はモロに13巻に続く!な内容なのですが、次巻では“一方通行”が大活躍しそうな予感。当麻がその場のノリに任せて「その幻想を打ち砕く!!」と叫ぶ展開も非常に好きですが、初登場以来の“一方通行”の変化は物凄く目を見張るものがあって、読んでいて非常に楽しい。当麻とは別の形で凄く心を熱くさせるキャラだと思います。何はともあれ続編に期待!!です。