うららの記事一覧 | ページ 166 | 今日もだらだら、読書日記。

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Dクラッカーズ 3 決意?resolution?

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都

クリスマス・イヴの夜に明かされた真実に打ちのめされた梓は、千絵達の前から姿を消した。カプセルを口にして行き倒れた彼女は、家出中の少女達と出会う。その一方で、「無慈悲な女王」の復活と引き換えに壊滅的な打撃を受けた<セルネット>は執行細胞である「B」が組織の権力を握り、無慈悲な女王の下で無料で大量のカプセルを配布するという方針を打ち出して…
 

2巻の終わりで様々な真実が明かされ、傷ついて姿を消した梓と事件以来行方不明になってしまった景を巡って千絵達が奮闘するお話。今回は千絵が美味しいところもってきまくりでした。特に家出少女達を厳しく叱りながらもちゃんと助けてあげるという場面は、凄くかっこよかったです。梓の心情をそれとなく察して姿は見ないけど、ちゃんと自分の思いは伝えていく姿勢がめちゃくちゃかっこいい!

そして事件の解決には全く役に立ってないけど(笑)見逃せないのが茜ちゃん。すっかり恋するオンナになっちゃって、甲斐の事を心配して自分らしくもない無茶な行動に出ちゃうところが可愛い。甲斐が復活したときのさりげない喜びっぷりがまた可愛いですね。この子は是非とも、もっと目立って欲しいな?。

そしてなんといってもラストの梓&景の復活が!再会して以来、殆ど明かされることの無かった景の本音が、あの絵本に挟まれていたメモから止め処なく伝わってきます。なんかもう、この二人には紆余曲折あった分、なんとしても幸せになって欲しいと思います。次巻が楽しみです!



キスとDO?JIN!?お兄様はTAXフリー!??

[著]小林 来夏 [絵]由良

2回目となるイベント参加の場で七海の本を買ってくれたのは明良という儚げな美少女。しかもその兄は西南北の元師匠で、ワイルド系な商業作家・ワイルダー東条だった!西南北や高橋とともに、かなり強引に東条の原稿の手伝いをさせられることになった七海だが、彼には脱税の疑惑がかかっていて…!?
 

同人誌作家を目指す少女と、美形カリスマ大手が繰り広げるシンデレラストーリー(?)第二段。
あんな騒動があったタイミングでこのネタ来るとは、小林先生空気読みすぎです。密かにマダム・バタフライこと蝶子さんの元ネタはある程度この渦中の方ではないかと思っていたので(バタフライエフェクトはスルーしても、ジャンルと言い、華やかなお名前といい…)蝶子さんに脱税疑惑のネタが絡んだら個人的には完璧だったのですが(笑)

相変わらず執事がいい具合にイカレイカしてます。今回は西南北と執事の活躍がイマイチ少なめでちょっと残念ですが…
むしろ82Pの挿絵のためだけにも買う価値ありです

ストーリー本編も凄く良いですが、一時話題になった「同人誌の脱税」という件に関する薀蓄がめちゃくちゃ面白かったです。利益が20万円以上上がったら納税しないといけないとか、なぜ同人誌が脱税しやすいのかなどなど。ちょっと複雑な家庭環境である東条兄妹の家庭環境や脱税の理由にも焦点があたり、前回よりもぜんぜん面白かったかな(やっぱ、「バタフライエフェクト」とテンバイヤーネタは無理を感じたし)。

ただ、正直やはり七海の「弱小サークル」としての活動描写は、どうにも本物の弱小サークルの人間からするとどうしても微妙です。ジャンルの違いはあると思うんだけど、書いてる人自身は商業で活動していてそれなりに大手なのだろうし、どうもそこだけリアリティが欠けてるって言うか…

蝶子が七海に対して「本当にすきなのね、バス王が」って言うシーンがあるんだけど、やはり読んでいると七海は本命はオリジナルで、でもオリジナルが売れないから今はバス王で売名中、って印象を感じます。そういう話がメインじゃないのは分かるけど、どうせ「弱小サークル」であることに変わりは無いんだから最初からオリジナルサークルとして活動させても良かったんじゃないかなあとか思う。というか、大手の裏事情的なネタが満載の本編の方が断然面白いので、いっそのこと七海もとっとと大手サークルまでなりあがってしまえばいいと思うんだけど。

ところで、この本を読んでいて最大の衝撃を受けたのは実はあとがきだったりします。

ていうかね、わたしBLの方のペンネーム水戸 泉っていうんですけどね、…




 な ん で  す  と  ?

実は私、商業系のBL小説は2冊しか持っていないのですが、うち1冊が件の水戸泉さんの本だったりします。もう一冊はかの有名な「お金がないっ!」。後輩が彼女の某錬金術師漫画時代に出した同人誌のファンだったので、同人誌の方も何冊か読ませてもらったりしました。たった2冊しか持ってないBL小説作家のうちの1冊にヒットするなんて狭すぎるよこの業界。

ちなみに持っているBL小説は、不思議な力で両性具有にされてしまったショタッ子がツンデレ天然系な美形青年だの独占欲の強い弟だの、学校の不良だの、触手を呼び出せたりする不思議な少年だの相手に大変な事になると言う実にファンタジーHOMOな内容だったのですが主人公がヤられまくってる割りに本編はしっかりしていて面白く、読んだ同人誌の方もエロは多くて自分設定大爆発だけど文章が上手く、ストーリーに引き込まれる力は一品で普通に面白いと言う感じで密かに「いっそライトノベル方面に来てくれたら作家買いするのに」と思っていた作家さんでした。こんなところでめぐり合うとはなんの運命の巡り合わせでしょうか。

…いっそ小林来夏名義で電撃文庫とかMF文庫Jあたりでギリギリなバトルありなファンタジー書いてくれたら絶対買うんですけど、駄目ですか。


殺×愛 7—きるらぶ SEVEN—

[著]風見 周 [絵]G・むにょ

オメガではなく“椎堂密”という人間として来夏と最後まで生きようとした。しかしその結末は、幼馴染の死…—打ちひしがれた密は運命に流されるまま、終末を見届けようと決心する。しかし、そんな密を立ち直らせようとサクヤは必死に立ち回る。
終わり行く世界で、遂に迎えた卒業式の日に待ち受ける二人の運命は—?
   個人的お気に入り度数

あとがきでも書かれている通り、非常に賛否両論分かれそうなエピローグでしたが。
だからこそ、敢えてこれこそ最高のエンディングだ!!!と絶賛したいです。

もう予定調和でもご都合主義でもいいじゃない。
(ていうか絶対そういう感想になる人多いと思う…!)
だって、これは「物語」なんだもの。
っていうか、愛さえあればオッケーだよ!

もうなんというか、許す。どんどんやってください。大歓迎です。

卒業式までの、「期限付きの」平和がどうしようもなく幸せそうで哀しそうで、少しずつ語られる卒業式中のエピソードに涙を拭い、サクヤの最後の悪あがきに涙を流し…なんていうか、これまで正直ぐだぐだだとまで感じていた日常パートの輝きが、読んでいるこちらにも「彼ら」がどれだけ懸命に生きたか伝わってくる。密やサクヤだけじゃない、終末を生き延びた人々がどれだけ儚く、それでいてしぶとく生き抜こうとしているかが痛いくらいに胸を刺して……だからこそ、「ご都合主義」と言えなくもないこのエピローグを、最後まで希望を見失わずにこの物語の中で一生懸命生きた人々が勝ち取った当然の結果だと感じて違和感無く受け止められたんじゃないかと思う。

主人公である椎堂密が優しいと見せかけて鬼畜でワルワル(byにゃみちゃん)で、しかしその本質はやはりどこか優しくて暖かい、「正義」を目指す一人の少年であったように、この物語もどこまでも見せ掛けはほの甘く、それでいて中身はひたすら切なくて、ある時は容赦なく残酷で、それでもその本質はとびっきり優しい恋物語でいてくれた事が凄く嬉しかった。エピローグで、最愛の人を探すだけじゃなくて、自らの見てきた“起こったかもしれない未来”を自分の力で変えようとしていく密がすごく愛しい。なんていうか、たとえどんな批判の意見を目にしようとも、私はこの作品ばっかりは、こういうラストにたどり着いてくれたのが凄く嬉しい。


本当に、この物語に出逢えて良かった。


それにしても、なんといっても高天原センパイには「最優秀助演賞」をあげたいです。もうこの人、意表つきすぎ()大きすぎ美味しいとこもってきすぎ。


あと2巻とかの日常ほのぼのラブパートで止まってる人方は、このラストを読むだけでもこのシリーズを読破する価値はあると思うので是非読んでほしいです。自分自身もそうだったし、他の人の話を聞いていても結構そういう人が多いっぽい気がするので。


ライトノベル好きに「初めての○○」10の質問

ライトノベル好きに「初めての○○」10の質問(鍵の壊れた部屋で見る夢さん)

そういえば以前この質問を見かけたときにいつか回答しようと思って放置してたのでした。リバイバルブーム来てるみたいなので(違)これを機会に回答してみますー。

実際「初めて読んだ」に該当する本を読んだのって小?中学生の頃になると思うので実際本当にそれが「はじめて」かどうかは自信ないのですが、多少の差異はきにしないと言う事でー。

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸

[著]入間 人間 [絵]左

まーちゃんと僕ことみーくんは、誘拐事件の被害者だ。酷い虐待を受けたまーちゃんの心はすっかり壊れてしまった。そして僕は「嘘つき」になった。そして8年後、同じ街で連続殺人事件と誘拐事件が起こる。僕は8年ぶりにまーちゃんと接触するのだが…
 

噂通りとってもヤンデレな内容ですね。
ストーリー全体が実に病んでるのですが、いっそ病みすぎてノリが軽い。まーちゃんも凄くヤンデレなんだけど、あまりにもテンプレ通りのヤンデレというか、ヤンデレの行動テンプレに基づいて行動しているだけのヤンデレという印象を受けてしまって、ヤンデレキャラが高確率で持っている「その行動にゾクっとさせられる」ような薄気味悪さが無い。ヤンデレ萌えの最大の萌え所って、ある意味二重人格萌えみたいなもんで、普通の女の子がとある刺激によって突然ヤンデレ的行動をとり始める恐怖見たいなのだと思うんだけど、まーちゃんには「普通の女の子」としての書き込みがあまりにも足りないというか…なんというか分類すると、ライト・ヤンデレ・ノベル?(色々な意味で)

誘拐事件をきっかけに壊れてしまったため、人間としての“常識”から外れて行動してしまっているまーちゃんと、敢えてそういう“常識”を見ないで居るみーくんの二人が織り成すお話なので、やっている事はかなりアレなのに全く罪悪感が匂ってこないというか…二人が壊れるきっかけを作った「誘拐事件」にすらもあまり重さを感じない不思議。ある意味新しい感覚。

「まーちゃん」
マユの額の髪を指で梳きながら、諦め混じりに問い掛けた。
「君、あの子達を拉致っちゃった?」
「うん!」
当たり前のように、元気一杯の返事を頂戴した。

色々な意味で、↑の文章がこの作品の一風変わった「軽さ」を全力で体現してる気がします。

まーちゃんとみーくんの異常にテンションの高いノリの会話は、良くも悪くも劣化・西尾維新という印象が強かったかも。玖渚友といーちゃんが主人公の「化物語」という印象受けました。会話にやたらと他作品ネタが絡んでくるところが維新っぽく感じた最大の原因なんだろうなあ…あとみーくんがものすごくいーちゃんとキャラ被る。ただ、凄くこういうノリの会話は好きなので個人的には全く問題ないですが。

なんかもう、「面白い」といえばいいのか「面白くない」といえばいいのかすらわかんない作品でした。判別不能です。○点評価とかしてなくてよかったと実に思います。5点とも言えるし2点ともいえる気がする。とりあえずちょっと分かりづらい所が多かったんで次を出して欲しいような…でもこの終わりで続編を望むのは難しいのかな。

あ、個人的にはカウンセラーの恋日先生と警察の上社さんがめちゃくちゃ好みです。


狼と香辛料3

[著]支倉 凍砂 [絵]文倉 十

クメルスンは冬の大市と祭で賑わっていた。商売と、ホロの故郷であるヨイツの情報を求めて町に行く途中で二人は魚商人・アマーティと出会う。どうやら彼はホロに気があるらしく、最初は色々世話を焼いてくれたのだが、二人の関係を誤解したアマーティは自分とホロとの結婚を認めさせようと勝負を挑んで来る。ホロがアマーティとの結婚にに首を振るわけが無い…と最初は取り合わなかったロレンスだが、ホロとのすれ違いがとんでもない事態を生んで…?!
 

コメント欄でお勧めしていただいたので予定を繰り上げて読んでみました。確かに3巻でますます面白くなってる。今まで個人的に唯一のネックになっていた前半のグダグダ感も殆ど感じませんでした。

なんか二人の関係が今まで以上に凄く良いですね?。ホロが疑うたびに何かと「嘘をついてないの、判るだろ?」と切り返してくるロレンスにニヤニヤします。そしてアマーティという“恋仇”の存在によって浮き彫りにされる、お互いの存在の大きさ。後半のいつになく弱気なホロが可愛くて仕方ありません。

それにしても、アマーティのかませ犬っぷりは最後の方になるとちょっと可哀想になっちゃいますね。せっかくの美少年キャラなのに扱いがよろしくないよ!!!あ、でもどちらかというと私はラント君も実に好みなのでオールオッケー。(ああっ、なんだか今凄く名作を台無しにした気がする!!)

今までのような命の危険や商人生命の危機は全く無いんだけど、「ホロがいない」というだけで緊迫感はシリーズ最高級。殆ど無理であろうというところから必死に一人で巻き返そうとするロレンスの姿には手に汗握るものがありました。そして、ダメかと思ったその時…!という巻き返しの過程が凄く良かったです。しかし今回は「信用売り」が理解しきれてなくて、イマイチ途中でなにやってるか良くわかんなかったんですがorz

ホロの故郷にして旅の最終目的地となる筈のヨイツの場所もわかった事だし、二人の旅が今後どうなるのか、楽しみです。


狼と香辛料2

[著]支倉 凍砂 [絵]文倉 十

港町パッツィオで儲けた香辛料でを売りに行ったロレンスとホロ。仕掛けられた罠を見抜き、その弱みで武器の信用買いを行った二人は意気揚々と教会都市リュビンハイゲンへ向かったが、罠に嵌められて大損を出してしまう。一転して破産の危機に襲われたロレンスは危険な賭けに打って出るのだが…
 

なんか面白くなってくる…というか尻に火が付くまでが長いシリーズだなあ…“経済”という特殊なテーマを使ったライトノベルなので仕方ないのですが、ちと経済関係の薀蓄がまどろっこしく感じて、そこでいつも詰まる。二人が窮地に陥ってからの展開はめちゃくちゃ面白く、一気に読めてしまうのですがそこに至る道のりがちょっと長い。ホロとロレンスの掛け合いは凄く微笑ましくて面白いのですが…。

ほのぼのとした前半から打って変わって、後半の展開は非常にハード。少しだけの援助を求めた際に“そんな非常時に女(ホロ)を連れ歩くとは何事だ”といわれて援助を断られてしまった場面では思わず読んでいて背筋が凍りました。そして裏切りに次ぐ裏切り…とにかく一度エンジンに火が付けば最後まで気が抜けません。文句なしに面白かったです!

…ただ、やっぱ前半がちょっとダルい。私自身があまりただほのぼの?としているだけの小説が得意ではないというのが大きくあるんだけど、ちょっとホロとロレンスの微笑ましい掛け合いに萌えるだけで読み進むにはキツイものがあった。二人の掛け合い以外の部分が良くも悪くも硬いからかな。でも「Missing」みたいに薀蓄が多くても楽しめた作品は私にも結構あるわけで…。

物凄く面白い」「ホロとロレンスの掛け合い超サイコー」という点においては否定しないんだけど、去年の今頃の「狼と香辛料」フィーバー思い出すと、やっぱりちょっと「想像してたよりは」面白くないなあとか思っちゃって残念な感じ。我ながらどんだけ面白い作品を期待していたのかという感じなんですけど(笑)

何の前情報も無しに読めばもっと素直に楽しめたのかなあ?


イラストレーター買い…むしろ「巻頭カラーページ買い」の話

超個人的「この作家の別シリーズは読む!」(「いつも感想中」さん)
ライトノベルの「作家買い」詳細解説と個人的な事例とか「イラスト買い」とか(「平和の温故知新@はてな」さん)

作者買いの話を読んで、考えてみると殆ど私はライトノベルで「作者買い」をしていないことに気づきました。一応自分の好きなシリーズの作者の別シリーズが出ると、それなりに気になることは気になるんですが高確率で購入には至らないというか、なんというか。

なんでだろうと思ってたんですが、殆どの作品において作者の作品は気になるがイラストレーターが微妙だった事に思い当たってみたり。ライトノベルは個人的に文章と絵があってナンボだと思っているので、私の場合は挿絵もツボに来ないと高い割合で購入に至りません。というか、この作者ならきっと面白いに違いない!っていうのはあるのに読む気がしないのはなぜだろう。

考えてみると私が今のところ完全な「作者買い」をしてる作者って
 ・川上稔
 ・甲田学人
 ・岩井恭平
 ・中村恵理加
くらいしかいないんですよね。
あれだけプッシュしまくっているフルメタですら同作者の「ドラグネット・ミラージュ」からまず未読…というか序盤で挫折中。1巻は書いてるのは違うので致し方ないといえば仕方ないのか…い、いつか頑張って読もう…。あと新井素子もエッセイ関係は高確率でスルーしてしまっています(あちらは冊数多すぎるというのもあるけど)

というわけで私の場合は作者買いでもイラストレーター買いでもなく、作者&挿絵コンビ買いになる確立が高いです。まあ同じ作者と同じイラストレーターで安心して読めるというのもあるのでしょうが…。「川上稔&さとやすコンビ」をはじめ、「藤原祐&椋本夏夜コンビ」とか「三上延&純珪一」コンビとか来ると確実ですね。私は途中で挫折してしまいましたが「時雨沢恵一&黒星紅白コンビ」なんてのも世間的には人気かもしれません。

しかしそれ以上に「前情報全く無しで新シリーズに手を出す」という場合、私は巻頭にあるカラーページをめちゃくちゃ重視します。表紙が気に入ったら手にとって、巻頭カラーをペラペラ眺めて、それでピンと来るものがあればあらすじを読んでレジに…という寸法です。公式サイトや感想ブログで気になった作品も巻頭カラーがイマイチだとスルーしてる、というのも多かったりします。

というわけで、自分の中で巻頭カラーの果たす責任は恐ろしく重大になります。基本的には、この数ページに作品の雰囲気が全て凝縮されていると考えているからです(内容と巻頭カラーが予想以上に違って地雷を踏む事も多いのですが…)

自分的に「巻頭カラー買い」だった作品

スカイワード1(著:マサト真希/挿絵:橘由宇)
この本、作者さんの文章が非常に独特なのですが(句読点を使わないで畳み掛けるような文体を時々使う)そういう文章を巻頭カラーページに掲載していたため、思わずその文体が気になって購入。巻頭カラーイラストではなく「巻頭カラーの文章」に惹かれた一例。2巻以降はこの文体が鳴りを潜めてしまって作品の雰囲気も大幅に変わってしまって寂しかった記憶が…次シリーズの「絶世少女ディフェンソル」は未読。
オンライン書店ビーケーワン:スカイワード

ウィッチマズルカ1 魔法、使えますか?(著:水口 敬文/挿絵:すまき俊悟)
とにかく見開きで描かれる未玖の願種召喚シーンが素敵。その後のバトルシーンでもその挿絵が1枚あったお陰で凄く場面が想像しやすかったです。ライトノベルの中でも有数にお気に入りな巻頭カラー絵。
オンライン書店ビーケーワン:ウィッチマズルカ 1

レジンキャストミルク4(著:藤原祐/挿絵:椋本夏夜)
もともと椋本夏夜さんのファンをしている私なので、かなり作者&挿絵コンビ買い入ってるシリーズなのですが、巻頭カラー部分が際立ってる小説なので紹介。特に3巻以降の漫画は何かが覚醒しているというか…椋本夏夜さんの脳裏でマカデミアナッツサイズの何かが弾けたとしか思えません。本編のダークを軽やかにスルーして、巻頭カラーで「プリン王国」だのなんだのやりだすセンスが最高です。
オンライン書店ビーケーワン:レジンキャストミルク 4

撲殺天使ドクロちゃんです(原作:おかゆまさき/アンソロジー)
だから、なんでこんなところにいるんですかCLAMP先生。
一人だけ明らかに浮いてます。なんというか空気読めてません。しかもどうみても侑子さん(xxxHolic)がいらっしゃいます。
インパクト強すぎでした。うっかり買っちゃったじゃないですか。やってくれやがったな電撃編集部。完敗です。本当にありがとうございました。
オンライン書店ビーケーワン:撲殺天使ドクロちゃんです

私の場合はこんな感じですが、世間のライトノベルブログ管理人さんにとって「前情報の無い新シリーズ」を手にとるポイントはどの辺になるのかがちょっと気になったりします。やっぱ完全イラスト重視な自分の買い方はライトノベル好きとしては希少なんですかねー。


天空のアルカミレス5 聖婚の日

[著]三上 延 [絵]純 珪一

先日目にした戦いでの拓也の様子に一抹の不安を覚えた礼菜は、ルスラン=ヴォルクに連れ去られてしまった日向子を助けるために鞠子と共に“城(カストラ)”に潜入した。これ以上拓也を戦わせないために。しかし、礼菜達が居ない事に気づいた拓也も享司の手を借り、二人を追う。そして“城”にたどり着いた一行に、次々と真実が明かされる…!
 

最終巻だという割りに、全体的に地味というかなんというか…打ち切り臭さえ漂うラストバトルだったのがちょっと不満です。次々に真実が明かされ…………ていくのはいいんだけど、せっかくのおいしい設定を数十ページのために浪費している感が否めなかったというか。

金色の戦器以外は全く扱えない特殊なアルカミレスであった拓也の正体、そして彼の過去、日向子の正体とその本物の戦器、ルスランの真の目的だのグロスマンの戦器の正体だの享司の真意だのが一気に明かされるのでちょっと読んでる側としては置いてかれ気味というか…もう少し早めに明かすか、もう1巻くらい続けて見せ場を作ってあげても良かったんじゃないかみたいな設定が多かったのが残念です。特に日向子は結局最後まで戦力としてはどこまでもかませ犬みたいな印象がぬぐえなかったし(その分“ヒロイン”としての魅せ場が多かったのでなんともいえないんだけど…)、享司の正体も普通に考えたら相当美味しいのにラストバトルの捨て駒以外の役割を果たせていないのが本当に残念。

ついでになんというかルスランの行動原理がえらいしょぼ…ゲフンゲフン。

しかし、その部分を除けばあれだけたくさんあった伏線を綺麗に消化して、ちゃんと各キャラの見せ場も作って…とかなり上手い終わり方だったと思います。ただ、なんというかイマイチ盛り上がりに欠けるというか…どこかのサイトさんの感想で読んで納得したんだけど、なんか面白いけど「地味」なんだよね。この人の作風は。

キャラクター的には主人公&幼馴染2人も大変良いのですが、それ以上に脇役が光っていた作品だと思います。特に毬子が友典と出会うことで少しずつ変わっていく過程は凄く好きだったです。あと、とにかく享司が凄くいいキャラでした!というか、良いキャラだったからこそラストバトルの扱いが気に食わなかったんですけど…。

地味ながら堅実に面白いお話を書いてくれる作者さんなので、次回作も楽しみにしたいと思います。