4巻から続くペド編の完結編。
うーん、先月末に出た「魔王城」の方が猛烈に面白かったので比べてしまうのかもしれないけど、なんか盛り上がりに欠けるなあ。面白くないわけではないんだけど、今回は物語の焦点が完全にミロク&ジュジュではなくてミーヤー&ヴィジャに寄ってしまったからだろうか……ミーヤーの「種」の加護を受けたヴィジャが強かった分、主人公であるはずのミロク達が完全に脇役になってしまった印象を受けました。なんか今回のミロク、ヴィジャの後ろでドヤ顔してそうなイメージがあるんだよね……
他にも敵の作り出した「ゾンビ」達の扱いや末路とか、なんか全体的に「らしくない」というか、ちぐはぐな印象を受けてしまった。前巻のラストから胸のすくようなミロクの大活躍を期待してしまっていたせいもあるけど、ちょっと全体的に残念な感じでした。
しかし新たな赤目隊のメンバーとなったディアートはとても美味しいキャラだなあ。悪態をつきながらさらっと隊長の無茶振りをこなしていく姿にニヤニヤします。「なんでもこなす」赤目隊の個々の役割分担の話とかもとても面白かったです。
「うらら」一覧
2010年上半期ライトノベルサイト杯投票します。
ラノサイ杯に投票します。既存:新規で6:4です。
今期はとにかく読了数が少なかったのと、新シリーズ開拓が少なかったのでこんな形になりました。
しかし5/10がファミ通文庫って……なんというファミ通無双……
■ 2010年上半期ライトノベルサイト杯 開催のお知らせ(平和の温故知新さん)
↑詳しいルールや投票の仕方等はこちらから↑
タイトル横の「感想」リンクをクリックで当サイト内の感想ページに、書影クリックでAmazonの商品ページに飛びます。
また、基本的にオススメ度の高い順に並んでいます。
既存と新規部門で記述方法が若干違うのは、空色パンデミックが発掘できなかった仕様です。
既存部門
■ 魔王城4限目(⇒感想) 7月に完結した「魔王城」シリーズの4巻目。最終巻も物凄く面白かったけど、面白さに拍車がかかったのはこの4巻からだったように思えます。魔人の子供たちの為に自ら「魔王」となる事を決意した普通の人間・エイゴと、彼を慕う心優しき魔人の子供たちの姿に胸が熱くなった。ストーリー展開も素晴らしいんだけど、エイゴと子供たちが「人間」達に立ち向かう事を決めた時の挿絵がまた素晴らしくて……文句なしに今期イチオシのシリーズでした。超オススメ!! 「お前たちを迷わせる余計な罪は、すべて俺が引き受ける」 【10上期ラノベ投票/既存/9784047263161】 |
■ ラ・のべつまくなし2 ブンガクくんと腐たご星(⇒感想) 2010年上半期の個人的床掃除部門大賞。カタブツの文学青年・ブンガク君とイマドキ腐女子な明日葉の初々しく可愛らしいお付き合いの様子もさることながら、ブンガク君の親友であり編集者志望の圭介の間に存在する親友関係がヤバイ超やばい。明日葉じゃなくてもカップリング萌えしたくなるってものです。ラノベ作家を主題にした作品といっても至極正当派なラブコメとして仕上がっていて、少女小説好きな女の子にもオススメしたい一作です。 だから、謝ります。 この心に渦巻く欲望で、あなたもすこしだけ……汚させてください 【10上期ラノベ投票/既存/9784094511901】 |
■ ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!4・5(⇒感想:Disc4/Disc5) 「もしもギャルゲーのヒロイン達が現実世界に現れちゃったら?」なシリーズ4作目。3巻がちょっと……で暫く積んでいたのですが、それを後悔するほど4巻目が面白かった!!「エターナルイノセンス」の本来の主人公・正樹の登場をきっかけにこれまで全然焦点の当たってこなかった男子キャラたちに一気に焦点が当たるようになり、(個人的に)物凄く面白くなってきました。とりあえず敬遠してた女性ラノベ読みの皆さんはなんとかして3巻までを乗り越えて4巻読むべき。正樹と武紀の友情具合にキュンキュンしようぜ!!! すでに存在しない 【10上期ラノベ投票/既存/9784047262881】 |
■ バカとテストと召喚獣7.5(⇒感想) アニメ化ひゃっほう!で今年半分私を思う存分転がしてくれたバカテス短編集3冊目。姫路さんの 「俺も知り合ったばかりで、まだあまりよくわかっていないんだが??あのバカ、結構面白いやつかもしれないぞ」 【10上期ラノベ投票/既存/9784047263130】 |
■ 魔王様げ?む!2回戦(⇒感想) 魔王の力で女の子にされ、魔王城のメイドとして働く羽目になってしまった元勇者・レモンと女の子にひたすら目が無い魔王・ディンゴと魔王城のメイドの皆さんが巻き起こすコメディ。とにかく美少女に対して歪みないディンゴと、かつての不遇な境遇も相俟って少しずつ周囲に感化されてしまう自分を自覚しながらもどうしても「元・男」としての自分を見失えないレモンの絶妙なボーダー具合がとても好きです。変態として歪み無いのに時々イケメン具合を発揮するディンゴは反則だ!!あと可愛いのにちゃんと男捨ててないレモンとのやりとりが微妙に時々BLっぽくて萌える!! 「ああ、存分に後悔させてくれ。…………やれるものならな」 【10上期ラノベ投票/既存/9784059035459】 |
■ GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン3上(⇒感想) ぶあついせいでどんどん他人に薦めづらくなっていく「境ホラ」シリーズ3巻上。ページ数も酷いけど、とにかくどこまでもどこまでも増えていくキャラのインフレが快感になってきたらあなたも今日から川上信者!!すいません私そこまで悟りきれてません!!3上はトーリの私物整理の一幕とか義経可愛いよ義経とかストーカー眼鏡最高とか色々大ボリュームな1冊でしたが、やはり誰がなんといおうと最大のインパクトは終盤の全裸対決であろうと。何気にP.A.ODA男子萌えとカーチャン無双が著しかった3中も凄かったですが、とりあえず全裸対決のカオスっぷりに勝るインパクトはございません。このインパクトだけで1票入れるよ私!! 「言っておくが、全裸ネタは朕のものだ。??何故なら朕は、“太陽王”だからね」 【10上期ラノベ投票/既存/9784048686006】 |
次点:「いつか天魔の黒ウサギ 紅月光の生徒会室1」「レイセン File1:巫女とヒキコと闇少女」
最後までツンデレを取るか、全裸を取るかの争いでした。レイセンは新規扱いだったら入れたかな…。
新規部門
■ 空色パンデミック(⇒感想) 「空想病」という病気を患う少女と普通の少年が出会うボーイミーツガール。何の力も持たない少女のいたいけな『空想』が世界の全てを書き換えて行く後半以降の展開がとにかく凄かった。現実が侵食されていく様、どこから空想でどこまでが現実なのか揺らいでいく感覚が凄かったです。そして最終ページが本編。 【10上期ラノベ投票/新規/9784047262874】 |
■ 東京レイヴンズ(⇒感想) 陰陽師とその子孫たちが活躍する「現代」を舞台にした陰陽ファンタジー。現代異能バトルものな一面も十分面白かったのですが、やはりなんといっても面白かったのが主人公・春虎を取り巻く人間関係。特に悪友である冬児との以心伝心な関係にニヤニヤが止まりませんでした!!物語自体ははじまったばかり、という印象なので2巻以降が楽しみ。 【10上期ラノベ投票/新規/9784829135198】 |
■ ココロコネクト ヒトランダム(⇒感想) 仲良し5人組が頻繁にお互いの身体と人格が入れ替わってしまうようになって……というお話。事件の大元を解決するでもなく、5人がお互いに持つ「悩み」を根っこから解決してしまうでもなく、それでも5人がそれぞれの悩みや欠点を受け入れてちょっとだけ前に進んで終る……という感じがとてもよかったです。そして主人公は一級フラグ建築士。 【10上期ラノベ投票/新規/9784047262904】 |
■ はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ(⇒感想) ひょんなことから自分の身体にもう1人の人格<チョールト>を宿す事になってしまった少年が元に戻る方法を模索して国際教育機関に入り込み、そこで出会った人々と少しずつ成長していく…というお話。ユウとチョールトの2人で1人の関係も、天才型のカティア&努力型のアレットという対象的な二人のヒロイン級の少女たちとの関係も物凄く魅力的でした。個人的には、次巻では男友達であるクリスとの関係をもうちょっとクローズアップしてくれたら大喜びです。是非お願いします。 【10上期ラノベ投票/新規/9784086305549】 |
次点:「B.A.D.1」
こっちは「はるかかなた?」と「B.A.D.」の争いでした。BADはどちらかというと次巻への期待面という意味が強かったのではるかかなた?で。
今年のファミ通文庫新人作品はどれも強烈で、甲乙つけがたかったです……
フルメタル・パニック!12 ずっと、スタンド・バイ・ミー(下)
大きな犠牲を出しながら、ついに飛び立ったフル装備の“レーバテイン”と相良宗介。強力な敵の迎撃部隊を突破し、かなめが待つメリダ島最深部へ着実に近づいていた。だが、新兵器を装備したレナードが駈る“ベリアル”が出現。切り札の“妖精の羽”も破壊されピンチに陥る。一方、核ミサイルの発射を防ぐため、宗介たちとは別行動をとるマオとクルーゾーも、絶望的な状況に陥っていた。全面核戦争による世界滅亡のカウントダウンが始まる中、彼らに起死回生の秘策はあるのか!?そして宗介とかなめが交わした、あの日の約束は永遠に成就しないのか!?SFミリタリーアクションの金字塔ついに完結。(「BOOK」データベースより)
完結編。なんかもう色々な意味で感無量すぎて、逆に言葉が出てこない……
前巻から引き続く死亡フラグの連続、絶望的な状況の中で宗介の放った言葉がなんとか“千鳥かなめ”を呼び覚まして、彼女が立ち上がってから一気に事態が好転していくのが凄かった。あの人の復活とか、既に予定調和っていうくらいにしっかりとフラグ立てされていたけど、王道すぎるけどやっぱりあの場面で出てくるのは反則……!なんだけどその後かわいそうなくらいケチョンケチョンにされるさまが酷い、とかあんな状態で「俺……帰ったら秋葉原でアニメ翻訳家になるんだ……」と逆死亡フラグを立てるクルーゾーさんとか、別の意味でも最高すぎましたww
何より、「あったかもしれない未来」での宗介とかなめのやりとりと、死の淵に立たされた宗介が見た、ミラからの「映像」の破壊力は半端なかったです。どっちもボロ泣きした。確かにかなめの能力を使えば宗介は戦争なんか知らない、日本の一高校生だったかもしれなくて、でもそれは「かなめが好きな」宗介ではなくて……半ばそういう選択肢を選ぶのではないかと思ってはいたけど、実際にああやって具体的なビジョンとして示されてしまうと二重の意味で心が痛い。最後の最後で1人の「人間」となったアルの行動にも胸が熱くなりました。
宗介とレナードのやりとりも良かったなあ。これだけのかかわりを持ちながら「好敵手」にすらなれなかった二人。どんな事があっても、憎む事も好む事も出来なかった相手。ある意味、あそこでレナードがああやって死んだのは必然だったと思うんです。宗介自身が殺しても、宗介が彼を見逃す形になってもいけなかった。最後まで無関係と無関心のまま対峙してきたレナードと宗介にはぴったりの結末だったのではないかと。
色々と時間は掛かってしまったけど、もう取り戻せない物も沢山あったけどかつて宗介が「連れ戻す」と誓った場所で、かつてかなめと約束した事を果たした二人と、それを見守るクラスメイトたちの姿が熱すぎて。最後の見開きの挿絵が素晴らしすぎて。もうなんか本当に、暫く何も言葉が出てこないくらいの脱力感があった。ああ、終ってしまったんだなあ、と。本当に凄い物語だったと思います。
あと1冊くらい短編集が出るみたいなので、そちらも楽しみです。
↓以下、大変どうでも良い妄想
《では逃げ終わったら、車にでも積んでください。車種はトランザムを希望します》
? ト ラ ン ザ ム !!! /
最後のアルのユーモアに大爆笑したwwwwwなんというガンダムOOwwwwwそういえばレーヴァテインのメカデザインってダブルオーのガンダムをデザインした人と同一なんでしたっけ?
つまりフルメタ世界のウン十年後だかウン百年後がガンダムOOの世界で、オーライザー=アルなんですねわかります。刹那が終盤でブワーッと展開させていた謎フィールドはTAROSが作り出したウィスパード空間ということで!!
…あれ?なんか上手いこと道理が通っちゃうぞ…?
※複数の方より「元ネタは『ナイトライダー』(80年代の海外ドラマ)ではないか」というご指摘をいただきました。
元ネタを確認した限り確かにそちらのほうが元ネタとして正しそうな気がします。
該当部分は削除……しようかともおもったのですが、一応「本を読み終わった直後の感想」ということで、このままにして残して置きます。
ラ・のべつまくなし2 ブンガクくんと腐たご星
子供時代のトラウマから「二次元絵を3秒以上見つめると気絶してしまう」という筋金入りの二次元アレルギーで文豪を夢見るラノベ作家と腐女子の女の子の繰り広げるラブコメディ第2巻。
ラノベはイラストと文章の二人三脚だよね、というお話。二次元アレルギーの関係でどうしても学が目を向けられなかった部分、というのはあるのでしょうが「ラノベ」をやる時点で避けては通れない部分ですよね。なんだかんだ言いながらも、『かみたまっ』を良くする為一生懸命な海の言動にニヤニヤしてしまいました。特に新キャラのデザインに対する海と学のやりとりは興味深かったなぁ……「売れるものを作る」為に妥協しなきゃいけない部分もある、っていうのは商業で創作をしてみないとわからない視点なんだろうなぁ、とか思いました。
ラストで海&陸が学の書いた小説を読む場面が本当に楽しそうで、凄くニヤニヤした。ていうか普通にこれ読みたいんですけど!!学の書く小説って普通に男子が良い悪友関係っぽくてとても気になる。元の作風はどうなんだかわからないけど、ラストの展開なんか完全にヒロインと主人公の親友のダブルヒロインになってますよね!!
しかし本編以上に学&圭介の親友関係と学×明日葉のほの甘恋愛模様やべえええええええええ!!!!!お互いの才能をお互いの居ない所で惚気あう学と圭介の言動にニヤニヤし、学と明日葉の初々しいやりとりの数々にゴロゴロ転がった。もうなんだこれ、男女カプ的にも男子の友情的にもやばい。学と圭介やなにやらで腐女子妄想して転がってしまう明日葉はもう色々と仕方ないと思うんですこれ目の前で展開されたら私だったら空気読まずに転がるわ!!!1巻でもかなりラブ度高いシリーズではあったのですが、2巻に来て一気に糖度が上がった気がします。数ある床掃除系少女小説群とも立派に張り合える程度の糖度やばい。
特に、クライマックスの学と明日葉のやりとりと、学のセリフがとても好きだ。カタブツな学が言うからこそ、その言葉の内容とのギャップに萌えます。本当にこのセリフはやばい。超やばい。
だから、謝ります。
この心に渦巻く欲望で、あなたもすこしだけ……汚させてください
あと1冊で完結とのことですが、二人の恋愛模様がどうなっていくのか、どんなお話が展開されるのか、とても楽しみです。
B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる
異能を持った女の子が悪意を持ってふしぎ事件を解決……する振りして事件を(依頼者的に)BADエンドのほうに誘発します。ショートショート形式です。出てくるキャラほぼ全員狂ってます。そして狂気な兄妹に総愛されな主人公(←某Twitterで書いた解説が気に入ったのでそのままコピペしたの図)
そんなわけで、異能の少女ととある事件をきっかけにその助手となった少年が怪異事件と出会っていくお話。残酷で醜悪だけど、切なく美しい作風は電撃文庫の「Missing」シリーズを思い出すなあ。醜悪なものをここまで醜悪に描けるのは凄いと思う。甲田作品と並ぶ食事中に読んではいけないラノベ認定したいところ。
それにしても、主人公である小田桐の愛されっぷりは色々な意味で凄い!もうこの話、ミステリアスファンタジーとか醜悪とか残酷とかおいておいて異能兄妹に小田桐が取り合われる話って言っちゃっていいと思うのです。妹のあざかの方は半分小田桐が己の内に孕んだ異能に対しての興味という一面が強いと思うのですが、兄のあさとはどんだけ小田桐好きなんだ。
2巻、3巻ともっと凄い事になるらしい(色々な意味で)ので、続きがとても楽しみです。
それであさと+雄介×小田桐の女性向けR18な同人誌はまだですか?(最低の〆め)
ココロコネクト ヒトランダム
ちょっと変わり者で人並みに悩みも持っているけど普通の高校生な5人組が、不定期にお互いの人格が入れ替わってしまうという不思議現象に遭遇して……というお話。
良い意味で5人の反応が「どこにでもいる高校生」的でニヤニヤする。不思議現象の大元を突き止めるわけでも、それぞれの抱える「悩み」を完全に解決させるわけでもないんだけど、その悩みを他人に打ち明けて共有する事で上手いこと消化し、自分の悩みと付き合っていこうとする5人の姿に胸が軽くなる思いがした。本人が物凄い異常だと思っていることも他人からしたらなんでもない事だっていう事はいっぱいあるよね。シリーズ名通り、他人と他人の「繋がり」がお互いを救う鍵になっていくというのが凄く良かったです。
それにしても主人公の太一君は典型的な一級フラグ建築士だよなあ。
基本的に彼が他の4人の悩みを聞いていくポジションだからこうなるしかないんだけど。
空色パンデミック1
発作的に自らの空想の世界の住人になってしまう「空想病」の少女・結衣。高校受験の日に偶然彼女の「空想」に巻き込まれてしまった主人公は、何故かその後も彼女につきまとわれることに。なんだかんだで彼女の空想につき合わされていくうちに……というお話。
ちょっと不思議要素を孕んだ、それでも普通の少年少女達が繰り広げるボーイミーツガール……だとおもって読んでいたら、後半以降の展開に度肝抜かれた。結衣の空想が世界に広がり、空想が現実を侵食し、どこまでが『空想』でどこからが『現実』かわからなくなっていく。足元が揺らいでいくような感覚。空想が空想のまま終らず、周囲の人たちの認識を捻じ曲げて現実までをも書き換えていくのが凄かったです。
そしてこの作品のキモは色々な意味で最後の1Pだと思うのです。いえ、あまりにも自然に書かれているので最初全く気付かなくて、読書メーターの感想を見ていて読み直して噴出したのですが!!この落ちてるように見せかけてちっとも落ちてない最終ページ凄い。もうなんていうか「最終ページが本編」と断言してもいいくらいじゃないか。
2巻がここからどう展開していくのか、とても楽しみです。
サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ
カズマを主人公にした「サマーウォーズ」の前日譚。OMCに挑戦してチャンピオンとなったものの、自分が何のために戦っているのかわからなくなっていたカズマが「OZ」の世界で助けた女の子を偶然リアルでも助ける事になって……というお話。
物語の舞台が「OZ」よりも現実世界を中心に描かれているせいか、最強アバターであるキングカズマというよりも年相応の男の子らしい中学一年生の佳主馬の一面が強調されていて、とても可愛かった。真紀の女の子らしい一面に触れてドキドキしたり、『敵』に負けて茫然自失となったりする姿がどこか微笑ましい。人よりちょっと大人びていて、頭も回るし、運動神経も良いけどやっぱりただの子供なんだなあ、とほっこりするシーンが多かった。
そんな佳主馬の孤独な戦いに助力する人々の姿が原作通りの爽快さで、読んでいて本当に楽しい!!特に栄おばあちゃんは相変わらず良い所持って行きすぎで困る。一家勢ぞろい、とまでは行かないけどやっぱり一筋縄ではいかないところを見せ付ける陣内家がマジ最高。そしてカズマを裏からサポートし続けるあの人の正体に途中で気付いてニヤニヤ。
そしてクライマックスのチャットバルーンを使った演出に震えた。ずっと「ひとり」で戦ってきたキングカズマが、自分が決して1人で戦っているのではないと気付いた瞬間。そしてなぜ自分が誰かに勝ちたいと願い続けるのかと自覚する姿に胸が熱くなりました。
サマーウォーズは複数のコミカライズ・ノベライズが出ているけど個人的にはこれが一番面白かった気がする。というかノベライズものでは久しぶりの大当たりだったなあ。超オススメ!!
しかし映画といいこの本といい、本当に理一さんは自衛隊という名で何の仕事をしてるんですかw
魔王城五限目
魔王城シリーズ完結編。「魔人」の子供たちを守るため自ら「魔王」を名乗ったエイゴが、子供たちの居場所を作る為、国王の元を目指す……というお話。
エイゴたちの戦いが佳境に入るのと同時に、20年前の魔王と英雄の事情が明かされるんだけど、エイゴと同じように迫害される魔人達の為に立ち上がった心優しき「魔王」と彼を倒さなければならならず、その後良かれと思った行動が思わぬ結果を生んでしまった悲しき「英雄」の姿に胸が痛くなりました。エイゴ達の事情にしても、お互いにちょっとずつすれ違った結果が大きな悲しみを生んでしまったというのがやりきれない。
「英雄」を慕うあまりに取り返しのつかない過ちをおかしてしまったハイナートの最期に同情する気は起きないけど、最後に少しでも報いがあったことにほっとした。「吉永さん家」でもそうだったけど、本当にこの人の作品には「悪人」が居なくて、誰も彼も憎みきれないなあ。
エピローグはもう、エイゴの「ただいま」と思い思いの未来を得た子供たちの姿だけで感無量すぎるんだけど、最後の「魔王」エイゴの台詞に震えた。世界はそう簡単に変わらないけど、彼等の想いが結実したような幸せなエピローグに胸が熱くなった。
「俺は魔王だ。君を魔王城まで連れ去りに来た」
最高の物語を、本当にありがとうございました。
以下やや腐向け感想↓
今回は正直後書きも壮絶に破壊力高くて、ラストの1Pには思わず涙ぐんだりしてしまったのですが、各キャラの後日談が非常にやばかった!!
伯爵のその後やべええええええええええええ!!!!!
これは、憎まれ口叩き合う腐れ縁やら俺様に見えて実は苦労症キャラが大好きな私への挑戦状ですか!!エイゴと伯爵のじゃれ合いを妄想するだけでご飯10杯いけます。エイゴが他所の街に魔人拾い(違)しにいってるあいだにしょぼくれてる伯爵可愛いよ伯爵マジ可愛いよ!!!後日談のスピンオフ外伝化はまだですかとりあえず伯爵メインで1本書いたらいいとおもうんですマジそれやるべきだとおもうんです!!!
忘却の覇王 ロラン
政略結婚させられそうになった王女の命により、彼女を結婚式場から盗み出した王室警備隊長ロラン。ただ逃げるだけなら簡単な頼まれごとだったのだが、エトワールは自分のせいで窮地に陥る母国を救い出せ、というとんでもない難題をつきつけてくる。危機的状況を打開するため、ロランはとんでもない計画を思いつくが……!?という王道ファンタジー。挿絵が「PandraHearts」の望月さん!!ということで久しぶりの表紙買いでした。
お転婆だけど心優しい王女・エトワールと腕利きだがやや(?)俺様なロランの(元とはいえ)主従とはとても思えないやりとりが美味しかった。わがままで自分勝手なように見えて実は心優しく責任感の強いエトワールと、なんだかんだで彼女の悲しむ顔を見たくないロランが時折見せるお互いへの気遣いにニヤニヤする。途中で二人の旅に加わったシオンを交えての三角関係なやりとりもポイント高し。
ファンタジーな世界観設定や本線の物語の展開にはあまり興味を持てなかったんだけど、まだまだ序盤という感じなのでこれから面白くなるのかなという気も。魔法の設定とか一部置いてきぼりをくらってる感が凄くあったんだけど、この辺は気にしてはいけないのか。
2巻を買うかどうかは、運よく発見できるかにもかかってる気がする。ガンガンノベルズってマジで、影が薄いというか売ってるところをあまり見かけないのですけど……。