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吉永さん家のガーゴイル15

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

ケツァルコアトルとの戦いに敗れ、破壊されたガーゴイルはレイジの策略で御色町を破壊した張本人として、"御色町の敵"と認識されてしまう。町中で冷たい目線を浴びながらも、砕けたガーゴイルの破片を集めるため、町中を奔走する双葉。一方で百色や東宮達など真実を知る僅かな人々もまた、反撃の機会を伺っていて……ガーゴイルは御色町を守ることが出来るのか!?
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シリーズ完結編。…くそう、今までの総決算の如く要所要所に泣かせポイントが仕込まれていて、最初から最後までノンストップで胸が熱くなりっぱなしでしたよこんちくしょう!

人災による怒りと混乱で不安定な精神状態にある御色町の人々につけ込んだレイジの陰謀を、吉永家とガーゴイルが2年間かけて築き上げたご近所との信頼でひっくり返していくという展開。最初は聞く耳持たずだった人々の意識が少しずつ変わっていって…双葉がガーゴイルの破片集めをしている最中に偶然その破片を持っていた人々が揃って「お守り」という言葉を口にする場面には胸が熱くなった。目撃者が何人もいる以上その信頼を取り戻すには相当な冷却期間が必要なのでは…と思っていたのですが、考えた以上にガーゴイルが2年間で培ってきたものは大きかった。

双葉たちの奮闘、高原親子の絆、怪盗百色と梨々の信頼関係……などなど、魅せ場だらけの1巻でどこを取っても語りつくせないほどなんですが、なんといってもガーゴイルが復活した後のクライマックスが熱すぎる。今まで決まり文句のように「吉永家の門番」という名乗りを上げてきたガーゴイルが和巳や双葉たちに"護られる"ことを是とし、「吉永家のガーゴイル」と言い直す場面では思いっきり泣かされました。考えれば、今までガーゴイルはその名乗りを上げることで最後の最後で吉永家の一員となることに線を引いてきたのではないかと。作中時間で2年・実に15巻分もの長い物語を経て、ガーゴイルはやっと真の意味で吉永家の一員になったのではないかという思いで胸がいっぱいになった。

一方で、レイジとの方はなんか実に中途半端な決着になってしまって…ある意味、ご近所時空に毒されなければ最後まで最凶最悪の悪役であれたのではないかという気がして、案外復活したら仲良くやっていけるんじゃないかという気がしてしょうがない、微妙な終わり方でした。うーん、でも、このお話に人殺しはやっぱり似合わないし、かといって彼らが手と手を取り合って暮らしていける程、並み半端な憎しみでもなかったんだろうなぁ…最後の最後でちょっと「実は手を取り合えたんじゃないか」なんて思わせてしまうところがニクイですね。

15巻ほぼ一気読みでしたが、ほとんど「つまらないなぁ」と思うような展開もなく、時にシリアスもバトルも織り交ぜながら最後まで根っこはどこまでも「ご町内」で「アットホーム」な雰囲気を持ち続けたまま終わってくれたことが本当にうれしかったです。巻数の多さで尻ごみしていたシリーズだったのですが、思い切って手をつけてみて本当に良かった!

…それにしても、13巻以降はおそらく「ガーゴイルおるたなてぃぶ」とのクロスオーバーだろうなあと思われる空白がかなり多く…だいぶ雰囲気が違うと聞いたのでとりあえず本編だけ一気読みしてみたのですが、やはり「おるた」の方にも手をつけてみようかな?。


吉永さん家のガーゴイル14

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

百色とガーゴイルに静かな復讐の炎を燃やす男・レイジがやってきた。以前の小物ぶりとは打って変わって余裕の表情で吉永家に現れたレイジに、ガーゴイルと百色・ケルプ・デュラハン・オシリスという最強の面々で立ち向かうが軽くあしらわれてしまう。今までには無い強敵の出現に警戒を強める一同だったが、適確にそれぞれの弱点を突かれ…
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ちょっ……これは……なんという……。

シリーズは遂に完結編に突入したシリーズ第14弾。これまでのほのぼの暖か展開とはうってかわって重く、痛く、シリアスな展開。…というか、今までの13巻、時にシリアスも挟みながら基本的にほのぼの&あったかでやってきたという積み重ねがあったからこその重さと痛さ。ご近所アットホームコメディでこんな痛々しい展開を見ることになろうとは……

13巻で明確になったガーゴイルの弱点をレイジが適確に突いてきた形で、御色町に潜伏している間にご近所さんからの信頼を勝ち取り、「いい人」と認識させた上で攻撃してきたガーゴイル達が悪であるかのように錯覚ていく姿は敵ながらお見事と言わざるを得ない。今まで散々、長所として描かれてきた御色町の人々の人のよさがこんな風に裏目に出るとは…とにかくレイジ、悪趣味にも程がある…。

ガーゴイルや百色の御色町を護ろうとする思いが伝わらず、むしろレイジの手によって正反対の方向にゆがめられていく姿を読者として見る(読む)事しかできない事が、とにかくもどかしかった。そして文章の構成が悪趣味すぎる(※褒め言葉です)。つい数日前まで確かに存在していたはずの暖かい関係と、その関係がみるみる崩壊していく様子を交互に読んでいかなければならないのは正直かなり精神的にきつかった。なんかもう、13巻までずっとガーゴイルと吉永家とご近所さんたちの関係を持ち上げて持ち上げて持ち上げてきたのはここでどん底に突き落とす為だったんじゃないかと考えてしまうほどの、重く痛い展開。そして更に引きが凶悪すぎるっ!!!

泣いても笑っても、次が最終巻。
全員が笑って一発逆転・大団円なラストが見れることを心の底から期待してます。


吉永さん家のガーゴイル13

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

古科学者達の組織「ミズチ」の首領となったレイジが吉永家を狙っている。そんな話を怪盗百色から聞かされたその日にガーゴイルは初めて吉永家への侵入者を許してしまう。しかも、偵察のためミズチから送り込まれたその侵入者は双葉とそっくりの姿をしていて…!?ピクシーと名付けられた彼女はすっかり吉永家になじんでしまうが…
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本編残り3冊。7巻で対決したレイジが復活して不気味な動きを見せ始め、巻数的にもラスボスの姿が明確になってきた感じのシリーズ13弾。微妙にほっとかれたまま置いてきぼりな設定(つか、「ミズチ」周りの話)がありますが、このへんは「おるたなてぃぶ」の繋がりなんだろうなあ…

吉永家に不審者の侵入を許してしまった挙句、レイジの生み出した人工精霊・ピクシーが双葉と感覚を共有してしまうという大失態を犯してしまい、ショックを受けたガーゴイルが凹んでる姿が新鮮。実際、2年間も門番をしていたガーゴイルが殆ど感知できないまま吉永家に侵入されてしまったというのは考えてみるとかなりの大事件な気がするんですが、結局そんな侵入者も吉永家の暖かい雰囲気にすっかりなじんでしまう姿が微笑ましかったり。そして生まれたばかりのピクシーに色々と人間の常識を教えようとするガーゴイルを見て、2年間の成長に感慨深くなったり。

いつものように最後で畳み掛けるように感動させられるようなお話ではないんですが、ご近所さんや吉永家の暖かさが少しずつじんわりと効いてくるお話でした。弱点を突かれて攻撃をためらうガーゴイルに吉永家の家族達が鉄拳制裁を持って家族の絆を再認識させるくだりが熱すぎる。相変わらずのママ最強伝説ですね!
ラストで双葉がピクシーにかけた、さりげない歓迎の一言には胸を突かれました。

一難さってまた一難、次回からは遂に最終決戦に突入する訳ですが、なんとしても家族パワーで大円満な展開を勝ち取って欲しいです。っていうかラストは大円満だって信じてる…!!

ところで、個人的に一番ツボったのは実に11巻ぶりの登場となる梨々パパ。
親バカっぷり爆発させて百色をおろおろさせる姿に爆笑。うろたえる百色可愛いよ百色。


ばけらの!

[著]杉井 光 [絵]赤人

ライトノベル作家としてデビューした杉井ヒカルは授賞式中の男子トイレでケモミミ尻尾の少女と出くわす。それだけではなく、そのレーベルに執筆している作家の殆どは人間じゃなかったのだ—!?株とギャンブル好きな管狼・イヅナ、エロコメ作家の座敷童子・つばさ、麻雀大好きアンデッド・屍鬼…などといった個性的な美少女達(ただし非人間)の同業者と共に、今日も愉快な騒動が巻き起こる!
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池袋にあるアパートを舞台に、何故か人間じゃないライトノベル作家達と普通の人間なライトノベル作家が巻き起こすどたばたラブコメディ。どうみても実在の作家がモデルだろう!?という方向で一部ラノベ好きさん達の話題の的だった期待の作品が遂に登場ですよ!

電撃の「遭えば編するヤツら」のような実名半分バレバレ内輪コメディ系ラノベを想像していたのですが、なんか普通に良いラブコメでありした。キャラ設定に各作者さんの作品のエッセンスがちょっと入ってたりするくらいで、あとはどちらかというと各作者さんのブログを読んでるとニヤニヤできるカンジの作品。知らなくても十分楽しめる一作だと思います。

キャラ的にはとりあえずイヅナかわいいよイヅナあああ
きさ…ま…男言葉で趣味がギャンブルと株でネトゲ廃人で料理はヒカルに作らせてばかりの駄目管狼でしかもツンデレだと…!!ヤキモチを焼いたりニブいヒカルの言動にスネたりするイヅナの姿を見てるだけで胸がきゅんきゅんします。なんという最終破壊兵器。これは普通にけもみみ好きと男勝りのツンデレ娘好きは買うべき。というかけもみみ萌え属性あまりないですが、マジでイヅナ可愛いよイヅナあああ!

あとお姉様スキーとしては風姫屍鬼おねえさんにきゅんきゅんです。大人の余裕!ヒカル達を破天荒に引きずり回す一方で時々暖かく見守ってるポジションが正直たまんねえ!!吸血鬼の男爵・ウーノに纏わるお話のラストが最高です。しかし名前がちっとも女性っぽくないのが残念なような…苗字と名前は逆でも良かったのでは…暫く名前になかなか慣れられなかったなぁ…。

コミカルなドタバタ騒ぎを中心にすえつつ、ラストはちょっといい話で締める短編を4編収録して、こういう話が普通に好きな私はど真ん中ストライクでした。特にクライマックスは「これなんてエロゲ?」な展開ではあるんだけど胸が熱くなるのをとめられなかったなあ。ネタ的なイミではなく、普通に面白かったです。いけぬこ会作家のラノベ作品を読んだこと無い人でも普通に読めばいいと思うよ!

逆に、各キャラクターの元ネタとなる作家さん達の作品ネタが薄い分元ネタが誰かというのはそれなりにラノベ詳しくないと難しいかも。ヒロインのイヅナが名前的にもグラフィック的にもどうかんがえてもわっちの人だろ!!というのとは対照的に、ほかの作家さんは「池袋いけぬこ会」というヒントがなければかなり難易度が高かった気がします。というか、2章に出てきた大物ラノベ作家の幽霊と、エムさんの元ネタが未だに判らないのですが……。たとえ「各キャラの正体なんか知らなくても楽しめるヨ!」といっても気になるものは気になるんだ!!

余談ですが、冒頭で比較対象にした「遭えば編する?」に登場するラノベ作家の一人が、「ばけらの!」にも出てます(…私の知識が正しければ)が、キャラクターの違いっぷりが地味に面白かったです。あっちでは新本格変態系全裸作家だったんだよなああの人…。


シニガミノバラッド。アンノウンスターズ。

[著]ハセガワ ケイスケ [絵]山本 ケイジ

新トウキョウ王子花園学園に転校してきた少女・咲ヶ本モモ。背丈程もあるリュックと白いセーラー服姿で、クラスメイトの前では天然系ドジっ娘を演じているが本性はワガママで凶暴…な彼女の正体はなんと“死神”だった—!生徒たちに取り憑く“幻魔”を回収するため、使い魔の黒猫・ダニエルと今日も元気に愛の鉄・拳・制・裁☆の日々だけど!?
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つまり「学園モモ」ですね、わかりました。

白い死神・モモと黒猫のダニエルが織りなす優しい物語「しにがみのバラッド。」のキャラ名だけ借りたベツモノ番外編。イマドキの変身美少女魔女っ子アニメ風(鉄拳制裁なあたりが)。どうみても「学●キノ」の二番煎じですが、いつそういう方向に崩壊してもおかしくなさそう(あとがき的に)なキノと比べて、普段は完全シリアスな「しにバラ」がこれやると感慨深いものがある…ような。しかし「みずたま」といいこれといい、個人的にはハセガワさんのコミカル路線…私、嫌いじゃないぜ…?

本編とは正反対に狂暴でイマドキで猫かぶりでオトコマエなモモですが、根本を流れる優しさは同じ。御無体な行動の裏で時々覗かせる不器用な優しさに、ちょっとニヤっとしたりしなかったり。

まるで一発ネタのような物語だけど、新たなる敵の存在が提示されてたり、伏線っぽいものがいくつも未消化だったりと……ひょっとしてこれは続くのか?正直、最近波が激しい「しにバラ」よりもこちらのほうが好みだったりするので続きが出るなら楽しみかも。軽く(物語の雰囲気的な意味と、余白的な意味で)サラっと読めるも好印象なのでできればこのままコミカル路線を突き進んでほしいな?(意味ありげな間章が気になる…)

…それにしても、挿絵が本編の七草さんから山本ケイジさんに変更されているのは絵師の得手不得手的な問題?確かに七草さんのギャグ絵って見たことないような気がするけど…。確かに破天荒な「咲ヶ本モモ」に山本ケイジさんはピッタリな配役ですが。

最近の七草さんのイラストは時々猛烈にキャラがの表情が好みだったりするので時々ほんと困る…(神様ゲームの表紙とか、今回のゲストイラストとかゲストイラストとか)


GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン1(上)

[著]川上 稔 [絵]さとやす(TENKEY)

遠い未来、"聖譜"と呼ばれる書を頼りにかつての歴史をやりなおしている世界。極東日本はとある事件をきっかけに世界各国の派遣した"教導院"と呼ばれる学園組織から分割支配を受ける事に。極東の住民を乗せる八隻の戦艦"武蔵"のアリアダスト学院総長を務める葵・トーリは戦艦が三河に近づく中、自動人形のP01-sに告白しようと決意するが!?
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「AHEADシリーズ」と「都市シリーズ」の間に位置し、とある事情から歴史の「やりなおし」をしている世界を舞台に"教導院"と呼ばれる学園国家間の騒乱を描く川上稔さんの新シリーズ第一弾。

読む前からなんとなくそんな予感がしたけど、膨大な設定とキャラクターが一気に登場してきて設定把握するので正直いっぱいいっぱいです。AHEADシリーズの時も1巻は膨大な設定を把握しきれず脱落しかけた記憶があるのですが、今回はその「終わりのクロニクル1(上)」よりも大量にキャラクターが出てくるわけで……序盤20Pが設定資料集状態になってるのには本気で噴きました。物語も三河につくまでは殆どキャラクターの顔見せと彼らの設定、世界観の導入が延々と語られるので進まない進まない。読みづらさにかけては都市、AHEADと来て今回のGENESISと、どんどん難易度が上がっていく気がするなぁ……。

群雄割拠の戦国時代を"やり直し"している日本の各戦国大名に住む場を失った世界各国の勢力が便乗しているという設定で、見知った歴史上の人物の名前がどんどん出てくるのが、日本史好きとしては面白い。各宗派の言葉遊びとかも楽しいなあ。日本の「戦国時代」とヨーロッパの「百年戦争」を同時にやり直しているらしいので、今後は後者の要素も具体的に出てくるのでしょうか。

ただ、その前提の一部が今回起こった事件でいきなりガッツリ崩壊しちゃってるわけで、今後その"やりなおしの世界史"がどういう形で進んでいくのか先が見えなくて楽しみ。とりあえず「終わクロ」も1下からは普通に面白かったので来月発売の下巻を楽しみに待ちますよ!

「総長連合」とか「IZUMO」とか「全竜」とかという、今までのシリーズを彷彿させるような言葉もさりげなく登場して、どのような形で2つのシリーズを“繋ぐ”シリーズとなるのかも気になります。


バッカーノ!1931 特急編—The Grand Punk Railroad

[著]成田 良悟 [絵]エナミ カツミ

様々な思惑をもった人たちを乗せて、列車「フライング・プッシーフット号」はNYへ向かう。平穏に目的地に着くはずだったが、テロリストと殺人狂と強盗団まで列車に乗り込んでいて、列車内は大混乱に。しかも怪物“線路の影をなぞる者”が目覚めてしまって…
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最近アニメ版をレンタルDVDで見始めたので再び手を付けてみました。豪華列車に乗り込んだ不死者や強盗、テロリストにマフィアに伝説の怪物…など、様々な人々の姿を描く群像劇。

キャラクターが多いので序盤はキャラクターの把握がしきれず、かなり辛い思いをしたのですがキャラクターの把握が追いついてからは一気に面白くなってきました。個性豊かすぎるキャラクター達がとにかく良い味を出していて、彼らの魅力に引きずられてどんどん先へ先へと読み進めてしまう感じ。色々な方面でキチガイなキャラクター達のトンデモ発言がオモシロすぎる。

少年好きとしては実は老年なショタっ子・チェスくんのツンデレっぷり最高。本人は実際子供の皮を被った冷酷なキチガイキャラなつもりなのに、普通に少年の心を残したままなキャラ立てがたまりません。ラストのマイヤーとのシーンにはマジでニヤニヤが止まりませんでした。

あとこの物語の鍵を握るいわば「裏主人公」とも言うべき青年・クレアとレイチェル&シャーネという二人の女性のやりとりが最高に面白かった。レイチェルとクレアがばったり出くわすシーンには思わず緑茶噴出したし、クレアからシャーネへの一風変わった愛の告白にもド肝を抜かれたり。そしてラッド&ルーアの殺し愛カップルからも目が話せなかったり。あ?、本当に愛すべきキチガイばかりで、後半は1ミリも目が離せませんでした。

ただ、これまで全然目立ってなかったジャグジーがラストでいきなりおいしいところを持って行ったり、ラストのシャーネの行動がとても謎かったり、なんか色々と物語に欠落があるような気がしてならず、その辺がちょっと気になってしまったかなあ。キャラクターの描写もなんか物凄い大事な部分が抜けているようなキャラが何人か居て。アニメ版見ていたのでキャラクターの基本設定は大体理解できたのですがそれがないとちょっときつかったような………




※この本は分冊になった内の二冊目ですので、『これだけ読んだけど良く解らなかった』という御方は先月発行された『バッカーノ!1931 The Grand Punk Railroad  鈍行編 』を御一読戴ければ幸いです。

(P266)

……またやっちまった……orz

わかり辛いよ!!わかり辛いよ!!(大事な事なので2回言いました)

まじで、こういう事があるのでシリーズモノは巻数表記入れてほしい……。
どおりで全体的にキャラ設定おざなりだと思ったよ!!!orz


テイルズ オブ シンフォニア-ラタトスクの騎士- 世界の願い1

[著]矢島 さら [絵]奥村 大悟

かつて分たれた2つの世界は1つになり、世界は平穏を取り戻したかのように見えた。しかし技術格差がかつて分たれていた人々の間に軋轢を生む。「血の粛清」と呼ばれる事件で両親を奪われ、孤立していた少年エミルはとある事件をきっかけにマルタという少女と出会い、彼女に宿った精霊「ラタトスク」の騎士として共に旅に出ることになるが…
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RPGゲーム「テイルズオブシンフォニア ラタトスクの騎士」のノベライズ。いろいろな方向で密かに気になっていたのですがゲーム版をプレイするほどの時間の余裕がなく、うずうずしていたところに小説版が出たのでとりあえず買ってみた。

というわけで原作ゲームは完全に未プレイなんですが、なんか露骨にゲームを忠実にノベライズしたっぽい、ぎこちない雰囲気が伝わってきてなんだかなあ…序盤でソーサラーリングの使い方とか魔物との契約の仕方を初めて覚えるシーンとか、猛烈にゲーム序盤のチュートリアルをそのまま文章化しましたー☆という感じでとても不自然に感じた。ゲームのノベライズってこういう部分や文章表現の乏しい戦闘描写の不自然さをどうやって埋めるかが作者さんの腕の見せどころなんだと思うのですが…うーん…これはちょっと。

物語自体はとても面白かったです。前作のエンディングでは見えなかった「世界の統合」による光と闇を描きつつ、前作主人公達とは対立する立場の人間からの視点で物語を描いているのが面白かった。まだ序盤でロイドの行動の真意とかは全く見えてこないんで、その辺も気になる。というかちょっぴり大人になった元熱血バカ主人公・ロイドの活躍にもとてもとても期待してたりする。昔と現在でちょっと落ち着いてたり、性格上のギャップが見えてきたりするととても萌えるのですが!

とりあえずエミルかわいいよエミル。ラタトスクモードのワイルドな変貌っぷりに萌えざるをえない。これは私が二重人格萌えと知っての狼藉か!!!(いえ、だからこそ手を出したんですけどね!?)ああ、この変貌ぶりはぜひゲームで直に聞いてみたい……。中の人は明久の中の人なんだぜ!!! 

10月に早速続編が予定されていて刊行ペースは速いようだし、漫画版の刊行予定とかも聞かないのでしばらくはこちらで追いかけるかなあ。余裕があったら続き買ってもいいかも、くらいで。

早くPS2に移植してください765様(身も蓋もない)


八王子姫

[著]海野 幸  [絵]ユキムラ

バリバリのキャリアウーマンで女性らしさのカケラも無い幸彦の姉はロリータ服を縫製して弟に着せるという趣味の持ち主。姉に頭の上がらない幸彦は嫌々ながらそれに付き合わされていたのだが、その格好で姉と外出した際に偶然バイト先で苦手に思っている社員・樋崎と遭遇してしまう。しかも彼は、幸彦が真実を明かせないうちに女姿の樋崎に告白してくる。情にほだされ、口の利けない少女“ユキ”として樋崎と付き合うことになってしまうが…
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なんか色々複雑な成り行きで読むことになってしまったよ!数年ぶりに手を出しました商業BL小説……ていうかぶっちゃけると今まで少年受関連しか読んだことありませんマジすいません。姉の趣味で女装させられた主人公が正体を隠したままバイト先のカタブツ男社員と付き合ううちに相手の知られざる面が色々見えてきて……というお話と、二人が相思相愛になってから夏祭りに繰り出すお話の2本立て。なんかこう、樋崎のクサイ台詞にもいちいち噴出していたのですが、なによりBLBLした挿絵が猛烈に恥ずかしくて……なんか色々とムズ痒いです!いらっしゃいませ未知の世界!!(ガクブル)

野暮ったくていつも不機嫌そうな樋崎がユキ(女装した幸彦)と出会ってどんどんあかぬけて行き、そんな姿にどんどんほだされていってしまう幸彦。幸彦の正体がバレる前のハラハラ感とどんどん間違った方向に成長していく樋崎の関係も楽しかったですが、正体がバレた後に樋崎が変態行為をカミングアウトしはじめた場面では爆笑してしまった。あんた普通にストーカーで訴えられても文句言えないよ!!

主人公が女装するきっかけとかは上手く本編の中で理由付けがされていて、BL小説にありがちな「ンな無茶なw」な設定にはなってなかったと思う。あえて言うと、樋崎氏の行動&台詞がいちいち「ンな無茶なwwww」でしたが。いやもうこのヒト、寒すぎて笑える。ちなみに一部で話題になったタイトルの由来は彼の口説き文句からですね。女装した主人公を喩えて曰く「八王子の姫」で「八王子姫」と。

本番シーンも物語に必要な分量だけ用意されているという感じで良かった。今まで私がぶちあたったBL小説って、ひょっとして人並みはずれて回数多かったのかなあ……としみじみ。(3冊くらいしか読んだこと無いけど…私が今まで読んだBL小説って、未遂含め平均でそういうシーンが1冊4?5回はあった気がする…)。BL小説はあまり読まないのですが、また面白そうなのがあったら読んでみたいなあ、と思える1冊でした。ていうかこの本の続きが出るなら、ちょっと買うかもw

…というわけで、普通にBL小説として読んでも面白かったのですが、何より地元民としては作者さんの屈折した八王子愛を讃えずに居られない。特に地元だからこそ要所要所で実際の場所を思い浮かべてにんまり出来る…というのはあるけど、表現ではけなしてるのにこの街への愛が伝わってくるのがほんと凄かった。

無理をして開発したハリボテの都会という印象が強烈過ぎる。微妙な拓け方をしている土地だから、ヘタな地方よりよほどロリータ服が痛々しく見えるのである。

デパートの前にある、駅前の地下駐輪場へ続く階段の下。薄暗くじめじめしたその場所は、雨が降っているわけでもないのに側溝にいつも水が溜まっている。

正直ハリボテすぎて泣けてきます!市長はこの本読んで反省すべき!
そして駅前地下通路は雨避け以外の価値が見出せないと、地元民からは超有名。
個人的には是非南口のハイーキョっぷりもネタにしてほしかったです

清も濁もすべて飲み込むように貪欲に拓けていった駅前は、その奥にある片田舎の風情を隠して華やかさを装おうと必死だ。雑多で嘘つきな混沌とした町。

個人的に、ここの表現が一番すごいと思った。良い事は何も書いてないのに、作者さんの八王子への屈折した愛が感じられるのは何故だろう。正体を隠して樋崎と付き合わざるをえなかった主人公の素直になれない性格と街を重ねる表現には一文には鳥肌立ちました。

BLが大丈夫で八王子の地元民な人は是非読んでほしい1冊です。


ラメント II. ふたつの月

[著]後藤 リウ [原作]淵井 鏑(ニトロプラス) [絵]柳原 澪

なんとか呪いを解き、祭りの準備でにぎわう藍閃に戻ってきたコノエ達。しかし、すべてが終わったわけではなかった。戦いの度に起きるライの変貌、執拗にアサトを追う吉良の村の者達、そして再びコノエの前に現れる4人の悪魔。リークスは3人に不吉な予言を残す。ふたつの月が重なる時、彼らを待ち受けるものとは……!?
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BLゲーム「Lamento」のノベライズ第二弾にして完結編。第一巻から重い展開が続く物語でしたが、2巻になってますます展開が重たいぜ…

「俺達の関係は“闘牙”と“賛牙”だから」といってなかなか本心を口に出せない(というか、本人たちも自覚していない)ライとコノエが微笑ましい。そんなこと言いつつ他の相手と仲良くしているのを見ると無意識に嫉妬してしまったり、さりげなくお互いを思いやるような行動を取ってしまう姿にはニヤニヤしてしまいます。ライはツンデレ攻……に見せかけた天然攻だと見た。物語は最初から最後までとても重たいので、素直になれない二人のやりとりやアサトを交えた三角関係なドタバタ騒ぎが唯一の息抜き場所。

最初は「お前は俺の“賛牙”だ」といわれる事に何ともいえないモヤモヤした憤りを感じていたコノエが、クライマックスで同じ台詞を聞いて全く反対の感情を沸き起す場面が、明確に変化した二人の関係を現しているようで大好き。しかし、元々がそういうゲームだから…とはいえ、最後の方はもう完全に出来上がっておられたなあ…。

ただ、二人の心のつながりを全面に押し出して描写されているので男同士で出来上がっていても割と私は違和感を感じなかったです。ライ、コノエ、アサトと共にそれぞれ異なった事情から両親の愛を満足に受けられなかった境遇という共通点を強調しているのも上手かったかも。慣れもあるのかもしれませんが、元々女性が殆ど居ないという設定の世界観もあり、1巻を読んだときよりも元がBL設定だった事に対する違和感は少なくなっていたように感じました。終盤で、ライとコノエが……のシーンはよもやこのまま本番突入か!?と色めき立ちましたが。

原作ゲームは未プレイなのでそちらとの比較はできませんが、十二分に楽しませて貰いました。結末は結構アレンジが入っているようなので、原作ゲームプレイ済みの人やちょっと気になっている…という人にもオススメ。

うーむしかし、やはりこういう作品はカップリング的にツボに来るポイントがないと最後の最後でノリきれない部分があって、なんかもどかしい。個人的にはライ×コノエもいいけど、いっそコノエ×ライっぽい展開になったら物凄いドツボに来たのではないかと思う自分がいる。
……マニアックですねそうですね。