“しろ” の検索結果 | ページ 14 | 今日もだらだら、読書日記。

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人類は衰退しました 7

 

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の“調停官”であるわたしのお仕事。ですが最近は、クレーム受付担当の様相を呈しておりまして…。「クスノキの里に学校を!」歴史を逆再生するスローガンによってわたしに回ってきた教師役。三人の問題児は、エスカレートする保護者の要求のもとにやりたい放題!助っ人教師の皆さんの顔面にもパイの嵐で、ついにわたしも暴走!?クスノキの里、潰滅…。 (「BOOK」データベースより)

「A拒んでますし!」
「ノンケにはちょっと強めのきっかけがいるんだ」
この人はもう手遅れなんです。

Yさんは至急B×Aに関する詳細レポートをまとめてください(真顔)

 憎さあまって可愛さ百倍の憎み愛カプで壁ドンとかどうしろというんですか!!体格差のせいで押さえつけられたら抵抗できないけど意思だけは屈しない受とか!!体格差で勝ってるけど微妙に自分の行動に戸惑いを感じちゃってる攻とか!!最高じゃないですか!!!97Pの挿絵だけで死にましたほんとうにありがとうございました!!!なんか本編関係ないけど死ぬかとおもいましたかわいい!!

 そんなわけで悪がき2人の壁ドン展開にYさんも私も大興奮なシリーズ第7巻。特徴的だったキャラクターデザインが変わってしまって新装版が出た時は正直かなりモヤっとしたのですが、間にアニメを挟んだせいか上手い事絵師変更の違和感はさほど感じずに物語りに入る事が出来ました。妖精さんだけはどうにも違和感ありますが、今だ……。

 3人の問題児とその後ろに立ちはだかるモンスターペアレントと対決する「妖精さんたちの、ちいさながっこう」。男子2人+女子1人の複雑な家庭環境および三角関係(含:BL)にYさんとともに萌え転がったりしてたのですが、それはそれとして主人公の魔女っ娘姿に萌えざるをえませんでした。三人の問題児達を突き放しながらも過去の自分と重ね合わせて最終的には見捨てないようすがとてもかわいい。だが正直色々な意味でB×Aに全てを持っていかれた気がしてならない。彼らの壁ドンについてYさんと語り合いたい。

 後半はヒトモニュメント計画の最中に記憶を失って目覚めた“わたし”が事態を解決するため奔走する「人類流の、さえたやりかた」。しょっぱなからクスノキの里が壊滅してて助手さんもYもお祖父さんもいなくて“わたし”は拘束されていたらしき痕跡があって、一体何が起こったのかと少しずつ遡っていきながら、正体もよく解らない“敵”に立ち向かう事になり……そこはかとなく感じていた違和感に対する答えが一気に突きつけられるラストの展開がすごかった。

 しかし、どちらの話もとてもおもしろかったけどなんというか妖精さんのいやし分が足りない。もっとしっちゃかめっちゃかにしてくれちゃっていいのよ!!


魔王様げ〜む! 3回戦

 

好色魔王の魔法で美少女メイドに変身させられた元勇者レイモンド。そんな彼を捜して、今度は人間界から美少女お姫様がやってくる! お姫様に正体がバレないよう、レイモンドは必死に美少女メイドを演じるが…。そんな彼に好色魔王のセクハラが乱れ飛ぶ!?(学研電子ストアWebより)

個人的お気に入り度数

 女子が好きすぎる魔王ディンゴに敗北し、姿を変えられて女子として魔王専属メイドとして魔王城で働く事になってしまった元勇者レイモンド(通称レモンちゃん)が繰り広げるTS系ドタバタコメディ第三巻。事実上「メガミ文庫」というレーベルごとお亡くなりになったと思われていた(リンク先参照)のですが、電子書籍という形で奇跡的に新刊刊行となりました。……という経緯があったので、紙媒体での刊行が絶望的なことくらいは小さい事だと……現実を受け止めないと……(遠い目)

 幼なじみの王女様の登場と同時に元の姿に戻れなくても自分の済んでいた人間の住む世界へと帰るという選択肢が提示されて、現在の状況と自分の気持ちを見つめなおす事を強いられてぐるぐるするレモンの姿が大変美味しかった。少しずつ育っていく気持ちを素直に表す事が、最後の最後まで“女”としての自分を完全に受け入れる事が出来ずないレモンが、ディンゴへの気持ちを男としての矜持と敵対心で覆い隠そうとする姿が微笑ましかった。微妙に解り辛い遠まわしな魔王からの愛情というかなんというかにもニヤニヤするわけですが、相変わらずのディンゴの平等すぎる全世界への女性への愛にふきださざるをえない。本当に、1回戦からこの魔王は歪まないな!!

 2回戦までのノリを持続しながら一応続きが出ても出なくても問題ないような終わりかたになっていて、良くも悪くもここが落としどころなんだろうなあ……というところで落ちた感じ。刊行の経緯からして、完全な打ち切りエンドじゃないのはむしろ救いなんですが。フリーダムさと不遇作品拾い上げに定評のある一迅社文庫あたりが拾い上げてくれるか、もしくは同人誌で続きが読めたりしないかなあ。まだまだ展開させようのありそうなお話だったので、ここで終わってしまうのはとても寂しいです。

あと受注限定生産でも構わないので、紙媒体でください。


俺の悪魔は色々たりない! 白の祓魔師と首だけ悪魔

 

「ガキ、俺と契約しろ」右目を代償に、首だけの大悪魔・サブナクと契約した少年イト。イトは祓魔師として働く傍ら、サブナクの体を探すはめに!赴任先は、天然お花畑な眼鏡司教様(でもS)や、空気の読めない発言を連発する見習い神父たちとくせ者揃いで!?「愛してるぜ、イッちゃん」「気色悪い事言うな!」第10回ビーンズ小説大賞奨励賞受賞・ビーンズ最凶の問題児集団が放つゴシック退魔ファンタジー、開幕。(「BOOK」データベースより)

 ビーンズ文庫の新人さん。あらすじからどうみてもドS俺様×男前男子のにおいをかぎつけましたので思わず!!ひょんなことから首だけの状態で封印されていた大悪魔・サブナクを復活させてしまった少年が契約で悪魔の力を使い、サブナクの首から下を捜したりするお話。

 主人公のイトと大悪魔のサブナクが大変良いケンカップルでした。軽口を叩き合いながらもなんだかんだでお互いを掛け替えの無い相棒のような存在だと思っていて、時折お互いにそういう本音を垣間見せるのが美味しい。あと個人的に聖女様がマジイケメンすぎてシビれたので続編が出るなら是非とも彼女の活躍をお願いします!サブナクに正体(?)あばかれたときのやりとりがたまらないです!!

 ただ、「あざとく」ならない程度にニアホモ系ケンカップル匂わす程度を狙って、そのあざとさを消しきれなかったみたいな感じやや気になった…。時折、全年齢移植されたエロゲをやってるときみたいな、本来あるはずのシーンを別のものでさしかえてるみたいなもどかしさを感じるというか。うーん。ビーンズ文庫買うと時々ある、この「BLレーベルで読みたい」的感覚。メインじゃなくてもいいけど、こういう男くさい話だからこそしっかりと女の子分が欲しかった気がします。結構うやむやな書かれ方してたけど、作中にちゃんとした性別:女子ひとりもいなかったです……よね?(以上ネタバレにつき保護色色)

 このあざとさがもうちょい薄かったら少女小説というよりもむしろ少し前の角川スニーカーあたりとかにまぎれこんでそう。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

 

孤独に負けず。友達もなく、彼女もなく。青春を謳歌するクラスメイトを見れば「あいつらは嘘つきだ。欺瞞だ。爆発しろ」とつぶやき、将来の夢はと聞かれれば「働かないこと」とのたまう―そんなひねくれ高校生・八幡が生活指導の先生に連れてこられたのは、学校一の美少女・雪乃が所属する「奉仕部」。さえない俺がひょんなことから美少女と出会い…どう考えてもラブコメ展開!?と思いきや、雪乃と八幡の残念な性格がどうしてもそれを許さない!繰り広げられる間違いだらけの青春模様―俺の青春、どうしてこうなった。 (「BOOK」データベースより)

 友達居ない主人公が、「奉仕部」という謎の部活に無理矢理つれてこられて学校一の美少女(けど友達居ない)雪乃と人助け勝負をすることになって……というお話。

 謎部活・友達居ない人達の寄せ集まり……と、最近流行りの「残念系日常ラノベ」かとおもってて、確かに実際その通りなんだけど、主人公の駄目人間具合がなんか割とガチ。一緒に過ごしているうちにフラグが立つとかそういうもんじゃねえ。中二とかそんな最近のラノベにありがちな生易しいもんでもねえ、これぞ「中二を無意味な上から目線で見下す高二病」、マジもんのぼっち感をひしひしと味わったぜ……。

 そんなこんなで八幡と雪乃が変にラブコメフラグを立てることもなく、馴れ合いすぎることもなく、だけどなんだかんだと絆を深めていく様子が素敵。二人きりの部室で特に会話をすることもない時間に少しずつ居心地のよさを感じたり、異性というよりは同志・急造の腐れ縁みたいな関係になっていくのが美味しかった。どこまでもぼっち維持しつつ、なんだかんだで綺麗にまとめていい話っぽく終ってくれるのもよかったです。

 しかし、雪乃に一切フラグが立つ気配がない一方でむしろ恋愛フラグは他のレギュラーと立てているようなというかどうみても彩加(性別:彩加)がメインヒロインですほんとうにありがとうございました。


つり球 SF -Short Films-

 

「ノイタミナ」他で放送された話題のアニメがノベライズで登場! 納戸に閉じ込められたユキとハルが考えた意外な脱出法とは?――「禁断のストアルーム」ハルの赤点回避のためユキの家で勉強合宿! ――「とまどってエグザミネーション」ハルの暴走で忍び込んだ夜の校舎に現れた幽霊の正体とは!?――「怖がってナイトウォーキング」さらに船長の海咲へのプロポーズ大作戦を描いたアフターストーリーも収録! すこし不思議ですごく青春な日常SF【ショート・フィルム】集!

 男子高校生が釣りで世界を救うアニメ「つり球」ノベライズ。

 同期にMFから出た方はアニメ本編を忠実になぞるノベライズのようですが、こちらはアニメ本編の隙間や後日談を収録した外伝的短編集。あとがきでも触れられていたけどとにかく“釣りをしない”つり球で、アニメ本編は割りとずっと釣りしてたイメージがあったので新鮮。時系列的にアキラはオマケ程度にしか絡んできませんが、どの話でもユキ・ハル・ナツキの3人が仲良ししてるのがとてもかわいい。「あーん」とかアイコンタクトで会話とかむしろ仲良すぎてかわいい。

 個人的にはアニメ本編の後日談となる「胸張ってウェディング」が面白かった。本編でずっと微妙にもどかしい関係を維持してきた歩と海咲がついに……という話なんだけど、渡米前のナツキの思いや、ユキとサクラの意外なコンビにとてもニヤニヤできました。あと、ラストでユキがナツキのかわりにバイトを〜という一幕が地味に感慨深かったなあ。

 あと、エピローグとなるハル視点からの「ハルとタカとクロ」がいかにも宇宙人というかハルの視点で、楽しかったです。


読了記録まとめ[2012年7月分]

7月の読了数はまだ感想書いてない本を含め5冊でした。
まとめとかいって既に20日以上経ってて今更過ぎる。いまさらすぎる。

7月読んだオススメマンガ

わたしに××しなさい!(1) (講談社コミックスなかよし)
ひょんなことから読み始めた「わたしに××しなさい!」がとてもよかった。
最初は天然でドSな女子が腹黒でドSな男子の弱みを握って創作活動の恋愛描写を書く為に擬似恋愛を強制していくうちにどっちも本気になってしまうという話なんだけど、ヒロインの雪菜が戸惑いながらもどんどん恋愛脳になっていってしまうのが可愛すぎたし、時雨は腹黒男子だったのに段々独占欲先走り気味の残念キャラになっていくし…でとても楽しい。三角、四角……と複雑化していく関係も楽しかった。
GIANT KILLING(24) (モーニング KC)
あと、コミックス買いそこねてて20巻くらいから一気読みした「GIANT KILLING」が、今更過ぎる話ですが死ぬほど面白い!選手達や試合展開だけでなく、監督や経営サイドからのやりとり、チームを追いかける記者達、応援席にいるサポーター達のあれやこれやも丁寧に描かれていてサッカー詳しくなくてもその辺の人間ドラマだけでも楽しめるのでスポーツもの苦手な私でもしっかり楽しめる。特に、主人公の達海監督と彼に憧れて監督になった佐倉監督の知略が激突する山形戦、ほんとに面白かったなー…。

7月の読書メーター

読んだ本の数:39冊 / 読んだページ数:6860ページ
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はたらく魔王さま!5

 
029

修理の終わった魔王城(築60年・六畳一間のアパート)がなんと地デジ対応に! テレビなど贅沢品と思っていた魔王だが、ついに薄型テレビ購入に踏み切る。家電に詳しくない魔王たちは、恵美の会社の同僚・梨香を誘い、大型電気店に向かうことに。なぜだか異世界の聖職者・鈴乃もそれに便乗し、魔王一行の“お買い物ツアー”がスタートする。そんな中、魔王に恋する女子高生・千穂に危機が迫っていた──!フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、第5弾登場です。(公式サイトより)

 魔王さま、地デジテレビを買うの巻き。あらすじ読んだとき絶対この話のラスボスは1巻で出てきたNHKの集金のおじさんに違いないとおもってたら既に大家サイドで解決してた!なんてこった!テレビの話は、むしろニート堕天使こと漆原が執着しないのがちょっと予想外だったのですがそうだよね……彼はネットの申し子……アニメ見るならネットで見るよ……(魔王城にある旧型PCで動画再生可能なのかはこの際置いておいて

 とりあえず序盤の一流ニート堕天使vs三流ネカフェ難民大天使で萌え死んだわけですが、物語はフリーターネタが減ったせいか予想以上に天界・魔界入り乱れてのシリアス展開。恵美の両親や千穂まで巻き込んでの総力戦でした。天界の話が絡むと漆原が活躍するなあ……「一流のニート」語りで盛大にふきだしましたが、双方の情報を整理する探偵役を務める中盤はびっくりするほどの漆原無双。味方側でも突き抜けて年齢を重ねている事もあり、まだまだ色々魔奥や芦屋のしらないネタを握っていそうな感じ。

 人間側は千穂ちゃんがうっかり○○しちゃったり(アルティメットまどかにしかみえなかったのは私だけで良いです)、いよいよ本格的に梨香と芦屋にフラグが立ったり……でこちらも目が放せない。梨香さんは今回で履歴書が出ていよいよレギュラーメンバー昇格なのか。次巻もとてもたのしみです。

 シリアス分多めで魔奥の労働ネタは少なかったけど某うどんチェーンの話とか、新人バイトの教育の話とか、値切りの話とかなんだかんだで庶民ネタも忘れてはいないあたりがさすがすぎる。そろそろこういう小ネタで短編集とか出せるんじゃないですかね!本編シリアス気味だからそろそろ、ね!!ニート堕天使とネカフェ難民天使ズの怠惰な一日とか見たいですね!!

 ところで、大変個人的に今回の「あとがき」にぐっ……となりました。言葉にうまくできなくてもどかしいけど、あの震災ってやっぱり何かを決定的に変えてしまったんだなあというかなんというか。


読了記録まとめ[2012年5月分]

5月の読了数は感想書いてない再読本2冊を含め21冊でした。
……うち12冊がBL……もう何のブログだかわからない……ラノベの感想を求めてうちに来てくださってる方にはほんとうにすいませんでも自重しない。

今月のオススメマンガ

プラナス・ガール(5) (ガンガンコミックスJOKER)
 今更過ぎるくらいの定番だけど「プラナス・ガール」最新刊が絆可愛すぎて死んだ。「魔法のアメ」からはじまってまさかのメイド祭に転がり、ウェディングドレスに飛び跳ねるよ。「男の娘」という単語はあまり好きじゃないけど、こればかりは至高の男の娘モノとして全力で押したい。絆かわいい。
月刊少女野崎くん(1) (ガンガンコミックスONLINE)
あとなんか色々な人からオススメされて手に取った「月刊少女野崎くん」が猛烈に面白かった!無骨でごつい外見なのに少女漫画家の野崎君に惚れてしまった女の子がなぜかアシスタントにされてしまうお話。少女漫画家なのに恋する乙女の気持ちなど1ミリもわからない野崎君のすっとんだ発言の数々にふきださざるをえない。あとみこりんマジヒロイン。

5月の読書メーター

読んだ本の数:29冊 / 読んだページ数:6193ページ

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きみがいなけりゃ息もできない

 

ルコちゃんという愛称でごくごく一部に熱心なファンがいる(らしい)売れないマンガ家「豪徳寺薫子先生」こと二木。生活能力赤ん坊なみの彼を放っておけず、幼なじみの東海林は文字通り衣食住の面倒を見てやっている。そんな折、二木にメジャー出版社での掲載のチャンスがきた。二人の関係にも微妙な、そして大きな変化が―?運命の(!?)再会を果たす大学生編「きみがいたんじゃ転居できない」を収録した新装版。 (「BOOK」データベースより)

 「マンガ家シリーズ」第一作。色々な意味で人間として破綻している売れないマンガ家・仁木と、どうしてもそんな仁木の世話を焼いてしまう幼なじみの腐れ縁・東海林のお話。

 タイトルの通り「君が居ないと息も出来ない」人間として最低限の行動すら東海林に依存しきっている仁木の破綻っぷりがどこまでも突き抜けているんだけど、実際東海林の歪んだ独占欲を内包した構いたがりっぷりも相当だと思った。これは受けが仁木だからこそ成立する話というか、仁木が普通に最低限の生活が出来る人間だったら一周回って東海林が破綻してた予感しかしない。なんか監禁とかしはじめてもおかしくない。

 漫画家としてのブレイクを切っ掛けに仁木と距離を取る東海林が、どうみても仁木に未練たらったらなんですが、仁木の方は漫画家生命にも関わる大きなトラブルに巻き込まれて。ある意味自分の中に引きこもるタイプの仁木らしい立ち向かいかたがあまりにもカッコイイんですが一方で物凄くやせ我慢してるのが伝わってきて。その後の展開も含め、静かに熱い展開がとてもよかったです。なんか「元の木阿弥(むしろ悪化)」という言葉が脳裏をよぎるけど気のせいだ!!

 綻びかけた二人の仲を強引に再度結びつけた仁木の大ファンで東海林のお得意先の娘・茜の行動力が男前すぎて惚れる。実は性的な意味でも色々いっぱいいっぱいだった東海林が彼女の前でのみ時折漏らすド本音にニヤニヤが止まりませんでした。この二人はなんだかんだいってその後も良い友人になってそうだ。

 なお、新装版書き下ろしの「きみがいたんじゃ転居できない」は東海林と仁木の大学生時代の再会エピソード。生来の構いたがり体質に負けてなるものかと仁木に対して必死にツンツンする東海林が面白すぎてたまらないのですが、かませ犬ポジションの高島が残念な紳士すぎて盛大にふいた。


Home,sweet home.

 

「監禁されたんだよ、君」目が覚めると瀬尾は、知らない部屋でにっこりと笑う自分好みの美人にそう告げられる。猫っぽい雰囲気や目元の黒子が色っぽく、どこかで見たような―専務の安藤だ!と気づいた時には、瀬尾を鎖に繋いで出勤してしまった。突然の監禁に憤っていた瀬尾だけど、その日から健気に自分の世話をやく安藤をみて、気持ちが傾き始めて…。 (「BOOK」データベースより)

 ちょっと変わった監禁モノだよと聞いて手に取りましたが確かにこれは変り種……監禁がきっかけにしてはじまる一風変わった恋物語。

 小さい頃にゴミ箱に捨てられていたという瀬尾と親の愛に恵まれなかった安藤。家族愛に飢える二人が、監禁生活を通して互いの横に居場所を見出していくというお話で、エロシーンはあるもののむしろ擬似家族モノとして美味しかったです。とある理由から瀬尾を監禁しはじめたものの、特にそっちのケがない安藤が瀬尾のゲイっぷりに振り回される姿は微笑ましくもあり。監禁生活も、異常性より裸に鎖で繋いで生活させるという滑稽さのほうが先にたつ。

 むしろ二人がくっついた後の二編目の方が世間一般の“監禁物”のイメージには近かった。色々な意味で無防備な安藤に対して独占欲を募らせる瀬尾が安藤を束縛しようとしていくお話で、これはもうあと一歩の所でマジモンの監禁になっていたなあという感じがすごく。瀬尾がかなり病んでる。

 一編目の雰囲気が好きだったので二編目の重い展開は(展開としてはむしろかなりすきなはずなんだけど)やや戸惑った。収まる所に収まってくれてよかったです。瀬尾の先輩がなかなか良い味出してました。