“029” の検索結果 | ページ 15 | 今日もだらだら、読書日記。

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盗みにまいります! 平安盗賊恋絵巻

[著]剛 しいら [絵]乙橘

退屈に耐えかねていつもの通り身分を隠し、都大路へ出かけた東宮・慶仁は最近都を騒がせている盗賊「黒丸」の一味と遭遇し、剣を交える。しかし、剣を交えた相手の頭領の息子・赤丸はなんと女の子だった…!それ以来彼女のことが忘れられなくて…
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申し訳ないけどびみょー。
剣を交えた盗賊が男装した女の子で、しかも実はとある貴族の家から攫われたお姫様で……というその手の話では割合王道っぽい平安モノ。展開がどこからどこまで「お約束」すぎて、ちょっと王道過ぎて食傷気味なストーリーだったかも。全体的に意外性の無いストーリーの中、唯一隠し玉になっているのが実はヒロインがとある貴族の家のお姫様という設定なわけですが、これがあっさりと公式あらすじで暴露されてしまうため、どこにも意外性…ない…orz

結局こういう物語の場合、キャラクターの誰かに萌えれないとかなりやっていけないわけなんですが、シリーズ化前提で文庫化しているのかページ数が薄く、キャラクターもイマイチ書き込みが足りない印象。とにかくパンチが足りない。せっかく「男装の少女」「それにゾッコンな男」という美味しすぎる設定があるんだから、もうちょっとギャグ方向で健全なBL臭を放ってしまって良かったのに。赤丸の描写は(挿絵を含み)まるで女の子のそれであるため、男装した赤丸の正体に気づかずにかなりマジで告白してしまう慶仁のシーンとかもちっとも生きてこない。ここの場面が普通に男女の告白シーンにしか見えないのは致命傷だと思う。

作者さんはBLではかなり有名な人のようなので、BLの雰囲気を残しつつ一般の少女小説を書こうとして失敗したっていう印象を受けました。もうちょっと本来のガチな方向に暴走してもらっても問題なかったと思うんですよねえ、ラノベ界にはもっとギリギリなガチ小説なんていくらでもあるわけですし。

脇役の書き込みが異常に少ないので、メイン2人である赤丸&慶仁親王のどちらかに萌えられないと相当厳しい気がします。せめてページ数をもうちょっと増やして、ストーリーの内容をもう少し増やしてくれれば違ったのかもしれないけど。


秋津島三 神ながら人ながら

[著]鷹野 祐希 [絵]水上 カオリ

諏訪に居る佐唯の元に現れたのは、あの日殺されたはずの廣沢秋人だった。彼が生きていた事に喜ぶ佐唯だが、同時に言いようの無い違和感・不快感に襲われる。一方、佐唯の事で託宣を受けた厳島の斎・弥彦は感応している市寸島比売の制止も聞かず、厳島を飛び出すが…
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完結編。地味に面白かったけど、クライマックスがイマイチ盛り上がらなくて、あっさり終わってしまったのがちょっと残念。

序盤の秋人vs佐唯は、元々血みどろ&(精神的に)グログロ気味なこのシリーズ中でも最高級の盛り上がり&グロ描写が素敵でした。初めて対峙したときの薄気味悪さもさることながら、バトル描写が……うわあ。なんというか、最高に醜悪。そんな醜悪なバトルの中だからこそ、その後の展開が黄泉返ってしまった秋人だけでなく、今まで佐唯が持っていた“復讐”というわだかまりも持っていってしまったのが嬉しくてたまりませんでした。良くも悪くも、序盤の黄泉返った廣沢秋人vs佐唯の対決がシリーズ最大の山場だといってもいいのではないかと。

少しずつ大物主命の斎としての自分を認め、恋人の死を乗り越え、人間的にも成長していく対する佐唯に対し、彼女を亡き者にして“天孫”の世の中を作ろうとする祥姫は次々に目論見を崩され、追い詰められる事に…っていうかこの子あれだよね。黒いっていうか物凄いヤンデレですよね。弥彦と戦ったときに覗かせた、佐唯への歪んだ愛憎がとってもヤンデレ的。ラストは是非“お姉様”と和解して元通り(とはいかないまでも、それに近いくらいの)関係を築いて欲しかったです。というか、ここまでヤンデレっぷりを見せ付けておいてラストがあっけなさ過ぎる……色々無理してたみたいだからラストであっさり陥落してしまったということでしょうか。

それにしても、本編となる血みどろストーリーもさることながら、今回も色々と大暴走な大物主命が素敵過ぎます。ちょっとラストが駆け足気味な終わり方だったこともあるし、あと1冊くらい続けてもうちょっと濃厚に大物主命と佐唯の夫婦漫才…もとい魂の触れ合いが見たかったです。ちょっと3巻で終わらせてしまうのが残念なシリーズでした。


キノの旅XI The beautiful world

[著]時雨沢 恵一 [絵]黒星 紅白

キノが立ち寄ったとある国では、大人達が大きな焚き火にテレビとつなげて遊ぶゲームや、マンガしか描かれていない本や、集めて遊ぶカードゲームなんかを燃やしていました。国の大人達に頼まれ、国の子供達と会話をしてみたら…?「子供の国」他10篇を収録。そして今回の「あとが(略)
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ヤァミンナ!年に一度のキノの旅最新巻ダヨ!!
のべるのぶろぐ。さんの紹介文にうっかり噴いたのでちょっとパクってみた)

今回はいつも以上に「キノ」らしくて面白い。やっぱりキノは長編よりも短編の寄せ集めの方が面白いな?とおもう今日この頃。というかこのくらい殺伐としてないとダメだとおもう(それもどうかと)。現代の何でもアニメやゲームの所為にしようとする大人達のような人々が集まる「子供の国」、ネタがどうみても某巨大掲示板な「つながっている国」、そしてサブタイトル界歴代ロングタイトルギネス記録を狙ったとしか思えない「アジン(略)の国」がお気に入りだったりします。

特に「アジン(略)の国」は、タイトルからしてもう明らかにネタ話だろうと思って掛かったらキノらしい殺伐さと優しさが共存する非常に良い話でした。全部書いたら5P半にも及ぶ長い長い国の名前を小さな子供がしゃべれるようになったら真っ先に覚えさせるという住民達の真の意図に気がついてしまうとちょっとジンワリしてしまったり。遠まわしに、そしてあっさりと後日談を語っているラストの語りも素敵です。

そしてすっかり恒例となりつつある「あとがき」。"みつけやすい"あとがきの方が何気に見付け辛いと思ったのは私だけでしょうか。普段読み終わるまでカバーはずさないので危うく見落とすところでした…。


新機動戦記ガンダムW 下 Endless Waltz

[著]隅沢 克之 [原作]矢立 肇 [原作]富野 由悠季
[絵]あさぎ 桜 [絵]高乗 陽子 [絵]仲 盛文


リリーナを救出するためにX18999コロニーに進入したヒイロとデュオだが、ガンダムを持たない二人は次第に苦戦を強いられていく。更にそこに、アルトロンガンダムに乗った五飛が戦いを挑んできて…
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「新機動戦記ガンダムW エンドレスワルツ」のノベライズ後編。上巻の時程グダグダではありませんが、やっぱりキャラクターの過去話を挿入しすぎてテンポ悪くなっているような気がしてしょうがなかったりします。しかも、正直なところ本編よりも過去話の方が俄然面白かったりするから困る。

結局、五飛がなんでマリーメイアの側に居るのかイマイチよくわかんなかったりするのは私の理解力が足りないからなのでしょうか。映像が中心のアニメだったらある程度誤魔化せそうな所なんだけど、文字にしてしまうとイマイチ物足りないものがあったりします。後最後のリリーナのセリフ、解釈次第ではアニメ本編の結論を覆しかねないような気がしなくも…。うーん、なんか難しい事言われて煙に巻かれたような印象がぬぐえません。

「エンドレス・ワルツ」本編は各キャラクターの過去を語るために作られたオマケ、と割り切った方が楽しめそう。下巻でも五飛が自分のガンダムを「ナタク」と呼ぶことになった理由やカトルがマグアナック隊とであったエピソード等が収録されており、その辺は非常に面白かったです。五飛のエピソードには彼の意外な過去にはしんみりさせられたし、オトコマエなカトル様(笑)が無骨なマグアナック隊を手なずける(違います)エピソードも素敵でした。

元々映像だけでストーリーが補完出来ている作品だろうとおもうので、OVA版を一度映像で見てから読み直せば、本編を映像で補完できるから各キャラクターの過去話に集中できて良いのかもしれませんねー。

同じガンダムのノベライズだと、私の中では後藤リウ版「機動戦士ガンダムSEED」シリーズがあまりにも神すぎたので、比較して評価が低めになってしまったのは否めないかも。面白いことは面白かったんですけど。リウ版は神。


面白検索キーワード&今月のまとめ[2007年9月分]

色々忙しかったので今月は大して本が読めないんじゃないかな?と
予想していたら、逆にかなりの冊数読んじゃってました。
純粋な読了数が20を超えたのって今年初めてだったりします。

「お・り・が・み」のシリーズ読破をやった所為もあるとおもいますが。
いやーやっぱり何かのシリーズにハマると読了冊数上がりますよね!

今月の人気検索ワード(作品別)

今月感想書いたものから人気だったやつを取り上げてます。
ちなみに「ノエルと蒼穹の未来」は実際検索ワード的には5位で、
3位は「バカとテストと召喚獣」、4位はアニメ化決定の「狼と香辛料」でした。

■彩雲国物語 白虹は天をめざす(→感想

普段から検索ワードで頻繁に登場する彩雲国ですが、今月はやたらとアクセスがあったような気がします。というか、前巻が出たときはハルヒの新刊とバッティングしていたので、ある意味目立たなくて当然なのか…。
最新刊の劉輝かっこいいよ劉輝。
■扉の外3(→感想

1・2巻と連続で色々と物議をかもし出したシリーズ、最終巻。どうみても打ち切りです本当にありがとうございました。2巻が凄い好きだったので残念だなあ…一応次シリーズに期待ってことで。
■ノエルと蒼穹の未来 感想(→感想

月の後半に感想書いたのに、凄い追い上げで検索キーワード5位とか…!TRPG関連のブログサイトさんからリンクがあったお陰でアクセス数が跳ね上がり、シリーズ関連の検索ワードもかなり多かったです。トラン×ノエルが王道なんでしょうか、世間的には。
内容はTRPG初心者の私も楽しめる、良シリーズだったのでかなりオススメです。


次は恒例の「面白検索キーワード」のコーナーです。元気良くいってみよー。


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新機動戦記ガンダムW 上 Endless Waltz

[著]隅沢 克之 [原作]矢立 肇 [原作]富野 由悠季
[絵]あさぎ 桜 [絵]高乗 陽子 [絵]仲 盛文


AC196年、地球上の戦争兵器は根絶され、人々は平和を謳歌していた。ところが外務次官となったリリーナが誘拐され、トレーズの娘を名乗る少女が世界に向けて宣戦布告を行う。彼女の救出に向かったヒイロとデュオの前に立ちはだかったのはかつての仲間であるトロワと五飛だった!
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ガンダムWの続編となるOVA版のノベライズ。本文挿絵が「セイントビースト」「少年陰陽師」のあさぎ桜とか、明らかに女性ファンの購入を意識していて素敵です。角川書店は良くわかっていらっしゃる。

ええ私も大好きですあさぎ桜ハァハァ(*´д`)

まだ上巻という所為もあると思うのですが、内容としてはマリーメイアが宣戦布告を行うあたりまでで終了。どちらかというと各キャラクターの過去話が中心になっています。というか、本文が1進んだら過去話が3入るというような状態なので、全く話が進まないのには微妙に閉口。OVA版がどういう進み方をしているのかは判らないのですが、本編で1冊+各キャラクターの外伝という形で別に1冊出した方がテンポはよかったんじゃないかなあという気がします。

でも、その分各キャラの過去話はかなり美味しかったり。各ガンダムパイロットだけでなくリリーナやらキャスリンやら、サブキャラクター達の過去話もふんだんに挿入されてきます。特にデュオの過去話は、きっとガンダムパイロットになるくらいだから何か色々あったんだろうなあくらいは予想してましたが予想以上に重くて、インパクトありました。ある意味ガンダムパイロットとしては「純粋培養」的なイメージすらうけるヒイロの過去話とはあまりにも対照的で、印象的。というかよもやここまで重いとは……

あと、腐女子的にはデュオとヒイロの共闘に始終萌え燃えでした。凸凹コンビに見えて実は仲良しな関係が実にイイ!しかも、本編での戦いを経てなんだかんだいってヒイロが微妙にデュオに心を開いてる(っぽい)シーンが随所に挿入されて、腐女子の萌えツボを刺激します。

閃光の照り返しの中、デュオは得意げに言う。
「どうだい……オレの腕もたいしたもんだろ」
ヒイロのことだ。どうせ、また、悪意に満ちた切り返しがくると思っていた。
「ああ……最初から、おまえの技術をアテにしている」
デュオは、素直に喜んだ。
「嬉しいこといってくれるぜ!」
だがよくよく考えてみると、デュオ本人ではなく、デュオの技術だけをアテにしているという意味合いだと判った。
(クソッ、やっぱり素直じゃねえ……)

うわああああああああ萌ええええええ(*>д<)=3
これは下巻も楽しみだ…!!

ていうか、気がつくとこの本の感想、7割くらいデュオ萌え話して終わってる気がするんですが、ここは一つ気にしないであげてください。元々デュオ萌えですが何か?


ドアーズ 1 まぜこぜ修繕屋

[著]神坂 一 [絵]岸和田 ロビン

ある朝、目を醒ましたら何故か家中にドアがあって、しかも全世界の妹がリスになっていた!ドアから現れた修繕屋・シュリンが言うには異世界の『普通』が混ざり合って、おかしなことになってしまっているという。一人だけ元の世界の「普通」を覚えているミヤはリスになった妹のチサとシュリンと共に土日を利用して並行世界の修繕に乗り出すが!?
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「スレイヤーズ!」の神坂さんの新シリーズ。なんというか、ヤバイくらいに面白い。初めてスレイヤーズを読んだときの感覚を思い出しました。正直、近頃のスレイヤーズすぺしゃるがあまりにもマンネリ展開に突入していたので「この人の作品ってこんなに面白かったんだ」というのを改めて思い知らされた。

世界の「普通」が変になって、ミヤ以外の人間はその「異変」を感じ取る事が出来なくて?…というのが微妙にミソになってて、面白い。黒船をもののふキャノンで追い払った日本が第五次・第六次スーパー世界大戦で連勝したり、全世界の妹が触手になったり、上空を巨大ロボの群れが飛んでいったり、行き過ぎた妹文明が世界に牙を剥いたり…って妹ネタばっかじゃねえか! 妹のチサは旅にはついてきて「普通」がおかしくなってることは知ってますが元の「普通」を記憶しているわけではないので自分がリスだったり触手だったりするのが当たり前ーだとおもっていて、姉の苦労が偲ばれます。特に妹が触手になる話は光景を想像すると笑いが止まらなくてしょうがなかったです。モンスターに襲われて叫ぶ触手……

なんかもう、「スレイヤーズすぺしゃる」シリーズから連綿と受け継がれる、コメディのセンスが最高に好きだ。ファンタジーやSFなのに登場人物の言動が異様に地に足が付いてるというか、時間を止める必殺技を「心の余裕が無いから」と一蹴したり、魔王を「シロウト」呼ばわりとか、浴びると体がひりひりするビームとか、触手がツヤツヤしちゃったりするこのセンス。ノリの良いボケツッコミ的な会話も健在で、とにかくゆるく軽く楽しめる、息抜きにぴったりのシリーズでした。

是非ともこのノリを維持したままゆる?くのんびり続編を続けて頂きたいです。シリアスも嫌いじゃないんだけどシリアス方面行かれると後味悪くなる事が多いんだよなこの人の作品…。


ガン×スクール=パラダイス!

[著]穂邑 正裕 [絵]久坂 宗次

文化祭を直前に控えたある日、幼馴染の少女・羽田村美久が“学校を辞める”という告白を受けた晃太。その理由が「学校がつまらないから」だと聞いた彼は学校を美久が面白いと思うような楽園にするため、勝者が1つだけ学校の校則を変える事が出来るという全校生徒強制参加のサバイバルゲーム〔ガンスター〕での優勝を目指すが…
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うーん、こういうオバカで熱くて青春なノリは大好きなのでかなり期待したのですが…妙に軽いノリで執拗に繰り返される暴力行為の数々がどうにも肌に合わなくて、ちょっと個人的に駄目な作風でした。キャラクターといい展開といい、露骨にバトルロワイヤルのオマージュっぽくしてるのは良いのですが、「人死には出ません」という言葉を免罪符にした位で一歩間違えれば死傷者が発生しかねないサバイバルゲームに1万人以上居る全校生徒のほぼ全員が乗ってしまう。「あいつ、死んだかもねー」なんて台詞が罪悪感も緊張感も無く交わされる。とにかく脇役である生徒達のどこかに倫理観を置き忘れたとしか思えない非人間的な行動・発言への薄気味悪さが最後まで拭えませんでした。

そもそもどう考えたってこのルールだと死者が出てもおかしくないのに、ソレに対して危機感を感じる生徒が誰も居ないのがおかしい。つか誓約書で「死者が出ても学校のせいじゃありません」的な文章あるんだよね。綾峰に至っては後半から完全に殺すつもりで攻撃してますし、モデルガンについても思わせぶりな煽りがありました。コメディ及び主人公達のラブコメにメインを置きたいのなら、こういう不安を煽るような描写は避けて欲しかったです。ていうか、正直こんな危ないゲームを綾峰以外の誰も止めようとしなかったっていうあたりがまずおかしいだろ。実は普段から教師陣に洗脳かなんか施されてるんじゃないか、こいつら。

でも我武者羅に銃を取って戦ってきた主人公が、ヒロインに水を刺される様な言葉を突きつけられ、自らの目指す「楽園」への過ちに気づく辺りの展開は青春してて凄く良かったです。ラストの決闘シーンも凄く素敵でした。ただ、折角主人公が新たな気持ちで「楽園」を築くために改めて戦いをする決意をしてくれたのに、ラスボスは完全に頭のネジが5本くらい外れたキチガイ少年なので、会話がちぐはぐになってしまうのがなんだかなあ。個人的にはちゃんとした優勝後のビジョンを持って動いている生徒会副会長や、『公認番長』築地銀次辺りとも戦って欲しかったかも。

ラスボスがどうみてもキ○ヤマトな件について。
「誰も傷つけたくない!」と言いながらマシンガン乱射したりとか、「僕が本気を出したら、誰だってかなうはずないんだよ?」とか……。というかぶっちゃけあまりにも似すぎてて、作者の人があの番組で為された主張を否定したいがためにあのラストバトルを書いたんじゃないかなんて妄想まで生まれてしまいました。いやさすがにそれはないと思うんだけど…。

キャラクター的には好きな女の子の為に純情一直線で突っ走る主人公は好感をもてるんだけど、ヒロインが人間味薄くてイマイチツボに来なかったのと、前述の理由でそれ以外の生徒には嫌悪感以外もてなかったので…。個人的には「自分、不器用ですから」な川田先生と金タスキの生徒会長は、結構良い味出してたと思います。ラストの体育館での川田先生のやりとりは不覚にも笑ったw

綾峰はあと一歩間違えれば超ドツボなヤンデレ美少年だったというのに

後日談も、いくら校則で「期間中のことは水に流せ」って書いてあったとしてもあっさり水に流しすぎな気がして…とにかく、あまりにもドライすぎる一般生徒達の非人間的とも言える行動の数々が倫理観的に駄目でした。メインテーマは熱血で一途な青春モノだったんだから、何も命の危険があるサバゲーにしなくとも良かっただろうに…色々と面白いなあと感じる部分も多い作品だっただけに、残念でした。


あと、表紙買いしておいて言うのも毎度アレなのですが、挿絵が微妙すぎる……なんか、キャラに動きがあるのはカラーページだけで、肝心かなめの白黒挿絵が妙に手抜きくさいというか、とにかく駄目。ていうかエロい挿絵だけ無駄に力が入っているように見えたのは私の目の錯覚だよ…ね…?(´д`)


量産型はダテじゃない!

[著]柳実 冬貴 [絵]銃爺

人間は自らが生み出した“UD(アルティメット・ドール)”に叛乱を起こされ、彼らと戦う日々を送っていた。天才少女科学者・ヘキサは自らの作り上げたUD「シュナイダー」にパーツを届けるため、自ら前線にある砂漠の村へと赴く。ところが乗ってきた輸送艦が敵に襲われ、命からがら逃げ出す羽目に。絶体絶命かと思われた瞬間、廃棄されたUDの研究所を発見して…
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プライドが高くて高飛車で生意気な天才科学者のヘキサと、廃棄された研究所で発見した量産型のUD・ナンブが色々とドタバタしながら敵のUDと戦いながら“シュナイダー”にパーツを届けようと奮闘するお話。

粗を探せば色々と見つかりそうな気がしますが、そんなものもぶっとばすようなハイテンションな勢いに押されてラストまで一気読み。生産コンセプトは「低コスト」、一番の武器は「気合と根性」と恥ずかしげも無く言ってしまう、全くロボットらしくないナンブのどこかズレた発言と、そこに容赦無くツッコミを入れるツンデレ少女・ヘキサのやりとりがとにかく読んでて楽しいのです。また、輸送艦の生き残りコンビ二人も美味しい所ではしっかり締めてくれて…とにかくキャラクターが魅力的で彼らの掛け合いは読んでいて楽しくてたいまりませんでした。

後半になるとストーリーはかなりシリアスになって、ヘキサが頑なに“守られたくない”と言う理由や逆にナンブが命令を無視してでも“守りたい”と思う理由が明かされます。正反対の考えをもつ二人の闘いが凄く熱くて、どんどんストーリーに引き込まれる。圧倒的な強さを誇るEXDシリーズに対して、全くオンボロで量産型なナンブが100%の不可能を気合と根性だけでひっくり返すような強引な展開が物凄くツボでした。

とにかく物凄くツボとしか言いようの無いストーリー展開だったのですが、唯一不満点があるとすればラストでナンブのコアにちょっとヒミツがあるような展開になってしまったことですかね。これで「実はナンブには凄い秘密が隠されていたんだよ!!(な、なんだってー!!)」って展開になったらめちゃくちゃ興ざめだなあ…。「量産型のオンボロ」ナンブに「気合や根性が力となる最新パーツ」グロリアスのコンビでいい具合に釣り合いが取れていると思うので、続編が出るならぜひともそのコアがどうのこうのって話は無かった事にして欲しいです。だってこれでコアが特別製だったらちっとも量産型じゃないJAN!!

この気合と根性だけで乗り切っていくようなノリが激しくツボだったので、是非とも続編が出て欲しいなぁ。


Dクラッカーズ 5 追憶?refrain?

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都

セルネットを壊滅させ、ようやく学生としての日常に戻った梓達。クラス替えで新しい友達を作って楽しそうな梓達を尻目に、景はどうしても日常になじめない自分を感じていた。そんな彼の元に、一人の少女が現れる。一方、DDに不穏な動きがあると聞いた梓達は景を除いた3人で彼らのドラッグパーティに潜入し…
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た、確かにこれは景の「浮気話」…!!(笑)

日常に戻りクラスにも段々溶け込んできた梓とは対照的に、梓達とは一人だけクラスもわかれ、なんとなく4人で居ても疎外感を感じてしまう景にクラスの惚れっぽい女の子が猛アタックをかけてきて…というお話。これまでは作品内でもあまり語られなかった景からの心情が直接的に描かれて、彼の過去とあわせて今までどんな気持ちで戦ってきたかと思うと切ないものがありました。

メインの話以上に静に振り回される景のヘタレっぷりが素敵。今までクールでかっこいい「悪魔狩りのウィザード」というイメージが先行していたけど、押しの強い静に振り回されてオロオロする姿は実にヘタレで可愛らしい。そんなヘタレっぷりと後半のいつもにも増したデンジャーさとのギャップがかなりツボだったりしました(笑)

DDの裏で動いていた計画が動き出して様々な弊害が出始めて、遂に“女王”との決着をつける為“王国”へ赴く事を決意する景ですが、それに至るまでの過程がほんと哀しい。せっかく梓との別離から立ち直ろうとしていた景を打ちのめした過去話も凄く切なかったし、特に甲斐と茜ちゃんのデコボココンビが大好きだった身としては序盤のメールのあたりからもう大ショックだったわけですが…何よりもエピローグが切なすぎる。唯一“ドラッグ”の影響を受けていない千絵の涙が印象的でした。

最終決戦前の梓と景のやりとりが凄くツボ。正直今まで千絵と甲斐・茜コンビにいいところを持っていかれがちだった(超個人的な印象ですが)二人ですが、主人公コンビの強さを魅せつけてきました。「一秒以内に答えなさい、物部景!」は名台詞すぎる。ていうか梓さんかっこいいよ梓さん。

個人的には静を巡るやりとりが大好き。

「ふふ。本人も緊張してるみたいだったよ。クラスメイトと連れ立って遊びに行くなんて、初めてのことみたいだから」
(中略)
「でも、ちょっとびっくりしちゃったわ。これまで梓さん、物部くんのこととなったら一番先走って動揺してたのに……ずいぶん成長したものね」

「梓ちゃん、僕は……」
『滝田さんのこと、実は結構気になってたでしょ?』
とんでもない変化球がきた。
「……は?」
『は?じゃないわよっ。どうなのっ。あからさまにアタックされて、実はいい気になってたでしょ!』
「そ、そんな別に……」

実はめちゃくちゃ気にしてたーーーっ!!