“029” の検索結果 | ページ 13 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:029 (170 件 / 17 ページ)

とらドラ6!

[著]竹宮 ゆゆこ [絵]ヤス

文化祭の一件以来、大河が竜児を捨てて北村と付き合いだしたという噂が流れ、噂の張本人である大河は有頂天、竜児は溜息の耐えない日々を送っていた。ところが、残りの一人である北村は、文化祭以来燃え尽き症候群にでもなったかのように何をやっても上の空。挙句、生徒会長選挙の話題が出たとたんに教室を飛び出してしまって…!?
   個人的お気に入り度数
5巻がすごく良かったのでこれ以上の展開はなかなか望めないかも……と思っていたらやってくれました。もうなんていうか……ラストは涙なしに読めなかった…。

「スピンオフ!」の頃から見え隠れしていた北村の、すみれ会長への密かな恋心に遂に決着が。選挙演説中に告白、というのはなんとな?く想像ついてましたが、その後のすみれの言動や各キャラクターの行動はまったく予想付かなかったです。大切な友人の為に奮闘する竜児と大河のまっすぐな気持ちがひたすら熱い。本当にこれは「ラブコメ」なのかと、何度も考えてしまうほどの熱さでした。

でも、だからこそ、すみれ会長みたいに賢いが為に、真っ直ぐなだけではいられないような人には心を抉る言葉だったんだろうなあ…普段は男勝りで冷静で狡猾な生徒会長が、真っ直ぐな二人と向き合ってポロリと漏らした本音は、その本音を押し隠していたであろう心情を考えただけでも、あまりにも胸に痛くて。竜児や大河とは相容れない人物だったかもしれないけど、自分の感情に流されずに北村の事を人知れず思いやったすみれ会長の行動は、正直今回の各キャラクターの行動の中で一番胸に沁みました。大河たちと同じ直情型の自分には死んでも真似出来ないと思うし、たとえ卑怯だといわれてもそういう形で自分の想いを貫くことにした彼女を尊敬して、応援したい。あと、遂に固有名詞が「独身」になってしまったゆり先生(独身・30歳)も応援したい。

今回はもちろん、前半もすごく良かったのですが、やはり各主要キャラクターの想い・本音が交錯したラストが壮絶すぎて、何もかもが一気に吹っ飛んじゃった感じでした。今回全部を吐き出してしまった(笑)北村はともかく、今回思わせぶりな行動を取ってくれたみのりんや亜美・大河の思惑はなかなか底が見れないし、それを受けて竜児の気持ちが今後どう動くのかも見もの。もう今から次巻が待ち遠しくてしょうがありません!

しかし、本当にこの物語は最後何処に行き着くんだろう。ぶっちゃけ、亜美とくっつくセンはないかなーとは思うものの、竜児が大河に転ぶかみのりんに転ぶかは五分五分という印象なんだよなあ…。


Dクラッカーズ 7 王国?a boy & a girl?

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都

たったひと時の少女との邂逅に、“魔法使い”は動揺した。そんな最中についに“騎士”が女王を取り返すために塔に侵入し、彼は迷いを持ったまま戦いに臨んでいく。一方、梓達もまた「王国」が具現しているというテレビ塔に足を踏み入れるのだが…?!
   個人的お気に入り度数
正直なところ最終巻では前巻ほどの楽しさを感じなかったかも…勢いのまま盛り上がった6巻に対し、7巻は終わらせるためのある程度の予定調和的な部分を感じてしまったからか。梓と景の邂逅はとにかく、水原の悪魔召喚は7巻まで引きずっても良かったんじゃないかと思ってみたり。

というか、6巻と7巻はあらゆる意味で一気読みしなければいけなかったと思うのです。7巻を読むのに間を空けてしまったのが一番痛かったんだろうなあ…。

特に、梓と景の記憶が6巻のうちにある程度戻ってしまっていたのが展開的に盛り下がった最大の原因のように感じました。こういう展開になるならいっそのこと、6巻で二人が遭遇した際に記憶も感情もすべて取り戻させてしまっても良かったんじゃないかと。7巻ではまだ記憶は戻っても感情は戻っていないみたいな梓と女王のやりとりがありましたが、どうみても完全に梓の感情、戻ってるんだもん。その後「完全に記憶が戻りました」的な描写もないしなあ…。特に梓は、景に対する感情が戻っていなければ、あんな無謀な行動には出られないと思うんだけど、どうなんでしょうねこれ。

そんなこんなで一部にちょっぴり不満が残るのですが、それ以外はまさに「最終回」にふさわしい、見事なエンディング。最後まで梓に主導権を握られっぱなしだった景の「君が、目を閉じろ」っていうセリフには思わずニヤついてしまいましたし、あまりにも彼ららしくて笑いが止まらない甲斐と茜のやりとりも素敵過ぎる。悪魔3人の最後のやりとりもなんだかすがすがしいものがありました。というか最後の最後でバールの発言にときめいた。かっこよすぎ!!

何より、水原兄弟のやりとりが特にかっこよかったなあ。千絵との言論闘争も凄く良いんだけど、この兄弟のねじくれた言葉の押収が実に良い感じ。
特に、↓このやりとりはキュンキュンしましたね。個人的名台詞認定。

「で、いま俺って美人の味方やってんだ。悪魔なんかより気が利いてると思わねえ?」
ベルゼブブはしばらくの間、じっと弟の顔を見つめていた。
その、短いような長いような時間の間に、彼の優秀な頭脳が、何を考え、何を思っていたのか、第三者には計り知れない。
ベルゼブブはその瞬間、紛れもない水原信司の表情を見せて、
「そうか——」
と、ささやいた。
「いやいや。悪魔のほうが断然格好いい。絶対普遍の支配者に対する、誇り高きレジスタンスだぞ。真の自由の体現者だ。エロイムエッサイム」


さて、今月で遂に連続刊行もおしまい。最後に物語の直前・その後を描いた短編集が出るという事なのでそちらに期待です。ていうか甲斐と茜のその後が読みたかったり!


れじみる。Junk

[著]藤原 祐 [絵]椋本 夏夜

あの戦いから数ヶ月が経ち、狭間学園に文化祭の季節がやってきた。硝子達はいつもの仲良し5人で文化祭を見て回るのだが、硝子は虚軸が消失して以来、すっかり引っ込み思案でおとなしい性格になってしまった舞鶴蜜の事が気になっていた。そんな中、佐伯ネアが硝子と蜜の二人を呼び出して…?
   個人的お気に入り度数
絶望した!晶のメイドさん姿がミニキャラだけだった「れじみる。」に絶望した!!

あんまりにも悔しいから満点評価から☆1つ引いてやった!!やってやった!!だってだって、「TS喫茶」と聴いた瞬間から椋本さんの描く女装少年(?)が見られるー!と期待してたのに!2Pぶち抜きまでは出来なくても、1P全部メイド晶の挿絵で使うくらいしてくれてもいいと思う!!
……え?需要が無いですか、そうですか……

そんなわけで、一連の事件が終わったあとの文化祭中に「思い出話」という形で語られるほのぼの短編集。殊子にからかわれる晶のクラスメイトの話、里緒がナースの格好で皆の看病(?)をする話、温泉にやってきた殊子が女子風呂を覗こうとして姉妹バトルを繰り広げる話…と、振り返ってみると本編途中退場キャラの追悼スペシャルといえなくも無いような。殊子先輩はやはり良い姉キャラだ。

ほのぼの100%な本編の中、本編の結末を知っているからこそ時折やってくる寂しさというか切なさというかが秀逸。特に「ナンパ×休日×ショッピング」での芹菜のモノローグには不覚にも涙が滲んだ。戦いの果てに消えていった二人については言うまでも無く。とにかく随所随所で涙腺を刺激されます。

そして元の性格に戻ってしまった蜜が様々な過去を振り切って前に進みだす4話「ありがと、ばいばい。」はもう、冒頭の漫画から溢れそうになる涙を堪えるのに必死でした。あのメンバーの中では唯一の「大人」である佐伯ネアが子供達の為に最後の力を使って見せた奇跡と、それに応えようとする蜜の最後のセリフ。本編の余韻を残したまま、綺麗に後日談でちょっと心残りだった部分を片付けてくれたという感じで、本当に素敵でした。

そしてギャグ分100%のオマケ2編は色々な意味でどちらも最高だったのですけど、やはり電撃BUNKOYOMIに収録された「病棟」が最高。ギャグあり百合っぽい展開ありかつパロディ全開という、とんだはっちゃけっぷりを見せてくれました。

「……『キラの旅 ?the coordinated world?』?」
「うん、衝撃文庫でいまいちばん人気の作品なんだよー」
「こんな感じー。『できそこないの人間どもの乗るグフが溢れかえる宇宙を、一台のフリーダム(注・モビルスーツ。胸を貫かれてもパイロットが死なないものだけを指す)が、ゆっくりと飛んでいた。……』」

満員電車の中で思いっきり噴出した私に非はない……と思う。
「胸を貫かれてもパイロットが死なない」が色々と突き刺さった。なんていうか、これだけ色々な作品でネタにされる某ガンダムと某スーパーコーディの人は、実は結構偉大なんじゃないかとうっかり思ったり。


断章のグリム 6 赤ずきん(下)

[著]甲田 学人 [絵]三日月 かける

同じ<騎士>である勇路からの攻撃を受け、意識不明の重体に陥った雪乃。彼女の居ない間、単独で泡禍の調査を続ける蒼衣は事件に関係のある人物達から話を聞く機会を得るが、「赤ずきん」の泡禍は彼らの予想を遥かに越える深さで、街に巣食っており…
   個人的お気に入り度数
「赤ずきん」編、完結編。だんだん前作とは違った方向で面白さが出てきたなあという印象になってきた「グリム」ですが「Missing」シリーズから通して見ても、こういう衝撃的なラストはなかなかなかったように思えます。今回の事件を完全に解決するにはこういったラストが“必要”ではあったと思うのですがインパクトの強さと後味の悪さはシリーズ髄一の出来だったかと。特に今回のシリーズは結構正当派な現代異能モノというか、解決の仕方に至っては様式美的なものすら生まれつつあった事もあってそれを裏切っての解決法自体にも衝撃が強かったですね。

早い話が、蒼衣たちの所属する組織は正義の味方であると思わせておいて、実際のところは「Missing」で言う『機関』と同じような位置にある組織だったという事がこの巻のラストで明らかになります。いつもの通り後味の悪いながらも一応の解決を見せた事件の直後に蒼衣の能力の限界、雪乃・風乃姉妹と笑美の見せる圧倒的な殺戮……と畳み掛けるような絶望的な展開が繰り広げられます。本当にラストが容赦ない。泡禍に関わった人間が次々に死んでいくのはいつもと同じ展開ですが、今回の容赦なさは今までの比じゃなかったです。

それにしてもやっぱりこの人のウリともいえる残酷描写があんまり(略)。今回読んでてちょっと思ったんだけど、なんか下手に現代異能バトルモノになった所為なのか以前に比べて文章を読んでスッと状況が脳内に思い浮かべられなくなったんですよね。何回か文章を読んでようやく状況を把握してる部分も多々。「Missing」の残酷描写は未だに思い出して背中がゾクゾクするシーンが大量にあっただけに、その辺がやはり物足りないのですが。あれ以来風呂でシャワー浴びてるときに長時間目を閉じられなくなった私…。

とはいえ、そろそろMissingとグリムは違うシリーズなんだと割り切ってグリムはグリムの良いところを見ていった方がいいんじゃないかという気もするのですが。

少しずつ不穏な様相を呈してきた物語。
行方を晦ませた<最後の赤ずきん>の件も含め、続編が楽しみです。


面白検索キーワード&今月のオススメ[2007年11月分]

いつのまにやら今年もあと1ヶ月で終わりという事になってしまいました。
つい先日夏コミ原稿オワラナイ!とか思っていた気がするのに時の流れは無情にも残酷でした。もう冬コミの準備してるだなんて本当に信じられません。

そんな戯言は置いておいて、恒例の月初めのまとめです。

2007年11月のオススメ本。


吸血鬼のひめごと(⇒感想

恋姫・無双外伝(⇒感想

ぼくと魔女式アポカリプス3(⇒感想

散々悩んだのですが、★の数よりも「他人にオススメしたい作品」という基準。

「おしごと」での知識はほとんど必要なく、新シリーズ読んだらやっぱり面白かった「ひめごと」
エロゲーノベライズなのにノリは日曜朝の熱血美少女特撮アニメ系、という稀有すぎる一作「恋姫無双外伝」
一応完全打ち切り宣言ではないようなので、続きが出てくれたら嬉しいなあ?な「魔女式」最終巻。
しかし「魔女式」最終巻は色々な意味で萌えた。草太×r(強制終了)

2007年11月の人気(?)感想三選。


彩雲国物語 隣の百合は白(⇒感想

とある魔術の禁書目録SS(⇒感想

彩雲国物語 白虹は天をめざす(感想)


彩雲国頑張りすぎ。

高年齢の女性に近頃大ブームらしい彩雲国ですが、2位の「禁書目録SS」へのアクセス数が月間103アクセスだったのに対し、「隣の百合は白」の感想ページへの月間アクセス数は810。完全にぶっちぎり状態でした。ちなみに、具体的なぶっちぎりぶりはこちらを参照。

2位の「禁書目録SS」は、やはりコミックス版が評判良かったタマモノ?その割りに最新刊へのアクセスは少なめだったんですけど。

ちなみに本来の2位は「このライトノベルがすごい!2008」でした。ただ、あちらは自分の中では感想記事扱いではないので、除外の方向で。先日作ったシリーズ一覧にもそれなりにアクセスがあってありがたい限り。


続きを読む


砂はマのつく途の先!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

ひと悶着あったもののなんとかコンラッドやヴォルフラムと合流した有利は聖砂国を移動する途中、水を求めてとあるオアシスに立ち寄る。そこでは「水」を巡って諍いが起こっており…
   個人的お気に入り度数
祝・1年半ぶりの本編新刊!!……なのは嬉しいけど、悲しいくらいに「次回への繋ぎ」でした。刊行時期を更に延期してでもいいから、もうちょっと内容が欲しかったなあ…。

早い話がヴォルフラムの漢前な姿に有利がドキマギする話(勘違い)。冒頭からオトコマエな発言かましてくれたり、砂漠のオアシスの戦いでは有利を守ってかっこいい所見せてくれたり…と聖砂国編で今まで扱いが不遇だった憂さを晴らすような大活躍です。

いやあしかし、話が進まないのが本当にもどかしい。コンラッド達と合流して話が核心に……と思ったらオアシスでひと悶着始まるし、で漸く急展開に!と思ったらここで「次回に続く」かよ!!!みたいな。テンポ悪いというか物語が進んだ気がしないというか、ラストダンジョン眼前にして、取り残してたサブイベントを片っ端から起こしたりとか、適当なダンジョンでレベル上げしてるRPGのプレイを見ているような、そんな気分でした。個人的にはとっととラストダンジョン行って欲しかったDEATH。

あと、今回も残され組の出番がなかったのが痛いのかも。毒女様は有利の想像の中でのみ登場、ギュンターは妙なところで存在感をきっちりアピールしておりますが、ご本人の登場は無し。やはりシリアス展開ばかりが続くとこのシリーズはかなり息が詰まる。渋谷兄弟の勘違いなやりとり(?)が唯一の心の清涼剤でした。あと刈りポニで和んだ。

とにかく聖砂国編に入ってから、続きモノなのに1回の話数が(私が今まで読んできたシリーズと比較すると)極端に少ないので、本当にもどかしい。電撃文庫のシリーズモノは短いと思ったシリーズでもほとんど皆300ページ前後はありますし、1巻あたり200ページ強って相当少ないと思うのですが、更にそこに無駄に短編が入るので毎回本編のページ数は150ページ前後。電撃の平均的なシリーズ作品の1巻辺りのページ数の半分とか考えるともう…。

ハマったのは「今日からマ王!」が出た後だったので私はそんなに待ってたわけじゃないんだけど、前回の引きが凶悪すぎたからその分毒にも薬にもならない展開にガッカリというのが本音だったりします。というか前回のラストで起こったアレはもうちょっとページ数割いて引きずっても良かったんじゃあ……とか。

次巻では今度こそ物語に大きな動きがありそうなので、そちらに期待。
…次は早めに出てくれるといいんだけど。


Dクラッカーズ 6 王国?the limited world?

[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都

“王国”に向かった景に関する記憶が、少しずつ梓や水原の中から消えていく。カプセルを服用しなかったおかげでただ一人景に関する記憶も持ち続けることができた千絵は焦りを募らせ、執拗にバール達を追い詰めようとするのだがその行動を理解できない水原達との溝は深まるばかり。ある日、ジャンキー達の摘発に協力した3人は、仲間割れを起こしてしまって…
   個人的お気に入り度数
うわああああああ、予想以上に痛い展開…。

前巻の最後で忘れた記憶を取り戻した梓を見て安心していただけに、その翌朝の展開はショックすぎました。その後も梓や茜がフラッシュバックで記憶を取り戻した瞬間に取り戻した記憶をすぐさま失ってしまうという展開が続いて、それがただただ哀しいばかりで。遂には「記憶を取り戻さなければいけない」と言う気持ちすら薄れていってしまう事に恐怖を感じました。それまでの行動からは考えられないような、景や氷太に対する淡白な反応ばかりを見せる二人の反応が、本当に薄ら寒かった。とにかく前半の容赦なさは格別でした。

だからこそ、中盤以降千絵の水面下での奮闘によって少しずつ事態が良いほうへ、良いほうへと動いていったのは本当に嬉しかった。序盤の千絵と梓達のすれ違いっぷりにひたすらじれったい思いを感じていただけに…。

後半、千絵と梓が、復活したDDが、茜が、そして最後に水原が……と、これまでバラバラになっていたメンバー達が一つの目的の為動き出すシーンは凄く熱いです。特に水原が景の“悪魔”を召喚した(ネタバレ)シーンでは、正直震えが止まりませんでした。今回は景と梓の恋愛模様だけじゃなく、千絵と梓・水原と景の友情コンビが凄く良い味出してます。カラオケボックスで帰りを待つ久美たち3人の姿もなんだか心強くて。

そして個人的に大プッシュなのが、復活した「茜姐さん」の一幕。密かにかなりの茜ファンの私としては待ってましたな1シーンでした。クールビューティな姐さん復活に萌え燃えしました!

最高潮に盛り上がったところで、舞台は遂に最終巻へ。
どう決着をつけてくれるのか、本当に楽しみです。


黄昏色の詠使い4 踊る世界、イヴの調律

[著]細音 啓 [絵]竹岡 美穂

灰色名詠を操る"敗者の王"の襲撃から数日。休校になっていた学校も始まり、今までと同じ平和な日々が再びやってくるはずだった。ところが、"敗者の王"の襲撃の際に不調を訴えていたクルーエルが校内で倒れ、昏睡状態に陥ってしまう。更に、姿の見えない生物の姿が見え隠れしはじめて…
   個人的お気に入り度数
クルーエルの秘密、名詠式やセラフェノ言語の秘密、そして夜色名詠の真実…などなど、物語の根幹となる謎が一気に明らかになるお話。実質的に3巻からの続きですが、「イ短調」の面々を始めとした新キャラクターが一気に登場して、第一部クライマックスに向けて加速を始めたという印象です。

何はともあれ、爺二人の大活躍に、めちゃくちゃ震えた。なんだこの 萌え 燃えるジジーズ!「生涯の友」とか「背中を預けて良いか」とかもうね、本当に鳥肌モノ。よもや爺にこんなに萌える日が来るとは思わなんだ…。

漸く殆どのメンバーの顔見せとなった<イ短調>の面々ですが、予想以上にシャンテさんが素敵。竹岡さんのイラストがまた合っていて、「芝居がかった仕種がちゃんと絵になる」とかそういう描写が自然に思い浮かぶ素敵なお姉様でした。今回は全然出張んなかったけど、次巻では是非活躍していただきたい一人です…!

そのほか、様々な登場人物の想いが交錯する様子も非常に面白いのですが、なんといっても今回の見所はクルーエルとネイトのラブラブっぷりにあるといっても過言ではありません。物語の都合上、クルーエルの出番は本当に短いんだけど、いつのまにやらデレ全開のクルーエルと自らの非力さを自覚しながらもそんな彼女を必死に守ろうとするネイトの姿が猛烈に微笑ましい。保健室でのストロベリートークにはひたすら悶えました。

次巻でいったん1段落ということでいよいよ物語は一旦クライマックスへ。
本当に続きが楽しみなシリーズです。


恋姫・無双外伝 紫電一閃!華蝶仮面 ?成都を駆ける一陣の風?

[原作]BaseSon [著]御門 智 [絵]水月 悠

ある日突然、異世界の…三国志の猛将達が皆女の子、という世界に飛ばされてしまった本郷一刀はいろいろあって現在は北郷(蜀)の王になっていた。そんな彼の領地に、次々と怪しげな輩が現れる!それに立ち向かうのは背丈を越える二又の槍を持ち、蝶の仮面を被った正義の味方「華蝶仮面」!!彼女は果たして悪を討ち、混乱に陥った成都を救う事が出来るのか……!?
   個人的お気に入り度数
18禁ゲーム「恋姫無双」のヒロインの一人・趙雲が扮する正義の味方「華蝶仮面」をクローズアップした外伝的ノベライズ。「恋姫」は発売前から気になってたエロゲーの1つではあったのですが、Alles ist im Wandelさんの感想を見たら非常に面白そうだったのでとりあえず小説だけでも…と手にとって見ました。

何故かノリはド健全な90年代の日曜朝に良くやってた特撮美少女モノ(笑)登場シーンでは絶対に高いところから現れる、仮面被っただけで正体バレバレのはずなのに何故かバレない、喫茶店に偽装したアジトにマッドサイエンティストの仲間に巨大ロボに“偽・華蝶仮面”に過去話に大切な人との哀しい再会に……と、とにかく特撮アクションものの王道展開を詰め込んじゃいましたという感じ。……というか、ものすごく面白いんですが、どうしましょうこれ。

ある程度原作につながる小ネタはあるのかもしれませんが、原作ゲームでの知識はほとんど必要ありませんし、そのテの王道熱血路線が好きな人なら間違いなく楽しめるのではないかと思います。とにかく展開がベタ。そして「萌え」差し置いて怒涛のようにやってくる「燃え」の嵐。師弟対決のくだりでは思わずホロリとしてしまいますし、お約束な展開で笑わせてもくれます。とりあえずここは三国志の猛将どもが皆萌えっ娘な世界なんだと把握しておけば楽しめるという、お手軽さ。今まで結構な数のノベライズ小説を読んできましたがここまで原作知識が必要なく楽しめるノベライズも珍しいんじゃないでしょうか。

そんなこんなで、ますます「恋姫無双」が気になってきてしまった今日この頃ですが、ここは一つエイヤっと原作にも手を伸ばしてみるべきなのでしょうか。エロゲー遍歴はそれなりにあるので特にエロがある事については気にならないし、この外伝のような雰囲気のゲームだったら大歓迎というかむしろ大喜びなのですが…教えてエロい人!


とある魔術の禁書目録(インデックス) 14

[著]鎌池 和馬 [絵]灰村 キヨタカ

宣戦布告を受けて、ヨーロッパの各地で学園都市に対するローマ正教徒のデモ行動が活発化する。毎日のように報道されるデモのニュースに不安と憤りを感じる当麻達だが、ただの学生ではどうする事も出来ないという無力感も感じていた。そんな時、「C文書」と呼ばれる霊装が今回の事件の原因であると聞かされた当麻は、土御門と共にフランスへ向かう…。
   個人的お気に入り度数
学園都市とローマ正教の対立が遂に本格化し、様々な意味でクライマックスへ向けて動き出したという感じのシリーズ14巻。友人に薦めようとしたら「長すぎて手に取る気がしないよ…」と返されて、気がつけば電撃の中でも屈指の長編シリーズになっていた事に驚きを隠せない今日この頃ですが(いや、なんか私の中だとまだ「新しいシリーズ」の印象だったんだ…ペースが速いからでしょうか)物語が大きく動き出した話ではあるんだけど、その所為なのか何なのかこのシリーズ特有の「熱さ」とか「お約束感」が薄く感じてしまったなあ…次の巻への期待は高まるばかりなんですが、14巻自体は「イマイチ」でした。

ええと、なんというか普段それなりにお気に入りだった時の感想の締めの枕言葉としての使用法ではなく、「14巻の感想=15巻が楽しみです。」なんですよ。なんというか、15巻に繋げるためにだけ14巻が存在するというか、そんな印象。当麻の持つ「幻想殺し」の秘密が少しだけ明かされたり、神の右席の目的がちょっとあかされたり、ローマ正教が●●●成教と手を組んだり(バレバレ)、当麻の記憶喪失が御坂美琴にバレちゃったり(←重大ネタバレ)、様々な美味しい展開はあるんだけど、それはすべて「15巻でどうなるのか…!」という予告的な展開バレに過ぎなくて。大部分がそういう展開で構成されているので14巻自体の感動が非常に薄い、とでもいうのか。

せいぜい14巻単体の感想として語ることといえば、五和と当麻のやりとりが面白かったって部分くらいでしょうか。うーん、敵も今までのような「絶対に叶わない!」感があるわけでもなく、ちょっと薄味。つか戦闘シーンがいつも以上に何やってるかわからなくて、ちょっとダルかったのは私だけですか?そしてついにメインヒロインなのに出番がまったく無かったインデックス哀れ…。

「幻想殺し」の隠された能力については今後の物語の鍵を握りそうで、本当に続きが気になる限り。ていうか1巻に結構ヒントが隠されていそうな気がするので1巻を再読してみようかな?とかちょっと思いました。ていうか記憶喪失の話とかこの巻読むまで普通に忘れてたよ。