ページ 31 | 今日もだらだら、読書日記。

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悪役令嬢レベル99 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜

 
Tea

RPG系乙女ゲームに悪役令嬢ユミエラとして転生した私。でも実はユミエラは、本編ではショボいが、エンディング後には裏ボスとして再登場し勇者と渡り合うキャラで―つまり超絶ハイスペック!ついゲーマー魂に火がついて鍛えた結果、学園入学時点で私はレベル99に達してしまっていた。ゲームのストーリーには関わらず目立たず平穏に過ごすつもりが、入学早々レベルがバレて、ヒロインや攻略対象達には魔王と疑われてしまい…!?

前世でやりこんだ乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生した主人公。いずれゲームクリア後の世界で裏ダンジョンの隠しボスとして覚醒する予定の彼女は、前世知識をフル活用して破滅フラグを回避する──のではなく、前世のゲーム知識をフル活用して猛然とレベル上げをしはじめる。そう、主人公は乙女ゲーマーではなく、周回プレイ・レベル上げが大好きなやりこみゲーマーだったのです…。

やりこみゲーマーの私TUEE×もどかしラブコメ

序盤は突っかかってくるヒロインや攻略対象たち、彼女の持つ圧倒的な力を利用しようとする勢力をパワーでなぎ倒して黙らせていく私TUEEモノ。物語開始直後に速攻でカンストしてしまうのでなろう小説にありがちなレベリング描写が殆どないのが特徴的でした。ところが、彼女の数少ない理解者・パトリックと出会った辺りから物語がすこしずつ色を変えていきます。

人命無視&効率優先の無茶なパワーレベリングを提案するユミエラにドン引きしつつも彼女のブレーキ役となり状況をまとめるパトリック、という遠慮のない関係性が滅茶苦茶に好きなのですが、更にそこから物語が進むにつれて少しずつ二人の距離が縮まっていくのが最高に可愛い。圧倒的な力と忌み嫌われる黒髪と闇魔法を持つせいで孤立していたユミエラがパトリックという存在を通して他のクラスメイト達との繋がりを獲得していくのが印象的でした。

前世ではオタクをこじらせ、今生では孤立してしまったユミエラが不器用ながらも「パトリックに嫌われたくない」と考えるようになるまでの流れと、ユミエラと対等で居たいパトリックがユミエラが予防線として口にしていた「自分より強い人が好み」という言葉を拗らせてなかなかユミエラに気持ちを伝えられなくなってしまい、だいぶ前から両想いなのになかなか思いを伝えあえないというもどかしさにニヤニヤが止まらない。

やはり筋肉(ルビ:レベル上げ)は全てを解決する

一方で、ユミエラの無茶苦茶なレベリングが現状の改善に作用していくのも印象的でした。ゲーム本編において彼女の心情は語られないので想像を重ねていくしかないのですが、本来家柄が良いわけでもなく、黒髪を持つせいで両親からも周囲からも疎まれ、学園内に居場所を作ることが出来ず悪役令嬢の立場に追いやられてしまった“ユミエラ”が、ゲーム版の展開とは違ってパトリックという理解者を得て自分の居場所を作り、責任のある立場になってでも世の中を変えたいと思うまで成長することが出来たのは、間違いなくレベルを上げていたおかげなんですよね。やっぱり筋肉は全てを解決するんだなあ……。

自分の危険も顧みないレベリングによってこれまでの全てを勝ち取ってきたユミエラが、最後の最後で「大切な相手のために自分を大事にする」ということを学び、そのおかげで最大の窮地を脱することができるという展開がまた熱かったです。余談ですが両親の育児放棄の件についてユミエラが「精神年齢30歳だし両親からの干渉なくてむしろ快適だった」みたいなこといってるのはかなりインパクトありました。確かに精神年齢30歳だと、育児放棄についてはほぼ嫌がらせにはならないよね…。

ゲームヒロインちゃんにはなにかフォローがあってもよかった

ユミエラとは対象的に、ゲームとは違ってレベルをあげなかった、研鑽を怠ったせいで最後の最後で痛い目を見てしまうのがゲーム正ヒロインのアリシア。割とこの物語、クズ成分がアリシア及びユミエラの両親に集中していたのでこの辺どうフォローするのかとおもったんですが結構さっくり使い捨てキャラにされた感があり少し残念。アリシアが異常にユミエラを敵対視するのに原因とかあるのかなと思っていたのですが結局純粋に性格が悪かったから自分以上に目立った女が許せなかったということで良いのだろうか……エドウィン王子以外の取り巻きの使い捨て感もすごかった。

まあその辺は続刊でフォローされるのに期待、と思っていたのですがなろうで原作の該当部分ざっくり読むと地味に展開が変わっていて、どうかんがえてもフォローなさそう。というか彼女の処遇に関しては、今後フォローがない感じならなろう版の結末の方がしっくりくるなあ……。

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3巻無料にかこつけて『ようこそ実力至上主義の教室へ』を布教する

「キミラノ」とMF文庫Jのコラボ企画で、
5/15〜297/19〜8/18まで『ようこそ実力至上主義の教室へ』が3巻無料になるそうです。


いつか作品をまとめて語る機会があれば語りたい……と思っていた作品だったのでここぞとばかりに布教記事を書きました。気になる!!気になった!!!というひとはこの機会に読んでみてほしいし出来れば4巻以降も読んでみてほしい。なんなら知り合いになら4巻のギフトコードを送ることも辞さない。どうぞよろしくおねがいします。(こちら2020年に書いた記事ですが、2021年7月にまた3巻無料キャンペーンが来たので序文だけ書き換えました)

あらすじ(※軽くネタバレあり)

生徒達を『実力』で4つのクラスに振り分け、独自のカリキュラムによる次代の人材育成を行う全寮制の学校・高度育成高等学校。卒業後はあらゆる進路が確約されるが、その恩恵を受けることが出来るのはAクラスで卒業した生徒達だけ。定期的に開催される過酷な『特別試験』では退学者を排出することも。かくして、Aクラスで卒業することを目的としたクラスカースト争奪戦が幕を開けるのだった。

──そんな中で最底辺のDクラスに振り分けられたものの、Aクラスへの成り上がりには興味がない主人公・綾小路清隆。子どもたちを集め、過酷なカリキュラムにより天才へと育成する機関「ホワイトルーム」唯一の成功例であった彼は、高度育成高等学校に入学することで得られる俗世間との完全隔離=「3年間の自由」を満喫するため、ことなかれ主義と嘯きながら目立たない一生徒を演じようとしていた。Aクラスへの昇格に拘るクラスメイトの掘北鈴音に力を貸し、あるときは巧みに利用したりしながら平穏な毎日を送ろうとする綾小路。ところが、彼を連れ戻そうとする「ホワイトルーム」からの妨害工作が始まり──。

個人的に推してる所

主人公・綾小路清隆の超ハイスペックな「ひとでなし」ぶり

幼少の頃より社会から隔離され、人間としての感情を削り落とされるような過酷なカリキュラムによって後天的に作られた「天才」である綾小路。事なかれ主義を謳いながら掘北や櫛田とラブコメ的な何かをしていた頃は典型的なやれやれ系ラノベ主人公(死語)かな…と思ったのですが、物語が進むにつれ、その裏にある「自分以外の誰がどうなろうと構わない、最後に自分が勝ってさえいればいい」という信念が明らかになっていきます。

味方であるはずのクラスメイト達すらも欺き、その裏で(綾小路にとっての)完全勝利を掴んでいく姿は爽快でこの作品が「主人公最強」とか「俺TUEE」と言われる所以であるわけですが、同時に、読めば読むほど綾小路の人間としての欠落・不完全さが気になってきてしまう。世間と隔離されて生み出された天才であるが故に「一般人の正解」が解らずに突拍子もない行動を取ってしまったり。他人の情緒が理解できなかったり(※理解できないだけでそこを計算に入れて動くことは出来る)。一年間の高校生活で自分の中に覚醒め始めた感情を他人事のように眺めている節があったり。特に、綾小路の情緒面での成長…というか移り変わりは今後の展開におけるキモなのかなと勝手に思っていて、今後掘り下げが来るのを楽しみにしています。

それにしても最近の話で序盤の頃のやれやれキャラは、世間に疎い綾小路が無理して作った「普通の男子高校生っぽい人格」だったことが発覚しましたが、一体彼は入学前に何を読んで普通の男子高校生を理解しようとしてたんでしょうね……ラノベかなにかか?

「Aクラスでの卒業」を巡り、繰り広げられるそれぞれの生存戦略

生徒達の普段の行動、テストでの成績、そして定期的に開催される「特別試験」の成績を加味して各クラスに「クラスポイント」が与えられ、そのポイントの増減によってクラスのランクが決定される。また、月初のクラスポイントによって生活費含む学内のあらゆることに使える「個人ポイント」が支給され、相応の個人ポイントを払えば任意のクラスに転入することさえ出来る。

以上を踏まえて繰り広げられる、各クラス同士、時には学年を超えて繰り広げられるポイント争奪戦が熱い。クラスが一枚岩となって戦う必要があると同時に、個人ポイントを稼ぎさえすれば自分だけAクラスに転入することも出来るため、クラスの中でも様々な思惑が交錯するのが面白いですね。他のクラスと内通してクラスメイトを欺こうとする者、様々な奇策を用いて個人ポイントを集め、ランクアップを狙う者……様々な動きが見えてくるのが印象的。

原作の副読本としておすすめしたいアニメ版

原作1〜3巻に4.5巻の内容の一部を入れ込んだアニメ版ですが、個人的にめちゃくちゃ楽しかったのがエンディングのキャストロールに各キャラクターの持ち点が表示されている所。どの場面で誰が何点くらい持ってるのかわかるので(原作と完全に同じ点数なのかどうかはわからないけど)、いろいろな想像が膨らむ。

綾小路の本心が最終話まで見ないと明かされなかったり…と、若干原作を読んでないと分かりづらいところがあるラノベアニメにありがちな作りではあるのですが、原作を踏まえてみるとめちゃくちゃ面白かったです。あと綾小路役の千葉翔也さんの棒読み推せる(序盤はまじで棒読み感あって心配になるけどだんだん演技してる感じの棒読みになってくるような気がするし、特に茶柱先生から父親の事を追求されたときに一瞬だけ感情込めてしゃべってくる感じとかたまらない)。Amazonプライム等で見放題配信されているので興味のある人は見てみてください。

個人的に好きなエピソード

「ようこそ実力至上主義の教室へ3」→感想
今この瞬間だけ、本心で語ろう
無人島サバイバル編。初めての「特別試験」、各クラスのやり口が示される初めての巻でもあり、これまで地の文ですら本心を偽ってきた綾小路がはじめて「本心」を吐露する(地の文で)エピソード。とりあえず、読み始めたら最低でもここまでは読んでほしい。アニメもここまで。
「ようこそ実力至上主義の教室へ4」→感想
恋愛側ヒロイン・軽井沢さん爆誕
3巻で本心を少しだけ見せた綾小路が、手加減なしにえげつないやり口を発揮する回。恣意的に過去のトラウマを再現させ、マッチポンプで軽井沢の感情を自分へと向けさせようとする綾小路のやり口がどこまでもひとでなしな上に、ここで見いだされるヒロイン軽井沢恵がこんな出会いなのに4.5巻以降のエピソードで真っ当に綾小路に恋してしまうのがしんどいofしんどい。今回無料になる原作小説3巻分までだと彼女の魅力は殆どわからないので、3巻まで読んだ人は騙されたと思って4巻も読んでほしい。
「ようこそ実力至上主義の教室へ5」→感想
世間の「普通」がわからない綾小路の行動が楽しい
普段のテストではわざと間違えて点数を調節していた綾小路が初めて「一般人の平均」を掴みそこねてうっかり目立ってしまうエピソード。運動神経が人外な須藤の基準を参考にして高すぎる数値を出してしまうのにはつい笑ってしまいますがそこまで細かく調整できるってことはさぁ…。本編も、Cクラスの龍園に追い詰められた堀北が「他人を頼る」事を覚えるエピソードでとても熱い。堀北鈴音の水面下での成長は正統派に面白いし少年漫画の王道主人公的ですらあるんですが、これそういう話じゃないんでこの辺から影薄くなりがちなんだよな…。
「ようこそ実力至上主義の教室へ7」→感想
龍園と綾小路の殴り合いが最高(腐女子なみのコメント)
堀北の裏にいる黒幕(=綾小路)のあぶり出しを狙うCクラスのリーダー・龍園と、その龍園からの追求を逃れて表舞台から消えたい綾小路の正面対決。どこまでも汚い手口と暴力を使って周囲をねじ伏せる龍園をそれ以上の汚い手口と暴力で屈服させる綾小路のやり口がどう考えても真っ当な主人公のやることじゃないんですけど綾小路と龍園の殴り合いの挿絵が最高すぎて無理。とばっちりで過去のトラウマを掘り起こされる軽井沢さんは本当に幸せになってほしい…。
「ようこそ実力至上主義の教室へ7.5 」→感想
はじめての雪でテンション上がる綾小路が可愛い(挿絵付き)
冬休みの出来事を描く息抜き的な短編集なんですけど、人生で初めての雪にテンション上がってるっぽい綾小路が可愛いにすぎるので全ラノベ好き女子オタク読んでほしい回。あと、綾小路への想いを自覚した軽井沢さんがどこまでも可愛い巻なんですけど7巻で何があったかを思い出すと全く安心して見守れないのが困る。この出会いが仕組まれた物であると知りながら綾小路に惹かれていく自分を止められない軽井沢さん本当に可愛いんだけど綾小路によって仕組まれた出会いなんだよな…。
「ようこそ実力至上主義の教室へ8」→感想
男子生徒に焦点を当てたエピソード(綾小路は巨○ン)
男女別れて上級生と組んでの特別試験、綾小路の友人である幸村の内面での成長劇、クラスきっての問題児である高円寺との対峙などなど、男子生徒に焦点を当てたエピソードなんですがそんなことより突然はじまった男風呂での男のシンボル対決が忘れられないどうしてこうなった。どこまでもシモネタで突っ走る展開が、なんというかエロゲライターさんの書く文章だなあ〜〜という感じで大好きだし笑いが止まらない。綾小路は大きい。
「ようこそ実力至上主義の教室へ9」→感想
裏から事態を操り美味しいところを攫う、原点回帰な面白さ
Bクラスのリーダー・一之瀬が陥った窮地を救うために動く裏でAクラス&新生徒会の動きを牽制し、身内の敵である櫛田と取引し、今後の自分の行動に対して利になりそうな相手に繋ぎをつける。展開としては割と地味だけど「黒幕・綾小路清隆」という存在の面白さが全部凝縮したような話なんですよね。あと個人的に9巻の挿絵がめっちゃ好きなんですよ…悪い笑顔の綾小路の挿絵めっちゃ好き。
「ようこそ実力至上主義の教室へ11.5」→感想
短編集という名の「一年生編」エピローグ。
綾小路が本気を出して強敵・Aクラスに挑む11巻も最高に楽しかったのですけど(というかあれは面白くないわけがないお話)、短編という名でこれまでの人物たちの成長とこれからを描く11.5巻が本当に「1年生編」エピローグとしてポイント高い。なにより衝撃的だったのはやはりラストの軽井沢とのやりとりと綾小路の「独白」。感情の機微を理解できない綾小路が軽井沢というパートナーを得てどう変わるのか。それとも何も変わらないのか。2年生編のプロローグとしてもポイント高いエピソード。

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スキルが強すぎてヒロインになれません

 

クラスメイトの高遠くんに片思いをしている女子高生のアリアは、今日もいつも通り部活で活躍する彼を遠くから見守るはずだった。ところが、彼女は目撃してしまった――彼が勇者として異世界に召喚されそうになっているところを!? とっさに追いかけたアリアは、神様の恩情で勇者のおまけとしてついていけることになったけれど……。神様がくれた「人類にできることは何でもできる力」が強すぎて、可愛さもモテる要素もないんですけど!? 恋する乙女なのにヒロイン感0な少女のスキル無双異世界召喚ラブファンタジー!

片思い中のクラスメイト・高遠くんが「勇者」として異世界に転移するところを偶然目撃したアリア。半ば強引に勇者(高遠)のおまけとして同じ世界に飛ばしてもらえることになった彼女は、その際に神様から自分の『愛読書』をモチーフにしたスキルを授かる。だが、本なんか読まないアリアの愛読書として選ばれたのは、偶然自室にあった某「世界記録を集めた本」で……。

恋する女子高生(じんるいさいきょう)vs異世界ファンタジー

ギ○スブックに記載されている記録ならばなんでも再現できるというチートスキルを授かってしまった女子高生が、憧れのクラスメイト男子と共に魔王を倒して異世界を平和にしようと頑張るお話。相手は剣も魔法もある異世界ファンタジーの世界なのでギ○スがそこまで強いのか!?と疑問に思ったのもつかの間、そこには世界記録を全て自分のものとした女子高生(ルビ:じんるいさいきょう)が爆誕していたのであった。普通にドチャクソ強かった。

「魔法に対する防御手段がない」という弱点こそあれど、トンデモ身体能力のオンパレードで普通に一人で無双できそうな私TUEEっぷりと、それとは裏腹に「こんなゴリラになってしまった私を憧れの彼に見せたくない!!!」と思う乙女心が錯綜していくのがめちゃくちゃ面白かった。正統派な異能スキルを手に入れた憧れの彼を前に、必死に自分の脳力を隠しながらバトルとなれば高遠くんをも圧倒してしまいまた頭を抱える姿が可愛い以上に面白すぎました。

不器用でポジティブな恋愛模様がたまらない

高遠君が好きすぎて異世界にまで飛び込んでいってしまったアリアが、高遠君とちょっとした接触をするたびに貪欲に喜んでしまう姿がめちゃくちゃに可愛い。一方、一緒に旅をしていく間に少しずつアリアの素直で善良な人間性に惹かれていく高遠君が徐々に独占欲をこじらせていく姿がこれまた微笑ましい。そんな心配しなくてもアリアは最初から高遠君ひとすじだから…!!とアドバイスしてあげたくなるけど、アリアがまた無自覚で次々と旅の最中に出会った男性達と仲良くなってしまうので高遠君の悩みはどこまでも尽きないのであった。

旅を続けるうちに高遠君が完璧な王子様なんかじゃないってことがわかってきて(というか中盤以降はアリアの一人称を持ってしても隠しきれない高遠君の残念さが大変微笑ましい)、それでもありのままの彼が好き、新たな一面が見えて嬉しい、仲良くなれて嬉しい!と、どこまでも自分の恋に対してポジティブなアリアの姿がポイント高かったです。船酔いしてる高遠君とアリアのやりとりとか可愛くて好き。あと、操られたアリアを高遠君が正気に戻す所、高遠君が微妙にわかってなくて無自覚ああいうことやっちゃってるの本当にニヤニヤが止まらないんですけど!?アリアの第一声がわかりすぎる。

私達の冒険はまだまだこれからだ

高校生男女の恋の甘酸っぱさ、俺TUEE的な爽快感を損なわず、でもしっかりと歯ごたえのある魔族達とのバトル、何よりもそこかしこに散りばめられたラブコメ要素がひたすらに楽しいお話でした。普通に単巻完結かな?と思っていたら思い切り続いたので個人的には是非2巻も出してほしいです。アリアのスキルもまだまだ底が知れないので、さらなるトンデモ成長を期待しちゃう。

まだなろう小説の書籍化で1年位のブランクなら慌てる時間じゃないはず……。

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腐女子が選ぶ、腐女子が主役のラノベ7選

ずっと待ってた「腐男子先生!!!!!」完結巻発売で居ても立っても居られなくなったので、腐女子が主人公/メインヒロインな物語で好きなやつをざっくりまとめてみました。ざっくり下の方に要素の強さとかジャンルとか入れてますが個人的な感覚なので読んで間違ってても怒らないでください。良質な腐女子主人公ラノベの情報がありましたらツイッターかこちらのフォームまでお寄せください。

「腐女子が脇役」のラノベは結構色々思い浮かぶんですけど、「腐女子が主役」の作品って意外にないんですよね……いや私があまり読んでないラブコメラノベ方面とかに手を伸ばせば割と掘り出せそうな気がしますが。

なお、腐女子の脇役で好きなのは「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の海老名さんです。あの熟成された腐った感じと表向きのキャラの裏に隠された繊細なキャラクターがほんとたまらないな。今週から始まる俺ガイルのアニメ3期みんなみてください。

瀧ことは「腐男子先生!!!!!」→感想
「オタクあるある」にあふれる腐女子と腐男子のラブコメ
応援上映、コラボカフェなどWeb小説ならではの「最近の女子方面オタク事情」を踏まえたネタの鮮度の高さが絶妙で楽しい。リアルタイム連載は4年前からなので、ピンと来るネタも多いハズ。気の合うオタク男女、作家と読者、生徒と教師──と変幻自在に色を変えていく関係性も必見です。
Tag : [腐要素★★★★★][二次創作][現代・恋愛][オタクあるある][読者×作家][男の友情・腐れ縁]
3巻はラブコメ色強め。しかし1〜2巻の腐ネタ・オタクあるあるは特筆したい楽しさが。
節トキ「悪役腐令嬢様とお呼び!」→感想
腐女子悪役令嬢×百合オタ王子、腐れ縁二人の掛け合いが超楽しい
好きでもない乙女ゲーの世界の破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった主人公が破滅フラグはほっといてBL布教に勤しむお話。かなり強引に布教していく様子に思わず目をそらしたくなるときもあるけれど、中盤から登場する前世からの腐れ縁の百合オタ男子との掛け合いが楽しく、主人公によって覚醒させられた腐令嬢達とのドタバタも楽しかったです。
Tag : [腐要素★★★★★][オリジナル・ナマモノ][異世界・令嬢][恋愛未満のケンカップル][破滅フラグ]
同じ腐女子だからこそウワーッてなる部分もあるけど、個性豊かな令嬢達の性癖にはニヤリとしちゃう。
森美紗乃「奥様は貴腐人 旦那様はボイスマイスター」→感想
貴腐人×売れない声優、年の差カップルの成長ドラマ
BLドラマの主役(総受)に抜擢された売れない声優の主人公と、7つ年上の奥さん(腐女子OL)が織りなす物語。アダルト展開のあるBLの演技に最初は苦手感すら持っていた主人公がどう向き合っていくのか。奥さんの視点から描かれるMRのお話もこの頃の少女小説としては割と希少な感じで楽しかったです。それはそうと作中劇のBLゲームのシナリオがめちゃくちゃ性癖なので定期的に読み返してしまう……。
Tag : [腐要素★★★★][商業ボーイズラブ][現代・恋愛][お仕事もの][四角(?)関係]
主人公の価値観はやや発売年代を伺わせる。声優変更アリのリメイクゲームという悩ましいお題。
壱月龍一「ラ・のべつまくなし」→感想
純文系ラノベ作家×発酵系文学少女。ライトノベルを巡る恋物語。
二次元イラストが直視できない純文崩れのラノベ作家が、自作の大ファンである腐女子に一目惚れをして…から始まる恋のお話。今や少し古めかしくなったメール交換から始まるやりとりが甘酸っぱく、「ライトノベル」の存在意義を直球で問うていく熱い物語はラノベ読み全員に読んでほしい。主人公の親友との熱い男の友情もあるよ!!
Tag : [腐要素★★★][二次創作方面][現代・恋愛][ライトノベル業界][作家×読者][男の友情]
ヒロインが割と主人公達で妄想するけどそこが主題ではない感あります。ところで私は圭介×学ですね。
岩佐まもる「ROBOTICS;NOTES」→感想
天才プログラマー腐女子の視点から描かれる、スピンオフノベライズ
同名ゲームの物語を、メインキャラのひとり・腐女子で天才プログラマーの神代フラウの視点から描くスピンオフノベライズ。作中で語られる腐萌え語りがじっくり読めるだけでも楽しいんだけど、不器用でコミュ障気味な彼女の、主人公視点からは見えづらい本当の想いが描かれていくのが大変に楽しかったです。原作知ってる前提のノベライズなので興味が湧いたらアニメかコミカライズかゲームを追ってほしい(メインストーリーのノベライズは1巻で討ち死にしてしまったので……)
Tag : [腐要素★★★][雑食][ノベライズ][近未来・SF][オタク]
ゲーム内でのフラウたんのBL妄想が好きな科学ADVのオタク向け。なお舞台は近未来であるところの去年(2019)。
まめちょろ「私はご都合主義な解決担当の王女である」→感想
「BL世界のモブ女」になるのは思った以上に大変です
大好きなBL小説の脇役女キャラに転生してしまったけど、そこは男同士の恋愛が尊ばれ女が都合よく扱われる世界だった。思った以上にしんどい世界観だけど、異性に振り向いてもらえず死んだ魚のような目になっている女性達の悲哀がコミカルに描かれているので重くなりすぎずに読めてしまう。ハードモードな世界でBLに萌えてる場合じゃねえ!!ってなりながら生きていく主人公の姿は必見。
Tag : [腐要素★][二次創作(?)][転生令嬢][世界観設定が面白い][主従関係][BL界のモブ(女)]
ほんとこれ読んでくと「萌えてる場合じゃない」なんだよなあ
小林来夏「キスとDO-JIN!」
世間に疎いお嬢様(腐女子)の同人界シンデレラストーリー(with執事さんは心配症)
壮絶な筆の速さと正確な技術を持つ世間知らずのお嬢様が、初めて参加したイベントでとある大手作家の目に止まり…から始まる同人界シンデレラストーリー。専業やら転売やら脱税やら、同人界の危ないネタを攻めていくスタイルと同人大手のアレコレネタは普通にサークルやってるだけではなかなか見えてこない世界なので楽しかった。あと執事の強烈なキャラはまじで必見。問題はレーベル死亡済+電子書籍なしという入手難易度の高さですね…(でもこの話するなら入れたかった)
Tag : [腐要素★★][二次創作・一次創作][現代・恋愛][同人業界][大手サークル][執事がつよい]
腐というよりは同人業界と描き手のあるあるかなぁという気はする。執事は必見。

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悪役腐令嬢様とお呼び!

 

異世界のトラブルはすべてBLで解決!? 大神那央は自他共に認めるBL大好き女子――いわゆる腐女子である。 しかし十九歳になってすぐに事故死。そして生まれ変わったものの、そこはなんと嫌々プレイしていた乙女ゲームの世界だった。おまけにポジションはヒロインをいじめ倒すライバルの悪役令嬢。 (ちなみにこの悪役令嬢のクラティラス・レヴァンタ、どのルートを辿っても必ず死ぬという運命にある) クラティラスとして生きることになった那央は悲惨な未来を受け入れ、可憐なるヒロイン・リゲルをいじめ……たりせず、彼女を始めとする女子達にBLの素晴らしさを布教し、同志の輪を広げていくのだった――。

事故で死んだ那央が転生したのは、生前嫌々ながらにプレイした乙女ゲームの悪役令嬢・クラティラス。どうあがいても死ぬ運命だと気づいた彼女は破滅フラグを回避するべき奔走──なんてことはせず、「どうせ死ぬなら来世に期待して今生は好きなことやって死のう」と、前世から受け継いだ画力を駆使してイケメンを描きまくり、周囲の令嬢達にBLを布教しはじめたのだった……。

悪役令嬢に転生した腐女子の暴走劇

主人公のクラティラスがかなり痛い腐女子で、序盤の展開がかなりしんどい。転生先の乙女ゲームをディスりまくる姿には「自称毒舌」女子を見ているときの気持ちになるし、去るものは追わずスタイルとはいえなりふり構わず一方的にBLを布教していく姿には若干のもんやり感を覚えてしまう。

何より転生前の彼女本来の乱暴な言葉遣いが貴族社会の中では壮絶に浮いてて、事実以上に「痛い」キャラに見えてしまうんだよね。このくらい口が悪いオタク女子って普通にいると思うんだけど、文字媒体だけだと細かいニュアンス伝わらなくてすごく横暴なキャラに見えてしまっているのがちょっと勿体ない。

でもこのクラティラス、BL文化が現れるのを待つのではなく、自ら語り、そして描くことで周囲をBLに覚醒めさせようとするという前向きな行動力はめちゃくちゃ好感度高かった。他の覚醒めた令嬢達の萌えを(BLである限りは)絶対に否定しないし、コンテンツに対するスタンスも「一度触れたコンテンツは絶対に最後まで追う」とかですごく真摯に向き合ってくれるんですよね。

百合オタ王子が出てきてからが本番。

そして第三王子イリオスの「正体」が明らかになり、彼と半ば無理やり婚約させられるところからめちゃくちゃ面白くなる。お互い趣味が合わないの知っているからこそ変に押し付け合わないし、お互いへの遠慮もない。序盤はしんどかった乱暴な言葉遣いも「お互いへの遠慮のないやりとり」へと変化してしまうので不思議です。喧嘩するほど仲が良い腐れ縁というか、ふたりの気のおけない対等な関係性にときめいてしまった。

最初は強引だった「BL仲間」の令嬢達との関係が徐々に本物の友情へと変化していくのも印象的。それぞれが別個の性癖を持っていて、互いの性癖には干渉しあわない、お互いを尊重しあえる距離感が楽しい。クラティラスは前述のように、どんな性癖でもBLならば暖かく見守る(むしろ伸ばして育てる)方向性なのが結構バランス良いんだよな。庶民出でクラティラスから詩の才能を見いだされていずれは乙女ゲームのヒロインとなるリゲル、イリオスから託されてまさかの同キャラカップリングに開眼してしまった護衛のステファニとも徐々に身分や立ち位置を気にしない・気のおけない付き合いになっていくのにニコニコしました。

果たして二人は、「破滅の未来」を阻止できるのか。

乙女ゲームの正ヒロインであるリゲルと無二の親友となり、これで破滅エンドは回避したのでは…?と思うのだけど、この世界には乙女ゲームで起きた出来事に物事を収束させるような、謎の強制力があるらしい。しかも、自らの死がこの国の未来にもたらす悲劇をうっすらと知ってしまって、割り切っていたはずの破滅の未来に、再び感情が揺れていく。

未来に待ち受けるであろう死亡エンドの事はどこか他人事のように受け流しているクラティラスが自分のことを溺愛していた兄・ヴァリティタの態度の変化を見て、いつかは自ら気づいた友人達との関係をも断ち切られてしまうのではないか、と不安にかられる姿が印象的でした。自分が死ぬのは(一度死んだ身だし)構わないけれど、今ここに生きている友人たちが辛い思いをするのは避けたい。でも、そんなクラティラスの不安を払拭するような友人たちの行動がすごく暖かくて。これなら絶対に大丈夫──と思うものの相手は世界の強制力的ななにかなわけで。思いを同じくするイリオスとともに、破滅的な未来を阻止することができるのか。本当に今後どうなってしまうのか。続きが楽しみです。

それはそれとして世界観が緩いなんちゃってファンタジー乙女ゲー原作の続編がファンタジー○○物ライトノベルってどういうことなんです??脚本日日日先生かなにかか?(酷い風評被害)

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腐男子先生!!!!!3

 

オタク生活に卒業という文字はない!……はず?? 腐女子JK・朱葉(神絵師)もついに高校3年生に進級! イケメン生物教師としてのオンの顔と、残念なオタクのオフの顔を持つ担任の腐男子先生・桐生(信者)との関係にモヤモヤしつつ 進路相談(三者面談)をすると、まさかの反応が……!? 受験に向け、同人活動休止にゲームも漫画もアニメも自制! 我慢の先にある二人の未来は……?? 「オタクの予定は半年先まで決まり続けるからな」 共感しすぎるオタクラブコメ、堂々完結!!!!!

高校3年生になり、大学受験が目前に迫ってきた朱葉。母親を踏まえた三者面談で桐生から何気なしに出てきた言葉にショックを受ける。桐生にとって自分はただの生徒でしかないのか?ジャンルが変われば次の「神」をみつけてしまう程度の存在なのか……と、なんとなしに桐生を避けるようになったまま、高校生活最後の同人イベントを迎えることに……。

「卒業」おめでとうございました!!!

いやもうまず本当に3巻が出てくれたことがめちゃくちゃ嬉しいしめでたい!!!前巻から一年以上経ったし、色々と文庫での完結は難しいのかなと思い始めた矢先の出来事だったので喜びもひとしおでした……。同人オタクの悲喜こもごもを描くお話だからこそ、「紙の本」で最後まで読めるのにはまた一層の感慨深さがあります。いやもう本当に好きな話なので素直に紙で読めてよかったWeb版初読時の感想はこちらです!!

っていうかもうあのシーンやこのシーンに挿絵がついたことに喜びを感じざるを得ないのですが、特に文化祭編のふだせん挿絵最高でしたそこに挿入ると信じてましたーーー!!!あとほんとラストの挿絵はもうね、ああやって気合い入れて描かれると、泣くしかないよね。

変幻自在に色を変える桐生と朱葉の関係性が楽しい。

あるときは気の合うオタク友達、またあるときは同人作家とその信者、そしてあるときは教師と生徒──と、色とりどりに変化していく二人の関係性がとても良かった。特に、今巻で語られる作家と読者の関係性の話がめちゃくちゃ好き。「神様は、信者を選べない」という言葉の本当の意味に、神作家と信者として始まった関係が徐々にそれだけではない、かけがえのない相手へと変化していった道程を感じて胸が熱くなってしまう。

後半に行くにつれて不器用ながらにお互いの気持ちを自覚した二人の関係が少しずつ甘くなっていくのがたまらないのですけど、それはそれとして終始挟み込まれる気の合うオタク男女なやりとりが大変に楽しく。最後まで一貫して「オタク楽しい!」のお話なのが最高でした。

きりゅせんほんと「そういうとこ」だぞーーー!!!

朱葉との関係や問題児・都築の進路指導を経て、桐生にとって“擬態”でしかなかった教師という職業が彼にとっての天職となっていく姿が印象的でした。教え子たちに一生モノの“好き”を見つけてほしいという桐生の願いにも似た信念は、紛れもなく彼が“オタク”として生きてきてそして見つけ出した人生観なわけで、タイトルの通りの“腐男子先生”になっただなあと。いや、だからといって都築への進路指導の結末は色々とどうかと思うんですけどね!?あとやっぱり何度読んでもあの流れからの個室焼き肉はいかがなものかとおもいます!!!いやそこ選ぶのわかるし、あながち間違いではないんですけど、ムードぶちこわしだからね!!?ホントそういうとこだぞ!!??

都築くんといえば電子書籍版の短編がめちゃくちゃよかったので全都築くん好きのオタクに読んでほしい…………。あと小説家になろう版の後日談のマリカさんと都築くんの話がめちゃくちゃ好きなので全マリカさんと都築くんが好きなオタク読んでほしい…………。(小説家になろう版、特に3巻は削られた部分が多いので書籍版から入った人には読んでほしいんですよね。都築の進路指導の話とかも結構削られてたし。あと後日談が好き。R18書く書かないのやり取りとかもニヤニヤする)

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私はご都合主義な解決担当の王女である 3

 

転生腐女子の結婚回避ラブコメ、準舞踏会編クライマックス! 忌々しい過去と向き合い、護衛の騎士クリフォードの制服を涙と鼻水で濡らした私――王女オクタヴィアは、気付けば反王家派の物騒な諍いに巻き込まれていた。 しかも、一緒に訪れていた兄の恋人(男)シル様が行方不明に!! できれば関わりたくなかった(詳細は2巻で)仮面の男ルストの導きにより、シル様を捜して辿り着いた先には……!? 準舞踏会編完結!

クリフォードの支えを得て、改めて仮面の男ルストと対峙する覚悟を決めたオクタヴィア。ところが、話の途中で侵入者の襲撃を受ける。彼らの狙いは、兄の恋人(男)・シル様だと知ったオクタヴィアは、クリフォードと共にルストの案内で彼の行方を追うことになるが…。

準舞踏会編後半戦。戦いの中で育まれる絆が熱い。

オクタヴィアを狙う謎の集団、そして行方をくらませたシル様を巡る小競り合い。そしてクリフォード以外の『従』との対決──お城の中で展開された1巻、華やかな準舞踏会でのやり取りが中心だった2巻と比べて一気にバトル要素の強い3巻でした。クリフォードの邪魔にならないよう立ち振る舞おうとするオクタヴィアを尻目に、非戦闘員である彼女が側にいても色褪せない強さを見せつけるクリフォードの姿に圧倒されてしまう。

そんな中で、どこか自分の犠牲を顧みないオクタヴィアのとある行動を、絶対であるはずの『主』からの命令すらも超えて抑止しようと動いてしまうクリフォードの姿が印象的。たとえそれが彼女の本意であったとしても彼女が傷つくのが許せない、と。少しずつ、クリフォードがオクタヴィアに対して主従の線引きを超えた感情を持ち始めているのが伝わってくるのがたまらなく楽しかったです。同時に、オクタヴィアの方も今回の準舞踏会での件を経てクリフォードとの絆を深めたようで……二人の関係性の変化を思わせる、最後の1行に思わずニヤニヤしてしまった。

レイフが語った『オンガルヌの使者』が“不可能を可能にした『従』”であるという可能性も含めて、先が楽しみで仕方がない。

良くも悪くもスッキリしない終わり方…

ただ、準舞踏会編の展開をまとめて思い出すと総合的には凄く面白かったんですが、準舞踏会編後半である3巻自体はちょっとカタルシスに欠ける、スッキリしない終わり方だなあと。2巻で明かされた様々な真実がめちゃくちゃ面白かっただけに、バトルは派手だったけどむしろ物語の謎が深まっただけの展開にはどこかスッキリしないものを感じてしまった。Web小説原作にはありがちな話だけどとにかく物語の動き方が遅い。準舞踏会の内容、1冊で読みたかったなという気持ちがすごい。ラスト自体は良かったんだけど、本来あるべきCパートがとれてないアニメの録画みたいになっちゃってるのがちょっと気になる。

っていうか元々の彼女の目的であったはずの偽装恋人の話とかマジで完全に有耶無耶になってしまったというか、ルストのアレコレを考えるとむしろ完全にふりだしに戻ってるんですけど!?ルストやおじさまが恋人相手の手がかりを持ってるとかそのくらいの手がかりがあっても良かった気がする。(っていうかこれだけラブラブなわけですしクリフォードじゃだめなんですかねえ!!)

続きが気になる展開、なんだけど…

2巻でたのが一昨年、という話を見てWeb版見に行ったらここ(3巻ラスト)からほとんど進んでないんですよね。
これ続きいつになるかなあ……1巻分まとまってから続きを投稿してるってかんじでもないんだよなあ。

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声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない?

 

偶然にも同じ高校に通う仲良し声優コンビ、夕暮夕陽と歌種やすみが教室の空気をそのままお届けしちゃう、ほんわかラジオ番組がスタート!―でも、パーソナリティふたりの素顔は、アイドル声優とは真逆も真逆、相性最悪なギャル×根暗地味子で…!?オモテは仲良し、ウラでは修羅場、収録が終われば罵倒の嵐!こんなやつとコンビなんて絶対無理、でもオンエアは待ってくれない…!プロ根性で世界をダマせ!第26回電撃小説大賞、堂々の“大賞”受賞の青春声優エンタテインメント、NOW ON AIR!!

普段はギャルな女子高生、放課後は元気可愛いアイドル声優「歌種やすみ」として活動中の佐藤由美子。オーディションに落ち続けて焦り気味の彼女が抜擢されたのは、ラジオ番組のパーソナリティだった。同い年で人気急上昇中のおっとり可愛い実力派声優「夕暮夕陽」とコンビを組むと聞いて楽しみにしていたのだが、スタジオで彼女を待っていたのは同じクラスのいけすかない陰キャ・渡辺千佳で…!?

犬猿の仲な女の子二人のお仕事&相棒モノ。

微妙に人気の振るわないラジオを盛り上げるため、リアルではむしろ仲の悪かった二人が少しずつ仕事以外のプライベートでも繋がりを持つようになっていく。最初は間接的にお互いを探り合うようなところから始まって、学校帰りに買い食いしたり、一緒に遊びに行ったり、お泊りしたり…と、徐々に関係は親密になっていく。また、仕事の上でも公開録音イベントをやったり、ラジオをきっかけにセットでアニメ番組の主演が決まったり…様々な面で正反対の二人が繰り広げる異文化交流的なやりとりが微笑ましかった。

「声優」という仕事にどこまでも真摯に向き合う千佳に憧れながら、人気声優への道を着実に歩む彼女と落ち目の自分を比べてときどき卑屈になってしまいそうになる由美子。そして、「アイドル声優」として周囲を惹きつけていく由美子に憧れながら、彼女の実力が(由美子自身からも)過小評価されていることに内心憤る千佳。正反対の二人がお互いの持っていないところに憧れ、かけがえのない親友として絆を育んでいく姿にニヤニヤが止まりませんでした。同時に、人間として、声優として──お互いに出会わなければ変われなかったであろう変化を遂げていく姿が印象的でした。

千佳が最初から最後まで由美子に対して「あなたのそういうところ、本当に嫌い」って何度も言うんですけど、その言葉が回数を重ねる毎にどんどんニュアンスが優しくなっていくのがたまりませんでした。特に終盤なんか完全にただの愛情の吐露にしか聞こえなくて、なんなんですかね……最高じゃないですかね……。

ふたりの裏で進行する、不穏な影。

一方、『夕暮夕陽のファン』のクラスメイトが、ひょんなことから彼女たちの生活圏が自分とすこぶる近いことに気づき、その正体を探り始める。ラジオ番組での発言やSNSにアップされた写真から少しずつ彼女たちの正体が絞り込まれていって…という展開に、ふたりが仲良くなっていく様子にニヤニヤする反面で炎上や身バレの危険も気づかずリアルでの写真をアップしてしまうその無防備ぶりにハラハラしてしまった。そもそも「同じ学校のクラスメイトのアイドル声優ふたり」ってコンセプトだけでもかなり個人情報の切り売り状態だと思うんですけど、割と周囲もラジオ番組を盛り上げるために更に彼女たちに個人情報をさらさせていくスタイルなのでコワすぎるんですよね。いやほんとこれ誰か、ツイッターだけでも更新前に第三者の大人がチェックする体制とか作れなかったの……普通に考えて危ないでしょ……。

かくして夕暮夕陽の大役抜擢とラジオ打ち切りという2つの連絡を受けてギスギスしていた二人に降りかかる、スキャンダルと身バレの危機。「炎上」状態になり、限界まで追い詰められてしまった千佳がそれでも由美子だけは守ろうと精一杯抗う姿と、そんな千佳を救おうと声優生命を掛けて奔走する由美子の姿が熱かった。千佳の居ない場所で彼女の居場所を守るためにこれまで隠してきた本音をぶつける由美子の姿に泣いてしまうし、そんな彼女の想いに対するアンサーとして、千佳が返した「〜本当に嫌い」がもう、二度目なんですけど、完全にただの愛情の吐露なんですよね…最高ですね……。

色んな物を脱ぎ捨てて、掴み取ったラストが印象的

元気可愛いアイドル声優やってるけど、本当は気の強いギャルな由美子。おっとり可愛いアイドル声優だけど、本当は根暗で地味で毒舌な千佳。アイドル声優として作ってきた偽りのキャラクターを捨てて「本来のキャラ」で最大の窮地を乗り越えていく姿が印象的でした。そして二人で一緒に、新たな高みへと一歩踏み出すようなクライマックスに目頭が熱くなってしまう。

お仕事モノとしても女の子同士の相棒もの・友情モノとしても本当に面白かった!!思い切り本来のキャラを出してしまった二人が今後声優としてどう活動していくのか。正体バレしてしまった学校での関係は…というのもきになるし、続巻も決まったようなのでそちらも楽しみにしていきたいです。

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アルバート家の令嬢は没落をご所望です2

さき
 

表向きは才色兼備の大貴族の令嬢、本性はコロッケ好きで変わり者のメアリ・アルバート。従者のアディは唯一の理解者で、いつも一緒だった。実はアディはメアリにずっと片想いしているけれど、メアリはまったく気づかない。そんな中、メアリがアディを置いて留学することになって!?「どうか俺だけを、一人の男として隣に置いてください」長年のアディの想いは実るか否か!?爆笑胸キュンラブコメ、見逃し厳禁の第二巻!!

ゲームの通りに没落を目指していたはずなのに、なぜか没落フラグを回避してしまったメアリ。それでもいつか北の大地で渡り鳥丼屋を開く日を夢見て、経営学を学ぶため隣国に留学することに。従者・アディと離れ、一人でやってきた大学で彼女を待っていたのは乙女ゲーム続編のヒロイン・悪役令嬢「達」で…!?

主人公無関係の所で繰り広げられる転生令嬢達の闘い

乙女ゲーム続編のヒロイン・リリアンヌと彼女のライバルにして没落予定の悪役令嬢・カリーナ。そして記憶を持たぬその他のライバル令嬢達。前世の記憶を持つ二人がメアリの横で繰り広げる闘いが地味に熱い。なぜリリアンヌは無理をしてまで難易度の高い「逆ハーレムエンド」を目指すのか。そして彼女と対立するような姿勢を見せながらどこか攻めが甘いカリーナの思惑は…。割と正統派に悪役令嬢転生モノやってるし、終盤はなかなか痛快などんでん返しが待ってるし……で楽しかったです。まあこの辺全くメインじゃないんですけどね!!

本編的にはメアリになつくライバル令嬢のひとり・気の弱い少女パルフェットとメアリの友情の萌芽がメイン。アリシアとは真逆の、メアリが「苦手なタイプ」である彼女が少しずつ精神的に成長していく姿と、次第に彼女をかけがえのない友人と思うようになるメアリの心の動きが印象的でした。悪役令嬢達の戦いは本当にメアリの関知しない、ストーリーの裏で話が進んでいて笑ってしまった。潔いな!!

急転直下なイチャイチャ展開にニヤニヤが止まらない!

アディ不在&乙女ゲーム続編のヒロイン達に囲まれた大学生活。そこかしこで無意識にアディの姿を探してしまうメアリの姿にニヤニヤしていたら…軽い口約束を発端に言質を取った周囲が一気に外堀を埋めていって、結婚までの展開が早いマジ早い。すったもんだでアディからの気持ちを聞かされ、自らの気持ちをようやく自覚したメアリがこれまでとはうってかわってお花畑状態でノロケ出すのが可愛いすぎるし、これまで何を言っても暖簾に腕押しだったアディが色ボケ状態のメアリに振り回されるのはなんかもう一周回って面白すぎる。アディは今回本当に強く生きてほしい。

アルバート家ほどの貴族のご令嬢が一介の従者に過ぎないアディと何の障害もなくくっつくのには正直ちょっぴり違和感があるんですけど、よく考えれば現在のアルバート家はこれ以上を望むまでもなく大安泰、完全なパワーバランス取れてしまってるわけで。ある意味「没落を目指していた」頃のメアリがここに辿り着くための種を蒔いていたとも言えるんですよね。「メアリがパトリックと結婚しなかったからこそ生まれた益があった」という考え方は実に貴族的で良いなあと思う。

パトリックがいい仕事した…(全方位に)

1巻からメアリとパトリックの「恋愛には至らなかったけど良い関係」、というのがとても好きだったんですけど、今回の二人の関係が本当に好きで好きで……。おそらく同じ視点で、同じ考えを共有できる随一の存在。でもお互いに選んだのは別々の人で、それを後悔するつもりはない。笑顔で「アリシアとアディがいなければ結婚していたと思う」と言い合う場面が、もうひたすらに好きすぎて……。

更に今回は、前巻ではあまり絡みのなかった気がするアディとパトリックの関係がとても美味しかったです。自称「アディ応援団長」を名乗り出したときには噴いてしまったけど、それに違わぬ活躍ぶりが眩しすぎる。この人実はアディの事大好きすぎない?そして式当日はすっかりアディを弄って楽しむポジション代表になってるの面白すぎました。

それにしても、結果論だけど今回は殆どの事件がパトリックを発端にして発生してたわけで、結構な人数が破滅してることを踏まえると色んな意味でこの次期王子が魔性すぎるな……。

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賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 痛 ~愛弟子サヨナと今回はこのくらいで勘弁しといたるわ~

 

担当編集は憤っていた。悪ノリで2巻が出てしまうこの『賢勇者』シリーズを王道ファンタジー路線に戻すべく、彼は時間遡行を繰り返し、未来を変えようとしていたのだ。しかし、何度繰り返しても本作の主人公・シコルスキは、賢勇者というカッコいい肩書きなのに定期的に全裸になる変態であり、ヒロイン・サヨナは昨今のトレンドに反して胸が極薄で、性格がバブみから遠ざかっていくのだった。サブキャラも全員反社会的なサムシングだ。「オレは、嫌なんだ!全文検索で卑猥な単語がジャンジャン引っかかる下品な小説を編集するのは…!うおおおッ!」果たして担当は未来を変えられたか!?その答えは今、君の手の中にある―。

生き別れの姉を探して旅に出て、しばらくして再びシコルスキの元に戻ってきたサヨナ。賢勇者の元には今日も名うての変態達が依頼を持ってきて……。

相変わらず疾走感のあるキレッキレなギャグが最高。

一癖も二癖もある「依頼人」達の変態ぶりは磨きがかかっているし、KADOKAWA及びその関係者にひたすら喧嘩を売っていくスタイルが相変わらずキレッキレでした。隠語として「KADOKAWA」が飛び交ってるのどう考えても悪質で笑ってしまう。

1巻では割と楽しめる話とイマイチな話があるように感じていたのですが、個人的には2巻は最初から最後まで面白かったです。「カクヨ村」の話とサヨナのお見合い写真が窒息するほど好き。その人今ストレートエッなんとかでKADOKAWAじゃなかった気がするんですけどいいんですか!?

前巻のノリを失わず、引きずりすぎない塩梅が絶妙。

前巻の存在だけで八行使うマスコットキャラのネタとかめちゃくちゃ好きだったんですけど、顔見せ程度の出番なのが逆に絶妙だなと思いました。それ以上出しすぎるとしつこく感じただろうし、かといって出てこなかったらちょっと寂しかっただろうなという。

「このネタまたやるかな?」「前巻でフラグっぽかったのどうなった?」みたいな前巻の読者の期待を裏切らず、かといってそこに囚われすぎずに新しいギャグをやっていく流れがとても楽しかったです。2巻の導入が1巻のエピローグと完全に一致するのには笑ってしまった。そして最終章でこれまで登場した変態達が一同に会するという展開が完全にテンプレになってるじゃないですかやだー!!!!(最高)

それにしても、予想外に2巻が出た結果「このシリーズ2巻で打ち切りだから!」「前巻の○ページを見ろ!!」という定番の悪ノリネタが生まれてしまったのがじわじわと趣深いな……。

少しだけ近くなった師弟関係が印象的

復讐のためにシコルスキの弟子となり、一度は彼の元を飛び出し、再び戻ってきたサヨナ。今巻は本願を果たしてしまった彼女が再び自分のやりたいことを見つけるまでの物語でもあります。ちょっとずつ変態達の色に染まりつつも需要に対して足りてなさすぎるツッコミとして頑張るサヨナと、そんな彼女に色々無理難題を突きつけつつ大事な時は彼女の選択を尊重しようとするシコルスキの、以前より少し縮まった関係性が良かったです。

自称「2巻打ち切り」とのことだけどまた(作者と編集部の)気が向いたら続刊出してほしいなあ。

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