“しろ” の検索結果 | ページ 8 | 今日もだらだら、読書日記。

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悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました2

 

「わたくしが続編のラスボスで生徒会長・ゼームスも飼えば、クロード様の破滅ルートが回避されるわね?」ミルチェッタ公国で起きた魔物の反乱で、皇太子として窮地に立つ魔王・クロード。乙女ゲーム世界に転生した“悪役令嬢”アイリーンは、魔物と人間が敵対する続編シナリオが開始されたと感じ、婚約者の破滅フラグを折るべく、2の舞台・ミーシャ学園に男装して乗り込むけれど!?悪役令嬢、第二のラスボス攻略なるか!? (「BOOK」データベースより)

乙女ゲーム『続編』のシナリオを舞台に、アイリーンが続編の攻略キャラたちを巻き込みつつ旦那様から逃げ回りつつ、事件の解決(=ラスボス攻略)を目指すシリーズ第2巻。「ゲームで置きた事件の記憶」を足がかりにしつつ、前作ラスボスであるクロードや悪役令嬢アイリーンが生存していることで大幅にシナリオの変わった「現実の事件」を紐解いていく展開が面白い。前巻と違って「破滅目前の悪役令嬢」というバッドステータスのないアイリーンの持ち前の行動力と破天荒な男前っぷりが、男装していることも相まって輝くこと輝くこと。

例によってゲームの主人公側が悪で、悪役令嬢側が善という展開なんですけど、ゲームヒロインのセレナよりもむしろ味方であるはずの魔王様のラスボス感がすごい。旦那様の目をかなりの力技で切り抜けていくアイリーンと、確信犯か偶然なのか紙一重な行動で彼女を追い詰めるクロードの駆け引きがめちゃくちゃ楽しくて、始終ニヤニヤしてしまった。嫁バカを炸裂させつつも嫉妬深くドSなクロードとそんな彼にベタ惚れだけど旦那様の「お前を泣かせたい」系の発言には恐怖しか感じないアイリーンの恋の駆け引きが楽しすぎました。特に電書版書き下ろしでのやりとりは必見すぎるので電書派じゃないひとも読んで欲しい。

そして、そんなクロードの大暴れっぷりやらなにやらで割を食っている感のあるのが今回の敵役であるセレナ。前巻も敵側の小物感が結構すごかったんですけど、今回のセレナはもはや障害にすらなってない感があって、クロード&アイリーンの手のひらで踊らされてしまった感。セレナ本人も無自覚のまま、憎きアイリーンによって憧れのリリアの「足かせ」として仕立て上げられてしまう姿はどこか滑稽であり、身内には寛容なアイリーンの冷徹な策略家としての一面を見ているようで印象深かったけど。

前巻で登場したゲーム正ヒロイン・リリアが前世の記憶を取り戻したことで、物語は二人の「転生者」によるゲーム知識をフル活用した人材獲得合戦の様相に。今回は試合で負けて勝負に勝つみたいな状態だったけど、その間にリリアもしっかり地盤固めは行っているので今のところ戦力は互角か。乙女ゲームのシリーズ作品はまだあるようだし、王位継承権争いもセドリックにも十分目はあるわけでまだどう転ぶかはわからない。どうなっていくのか続きが楽しみです。


錆喰いビスコ

 

すべてを錆つかせ、人類を死の脅威に陥れる“錆び風”の中を駆け抜ける、疾風無頼の「キノコ守り」赤星ビスコ。彼は、師匠を救うための霊薬キノコ“錆喰い”を求め旅をしていた。美貌の少年医師・ミロを相棒に、波乱の冒険へ飛び出すビスコ。行く手に広がる埼玉鉄砂漠、文明を滅ぼした防衛兵器の遺構にできた街、大蛸の巣くう地下鉄の廃線─。過酷な道中で次々に迫る脅威を、ミロの知恵の閃きと、ビスコ必中のキノコ矢が貫く!しかし、その先には邪悪県知事の奸計が?。第24回電撃小説大賞“銀賞”に輝いた、疾風怒涛の冒険譚! (「BOOK」データベースより)

謎の災害によって文明が滅び、錆びに犯された日本を生きる、お尋ね者の「キノコ守り」の少年・ビスコと、心優しき医師の少年・ミロ。接点のなかった2人の少年(と一匹の蟹)が死の病に犯されたそれぞれの家族を救うため、幻のキノコ「錆喰い」を求めて冒険の旅に出る。

旅の中で様々な出会いがあり、そこでの出会いを通して2人が人間的にも戦士としても成長していく姿がめちゃくちゃ楽しい。並行して、最初は利害関係の一致から旅を始めたくらいの関係だったミロとビスコが、徐々にお互いに背中を預けあえるかけがえのない相棒になっていく姿が印象的でした。

もう序盤からびっくりするくらいミロくんがヒロインをしているんですけど、同時に女の子のような見た目でありながら誰よりも強靭な精神を持っているのも彼なんですよね。どんな状況でもその想いを見失わず自分を貫こうとする姿があまりにも強く、だからこそ、終盤でその意志が敵の手によって無理矢理に砕かれようとする展開に惹き込まれてしまった。

そういう意味ではむしろヒロインはビスコなのかもしれない……?ワイルドを気取っているけど情に厚くて誰かのピンチを見過ごせず、仲間を傷つけようとする相手にはすぐ激昂してしまう姿はまさしく少年漫画の主人公なんですけども、終盤は完全に姫姉様(ナウシカ)みあった……。などと考えていたらツイッターで「アクタガワ(蟹)がヒロインでは!?」とツッコミが来たのでもう3人で結婚したらいいんじゃないかな(提案)

終盤、キャラクターたちがびっくりするくらいに「愛してる」を連呼する。その「愛」という言葉について、あとがきでは「憎悪や執着も含めて誰かを強く想うこと」と説明されいて、そう言われてしまったら確かに最初から最後まで愛しかない物語だったなあと。主人公サイドも敵サイドも含めて、誰もが誰かへの譲れない「強い想い」を持っていて、それを暑苦しいくらいにぶつけ合うクライマックスにただただ圧倒されました。

物語の「続き」を想起させつつも一冊の中にこれでもかとばかりにぎゅうぎゅう詰め込んで、なおかつ一旦綺麗に終わらせてくる感じが良い意味で新人賞受賞作という感じで、劇場で見る長編オリジナルアニメーションのような濃厚な一冊でした。面白かった……!!

それにしても、こんなに男臭くて大丈夫か?っていうくらい熱い男たちの物語だったんですけど、ビスコを認めてからのパウーさん(ミロの姉)がえっちすぎるのでワイルド系でえっちなお姉さんが大好きな人は早く読むんだ。


彼女のL 〜嘘つきたちの攻防戦〜

 

遠藤正樹は嘘がわかる特異体質で、川端小百合は決して嘘をつかない少女だった。そして学校のアイドル佐倉成美は、常に嘘をふりまく少女だった。ある日、川端と佐倉の共通の友人が亡くなってしまう。自殺という噂だったが川端は「彼女は殺された」と言い、佐倉も「彼女を追い詰めたのは私」とうそぶく。真相を知りたいと川端に頼まれた正樹は、その力で誰も知らない佐倉の心の内を知ってしまい―。願いと嘘と恋が交錯するトライアングルストーリー。(「BOOK」データベースより)

とある少女の死の真相を探るために、苦手としていたクラスメイトの佐倉から話を聞くことになった遠藤正樹。話を聞くうちクラスメイトたちに見せる学園のアイドルとしての彼女とは少し違った彼女の一面に触れることに──嘘を見抜けるがゆえに嘘が嫌いな少年と、嘘をつかない少女と、嘘つきな少女が織りなす青春ミステリー。

嘘つきの佐倉と嘘をつかない川端、間逆な二人の少女と接するうちに、潔癖症的ですらあった遠藤の嘘に対する見方が変わっていく。それを許容し、使い方によってはそれは悪いものではないのだと。優しい嘘つきもいるのだと。と同時に、小さな嘘がきっかけで距離をおいてしまった父親との関係を再構築していく。

最後の最後に暴き出された「真実」はとても悲しい結末だったけど、二人の少女がその事実を彼女たちなりに受け止めて、前に進もうとしていく姿が印象的でした。誰も彼もが相手を思いやり、それゆえにすれ違っていく姿がやるせなく、それでもどこか温かい気持ちにさせられる。とても優しい「嘘」のお話。

ミステリーとしても青春ストーリーとしても家族の物語としても大変おもしろかったのですが、主人公と二人の少女の恋愛とも友情ともつかない感じの、なんとも言えない距離感がまたとても好きです。というかもうとにかく佐倉が可愛すぎてツライ。一行でまとめろといわれたら「佐倉が可愛かった」になるくらいに可愛い。イラストの凛とした表情も、状況によってころころ変わっていく変幻自在で小悪魔な姿も、そして最後の最後で覗かせる彼女の本当に表情も、最高に可愛かった。いや川端も可愛いんですけれども!

とっても面白かったです!


ファイフステル・サーガ2 再臨の魔王と公国の動乱

 

「許せないわ。わたしたちの結婚式であなたを殺すなんて」フライスラント軍の撃退に成功したカレルだが、その武勲とセシリアとの結婚を快く思わない何者かの暗殺が計画される。「こうなったら未来を変えるべく行動するしかない」犯人の手がかりを求めてカレルはドワーフの国へ向かうが、黒幕の策略はすでに二重三重に仕掛けられていた!そして公国に広がる動乱は、二人の英雄を引き合わせることに!「カレル、おまえにはせいぜい苦労してもらうとしよう。なに、少しぐらいなら手伝ってやる」カレルとヴェッセルの邂逅は歴史を大きく動かす―!(「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

フライスランドとの冷戦状態が続く中、自分がセシリアとの結婚式の最中に毒殺される未来を見てしまったカレル。僅かな手勢を連れて調査を始めるが、見えてきたのは領内の「身内」の裏切りで……『自分が死ぬ未来の夢を自分と伴侶に見せる』という能力を駆使して、未来の魔王との戦いに備えていくシリーズ第二巻。

前回は中ボス的な立ち位置だったコルネリウス隊長の味方としての序盤の無双っぷりが大変良かった。前巻に散々(夢の中で)殺されまくった相手というだけにその実力は折り紙付きで、それが味方というだけでも頼もしくて仕方がないのですが、小柄で寡黙なヒットマンで戦いとなればぶっちぎりの強さを発揮するけど○○好き……とか、色々設定盛りすぎじゃないですかねーー!?ヴィルの件で、後ろから威圧を掛ける姿に思わずニヤニヤしてしまった。

一方、戦士としてはそこまでの強さではないカレルの「将」としての器が試される後半。前巻と違ってセシリアの「夢」による助けもなくてあっちもそっちも敵だらけの中、倍の量の敵軍を蹴散らしていく展開が爽快でした。勝つだけなら練度もあってそこまで難しい話ではないけど、いかに「味方」に損害を与えずに勝つかという視点は一軍を率いる将としての視点だなあと。なにしろ、未来の魔王との戦いを考えたら今目の前にいる敵だって「味方」になる訳ですもんね。

などといろんな建前もあるんだけど、結局は「セシリアを悲しませたくないから」犠牲を少なくする方向で策を練るカレル、実に思春期の青年という感じで良いですよねえ。すっかりセシリアの膝枕に味を占めてしまった彼の童貞臭い発言がイチイチ可愛い。一人寝の夜を寂しがるセシリアの姿にも思わずニヤニヤしてしまって、とても世界の未来を賭けた政略結婚からはじまった関係とは思えないラブラブっぷりが最高でした。そして結婚式の後の初夜のやりとりがもう可愛すぎて……初夜の詳細早くお願いします!!!!

そして今回なんといっても欠かせないのは1巻から中心人物として描かれてきたカレルと、もうひとりの主人公ともいうべき摂政ヴェッセルの邂逅。もういろいろな意味でニヤニヤが止まらない展開だったのですが、ヴェッセルの方も留守を開けている間に話が大きくなって色々大変なことになっているような!?これはいろいろな意味で3巻が楽しみ。


転生先が少女漫画の白豚令嬢だった2

 

少女漫画の白豚令嬢に転生したブリトニーは、努力の甲斐あってダイエットに成功!リカルドとの婚約話も再浮上し、このまま処刑フラグを回避して人生順調かも!?―と思いきや、訪れた王都は甘い誘惑たっぷりでリバウンドの危機!!しかも自分を処刑エンドへと導く悪役王女に気に入られてしまい?糖度120%増(当社比)のダイエットラブコメ!!(「BOOK」データベースより)

ダイエットを重ねた結果、無事に40kgのダイエットに成功した──となったのもつかの間、ストレスやらなにやらであっさり20kgのリバウンドを果たしてしまったブリトニー。王都で王女主催のお茶会に出席するため、ふたたびダイエットするよう厳命されてしまって……二か月後までに、見事体重を取り戻すことができるのか!?

1巻であっさり「白豚令嬢」を返上してしまい、どうなるのかと思っていたらリバウンドが待っていた……ストレスで無意識に甘い物とか解りすぎるしとてもつらい。しかしこれ、このパターンを使えばいくらでも主題をダイエットに出来るな!?(名推理)

前巻に引き続き、元婚約者であるリカルドとの関係がもどかしくて好き……まだ自覚までには至っていないブリトニーがストレスでリバウンドしてしまうのとか、ほんと可愛すぎた。無自覚だった2人がお互いに気持ちを自覚しあって、段々ラブラブになっていくのにニヤニヤするんだけど、あっさり気持ちが通じた分、逆にどんどん外部で障害が乱立していく感凄い。というかリュゼと言いマーロウといい、これは恋愛フラグも乱立するパターンじゃないですかね!?ルーカスは別のフラグを感じるけどな!!

破滅フラグを回避するために「厄介事」には近寄らないと考えていたブリトニーが自らの生い立ちを重ねて、忌憚していた悪役王女アンジェラの孤独に共感し、寄り添っていく。並行して、記憶を取り戻す前のブリトニーも確かに自分自身なのだと受け入れていく流れがとても良かった。関わらないで済むようにしようという後ろ向きな方向性から、少しずつ「自分が関わることで良い方に変えて行けたら」と前向きになっていったのが印象的でした。

ブリトニー自身が絶妙にメインキャラではない分、転生元で読んだ少女漫画のストーリーが適度にしかネタバレしてこない感じの匙還元も良かった。少女漫画の世界観的にはむしろこれからが本番で、どうなっていくのか楽しみです。

それにしてもブリトニーと接して少しずつ良い方に変化していくアンジェラ、ちょっとプライドが高くておしゃれに敏感で友達想いって、普通に可愛いんですけど……。


腐男子先生!!!!!2

 

イベント会場で残念な出会いを果たした腐女子JK・朱葉(神絵師)と腐男子先生・桐生(信者)。イケメン生物教師としてのオンの顔と、残念なオタクのオフの顔を使い分けながら朱葉とオタ活に勤しんでいた桐生だったが、世はまさに新学期。図らずも桐生は進級した朱葉の担任になってしまい…!?「早乙女くんの人生からブロックされたら、すごく、困る!」朱葉の熱烈なフォロワーも学校に入学し大波乱のオタクラブコメ第2巻!!!!!(「BOOK」データベースより)

同人活動をしている女子高生と、彼女の面倒くさいファンだったイケメン教師(※隠れ腐男子)が繰り広げるオタク系ラブコメ。1巻からめちゃくちゃ間が空いたのでこれは2巻が出ないコースかなおのれエンブレと思っていたのですが……続きが出ました!!

序盤のオタクネタがとにかくキレッキレで、今リアルタイムでオタクしてる私がめちゃくちゃ楽しい。二次創作や腐女子あるあるを盛り込みつつも、ここ数年をオタクとして生きてきた人ならピンとくるあのネタこのネタがこれでもかというほど詰め込まれているのが楽しくて仕方がない。特にここ4年ほどアイドルマスターSideMのオタクをしているので、私はとある腐男子先生の国民のチョコレートの日直前休日の話でわかりすぎて死んだ。っていうか現地に居た。分かる人は是非原作該当部分を読んでから一覧に戻って投稿日時を見て欲しい。……ねえこれリアルタイム過ぎない!?Web小説ってすごい!!

どちらかというとオタク男女のドタバタが中心だった前半から、朱葉の進級が近づくに従って少しずつラブコメ比重が高くなって来る気がする。トリプルフェイスで執行するけど。信者から粘着される話はリアルで想像すると怖すぎるんだけど、読んでいくと最終的に一番ヤバイのって先生じゃない!?ってなるの本当に不思議ですね……なんでこの人、朱葉のフォロー関係からリプライまで朱葉自身よりも把握してるんだろう。いっそ粘着犯の言い分の方がある意味「オタクあるある」的だったな!!(普通はそこからリアル粘着はしないけど)

三年生になり、ただの「同じ学校の教師と生徒」から「担任と教え子」にランクアップしてしまった二人。一見距離が縮まったようにも見えるけれど、むしろ以前よりも不自由になった事の方が多くて。物語の舞台も放課後の生物準備室から教室と部室に。朱葉の大ファンである後輩の咲やリア充クラスメイトの都築を加え、少しずつ変化していく二人の関係が印象的でした。

2巻ラストを飾るカラオケボックスのエピソードはなろう版と商業版でオチが違うと聞いて、なろうの該当箇所を読み直しに行ったのですが、あっちの話もめちゃくちゃ好きなので単行本からの人は是非原作版も読んでください。該当箇所は61〜62話です。

書籍版は口から砂糖吐く感じで大変けしからんのですけど!!
「早乙女くんに向けて歌うよ」のあの遠回し感も!!
「そういうプレイ」って嘯くのもすごい好きで!!!
(ところで早乙女くんに向けて歌うやつの元ネタがわからない…)
↑これの話言及いただきましたありがとうございます……某スケートアニメだそうです。

余談なのですが電子書籍版特典のおまけ小説がすごく良かったです。リアルでの付き合いがある気のおけないオタク友達の家で泊まりで遊ぶってまじこういうノリになりますよね……空気感の再現度が高すぎる。


タタの魔法使い2

 

一つの高校が突如異世界に消失した衝撃の「ハメルンの笛吹事件」から三年後、新たな学校消失事件が発生する。私立折口大学附属高校の1100名を超える生徒たちは、タタの魔法使いの妹カカにより異世界に転移させられる。地下に出現し、巨大なダンジョンと化した校舎で始まる一ヶ月間の異世界生活。「私達の夢は、ここで叶う」「私は、みんなと協力しあいたい」『将来の夢』の力でカリスマ生徒会長となった藤堂瑠奈率いる生徒会執行部と、二年三組の無敵のリーダー・夜木秋の活躍により日本への帰還を目指す生徒たち。生存者数、推定77名。壮絶な異世界サバイバルが再び幕を開ける。(「BOOK」データベースより)

タタの妹を名乗る魔法使い・カカの手によって再び学校消失事件が発生。異世界の地中に埋まる形で出現した校舎は巨大な地下迷宮と化す。「一ヶ月後に元の世界に戻れる」というカカの言葉を頼りに、千人を超す生徒たちの一ヶ月間の異世界籠城サバイバルが始まる。

ルポタージュという形式を取った群像劇のようでありながら、物語を最後まで読んで改めて考えると、全てが二年三組のリーダー格である「夜木秋」と彼女の周囲を巡る知人友人達の物語として収束していくのが面白かった。ルポタージュという形式で不用意にわざと先の展開を見せつつ、少しずつ事件の本当の輪郭が見えてくる語り口が相変わらずおもしろかったです。

弘橋高校での事件の詳細はほとんど世間に認知されず(それどころかフィクションとして虚飾された物語が広まってたりする)、教訓が見事に生かされないので、読んでる側としてはとてももどかしい気持ちになる。というか、事件後の生徒たちの行動といいその後の展開といい、あらゆる意味で1巻とは対称的な流れになってるのが印象的でした。あちらで上手くやれていた事が、こちらで上手く出来なくて致命傷になったりしてるんだよな……。そしてこれ完全に3巻に続く流れ(?)のように感じるのだけど2巻の主要人物はのきなみ抜けた後で、色んな意味でどうなるんだろう…。

1巻で感じた語り手の「身内贔屓」感は事件が変わったことで無くなったけど、今回は随所にマスコミ叩きやブラック企業disみたいな内容が混入してくるので、これが読み口なんだろうけど読むのに結構体力要る。この雑多感、NGワードやミュートなしで雑に1000人くらいフォローしたツイッターのホームTL開いたときみたいで、逆にこういう読み口を紙の物語で再現できるのはすごいなあと。

それはそうと最後の最後でダークホースな人が大活躍するのとか、超好きです。
帰還後のクラスメイトの反応もわかるすぎるわw


魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 2

 
COMTA

相変わらず、居城に引きこもりながらも不器用な共同生活を続けているザガンとネフィ。そんな彼らのもとに、新人魔王の力を奪うべく、全身を鎧で覆った魔術師が襲撃してくる。いつものように撃退したザガンだったが、鎧の中から出てきたのは竜の少女・フォルだった。一方教会では、新たな魔王の出現に対し、竜を殺したこともあるという逸話を持つ聖騎士が赴任してきており―。果たして不器用な魔王と奴隷のエルフは、にぎやかになった周辺にめげずに距離を縮めることができるのか!?(「BOOK」データベースより)

「魔王」になってしまったザガンは魔王の地位を狙う魔術師達を蹴散らしたりネフィとイチャイチャしたりしていた。そんな二人のもとに、同じ魔王候補だった魔術師・ウォルフォレが襲撃してくる。厚い鎧に身を固めたその下から現れたのは、ドラゴンの少女だった。同じ頃、ザガンを庇って謹慎中の聖騎士・シャスティルの元には曰く付きの聖騎士がやってきて……。

まだファーストキスもまだだというのに子供が出来てしまった……。

相変わらずというかむしろ加速するザガンとネフィのイチャコラっぷりにニヤニヤがとまらないのですけど、今回は竜の子・フォルを加え、家族の情に恵まれずに育ったザガンとネフィが少しずつ『家族』として絆を築いていく姿がとても微笑ましい。

魔王カップルがすっかり家族の団らんを楽しむ中、裏切りの聖騎士となったシャスティルは……ザガンの反応、聖剣がなかったとかそういうアレコレはあるとはいえ大変に酷い。真っ直ぐな彼女が決して綺麗なだけじゃない教会の中で追い詰められていく姿にハラハラし、逃げ込んだザガンの城では聖騎士に親を殺された経験を持つフォルからすっかり敵視され……と、踏んだり蹴ったりの中、めげずに必死に自分の力で活路を開こうとしていく姿が熱かった。

……んですけど、正直今回の一番の萌えキャラ、ラー○ァエルさんじゃないですか!?ええ〜もうそんなごっつい顔で可愛いことされたらときめいてしまうよ……可愛すぎる……無理……。ちゃっかり全てが終わった後の自分の道まで確保してるのしっかり者すぎるし、ザガンを超えた「顔怖くて損してる」枠の登場があまりにも楽しすぎて。もうほんと終盤の展開ではきゅんきゅんせざるをえませんでした。

あと、出番自体は控えめだけど悪友だけどとても義理堅いバルバロス、あまりにも可愛いがすぎる。お前そういうとこだぞ!!(好き)


乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… 2

 

前世でプレイした、乙女ゲームの悪役令嬢カタリナに転生した私。未来はバッドエンドのみ―って、そんなのあんまりじゃない!?破滅フラグを折りまくり、ついに迎えた魔法学園入学。そこで出会ったヒロイン、マリアちゃんの魅力にメロメロになった私は、予想外の展開に巻き込まれることになって―!?破滅エンドを回避しようとしたら、攻略キャラたちとの恋愛フラグが立ちまくりました?悪役令嬢の破滅回避ラブコメディ第2弾!!(「BOOK」データベースより)

死ぬ直前にプレイしていた乙女ゲームの世界の、ゲーム内でバッドエンドしか用意されてない悪役令嬢・カタリナに転生してしまった主人公。周到に準備を重ねてきたが、いよいよゲームの舞台となる魔法学校に入学。ゲームのヒロインであるマリアと邂逅を果たす。

それでそのゲーム本来の主人公であるマリアちゃんがカタリナにピンチを救われてゾッコンLOVE(死語)になってるの、もはや知ってたーーー!!!ってレベルなんですけどもはや予定調和のレベルで身も蓋もなくカタリナシンパと化していくマリアちゃんにニコニコしてしまう。

むしろまだだいぶあるのにマリアがオチるの早すぎない!?大丈夫!?って心配してたらまさかの人たらし力だけではどうにもならない「隠し攻略キャラ」が現れて大ピンチに。

絶体絶命のピンチを救うのが、序盤でそれとなく存在を匂わせていた転生前の親友「あっちゃん」で。今まで殆ど役に立ってなかった「乙女ゲームの世界である」ということ、親友から勧められてはじめたゲームだったという設定がここにきて生きてくるのが熱い。一件落着後の、いかにもカタリナらしい決着の付け方も良かった。

ところでなろう版はここで完結、ストーリーも性別問わずの逆ハーエンドできれいすぎるくらいに終わってるんだけど、ここからどうやって進んでいくんだろう。2巻の時点で結構、一昔前に流行った主人公総愛され同人みたいな懐かしいノリが強くなってきたので3巻以降マンネリ化の心配をしてしまう。6巻で(ゲームの)次回作の話が出てくるらしいのでそこは凄く気になるんだけど、2巻であまりにもきれいに終わってる感じあるので、悩むなあ。


後宮天后物語 〜新たな妃にご用心!?〜

 

「明晩から、陛下がこちらにお泊まりになられます」帝位を簒奪した志紅の目的を探るべく、後宮脱出計画中の雛花に突如告げられた同衾宣言。実は、志紅が新たに迎える四妃の中の一人に、魔物が擬態しているというのだ。志紅が妃を娶るのも複雑だが、警護のために一緒に寝るのも…と心臓がもたない雛花の前に現れたのは、妃とは名ばかりの面々で!? (「BOOK」データベースより)

監禁!介護!待機児童!この後宮がヤバい2018!!(※以上あとがきより抜粋)

新しい妃を迎えると聞いて目的が魔物退治とはいえ複雑な気分になっていた雛花の前にやってきたのは、まだ年端もいかない幼子達で……!?というお話。老女の次は幼女と頭を抱え、更に親と引き離された子どもたちの世話に振り回され、夜は今は対立しているとしてもまだまだ恋心は健在の志紅と同衾することになってテンパる(むしろ実は志紅もテンパってる)雛花の姿にニヤニヤが止まらない。

老老介護(※むしろ世話されてる説)とお泊り保育でてんやわんやしながらも、持ち前の嫉妬力(観察力)で事件を解決していく展開が相変わらず楽しいのだけど、それ以上に周囲のためならと自分を投げ出してしまう雛花の危なっかしさが印象的なお話でした。それでさえ「天后」という地位の時点で身売りしてるようなもんなのに、そりゃあ志紅も珞紫も必死になって阻止しようとするよな。「雛花を大切に思っている」ことだけは信頼できるという一点のみで成立している、志紅と珞紫の共闘関係が最高に好きです。

それにしてもこんなに全体的な設定は重いのにめちゃくちゃ笑えるのずるいというか、天后関係というか女媧まわりの話はますますうさんくさくなってきたというか、ほんと3巻酷いところで切れましたよねえ!?続きが気になりすぎて早く3巻出て欲しい……。