伝説の勇者の遺物を求めて、ローランドの同盟国・ルーナ帝国にやってきたライナとフェリス。悪魔の呪いを受けたという村を訪れた二人はひょんなことからライナと同じ『複写眼』を持つ少年を助けることに。一方、シオンはいまだに大きな力を持つ反国王派の貴族たちへの対応を迫られていて……。
忌破り追撃部隊の「唯一の癒やし」具合がすごい
ローランドの同盟国・ルーナ帝国で出会った『複写眼』の子供アルアを通して描かれるライナの過去がとてもしんどい。回想シーンもそうですがリアルタイムで展開される残虐シーンにライナが自身の過去を重ねていく(=本人も同じ体験をしたことがある)ところとかほんとエグいんだよな……小説だとライナ本人の視点から物語が描かれるものだから余計しんどかったです。このへんはアニメで先の展開を知ってるぶんあまり語れることがないんですが……。今巻はライナ&フェリスの方もローランド側も全体的にしんどい展開で、時折展開されるライナとフェリスのテンポのよい掛け合いの他には、ローランドに帰還して短い休みを取ってる忌破り追撃部隊のミルク達が唯一の癒やしまであった。というかシオンさんひょっとして完全に好奇心でミルクにライナ追いかけさせてたりする?ラブコメを見たいのかな?お見合いを勧めてくるお節介な田舎のおばちゃんか何かかな?
フロワードとクラウの関係性いいですね!!
一方のローランド、国内もまとめきれないうちに国外からガスタークという国が周囲の国を併合しはじめて彼らとの衝突は避けられないであろう状況に。シオンとフロワードは反対派の貴族たちの大多数を一箇所に集めて粛清することで国内をまとめようと考える。ローランドの貴族どもにおかれましては本当に1巻からろくなことをしてないことが散々語られてるので「目の上のたんこぶがやっと!!」という気持ちになってしまうんですが、大きな犠牲を払って行われた粛清は思わぬ伏兵の活躍により妨害され、完全に成功したとは言えない結果に終わってしまう。正体不明の伏兵の手によって自らも生命の危機に陥ったフロワード。そんな彼を助けに来たのが、普段から彼のことを一番嫌っているはずのクラウでした。この二人の、「シオンが居なければ互いの人生に深く関わり合うこともなかっただろう(けどシオンがいるから関わらざるを得ない)」みたいな関係性めちゃくちゃ良いですね……シオンに対する役割や支え方・国を良くするための考え方が真逆であることも常日頃から冷戦状態な所もなかなかポイント高かったんですけど、クラウに助けられたフロワードがまさか自分が助けてもらえると思わなくて冷静を装いつつも内心ちょっと困惑している風なのとかたまらなかったです。でもこいつら、シオンが間にいなかったら殺し合っていてもおかしくなかったと思うんですよね。これからももっと積極的に絡んでほしい……。
それにしてもアルアの件にしてもフロワードの大粛清にしても、これだけ派手なお話やっておいてどう考えても今後への伏線でしかないよって終わり方するのがな……いやアニメで続きはざっくり知ってるんですけどこれ多分リアルタイムで読んでたら次の巻が待ちきれなくてソワソワしちゃうやつですよね……。