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今月のまとめと読了記録[2009年2月分]

2月に読んだ本は19冊でした。

2009年2月のページアクセストップ4


 
とらドラ9!
⇒感想

ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!
⇒感想

 
とらドラ8!
⇒感想

アクセル・ワールド
黒雪姫の帰還
⇒感想


ファミ通の新人さんの「ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!」と電撃の新人さんの「アクセル・ワールド」がそれぞれ2、4位でした。両方とも凄くオススメなので気になってる方は是非とも。先月の「これはゾンビですか?」といいやはり新人さんの作品の感想はみんな気になってるんだなあ。

とらドラ8、9巻の感想はアニメ始まって以来ずっとうちのアクセスベスト5内に残り続けているわけですが……アニメ本編もついに8巻の内容が終了して、特に先週はいろいろな意味で感慨深かったです。あと1ヶ月でアニメも終わりかーとか思うと…。

2009年2月に読んで面白かった本


さくらファミリア!3
⇒感想

とある飛空士への恋歌
⇒感想

ロスト・ユニバース4
悪夢 生まれる(⇒感想

雪蟷螂
⇒感想


祐太かこいいよ祐太。
とりあえず「さくらファミリア!」は祐太に萌えておけばそれでいいと思う。欝黒な杉井光も好きですが、コミカルな杉井光はもっと大好きかもしれません。そして皆がエリとかレマとかるーしーとかガブリエルさんとかいってる中、祐太萌えなんだぜ!

1巻に他の人々ほど熱狂できなかった分、身構えてしまっていた部分の多かった「とある飛空士への恋歌」はいろいろな意味で嬉しい誤算の多い物語だったなあと。何よりも主人公・カルエルの偉高々ヘタレっぷりというか、なんともいえないツンデレ具合が最高であったと……また主人公萌えか!!!

再読強化月間からは「ロスト・ユニバース4」。神坂一の悪趣味っぷりが全開な物語で、前半の愉快で気の良いキャラクターたちに感情移入すればするほどラストで欝れる仕様になっております。最終巻も嫌いじゃないけど、やはり4巻がいろいろな意味で最高であると主張したいです。

紅玉いづきさんの「雪蟷螂」はいろいろな意味で説明不要だと思う。これまでの2作の「人喰い物語」がツボに入るなら絶対ツボに入るという感じ。ロージアさんの生き様が鮮烈な印象を刻み付けていきました。

2009年2月の読了記録

例によってメディアマーカーの読了記録から。
今月から読んで感想書いてるラノベ系は除外してます。
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なんて素敵にジャパネスク3 人妻編

[著]氷室 冴子 [絵]後藤 星

様々な苦難を乗り越え、筒井筒の仲であった高彬となんとか結婚した瑠璃姫。しかし相変わらず高彬の生家・右大臣家では瑠璃姫の印象は最悪のようだし、これまで疎遠だった義母上までもが最近何故かやたらと口を出してきて、辟易する毎日。そんな中、高彬の乳兄弟・守弥の身分違いの恋人・煌姫を預かってほしいと頼まれた瑠璃姫だったが…
   個人的お気に入り度数
1巻からの念願だった高彬との結婚を無事に達成して、新シリーズ開幕なシリーズ(アンコール含め)第5弾。まだまだ波乱の新婚生活編。

ううむ、私が基本的に両思いになるまでのお話が好きというのがあるのかもしれませんが、瑠璃姫は妙に落ち着いてしまうし高彬はそれまであまり表に出してこなかった嫉妬深さを丸出しにしているし……でこれまでの4冊と比べるとイマイチ楽しめなかったかも。もろに4巻へ続く的終わり方をしているせいもあるかもしれませんが、やはり瑠璃姫の無鉄砲な活躍が無いと寂しいなあ。嫉妬心丸出しの高彬を見ていると守弥と瑠璃姫の一幕もなんだか必要以上にハラハラしてしまって、素直に楽しめないものがあるなあ。

波乱の種が色々なところに眠っているカンジなので、次の巻での波乱に期待。


続ジャパネスク・アンコール!

[著]氷室 冴子 [絵]後藤 星

乳兄弟の高彬が“物の怪憑き”と噂される瑠璃姫と結婚するのがどうしても気に食わない守弥。そんな折に吉野で静養中の瑠璃姫に関するとある噂を聞きつけた彼は、噂の真相を掴み今度こそ高彬に瑠璃との結婚をあきらめて貰うため、自ら吉野へと向かう。ところが崖から落ちて記憶喪失になってしまい…
   個人的お気に入り度数
ジャパネスク番外短編シリーズ第二弾。吉野で静養中の瑠璃姫が記憶喪失の守弥と出会うお話と小萩が瑠璃姫に仕えるきっかけとなったお話、そして京都に戻った瑠璃姫がついに高彬と……というお話の3本立て。

守弥と小萩の短編はそれぞれ、一人称からでは見えてこない瑠璃姫の一面を見ることが出来る、貴重な短編。特に吉野君との思い出を振り切れず、いつになく弱気な瑠璃姫は非常にかわいらしかった。そんな彼女の姿に(記憶が無いとはいえ)グラグラしてしまう守弥の姿にニヤニヤ。小萩のお話からも、両親を失った彼女を不器用な形で慰めようとする瑠璃姫の姿が新鮮で、面白かったです。

そして本編3巻へと続いていくラストの「瑠璃姫にアンコール!」。瑠璃姫が京都に帰ってきたら、何故か弟の融が行方不明になっていて…というお話。融の乳兄弟である「夏姫」にまつわるお話となっていくのですが、彼女の生き様がかっこよくて…後書きで書かれているように、「鮮やか」な彼女の姿がとても印象的でした。

しかし、2巻と3巻の間に「アンコール!」2冊が挟まってる形式って判りづらいよね……自分は再読だったので順番覚えていたけど、アンコールの存在に気付かず3巻に手を出したら話がエラく飛んでてびっくりしてしまいそうです。


さくらファミリア!3

[著]杉井 光 [絵]ゆでそば

エリとレマを救うために禁を犯し、天使たちに連れて行かれたガブリエル。“家族”を救うため、天界へ向かった祐太達だがそこには多くの困難が待ち受けていた。しかも、使徒のひとり・ヨハネが暗躍し始めて天界を揺るがす大混乱に!?
   個人的お気に入り度数
魅惑の美少年三カ月連続コンボ:ユーリ鴻池ジン→ヨハネ
あれですね……杉井光は私を萌え殺すつもりですか?時代はやっぱり小悪魔系美少年なんですねわかりますわかりました!!正直どの子も大好きです可愛い男の子は正義です。

というわけで天使や神の子や聖人さんの生まれ変わりが関係者からの苦情とか総スルーで大暴れする下ネタ満載ホームコメディ第三弾。1巻、2巻以上に関係者には見せられないというか、文字通り神をも恐れぬラノベと化してきた気がする今日この頃。今回は天界をも巻き込んでの大騒動が繰り広げられます。

っていうかあの神にしてあの子あり。天界総ロリショタ好きというこの現実はどうすればいいのか。小さいまま帰還した天使長・ルシフェル様ことるーしーフィーバーが半端ではありません。その後もさんざんレベル低すぎ・頭悪すぎな騒ぎが繰り返されていくことに頭を抱えつつ大爆笑。今回はかなり重たい話が展開されているのですが、それを繰り広げているキャラクターたちがあまりにも頭悪すぎて全くシリアスな気持ちになれません。キーワードや舞台として登場するのがヤフオクやニコニコ動画っていうのもシリアス度の低下に大きく買っていたかも。もうとにかく天使様達みんなみんな庶民的すぎます…

個人的には、新キャラ関係のグラフィックがカラーページに無かったのが唯一の不満かなあ…永遠の美少年ことヨハネくんやツンデレシスコン天使・ミカエルさまを筆頭にセクハラ無口天使サンダルフォン、セクハラ饒舌天使メタトロンの双子姉妹などなど美味しいキャラが目白押しだったのにカラーページが本編全く関係ない佐倉ファミリーの温泉シーンで埋まってるってどういうことよ!個人的には聖十字発動中のレマさんとか、永遠の美少年のヨハネきゅんとか、そういえばカラーページに出てない気がする最強メイド志麻子さんとかもカラーで見たかったなあ!あとヨハネとかヨハネとかヨハネとか(もういい)

あと、今回のキーワードは「祐太総受け」。
もう今回の一件の解決の過程で、自らの身を全く省みない、素晴らしい祐太総受けっぷりに激しくテンション上がった。祐太かわいいよ祐太。杉井光は早いところ祐太を女装させるべき。


ジャパネスク・アンコール!

[著]氷室 冴子 [絵]後藤 星

帝に対する謀反事件から数ヵ月後…京では「顔に火傷を負った怪僧」の噂に沸いていた。事件の顛末から謀反事件の首謀者・唯恵ではないかと言うものも多く、噂は噂を呼んで行く。唯恵と瑠璃姫の因縁を知る高彬は事件を穏便に収めようと一人で調査を開始するが……
   個人的お気に入り度数
瑠璃姫が吉野で静養している間に京で起こった2つの事件を描く番外編的短編集。再び現れた怪僧の噂を突き止めるため高彬が奮闘する話と、“もののけ憑き”と噂される瑠璃姫との結婚をなんとしても阻止したい高彬の乳兄弟・守弥が陰謀をめぐらせるお話の2本となってます。

高彬が主人公なお話は、ヘタレな高彬が全開な展開でとてもよかった。瑠璃姫との結婚を巡って母親には猛反対され、乳兄弟の守弥に妨害された挙句、都を騒がす怪僧の事件を巡って唯恵と瑠璃姫の事情を知らない今上帝や藤宮さまからせっつかれ……と胃潰瘍起こしそうなくらい周りの人々に振り回される姿にニヤニヤする。僧の正体もいろいろな意味でオチがついてしまって、笑いが止まりませんでした。

そして後半は前半で散々高彬をいびっていた(笑)守弥がアっといわされるお話。血統はいいけど瑠璃姫並みに変人な煌姫に振り回された挙句、策は失敗するわ高彬には勘違いされるわ煌姫には振り回されるわ…でいいところ無しの姿に爆笑。ていうかいろいろな意味で面の皮が厚いもの同士、守弥と煌姫はくっつけばいいと思うの。良いカップルだと思うんだけどなあ…。

瑠璃姫がいないのでパワー不足は否めないんだけど、それでもニヤニヤゴロゴロと楽しい短編集でした。というか煌姫は是非レギュラーキャラ化すべき。瑠璃姫にも匹敵するふてぶてしいお姫様っぷりがたまらない!!


さくらファミリア!2

[著]杉井 光 [絵]ゆでそば

復活祭で神の子の生まれ変わりやら天使やら悪魔やらが騒動を繰り広げている祐太の家に、「三十銀貨財団」からクール宅急便で“精霊”が送りつけられてくる。やたらと卑屈な精霊様だが、彼女の力を接着剤としてエリとレマが合体、“神の子”が復活しそうになってしまう!?必死に阻止しようとする祐太だが、そこに更なる騒動が…
   個人的お気に入り度数
天使や悪魔や聖人の生まれ変わりな人々が繰り広げる、下ネタ満載のドタバタホームコメディ(?)第二弾。今回は“三位一体”の一角・精霊さんの登場です。

相変わらず下ネタ満載のツッコミ激しい会話の応酬が繰り広げられ、前巻以上に某教関係者は見ちゃいけませんなノリになってます。特にペトロの生まれ変わりな某教皇が駄目人間過ぎる…「禁書目録」ですら色々ギリギリのところで同団体と完全イコールにならないようにしてるのに、こっちは思いっきり団体名モロ出しなのでとりあえず関係団体のお偉いさんの目に触れないことを祈るばかりです。ていうか十二使途が「実質神の子ファンクラブでした」ってオチには緑茶噴出したわ!!!

ていうか基本的にこの作品については、祐太が活躍してくれていればそれだけでも十分満足なわけですが。杉井光作品定番のヘタレ主人公に「実はキレ者」属性と「異能もち」属性を追加するだけでこんなに自分の好みにジャストヒットするとは思わなかったよ……杉井光は早急に祐太を女装させるべきそしてペトロか神父あたりと濃厚に絡ませるべき。コミカルでテンションの高い会話の応酬や佐倉一家の擬似家族っぷりもかなり好きです。怒涛のLOVE寄せとかもありましたがそのへんはまあ、どうでもい(強制終了)

しかし、ラストのガブリエルさん、良いキャラだなあ。3巻の天界編に期待が高まります。


なんて素敵にジャパネスク2

[著]氷室 冴子 [絵]後藤 星

即位した新帝からの度重なる文のおかげで高彬は婚約を暫く見送ると言い出すわ、お屋敷の雰囲気は最悪。高彬の発言に堪忍袋の緒がキレて「尼になってやるーっ!」と小萩を連れて尼寺に駆け込んだ瑠璃姫だが、彼女が家を空けている間に実家・三条邸が炎上したとの連絡が入って…!?
   個人的お気に入り度数
シリーズ第二弾。実家・三条邸が炎上した事件の犯人をつきとめようと動き出した瑠璃姫の前に、死んだと思っていたあの人が現れるというお話。

吉野君の意外な正体が明かされ、それが今上帝との悲しいすれ違いを産んでいく様子がとても悲しかったです。そして二人の決定的なすれ違いを防ごうと防止する瑠璃姫の姿がけなげ。しかし、今回一番美味しいところを持って行ったのはやはり「実はキレ者」の高彬さん。最初は高彬たちに事件を追っているということを知られないよう、後半以降は事件の真相を今上帝に気付かれないようにと水面下で動く瑠璃姫に対し、最大のダークホースとして君臨する姿に読者としてはもどかしさを感じつつも高彬スキーとしてはニヤニヤが止まらなかったり。1巻の頃からヘタレな反面キレ者らしい一面は覗かせていましたが、今回はそのキレ者な一面が全開になってきます。そしてラストの瑠璃姫に対して効かせた配慮に対しては……正直たまらん萌え。

しかし、この一件で高彬・瑠璃姫間の結婚は未だかつて無くピンチな状態になってしまった気がするけどこのあとどうなるんだろう?続きが楽しみ。


とある飛空士への恋歌

 

バレステロス皇国の王子・カールはある日突然起こった「風の革命」により両親とすべてを失った。母とかわした最期の約束を果たすためにカルエルと名乗り、飛空士を目指す彼はとある事情から、「空の果て」を目指す浮遊島・イスラに乗り込む事に。イスラ管区長であり「風の革命」の旗印であった少女ニナ・ヴェントに深い憎しみを抱くカルエルだが…

ラノベ感想サイト界に絶賛の嵐が吹き荒れた前作「とある飛空士への追憶」の一応続編(?)。といっても舞台やキャラクターが完全一新されてまったく別の物語となっています。今回はカルエルとニナを巡る物語の序章。

「追憶」が正直あまりツボにこなかったので、続編はスルーかなあ…と思っていたのですが、すでに読み終わった平和さんが「「『追憶』の続編かよ・・・」とか思って恋歌スルーしようとしてる人がいたら、なんとか考えを変えて読んでみて欲しい」とか言ってたのでとりあえず手を出してみたら……どうしようこれ面白いまじ面白い。

「追憶」では思春期の少年が持つ、女の子や空への崇拝に近い憧れとか騎士願望とか自己犠牲精神とか戦闘機とか超カッコイー!みたいなそういうのがいっぱい詰まってて、まあ面白い事は面白かったのですが女の立場からするといまいちノリきれないなあというか、周囲の異様な高評価とかも合わせて釈然としない何かがあったんですけど、今回は空戦シーンも少ないし、キャラクターも感情移入しやすいし…で「追憶」を読んだ際に感じたモニョモニョ感は殆どなくなってました。

何よりも、キャラクターが非常に魅力的。元皇子様で現庶民だけど皇子としての誇りを忘れられなくて貴族へのコンプレックス満載なヘタレマザコンツンデレナルシストな主人公・カルエル、家族想いな二人の義姉に義父、ツンデレ全開で主人公の事が大好き(笑)な義妹アリエル、そして謎のドジっ娘クレア…と、イキイキと動くキャラクター達の動きから始終目が離せませんでした。特にナルシストなカルエルが飛行機の運転をトチってパニックする場面では思わずニヤニヤが止まらなかったり。この様子だと次巻以降、義姉と義父の出番が殆どなくなりそうなのがちょっと残念なのですが、カルとアリー、クレアが三角関係を繰り広げてくれるだろうとか妄想するともう次巻以降への期待が止まりません。

これは確かに1巻読んでスルーする予定だった人もぜひ読むべき。
とりあえず2巻まで読んで続きを読むか判断しても遅くはないかと…超オススメ!


メイド刑事8

[著]早見 裕司 [絵]はいむら きよたか

黒須姉妹の末っ子・善香から、宣戦布告とも取れる言葉とともに"狼女の連続殺人事件"という衝撃的な映像が映ったDVDが送られてきた。葵は事件の捜査のため、怪しいと目されている一ノ瀬家にメイドとして潜り込むが……
   個人的お気に入り度数
7巻ラストで登場した黒須善香が動き出し、ついに物語がクライマックスに向けて加速してきた感じのシリーズ第八弾。でも基本的にやってる事はいつも通り。順当にいつも通りなのであまり書くことがな(強制終了)

黒須姉妹子飼いの奥飛騨忍軍の郡星(伊月)が海堂家にメイドとして潜り込む話が一番好き。いつもとは逆のパターンですが、だんだんお屋敷の暖かい雰囲気を見て、自分のしようとしていることに疑問を覚える伊月と、いつもの通り彼女の正体を知っても平然と接するお屋敷の人々が素敵でした。伊月かわいいよ伊月。普通に海堂家に第三のメイドとして居ついてほしかったよ…!!

しかし、毎回安定して楽しめてたシリーズなので次で終了してしまうというのはかなり寂しいです。3編だと仮定すると貴美香、善香、黒幕の「あの方」と戦って終了な感じになるのかな。完結後にニキータやルカをメインにしたスピオンオフ短編集とか出ないかとか期待してみる。


雪蟷螂

 

長いこと争いを続けてきたフェルビエ族とミルデ族。死の病に瀕した両族の族長達は、戦いに終止符を打つためにそれぞれの子供達を召し合わせる事を約束する。そして父の跡を継いだフェルビエ族の女族長・アルテシアは結婚の儀を執り行うため、2人の従者を従えミルデ族の若き族長・オウガの元にやってくるが…

『ミミズクと夜の王』『MAMA』に続く“人喰い物語”の第三弾にして最終章。想い人を喰らいたいと願うほど情熱的に愛するという女傑の蛮族・フェルビエと死んだ人々の遺体をミイラとして死後も保存し“永遠生”として信仰の対象とする狂人・ミルデという、凍てついた大地に暮らす対称的な2つの種族を巡る物語。誇り高く凛々しい女族長アルテシアと彼女の影武者で苛烈な“愛”を持つ少女ルイ、アルテシアへの硬い忠誠心と醜い容姿を持つ寡黙な男トーチカ、とある事情からフェルビエに対して嫌悪感を抱くミルデの族長オウガという対照的な4人を中心に繰り広げられるお話です。

メインの4人よりも、物語の途中で語られるアルテシアの叔母・ロージアの物語が鮮烈な印象を残しました。言葉通り“愛する人を喰らってしまうような恋心”に痺れる。しかしその分、メインである筈のアルテシア達の物語がちょっと物足りない…。特にアルテシアについてはそれまでの恋や愛とは無縁の孤高な少女というイメージが強すぎたので、彼女が恋心を思い出す場面はもうちょっと言葉を尽くしてほしかったかなあ、と。ルイの心の動きなんかは結構印象的なんですが。

でも真っ白い雪原に佇む少女、村の地下で“永遠生”を送る故人達、そしてロージアの結末など、物凄く印象的なシーンが多く、やはりこの人の作品は素敵だなあと思ってしまいました。「ミミズク」を読んだ際に「ラノベらしくない」と表現したけど、なんていうか良くも悪くも読者に一切“媚びない”作風というか、穢してはいけないような雰囲気があるというか、その辺が他のラノベとは一線を画しているというか…なんか流行とかに流されることなくどんな時でも等しく楽しめるみたいな雰囲気がある気がする。

とにかく「ミミズクと夜の王」「MAMA」がツボに入った人なら絶対に楽しめるであろう一作、非常に面白かったです。次回作も期待してます!