ヒロインと対等な「最強の悪女」になるため日々努力を続けるアリシア。ところが学園内で起きた事件をきっかけに、父親であるアーノルドから2年間の自宅謹慎して魔法のレベルを90まで上げるように言い渡される。それから2年……15歳になったアリシアは久しぶりに学園に向かうが、彼女を待っていたのはこれまで以上に冷たい目線を向ける学生達と、デューク王子からの思いもよらぬラブコールで!?
2年間の沈黙を経て、「悪女」にますます磨きがかかってしまった
リズの取り巻き達によるアリシアへの攻撃は加速するものの、それ以上に2年間の精神修行によってアリシアのあしらいかたも上手くなってしまったので全く苦境に見えないのがすごい。更に、彼女に釣り合うためと努力し続けたジルが2年間でめちゃくちゃデキる従者になってしまったし、優秀な兄やリズの取り巻きと化していた一部メンバーも寝返る気配を見せていていよいよ死角がない。ゲームヒロインであるリズの黒い本音も透けて見えてきたなあという印象があるんだけど、その悪意が全くアリシアに伝わらなくてリズが独り相撲取ってる感じが凄くてこれもう一周回って可哀想になってくるなぁ。今回は調子を崩されて口汚くアリシアを罵るシーンも多くて、ほんと良いところなかった。これじゃあリズの取り巻き達の目を盗む形でジワジワとアリシア信者が増えていくのさもありなんだし、アリシアがイケメンすぎるので彼女に助けてもらった女子生徒たちが恋にオチても仕方ない。それにしてもリズのことを「いいこちゃんヒロイン」だと言って嫌っているはずのアリシアこそが一番彼女のことを「掛け値なしの善人」だと信じきってて、彼女の純粋さに夢をみてるのちょっと面白いですよね。良くも悪くも彼女のリズに対する期待値が高すぎるので、最終的にはアリシアの望み通りにリズとアリシアの真っ向勝負がちゃんと実現すると良いねって思うんですが……。
2年間の接触禁止を経て、ふっきれた王子が甘甘すぎる
1巻では正直色々な意味でアリシアへの好意を我慢している感じでなんかイマイチ真意が見えなかったデューク王子、2年間の接触禁止期間を経て吹っ切れてしまった。確かにこれはタイトル通りの「溺愛」ですわ……。そして他人の悪意は物ともしないアリシアが、デュークからの溺愛にはまったく耐性なくてただただオロオロしちゃうのが大変に可愛い。ただ、貧民街に住む謎の老人・ウィルの正体が明らかになったり、アリシア休学中に起こった事件の捜査をきっかけに色々と不穏なフラグが見え隠れしたり……で物語はこのままただの学園ラブコメでは収まらない気配。リズのカリスマ能力は何なのか、彼女の本意はどこにあるのか、アリシアは無事「歴史に残る悪女」になれるのか(というかこのままだとリズが悪役でアリシアが聖女になっちゃいそうなんですが!?)、次巻どうなっていくのかとても楽しみです。