配信事故をきっかけにライブオン3期Vtuberの中でもエースと呼ばれるまでに成長した心音淡雪。そんな彼女の元に1期生のVtuber朝霧晴から、自分のソロライブにサプライズ出演して欲しいとの依頼が届く。ライブオンの顔とも言える、憧れの大先輩との初コラボに心踊らせる淡雪だが、晴の様子にどこか違和感を感じていて……?
スト○○が遂に伏せ字に!?
しょっぱなから本編の内容とはほぼ関係ないんですけど正直いろんな感想よりもなによりもストゼロが伏せ字になってしまったことに衝撃を隠せなかったシリーズ第3巻。いやもうストゼロさんとは隠すどころかいつあわちゃんと企業コラボするのかなまで思ってたんですけど(?)、冷静に考えるとたしかに素のままで弄っていいレベルを超えてる時あるな……今回も10万円でヨントリー買おうとしてたしな……あとがきの半分近くがストゼロ伏せ字の話になってるのも思わず笑ってしまった。本編は相変わらずキレッキレなVtuber達の掛け合いとそれに更に外部からツッコミを入れてくるコメント欄のやりとりが2chスレまとめのようなノリで楽しい作品。しょっぱなでVtuber2人組で即興コントをやる「L-1グランプリ」が良くも悪くもライブオンVtuberのカオスさを凝縮して割らずに燃やしたみたいな話で最高に楽しかったんだけど、その他で個人的にツボだったのが後輩にして「園長」エーライさんがホラゲーやって「組長」に覚醒する「仁義なきホラゲ」。いやパニック系のホラーゲームみたいなやつって良くも悪くもその人の本質情報が出るというか素が出ますね……。
朝霧晴──天才故の孤独と葛藤、そして救済
テンション高めコメディ主体のお話の中で少しずつ描かれていくのがライブオン初のVtuber・朝霧晴のソロライブ開催と、それに前後して彼女や淡雪や周囲の目線から語られるライブオンの、朝霧晴の誕生秘話。天才であるが故に周囲から浮いてしまい、自分を偽ることで人の中に隠れて生きてきた彼女がライブオン創業者となった友人達と出会い、傾きかけた会社を立て直すために一度は封印した彼女本来のキャラクターを解き放ってVtuberになり、その出自故に一歩引いた形で後輩たちを見守ってきた晴があの淡雪の「配信切り忘れ事故」によって救済されるという展開がすごく良かった。序盤から卒業フラグ感がビンビンしててどうなることか……と思っていたのだけど、良い意味で今までの朝霧晴を「卒業」して心機一転生まれ変わるという展開がアツい。これまで本編の中でも特別な存在として描かれ続けてきた彼女が、エピローグで淡雪と気のおけないやりとりをしている姿がまた良かったし、同時にお酒の力に頼らなくてもしっかり配信を盛り上げられるようになった淡雪の成長にも胸が熱くなってしまいました。いや本当に今回良いお話だったな……。
そしてしっかり次巻への引きを作って終わりましたがどうなるんだろう。次は2期生の掘り下げが来るのかな。