変わってしまったシオンを救うため、ローランドを出る決意を固めたライナとフェリス。その準備のため、国境近くで待ち合わせをして一度別れた二人だが、待ち合わせ場所に向かったフェリスはその途中でシオンの腹心・フロワードの襲撃を受け瀕死の重傷を追ってしまう。一方その頃、ライナはレファルからの命を受けてローランドに潜入したキファと再会して……。
ヒロイン3人、それぞれの戦い
イリスとフェリスがフロワードによって瀕死の重傷を負わされるという衝撃のラストからのシリーズ2巻。勇者の遺物を使うフロワードとの絶望的な戦い、フェリスを救うために現れた兄ルシルのとんでもない能力とフロワードによる考察が面白かったです。色々な意味で人間をやめてる感じが凄いルシルですが、そんな彼の落とし所が妹のフェリスであるようで……?シオンの元にいるとルシルって本当に腹の中が見えない「化物」という感じなんですけど、フェリスの視点から語られる「兄」としてのルシルは決してそんなことがなくて。この辺本当に今後の伏線ですよって感じの描写が多くて気になるなぁ。フロワードの思惑によって「見逃された」ふたりは改めてローランド出国を目指す。目的は、ローランドに侵略されたネルファで孤独な戦いを強いられているトアレを救い、戦争を止めること──シリーズがリセットされて以来とにかくシリアスで重い展開が続く中でひとりでラブコメ百面相してるキファさんの癒やし担当ぶりがすごい。いや本当にそれどころじゃないし、彼女も色々と重い事情を抱えているわけですが……自分がいなくなってる間にライナの「相棒」に収まっているフェリスに内心穏やかじゃなかったり、そんな二人の危険などつき漫才に困惑したり、ライナの挙動のひとつひとつにドキドキしちゃってたりする姿が可愛かった。更にそんなキファに触発されて、フェリスの方もなんだかんだでキファの登場に内心穏やかじゃなさそうだったり、ライナを意識しているらしき行動が見て取れるのにニヤニヤしてしまう。
一方、国境付近で二人が見えない火花を散らしていた頃、忌破り追撃隊が把握している限りの裏事情を知ったミルクは、その上で改めて「忌破り追撃隊」の隊長としてローランドに残ることを決意する。今回ヒロイン3人それぞれの想いや決意が描かれた巻だったのかなと思うのですが、特にミルクの行動は言及こそ短いながらに印象的でした。ミルク、大人になったな………(とり伝でのアレやコレを思い出しながら)
思ったより時間がかかったな〜という印象のローランド出国編を終え、舞台はローランドとの戦争真っ最中のネルファ公国へ……というかまためちゃくちゃ気になるところで終わったんですけど!?毎回こういう引きで行くつもりなのか…!?