うららの記事一覧 | ページ 7 | 今日もだらだら、読書日記。

うらら一覧

フルメタル・パニック! Family

 

新たな任務は……家族との平和な日常!?
「フルメタ」が帰ってくる! 衝撃の新シリーズ、開幕!! 「やはり武器が必要だ。クローゼットにあるから取ってこい」 世界の存亡を懸けた最終決戦から約20年後――相良宗介は千鳥かなめと結婚し、平穏な日々を送っている……ハズだった。 「お父さん、いつものカービンとグレネードでいいのね?」 「また隠し持ってたのね!? 毎回毎回、『武器などいらない』って言っといて!」 「母さん、敵が来るから。文句はあとあと」 女子高生ながら父親譲りの戦闘力を誇る愛娘・夏美、小学生ながら凄腕ハッカーの顔を持つ息子・安斗――規格外な子どもたちまで加わった相良家の辞書に“平和”の文字は無く……!? 宗介ファミリーの刺激的な日常を描く、衝撃の新シリーズ!

あの戦いから20年。千鳥かなめと結婚した相良宗介は2人の子供をもうけて、家族4人で平穏な毎日を送って……いるわけではなかった。妻・かなめを狙う刺客から隠れるように各地を転々とし、トラブルを起こしては次の街へ……を繰り返す相良一家。愛する家族と過ごす刺激的な毎日は、かつて望んだ「武器を持たない日常」からはほど遠く!?

四十代になった彼と彼女の、妥協と折り合いの物語

「フルメタ」の本編完結から20年、アラフォーとなった宗介・かなめと2人の子どもたちが繰り広げる連作短編。

しょっぱなから設定を見て、本編エピローグで「君さえいれば、武器などいらない」って言ったじゃないですかぁ〜〜!!と思ったものの、一度「ウィスパード」として名前が売れてしまった千鳥かなめが平穏な生活を送れるわけがない、たしかにそうなんだよなあ。2人の子どもたちを家族に加えて「フルメタ」らしく騒がしくも楽しい毎日を送りながらも、かつて思い描いた理想とは程遠い生活に時折ため息をつく相良夫妻の悲哀と葛藤が印象的でした。

あとがきでも少し触れられていましたけど、良くも悪くもフルメタをリアルタイムで読んでいて今アラフォーくらいになった当時の読者にむけられた物語というか。いやこれ私はめちゃくちゃ面白かったんですけど、同時にこれ自分が二十代の時に読んでたら二人の変化にガチギレしてた気もするんだよなあ。同作者の「甘城ブリリアントパーク」にも似たようなブラックジョークや中年の悲哀・葛藤の描写がありますけど、かつて十代だった彼らがこういう話をしてるのはなんともいえないエグみがあって。

二十代三十代を忙しい中であっという間に過ごして、気がつけば様々な衰えに直面している相良宗介と相良(千鳥)かなめ。武器を手放したいと必死に足掻きながらも社会に順応しきれない宗介の葛藤はかつて陣代高校でドタバタしていた頃よりもずっとしんどく映りますし、かつての宗介を知っていればいるほど胸に痛い。そんな彼がかつて尊敬した林水先輩と再会してその現在を知り、諦めよりも少しは前向きな形で自分の手持ちでやっていくしかないのだと妥協していく姿はなんというか妙にリアルで、良かったと思う反面かつての読者としては複雑な想いを感じました。いやでも、2話の林水とのやりとりは本編の「もう無理だと思うよ」で卒倒して倒れたオタクとしては感無量のものがありましてだね……。

そしてかなめの方は、女子会でのぎこちない様子が妙に生々しい。高校時代には気にならなかったお互いの「生きる世界」の違いがどこか引っかかってしまって。結婚はしたものの海外を飛び回る企業家となったかなめが家庭に入って平穏に生きる恭子よりもバリキャリでフットワークが軽い瑞樹のほうと深い付き合いしてるのめちゃくちゃわかる。子供を産んで、大病を患って……毎日に忙殺されているうちに中年になってしまった彼女の、「17年前は無敵だった」という独白が胸に刺さる。というか、かなめに関しては最後の最後でめちゃくちゃデカいネタバレかまされませんでした!?確かに本編最後そんな感じだった気がするし「そう」なっていても不思議ではないけど……もうそれは人知れず抱えていきていくしかないのか……。

かつての戦いでの記憶に魘される宗介、守れなかった人たちの名前を縋るように子供に付けて、その名前を呼ぶことで立ち直ろうとしていくということも含めかつて無敵だったふたりがそうではなくなってしまったというお話で(でもあれが宗介からの発案じゃなかったことには少しホッとした)、ままならない現実と闘いながら妥協と折り合いを繰り返していく姿がとても良かったと思います。いやでも本当に、こういう形で彼らの「弱さ」を見せつけられるのは結構キツイっちゃキツくて、その痛みを噛み締めながら読んだ物語でもありました。物語の中でだけでも、年老いても最期まで無敵のふたりで居てほしかったという気持ちはどこかに確かにあった。

相良夫妻イチャつきすぎなんだよなぁ!!!!!!!

それはそれとして、結婚して20年経つのに未だに新婚夫婦みたいにイチャイチャイチャイチャイチャイチャしてるのはどうなんですかねぇ!!!でも人妻になった相良かなめさんマジでエッチすぎるし結婚して自分の女になったからって独占欲と性欲をむき出しにしてる宗介さんのはしゃぎっぷりが凄くてもう大変だ!!!この情報化社会であれほどネットへの個人情報流出を気にする相良一家が年甲斐もない女子高生コスプレエッチで羽目を外して大失敗するのには思わず爆笑してしまった。

冷静に考えると加齢による衰えの話とか、病気の話とか、現実のままならなさとか色々な意味で重たい話をやってるんだけど、要所要所でそういう重さをカラッと吹き飛ばしていく展開はまさしくフルメタで、とても楽しかったです。

作中で腐れ縁として名前が上がりながらも登場のなかったクルツ・マオ夫妻やテッサをはじめとした旧ミスリルの面々、今回は最後にちょっと出番があっただけのアルなど、今後も色んな話が読めそうでとても楽しみなシリーズです。ドラマガの対談とか見てても先生が楽しくお話書かれてる様子が伝わってきたので刊行ペースとかはあんまり気にせず、気が向いたら続けていってほしい。

「甘城ブリリアントパーク」の続きも、是非よろしくおねがいします…………………………………………。
早くて来年かな?とは思ってるけども……。


悪役令嬢レベル99 その6 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜

 
Tea

裏ボス令嬢、半分(左側)だけ死す……ってどういうこと!?
王都の騒動を経て、領地に戻り落ち着いていた私、ユミエラ。だが「ユミエラさんと張り合えるのはユミエラさんしかいませんわね」というエレノーラの発言がきっかけで、脳内私VS私バトルが始まってしまう。そして気がついたら――私の左半分が死後の国に迷い込んでいたってどういうこと!?ともあれ生き返るため、この謎の国の探索を始めることに。 一方現世のもう半分の私も、未決着の左右対決に勝利するため――もとい、この状況を解決するため動き始めて……!?

エレノーラの不容易な発言をきっかけにして、朝起きたらユミエラが左半分と右半分に別れてしまった!!しかも左半分は死後の世界──「薄明の国」に迷い込んでしまったらしい。ユミエラ(右)は左半分を救い出すため手がかりを求めて王宮に。一方、ユミエラ(左)は薄明の国で王を自称する人物と遭遇して……。

絶望的に煽り耐性とツッコミ要員が足りない!!

ユミエラの左半分と右半分どっちが戦ったら強いのかな?とか妄想していたらなぜかユミエラが分裂していた。何を言っているか分からねえと思うが俺も(略)。アニメの放送合わせででた巻なのに、最新刊の内容がアニメ化できなさそうすぎてすごい(出来なくはないだろうけど大変そう!)

とにかく今回は色々な意味で最後の牙城であったパトリックすらツッコミを放棄してしまったのでいつもにもましてツッコミが居なくて大変だった。巨大ユミエラ(ただし半分)を見た瞬間、自信満々に「ユミエラ最強」コールはじめるパトリック&エレノーラで無限に草生えるし、応援上映作戦が破れて早々に絶望してるのに更に笑わされた。ユミエラが分裂してるせいで片方をヨイショするともれなくもう片方を煽ってしまう……って確かにそうなんだけどさ!?何よりもユミエラの煽り耐性低すぎるのが問題な気がしてきた。クライマックスでアツいバトルやってるはずなのに腹筋が攣るほど笑った。

強い未練を持ったまま死んだ人間たちがその未練を晴らすまで逗まる場所・薄明の国で明かされる「魔王」と「勇者」の悲しきすれ違いとその真実、かつての勇者が「王」に固執する理由。数百年かけて少しずつ歪まされ、醸成されていったおぞましい妄執……バルシャイン王国の建国を巡る物語がめちゃくちゃ良かったし、互いに憎み合う素振りを見せながらも最後にはかつての関係性に戻っていった魔王と勇者の姿が大変に美味しかった……のですが、とにかくメインであるはずのユミエラ達がひたすらツッコミ足りない状態だったのでどんないい話されても「さっきまでとの温度差ァ!!!」って反応になってしまうのどうしようもなかった。いやでも勇者と魔王本当に良い関係でしたね……あと、なにげにその前に出てきた猫耳おじさんの話がめちゃくちゃいい話だったな……猫耳おじさんだけどさ……。

ツッコミ不在でひたすら迷走していくユミエラたち、その横で勝手に友情と愛憎と男男間クソデカ感情物語やってくる勇者と魔王の温度差に困惑してたら描き下ろしでめちゃくちゃ微笑ましいユミエラとパトリックのおデート話で散々イチャイチャされて横から殴られた。だから温度差がさァ!!!!!

でもそのデート短編がまた、めちゃくちゃに良かった。いつものユミエラとパトリックの微妙に噛み合わないやりとりも健在で微笑ま可愛いし、珍しくパトリック視点のパートがあるのが心ニクい演出ですね。いや、パトリックって改めてめちゃくちゃユミエラ好きじゃん……デートしてる時とかめっちゃときめいてるじゃんね……ふぅん……(本編の応援上映展開から目をそらしながら)


声優ラジオのウラオモテ #09 夕陽とやすみは楽しみたい?

 

学校生活を満喫するやすみ! でもその隣に夕陽はいなくて――。
「……このままでは、非常にまずいです」  『ティアラ☆スターズ』のライブ第2弾は大成功だったものの、オーディションでは連敗中。焦りから仕事へ打ち込む由美子に担任教師が突きつけたのは、模試の結果。今のままだと受験も声優業も共倒れ!?  加賀崎の勧めで学生生活へ専念する由美子。友人との勉強会や文化祭準備―?久々の"青春"はとても楽しくて。 「こんな風に、演技のことを一切考えない期間って初めてでさ」  素直に楽しむ女子高生・佐藤由美子と、不安を抱く声優・歌種やすみ。悩める彼女が目にしたのは、アニメもラジオも大活躍な千佳の姿で――。  進路に、千佳との関係に。心揺れる青春声優ストーリー第9弾!

『ティアラ☆スターズ』のライブも一段落し、再びオーディションに落ち続ける日々に戻ったことに焦りを感じる由美子。模試の結果が散々だったこともあり、加賀崎の勧めで暫く学業に専念することに。友達との勉強会に文化祭、「声優」としての仕事のない学園生活はとても楽しくて……。

先に進むために必要だった「立ち止まり」のお話

仕事がないことを気に病み学業が疎かになりかけた由美子が半休業状態になり、二ヶ月の学園生活を謳歌しながら改めて声優としての自分を見つめ直すお話。前巻のあのすごい声優ライブからのこの落差、本編だと歌種やすみこんなにすごい声優なのにまだ崖っぷちなんですか!!???感が半端ないんですけどそれでトントン拍子に売れるようなら世の中今頃大人気声優だらけだよな……みたいな現実の世知辛さをしみじみ感じてしまったシリーズ最新刊。でもそろそろ1巻・2巻の頃くらいのご都合展開で突然売れっ子になってもいいと思うんだ!!???フィクションの中でくらい夢を見たい!!

休業中の学園生活は普通に楽しくて、声優としての仕事を苦しく感じてしまっていることに気づいてしまって。これまで自分の中には決してなかった「声優にならない」という選択肢が生まれてしまって。そして自分がくすぶっている間にも「相棒」だと思っていた夕暮夕陽はどんどん活躍していって……目をそむけていたのに、偶然自分の落ちた役を夕暮夕陽が演じていることを知ってしまって。とにかく女子高生・佐藤由美子にとっては楽しかった二ヶ月である反面、声優・歌種やすみにとってはとにかく苦しい二ヶ月という感じだった。

でも、そのお陰で夕陽に対してこれまで語ることの出来なかった本音をさらけ出すことができて……声優をやりながら大学に行きたいという気持ちを新たにして、嫉妬や汚い気持ちすらもバネにして再び立ち上がる力を得ることが出来たのは本当に良かった。由美子の本音をきいた千佳の反応には思わず笑っちゃいましたけど。

そしてそこからの、文化祭での急造演劇部のピンチヒッターとして由美子と千佳が掛け合い演劇を行うクライマックスが最高でした!準備期間が足りていないところを流石の経験と演技力で補う千佳、演劇は初挑戦ながらも阿吽の呼吸で彼女をフォローし、持ち前の会話力と本番の強さで繋いでいく由美子。アドリブにアドリブを繋いで……本来のシナリオとはまったく違う劇となっていく展開が最高すぎる。やはり二人は演技しててこそだよ!な!!!いやこれ普通にアニメとかで全部見たい。あと文化祭の裏でさり気なく死んでる藤井杏奈ちゃん(一般オタク女性・職業声優)可愛すぎんか?????

楽しく、そして辛い展開だったけど今後2人が前に進むために絶対に必要な物語で、とても良かったです。あとほんとそろそろご都合主義でもいいから売れてほしいな歌種やすみ……!!


美少女揃いの英霊に育てられた俺が人類の切り札になった件

 

美少女揃いの英霊に鍛えられ、「最弱兵器」は最強へ進化する!
魔術学園を退学寸前のウィリアムは、千年前の戦争で活躍したという美少女英霊たちと出会う。「弟子となり最強を目指せ」と告げる彼女たちを疑うも、その指南により彼の秘められた才能が次々と開花する――!

ウィリアムは国内で唯一魔力を一切持たない人間として実家からは追放され、入学した魔導学園では『最弱兵器』とバカにされてきた。次の試験で結果が出せなければ退学……と言われ、悪友から唆されて学園内で封印されているという噂の「超越の指輪」を探しに行くが、そこで本物の指輪とその中で眠っていた美少女英霊達を呼び覚ましてしまい……!?

「最強」を自覚させないように美少女達が一生懸命頑張る無自覚系無双ファンタジー

面白かった〜!!タイトルだけ読むと美少女に囲まれてウハウハな俺が成り上がっていく系無双ファンタジーみたいな印象を受けてしまいがちなんですが、その実態は比類なき才能を持った主人公にその自覚を持たせないようにしながら美少女英霊たちがあの手この手で修行させようとするお話でした。

実は美少女英霊達は覚醒するきっかけを作ってあとは戦うためのお手本と修行する環境を与えただけであり、魔術に覚醒した後は師匠達の戦い方を見様見真似でどんどん自分の物にしていってしまう主人公のウィリアム。ただし、とにかく上昇志向が皆無な彼は「強くなった」と自覚してしまうとサボりはじめてしまうため、自分の成長をある程度は感じさせつつまだまだ平均以下だと誤解させて過酷な修行をさせるということに一生懸命な英霊達の姿に笑ってしまう。その流れでお色気攻撃も仕掛けてくるけど、絶妙に噛み合ってないのがシュールでした。そして彼女たちに騙されて自分が雑魚だと信じ込んで「他のやつらはもっと凄いんだろうな」と素で言ってしまう主人公(いくらなんでも学園で何も学んでなさすぎでは!?)と彼を取り巻く友人達(主人公が実は凄い実力を隠し持っていた!と持ち上げてくれる)のすれ違いで更に笑った。

そんな無自覚無双っぷりがひたすら楽しい前半ですが、後半は無自覚のまま現代の誰よりも最強になってしまったウィリアムでなければ倒せない強敵が現れて……自分の実力を無理矢理にでも認識させられ、改めて戦う覚悟を問われる羽目に。自分の実力にずっと無自覚でいられたのも、学園最強になった状況でも「雑魚」といわれて違和感を持てなかったのも、全ては幼い頃から魔力なしの最弱兵器としてバカにされ続ける境遇から自分を護るために無意識に構築した自己防衛だったんだなあ。人間そのものに恨みを抱いてもおかしくないような状況で、決して対等とはいかなかったけれど「友人」として接してくれた彼ら彼女らを護るため、彼らに恥じない自分になるため戦う覚悟を決めるウィリアムの姿が印象的でした。そして対処出来る人間が他にいないとしても決して無理矢理に戦わせるのではなく、自らの生命を掛けてウィリアム自身の意志を尊重してくれようとする英霊達と、幼馴染ヒロイン・セシリーの心遣いが胸に沁みる。

どんな辛い目にあっても捨てることができなかった「大事な人を護るために強くなる」という幼い日の約束。その約束の通り、セシリーの絶体絶命のピンチに颯爽と駆けつけるウィリアムの姿がめちゃくちゃアツかったです!

それにしても前半のキモだった「無自覚無双ファンタジー」的な要素は1巻で綺麗にカタがついちゃった感じだけど、2巻からどうするんだろう?1巻は割りと学園内で話の規模が収まっていた感じでしたが次巻は色々と状況が動いていくようなので、次巻も楽しみにしたいです。


これが魔法使いの切り札 1.黎明の剣士

 

強さじゃない。“楽しく生きる”ために魔法使いになるんだ
剣士リクスは戦い以外の人生を求め魔法学園へ入学するも、魔術師の適正皆無と判定される。それでもリクスは持ち前の戦闘能力ゴリ押しで学園生活をこなし、新たな生き方を掴むべく自分なりの“魔法”に挑んでいき?

傭兵をしていた少年・リクスは平穏な人生を志し、エストリア魔法学院に入学した。ところが、特待生として学園側から招待を受けているにも関わらず、最初の授業で魔術師の適性なしと判断されてしまう!?魔術の授業を物理でゴリ押ししながら同じ境遇の物静か(?)な特待生の少女・シノと共に魔術師として生きる道を模索していくが……!?

ワケアリ少年×少女のボーイ・ミーツ・ガール系魔法学園物

戦いとは無縁の人生を送りたい凄腕剣士の主人公と、望まずしてその身に重い宿命を背負わされたワケアリ少女のボーイ・ミーツ・ガール系魔法学園物。様々な策謀渦巻く学園を舞台に、魔術師同士のしがらみや決まり事など知ったこっちゃないとばかりに物理で解決していく主人公・リクスの姿が爽快で、そんな彼が無自覚に無茶苦茶やりながらもクラスメイト達とわちゃわちゃしている姿が大変楽しかった!最初はとりつくしまもなかったもうひとりの特待生・シノがリクスの体当たりのフォローによって少しずつ態度を軟化させていくのが大変可愛いし、かませ犬っぽいイヤミなクラスメイトもいるにはいましたが、これもうどうかんがえても「実はいいヤツ」ってパターンだし……後半でめちゃくちゃ遠回しに気遣ってくれるところとかニヤニヤしちゃうんだよな……。あと教師コンビがめちゃくちゃいいですね……善意がわかりづれえカタブツツンデレ・ダルウィン教師と面倒くさい面倒くさいいいながら面倒見が良いクロフォード先生めっちゃ良くないですか……これは薄い本が厚くなるな……。

一方、物語が進むに連れ明らかになっていく《宵闇の魔王》の遺産を巡るどす黒い陰謀。シノの正体、そして明かされていくリクス自身の望みと本当の能力……。いやもうリクスみたいな破天荒なキャラの本質がそういうものなのって、本気を出すと感情のない人形になっちゃうって設定めちゃくちゃ性癖直撃なんですが……リクスの普段と戦闘時の挿絵の温度差が凄すぎて……良すぎる……。

「人間」を愛する故に人間をやめようとする少年の献身と、そんな彼をこちらに引き戻すために忌憚し続けてきた自分自身を受け入れる少女の願いが激突するクライマックスがめちゃくちゃ良かった。いやもう、学園モノらしいワチャワチャ感も王道ボーイミーツガールも楽しめるめちゃくちゃ楽しい新シリーズでした!次巻はリクスの古巣の傭兵団の面々が登場するようで、どうなっていくのか楽しみです。

それにしても直前に「ロクアカ」最終巻読み終わったばかりで、意味ありげに『愚者の霊薬』とか『黎明の剣士』とか出されるとめちゃくちゃ反応しちゃうんだよな。スターシステム的なやつかもしれないけどロクアカの終わり方考えるとどうにでもリンクできそう……愚者だしなあ……いやあんまり前作のこと考えながら新作読むのもアレなんですけど……。


2023年に読んで面白かったラノベ10+1選

今年は!書いたぞ!!年内になァ!!!
というわけで今年もあと2時間ほどですがいかがお過ごしでしょうか。私事ながら昨日コミックマーケット103に遊びに来てくださったかた、ありがとうございました。なんだかんだで珍しく年末が早めに収まったので久しぶりに旧年中に今年のまとめを書いております。

本年、概ね50冊程度とちょっと控えめな読了冊数に収まってたのですがその合間に小説家になろうでひたすらシャンフロを読んでたりしたので読書ペース自体は落ちていないハズ……(どちらかというとブログの更新頻度の低下が酷かった)とはいえ結構わかりやすく手を出せないまま終わった新刊・脱落したシリーズが多かったので来年はもう少したくさん読んでいけるといいなあ。過去作やなろうにも読みたいものがたくさんある……。

今年読んで面白かった新作・新シリーズ

かざなみ「私と陛下の後宮生存戦略 ‐不幸な妃は巻き戻れない‐」→感想
このイケメンの顔芸がすごい2023大賞
死ぬと1日前に巻き戻る能力を持つヒロインとそのループを唯一感知出来る皇帝陛下が運命の出会い!キレ散らかしながらヒロインのデスループを阻止するイケメン陛下のめくるめく顔芸!!!冷静に考えるとめちゃくちゃ重い設定なのにそれがひたすら笑いに代わっていくというとんでもないお話でした。イケメンの奇声と顔芸がみたい人は是非。コミカライズも最高でした。
夕鷺 かのう「かなりや異類婚姻譚 蛇神さまの花嫁御寮」→感想
ヤンデレヒーローの執着で夜も眠れないけど最後は暴力で解決する
婚約者に惨殺される未来を回避するため、未来視の能力を持つヒロインが奮闘する異類婚姻譚。好きになったら一途すぎてヤンでる旦那様を始めとして曲者揃いの登場人物達に頭を抱えながらも必死にフラグ管理する姿が最高に微笑まかわいかったです。やたらスッキリして終わるラストめっちゃ好き。
ゆいレギナ「100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。」→感想
約束された「死」に向かって凛々しく歩む姿が美しい
100日後に約束された自らの終わりを受け入れて自らが愛した人々が少しでも笑って暮らせるよう奔走する令嬢の物語。気高く美しいその生き様が最高に良かったし、彼女の死を大きな心の傷としながらも彼女の遺志を受け継いで生きていく周囲の人々の姿が印象的でした。2冊で綺麗にまとまってるのもポイント高かった。
赤城 大空「【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう〜けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホほどバズって伝説になってますわ!?〜」→感想
タイトルの圧が強すぎておハーブですわ
主人公視点だと「普通」に思えることが、コメント欄の視点を通すと冗談みたいな「規格外な無双プレイ」になっちゃってるギャップがシンプルに面白く、めちゃくちゃ笑えるお話でした!(タイトルが長すぎるのでコメント短め!!)
朝依 しると「VTuberのエンディング、買い取ります。」→感想
すべての「推し」で悩めるオタク達に捧ぐ物語
炎上によって「推し」という心の支えを失った主人公が炎上ブロガーとして様々な問題を抱えるVtuberに引導を渡していく物語。物語を通して見えてくるオタクの数だけある「推し」の形、それに引導を渡しながら自らの心に何かを問い続ける主人公の姿が印象的でした。1巻単体でも良かったけど2巻の続け方がまた好きで、続きが楽しみ。
下垣「自作3Dモデルを売るためにサキュバスメイドVtuberになってみた」→感想
クリエイターの難しさと世間の狭さを実感する物語
クリエイターとして成功したいのにVtuberとして大成功してしまい…という葛藤が大変良かったし、それはそれとして男子高校生がエッチな見た目のVtuberとしてえっちな目線を向けられるのはえっちで良かった。ネットとリアルが密接に絡み合う世間が狭い展開も楽しかったです。ところでカクヨム見たら2巻には女装ネタが入るそうなんですが続刊はまだですかね???

既存シリーズ

羊太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典24」→感想
もう今年はこれの完結なくしてラノベを語れない
オールキャストで繰り広げられる魔王フェロード&天の智慧研究会との決着、グレンの本当の力が明かされる宿敵ジャティスとの決戦、そして……どんどんギアの上がっていく展開がひたすら凄かったし、そこからの絶望的な最後の戦いがヤバかったし、そこからのめちゃくちゃハッピーな大団円エンドが最高でした!!今年は本当にロクアカの完結を抜きにしては語れない。
紫 大悟「魔王2099 3.楽園監獄都市・横浜」→感想
2年ぶりの新刊、魔王と勇者の背中合わせの共闘が最高でした!!
めちゃくちゃ好きだったけど2巻打ち切り……になっていたとおもってたシリーズがまさかのアニメ化引っ提げて戻ってきた!!3巻は仲間達全員が大活躍するクライマックスもさることながら、これまで以上に魔王と勇者の関係性が濃厚で、大変に良かったです。かつての宿敵が背中合わせで戦う展開、もう好きしかない。
南野 海風「魔術師クノンは見えている 4」→感想
クノンとジオエリオンの関係性でご飯3杯行けるので
様々なしがらみなんか気にしないでひたすら魔術探求に精を出す主人公とその級友達がとにかく楽しいこのシリーズ。魔術談義まわりだけでも十分楽しいのに3巻からクノンにジオエリオンという親友にしてライバルが爆誕してしまったのでもう大変でした。4巻の直接対決最高すぎるからみんな読んで。これまで以上にクノンが台風の目になっていきそうな2年生編にも期待!!
二月 公「声優ラジオのウラオモテ #08 夕陽とやすみは負けられない?」→感想
声優ライブのこういう演出に弱すぎるオタク私
先に進むほどギアを上げていく「声優ラジオ」なんですけど8巻のオリオンvsアルフェッカライブの演出が本当に本当に好きで……もうアイドルコンテンツの声優ライブに行ったことあるオタクとしてあの世界のオタクに感情移入してしまったので私はもう駄目です。あんな演出されたら光る棒振れなくなっちゃうでしょ!!好き!!!
硬梨菜「シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜」→感想
今年後半ずっと読んでたなろう小説大賞
アニメ化もしたしすごい今更だし書籍化していないのでこのブログでは全然話題にしてないんですが、11月12月はずっとシャンフロを読んでました…いやもう何年もジワジワと読みすすめてるんですけどディプスロさんがめちゃくちゃ私の好きなタイプの主人公のライバル枠でして…「竜よ、竜よ!」の前半戦が好きすぎるんですがこれは…アニメもコミカライズもめちゃくちゃ最高なので未読の人は読んでみて欲しい。


薄幸な公爵令嬢(病弱)に、残りの人生を託されまして 2 前世が筋肉喪女なのに、皇子さまと偽装婚約することになりました!?

 

事件解決の鍵は(偽装)婚約!? スカッと爽快★武闘派ラブコメ第2弾!
病弱令嬢に転生した武闘派OLの呉葉は、隣国の皇子イザークに告白され戸惑っていた。 けれど返事に悩む暇もなく、イザークの祖国が絡む事件が発生し、このままだと国際問題に発展!? この事態を打開する一発逆転の策としてクレハとイザークは偽装婚約することに!?  しかも彼からの求愛は演技じゃなくて――前世が筋肉喪女には刺激が強すぎます!

病弱令嬢クレハ・メイベルに転生した武闘派OLの成鐘呉葉。自身を狙った陰謀を自らの腕力(魔力)で粉砕した彼女は、クレハから正式に残りの人生を託される。彼女の人生を幸せにしてみせる……でも幸せって?と思い悩む暇もなく隣国の皇子であり良き理解者であるイザークが意味ありげな態度を取り始める。更に、イザークの祖国での跡継ぎ問題を穏便に収めるべく、彼と偽装婚約をすることになってしまい!?

前巻よりもラブコメ増量した展開が微笑ましくてたまらない

楽しかった〜!!精神的にはイザークよりも年上だけど恋愛経験はからっきしな「筋肉喪女」の呉葉が、自身の恋心を自覚して押せ押せで迫ってくる(でも相手の意向はちゃんと尊重してくれるイケメン具合)イザークから求愛されて、必要以上に彼のことを意識してしまってワタワタするのが大変かわいくてよかった。

そんな中で発生したイザークの祖国・ハイダラでの皇位争い。前巻でクレハが命を狙われたのもその事件の一貫であったわけですが……予想以上にドロドロとした血肉の争い、親から子へ引き継がれていった呪いのような狂気が出てきてしんどくなる。自分の得の為なら親兄弟すらも手にかけられる兄、その弟であるイザークも時折冷たい一面を覗かせることがあって……。でも、そんな兄弟の争いの中でイザークの不穏な気配を察してスパッと(物理で)解決していく呉葉の姿が爽快で気持ちよかった。

前巻でクレハに誓った「クレハ・メイベルの残りの人生を幸せにする」という言葉が何を意味するのか。恋愛やら血肉の争いやらでぐるぐるになりながらも思い悩む呉葉がイザークの悩み事を解決し、そんな中で「私自身が幸せになればいい」と見出していく展開がムネアツでした。それにしてもイザークの身の内に危険な心を隠し持った紳士ぶりも大変良いのですが、クレハの兄テオバルトの「シスコン」と「良い兄」の絶妙な配分が最高すぎる……前巻のラストも色々な意味で兄が持っていってましたが、今回も不器用な「妹」の恋路にナイスアシスト入れつつも暖かく見守っている感じが最高でした。ナイスメガネ!!!


陰陽師と天狗眼 ─冬山の隠れ鬼─

 

広島もののけお仕事×お仕事ファンタジー第2弾!!
美貌の公務員陰陽師と熱血フリーランス山伏、今度は〈鬼〉と対峙する。

狗神退治を無事に終えた広島県巴市の公務員陰陽師・宮澤美郷(みやざわ・みさと)のもとに、 新たな「特殊自然災害(もののけトラブル)」解決の依頼が舞い込む。 同時にフリーの山伏・狩野怜路(かりの・りょうじ)のもとには、出雲から内密に 人捜しの依頼が来ていた。捜す人物は鳴神克樹(なるかみ・かつき)。 それは、美郷の愛する弟だった。 調査を進めるうち、二つの事件に共通のキーワードが浮かび上がる。 それは「鬼ごっこ」――。

巴市の市役所に勤務する公務員陰陽師・宮澤美郷の元に持ち込まれた新たな特殊自然災害の依頼……それは小学生の男の子の奇妙な放浪癖に関する相談だった。地域に残る神隠しの伝承、そして子どもたちの間に伝わる『鬼ごっこ』の噂が原因と思い調査を始めるが……その頃、相棒でありフリーの山伏・狩野怜路の元には失踪した美郷の弟を捜索する依頼が持ち込まれており……。

美郷さんほんと魔性の男……

男男バディが繰り広げるあやかし退治シリーズ第二巻。美郷が受けたもののけトラブルの依頼と、怜路が受けた美郷の弟を捜索する依頼。ふたつの事件はやがてとある民間伝承に端を発した祟りと神隠しの事件へと繋がっていく。別々の依頼が徐々にひとつの大きな事件に収束していくという展開が面白かったです!

前巻はふたりの馴れ初めと怜路側の事情が中心でしたが、今回は美郷の実家を巡るアレコレが中心。1巻を読んだ感じだともうけんもほろろに家に居場所がなくて……みたいなのをイメージしていたんですがもっと入り組んでいたというか、父親もつらい立場なりに頑張ってるんだな……。

1巻の広瀬なんかもそうでしたけど、弟の克樹にせよ使用人の若竹にせよ様々な意味で美郷の存在に惹かれる──というよりはもう「囚われて」いるんだよなあ。これはもう色々な意味で美郷のほうも家を出ていく以外に道は無かったよねという感じ。かつての兄の影を求めて必死に追いすがる弟の手を振り払いながらも最終的にお互いに別の所で生きていくことで再び絆を取り戻す展開が印象的で、とてもよかったです。それにしてもいろんな男(年齢性別生死問わない)からクソデカ感情向けられまくる宮澤美郷、あらためて魔性の男だよ……。

相棒関係的には美郷と怜路が別々の事件から派生した一つの大きな事件を共に解決することで、改めてお互いを何でも話せる「相棒」として認め合いこれから一緒に事件を解決していくぜという流れでこれから続く物語がますます楽しみになりました。

それにしても白太さんが可愛いすぎてつらい。シャベッタアアア!!もそうですけど一人称が「しろたさん」ってあなた……。



魔王2099 3.楽園監獄都市・横浜

 

伝説の魔王――絶海の監獄島と化した“横浜”に降臨する!
統合暦2099年――奇怪なる未来世界にて、霧消した旧家臣の行方を追う魔王・ベルトールが降り立った次なる大都市は…… 「判決――横浜市にて、被告人を、懲役2099年の刑に処する」 地殻変動によって陸地から切り離され、絶海の孤島と化した『横浜市』。外界からの干渉を拒絶し続ける“楽園”とも称される疑惑の島に、囚人として潜入したベルトールだったが…… 「ここは神が管理する箱庭――世界平和を成す、最後の聖域」 魔王が辿り着いたのは“楽園”という名の“監獄”の支配者《父祖》が推し進める、想像を絶する最悪の計画だった――。 狂乱怒涛の楽園監獄都市に、魔王の新たな神話が刻まれる!

かつての腹心であった黒竜侯シルヴァルドの行方を追い、高橋を連れて第二横浜市に潜り込むベルトール。絶海の孤島と化したそこは偽りの神を抱くディストピアとなっていた。一方、その第二横浜市で善良な市民として生活を送っていた少女・青葉100Fは隣人の密告によって思想犯とみなされ、監獄送りになってしまう……。

勇者と魔王の背中合わせの共闘最高なんですが〜〜〜!!!(総力決戦なクライマックス最高でした)

実に2年ぶりとなる新刊は監獄島を舞台に繰り広げられる偽りの神と魔王の対決!画一的な存在であった一市民の青葉100Fと周りから外れたが故の葛藤を持て余す高橋の儚くも美しき心の交流!!魔王とその仲間たちが全力を発揮する最高のクライマックス!!!というのもめちゃくちゃに楽しかったんですけどそんなことより同じ監獄にぶち込まれた魔王ベルトールと勇者グラムの再びの共闘が最高すぎて最高になってしまいました。いや、だって同居してしまった(※同じ牢屋の意)が!?更には裸の付き合い(※シャワールーム)まで!?

魔王ベルトールと勇者グラム、かつては世界を賭けて戦った仇敵同士であるが今はむしろ世界に置いてきぼりにされた半端者同士の共感の方が強く、割と軽率に助力を求めるベルトールに対してグラムが塩(ツンデレではなく、共闘する程度の関係だがデレでやってるのではなく純粋に塩)なの最高とつねづねいい続けてきたんですけど、今回は特に命の獲り合いをしたからこそお互いの呼吸を知り尽くした関係であり、お互いの実力を信頼しており、目的を同じくさえすれば誰よりも安心して背中を預けられる関係でそこから生まれてくる阿吽の呼吸ぶりとシンクロ率バッチリな共闘シーンが美味しすぎるんですよね……最高……。

グラムとベルトールの話をし始めるとマジでキリがなくなってしまうので話題をもとに戻しますが、1巻・2巻ともに割とバトルは魔王ベルトールの独壇場になりがちだった本作、今回はマキナ・緋月・高橋も含めて仲間達が次々と本領発揮していくのが大変にアツかったです。1巻からヒロイン枠で割りといいところなしだったマキナ、そうだよな彼女も六魔侯の一角だったんだよ…。サポートに徹しがちだった高橋が青葉100Fとの心の交流を経てふっきれて大活躍する展開もめちゃくちゃ楽しい。彼らと共に戦う覚悟を決めた緋月、そして新たに仲間に加わったシルヴァルドの活躍も目覚ましいものがありましたし、なにより1巻から勇者グラムと魔王ベルトールの関係に注目していたので今回の利害一致からの共闘・背中合わせでの戦いっぷりには本当にニヤニヤしてしまいましたね……ごめんまたベルトールとグラムの話してる……。

戦いが進むにつれて明かされていく本当の敵と様々な真実。今後の展開への期待も含め、とても楽しかったです!アニメ化も決まったとのことで今後はコンスタントに続編が読めるんだよな?いやぁ楽しみだなあ!!!


余談ではありますが、ドラマガ最新号の「魔王2099」特集が魔王ベルトールと勇者グラムの総力特集だったのでよろしくお願いします。やばい。編集部もグラムとベルトールを推してる……時代が私に追いついて来てる……。

ドラゴンマガジン編集部(編集) 「【電子版】ドラゴンマガジン 2024年1月号 (富士見ファンタジア文庫)」
ドラゴンマガジン編集部(編集) (著)
KADOKAWA
発行:2023-11-17T00:00:00.000Z


歴史に残る悪女になるぞ 5 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!

 

悪女の涙を見られる男は……王子様だけ! 悪役転生記、号泣必至の第5弾!
ラヴァール国で為すべきことがある。 その一心で崖の上に咲くマディ採取にやってきたアリシア。 難所を乗り越えどうにか手に入れたと思いきや、魔力が尽きて崖から転落!!  そんなアリシアを助けたのは――どうして彼がここに!?  一方、デュルキス国では、アリシアの師ウィルの死期が迫っていた。 その事実をアリシアが知る時、悪女の歴史がまた動く!

ラヴァール国で出会った暗殺者の少年・レオンの弟の病を治すため、万能に聞く薬草・マディの採取にやってきたアリシア。崖から落ちそうになり絶体絶命のピンチを救ったのはデュルキス国にいるはずのデュークだった。一方、デュルキス国では同じ不治の病に倒れたアリシアの師・ウィルの容態を巡り、ジルが必死の奮闘をしていて……。

涙なしには見られないラヴァール国編クライマックス!

波乱万丈の人生を送りアリシアに計り知れない影響を与えた男・ウィルにまつわる最期の物語を語る上での場面の整え方がめちゃくちゃ凄かった。アリシアへの試練/魔法の返還という形で別々の国に居たふたりをひとつの舞台に上げてしまうのも凄かったし、何よりもデュルキス国内で常に最強の悪女であるために努力し続けてきたアリシアがラヴァールに追放されていたままでその時を迎えたのも彼女を「ただのリア」にするために必要なことだったんだなと。ウィルの病を救うことが出来る薬草が今そこに駆けつけることができないアリシアが入手していたやるせなさ、年相応の少女のような彼女の姿も含めて、本当に涙なしには見られないクライマックスで素晴らしかったです。

デュルキス国側の物語も、アリシアやウィルの庇護を離れた所で大きく成長していくジル、自分の弱さを自覚して立ち上がろうとするリズ…と、今後のアリシア帰国後が楽しみになる展開が目白押しで楽しかったです。そしてラヴァール国にまで美味しいところを浚いに来て他国の王子とバチバチしてるデュークにニヤニヤしてしまう。

これまで以上に不穏な種は見え隠れするけどどうなるのか。アニメ化おめでとうございます!(楽しみ)