「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」の永瀬さらささんの新作(といっても既に3巻まで発行されてますが……!)シリアスでかっこいいバトル要素とは裏腹な二人の恋模様が可愛かった!互いの事情やら意地やらで「相手を先に惚れさせる!!」といってお互いがお互いの掘った穴にずぶずぶハマっていく姿にニヤニヤする。
敵国皇帝×時間を逆行した元「軍神令嬢」のワケアリ恋愛攻防戦
婚約者であった王太子の黒い秘密を知ってしまい口封じに殺されたはずの令嬢・ジル。気がつくとそこは6年前の、王太子に婚約を申し込まれる直前のパーティ会場だった!?時間を逆行した彼女は王太子と婚約する未来を回避するため、未来の敵国の皇帝・ハディスと婚約を結ぶことに……。。片や少女らしい事もろくにできずに軍人としての腕を磨いた元「軍神令嬢」、片や竜神の生まれ変わりとして国内でも特殊な立ち位置にあった「竜帝」。恋愛スキルもあったもんじゃないワケアリな二人がそれぞれの目的のために「自分は相手に惚れたくないが相手を自分に惚れさせたい」と思ってしまい、拙すぎる恋愛攻防戦が繰り広げられるのがめちゃくちゃおもしろかった!胃袋を掴まれたり、イケメンすぎるジルのかっこいい行動に惚れ直したり……と、それぞれどんどん墓穴を掘っていくのが可愛くて仕方がない。胃袋を握られる展開は良いものですね。
ジルが自分の見た未来を話せないのと同じように、ハディス側にも「竜神ラーヴェ」と「女神クレイトス」の伝説を巡って色々と話せない事情があるらしい。しかもその事情は、ジルの元婚約者であった王太子ジェラルドやその妹スフィアにも関係のある話のようで……。ジルが未来の展開を知っているとはいえ、なかなか安易に先を見通せなさそうな展開が良かったです。お互いに話せない事情がありながら(そして若干ハディス側の事情に不穏なものを感じつつも)少しずつ距離を縮めていくジルとハディスの姿にニヤニヤしました。
とにかくヒロインがかっこよかった!!
恋愛はポンコツだけど、元々は軍人として戦場を駆け抜けた「軍神令嬢」であるジルがとにかくめちゃくちゃかっこいいんですよね。「悪ラス」のアイリーンも最高にかっこいいヒロインでしたがジルはまた別の方向のかっこよさがある。戦闘力だけではなく作戦立案能力もあり、軍人としても指揮官としてもパーフェクトな彼女の姿がかっこよすぎる(でも恋愛はポンコツだ)し、異郷の地で偶然巡り合った彼女の未来の元部下(というのも変な表現ですが…)達を指揮する姿に惚れてしまう。ハディスの身内に潜んでいる内通者の存在、そして婚約を回避しただけでは終わらなさそうな王太子ジェラルドとの因縁。色々な意味で問題は山積していますが今後どうやってそれらを乗り越えていくのか、とても楽しみです。