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「このラノ2010」を見て「性別秀吉部門」を再びねつ造してみた

今年も「このライトノベルがすごい!」で性別を間違えて投票されているキャラクターを集計して「このラノキャラクター人気ランキング:秀吉部門」を勝手にねつ造してみました。

得票数が一部除きとても少ないので普通に男女欄間違って投票してしまった人の票が混ざってるんじゃないかという予感がしますがまあその辺は冗談企画なのでお許しください。「こいつが入っている/入ってないのはおかしい!」という意見は受け付けません。

「このラノ」編集部の皆様ごめんなさい。
昨年度のランキングはこちら。

479667490X■ 参考文献:このライトノベルがすごい! 2010宝島社 2009-11-19

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■集計対象:「このラノ2010」でキャラクター部門にランクインした上位50人
■ランキング方法:今回から誤性投票率の高い順でランキングしています。
■得票数集計:総合結果から男女別部門に書かれている得票数を引いて計算しました。
■誤性投票率:「異性部門で獲得した票数÷総得票数」で算出してます。




「性別:秀吉部門」ランキング


(→) 第1位 : 木下秀吉 (バカとテストと召喚獣)
[性別 : ] [得票数 : 132pt / 73票(-19pt/+5票)] [誤性投票率:28.19%]
男子キャラクター部門二連覇・女子キャラクター部門では7位という大健闘しすぎな第三の性。
編集部談によると男女両部門に投票して無効票にされた票を含めたら、女性部門でもぶっちぎっていたとのこと。つまり、純粋に女性部門で秀吉に投票した人はもう100pt分程度はいらっしゃったということに……ゴクリ。
来年はアニメも始まる事ですし、この「秀吉旋風」がどこまでいってしまうのか、楽しみなような怖いような。

(↑) 第2位 : 吉井明久 (バカとテストと召喚獣)
[性別 : ] [得票数 : 6pt / 5票(+3pt/+2票)] [誤性投票率:6.49%]
性の境界線にフリーダムな「バカテス」がワンツーフィニッシュという恐怖のトラップ!
やはりトドメは6.5巻の「僕と海辺とお祭り騒ぎ」でしょうか。「校内一女装が似合う男子(除秀吉)」という不名誉な称号を持つ主人公。決めるときはそれなりに決めてくれるんですけどねえ……


NEW! 第3位 : シューフェン (蒼海ガールズ!)
[性別 : ] [得票数 : 3pt / 1票] [誤性投票率:5.00%]
「おと×まほ」を擁するGA文庫の期待のニューホープ(男の娘的な意味で)。
男子禁制の軍艦・ビシャスホースに正体を隠して乗り込むことになった皇子・シューフェンがランクイン。ちょうど今月最新刊が発売されたのですが聞こえてくる感想を見る限り、色々と凄かったご様子です(※リンク先ネタバレ注意)
…実はまだ読んでないので近いうちに手を出してきます!

NEW! 第4位 : 八九時真宵 (化物語)
[性別 : ] [得票数 : 3pt / 2票] [誤性投票率:4.65%]
今年バカテスに次いで大健闘だった「化物語」の毒舌小学生がランクイン。
……特に性別不詳的エピソードはなかったので、投票欄の書き間違えっぽい気がします。
2票だし。


(↓) 第5位 : キノ (キノの旅)
[性別 : ] [得票数 : 3pt / 2票(-4pt/-1票)] [誤性投票率:3.17%]
今年もランクインのキノさん。序盤と比べるとその風貌にも少しずつ女性らしさが加わってきたような気がしますが、2年連続男子票が入っているという事はやはりまだまだ「性別不詳キャラ」のイメージが強いのかもしれません。
それにしても、13巻表紙のキノの可愛さは異常(関係ない)


6位以下


基本的には書き間違いだと判断してよいかと思われる人々のあたり。

キャラクター名(作品名)性別票数コメント
川村ヒデオ
戦闘城砦マスラヲ
5pt / 2票
(誤性投票率:3.07%)
ヘタレニートだけど、最後に「男」を見せてくれました。
藤和エリオ
電波女と青春男
3pt / 1票
(誤性投票率:2.32%)
実は読んでないのでノーコメントで…
阿良々木暦
化物語
8pt / 3票
(誤性投票率:2.14%)
「設定画のない主人公を実は女かもしれないと思いたくなる」の妙。
しかしアニメではグラフィック出てたのに…
戦場ヶ原ひたぎ
化物語
2pt / 1票
(誤性投票率:1.36%)
彼女はどんな男性よりもオトコマエだと思います。
琴吹ななせ
文学少女シリーズ
3pt / 1票
(誤性投票率:1.21%)
きっと投票間違いだ、そうに違いない……
井上心葉
文学少女シリーズ
3pt / 1票
(誤性投票率:1.2%)
コノハちゃんだから仕方ないね!!!
みーくん
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん
1pt / 1票
(誤性投票率:0.88%)
「設定画のない主人公を実は女かもしれないと思いたくなる」のry
票は少ないけど、2年連続ランクインと言う……
 


ぐらシャチ

 
双 

この春高校生となる少女・秋津島榛奈は、全国うっかりランキング10位以内にノミネートされる(弟・孝雄談)以外はごく普通の女の子。海辺で祖母の形見であるオカリナを吹いていた彼女は、急な高波にさらわれたところを「ある生き物」に助けられるのだが──?そしてその「出会い」から、榛奈の日常は少しずつ波乱を含み始め、そして──。『ダブルブリッド』の中村恵里加が贈る、かなり奇抜なボーイミーツガール&ファーストコンタクト・ストーリー、満を持して登場!(公式サイトより)

個人的お気に入り度数

ちょっとぼんやりしてるけど普通の女子高生が言語を解する不思議なシャチと出会う、ガールミーツ謎の未確認生物モノ。

感想:すごくいつもの中村恵里加だった!!
どこか飄々としたキャラクター達が淡々と創り上げる独特の爽やさとグロさが共存する不思議な空間は、もう読んだことある人なら「中村恵里加でした」と言う感想ひとつで片づけられそうなレベル。

主人公の榛奈と謎のシャチ・グラボラスとのちょっぴりピントのズレたやりとりにニヤニヤしていたら、徐々に雲行きが怪しくなってきて……中盤以降は人間とは別種の生き物であるグラボラスの持つ無邪気な残酷さがグサグサ刺さるように。グラボラスの無邪気な好意を素直に受け入れられず、少しずつ疑心暗鬼と自己嫌悪にかられていく榛奈が見ていて痛々しいのですが、正直同じ状況に遭遇したら普通は疑心暗鬼くらいにはならないとおかしいよ!無差別動物殺人の時はひそかに、いつ飼い犬が犠牲になるのかと戦々恐々でしたとも。

基本は榛奈とグラの関係に終始するこの物語ですが、個人的にはグラ(というか…モゴモゴ)の友人となる平八が好きだったなあ。別人のようになって奇妙な言動を繰り返すようになった親友に戸惑いながらも当たり前のように受け入れ、新たな関係を築いて行こうとする姿に彼の人間としての大きさを感じる。

1巻完結と言われても不思議ではなさそうな本編だけど、続編があるなら平八さんにはもっと大きく活躍して頂きたいところ。こっそり2巻を楽しみにしてみたいと思います。
とりあえず、中村恵里加作品好きならオススメ!読んだことが無い人は、入門編として是非。

それで、ソウル・アンダーテイカーの2巻まだー?


4840229430ソウル・アンダーテイカー (電撃文庫)メディアワークス 2005-02

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週末に知らない世界をのぞいてきた

先週末はなんか思い立って美少女小説まとめ読みをしてました。といっても2冊。
基本的に読んだ小説は全部感想を書くのがポリシーだったのでどうしようかとおもったのですが、正直記事にするほどの感想も無いのでまとめて軽く感想を書いてお茶を濁してみます……


4860328035借金お嬢クリス 42兆円耳を揃えて返してやりますわ (あとみっく文庫 4)
[著]筑摩 十幸 [絵]了藤 誠仁
キルタイムコミュニケーション 2009-09-30

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突然父親の背負った42兆もの借金を返済しなくてはいけなくなったお金持ちのお嬢様が、人外の魔物とかに魂とか色々狙われながらも謎のエロ精霊の力を借りて頑張る話。学園異能っぽい要素があるにはあるんですが、基本的にエロの幅を広げるために異能要素取り入れてる感じ。メインの設定は結構面白いなあと思ったんだけど、結局最後までエロの据え膳だったのが勿体無く感じました。どこが“「今のラノベじゃ物足りない!」と思っている人へ”なのか良くわからない!!!

まあでもエロスは濃厚だったのでこういうレーベルとしてはそれでいいのかもしれない。異能バトル×エロといったら触手はお約束ですね!!しかし、その後の電車での対決では、痴漢率高すぎる車両に噴いた。いやきっと、魔法パワーで痴漢がホイホイ寄せ集まってきたとかそういう設定に違いない。あとこの作品世界の現代日本人はかよわい(?)オンナノコに冷たすぎると思います……。

全体的にお嬢様が陥落するのが早すぎるように感じたけど、考えると無理矢理な展開が多い割りには、実際に敵側にきちんとヤられる展開は一度もないのか。正当な相手である武装精霊くんになんとしても初めてを奪わせて、そこを着地地点にしたいのかなーみたいな熱意を感じましたが、これだけの展開になってると正直、「“はじめて”もへったくれもないよ!」って感じがする。

個人的には○○○メイドのレイさんがなかなか良いキャラだと思ったのですが、序盤でちょっと活躍したっきり空気となってしまったのでとても悲しいです。……え、これ、続き物なの…?


4829658975お姉ちゃんの弟くん (美少女文庫)
[著]真慈 真雄 [絵]しぐにゃん
フランス書院 2009-09-20

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初・美少女文庫登頂完了。ブラコンお姉ちゃん2人とシスコンな弟くんが3人でみだらな関係になるお話。その前に読んだ「借金お嬢?」とは逆の意味でエロエロだった。所構わず乱れまくりな姉弟の姿に、お姉さんどこからつっこんだらいいかわかんないよ!!

一番凄かったのがラストで、弟を女装させてデパートの下着売り場をつれまわし、最後はトイレで仲良く…(以下自主規制)。とりあえず、弟総受の認識で宜しいのか…いろんないみで。そしてとりあえず、この小説のラストが警察呼ばれてわいせつ物陳列罪で留置所行きだと信じたくなった私がいてもそれは仕方ない事だと思う……おまえら……ちょっとでいいから忍べ!!!何故読んでる私が、いつ外の人に矯声を聞かれて警察呼ばれるかでハラハラしなくてはならないのだ!!!

ストーリーは良くも悪くも無理の無い展開でしたが、正直単にエロばっかりでストーリーがないよね、とも。まあでもこういうレーベルとしてはそれでいいのかも以下略。




いや、でもそれなりに面白かったですよ!!
未知の世界をのぞいてきた、的な意味で。



Gosick 〜ゴシック〜

 

日本から西欧の小国・ソヴュールに留学している少年・久城一弥はひょんなことから図書館の塔の上に居る変わり者の少女・ヴィクトリカと出会う。ある日、殺人事件の解決に協力したヴィクトリカへのお礼としてヨットクルージングに出かけた二人は“幽霊”が現れると言う船の事件に巻き込まれ、その謎に挑むことに…

個人的お気に入り度数

今のうちに買わないと挿絵つきで読めなくなっちゃうよ!」という脅迫観念(違)の元、今更読み始めました。(←どうやら挿絵付き「Gosick」が別途出るようですよ!)第一次世界大戦後のヨーロッパの小国を舞台に、日本の帝国軍人三男の少年が少し不思議な女の子に振り回されるというおはなし。同じミステリー文庫の「しずるさん」シリーズのような、安楽椅子探偵モノなんだとなぜか思い込んでいたのですが、普通にミステリーしてました。

ヨットに乗りにきたはずが、なぜか不吉な噂を持つ“幽霊船”に乗ってしまい、噂の通りに同乗者がどんどん死んでいってしまうという状況の中、見た目は可愛らしい少女なのに、老獪な印象を持つヴィクトリカが時々垣間見せる少女らしい一面が可愛らしかった。作家・桜庭一樹というと「推定少女」や「少女には向かない職業」のイメージが私の中で非常に強く、そういう作品と比べると「Gosick」は「らしくない」印象を受けたのですが、読み終わってから再考すると、「EVE THE LOSTONE」が持っていた雰囲気に近いのかなあとか思いました。いえ、展開が無茶すぎるとかそういう意味ではなく、あくまで持ってる雰囲気が!逃げ場の無い閉鎖空間の中で、徐々に“死”が間近に迫ってくる感覚とか、そういうあたりが。過去の「QueenBerry号」での、エレベーターのトラップはトラウマすぎる…。

ミステリーというよりは少年少女の冒険話として面白かったです。Twitterで「角川つばさ文庫から出せばいいのに」という意見を見て「なるほど」と思ったのですが、青い鳥文庫とかと一緒に並べたい気がします。

個人的に、「あわせて読みたい」児童文学は「クレヨン王国と水色の魔界」。
1円玉の話がトラウマすぎる。


406147295Xクレヨン王国水色の魔界 (講談社 青い鳥文庫)三木 由記子
講談社 1991-06-15

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「このライトノベルが凄い!2010」投票はじまったようです

というわけで今年も「このライトノベルがすごい!」の季節がやってまいりました。
10月6日投票締め切りのようなので、ライトノベル好きの皆様は忘れないうちに投票してくるといいですよ!



本年度は人気作品の完結が非常に多くて、その辺りがどうランキングに絡んでくるか注目な気がしますね、と適当な分析っぽいことを言ってみたり。特に「とらドラ!」は強そうだなあ……

あと個人的に見物なのはやはり男子・女子キャラクター部門。

前回女性ランク10位・男子ランク1位という驚愕の結果を生み出した木下秀吉がどこまでのし上がるかとか、毎年投票してた相良宗介の居ない男子部門最後の1枠を誰にするかとか、今年も非常に悩み多き部門となりそうです(ピンポイント炸裂)

去年の男子ランキングトップ10内だと、アニメ化で知名度を上げつつある(ような気がする)阿良々木暦(化物語)や杉崎鍵(生徒会の一存)、井上心葉(文学少女シリーズ)吉井明久(バカとテストと召喚獣)に男子TOP5常連組の高須竜児(とらドラ)&上条当麻(とある魔術の禁書目録)の電撃文庫アニメ化コンビがどう立ち向かうのかにも期待したいところです。しかし、去年のトップ10はある意味鉄壁過ぎて、誰一人として10位以下に落ちない気がしてならない…ムッツリーニとかそろそろ上がってきそうな気がするけど、そうするとバカテスキャラが3人もランク10以内にいることになるし、キツイかなあ。

…秀吉は、男子部門では鉄壁でしょう。元々投票者の割合が男子方面に傾いてそうなランキングだし。
そろそろ男子部門女子部門両方で1位とかいうアホなことになってもおかしくない気がする……


4796666958このライトノベルがすごい! 2009宝島社 2008-11-22

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投票してきたので、投票した作品を覚書。

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神様のメモ帳4

[著]杉井 光 [絵]岸田 メル

四代目からの依頼で、平坂組の手がける音楽イベントの手伝いとして借り出されたナルミ。ところが、イベントを妨害しようとする勢力が現れて、話はどんどんきな臭い方向に。事件の裏には、かつて四代目とともに「平坂組」を作り上げた男・平坂錬次の影が見え隠れする。同じ頃、ナルミは関西弁を使う男と出逢い、友達になるのだが…
   個人的お気に入り度数
ニート予備軍の主人公と妙に有能なニート達と、「ニート探偵」を名乗る不思議な少女・アリスが繰り広げるミステリー第四弾。

ナルミが、ナルミが有能な子になってるーーーー!?
これまでのナルミは結構、他の有能ニートたちの才能を指くわえて見てるだけで、あとは結構口だよりっぽい印象があったのですが、仲間達からも言われまくっている通り今回は意外な才能を発揮していきます。四代目の主催するイベントの広報担当として如何なくその「口先三寸」という能力とこれまで得た人脈を発揮する姿が輝いてる。しかし、その割りにナルミが将来ニートになる気マンマンなのはどうなんですか(笑)ここに、「NEET探偵事務所」に集う新たなハイスペックハードボイルドニート誕生の瞬間を見た気がする!!!

義兄弟の契りを結んだ四代目と、何も知らずに「友達」として出会った平坂錬次との確執の間に挟まれて苦しみながらも「なんとかしたい」と奮闘するナルミの姿にニヤリとする。これまでの彼なら、こうもアクティブには動き回れなかったでしょう。もちろんこれまでのようにへこたれたり、仕事を投げ出しそうになったりはするんだけど、それでもギリギリの所で踏みとどまり、或いは仲間達から叱咤激励を受けてふたたび立ち上がっていく姿が良かったです。そして、そんなナルミだからこそ、クライマックスの平坂組の面々へのタンカが言葉の表面以上にかっこよく思える。ほんと、ナルミは成長したなあ。

これまでのように「有能でハイスペックなニート達が、(依頼されれば)事件をあっさり解決するよ!!」みたいな部分が薄くなった分、ナルミがもがき、足掻き、それでも挫けずに前に進んでいく姿が印象に残る一冊でした。ナルミかっこいいよナルミ。あと四代目と平坂とその周辺の人間関係が腐った目でしか眺められないよ!!!(だいなし)

ところでイベントのプロモーションを手がけた音楽バンドというのが、さりげなく同作者の某作品を匂わせているのがまた。バンドのメンバーは直接的には登場しませんが、もろにその正体を匂わせる描写の数々にニヤニヤします。

484024071Xさよならピアノソナタ (電撃文庫)メディアワークス 2007-11

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…あれ?「女ばかりのバンド」?「大切な人はいなくなってしまった」?
ひょっとしてこのあたりの話は、10月発売の短編集への伏線?
いや、某エロゲーみたいに主人公がネタとして女装してる可能性もすてきれな(強制終了)

B001KBYQLCキラ☆キラ~Rock'n Rollshow~(通常版)プリンセスソフト 2009-02-26

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大正野球娘。

 

時は大正14年。洋食屋の娘・鈴川小梅は女学院の親友・小笠原晶子に誘われ、級友達と“野球”というものをやることに。まだまだ女性が男性の後ろに隠れているような世の中で、男子を見返そうとして手探りで立ち上がった彼女たちだが…!?

個人的お気に入り度数

大正時代を舞台に、良家のお嬢様達が試行錯誤しながら男性を「野球」で見返そうと頑張るお話。

以前読んだ同作者の征服娘。が結構ドツボだったのでこれもハマるんじゃないかなあと思ってはいましたが、予想以上に面白かった!もうとにかく、娘さんたちがとっっっっっても、めんこい。良家の子女としての分別と、年相応の少女としての無邪気さを併せ持った彼女達のやりとりに、どうしようもなく胸がキュンキュンする。ああもうこの娘達の頭をなでなでしたいっ!!!

とにかく各キャラが魅力的で、彼女達の挙動挙動を見ていくのが楽しい。シスコン気味な静やツンデレ全開な環が次第にデレてくる描写が可愛いのなんの。そして、良家のお嬢様であり、様々な個性・才能を持っている彼女達が皆、様々な理由で平凡な主人公である小梅を愛しく感じているのがまた。特に巴と小梅のやりとりは、真っ先に彼女の「小梅LOVE」な心象描写を見せ付けられたあとだと、もう彼女が冷静な態度の裏でどんなことを考えているか…と想像するだけで楽しくなってしまう。小梅と許婚の三郎さんが、どこかたどたどしいながらも少しずつ親密なお付き合いになっていく姿も良かったなあ。

大正時代に生きた人々の息遣いが今にも聞こえてくるような物語の描写も素敵。特に食べ物の描写がおいしそうすぎて、空腹時に読むのはやばかった。淡い色のソーダ水、牛の骨から作ったドミグラスソースをかけたふわふわのオムライス、美味しい塩で握った「ご飯の味を楽しむための」おにぎり、大口をあけないとかぶりつけないサンドイッチ、食べる人への気配り満点な稲荷寿司……などなど、とにかく本当にご飯がおいしそうだったなあ…猛烈にオムライス食べたくなりました。つか3巻のタイトルが「たこやき娘」なのが超気になるんですけど!!!

しかし、キャラクター描写も大正という時代背景も、様々な嗜好を凝らして男子に対抗するための策を練り上げる姿もしっかりと描かれている割に、実際の試合シーンがちょい尻切れトンボな印象を受けるのが気になるかなあ。まあ女の子達のキャッキャウフフが楽しかったので正直野球シーンはどうでも良いですが。

ところで征服娘。の2巻はそろそろ諦めた方がいんですか?
密かにずっと待ってるよ!!!


4086304023征服娘。
(集英社スーパーダッシュ文庫)
集英社 2008-01-25

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紫色のクオリア

 

女子中学生の女子高生・波濤マナブは自分以外の人間がすべて『ロボット』に見えるという毬井ゆかりと出会い、その秘密を知ることに。彼女の瞳が持つ不思議な能力を知りながらもそれを受け入れ、親友としてかけがえのない時間を過ごしていたが、ゆかりの周りで奇妙な出来事が起こり始めて…!?

個人的お気に入り度数

「悪魔のミカタ」のうえお久光と「JINKI」の綱島志朗が贈る、コラボレーション小説。生きている物がすべてロボットに見えてしまうという力を持つ少女と、彼女を巡る事件を描く異能系SFモノです。

久しぶりに完全な絵師買いだったのでどうなることやら不安だったのですが、めちゃくちゃ、面白かった!前半のちょっとゆる?い空気のSFっぷりも素敵ですが、後半以降のダークでハードな展開も凄いツボ。巻末オマケ4コマはニヤニヤ連続だし…いやあ、本当に最初から最後まで全力で楽しめた!オマケ4コマの七美の可愛さは異常と言いたい

序章の「毬井に関するエトセトラ」では、生き物をロボットという「無機物」という形でしか捉えられないゆかりと、親友としてゆかりのすべてを受け入れようとするマナブと、彼女の能力を受け入れられないが故にゆかりと距離を置いてしまったかつての親友・七美という3人のやりとりを中心に描かれます。視点を中心にその五感だけが特異な力となってしまっている彼女とどのように付き合っていくかという物語なのかとおもったら、最後で彼女の持つ思わぬ能力の真実が明かされ、ゾクっとなりました。特に、『殺人犯』の末路についてはゆかりに一切悪意がなさそうなのがなんとも……!!

しかし、物語は後半の「1/1,000,000,000のキス」に入ってから更に一変。っていうか一変してからが本当にすごかった!!前編のネタバレに触れまくりなのでどこから語ればいいのかわかりませんが、一言で強引に表現するなら異能+ヤンデレ+百合+ループもの。ゆかりの持つ性格のせいか、どこか暖かな雰囲気が流れていた前編とは打って変わってシリアスでハードな物語が展開されます。どこか胸の中で自らのやってきたことに間違いを感じながらも、それを永劫に認めることはできないという所まで来てしまったマナブの想いがとにかく痛くて、胸に重く圧し掛かる。

何度となく未来への分岐を辿っても、自分すべてを投げ打ってでも変えたかったたった一つの「確定された運命」だけは覆す事が出来ないという展開は先日読んだばかりの「運命のタロット」シリーズを思い出しました。

“彼女”にとってあまりにも永い時を経て、漸く望んだ結末にたどり着いた時には思わずジーンとしてしまったのですが、そうしたら…ラストが!前編でちょろっと出てきたものの普通にゆかりの能力の一部なのかとあまり気にしていなかったのに、のに!!様々な意味で深読みしてしまうラストの展開に、再び背筋が寒くなった。ハッピーエンドだと思ってたけど実は……なんてことがあったらと思うともう、恐ろしすぎます。しかしそれが良い。

ところで、綱島志朗というとJINKIもいいけどデビュー作「LIFE:ERRORS」の大ファンだった私がここに居る訳ですが、「紫色のクオリア」と「LIFE:ERRORS」って雰囲気似てるよね、と呟いてみる。最初設定の割にはギャグ率高めなSFだったのが徐々にハードな展開に化けるあたりとか、ほのかに香ってくる百合臭とか、最後の方に主人公が色々な意味で病む辺り(待て)

4861270243LIFE:ERRORS 1 (ブレイドコミックス マスターピースコレクション)綱島 志朗
マッグガーデン 2004-03-26

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七夕ペンタゴンは恋にむかない

 

七夕の日に必ず雨が降る星無町に7年に一度だけやってくる“晴れ七夕”の日に、永遠の友情を誓いあった5人。幼いころ両親を亡くした湊は、5人の友情がいつまでも続くと当たり前のように信じていたが、その期待はあかりの唐突な転校によって裏切られることに。それから2年後、高校生になった彼らの元にあかりが再び現れて…

個人的お気に入り度数

七夕に関する不思議な伝承が残る星無町に住む5人の幼馴染達が繰り広げる、少し切ない恋と友情のお話。表紙の魅力がとてもヤバイ。「ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート」もかくやというほどの吸引力。あらすじと合わせて突発買い余裕でした。

少しずつ大人になるにつれて変化しはじめた4人の関係が、とある想いを持って帰還した5人目の少女・あかりの存在によって明確な不協和音を奏で始める姿が切ない。年不相応に子供っぽい考えを持ち、ひたすら空気が読めない湊が彼らの関係を保とうとして立ち回るのですが、読者側からみると踏まなくてもいい地雷を片っ端から踏んでいるようにしか見えず、中盤はいつ彼らの間にある薄い氷のような関係を踏み砕いてしまうのかが心配で心配でなりませんでした。

一方で、既に“大人”としての考えを持った上で5人の幼馴染関係を大切に思っている橙との対比が印象的。「最近一緒に帰れなかったから疎遠になったみたいな気がした」と言う湊に対し、「そんなことで距離が出来るような関係なら本当の親友関係ではない」と思っている橙。作中では深く語られないけど、本当に5人の関係を尊んでいたのは彼なんじゃないでしょうか。

そういう意味で個人的には、タイトルが素晴らしいと思う。綺麗な「ペンタゴン(5角形)」を形作るためには限りなく全員が全員に対して同じような距離感を持っていなくてはならなくて、彼らが恋をすることによってそのペンタゴン内の距離感が崩れ、歪な形になってしまうという意味なのかな、と。それに気付いてペンタゴンを壊そうとするあかり、形に拘らず新たな関係に進もうとする橙、意識的に関係を保とうとする伊緒。そしてその「ペンタゴン」という形に拘泥していた湊が恋によっていつまでもその形ではいられないということを自覚し、彼らと新たな関係を築いていく事を受け入れるという物語なのではないかと思う。鈴は空気だったのでどういうスタンスだったのか良く判りませんg……ゲフンゲフン。

一方、終盤であかりとの関係に決着がつかないまま突然トンデモ設定が展開され、伊緒と主人公の恋愛関係に主軸が移ってしまうのには少し疑問を覚えました。序盤から少しずつ不穏な伏線が張られ、読者の興味を惹きつけていったあかりの物語は途中からいきなり入ってきた伊緒の物語によって結末を明確に語られないまま終わってしまうし、一方で伊緒の物語はトンデモ設定な割に序盤で彼女の存在感がイマイチ高くないせいかかなり強引に挿入されている印象を受ける。どちらの物語もとてもよかったのですが、良かっただけにちゃんと語られていないのが残念でした。せめて湊・伊緒・橙が織りなす三角関係の結末くらいは描いて欲しかったなぁ。



しまった!!これ明日読めば七夕ドンピシャだったのに!orz



余談ですが、「田舎町に住む幼馴染達」「恋によって変わりゆく関係と変わらぬ友情」「流れ星に掛けた願い」というキーワードから、どうしても「キラメキ☆銀河町商店街」を思い出した私が居る。
不思議要素はないけどこの物語の幼馴染成分や青春成分にキュンとなった人は読むといいよ!併せてお薦め。
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