ページ 44 | 今日もだらだら、読書日記。

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自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?3

 

裏世界最強の男である事実を隠し、ゲーム至上主義の学び舎―私立獅子王学園に通う砕城紅蓮は、全校を巻き込んだ『生徒会選賭』に参加させられた。だが、最終選の“フェイクポーカー”で、妹の可憐が御嶽原水葉と生徒会長・白王子透夜の奸計により敗北。兄妹の接触が禁じられ、最愛の妹を傷つけられた紅蓮は、生徒会全員に対して宣戦布告した。「徹底的に潰して、わからせてやるよ。お前が捨てたもの、お前が傷つけたもの、それがどれほど俺にとって尊く、かけがえのないものだったのかを」―学園を支配する獅子たちはこの日、『不敗の伝説』の悪魔じみた策謀に翻弄されることになる。今、最も熱い学園ゲーム系頭脳バトル、神話再誕の第三弾!(「BOOK」データベースより)

 御嶽原水葉との勝負に敗北し、兄との接触を禁止されてしまった可憐。徹底して勝負を避けて来た紅蓮は、その命令を撤回させるため、生徒会との全面対決に打って出る。そこで提示されたのは5vs5の団体戦で……。

 生徒会役員との団体戦がメインで、脱出ゲームや人狼ゲームとかその手のやつが好きな人にも勧めたい巻。特に終盤のメインとなる、人狼亜種ゲーム面白かった。

 今までずっと砕城兄妹の関係性が中心だったけど、兄との接触ができないことに苦しみ、紅蓮と共闘することになった仲間たちに文句つけつつも裏からトリックスター的な役割を担う可憐の姿が新鮮。利害関係の一致的な部分があるとしても兄関係以外で友人がいたことにほっとしました……。

 紅蓮とチームを組むことになった楓・桃香・朝人のキャラクターがぐっと掘り下げられて、そういう意味でも楽しいお話だった。楓の葛藤と成長を通して、紅蓮の主観からでも信奉者である可憐からの視点からでもない「遊戯者」としての紅蓮の姿が見えてくるのが面白い。あと、桃香は良い意味でワイルドカード的な存在になりましたね……単体では弱いけど、団体戦の中に混ぜてみると気負いなくナチュラルに場をひっかきまわしてくれる姿が楽しい。

 行動目的が明らかになった朝人は2巻までのどこか得体のしれない雰囲気から一転して、予想以上に人間らしいキャラになったなあ。“信頼できる人間”ではなく、“利害の一致を見て結託している”という相互認識を元にして生まれた紅蓮との共闘関係が大変美味しかった。

 それはそれとして「イイネ稼ぎゲーム」が最高にご褒美です本当にありがとうございました。

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典10

 

現世への復活を果たした魔人・アセロ=イエロによる、フェジテ崩壊の術式―“メギドの火”。その発動を防ぐべく、グレンたちは、学院、そして宮廷魔導士団の総力を結集する。「やつを倒す可能性のある手段は…ある」グレンのワイルドカード。その切り札を使用するために、グレンはもう一度、血に染まった過去の自分と向き合うことに。「ここに居ちゃいけないんだって…皆に甘えていた」そして、その出自が周囲に知れわたり、身を犠牲に戦うことを決意したルミアの前には、もうひとりの自分が現れ…世界が破滅に向かう時、二人は自身の罪と過去に対峙する! (「BOOK」データベースより)

 “メギドの火”という術式を使ってフェジテの壊滅を目論む魔人。魔人を倒す秘策はグレンが持っているというが、当のグレンはどこか浮かない顔。また、ルミアの素性が生徒達の間に知れ渡ってしまうこととなり……あとがきで「折り返し」と触れられているとおり、まさに第一部クライマックスという感じの巻。

 今まで出会った全ての味方や好敵手たちが力を合わせてフェジテを滅ぼさんとする巨大な魔に立ち向かうという、最高に燃える展開。いやもう、グレンたちや特務分室の面々やグレンの教え子達(特にギィブル)がかっこいいのはともかくとして、ハーレイ先生があんなかっこいいのずるいでしょ……ハーレイ先生、いつもグレンに食って掛かるいけすかない頭でっかち教師というイメージが強かっただけに、この窮地に打って変わって教え子たちを守るために率先して命を張る姿がかっこよすぎました。

 そして、グレンの教え子達がそれぞれ人間的にも「魔術師」としても成長した所を見せる一方で、その教えを受けなかった生徒たちの葛藤が良かった。一度は恐怖に負けてルミアや周囲の状況に責任転嫁して逃げ出して、それでもなんとか震えながらも立ち上がる展開が熱い。自分を顧みずに戦うルミアの姿が生徒達に勇気を与え、その生徒達の声が、今までルミアが押し隠してきた自分の気持ちに素直になるための勇気を与えるという流れが、本当に最高でした。

 ルミアにとってもグレンにとってもこれまで向き合えなかった「過去」と向き合うための話で、システィーナや生徒達にとっては多分ひとつ成長して「前」に踏み出すための話で、だからこそそんな中でただ一人、立ち上がる勇気を持てずに彷徨うイヴの姿が印象的。なんか個人的には本当に憎めない人なんだよな……終盤の出会いが再起の礎となるのを信じて、そのお話は改めてじっくりやってほしい。これまでの因縁を精算しつつ今後への伏線も忘れない第一部クライマックスで、これから始まる後半戦の物語が楽しみでなりません。

 それにしても色々見どころはあったけど空の上と地上という離れた場所に居ながら連携しちゃうアルベルトとグレンのツーカーっぷりが個人的に最高のご褒美です本当にありがとうございました!!!あとジャティスがほんとうにジャティスすぎて好き。

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博多豚骨ラーメンズ

 

福岡は一見平和な町だが、裏では犯罪が蔓延っている。今や殺し屋業の激戦区で、殺し屋専門の殺し屋がいるという都市伝説まであった。福岡市長のお抱え殺し屋、崖っぷちの新人社員、博多を愛する私立探偵、天才ハッカーの情報屋、美しすぎる復讐屋、闇組織に囚われた殺し屋。そんなアクの強い彼らが巻き込まれ、縺れ合い紡がれていく市長選。その背後に潜む政治的な対立と黒い陰謀が蠢く事件の真相とは―。そして悪行が過ぎた時、『殺し屋殺し』は現れる―。第20回電撃小説大賞大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 アニメが面白かったので手を出しました。殺し屋が市民の3%を占めると言われている街・福岡を舞台に、様々な『殺し屋』たちがそれぞれの獲物を求めて暴れまわるお話。

 「これは好きそうな気配がするぞ」とおもって思わず原作読み始めたら予想以上に馬場と林の関係性が大好きなやつだったのでとても満足しました色々な意味で。林が女装している理由とか、予想以上に過去の自分へのコンプレックスやらなにやらを拗らせてる感じで大変好きです。幼い頃から与えられることを知らないで育った林が、はじめて見返りなしに何かを与えてくれた馬場に対して段々懐いていくのが大変ニヤニヤするし、それを踏まえてのクライマックス後のやりとりは反則じゃないですかね……エピローグで完全にただのケンカップルになってるのなんなんだ……ファンサービスかなんかかな(誤解)。

 普段は普通の人間でありながら仕事を請け負えば淡々とそれをこなしていく『殺し屋』たちの裏表のある世界。ひょんなことから殺人請負会社に就職してしまった一般人・斉藤が自分の過去を思い悩みながらも慣れない福岡の街と彼等が裏の世界で巻き起こす事件に翻弄されていく姿が楽しかったです。アニメでは今の所(確かまだ3話)軽くしか触れられていない、登場人物それぞれの事情がわりとしっかり描かれているのでアニメから入っても楽しめんじゃないかと。(というか斉藤の過去の話はわりあい1巻のキモだと思うんだけど触れないままでどう落とすんだろう…)

 それぞれが追いかけていた別々の事件が、最終的に一つの大きな事件へと流れ着いていくという流れがとても好きで。色々な所でニアミスしていた彼等が少しずつ同じ目的の為に集まっていくのに、とてもわくわくする。そして、一件落着とおもいきや、一気にこれまでの展開を疑い返す羽目になるような終わり方。「どこまで」が「誰」の手のひらの上だったのか?最後の最後で煙に撒くようなおわりかたがとても良かったです。

 受賞作ということもありわりかし綺麗に1冊で終わってる感じなので2巻はどう続けるのかな。続きも楽しみ。

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幸運なバカたちが学園を回す1 〜豪運ザコとカワイイ幼馴染〜

 

矢内総流はかなり特異な運の持ち主だ。たとえば、ソシャゲでお気に入りのキャラが欲しくてガチャを回せば、まったく興味の欠片もないSSRを引いてしまうような、いわゆる“要らない幸運を引く”体質だった。そんな、人とは違う妙ちくりんな幸運を持った総流が―すべてが“運”で決まる学園に入学してしまった!時間割、食堂のメニュー、席替え、試験…学生生活に欠かせない、ありとあらゆるものが運試しによって決まるというとんでもない学園。そんな学園で総流は、小学校以来の幼馴染と再会する。…が、総流にとっては、それすらも“要らない幸運”だった!?これは、全然嬉しくない幸運を持つ少年と、愉快な仲間の物語。 (「BOOK」データベースより)

 ガチャ運が全ての学園で、「要らない幸運」ばかりを引き寄せてしまう主人公とちょっと運の偏ったクラスメイトたちが運に振り回されつつも楽しい(?)学園生活を送るお話。

 後述する時間割等の問題は置いておいて、ガチャを回すための「ポイント」がランダムで現金だけでなくいろんなもので消費されたり(カロリーガチャを死ぬほど回したい)、集団での意見統一ができればガチャの内容を変更できたり…と、割合様々な抜け穴のある学園のガチャシステムが面白い。「要らない幸運」を引き寄せる主人公を筆頭に各キャラクターたちにガチャ運の偏りがあり、それを戦略的に利用していく展開も楽しかったです。

 主人公・総流とその悪友である和光、幼馴染ヒロインであるレナとの関係性はまあ悪友萌え幼馴染ヒロイン好きとしては普通に美味しいやつなんですけど、しっかりものの義妹・みらいとの兄妹関係がなにげに好きでした。しかしガチャ産の義妹とは一体何なのか…。あと、徳光をめぐる学食ガチャのやりとりが楽しい。本人にとっちゃ笑い事じゃないだろうけど。

 ガチャをめぐるあれやこれやでバタバタしつつ、中心ではわりと真面目に「幼馴染との関係改善」を軸にラブコメしてるんだよなあ。軽口を叩き合いつつもわりと真面目に相談に乗ってくれる仲間たちが印象的でした。問題の「告白」に関しては流石にどうしてそれで「告白」だと思ってもらえると思った……なんですけど……。前後の文章の意味が理解できなくて三度見した。バカにありがちな思考の飛躍にしたって流石にもうちょっと言い様があるでしょうよ……。

 あと、これ作中でも申し訳程度に突っ込まれてるけど、時間割までガチャ運に左右させてしまう(6時間ぶっとおし腹筋とか、まだ習ってない単元の科目を受講させられるとか、毎日自習を引きまくるとか)のは流石に教育機関として破綻してない?いくら架空の学校とはいえ、これがまかり通る世界観はちょっと嫌だなあ。特に物語の序盤は割と主人公やヒロインの「引きの悪さ」を笑うような展開が連続するため、ちょっと笑いのツボが合わなくてしんどかったです。

 最後のオチが、何が何でも目当てのSSRを引かなければいけない状況で、「一番良いところで珍しく運が味方してくれる」みたいなご都合展開じゃなかったのは良かったなあと。主人公の「本人にとって要らない高レアを引いてしまう」という設定が完璧にハマっていて、挙句に「もう要らないと思った途端に来る」というガチャあるあるも踏まえていて大変趣深かった。

物欲センサーって、あるよね……。

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脱サラした元勇者は手加減をやめてチート能力で金儲けすることにしました

 
六時

「大したことじゃない。会社を辞めることにしたんだ」全ての島が空に浮かぶ魔導と科学の世界。総合商社の若きエース天堂雷輝は出世の道を捨て自主退社した。独立後オリハルコン採掘に着手し国家レベルの資金を掌握。更に吸血鬼の王国に夜を永劫展開する闇色幻灯機と、それを維持するインフラを建設…雷輝は次々とビッグビジネスを成立させていく!やがて覇権国家『神聖帝国』に敵対視され―。だが彼には恐れなどない。なぜなら彼こそは、かつて史上最強の男と呼ばれた元勇者なのだから!世界一の強者が手加減なしで突き進む、感動のサクセスストーリー!! (「BOOK」データベースより)

さすがです、お兄様(作品が違います)

 かつて世界最強の勇者として世界を救った存在であり、頭よし、顔よし、性格よし、とおおよそ欠点の見当たらないパーフェクトすぎる元勇者・天堂雷輝が仕事先で出会った美女やブラコン妹を骨抜きにしつつ脱サラして会社を興し、世界を救うためビジネスの世界に征っくぞー!(やや物理コミ)というお話。

 依頼毎にメインとなる美女が登場して、彼女の悩み事を解決しつつちょっといい雰囲気になりつつどうにもならないところは勇者の物理力で解決しビジネスも成功させていく。とにかく雷輝社長が強いしかっこいいし完璧なので美女がメロメロになってもしょうがないなみたいな所ある。ブラコン妹も様々な事情から絶対の自信を持っているので他の女とどうこうしてても特に攻撃とかなくて、どっしり構えている。

 最初から最後までもう絵にかいたかのような「超強い主人公無双」なんですが、弱者への見下しも強者の奢りもイケメンの厭らしさも一切ない、勇者としてビジネスマンとしてもあまりにも完璧なお兄様のスーパーサワヤカイケメンっぷりが凄かったです。とにかく読んでいてストレスとなる要素がみつからない。どんなにピンチになっても安心して読めるあたり、ハードボイルド系水戸黄門みたいな圧倒的な強さを感じました。

 第1巻では「社長」といいつつも個人で動くことが多かったので次巻があるなら今回登場したメインの3人以外の社員の姿がみたいです。しかし、ちょいだしされた社内の雰囲気も本当に良かったので安心できる……安心感がすごい……。

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回復術士のやり直し 〜即死魔法とスキルコピーの超越ヒール〜

 

「こんな使えないのが仲間だと思うと虫唾がはしりますわね」回復術士は一人で戦えない。そんな無力な存在だからこそ勇者や魔術師に利用され、奪われ続けた少年・ケヤル。しかし彼はある日、回復を極めた先にあるものに気付き、世界そのものを再構築し四年前からやり直すことを決意する。「これで世界は俺の思い通りになる…、さぁ、復讐のはじまりだ!」Webで話題を集めた衝撃の問題作―陵辱シーン大幅増量で禁断の書籍化!(「BOOK」データベースより)

 勇者として目覚めたものの、役立たずの烙印を押され廃人にされてしまったケヤル。最後に仲間を出し抜いて賢者の石を手に入れた彼は石の力で世界を『癒』し、勇者として目覚める前からやり直すことを決意する。悪意によって一度人生を奪われた少年が繰り広げる、人生やり直し系復讐劇。

 なろう版(多分3巻途中分くらいまで)既読。即死技、洗脳、人体改造、スキルコピー等々、「回復」という概念を拡大解釈して定番のチートスキルとして転用していく発想が面白い。これから起こることを知りつつも敢えてそれに乗っかることで復讐するための「言質取り」と「お膳立て」を整えていく展開がエグいけど、しかしまあ味方も敵も擁護のしようがなく下種か廃人しかいないので一周回って爽快ですらある。

 個人的には洗脳されて性奴隷化しているヒロイン(?)・『術』の勇者フレアが実は虎視眈々と復讐返しを狙っている展開をめちゃくちゃ期待しているのですが、どうなるのかな。個人的にはケアルのワンサイドゲームのまま終わってしまうとそれはそれでスッキリしないんですよね……喧嘩両成敗で共倒れしてほしいんだけど。

 ところで書き下ろしの追加シーン、どこかとおもったらまさかの過去編。原作になかったホモのDVが追加されてるとは思いませんでした!!『剣』と『砲』が同性愛拗らせた性犯罪者なのは知ってたけど、洗脳前のフレアのこじらせぶりも大概に酷い。勇者3人ともマジで地位と勇者としての特権がなかったら完全に犯罪者だよ…。

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異世界テニス無双 テニスプレイヤーとかいう謎の男がちょっと強すぎるんですけど!

 
夕薙

超高校級の天才テニスプレイヤー相馬王助。全国を制した彼はある日、異世界に『英雄』として召喚される。「ボ、ボールが分身した!?」「残像だったの!?す、すごい!」「『ゾーン』!?なにそれ!?」彼を召喚した魔術師エリーシャは究極のテニスに驚愕してばかり。「この程度、全国じゃ必須スキルだ」異能を超えた異能―テニス。竜を一撃で葬り、魔の軍勢を殲滅し騎士団の精鋭を容易く撃破する。魔王も勇者も、強くなりすぎたテニスプレイヤーには敵わない!常識置き去りのスーパー・テニスファンタジー、試合開始!!(「BOOK」データベースより)

 異世界ファンタジーの世界に召喚されてしまったのは普通の高校生。しかし彼は、インフレを繰り返して異能力バトルのレベルまで昇華されてしまった「高校テニス」の頂点を極めた男だった……というお話。あらすじの時点で某ジャンプのバレンタインチョコの数が凄い某異能高校テニスマンガを彷彿した人、だいたい合ってます。

 インフレ能力系スポーツマンガ×俺TUEE系異世界ファンタジーという混ぜちゃいけない洗剤まぜちゃった感じのあらすじ時点でヤバイんだけど、どこかで聞いたことあるようなトンデモ技やトンデモ能力が次々と繰り出され、周囲が驚いては「こんなの全国なら常識だぞ」とあっさり受け流される姿に笑いが止まらない。発想だけでも勝利感すごいのに、そこにいちいち中二病丸出しの必殺技名くっついてるのズルいでしょ……美味しいところを持って行かれまくるヒロインが、徐々に解説ではなく「驚き担当」化していくのにめちゃくちゃ笑った。

 スポーツ漫画と異世界ファンタジー、双方のお約束をしっかりネタにしてメタメタな笑いに変えつつ、それでいてド直球の正統派王道ファンタジーなのがとてもアツかった。気がなさそうに見えてしっかり意識しちゃってるヒロインとのラブコメあり、現実世界で背中を追い続けた憧れの先輩との男と男の約束あり。ラブコメとスポ根、どちらの要素も美味しく頂けて一冊で二度おいしい。

 そして、どんなに圧倒的な能力を持っていても「スポーツ漫画の登場人物」には踏み入ることが出来ない場所があり、そこを「異世界ファンタジー」ならばやすやすと踏み越えていける。2つの世界が交わったからこそたどり着くことが出来たクライマックスが最高でした。まだまだ物語には様々な謎が隠れていそうで、続きがとても楽しみです。

 それにしても、あとがきでさらっと明かされた「異能バトル〜」のあの人の話にニヤニヤせざるをえない。めちゃくちゃ中二丸出しのネーミングセンスで笑いまくってたら……その草の根運動で定着しちゃったのかよ!!「異能バトル」は未読なのでスルーしてしまったんですが、アニメイトの店舗特典のコラボ小説確保してくればよかったなあ……。

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アビス・コーリング 元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら

槻影
 

気がつくと僕は、ランダムで召喚される『眷族』を使って冒険するソーシャルゲーム『アビス・コーリング』に酷似した世界にいた。最強の集金システムと呼ばれ、数百万のユーザー達をどん底に叩き落とした末、法整備によりサービスが終了した最低最悪のゲームに似たこの世界で、僕はかつてプレイヤーだった頃にやり残した事を成し遂げるため、再び召喚士として立ち上がる!欲と打算とちっぽけな誇り?廃課金ゲーマーの性が燃え上がる冒険賛歌、開幕!!(「BOOK」データベースより)

 最強の集金システムと言われ、法整備により潰された廃課金ゲー「アビス・コーリング」。そのゲームと酷似した異世界に転移してしまった主人公が、廃課金プレイヤーとしての豊富なゲーム知識と初回1回無料ガチャで引き当てた眷属の力でコツコツ石を集めつつ降りかかった火の粉を払っていくお話。

 なろう原作(多分2巻分ぐらいまで)既読。「リセマラ」「ログインボーナス」「初回任務で石獲得」などのソシャゲの定番システムを何が何でも現実(=召喚された異世界)に適用しようとする主人公の迷走ぶりが面白い。転移した異世界を「ソシャゲ」と位置付けて周囲から見たら奇異な行動を繰り返し、自分たち以外の人間を「NPC」と考える主人公・ブロガー(HN)と、転移前はソシャゲとは縁がなく、転移した世界を「異世界」と位置付け、そこに住む「人間」達と新たな関係を構築していくヒロイン・青葉がお互いに全く正反対の方向から世界に対してアプローチしていくのが印象的でした。まあ実際、何割かは現実に通用したりするんだけど、流石にリセマラするために自殺しようとするのは思い切りが良すぎるのでは…!?

 「ソシャゲと酷似した異世界」という設定の中でファンタジーしながらもときおり顔をだすソシャゲネタが楽しかったです。特にクライマックスの、まさに勝てない敵は石の力でぶん殴ればいいじゃないな戦い方、まさしくソシャゲという感じで好き。あと、バトル時の「僕ならリセマラだ」の決め台詞、いかにも廃課金プレイヤーの発想というかんじで良いなあ。

 ただ、最初の街とはいえ、主人公が現在のところ“無課金プレイ”状態で割と無双できちゃってるのでちょっと「鬼のような廃課金ゲー」という実感ないんですよね……青天井のごった煮インフレガチャに加えて戦闘補助目的で石を割るのが前提な課金バランスは確かに割と石の使い所が多そうだなと思いつつ、原作がWebだからか全体的に設定が小出しで、個人的にはイマイチ「日本人を狂わせた廃課金ソシャゲ」というほどのオーラ感じないというか。もっとトンデモな集金システムで殴りに行ってほしい。

 かき下ろし部分で明かされた最大レア度21(あとからレア度がインフレして増設された結果の模様)&眷属二万種オーバーのごった煮ガチャ(しかも眷属を重ねなくて良いので2体目からただのダブリと化す上、一度引いた眷属は排出確率が上がるおまけ付き)というガチャの設定はあまりにも衝撃なんですけど、そこまでガチャがシブいと逆にもうガチャ回らない気がするんだよな…。

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クオリディア・コード 3

 

「この世界はニセモノだ」―ほたるから託されたメッセージを訝しんでいた霞だが、大國真昼医務官の襲撃を経て自らの目に映る異常な世界の真実を知り、人知れず行動を始める。一方、最大戦力である舞姫・ほたるを欠いた防衛都市に、さらなるアンノウンの大襲来が迫る。霞の留守を守るべく必死に抗戦する明日葉と、カナリアの死を受け入れ今一度戦場に立ち上がった朱雀だが、新たに出現したかつてなく強力な人型アンノウンに追い詰められてしまう。だが、混乱する戦場に消えたはずの少女が姿を現す時、世界は反転する!!激戦の果てにたどり着く世界の真実とは!?大人気アニメの公式ノベライズ、運命の第3巻!(「BOOK」データベースより)

 渡航が描く、TVアニメ「クオリディア・コード」本編のノベライズ。真実が明らかになる最終巻。3巻は千葉というか千種兄妹(+ヨハネスを加えた千種親子)に焦点が当たる分、これまでの巻よりも描写がイキイキしていた気がします。1巻の時にも思ったけど、ほんと渡航先生の描く千種兄妹は何しててもイチャついてるようにしか見えないので困るな……。世界の真実が明らかになってからの物語はアニメでもかなりの急展開(良い意味で)だったので、各キャラクターの視点から改めてじっくりと物語を読めるのがとても楽しかったです。

 個人的にはやはり終盤の壱弥&霞、青生&明日葉の関係性が好きなんですが、千種兄妹のイチャイチャぶりとはまた別枠で、壱弥と霞ってお互いの事好きすぎじゃないですかね……!?アニメで見て展開知ってるのに10回くらい後ろから殴られて悶絶したんですけど。壱弥が霞から「本当のヒーロー」と言われて立ち直っちゃう程度に霞のこと買ってることはアニメの時から知ってましたけど背中を預けるまでの葛藤ぶりまるで主人公の事大好きなのに素直になれないツンデレヒロインかよ……だし、前々から霞が壱弥のことを何かにつけて「ヒーロー」と呼ぶのにはなにか劇的なエピソードがあるのではと興味津々だったわけですがぶっちゃけこれ一目惚れ(違)じゃん……最終決戦中に壱弥ポエムを読み始める千種霞まじ何なんだ……。

 そして「クズ金」読者としてはやはり晴磨さんの安否が気になってしまうのでした。というか最後の霞の意味深発言で色々期待してしまうんですけど、晴磨さん周りの話を含めたクオリディア・アフターとか出ませんか?

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通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?2

 

「見てマー君!」「…あのさ」「言うなよ。泣けてくるだろ」ゲーム世界に付いてきた母親の真々子が強すぎて、自分たちの存在意義を見失いそうになった真人たちは、強化アイテムが手に入るという学園の試験運用クエストを受けることに。学園で出会った癒術師のメディに心ときめかせる真人だったが…。「ちょっと着てみようかと思って。どう?似合うかしら」やっぱり真々子も付いてきて!?セーラー服で授業参観に参加したり、プールでスクール水着を披露したり、男子から告白されたり、学園祭のミスコンにも出場して大活躍!?さらにはメディも問題を抱えていて!?母親同伴冒険コメディ学園編! (「BOOK」データベースより)

 国が運営するVRRPGのテストプレイヤーとして、チートな母親と冒険する羽目になった子供たちの物語。第2巻は、強化アイテム目当てで入学することになった学校で新たな母娘と出会うお話です。

 ゲームの中の「学校」が試運転中だからってものすごい雑な設定になってるのずるい。プログラムとはいえ、NPC生徒達のメタ発言に一周回って悲哀すら感じました。無限ループって怖くね……はやく細かい設定作ってあげて!!!

 出番は抑え目ながら重要なところは全部持っていってしまう母・真々子が相変わらず強キャラすぎるんだけど、むしろ今回はメディ母娘の束縛関係が(良い意味で)しんどかった……過剰な期待を背負わされ、「良い娘」であることを強いられストレスを溜め込む娘と、出発点は「娘の為」だったはずなのに少しずつ目的を見失って、自分の対面を保つためだけに面倒くさいモンペと化していく母親の関係性が割と多かれ少なかれ世間によくある系のしんどさで、しんどい。

 そんな親娘が複雑な所はあるけどそこそこ良好な関係を築いている大好親子と激突することで少しずつ原点を思い出す流れが良かったです。1巻は終盤が母親同士の対決になってしまってちょっと置いてきぼり感あったんですが、今回は母親同士の対決はあくまで前座、メインは子供たち同士のぶつかり合いになっていて、読みやすかった。

 ……しかし、相変わらず1巻に引き続きこのゲーム作った政府が無能すぎる。実際にゲームを始める前よりも溝を広げてしまってる親子の方が多いし、テストプレイの時点で反対勢力に付け入る隙を作りまくってるし……改善が関係した親子もゲームシステムは関係なく大好親子と殴り合ったから改善したみたいな感じがするんですが……あとオチが大変に酷いと思いました。あと割と学校を休ませてゲームの世界に閉じ込めるって、それアリなの?まあ一応選択の自由はあったけども……本気で一流大学目指してる受験生とかが巻き込まれてたら怒って良い。

 子供たちが授業の一環として親の目を離れ、ダンジョン探索に赴くシーンがつかの間の休息という感じで短いけど良かったです。やっぱりゲームはこうでなくっちゃな!!!

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