クライマックス目前の第9巻。前巻で姿を現した「第八国」の狙いを知り、長年の諍いを捨てて協調の道を歩き始めた各国。しかし、ゴウト殺害容疑がミロクにあると思いこまされたオウガンの軍勢がジルサニアに襲いかかり……!?というお話。
第八国が引き起こした脅威に立ち向かう絶望的な戦いから一転、ミロクとジュジュが合流してからの展開の巻き返しが凄かった!ミロクとジュジュを筆頭にこれまで反目しあっていた赤目隊と天尾隊、ジルサニアとオウガンが手を取り合って立ち向かう姿が熱かった。あとゴウト兄様が出番無いのに全てをお見通しすぎて萌えすぎて辛い。なんだこの有能過保護兄……
しかし、次巻で完結ということだけどイマイチ盛り上がりに欠けるというか、明かされた事実は確かに衝撃だったんだけど、第八国も一部キャラが出張ってるだけで全く全貌見えないし、どうやって絞めるのかなあ。個人的にジュジュ救出でもうちょっと盛り上がっても良かった(いえ、救出後の展開は本当に素晴らしかったんですけども!)
読書メーターでミロクのオウガン服が地味すぎる的なツッコミがあったけど、あれほんともうちょっとかっこよく描いてくれてもよかったよね……あと、シェンランはなんであんなジルサニアっぽい服装をしているんだろうと密かに…。
「うらら」一覧
Zぼーいず/ぷりんせす 3
姫護者として経験を積んできた3人にサリが依頼してきたのは「死期を過ぎているのに生きている人間の命を刈り取る」こと。しかもその相手は担任・超飛の恩人ともいえる人物で……というお話。
姫護者を名乗っていてもただの人間である自分たちが命を扱うという事の重みに悩みながらも、様々な人と出会い成長していく子供達とそれを優しく見守りながらも譲れない自分のエゴを通す為に立ち向かう大人のぶつかりあいが熱かった。敵のあの人の一連の行動と発言が暖かすぎる。
そして今回が物凄い面白かっただけに、完結の2文字が寂しすぎる。「完結」ってことになってるけど見事な「俺たちの戦いはこれからだエンド」といいますか打ち切り臭がね……なんかあまり大きな話にしなくていいから、ご近所の不思議事件を解決する的な小さめスケールの話で細々と続いて欲しかったなあ。ミロクも完結間近みたいだし、次シリーズが読めるの楽しみにしてます。
それにしてもあとがきの
『元々はゾンビになった野郎どもがキャッキャウフフするBLみたいな話だった』
↑なにそれ見たかった
あとがき冒頭のコメント見て真っ先にこう思いましたっていうか1巻のあらすじ見たときにてっきりそういう話だと思ってましたいやさすがに「BLみたい」は予想外でしたけど!!
生徒会の金蘭 碧陽学園生徒会黙示録6
「私達は今、とても大切な時期にあります」私立碧陽学園生徒会―そこは、美少女メンバー四人が集う楽園だが、変革を求められる時期が訪れていた。シリーズも終盤へ突入した今だから、出来ることがきっとあるはずだ。さあ「生徒会の一存」の新たな可能性を見つけ出そうじゃないか。失敗を恐れてはいけない、挑戦し続ける勇気が人を成長させる!だから…許して欲しい。中目黒善樹の女装姿を。一瞬「あれ、新キャラ、美少女!?」って思ったあなたも、怒らないで欲しい。そして逃げずに、この本をレジまで。ねっ、お願いします!だって彼、本当にいい奴なんですよ。2年B組編も、ついに決着!? (「BOOK」データベースより)
「2年B組」シリーズ完結編を収録した、番外シリーズ第6巻。表紙からしてニヤニヤが止まらなかったわけですがピンナップ裏が俺得すぎてご馳走様でした杉崎は中目黒の嫁!!!しかしこの表紙の帯についてる「王道宣言」の文字に、富士見ファンタジア大丈夫かといいたくなったのは私だけじゃないはずだ。
本編の半分以上の分量を占める「2年B組の進級〜決意の章〜」がやばい。前巻から続く、中目黒の過去と2年B組のそれぞれの前途を描くお話なのですが、それぞれが自らの気持ち・お互いの気持ちと向き合って逃げずに折り合いをつけて、また新しい関係に向かって歩き出していく姿がとてもよかった。まさか生徒会シリーズでボロ泣きするとは(略
あまりにも大きな中目黒の決意に対して『同志』として応援する宇宙姉弟と『守りたい』から反対する杉崎・深夏の考えの違いが印象的だったけど、4人とも中目黒をかけがえのない仲間だと思うからこその言葉だというのが熱かった。中でも、守がかっこよすぎてやばい。あの微妙微妙といわれ続けてきた「超能力」の使いどころが卑怯すぎるとおもいました!!そして最後の最後まで真冬ちゃんが鬼すぎる(主にBL的な意味で)
しかし、巡の気持ちに対しての杉崎の反応はズルいな!合コンの話や今回の話を含めて他人のために自分を捨てて行動出来る『似たもの同士』な巡を恋愛対象として見れなかった杉崎の気持ちは良くわかるんだけど、同時にそれって現メインヒロインである生徒会役員4人と同じように彼女を杉崎が『尊敬している』事の裏返しでもあるわけで、なんというか正ヒロイン昇格も夢じゃないんじゃないですかというか生徒会役員4人の卒業後は大逆転すらありうる。卒業目前にして構図が逆転してしまった2年B組の様子だけでもうニヤニヤが止まりませんww
2年B組シリーズに引き続いて次巻は本編完結編、黙示録の次巻では「1年C組」シリーズの完結編と最終回ラッシュな生徒会。各編どのような結末を迎えるのかとても楽しみ。
恋する遺伝子 嘘と誤解は恋のせい
割の良いバイトと聞いて不妊治療のラボにやってきた六車騎一は先日亡くなったばかりの憧れの劇作家・朝来野寛が生前に作った受精卵の処遇で遺族とモメている場面に遭遇する。父を嫌い、遺伝子を処分してくれという朝来野の息子・尚の発言を聞いてその受精卵の『代理父』になると名乗り出るが……というお話。
まさかの男子の妊娠ネタ……一応SF設定とはいえそういうジャンルもあるのか、世界は広いな……などと思っていたらいい具合にオチがついてた。ふきだした。むしろ開始10Pで結哉の家の冷蔵庫の中身に食ってた炒飯を噴射しそうになった。(お察しください)
凄い判り易いツンデレ受な尚が自由奔放な騎一にほだされていく姿にはニヤニヤしましたが、巻末に同時収録されていた短編「本音と妄想は恋のせい 完全版」の威力が酷かった。すっかりバカップルになった結哉と和久井が二人の出会いのきっかけになった『アンケート』をもう一度やり直してみる……というお話なんだけど、和久井さんが頭に何か沸きすぎで酷い(褒めてる)。もう「結哉のひざっこぞう可愛いイヤッホオオオオオ!」とか脳内で叫んでた頃の彼が可愛く思えてくるくらいに酷い。結哉も相当なアレだとおもうけど、和久井さんはたが外しすぎです。
まさかエロシーンでこんなに腹かかえて笑うことになるとは思わなかったよね!!!
死神姫の再婚 -誰にも言えない初恋の君-
急転直下の新章第二巻。『嫌い』を思い出したアリシアが再び立ち上がり、散り散りになった「家族」達の動きが見えてくる一方でいよいよ追い詰められていくアリシアの様子にハラハラする。死んでないだろうと思ったとは言え、あの人やあのキャラの元気な姿を見れたのは僥倖だったけど。
執拗に巧妙に彼らを追い詰めていくゼオルディスの行動もなんだか色々な意味で真の意図が見えない。なんかわざと国を破滅に導いてる感じもするというか、滅ぼされるのを待ってる的な印象もあって、不気味。真意の見えない『先生』勢力もいて、この不穏な雰囲気はまだまだ続きそう。
これまでとは一転、シリアスな雰囲気の本編も十ニ分に面白いんだけど、やはり早くあの夫婦のイチャイチャが見たい。アリシアの夢が酷すぎて再会の時にどうなってしまうのか逆に楽しみすぎるw
しかし今回は大きく成長したティルナードとセイグラムのやりとりだけでご飯10杯いけます!!譲れないものを守るために自身のトラウマの元凶であるゼオに立ち向かう覚悟と、そしてそれ以上の大きな重圧を覚悟して立ち上がったティルナードも凄いけど、セイグラムの判り辛い過保護っぷりにニヤニヤしました。反撃開始になるだろう次巻がとても楽しみです!
恋愛モジュール
能力はあるけどコミュ障気味なプログラマーの島垣が、初のプロジェクトリーダーに任命される。同じチームに配属された新人SEの藤森は、島垣とは反対に明るく人懐こいイケメンで苦手意識を持っていた同僚の友人。仕事のやり方でぶつかり合う二人だったがとあるアクシデントをきっかけに藤森の部屋に泊まりこむ羽目になって……!?というお話。
甘やかしなイケメン後輩×甘やかされなコミュ障三十代なんだけど、年上の島垣が振り回される話のように見えて、なんだかんだで島垣を甘やかしたくて仕方ない藤森が見せる年下っぽい子供っぽさとそれを大らかに受け止める島垣の様子が微笑ましい。私はこの段落で「甘やか」を何回使いましたか。
2編目は桜井に言われて「甘やかされ」を自覚した島垣が色々な意味で自立しようとするお話なんだけど、藤森と付きあっている限り無理な気がしますね!!島垣の方が駄目そうに見えて、真の駄目人間は藤森だと思う。でも、こういう独占欲が先走った残念な攻は嫌いじゃないぜ!!
恐らく島垣の人間性の基礎を作ったであろうあとがき曰く「最強の小姑」こと島垣兄が本編に登場しないのが本当に残念でした。藤森を連れて実家に帰ったら島垣兄が「こいつと付き合うなら俺を倒してからにしろーー!!」って立ちはだかるみたいな残念な人たちの話が超読みたいです。むしろ島垣兄+桜井vs藤森が読みたい。本編で噂話程度の登場しかしていないのに、ここまで胸がときめくキャラも珍しいのではないでしょうか続編が出るなら残念な兄をぜひ!!!
両思いになった直後の藤森の『運用保守より開発が好き』は多分笑う所。
僕は友達が少ない
ヤンキーっぽい顔と外見のせいで友達が出来ない転校生・羽瀬川小鷹はある日の放課後、『エア友達』と話しているクラスメイトの三日月夜空と出会い、友達が居ない者同士で新しい部活を立ち上げる羽目に。最初誰も集まらないだろうと思っていたが、予想外に残念な人たちが入部してきて……というお話。「ラノベ部」のジャンル不定無節操バージョンというか、基本的に残念な人たちが駄弁ったり好き勝手したりというあたりは変わらず。モンハンしたり、ギャルゲーしたり、演劇したり、プールに行ったり。
個人的にはモンハンをする話と、演劇する話が好き。モンハンは仲悪い人たちが協力ゲーをやった時の定番展開という感じだけどガチでゲーム本編を忘れ去ってお互いの妨害に命を懸け始める夜空と星奈のドタバタが可愛い。そして演劇話の腹筋崩壊具合ときたら……「ラノベ部」のリレー小説の破壊力も大概に酷かったですが、平坂さんの描く『複数の人たちが一つの話を作ろうとする話』の面白さは本当にヤバいと思う。
あと、小鷹の過去話がとても好きだった!!背中合わせは最高の友情エッセンスです!!うまい!!オチを見るにどう考えても男子同士の友情じゃなかったけどそれはそれとしてうまい!!
基本は残念な人たちの日常を描く残念なお話という感じなんだけど、小鷹が星奈とプールに行く話や小鷹の過去話の展開を見るに、ちゃんとラブコメ要素も仕込まれている印象。キャラもまだ出揃ってない印象だし、機会があれば続きも読んでみたいです。
嘘と誤解は恋のせい
隣のサラリーマン・和久井に密かに片想いしている大学生の結哉。想うだけで十分……と思っていたら自宅に入り浸っている先輩の騎一が「授業でアンケートを取ってる事にして隣とお近づきになれ」と言い出す。アドバイスの通り、先輩お手製のアンケートを持って隣の家に行くことになったが……というお話。
騎一先輩の作ったアンケートの内容が突拍子なさすぎて、さらに引っ込み思案を通り越して残念の域に突入してる結哉の挙動不審具合と、そのキョドりっぷりにほだされていく和久井さんの姿ににやにやしてたら、後半はむしろ和久井さんの頭のほうが残念だった。何かにつけて脳内で結哉にキュンキュンしてたりエロ妄想してたりでお前の頭が残念。
脳内でひたすら残念な妄想ばかりを繰り広げる和久井さん(終盤に至っては完全にヤりたくて仕方ない状態)に対して一度酒の勢いで餌やった後は自前のネガティブ妄想を発揮して全力で逃げ回る結哉の、両思い後のすれ違いっぷりに笑いが止まらない。アホだなあこの人たち!!(※超褒めてる)
メインの2人よりも、なかなか進展しない2人の間を引っ掻き回して強引に波風を立てていく騎一先輩の確信犯具合が一番美味しかったかも。続編もあるそうなので、こちらもそのうち読んでみたいですw
のうりん
ガイアが俺にもっと耕せと囁いている
県立田茂農林高校――通称『のうりん』。そこは、農業に青春をかけた少年少女の集う、人類最後の楽え――
「牛が逃げたぞおおおぉぉぉぉ!!」
うるさい! あらすじくらい静かに言わせてよ!! あー、おほん。
ぼくの名前は畑耕作(はた・こうさく)。ここ『のうりん』に通う、ちょっぴりアイドルオタクな高校生だ。
そんなぼくの通う学校に転校してきたのは、憧れの超人気アイドル草壁ゆかたん……!?
方言幼馴染、メガネ美少年、ラブリー小動物、巨乳少女! 妄想系女教師! パンツ! 足フェチ! そして、謎の転校生……
ここには青春の全てがあるッ!!
奇才・白鳥士郎が送る農業学園ラブコメディー! 今、収穫の秋(とき)!!
うーん、「なんらかの事情で笑顔を失った元アイドルに、農業を通して笑顔を取り戻して貰う」っていう物語の主軸そのものと、予想外にがっちりしてた農業ネタ(しかも「銀の匙」とかで一部話題になった畜産方面ではなく、畑作稲作方面ネタなので新鮮でした)自体は凄く面白かったんだけど、物語を彩る下ネタ全開なギャグが単純に合わなくて、キツかった。もう単純にこれは、自分には合わなかった。あとフォントサイズ弄りは大事な場面で効果的な場面で使うからよいのであって、一世代前のテキストサイトのノリでガンガン使われると萎える。
下ネタ以外だとやたらネット(というか2chまとめブログ系)で話題になったネタを仕込んでいたり……で、まあ元ネタ知ってれば「ぷぷっ」ってなるけど、ネットやってない層を全く想定してないよなあ、とも。「まさか、<クライム>の<カタリスト>を<オラトリオ>なしで」ネタをまさか普通に出版物で見る事になるとは思わなかったです。
主人公置いてきぼりにして展開されるヒロイン2人の主人公争奪戦もなんかイマイチついていけなかったなぁ。それとなく伏線貼ってるのはわかるんだけど、林檎がしょっぱなから「主人公は私のもの」状態の独占欲丸出しで意味判らない。せめて林檎が主人公に惚れたきっかけになる伏線くらいは1巻で回収してほしかった……
R.I.P. 天使は鏡と弾丸を抱く
宝島社様より献本をいただきました!
鏡に映らず、自分に向けられた攻撃を「反射」してしまう謎の男・フィリップはひょんなことからはちあわせた少女・アンジェリーナを襲撃者から守りながら彼女の妹を助けるのに協力する羽目になる……というお話。
全体的に淡淡とした語り口といい、ライトノベルというよりも翻訳モノの海外SFサスペンスを読んでいるような読み口だなあ。クールでハードボイルドだが情には弱いダークヒーロー・フィリップがカッコよすぎる。そしてびっくりするくらいアンジェリーナが萌えキャラとして描かれていない(決してけなしてるとかそういうのでなく、どこまでもアンジェリーナはフィリップの「引き立て役」に徹しているというイメージを受けたというか…)。
フィリップの正体といい「吸血鬼」の話といい、謎が謎を読んでうやむやにした感じのラストは色々「その先」を想像させる感じで心地良いモヤっと感がありとてもよかったです。
挿絵が乙女ゲー系で有名なかただったり……と、露骨に女子を釣ろうとしてる感じですが、確かにこの内容は「女子にも読んで貰いたいラノベ」かも。というか、一般女子の嫌う「ラノベ臭さ」がほぼ無い気がするので、ラノベが苦手な女子に読ませて感想を聞いてみたい。