ページ 15 | 今日もだらだら、読書日記。

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チルドレン・オブ・リヴァイアサン 怪物が生まれた日

 

その日、少年は怪物になった――。人型兵器を駆り、巨大生物を討て。
 環太平洋沖に突如現れ、多くの人命を奪って世界中の海域を支配した謎の巨大生物レヴィヤタン――通称レヴ。  通常兵器では到底歯が立たない怪物に対抗するべく、人類が生み出したのは、レヴの死骸からなる機体に子供を乗せて戦わせる人型兵器《ギデオン》だった。  地方の民間ギデオン搭乗者として働いていた高校生・善波アシトと、その幼馴染の宮園エリン。ある日、二人のもとに、戦闘指導官として国連軍のエリート・風織ユアが現れる。境遇の違いから、初めは衝突し、すれ違っていた三人も、厳しい訓練と任務の中で、やがて確かな信頼関係を築いていく。  そして、死と隣り合わせのレヴとの交戦の中で、アシトは覚醒の時を迎え――。  海と喪失を巡るロボットジュブナイル。

世界中の海に突如出現した謎の巨大生物レヴィヤタン、通称レヴ。それに対抗できるのは、レヴの死骸から作られた人型兵器・ギデオンに乗った未成年の少年少女のみ。のちに《大洪水》と呼ばれるレヴの襲来で母と姉を亡くした少年・善波アシトは民間企業の雇われギデオン操縦者として毎日のように海に潜る生活を送っていた。そこに国連軍に所属するエリート・風織ユアが戦闘指揮官として出向してきて……。

喪失と欠落を抱えて生きる人々を巡るロボットジュブナイル

震災ではなく異形の怪物襲来によって壊滅的な被害を受けた2011年の東北・気仙沼。その11年後を舞台にヒト型兵器ギデオンに搭乗する少年少女達の戦いと青春を描く物語。舞台となっているのは東北に拠点を置く民間企業で設定から連想されるような殺伐とした雰囲気は意外にない(どちらかというと放課後のクラブ感覚ですらある)のですが、その外では大人たちの様々な思惑の上で踊らされている子供達の姿が見え隠れしてくるんですよね。また、アシト達が勤務するトライトン社も決して善意だけの企業ではなく……具体的な作品名を挙げるのは避けますが良い意味で「生体兵器系ロボットモノ」の王道を行く感じの薄暗い感じがとても好みでした。15年くらい前の電撃文庫によくあった薄暗い感じのラノベ感ある。

11年前の姉と母の死に対して負い目を感じているアシト。そんな彼が遺留品を拾うために毎日のようにギデオンで海に潜る。周囲の人々が11年前に受けた喪失と欠落の痛みをそれぞれのやりかたで埋め、未来へ進んでいこうとしていく中、自分の未来を描くことが出来ないアシトがギデオンで潜る海にのめりこみ、幼なじみでトライトン社の同僚でもあるエリンや国連から出向してきた指導官のユアに見守られつつも、最後は死んだ姉に惹かれるかのように海へと導かれていく姿が印象的でした。

彼の一連の行動は自分の我儘のせいで大洪水に飲み込まれて死んだ姉への贖罪とも、ギデオンや海の不思議な魅力に取り憑かれてしまっているとも、姉が死んだ後の世界にどこか居場所のなかった彼があるべき場所に戻っていくための行動とも思えるんだけどはっきりしたことは描かれていなくて、エリンやユアやまだ生きている家族への想いもなかったはずはなくて、それでもただ最後に「何か」に気づいてしまって決定的に人間を辞めてしまう。そんな彼の生き様が切ないような悲しいような、どこか暖かいような……なんとも言葉にしづらいんですが、そんなクライマックスがとても良かったです。

新たな戦いの始まりとも受け取れるラストも凄くワクワクして、単巻完結で綺麗にまとまってるようで、でも次巻があったら読みたい!と思ってしまうお話でした。というかモブ友人枠だった柴崎くん最後の最後で意味深な感じの流れじゃなかったですか…?名前は違うけど関係者とかはありそうだよな……。

東北大震災の描写がリアル

地震そのものでの壊滅ではないのですが2011年3月に発生した東北の大津波をモチーフにした描写があり、冒頭にもそれに関する注意書きがあります。かの大震災を分岐点にして別の未来を歩んだ2022年の日本を舞台にした物語で、それそのものに関する描写はないものの、当時の報道を思い出す、どこかリアルな描写が印象的でした。

いろいろな意味で描写がリアルなので、リアルで体験した人とかだめな人はダメかもしれないし注意書きは本の外に書いておいたほうが親切なんじゃないかなあというのはちょっと思った。でもそのものズバリ震災の話ではないので本の外に書いたら書いたで内容誤解されそうな感じの話でもあるんだよな……。

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はじまりの町がはじまらない

 

世界(サービス)終了を、止められますか? MMORPG「アクトロギア」のサービス終了が決定。そんななかゲーム世界の〈はじまりの町〉で町長を務めるオトマルは、唐突に自我を獲得する。同じく覚醒した毒舌秘書官のパブリナの説明で、世界の終わりを阻止するためには冒険者たちの満足度向上が必須と理解した町の住人たち。ショップやクエストの最適化、近隣国との交易。NPCたちの奮闘はやがて世界の外側をも巻き込む大事件へ――終わりかけゲーム復興物語!

「はじまりの町」の町長を務めるオトマルは秘書官であるパブリナから町の異変を報告され、その究明と対応に追われる羽目に。冒険者に話しかけられると定型文しか話せなくなる町民たち。町にはあるはずのものがなく、代わりに何もない虚無が広がっている。対応を話し合う町民たちの上から、“事務局からのお知らせ”という不思議な声が降ってきて──

意志を持ったNPC達による、サービス終了告知からの逆転劇

サービス終了を告知されたMMORPGのNPCがある日突然意思を持ち、僅かな手がかりを元にして自分たちを「何者かの用意した舞台の上で踊る操り人形達」・冒険者達をその観客であると判断して「演目」を盛り上げるために町興しを行い、世界の終焉に立ち向かっていくお話。

「ネットワークゲーム」の概念を知らない彼らが自分たちの知っている言葉・概念に置き換えて現在の状況と「世界」の問題点を把握していく展開がめちゃくちゃに面白かった!!同時に彼らのやり取りから見えてくるゲームの状況が完全に短命で終わるタイプのクソネトゲーで笑ってしまう。世界の作り込みが雑、街のマップが無駄に広いのに宿や店がバラけていて移動が面倒、ただただ面倒なだけのクソみたいなお使いミッション、そしてなにより敵が強すぎて最初の街からロクに外にも出られないようなクソバランス調整。これは間違いなく半年で死ぬタイプのネトゲーですわ。

意志を持ったとは言え彼らはあくまでプログラムに縛られた存在。冒険者とは定型文のやりとりしか行えず、新たな建物を立てたり、虚無になっている部分を開発する事も出来ない。縛りだらけの中でいかに冒険者と直接接触せずに新たな楽しみを提供するか、彼らが感じている遊びづらさをどう解決していくかという試行錯誤が楽しかった。更には外部から新規の冒険者を集めるために「SNS映え」まで意識した動画戦略を取り始めるの、有能すぎる。それにしても冒険者が敵を倒しやすくするために町民がわざわざ狩りに出向いて半殺しにして物理的に難易度を下げる展開には笑ってしまいました。いや確かに遊んでもらうために絶対に調整が必要な部分なんですが、冒険者の必要性〜〜!!!

自分たちがゲームの中の存在であることを受け入れ、冒険者達を歓待することで活気を得ていくはじまりの町。だが、彼らの言う事を信じられない周囲の国々は少しずつはじまりの町を敵視するように……というところからはじまる、世界を相手取った奮闘劇も面白かったです。この世界がゲームであることを逆手に取って──というかこの世界がクソゲーであることを逆手に取ってバグ技でクリアするみたいな展開にニヨニヨしてしまう。

凡庸な町長と毒舌で有能な秘書官のやりとりが楽しかった

ネトゲのキャラが「現実」に抗う物語そのものも面白かったけど、卓越した状況把握能力と対処力を持った毒舌秘書官パブリナと彼女に振り回されながらも最後の最後は上司としてのリーダー力を発揮する「はじまりの町」町長である主人公・オトマルの掛け合いがまた凄く良かったです。

そもそもパブリナがチートキャラすぎて運営側の誰かが紛れ込ませた状況改善のためのチートプログラムとかそういう線を疑うレベルなんですが、間違いなくこの作品の中で一番無能なのはNPCが自由意志で勝手に町運営しはじめてるのに気づかない何も対策しない運営だと思うので違うよね……。自分たちの暮らす世界が何者かによって作り出された舞台装置であることに気づき、プログラムの制約に反しない形での改善案を提示し、ラグ技を利用して大国を相手取らせ、ひいては現実世界までも侵食してしまうほどの超絶チートである彼女が、ゲーム側に定められた「設定」通りにオトマルにわかりにくい好意を寄せている展開が凄く皮肉ではあるんですけど微笑ましい。エピローグでオトマルとお互いのステータスを見せ合うやりとりが可愛すぎてニヤニヤが止まらなくなってしまった。

そんな彼女が自分の居場所を守るために行った外世界への「干渉」は、彼女の予想に反して外の世界に大きな影響を及ぼしてしまう。現実の世界を巻き込んで展開される急転直下のクライマックスと、その中でパブリナがオトマルに見せていく本心がたまらなく良かったです。チートレベルで有能だけど弱い部分も持ち合わせているパブリナをしっかり横から支えて、必要なときには「町長」としてのカリスマ・リーダーシップを発揮してくれるオトマルの存在が凄く心強くて、そりゃあパブリナもゲームの設定とかなくても惚れてしまうよなと。

ストーリーもキャラクターもどちらも魅力的で、最高に楽しいお話でした。しかしわがままを言うと1冊で綺麗に終わってる話ではあるんだけど、この話の「冒険者」側というか現実側の視点も読みたかった。運営は無能の気配なのでマジで気づいてなかったのかもしれないけど、冒険者として接待を受けていたユーザー側はこのサービス終了が決まった後から始まった謎の「テコ入れ」展開をどう思っていたのかめちゃくちゃ気になる。

ていうかこのテコ入れ、絶対に運営に問い合わせた人いるでしょ……それでも最後の最後まで放置されてたの本当に運営が無能としか思えなくてすごいんだよなあ……。

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魔術師クノンは見えている

 
Laruha

魔術で「目」を作りたい――その好奇心が少年を水魔術の天才へ飛躍させる!
 目の見えない少年クノンの目標は、水魔術で新たな目を作ること。魔術を習い始めて僅か五ヵ月で教師の実力を追い越したクノンは、その史上初の挑戦の中でさらに才能を開花!  魔力で周囲の色を感知したり、水魔術の応用で懐炉や湿布を作ったり、初級魔術だけで猫を再現したりーー。  その技術と発想は王宮魔術師も舌を巻くほどで、クノンは実力を買われ、最高の腕を持つ魔技師の弟子になることに!?  好奇心で世界を切り拓く、天才少年の発明ファンタジー!

生まれた時から目が見えない子供として生まれてきたクノン。その欠落は「英雄の傷跡」として尊ばれたが、ひとりでは何もできないことを突きつけられたクノンは生きることに絶望してしまう。そんな彼が、家庭教師の軽率な一言を切っ掛けにして「魔術を使って視界を得る」という目標を見出して……!?

どこまでもポジティブで明るい、魔術探究のお話

盲目の主人公が魔術で「目」を作ろうとする話……と聞いてなんとなく結構重たい話なのかな?と思っていたら全然違った!人生に絶望していた主人公が魔術を使えば「目」が作れるかもしれない、と希望を見出してそれ以降はただひたすらに真っ直ぐにそしてポジティブに魔術の深淵に向かって突き進むお話。重苦しいのは最初の一瞬だけでしたね。

1巻の序盤は基本的に実家の離れに引きこもっていて外部との接触は殆どないんだけど、やたらと明るい侍女・ニコの影響もあってか覚醒したクノンがものすごい勢いで明るいキャラになっていくのが頼もしいし、めちゃくちゃ高いテンションで繰り広げられるニコとのやりとりが楽しい。ついには口調だけは軽薄なエセ紳士になってしまったし、かつての絶望していた頃の彼を知っているだけにテンションの高すぎるニコとクノンのやりとりを好ましく思いながらも「本当にこれでよかったのか?」って一瞬なってしまう周囲にニヤニヤが止まらなかった。メインはそこじゃないんだけどほんと、会話の応酬だけでめちゃくちゃ楽しいな。

そしてそんな彼が家庭教師の手を離れて王宮の魔術師達と出会う話がまた、楽しくて仕方ない。クノンが「目」を作る研究の課程で作り出した魔術の発明の数々に興味津々な(というかもう普通に童心に戻ってエンジョイしちゃってる)大人の魔術師達の大人気なさがひたすら微笑ましかった。

徐々に前向きになっていく周囲の変化が良かった

このお話、生に絶望していたクノンが魔術と出会って生きる希望を見出す話であると同時に、前向きになったクノンが周囲を変えていく話でもあるんですよね。家庭教師のジェニエは一度は挫折していた魔術師の道を再び志すことを決意し、第九王女という立場に甘んじていた許嫁のミリカはクノンと共に生きるために相応しい力を手に入れる決意をする。クノンをずっと見守ってきた侍女のニコも自分の生に後悔をしないために婚活を決意して……と、とにかく皆が前向きに変わっていくのが読んでいて気持ち良い。

軽妙な会話が楽しく、魔術士達のちょっぴりマッドなやりとりも楽しめて、作中を貫くポジティブな空気もあいまって、読むと元気が貰える1冊でした。一応1巻でひとまずの目標は達成されて、続きものとはいえ1冊目で話がそこそこ綺麗にまとまっているのもポイント高し。物語としては序章も序章という雰囲気なので、2巻がどうなっていくのかがとても楽しみです。

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死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから(※ただし好感度はゼロ)3

 

「だってこれ─私の事が、好きだって言ってるみたい!」 「ああ、そう言っている!」 あのヴィンセント・タンザインが私なんかを好きになるはずがない。 私たちは“友達”──そう思い込むオリアナだったが、彼を思う気持ちは強くなるばかり。 そんな中、ヤナとアズラクの『試練』に問題が発生し、二人の関係も急激に変化する。 舞踏会前に、すれ違ってばかりのヴィンセントとオリアナは? そしてついに、竜木と死に戻りの謎の核心に迫る―― 大団円で迎える極上のハッピーエンド。 巻末に第2クラスの仲間たちの番外編もたくさん収録!

少しずつお互いの距離を縮めていく3周目のオリアナとヴィンセント。しかし、ヴィンセントには自分でない好きな人がいる……と思い込むオリアナは必死にヴィンセントへの気持ちを封印して「友達」として付き合おうとする。そんな中、ヤナとアズラクの『試練』が予想外のトラブルで中止の危機に陥る。死のタイムリミットが迫る中、オリアナとヴィンセントは死の運命を乗り越えて未来に辿り着くことが出来るのか…!?

すれ違い続けた恋人たちの両想いラッシュが、甘〜い!!

ヤナとアズラクの試練にまつわるエピソードをきっかけに、すごい勢いで甘〜い展開が続いていくのにニヤニヤしてしまった。オリアナとヴィンセントが両想いになるところも大変可愛かったんですが、これまでずっと表面的には大人の付き合いをしていたヤナとアズラク取り乱し方が、そして両想いになってすっかりヤナとべったりになってしまうアズラクにニヤニヤしてしまう。あとがきで語られているアズラクの誕生秘話、彼が生まれたきっかけになったセリフを知ってまた胸がいっぱいになってしまった。

アズラクの想い人に関しては絶対ヤナの勘違いなんだろうなと思ってはいたんですが、ヤナの「秘密の恋」が祖国では実質公然の秘密だったのメチャクチャ笑ってしまう。ここまで公然の仲だったのに結ばれなかった2周目のことを考えるとやるせなくなるけどな……。

そこからほとんど間髪入れずにオリアナとヴィンセントの告白エピソードが挟まるんですからもう本当に糖度が需要限界値を超えてる。アズラクのプロポーズの言葉もめちゃくちゃ良かったけど、オリアナの告白を聞いたヴィンセントの「君はずっと、ここにいたのか」がとにかく良すぎる。幾度の人生を越えて、時には記憶を失い時にはひとりで死に戻りの記憶を背負って、それでも手を伸ばし続けてきた二人がようやく「ひとつ」になった瞬間だったんだなあ。

三人でたどり着いた未来が、ひたすら尊い

オリアナとヴィンセントを何度も引き裂いた談話室での事件も、ようやく出口が見えることに。竜木を傷つけた恋人たちに与えられる死に戻りの試練と、それを見守る竜の代理人。浮かび上がってきた「三人目」の存在。ああこれは多分2回や3回繰り返してるだけじゃないんだろうなあ…とか、ミゲル関係者なんだろうなあ……とか思ってましたけど、いろいろな意味でミゲル一番重い役じゃん……。良くも悪くもこれまで一定の距離を保って接している印象だったミゲルが、どれだけ感情を圧し殺してふたりを見守ってきたのかと考えるだけで胸が熱くなってしまうし、だからこそ後日談の最初の一編を読んでニヤニヤが止まらないんですよね……「ふたり」ではなくて「三人で」4月18日にたどり着けて、本当に良かったです。

ミゲルはあとがきで「終盤で主役を喰いそうになって抑えた」と言及がありましたが抑えちゃったせいなのかもっと裏側に色んなエピソードがありそうな気がするというか、もうちょっと彼の周りの話を読みたかった気がしてしょうがない。なろうのほうに追加で後日談落ちてたりしない!?

オリアナのクラスメイト達の恋路のゆくえを描く番外編もとても良かったですが、「終章」と「後日談」の間に入るのめちゃくちゃ解せなかった。あの終章の終わり方から突然別カプの話はじめられても気持ちの切り替えが出来なさすぎて、正直ちょっと気持ちがついてこなかった。ふつうに終章のあとでそのままあの4/18朝のミゲルの様子が描かれる後日談読みたかったよね……。確認したらなろうの方では舞踏会の直後に入ってたので本当に解せない。その順番だとヤナ・オリアナの両想いラッシュに周囲のカップルエピソードが畳み掛ける感じで最高だったと思うんですが。なんで書籍版この配置にしちゃったんでしょうね……。

番外編、全体的に両片思いのすれ違いLOVE・もだキュン展開が多い中で唯一、カップルになるところから関係性がはじまって少しつづそこに気持ちが寄せてくるエッダとデリクのお話がめちゃくちゃ良かったです。恋愛感情に疎くて恋愛よりも実利を求めるエッダが、少しずつデリクに絆されていく展開が可愛い。

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「好きラノ 2022年上期」投票します。

ブログやtwitterによるラノベ人気投票サイト。2022年上期の人気ライトノベルはこれだ!!

参加します。
確認したら今年は上半期だけで50冊以上読んでるんですね…ここ数年の2倍のペースだ。とはいえ、うち30冊弱が去年から引き続き読んでた伝勇伝なので……投票対象で絞ると概ねいつもと同じくらいの冊数に落ち着く不思議。伝勇伝は続きマダーの列に後ろから失礼する感じですが本当に面白かったし本当に凄い所で切れているので早く続きが読みたい……。

最近、マジで面白かった本の2巻が出ないまま終わるパターンが多すぎるので応援の意味を込めまして今季1巻が出た作品を多めにして投票してます。今季読んだ新作みんな面白かったな……全部投票しよう(九十九投票)です。どれも面白かったから続きがあるやつは全部2巻出てどうぞ!!!その分既存シリーズの「いつもの」手癖感がすごいんですがどれもめちゃくちゃ面白かったので仕方ないんだ!!!

新作

楽山「俺の召喚獣、死んでる」→感想
【22上ラノベ投票/9784040744452】
死んでいて動かない召喚獣をバトルでどう使うか、蘇生させられないのか、死者として操れないか、駄目なら……と試行錯誤していく展開が楽しい。主人公チームの学生らしいわちゃわちゃ感も良かった!
小路 燦「VTuberのマイクに転身したら、推しが借金まみれのクズだった」→感想
【22上ラノベ投票/9784041126417】
アバターと中身のギャップは勿論、アンチすらも笑いのタネに変えてしまう超絶トークスキルを持つVtuberエリンのキャラクターが良い。そんな彼女をある時はバイト先の同僚として、またある時は「マイク」としてアドバイスしていく主人公との関係性が面白かった。
塗田 一帆「鈴波アミを待っています」→感想
【22上ラノベ投票/9784152100962】
失踪したVtuberを巡って繰り広げられる厄介オタクの奮闘劇。中盤の炎上展開はひたすら痛々しくてしんどくなるけど、オタクの目線から見た推しVtuberとそんな彼女を映す景色が最高に美しくて良かった。
夏目 純白「純白と黄金」→感想
【22上ラノベ投票/9784046808431】
ヤンキーの《邪気威(ヤンキー)》でモブが吹き飛ぶ!俺TUEE系トンデモヤンキー概念異能バトル。色々荒削りな部分もあったけどノリと勢いで読ませていく感じが楽しかった。この「本気でバカをやる」感じのやつ、万民にお薦めはできないけど好きな人は多分メッチャ好きなやつ。
真冬日「悪の華道を行きましょう」→感想
【22上ラノベ投票/9784758094436】
「美女と野獣」夫婦がイチャイチャしながら悪の華道を邁進していくお話。コミカライズで人気の出た作品の遅い書籍化なんですが、宰相閣下の気持ち悪さとセレスティーヌの早口オヤジ語りの描写が濃厚になっていてよかった。単話完結形式で気軽に読めるのも嬉しい。
三河 ごーすと「顔さえよければいい教室 1.詩歌クレッシェンド」→感想
【22上ラノベ投票/9784040745435】
顔出し配信での再生数がパワーになる学園を舞台に、歌以外のことは何もできない妹とそれを介護する自称マネージャーの兄が成り上がっていく。クラスメイトの力を借りて再生数を増やしていく展開が楽しく、ライバルとの熱いバトル展開も楽しめるお話でした。ライバルのエリオさんが可愛い。

続刊

衣笠 彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編7」→感想
【22上ラノベ投票/9784046814777】
そもそも作品に限らず文化祭関係のエピソードが大好きなんですが、文化祭の出し物での売上を競う経営対決になっているのがめちゃくちゃ面白かった!ストーリー的にもこれまでの様々な因縁に決着が着く回で、今後が楽しみになる展開。
羊 太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典21」→感想
【22上ラノベ投票/9784040745794】
初期から続いてきた「天の智慧研究会」との決着が着く巻で、短編側も含めてオールキャストで贈られるフェジテを巡る攻防戦がとにかくアツかった!そして次の展開に期待を持たせる終わり方が本当にズルい。
二月 公「声優ラジオのウラオモテ #07 柚日咲めくるは隠しきれない?」→感想
【22上ラノベ投票/9784049144499】
柚日咲めくるがあまりにもかわいい。オタクとして特等席で推しを眺められる立場の彼女が内心めちゃくちゃオタクを満喫しているのが楽しく、そんな彼女だからこそ抱える葛藤が印象的でした。
七夕 さとり「悪役令嬢レベル99 その5 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜」→感想
【22上ラノベ投票/9784040744070】
おおむね何もかもを物理で解決してきた裏ボス令嬢が政争に巻き込まれる話で老獪な貴族達の手のひらの上で踊らされる展開がなかなかもどかしい…と思っていたらレベル上げへの異常な情熱で全てを圧倒してしまったのでやはりレベル上げは全てを解決する(確信)

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純白と黄金

 

ようこそ喧嘩都市へ。ここは思い出と約束の無法地帯。
《純白の悪魔》それは最強と称された少年の異名。 ヤンキーの聖地・東北で100人の敵を叩き潰した後でさえも彼のシャツには、返り血一つ存在しなかった。 数多の伝説と偉業によりその名は全国に轟き、遠くない未来に全てのヤンキーが彼の舎弟になるだろうと囁かれていたが…… ある日、彼は姿を消した。 時は流れ、ヤンキー全盛時代。 東京最大の喧嘩都市・猫丘区では第二の《純白の悪魔》を生み出すため、六つの高校が参戦する盛大な喧嘩が始まろうとしていた。 そんな狂騒の最中、一人のオタクの少年が猫丘区に降り立った。 名を安室レンジ。 かつて圧倒的な力で東北の頂点に君臨し、ヤンキーを引退した《純白の悪魔》だった――。

中学時代に修羅の国・東北で伝説のヤンキー「純白の悪魔」として伝説を築いた少年・安室レンジはオタクとして高校デビューするために東京の黒淵高校にやってくる。ところが、そこは東京のヤンキー達がしのぎを削る喧嘩都市であった。学園の筆頭ヤンキー・赤城ザクラを倒してしまったレンジは自分を助けようとしてくれた女ヤンキー・鬼津アオイの目指す「ヤンキーが差別されない世界」に共感し、彼女と共に猫丘区にある6つのヤンキー校の頂点を決めるテリトリーバトル「シマトリー」に挑むことに。

シリアスな笑いが炸裂する現代異能×ヤンキーバトル

表紙とあらすじから硬派な不良モノを想像していたのですが、ヤンキー概念と現代のSNS文化・スマホアプリを使ったテリトリーバトル要素を下敷きにした俺TUEE系無双系異能バトルもの(長)でした。

ヤンキーが混入した造語の数々でシリアスな笑いを引き起こしていちいち笑ってしまう。初っ端で強いヤンキーが出すオーラ的なやつを《邪気威(ヤンキー)》と呼び始めたところで既に笑ってしまった。あとなにげにSNS文化要素が色々混入していて、ヤンキー専用SNSとか自撮りの「カチコ映え」とかも地味にポイント高いんだけど個人的に一番笑ったのはSNSのイイネが「ヒャッハー」になっていたところです。他人のヒャッハーで承認欲求を満たすヤンキー、正直めちゃくちゃおもしろいな。あと東北への風評被害が凄い。

出てきたモブヤンキー(「汎用ヤンキー」って用語が登場人物間でも普通に使われてるのにも笑う)が主人公達の仕業で軽率に吹き飛んでいく派手なバトル展開と、その合間に割りと唐突に挟まれるヒロインとのイチャイチャも良かった。やや設定や文章に荒削りさを感じる部分もあったんですが、結構その場の勢いで楽しく読めたな。

男同士の複雑感情(を美味しく頂きたい主人公)が良かった

主人公・安室レンジがぶっちぎりに最強な設定で、俺は平和な東京(※平和ではない)でオタクデビューしてオタク友達作って目立たず生きたい……といいつつ、でも皆に気づかれる前に殴り倒せばいいよネって常人では見えない速さで雑魚を昏倒させていくのでこれは戦いになるのか!?と目を疑うレベルなんですが、オタクとしての自分とヤンキーとしての自分の両方を受け入れた結果「ヤンキー達がそれぞれの因縁を胸に激突する所を特等席で見守ろれるの実はオタクとして美味しくない!?(意訳)」ということに気づいてしまったので基本的に雑魚は倒してお膳立てをしつつ自分は基本的にボス戦に関わらないという最強の傍観者ポジションに目覚めてしまい無問題だった。彼らのすぐ横に居ながらも完全に上位レイヤーから彼らの因縁を俯瞰してるの、俺TUEE設定だからこそ出来る展開で色々と凄い。

黒淵高校の筆頭ヤンキー・赤城ザクラが実質もう一人の主人公みたいな立ち位置になっていて、彼がレンジとの出会いを機に自分を見つめ直し、道に迷い慢心していた己を鍛え直し、袂を分かったかつての仲間達と戦うためにふたたび立ち上がり、独りで戦うのではなく心を通わせた仲間を改めて手に入れる……という展開がとてもアツかった。というか彼が中学時代に組んでいた東京最強のヤンキーチーム・《天下逆上》のメンバーが現在のテリトリーバトルの中心となっている6つの学校でそれぞれ筆頭ヤンキーを張っている……という展開が完全にオタクが好きなやつなんですよね。男同士の複雑巨大感情じゃん。これはレンジも特等席で見たがるわ。

不良モノかとおもったら俺TUEE異能バトルモノ、男男間の複雑巨大感情かとおもったらそれを見守る強いオタク……といろいろな意味で予想を裏切られる設定で面白かったです。いや面白かったけど色んな意味でみんな表紙に騙されない!?いやでもこの内容を正確に読み取れる表紙って難しいよな……すでに2巻が出ているようなので、そちらも楽しみです。

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読んだら元気になる!(かもしれない!)ライトノベル10選

だいぶ前からこの企画をやろうやろうと密かに狙っていたのですが……最近良くツイッターなどでつぶやいてる「このラノベを読むと心が健康になる」というおすすめのラノベをまとめました。

基本的に私は「オタクの推し語りは健康に良い」という文脈で使うんですがそれ以外の方向性のタイトルもいくつか。基本的には過酷な展開にもめげずにポジティブ&ハッピーなキャラクター達にニヤリと出来る作品が集まっているはず……です。

効用には個人差があります。

限界オタクの推し語りは健康に良い5選

栗原ちひろ「死んでも推します!! 〜人生二度目の公爵令嬢、今度は男装騎士になって最推し婚約者をお救いします〜」→感想
「推し」の心は世界も救う!!!
「推し」の婚約者・フィニス様を死なせてしまった主人公が令嬢から騎士へと華麗に転身。婚約者ではなく相棒として2回目の人生を送ろうとするやりなおし物。事ある毎に描写される主人公の「フィニス様萌え」がめちゃくちゃに健康に良い。なんなら周囲の主要人物たちも概ねフィニス様を推してくし、2巻ではフィニス様も主人公萌えを語り始めるのでますます健康に良い。既刊2冊。
瀧ことは「腐男子先生!!!!!」→感想
オタク活動って楽し〜い!!!!!
歴戦の腐男子である男性教師と彼の「推し作家」であり教え子でもある女子高生が繰り広げるラブコメ。応援上映やソシャゲのガチャや同人の修羅場などオタクにとっては身近な話題をネタにした様々な名言が飛び出してくるのがとても楽しく、ふたりがことあるごとに繰り広げる「萌え語り」がとにかく健康に良い。3巻完結。
恵ノ島すず「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん」→感想
私達の「推しカプ」がめちゃくちゃに可愛い!!!
ゲームの推しカプに声が届くようになって…というところからはじまる、現実とゲームを舞台にしたWラブコメ。オタクの丁寧すぎる心情解説によってツンデレ悪役令嬢の牙城は丸裸になり、あとはただひたすら彼女にメロメロな王子と王子に口説かれて恥ずかしがる悪役令嬢が残るのだった。どのカプも可愛いしか無くて健康に良い。2巻完結。
橘公司「王様のプロポーズ」→感想
一目惚れした推しが可愛い。僕だけど。
とある事情からヒロインと一心同体状態になってしまった主人公が、実は最強の魔女であった彼女の代わりに世界を救う戦いに巻き込まれていく。ヒロインに一目惚れした主人公が割りと自分の想像も踏まえつつすごい勢いでポジティブにヒロインをヨイショしていく様子が大変に健康に良い。同作者の「蒼穹のカルマ」もめちゃくちゃ姪が好きな最強の叔母の話で健康に良かったですね…。既刊2冊。
二月公「声優ラジオのウラオモテ #07 柚日咲めくるは隠しきれない?」→感想
推しが同期で、後輩が推しで
声優でありながら声優オタクでもある主人公達の先輩・柚日咲めくる視点で語られる第7巻が特に良かった。同期の花形声優(推し)や生意気な後輩声優(推し)とリアルで会話出来る存在である彼女が、至近距離から様々なファンサを喰らって内心悲鳴を上げる様子が健康に良い。3巻以降でめくるちゃんの出る巻は概ね健康に良いです。既刊7冊。

両想いカップルのイチャイチャ(二次元に限る)は健康に良い3選

手島史詞「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」→感想
不器用な一方通行→両想いになってからのイチャイチャ!!
闇オークションで出会った奴隷エルフのヒロインに一目惚れした魔王が全財産叩いて衝動的に彼女を落札したのはいいがどう扱ったら良いかわからなくてわたわたするお話。ヒロインをどう扱ったら良いかわからない主人公が独り相撲を繰り広げる初期の展開も最高ですが、両想いになってからすごい勢いで加速していくイチャイチャ展開が大変健康に良い。既刊21冊。
コイル「オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!」→感想
適度な距離感のまま、自然に距離を縮めていくふたりが可愛い
隠れ同人オタクの主人公が隠れアイドルオタクな同僚と偽装結婚して、郊外の広い家で同居生活するお話。一緒にいてストレスを感じない関係性から少しずつ距離を縮めていって愛が育まれる感じが大変心地よかった。2巻で両想いになったあとのイチャイチャぶりが大変健康に良い。既刊2冊(今月3巻が出ます)。
小野上明夜「死神姫の再婚」
この夫、嫁にメロメロすぎません???
いわくつきだが家柄は良いバツイチ令嬢と愛の無い婚姻関係を結んだ「強」公爵が、マイペースで少しズレた妻に少しずつ絆されていって…。巻を重ねる毎に妻にメロメロになっていくコワモテの旦那様と、旦那様に愛を与えられてわけもわからず「お腹が痛い」と訴える妻。限界を超えた夫婦のイチャイチャ模様がめちゃくちゃ健康に良い。22巻完結。

ちょっと意味が違うけど健康に良い2選

中村颯希「ふつつかな悪女ではございますが 〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜」→感想
常に死と隣合わせな肉体が、どうしてこんなに健康に!?
寵愛を一身に受ける病弱な雛女と、彼女を羨む嫌われ者で落ち目の雛女。正反対のふたりが入れ替わってしまいさあ大変!?というお話。とにかく入れ替わりによって健康な肉体を得た主人公・玲琳が前向きに「悪女」としての破滅フラグを打ち破っていくのがめちゃくちゃ楽しい。健康の意味が違うけど、主人公が持つポジティブ思考は見ていて健康に良い。既刊4冊。
望公太「性春デイズ 〜男子高校生の性の心理戦〜」→感想
男子高校生がひたすら下ネタ言うだけの怪作。
全寮制の男子校を舞台にひたすら男子高校生トークをするだけの会話劇。ヒロイン不在/絡み萌えとかもあまりなく/ひたすら生々しい下ネタをぶちかましていく作風で、それが大丈夫ならお馬鹿な男子高校生達のわちゃわちゃで健康になれるし、ひょっとしたら別のところが健康になる(かもしれない)(酷いオチだ!)単巻完結で気軽に読めるけどレーベル撤退済で入手難易度がやや高め。

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典21

 

絶体絶命のフェジテ決戦。そして、訪れる衝撃の幕切れ……!?
イヴ、アルベルト、リィエル……グレンが不在のなか、それぞれの使命と運命を背負い、決死の戦いが続いていた。頼みの切り札すら、覆されそうになる敵の底力。最後に待ち受ける戦いの幕切れを見逃すなーー!

フェジテに押し寄せる天の智慧研究会の幹部達と十万を超える死者の軍団。お互いの生命を削り合うかのような激突が各所で起こり、イヴやリィエル、アルベルトの活躍によって活路が見出される……と思われたが、それに対して天の智慧研究会側も様々な対抗策を打ってくる。全てを使い果たし、これまでか……と思ったその時──いよいよ「彼ら」がフェジテへと帰還する!!

フェジテの存亡を掛けた「天の智慧研究会」との最終決戦!!

前巻から引き続きのフェジテを巡る防衛戦、クライマックス。エリエーテの全てを捨てる剣技ではなく仲間を守るための最強の『光』を振るうリィエル、何よりも憎いはずの姉の仇パウエルを前にして復讐ではなく仲間のために戦うアルベルト、仲間達がここに戻ってくると信じてエレノアとの絶望的な戦いに身を投じるイヴ。幾度も絶望に押しつぶされそうになりながら、それでも立ち上がり、戦いの中でも成長していく彼等の姿がアツかった!そして必死に戦う三人を見て、共通の敵を前にして、満を持して力を貸してくれる強敵達の存在に胸が熱くなる。

何より、傷ついたリィエルを守ろうと必死に奮闘する教師達・生徒達の闘いが凄く良かった。ひとりひとりは大きな力も持たない、今にも戦いの余波を受けて倒れてしまいそうな生徒達の必死の頑張りこそが、リィエルが再起してエリエーテの『剣』をも上回る『光』を見つけるための最後のピースだったんだよな……。そして、リィエルも含めてそんな愛しい生徒達を守るために立ち上がる、普段はおちゃらけてばかりだったアルザーノの名物変人教師達の奮起にニヤリとしてしまう。

美味しいところを全部「アイツ」が持っていった!!!

文字とおり身を削るような戦いを経て、なんとか天の智慧研究会の幹部達に勝利を収めた面々。ところが、全てを出し尽くした彼らの前には首領・フェロードが立ちふさがる……というところから、満を持して新たな力とともに帰ってくるグレン&システィーナ&ルミア!!過去から、そして母親から受け継がれた圧倒的な力を見せつけていよいよフェロード&レ・ファリアとの最終決戦が始まr──というところで、最後の最後の最後でグレン達の横から良いところ全部持ってくやつがいるなーーーーそんな予感はあったなーーーー“読んでいた”なーーー!!!!!!

いやこの人絶対死んでないだろ……っていう絶対的な自信はあったし、どこか最高のタイミングでもどってくるんだろうなとは思っていたのですが、それにしたって良いところ持ってきすぎじゃないですかねえ!!!超魔法文明の昔から何千年も巡らせてきた策を雑に潰されるフェロードが一周回って可哀想になってきたけどやっぱりこの物語で出てきた大きめの事件は概ね全部コイツのせいなので全然かわいそうじゃないです。

世界を巡る戦いだったはずの何かが色々かっさらわれて絶対に相容れない男同士の複雑感情激突戦に落とし込まれる(であろう)の本当に楽しみしかないです。興奮する。最後の挿絵最高。本当にありがとうございました次巻が楽しみだなあ!!!

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声優ラジオのウラオモテ #07 柚日咲めくるは隠しきれない?

 

これは声優ファンの少女、藤井杏奈が、声優「柚日咲めくる」を認めるまでの物語。
「自分より、ほかの声優の方が良い」ファン心が邪魔をして、オーディションで実力を発揮できないめくる。役を取りあわなくて良いラジオを主戦場にしてきたが、声優としての限界が見え始める。 「いい加減、覚悟しないとダメなんだよ」 支え合ってきた相棒、花火の言葉にも動かされためくるは「声優ファン」を卒業するが、目からは輝きが失われて――。 厳しくて口が悪くて、でも本当は誰より優しい。可愛い先輩のために夕陽とやすみも一肌脱ぎます! 隠しきれないめくるの青春声優ストーリー、NOW ON AIR!

アイドル声優が大好きで、声優養成所の門を叩いた普通の女の子・藤井杏奈。両親の反対を押し切り、声優・柚日咲めくるとしてデビューした彼女だったが、「声優」が好きなあまりオーディションで本気を出せないという弱点を抱えていた。声優としての岐路に直面した彼女は、声優ファンとしての自分を封印しようと決意するが……。

限界オタクの推し語りは健康に良いので傑作(特大言語)

態度はキツいが頼れる先輩であり、限界声優オタクである柚日咲めくるが声優としての・オタクとしての自分に向き合うお話。柚日咲めくる……というか彼女の内に潜む「限界声優オタクの藤井杏奈さん」視点で語られる物語が楽しい。

そしてそんな彼女の内心を知っててわざと距離の近い営業してくる夕陽&やすみの後輩コンビがまた、めちゃくちゃ破壊力高い。周囲に気取られないように隙あらばファンサをかかさない生粋のアイドル声優・歌種やすみとそんな彼女のアドバイスを受けて人のいない所で不器用に迫ってくる夕暮夕陽の多重攻撃、破壊力が高すぎる。今回はめくるの一人称という時点で限界オタクの早口語りな一人称文体がめちゃくちゃ健康になるんですけど、同時にファンの視点から描かれる夕陽&やすみの姿がめちゃくちゃ印象的でした。いやこんなの藤井杏奈ちゃんじゃなくても死ぬわ。

「推せる自分」になるために

夕陽ややすみの視点から見ると「頼れる先輩」である柚日咲めくるの、彼女らには決して見せない葛藤と焦りが印象的でした。声優が好きすぎるあまり、自分が他の「声優」を押しのけて役を穫ることに違和感を感じてしまう彼女が、苦手なオーディションから逃げて、声優ラジオを通して「他の声優を生かす」役割を演じようとする。でもそれをちゃんとやるためには自分自身が売れっ子声優にならないといけない、というジレンマ。だがそもそも自分だって他人を背負えるほど安定しているわけではなくて……回り回って自分の中の自分を殺す決意をしてしまう彼女の思いが、胸に痛い。

でもそんなめくるに相方・夜祭花火や後輩達が示したのは、彼女自身を殺さない道。藤井杏奈こそが柚日咲めくるの一番のファンになれば良いという、考えてみたら当たり前の道で。彼女たちの後押しを受けて藤井杏奈ではなく「柚日咲めくる」として、声優として改めて一歩をふみだす姿が最高にアツかったです。

それにしてもこれ5巻(の作画崩壊限界アニメ現場の話)と同時進行で進んでいた6巻(アイドル声優ユニットのリーダーに抜擢され、問題児だらけの新人声優達と対決する話)のさらに裏に存在する物語ということになるわけですけどこの期間で事件起きすぎでは!?しかもこれ多分8巻は今回の話の後半の時間軸になりますよね。いやほんとに濃厚だな……。それにしても6巻の裏側、まさか相手が歌種やすみの限界オタクだとはつゆ知らずにやすみのこと愚痴ってくる飾利ものすごく趣深いな……。

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顔さえよければいい教室 1.詩歌クレッシェンド

 
necomi

大人気タッグが贈る、天才たちによる人気獲得学園バトル。
音楽、ダンス、ファッション――あらゆる分野の天才が集う芸能学校・私立繚蘭高校。 だがその実態は、「顔」をはじめとした外見ですべての評価が左右される教室だった。 俺の妹・池袋詩歌はヒキコモリで、兄ナシでは生活できない要介護人間のせいか、配信のセンスもスター性も壊滅的。 この学校では最弱かと思われた。 だが俺は知っている。ネットで顔を隠して伝説になったVSINGER。その正体こそが詩歌だと。 「――青、この曲の色。私はそれに合わせて歌うだけ」 ゆえに詩歌の歌声は唯一無二。学校のあらゆる常識を覆し、彼女の才能は見出されていく――!

天才的な歌の感性を持つが生活能力は壊滅的かつ極度の人見知りである妹・池袋詩歌とそんな彼女を甲斐甲斐しく世話しつつ彼女の才で金を稼ぐ「自称マネージャー」の兄・学斗。顔を隠してヴァーチャルシンガーとして活動していた兄妹が『学費免除・更に生活費まで貰える』という条件に釣られて芸能学校・私立繚蘭高校のスカウトを受ける。ところが生活費を稼ぐためには、「顔出しの動画配信」で人気を得る必要があって…!?

歌の才能だけでは生きていけない顔出し配信の世界がリアル

「再生数」がパワーになる学園でしのぎを削る少年少女達の物語。舞台となるのが本名・顔出し強制の動画サイトということで、才能があるだけでは生き残れない展開が今時で面白かった!歌が上手くて友達いない生徒よりも特に光るものもないけど友達が多い生徒の方が最低数の下駄履けるところとか、まとめ・情報動画に需要が集まる展開がリアル。

バーチャルシンガーとして歌一本で勝負して匿名動画の世界で着実に再生数を伸ばしてきた主人公兄妹が、最初の配信では身内しか「いいね」してくれないというどん底の状態からスタート。まずは見た目を整えて、クラスメイトにコラボの打診をして……と正統派に「動画を見てもらうための努力」を重ねていく展開がアツかった。その努力が実ってクラスの中でも一目置かれる存在になって漸く、詩歌の歌そのものを評価してもらえるんだなあ。

そしてクラスメイトの作曲家・狛江とのコラボ効果もあり100万再生を突破した詩歌を待っていたのは、クラスの中でも抜群の再生数を誇る渋谷エリオとの中間考査を使った対決。「顔さえ良ければいい」というタイトルからしてもっと奇策を駆使して成り上がる物語かと思っていたのですが、見た目はあくまでスタートラインでしかなくて、その後ろに待っているお互いに譲れない「面子」を掛けた熱い青春と音楽の物語が、6オクターブという圧倒的な音域を誇るエリオと感情を「色」として受け取り「絵画」のように自らの歌の世界を織り上げる詩歌という対称的なふたりの「天才」の対決が最高に熱かった。

渋谷エリオさんが可愛い(とてもかわいい)

歌以外のことは何もできない妹とそれを介護する自称マネージャーの兄。過去に何かあった臭をそこかしこから漂わせるタダモノではない距離が近い兄妹……という構図の時点で割と好きな人は大好きなやつですね!!という感じなんですが、彼らを取り巻くキャラクター達がまたとても良かった。まとめ動画で一定の需要を得ているけど音楽方面の才能はまだ全く分からない・何かと楽斗にいいように使われてる都合の良い女感が凄い秋葉、ノリの軽いナンパな男の友人枠かと思いきや詩歌に惚れてしまって以来めちゃくちゃ純情ムーブしてくる作曲家の狛江。他学年の先輩たちも色々と絡んできそうな気配で、今後の展開が気になる。

しかしやっぱり個人的に渋谷エリオが!可愛い!!序盤は完全に詩歌をライバル視してやたらと突っかかってくる嫌な女だったんですが、プライドが高く嫉妬深いけど裏表がなくて何事にも一生懸命で明るく周囲を引っ張っていく、台風の目みたいな女渋谷エリオさんの勝負終わった後の姿が可愛すぎてしんだ。いや、色々行き違いがあって嫌な女みたいに見えていたけどいい女じゃないですか〜!!!もうこれはいろいろな意味で2巻が楽しみしかない。

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