『ティアラ☆スターズ』のライブも一段落し、再びオーディションに落ち続ける日々に戻ったことに焦りを感じる由美子。模試の結果が散々だったこともあり、加賀崎の勧めで暫く学業に専念することに。友達との勉強会に文化祭、「声優」としての仕事のない学園生活はとても楽しくて……。
先に進むために必要だった「立ち止まり」のお話
仕事がないことを気に病み学業が疎かになりかけた由美子が半休業状態になり、二ヶ月の学園生活を謳歌しながら改めて声優としての自分を見つめ直すお話。前巻のあのすごい声優ライブからのこの落差、本編だと歌種やすみこんなにすごい声優なのにまだ崖っぷちなんですか!!???感が半端ないんですけどそれでトントン拍子に売れるようなら世の中今頃大人気声優だらけだよな……みたいな現実の世知辛さをしみじみ感じてしまったシリーズ最新刊。でもそろそろ1巻・2巻の頃くらいのご都合展開で突然売れっ子になってもいいと思うんだ!!???フィクションの中でくらい夢を見たい!!休業中の学園生活は普通に楽しくて、声優としての仕事を苦しく感じてしまっていることに気づいてしまって。これまで自分の中には決してなかった「声優にならない」という選択肢が生まれてしまって。そして自分がくすぶっている間にも「相棒」だと思っていた夕暮夕陽はどんどん活躍していって……目をそむけていたのに、偶然自分の落ちた役を夕暮夕陽が演じていることを知ってしまって。とにかく女子高生・佐藤由美子にとっては楽しかった二ヶ月である反面、声優・歌種やすみにとってはとにかく苦しい二ヶ月という感じだった。
でも、そのお陰で夕陽に対してこれまで語ることの出来なかった本音をさらけ出すことができて……声優をやりながら大学に行きたいという気持ちを新たにして、嫉妬や汚い気持ちすらもバネにして再び立ち上がる力を得ることが出来たのは本当に良かった。由美子の本音をきいた千佳の反応には思わず笑っちゃいましたけど。
そしてそこからの、文化祭での急造演劇部のピンチヒッターとして由美子と千佳が掛け合い演劇を行うクライマックスが最高でした!準備期間が足りていないところを流石の経験と演技力で補う千佳、演劇は初挑戦ながらも阿吽の呼吸で彼女をフォローし、持ち前の会話力と本番の強さで繋いでいく由美子。アドリブにアドリブを繋いで……本来のシナリオとはまったく違う劇となっていく展開が最高すぎる。やはり二人は演技しててこそだよ!な!!!いやこれ普通にアニメとかで全部見たい。あと文化祭の裏でさり気なく死んでる藤井杏奈ちゃん(一般オタク女性・職業声優)可愛すぎんか?????
楽しく、そして辛い展開だったけど今後2人が前に進むために絶対に必要な物語で、とても良かったです。あとほんとそろそろご都合主義でもいいから売れてほしいな歌種やすみ……!!