ページ 9 | 今日もだらだら、読書日記。

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ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編6

 

「ねえ堀北さん。櫛田さんを残したのは本当に正しかったって言えるの?」
満場一致特別試験の代償は大きく、綾小路たちのクラスには大きな亀裂が入ってしまった。櫛田、長谷部、王の3人が学校を連続欠席。体育祭の詳細が発表されるが、堀北への反発からミーティングは紛糾、綾小路クラスは練習すら始められない。大きなポイントを得てクラス昇格を果たしたはずが、このままではマイナスの結果になりかねない。3人の生徒のクラス復帰に向けて堀北や平田が動き出すが……。一方個人の実力が大きく影響を及ぼす今回の体育祭。小野寺は最良の結果を求め、須藤との共闘を申し出て――!?  「私は認めない。この先何人が堀北さんを認めたとしても、私は絶対に認めない」 選択の先に待つ未来は光か闇か。

再び巡ってきた体育祭を前に、Bクラスに昇格した堀北達は空中分解の危機を迎えていた。堀北がこれまで築いてきたクラスメイト達との信頼関係は半壊し、櫛田をはじめとした三人の生徒達が不登校状態になってしまう。とても体育祭の練習どころではない状態で、堀北や平田はまず彼女たちを復学させるために奔走することになるが……。

「満場一致試験」のあとしまつ

2年目を迎えた体育祭編、まずは満場一致試験の後始末からスタート。櫛田ちゃん確かに前巻のあのラストでどういう顔して翌日学校行くんだろうと思ってたんですがそりゃあ休むか……。しかし、時間は掛かったけれど彼女が作り上げた堅牢な壁を壊し尽くしてようやく腹を割って話すことが出来たという一面もあり、前巻でのアレは完全な無駄撃ちじゃなかったんだと思わせるようなやりとりもあったのでよかった……のかな。「共通の敵に対して共闘出来る」関係まで関係性を修復できたのは怪我の巧妙というか有史以来の快挙と言えるのでは。櫛田を切り捨てなかったこと、代わりの生徒を切り捨てたことが本当に正解だったかというのは、もっと先になってみないとわからないけど。

櫛田・堀北が共通の敵を前に一時共闘するの大変美味しかったですが、そこに伊吹が絡んだときの化学反応がまた凄い楽しいですね。良くも悪くも考えすぎな二人に対し、伊吹は良い意味で「脳筋」で裏表がない。良い緩衝材なんだよなあ。

でも今回の場合、櫛田なんかよりもよほど深刻だったのが満場一致試験によって親友を失った波瑠加で。2巻くらいから少しずつ不協和音を感じていたけど、「綾小路グループ」は今回ので完全に崩壊状態になってしまったな……なんだかんだでクラス内で居場所がなく寂しさを感じているらしき綾小路にキュンと……いやまあトドメを刺したのは綾小路本人なんだが……。逆上する櫛田とは対象的に静かに綾小路・堀北への復讐を決意する波瑠加の姿には不穏なものしか感じない。

久しぶりの黒幕・綾小路清隆大活躍回(おまえというやつは…)

なんとかクラス内でのまとまりを取り戻して体育祭に臨む面々。堀北達Bクラスは龍園達のDクラスと手を組み、Aクラスの陥落を狙うことに。去年の体育祭でも大きな活躍を果たした須藤は同じクラスの体育が得意な女子生徒・小野寺と共闘して戦果を上げていく。Dクラスの伊吹は一年前の雪辱を果たすため、堀北に勝負を挑む。一方、坂柳を抑えるために綾小路は思い切った策に打って出て……。

今回の話、クラスの立て直しの所からはじまってこの体育祭と、一貫して堀北をはじめとしたクラスメイト達の様々な成長・関係性の変化が描かれるお話だったと思う。櫛田のキャラ変が一番顕著ですが、一年前に誰を頼ることも出来ずに龍園のし掛けた罠にハマりかけた堀北がクラスメイト達を頼って見事な戦略を見せ、一年生編では何度もクラスの足を引っ張ってきた須藤が怒りを抑えることを覚え……各所で巻き起こる小さなドラマに思わず胸が熱くなってしまいました。

クラス外だと今回共闘相手となった、孤高の王だった龍園の変化も良かった。龍園がやりすぎそうな部分は葛城がストッパーになってくれる一方で持ち味である汚いやり口も忘れていない。久しぶりに龍園・石崎コンビの汚いやり口が炸裂してニヤニヤしてしまったんですが、その裏で無邪気に綾小路・龍園のW誕生日会を提案してくる石崎が解釈一致すぎて早くW誕生日会の短編が読みたいです(気が早い)。これまで生徒たちを突き放すような態度を取っていた茶柱が自らの過去のトラウマでもあった「満場一致試験」を乗り越え、生徒たちを気遣うような言動を取るようになったのも印象深かった。

しかし、各生徒達が名勝負を繰り広げる中で夏の無人島から南雲会長のかませ犬っぷりがひどすぎてそろそろ相手してあげてくださいよ綾小路さん……南雲の挿絵に哀愁漂いすぎてて笑っちゃったよ……。

級友達を「見守る」と言ってできるだけ手を出さないスタンスを取る今回の綾小路ですが、見守ってたと言うよりも“今後”を見据えてクラスメイト達の成長の裏で色々と暗躍していた印象が強い。久しぶりの「黒幕・綾小路清隆」だったなあと。ただ、その今後というのはあくまで綾小路自身の目的を果たすためであって……本当にエピローグの独白で久しぶり(11.5巻以来6巻ぶり)にひっくり返ってしまった。いやみんなの成長が目覚ましい凄い!って流れからのその終わり方ある!?最終的な目標が「ホワイトルームを打倒する」ことであるならば、確かに最終的に「ホワイトルームの最高傑作」の敗北こそがこの物語の幕引きに相応しいのだろうというのは以前から感じていましたが、それにしてもタイミングが酷い。

綾小路を救けるような態度を取る謎の電話の声、天沢の意味深発言……と、ホワイトルーム周りの話は綾小路自身が外部からの来客と対峙するであろう次巻の文化祭に続くのか。エピローグで語っていた「計画」を綾小路はいつ決行に移すのかも気になるし、軽井沢さんに不穏なフラグが見え隠れするの本当に怖すぎるんですけどほんと彼女は幸せになって欲しいよ……。

それにしても軽井沢に続いて坂柳と、露骨な匂わせ描写の連続に爆笑してしまった。いや後者はどうだろうだけど前者は明らかにそうでしょ。挿絵からしてもそうでしょ。「特別授業」じゃねーんだよ綾小路!!!

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ふつつかな悪女ではございますが: 2 〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜

 

悪女と呼ばれる嫌われ者の雛女、朱 慧月と、身体を入れ替えられてしまった愛され雛女の黄 玲琳。しかし「あなた様が……玲琳様なのですね!?」ついにその正体に気づいた者が現れる。玲琳付きの女官、冬雪だった。そこから一気に慌ただしくなる玲琳の周囲。次第に尭明、辰宇たちも、自分たちが感じていた違和感の正体に気づきはじめ……。胸が躍る入れ替わりの生活も、そろそろ終わり。玲琳たちを陥れようとする金家の女官、その裏に見え隠れする"ある"人物。そして、すべての真相を明らかにすべく、玲琳が動き出す――。大反響、大逆転後宮とりかえ伝、第二巻! WEB版から大幅加筆&新エピソード大量投入! そして物語は新たな展開へ―――!

鼻つまみ者の雛女・慧月との「入れ替わり」生活を全力で満喫していた玲琳だったが、彼女に親しい者達は少しずつ彼女達の様子がおかしいことに気づき始める。大事になる前に入れ替わりを解消しようとする玲琳だが、死の淵から生還した慧月は、玲琳の「病弱」の原因がただの病気ではないこと・自分達を陥れようとした本黒幕の正体に気づいてしまい……。

対称的な女二人のクソデカ感情良かった

両親に見捨てられ、周囲からはドブネズミと下げずまれ、唯一縋っていた朱妃にも頼ることが出来ず心を閉ざしていた慧月が、自分の行動によって苦しめられているはずなのになぜか好意を向けてくる玲琳の言葉によって心を溶かされていく展開がとても良かった。そしてその玲琳もまた、周囲から大切に扱われすぎるがゆえの孤独を抱えていて、また、明日をも知れぬ命であるがゆえに全てを諦めることで悔いを残さぬよう生きていて。入れ替わりに際して自分の身近な人達の知らない顔に接して、そして何より慧月の苛烈な感情に触れて、凍らせていた自分の感情を溶かしていく姿が印象的で、慧月・莉莉と友誼を結ぶ展開には胸が熱くなりました。正反対のようで、どこか似た者同士なんだよなこの二人。

しかし、玲琳・慧月の関係性もとても良かったし色々な意味でどこか世間離れした二人にツッコミを入れてくれる莉莉をふまえた三人の関係も大変良いものでしたが、ふたりの育ての親・絹秀と雅媚の関係性がめちゃくちゃ良かった。互いを想い合うが故に傷つけ合い、腹を割って話せなかったばかりに長い年月を懸けて拗らせてしまった行き場のないクソデカ感情が、子供達の成長と共に深い悪意として醸造されていくのほんとうに良い。いやもう本当にその持て余したクソデカ感情のおかげで玲琳と慧月と絹秀は死にかけたワケなのでアレなんですが……。

それにしても今巻は(前巻からその兆候はあったのですけど)玲琳の人たらしっぷりが炸裂しすぎていて、気がつけば立場も性別も問わずみんな玲琳にメロメロになってしまっているの笑ってしまった。特別編が逆ハーレムすぎる。本人無自覚で周囲がすっかり執着こじらせて狩人の目になってるの、色々な意味で「この悪女〜〜!!!」って言ってあげたい(玲琳めっちゃ喜びそうですね!!)。

……からの、特別編ラストが不穏すぎて、どうなるのか続きが気になりすぎます。

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典20

 

託した想いが、奇跡を起こすーー!
「天の智慧研究会」の最後の猛攻が、フェジテを飲み込もうとしていた。グレンたちが不在のなか。イヴ・アルベルト・リィエルーーそして、あの人物も。圧倒的な危機のなか、グレンの想いを受け継ぎ、誰もが戦い抜く!

グレンとシスティーナとルミアがセリカを追って姿を消した後、「天の智慧研究会」と彼らが操る死者たちの侵攻が本格的に始まった。圧倒的な力に開眼したリィエルの奮闘、指揮官となったイヴの巧みな戦略もあってなんとか持ちこたえていたが、『剣の姫』エリエーテの登場によって戦況が大きく傾くことに……。

敵も味方も総登場なクライマックス前哨戦(ただし主人公不在)

これまでに登場してきた敵・味方の殆どが登場するオールキャストの最終決戦がめちゃくちゃに熱かった!!いやもう30巻近く続いてるとどこで出てきたキャラかわからない人も何人かいたりはしたんですが、特に短編のキャラクター達が重くなりがちな話を引っ張り上げてくれるのがとても楽しい。ヒューイやニーナの再登場にはじんわりしてしまったけど、ロザリーさん本編に出すのはほぼほぼ反則では!?あと本編キャラだけどハーレイ先生、本当にこういう時、普段のかませ犬キャラはなんなんだっていうくらい良い仕事しますよね……。

とにかくこれぞ最終決戦!!と言わんばかりの豪華メンバーによるフェジテ防衛戦がめちゃくちゃ楽しかったんだけど、そこに集った人々の心のなかに宿る、ここにはいないグレンの存在にまた胸が熱くなってしまった。本編には一切出番がないのにこんなに主人公の存在感があるのって凄いですよね。あくまでグレンが何かをしたわけではなく、それでも彼がいたからこそ手繰り寄せられていく僅かな勝機にワクワクが止まらない。というか早く21巻が読みたい(気が早い)。

イヴ、リィエル、アルベルト、それぞれの戦い

どうかんがえても「詰み」目前な戦況をひっくり返すイヴの策がまた、めちゃくちゃに気持ちよかった。かつての彼女からは想像もできないような綱渡りをしながら奇跡を掴み取るような「奇策」には目を瞠るしかないし、実家の重圧から解き放たれて「炎の一刻半」を経て指揮官として一気に成長した彼女の姿に胸が熱くなるし、そんな彼女の頼もしい姿をかつて「フェジテ最悪の3日間」で振り回された警邏庁の人たちが目の辺りにするというのがまた……。

一方、現代に蘇った英雄『剣の姫』エリエーテに苦戦を強いられるリィエルの描写はとにかく読んでいて心が痛い。前巻(追走日誌9巻)のラストであんな展開を見せておいて、しょっぱなから読者を奈落の底に突き落とすのはマジでやめてほしすぎるし、エリエーテに勝つために提示されたのは、かつてグレンが必死に掬い上げ、仲間や級友達によって少しずつ積み重ねられてきたリィエルの人間性を削ぎ落とさせるような選択で。この二人の戦いは本当に最初から最後まで光が見えなくて、読むたびに胸が苦しくなってしまった。誰一人、なにひとつ欠けることなく帰ってきてくれることを願うばかりなんですが……。

そしてパウエルとアルベルトの元師弟対決。これもほんとうに先が見えない……アルベルトの新しい力である義眼もなんか色々と不穏な雰囲気を感じるし、復讐に囚われたルナの介入もありそうだし。

三人の戦いのどれかに決着が付けば一気に状勢が傾きそうで、その反面フェジテ側にとってはどれ1つとして落とすことの出来ない戦いで。勝利の女神はどちらに微笑むのか。そしてグレン達は間に合うのか。19巻の終わり方もなかなかに鬼畜でしたがこの戦いの決着がつかないまま20巻に持ち越しなの鬼畜がすぎるんですよね早く21巻が読みたい…!!!

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死んでも推します!!2 〜人生二度目の公爵令嬢、今度は男装騎士になって最推し婚約者をお救いします〜

 

公爵令嬢のセレーナは、現在『二度目』の人生を爆走中。 最推しの婚約者・フィニスとともに、何者かに暗殺された一度目の人生。その記憶を保ったままリスタートした『二度目』では、守られるだけのお姫様の立場を捨て、男装して帝国最強の黒狼騎士団に入り、団長であるフィニスを守り抜く――そう決めたのに。フィニスへの恋心を自覚し、さらに自分ではない婚約者の存在を知り、セレーナの心は揺れる。 そんな折、フィニスが現婚約者・フローリンデへの贈り物を選ぶのに付き添い、トラバントと三人で北部の商業都市を訪れたセレーナ。そこで遭遇したフローリンデは、前世でセレーナが知っていたキャラとは激変していて――? トラバントの抱える秘密、束の間の休日デート……そして、舞台を帝都に移しての「婚約破棄大作戦」へ――!? 婚約者の地位も、恋も捨てた先にあったのは、あなたと手を握りあえる『今』。 両片想い×死に戻りラブコメファンタジー、絢爛&波乱の第2巻!

最推しにしてかつての人生での婚約者・フィニスを死の運命から救いたい一心で、フィニス率いる黒狼騎士団に「騎士」として入団したセレーナ。フィニスを守りたいという気持ちに嘘はないけれど、フィニスに自分ではない婚約者がいるという事実には心が揺れる。ところが、彼の「現婚約者」であるフローリンデ、一度目の生の頃に知っていた彼女とは全く変わってしまっていて…!?

本音が漏れはじめてるフィニス様めちゃくちゃ面白い……。

相変わらず聞いてると健康になるセレーナ(+α)の「推し語り」が楽しいシリーズなんですけど、今回フィニス様の方もだいぶ本音が漏れてない!? 1巻では時折フィニス視点のパートで予想外にテンションの高い地の文が拝める程度だったんですけど、だんだんセレーナ達のノリに染まっているというか普通にぼろぼろ地が出てきてるの笑うしか無い。いや、セレーナは最初からそういう芸風(?)だからいいんだけどクールなイケメンの顔したフィニス様が時々物凄い早口で頭おかしいこといいだしたり、セレーナの可愛さのあまり語彙力が溶けたりしてるの面白すぎる。

もう一刻も早くこの作品をドラマCDにして豪華声優さん達を起用しとんでもないイケメンボイスや可憐なボイスでド早口でこの推し語り部分を喋らせて欲しい。早くしろどうなっても知らんぞ!!!

ラストが とても 不穏!!!

フローリンデとの婚約破棄騒動などもあり、フィニスをただ「推しの人」としてだけではなく、少しずつ「恋愛」の対象として意識してしまうセレーナ。セレーナ達の「推し」のノリに毒されつつもじわじわと彼女への想いを強めていくフィニス。ドタバタ楽しい推しコメをやってるその裏で使命や立場に縛られた二人のもどかしい恋愛模様が進行していくのが印象的でした。一周目でなにもわからずに萌えていたフィニスの憂いを含む横顔に、彼の事情を知ってしまったが故に萌えられなくなるセレーナの姿が切ない。

そして更にその恋愛模様の裏で、1巻から見え隠れしていた政治情勢がますます影を落としていく。というかラストの一行不穏すぎませんか!?どうかんがえても乱痴気上等だった収穫祭のドタバタ騒ぎの話の直後に持ってくる文章じゃない。セレーナのやり直しに関する「二周目じゃないかも?」疑惑なんかもどうなっていくのか気になるし、本当コメディの横でちゃくちゃくと重い話の伏線はられていく感じが溜まらない。謎の存在感を持つフィニスの父親、そして突然現れたフィニスの弟……と、フィニスの実家の話も相当きな臭そうなんだよなあ。

ところでセレーナとフローリンデが夜なべして作った厚い本はどこで読めますか?絶対に好みの気配がする。

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王様のプロポーズ 極彩の魔女

 

世界を統べる魔女の身体と力を手にした少年の、最強の初恋!
久遠崎彩禍。三○○時間に一度、滅亡の危機を迎える世界を救い続けてきた最強の魔女。そして初恋の少女。彩禍の死によって、彼女の身体と力を引き継いだ玖珂無色は誰にもバレないよう彩禍として過ごすことになり!?

どこともわからない場所で血まみれになって倒れている少女・久遠崎彩禍に一目惚れをした玖珂無色。その直後に自分も背後から刺されて意識を失い……次に目を覚ました時には、一目惚れしたはずの少女の姿になっていた!?どうやらひとつの身体の中に彼女と自分、2人分の魂が宿っている状態らしい。とりあえずは「久遠崎彩禍」として、正体を隠して生活を送ることになった無色だが、彼女は世界の裏側で“最強”と目される魔術師『極彩の魔女』で……。

TS(性転換)×学園異能バトル×ドタバタラブコメの贅沢盛り

ひょんなことから一目惚れした美少女と2人で1人の合体状態になってしまった主人公が、自らの正体を隠しながら300時間に一度くらいの間隔で世界滅亡の危機に陥るという世界の裏側でわけもわからぬままに学園異能バトル的な仮の人生を送りながら、自分達を殺した犯人を探す羽目になるというお話。説明が難しいのですが一言で説明するとTS学園異能バトルラブコメになるとおもいます。分類的には憑依モノに近いかなと思ったけど合体なので厳密には違う気がする。

ろくに会話もしていない彩禍に一目惚れした無色が事あるごとに彩禍を褒め称えようとするのがめちゃくちゃ微笑ましかった。真面目な話の最中だろうがなんだろうが、気を抜くといつのまにやら彩禍を褒め称える方向に話が脱線してるの本当に笑う。推しの話をするオタクを遠巻きに眺めるのは健康に良いですが無色くんには同じ栄養素を感じてしまいました。

正体を隠して「彩禍」として振る舞わなければいけないのに、異性にドキドキすると元の姿に戻ってしまうせいでドタバタコメディになってしまうのがとにかく楽しかった〜!線の細い美少年系で普段は柔らかい喋り方をしている無色が「彩禍」として中性的な言葉遣いで尊大に振る舞おうとするのがそもそもとても良いのですが、一目惚れした彩禍への入れあげっぷりとか、その割にすぐ他の女の子でドキドキして姿が変わってしまうところとか、色んな意味で男子高校生なのめちゃくちゃポイント高い。しかも、通うことになった学園には無色の妹である瑠璃(兄大好き)がいたものだから更に状況が複雑に。兄を危険な目に遭わせたくないからわざとそっけない態度で接しようとするものの好意を隠しきれてない瑠璃が、割と妹に対して天然ジゴロな無色や突然同じ学園に入学してきた『憧れの魔女様』こと彩禍に振り回されてしまう姿がとても可愛かったです。

果たして二人を「殺した」のは誰だったのか。シリーズの1巻目ということもあってか割と綺麗に話が終わってたけどその一方で今後の展開を匂わせるような伏線も残っており……無色自身の魔術師としての成長も気になりますし、ごく普通の世界の裏側に300時間に一度は世界崩壊の危機な異能バトル世界が存在する…という設定、ドハデな能力バトルも楽しくて、今後どういうふうに進んでいくのかとても楽しみなお話でした。

それにしても、味方だけど好戦的でかませ犬っぽくてでも実は良い人枠(長い)なアンヴィエット(男)に対してうっかり第四顕現を発動させてしまったときの「お前を花嫁にしてやる」、中の人が無色であることをふまえると性別や立場などあらゆる意味で倒錯的で好きすぎて興奮してしまう。技を使うときの決め台詞(?)がこれなので今後も男女問わず色んな人を花嫁にしてしまうんだろうな。楽しみすぎる。

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サキュバスとニート 〜やらないふたり〜

 

ニートの青年と居候サキュバスが織りなす、怠惰で楽しい毎日!
 サキュバス召喚に成功してしまった童貞かつニートの青年・和友。 『淫魔にエロいことをしてほしい』  そんな直球過ぎる願望を抱いていた和友だったが、現れたのは一切いうこと聞かない凶暴でワガママなジャージ女。 スケベなことには興味ナシなこの駄淫魔は、あまつさえ和友の部屋に住みつき、食う寝る遊ぶを享受するだけの居候と化してしまい……? 「俺はどうにかしてお前に俺の『願い』を叶えさせるからな」 「やれるものならやってみれば??」 「それまでの間、お前はここに置いておくだけだ。勘違いするなよ」 「お世話になりま?す」  絶対に淫魔に搾られたい人間、和友。絶対に人間を搾りたくない淫魔、イン子。相反する二人の、奇妙な共同生活は、こうして幕を開けた──

『淫魔にいやらしく搾り殺されたい』という野望を胸に秘めたニートの二十楽和友。何の因果か念願のサキュバス召喚に成功するが、やってきたのはエロい事に興味のないジャージ姿の女・イン子だった。彼女は願いを叶えるのを嫌がった上に帰れないとわかると勝手に母親を懐柔して二十楽家に居候しはじめてしまい……!?

淫魔とニートが繰り広げる、怠惰で愉快な日常

「賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求」の作者が贈る、絶対エロいことしたいニートと絶対にエロいことしたくない淫魔の怠惰で愉快な同居生活を中心に、ちょっと距離感が難しそうな和友の母親、人には言えないような職業(意味深)な元クラスメイトの茉衣、和友の元親友でコンビニ店長の琥大朗……などなど、ちょっと濃い目の人たちを交えて繰り広げられる日常の物語です。

シコルスキ〜と同じタイプの基本1章完結型ギャグ強めのコメディ。タイトル・あらすじからもっと下ネタっぽい話を想像してたんですが、どちらかというとドタバタ疑似家族もの(?)みたいな雰囲気で、下ネタはかなり控えめでした。というか、イン子はもちろんのこと、和友もそっちの知識は最低限しかないもんな。逆に言うとシコルスキのような変態を集めて煮詰めてしまったようなキレッキレさはなくて、個人的にはギャグ小説としてはあちらのほうが好きだったりするのですが、こちらはこちらで前作とはまた違った感じのテンポの良い掛け合いが楽しかった。また、和友とイン子が良い意味で全く恋愛感情を感じさせないベタベタしない関係で、そんな中で相棒とも家族ともいいがたい絆が生まれていくのも良かった。

個人的にははじめてのお使いに出たイン子が謎のババアの手によってとある遊戯に誘われる『パチンコ淫魔』が好き。タイトル通りイン子がとある魔術の禁○目録のパチンコして遊ぶだけの話なんですけど(直球)、いや、ほんと、もうパチンコ屋の騒音の混ざった擬音描写の無駄な臨場感の高さだけでも笑いが止まらないのに、それに加えてイン子の初々しい反応と、とぎれとぎれに聞こえてくる禁○目録のみんなが知ってる名言の数々と、ババアがドヤ顔で煽ってくる流れが面白すぎて……!!!シコルスキ〜での執拗なKADOKAWA弄りといい、この作者さんのメタネタ好きだなあ。この話の続きで、ババアが所属する青年団で行われる草野球にイン子と和友が誘われ、和友の親友・琥大朗のチームと対戦する羽目になる『草野球淫魔』も酷くてよかった。

機能不全の人間関係を修復するハートフルギャグストーリー

最終淫はこれまで物語でずっと匂わされてきた二十楽家のどこかギクシャクとした親子関係、そして和友が引きこもってしまった原因に切り込んでいきます。「いやらしく搾り殺して欲しい」という願いの真意と、イン子が見落としていたもう一つの願い、二十楽家のどこかギクシャクとした親子関係、それの原因となった和友の過去の挫折をイン子が知り、それを乗り越えさせるまでのお話でした。

いや本当にこれまでの話と最終章の温度差が!!現在の自分が母親の重荷になってしまっていると自覚のある和友が極端な行動に出ようとして、イン子や元同級生達の説得によって少しずつ前向きになろうと決意する展開はとてもアツかったんですけど、そんなことより琥大朗の友情、重てえなぁ〜〜!!!!(満面の笑み)となってしまうのはもうどうしようもなかった。いやほんとうに和友の前じゃないところでクソデカ感情を見せてくるの、美味し過ぎるんですが!?高校時代からめちゃくちゃ惚れ込んでる上に本人の願いを叶えさせるために裏で動いて知らないところで支えてるの女房役(野球的な意味でもリアル的な意味でも)がすぎるし、ケツ毛の本数も知りたいって何!?これまでの与太話の積み重ねから突然このクソデカ感情を暴露されるのはズルい。こういうの本当に好きなので……。

良くも悪くもお互いを想い合うが故に機能不全に陥っていた和友とその周囲の関係性が、そんなしがらみもない、開けっぴろげで自由奔放で、和友とは真逆の理由から挫折を経験しそれでもふてぶてしく生きるイン子によってぶち壊されていくクライマックスがとても良かったです。

そして和友が「本当の願い」を叶えて綺麗に終わったと思ったら速攻で向こうの世界から再び強制送還されてくるの、綺麗なラストがぶち壊しすぎて笑った。和友のメンタル上の問題は解決したとはいえまだまだ色々問題も起きるだろうし、イン子側の問題はまだ解決していないわけでまだまだ彼らの愉快な日常が見れそうな雰囲気。続巻は売り上げ次第とのことですが、続きが出るの楽しみにしてます。

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「好きラノ 2021年下期」投票します。

ブログやtwitterによるラノベ人気投票サイト。2021年下期の人気ライトノベルはこれだ!!

今年も参加します。
下半期はあまり新刊が読めてなかったので件数絞りました……。

有象 利路「サキュバスとニート 〜やらないふたり〜」
【21下ラノベ投票/9784049140347】
落ちこぼれのサキュパスとワケあって引きこもった主人公がわりとしょうもない日常を送りつつ、その裏で機能不全に陥った親子関係を修復していくハートフルギャグコメディ。最後の最後でいい話と親子間・親友感の巨大感情話をまとめてぶちこんでくるのやめてほしいそういうの好きだからー!!!
橘 公司「王様のプロポーズ 極彩の魔女」
【21下ラノベ投票/9784040740751】
一目惚れした相手と合体して見た目は美少女になってしまった主人公が、随所で合体相手を褒めちぎりながらこれまでご縁のなかった異能バトルの世界に巻き込まれていくのがとても楽しい。ごく普通の世界の裏側に300時間に一度は世界崩壊の危機な異能バトル世界が存在する…という設定、ド派手な能力バトルも良かった。
夕鷺 かのう「薄幸な公爵令嬢(病弱)に、残りの人生を託されまして 前世が筋肉喪女なので、皇子さまの求愛には気づけません!?」→感想
【21下ラノベ投票/9784047368057】
筋肉によって磨き上げられた鋼のメンタルを持つOLが心の強さが肉体の強さに直結する世界の薄幸の令嬢に転生する。ファンタジーの世界を筋肉でなんとかしてしまうパワフルなヒロインが、その反面あたりまえの女性らしい繊細な心を内に秘めているのがとても良かった。あとメガネ系兄が最後に全部いいところ持っていきましたね。
海月崎まつり「ヴィクトリア・ウィナー・オーストウェン王妃は世界で一番偉そうである」→感想
【21下ラノベ投票/9784065225011】
タイトルの通りめちゃくちゃ偉そうな王妃が、婚約破棄もものともせず王をメロメロにして周囲の問題を力づくで解決していく姿が爽快。典型的な私TUEEものでありながら、大事なところではしっかりと気弱な王を立て、あくまで彼を支えるに徹する姿が印象的でした。それはそれとしてとにかく王妃がイケメンで読んでると爽快な気持ちになれるので日々の生活に疲れたら読んでみて欲しい。
衣笠 彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編5」→感想
【21下ラノベ投票/9784046808462】
久しぶりのクラス対抗戦、各クラス内での意見統一を目的とした駆け引きがめちゃくちゃ楽しかった…!!衝撃的な結末にクラス内の関係はどうなってしまうのか。今後の展開も一筋縄ではいかなそうなことが示唆されて、今後の展開も楽しみになってくる。
二月 公「声優ラジオのウラオモテ #05 夕陽とやすみは大人になれない?」→感想
【21下ラノベ投票/9784049138603】
納期ギリギリの限界アニメ制作現場に明らかに自分たちより上手い天才タイプの後輩。ままならない状況に悲鳴を上げながら、先輩声優として主役に抜擢された後輩を支えていく二人の姿に成長が感じられてとてもよかった。本当に安定して面白いなこの作品。
栗原 ちひろ「死んでも推します!!2 〜人生二度目の公爵令嬢、今度は男装騎士になって最推し婚約者をお救いします〜」
【21下ラノベ投票/9784065257081】
セレーナに影響されてか、時折「オタク特有の早口」が飛び出すフィニス様にニヨニヨしてしまった。キャラクターも増えて推し語りとドタバタが楽しい一方、ラストの一行でおもくそ不穏な話入ってきて、肝心の死亡フラグも折れてるかわからない感じで色々な意味で続きが気になる。

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声優ラジオのウラオモテ #05 夕陽とやすみは大人になれない?

 

夕陽とやすみ、共演再び! 天才後輩声優も登場で現場に闘志の火花散る!!
「またまた共演が決まりました?!」 「もう、運命の相手って感じ(笑)」  夕陽とやすみ再びの共演で、闘志に燃えて臨んだ新作アニメの収録。けれど、カツカツの収録予定に、土壇場での台本変更と、現場は大混乱! さらに、メインヒロインに抜擢された天才後輩声優・結衣の存在が、ふたりの焦りに拍車をかけて――この現場、ほんとに大丈夫!? 「だけどわたしにはあなたがいる、半人前でも揃えば多少はマシになるわ」  お仕事だから、大人にならなきゃってわかってる。でも一緒なら少しだけ、無茶しても良いかな? 割り切れないふたりの青春声優ストーリー・第5弾!

ふたりがはじめて共演したアニメ「幻影機兵ファントム」が最終回を迎えた頃、歌種やすみと夕暮夕陽に舞い込んできた、2件の仕事。そのうちの1つはマンガ原作のアニメ作品で、主人公の先輩キャラを二人で演じるというものだった。ところがこの現場、収録分の動画どころか数週間後のシナリオも定まっていないような状況で……!?

夕暮夕陽は「天才」じゃない

スポンサー・監督・出版社・原作者の思惑が見事にすれ違った結果生まれた、原作付きだけど脚本は完全アニメオリジナルで作画が死んでて脚本が追いついてない、世界観の整合性すらあやうい、やたらと声優推しが強い、現場で割りを食った制作スタッフと声優達が悲鳴を上げる限界アニメの現場描写が凄かった。いやなんかこういうの、フィクションだったら笑って見られるけど普通にリアルにありそうなのがあまりにも……あまりにも……。現場はみんな必死に作品を良くしようとしているのが伝わってくるのに、典型的な「爆死アニメ」の様相を呈していくのがとてもつらい。

脚本がギリギリまで上がってこなくて自らのキャラクターも満足に掴めないような状況の中、第一話の収録で主役として抜擢された後輩声優・高橋結衣の才能に二人は圧倒されてしまう。良くも悪くも「夕暮夕陽の上位互換」みたいな彼女の演技に、特に夕陽の受けた衝撃は大きかった。夕暮夕陽、これまでの物語でずっと前途のある期待の新人声優と描かれてはきたけど一度も天才だと言われたことはなかったものな。むしろ典型的な努力型なんだよな……。

あとからやってきたすごい新人に今いる自分達の立場をあっさりと奪われるかもしれないという実感、さらにそんな存在がすぐそばにいるという恐怖に押しつぶされそうになりながら、それでも歌種やすみと夕暮夕陽がふたりきりでその恐怖に折り合いを付けてしまうのが印象的でした。以前だったら悩みに気づいていてもお互いに打ち明けられなくてギスギスしたり、どうにもならなくなるまで放置するしかなかったり、周囲を巻き込んでハラハラさせたりみたいな展開になってた気がするんですが、それを人知れず二人で乗り越えてしまう展開、成長を感じるなあ。それにしても、自分を見失いそうになりながらも「歌種やすみ以外の誰にも追い越されたくない」と本人に吐露する夕陽、愛の告白すぎてニヤニヤしてしまいますね。

先輩・後輩を交えて見えてくる、ふたりの成長

今回は高橋結衣という後輩声優を通して、先輩声優としてのふたりの成長が見えてくるお話でした。これまで良くも悪くも末っ子感が強くて周囲の先輩やマネージャー達を振り回すことが多かったふたりが、天才型である結衣の存在に物語の前半でなんとか折り合いを付けて、後半では「先輩声優」として彼女を支えていくという展開がものすごく良かった。自信を失って本来の自分の演技ができなくなった結衣を、処罰も覚悟の上の演技で引っ張り上げようとするふたりの姿に成長を感じました。

一方、二人がそこにたどり着くまでにはやはり様々な先輩声優達の助言があって。「大学受験をするべきか、声優一本に絞るべきか」というやすみの悩みに対して、そして今までとは違いすぎる現場に対して、先輩たちがそれぞれの立場から助言をくれる展開がすごく良かったです。大学は自分も卒業してから全く別の価値を感じたりしたので、こういう時期に色々な立場の「先輩」から話を聞けるのはすごく良いですよね。

それぞれの助言から見えてくる先輩たちの人生観がすごく印象的でしたし、大先輩の声優さん達の意外な素顔が覗ける展開もすごく楽しかった。ていうか森さんめちゃくちゃおもしれーキャラだな……またぜひ登場して欲しい……めくる先輩は相変わらず可愛かった。

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大伝説の勇者の伝説1 行く先未定の大逃亡

 

覚醒する真実の物語。大河アンチヒロイック・ファンタジー、新章突入!
あの争い事が嫌いな英雄王さまが、異常になって戦争しかけたり、非道な人体実験とかしちゃったり。親友の俺を殺そうとしたり捕らえたりって、いったいどういうことよ? それでも、俺はシオンを救うことに決めた。……でも、すぐには無理なんで、一旦、この国から逃げ出すことにする。さあ、行こうぜフェリス。「うむ。だんごを救う旅に出るのだな」あー、もう、それでいいや――。激動のファンタジー・イノヴェーション!

豹変したシオンと戦ったあの雨の日の後、シオンの手で牢に監禁されていたライナ。その間にローランドは大きく変貌を遂げていた。禁止された筈の人体実験で生み出された兵士達と共に隣国・ネルファ公国へと侵攻する軍と、それを絶賛する国民達。変わってしまったシオンを救けるため、ライナはフェリスと共に祖国を離れることを決断する……。

親友との一時の決別、新たなる旅立ち

本当に11巻の5分後から始まってた!!ナンバリングをリセットして牢屋の中からはじまる本編第二部。

前半は概ね第一部最終回のCパートというか、脱獄したライナの書き置きとそれを読んでライナと決別するシオン、という場面で締められてたらめちゃくちゃ物語として美しかった気がするんですよね。でも敢えてそこを第二部冒頭に持ってくるのがこのシリーズなんだろうなあという気もする。いや、実際第二部が特に何の問題も発生せずにローランド脱出後から始まるならその終わり方が一番綺麗だと思うんだけど……(でもそうはならないんだよなあ)。

ローランド出国を巡り繰り広げられる駆け引きが熱い

フェリスと合流してさくっとローランドを出国、からの新展開!という流れかと思いきやまずフェリスと合流するところでひと悶着し、シオンからのライナ捕縛の命を受けたローランド軍の追手が掛かってもうひと悶着、出国前にローランドの情報を把握しようとして情報部に忍び込んでさらにひと悶着。なんだかんだでライナを殺したくはないシオン、ライナ達を泳がせたいミラー一派、ライナをシオンの視界から消したいフロワード(&いまいち思惑の見えないルシル)。遠征中のクラウ達を除けばローランド帝国屈指の化物達がこぞってライナの脱走に絡んでこようとするもんだから本当に大変。そしていよいよ出国のため合流しようとしたライナとフェリスを待ち受ける、衝撃のラスト。いやほんとうに、1巻目からクライマックスすぎない!?

個人的に情報部に侵入したライナとルークのやりとりめちゃくちゃ好きでした。本人も言う通り純粋な能力としてはライナに叶わないはずなのに、全く勝てる気がしない強キャラ感。剣呑とした雰囲気の中で繰り広げられる軽妙な会話のテンポ良いよね。というか何度いないいないばぁすれば気が済むんだこの人は。

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とりあえず伝説の勇者の伝説11 常識力のホールドアップ

 

奇想天外いぢられつづけるライナを描くローランド編!
ローランド国王シオンの誕生日パーティーを本人に内緒で計画する家臣たち。ライナも無理矢理引きずり込まれるが……。ライナとフェリスがふたりっきりで温泉に……などバラエティ豊かに収録した短編集

シオンの誕生日パーティのアイデア出しで悩んでいたフロワード。シオン本人は派手な誕生日会を望んではいなかったが一国の王としてそれなりにちゃんとした事をやってほしい。だが、自分には明るいイベントごとを考えるのにはとんと向かない。それならば適材適所……とばかりに、クラウとカルネに丸投げし、ライナも当然のごとく巻き込まれていって……。雑誌掲載作を集めた短編集の完結編。

シオン誕生日会のエピソードのエモさがすごい

その後の本編での展開を考えてしまうと、ライナとシオンの臣下達が共謀してシオンの誕生日会を催す「ばーすでい・ふぇすてぃばる」の賑やかさがはちゃめちゃにエモいな……いやもう今となっては短編で何やってもその状態なんですけど、この話は特にアニメで原作11巻のエピソードの直前に配置されていたので余計に彼らの穏やかな日常の終わりを意識してしまうし、それを意識してかしないか「こうして、シオンの誕生日は終わったのだった」で締めくくられる文章に、なんともいえない寂寥感がありました。

それにしても自分が今風に言うと陰キャなことを自覚して「誕生日パーティ」とかいう陽キャのイベントに頭を抱えるフロワードが微笑ましすぎるし、対象的なクラウ・カルネの陽キャっぷりにもニヤニヤしてしまう。主人公トリオは当然好きだけどそれはそれとして密かにクラウとフロワードの関係いいよねと思ってるので挿絵でしにました。最高かな!!

クラウといえば、財布を落としたライナがクラウの財布を拾って豪遊する「ろすと・うぉれっと」のライナとのやりとりも好き。いや色々な意味で最初から最後までそれは人間としていかがなものか!?な話ではあるのですが、本編10巻で拳で語り合ってから互いにそこまで近づかないけどなんだかんだで気のおけない付き合いが美味しいというか、知り合いだが友人でもないし憎み合うほどではないが互いに微妙なマイナス感情がある故にお互いを貶めることに容赦のない関係というか。

カルネの当てた温泉ペアチケットがたらい回しにされる「ほっと・ほっと・すぷりんぐす」とライナとフェリスがペアで温泉に行く「でんじゃー・ぞーん」もよかった。長いこと勇者の遺物探索の旅をしていたせいで若干フェリスとの距離感がバグりがちのライナが温泉旅館のこれでもかというほどカップルを意識した相部屋で今更フェリスのことを異性として意識しちゃうの微笑ましすぎるし、シオンの結婚のことになるとちょっと行動が過激な親戚のオバチャンと化すフロワードさんマジ。

最後の最後にこれでもかというほどメタだ!?

書き下ろしの「青春のホウコウ」は、クラウの過去話をやろうとしたら長くなりすぎて独立シリーズになってしまった(※のち、「堕ちた黒い勇者の伝説」として独立シリーズ化)ので惰眠を貪ろうとしていたライナとフェリスが突然場繋ぎ穴埋めで駆り出されるという、あらすじからしてメタ全開のお話。別シリーズの作品名が突然出てきたりして、これもう完全にキャラが会話して終わるタイプのいにしえのラノベのあとがきだーーー!?

番外編とはいえ、11冊続いたシリーズの終わりがこれなの!?と思う反面、短編集の終わり方としてはある意味アリなのか。第一部完みたいな話は本編11巻でやりましたもんね。あと、良くも悪くも一番最初のシオン誕生日会の話が最終回の趣きたっぷりだったな……。

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