[著]有川 浩 [絵]徒花 スクモ 笠原郁の両親が、郁の仕事ぶりを見たいとやって来た。図書館防衛員を志願したことを未だ伝えていない郁は焦る。図書館員を目指す時にも散々ひと悶着あったのに、過保護で心配性な母親にバレたら実家につれて帰られてしまうかもしれない。慌てて周囲と口裏を合わせ、その期間は内勤の仕事を貰うことにしたのだが…… |
男勝りの郁に、「女の子らしさ」を強要する郁の母親だの、ぶった切り書評の話題だの、「あるある」感が強すぎて各所で共感しまくり。郁と同僚の女の子達が気まずくなる話なんかはもうそのストレスが容易に想像できて、こちらまで胃が痛くなる思いでした。ほんと、ああいう時は女子のほうが全然残酷だったりするよね…。
特に感想サイトをやってる身としては、やはり「一刀両断レビュー」の話は他人事とは思えませんでした。まあ、砂川のようにそれを「公の」企業サイトでやるというのは問題外ですが、常に自分の書いたレビューが他人の気を悪くすることがあるというのは考えた方が良いのかもしれないなあ、となんとなく思わされました。まあそれでも地雷を踏んだら文句の1つや2つくらいつけたくなるのが人間と言うものですが!(でも、散々作中でも言われてるけど個人のレベルならまだアリだとは思う…w)
そして、キャラクターに重点を置いた連作というだけあって、今回もキャラクターの魅力が凄すぎる。郁と堂上のもどかしく微笑ましい関係には毎度毎度ニヤニヤさせられるばかりなのですが、今回は柴崎とその周辺が美味しすぎます。朝比奈との関係も好きだったんだけど、それ以上にエピローグでの手塚とのやりとりにはマジで身悶えた。いいなあこの二人。あと、玄田隊長&折田のしっとりした関係も素敵で、そっけないメールのやり取りで胸が熱くなる。
……といいつつ、仲悪兄弟萌えとしては、小牧と鞠江に関する騒動のあたりからもう、手塚兄弟にニヤニヤモエモエしっぱなしだったわけですが。イイヨイイヨー天才系フリーダム腹黒兄貴と、そんな出来の良い兄と志を違えながらもなんか嫌えないブラコン弟イイヨー!エピローグで手塚が「俺、ブラコンなんだ」と言い出したときには萌えを通り越して大爆笑してしまいましたが。このフリーダム兄貴にはぜひとも今後とも良き悪役として大活躍して欲しいものです。
そしてそんなフリーダム手塚兄によって投下された爆弾のおかげで、続きが気になって夜も眠れません。
どうしてくれるあの兄貴。
こんな酷い引きだとわかってたら続編はAmazonじゃなくてリアル書店で買ったのに!!!