ページ 24 | 今日もだらだら、読書日記。

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ティアムーン帝国物語5〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜

 
Gilse

孫娘ベルと未来改変に励む元わがまま姫ミーアは、ガレリア海でひと時のバカンスへ! 船遊びに興じるはずが、無人島で遭難。王子アベルと共に、行方不明となった親友(?)の公爵令嬢エメラルダを捜索することに。だが、ミーアは知らなかった――島の奥深くには帝国を滅亡へ、ひいては自らを暗殺エンドへと導く「ある秘密」が隠されていることを。かつて失われた絆を取り戻し、破滅へ向かう運命の激流に逆らうことはできるのか? 恋あり、友情の涙ありの忘れられない夏が始まる! 「呪いも盟約も、どーんとこいですわっ!」 保身上等! 自己中最強!お腹はちょっぴりFNY(ふにゃ)り? 元(?)ポンコツ姫の歴史改変ファンタジー第5巻! 約2万字の書き下ろし&巻末おまけ「ミーアの日記帳」&描き下ろし四コマ&コミカライズ収録! 巻末にて第1回人気キャラクター投票の結果発表!

グリーンムーン家の令嬢・エメラルダから夏の舟あそびに誘われてシオンやアベル達と共にガレリア海に赴いたミーア姫。ところが無人島で遭難したあげく、エメラルダが行方不明になってしまう。彼女を探して寝床にしていた洞窟内の捜索を行うが、そこで一行はティアムーン帝国建国に纏わる、とんでもない秘密を知ってしまい…!?

帝国建国の謎が解き明かされる、第二部クライマックス!(からの第三部開始)

同じ巻の間に第二部終わって第三部始まるの斬新すぎない?って思ったんですけどあとがきで「うっかり筆が乗ってしまった」みたいなこと書かれてて、作者さんが楽しんで書いてるなら良いことだ…!と思いました(しかし上手くページ数調整したりできなかったのかなとかと編集さんの仕事を疑ってしまう何か)。ミーアの処刑フラグ回避を経て始まった第二部、日記帳のような明確な指針もないまま始まって各国を破滅に導こうとする組織の存在が明らかになり、そしてついにその裏にいた者の存在が明かされる──というクライマックスがとても面白かった!!タイトルに張られた伏線の回収が見事で、そういう意味だったのか…と。

ミーアとアンヌの主従関係を見て、そして自分を助けに来てくれたアンヌと実際に話してみて自分の主従関係を見つめ直すエメラルダがとても良かったです。彼女自身もかつてのミーアと同じように、貴族社会という狭いしきたりに縛られている人というだけで悪い人ではないんだよなあ。……からの、まさかのニーナの面倒くさいオタクみたいな言い分にめちゃくちゃ笑ってしまった。確かに、彼女達の関係性を知らない読者が一発で見抜けるくらいミエミエな態度だったんだからそりゃわかるか〜!!

預言書、ダイエットする。

そしてミーア達が海から帰還し、再び学園に舞台を移して始まる第三部。ミーアの未来を教えてくれていた「ミーア皇女伝」が唐突なダイエットに成功!!ミーアの死亡予定が「大人になってから毒殺」から「聖夜祭の夜、馬で夜駆けしている所を野盗に襲われて死ぬ」という衝撃の展開になり、慌ててフラグ回避のため動き出すミーア姫。

夜駆けの最中に野盗に襲われても逃げ切れるよう、馬術の訓練に力を入れ始めたが、そこに四大公爵家のひとつ・レッドムーン家の令嬢ルヴィが現れ、何故かミーアに決闘を挑んでくる。軍事に強いレッドムーン家が所有する馬に対抗するには、馬術部に2頭しかいない『月兎馬』を乗りこなす必要があるが、ミーアは貸し出された馬・荒嵐となかなか息を合わせることが出来ず……。

ルヴィを無意識下に苛む「前回」の生で経験した失恋の記憶とそれが原因で道を誤ってしまったという悔恨。今度こそ後悔のない人生を……と、ミーアとの決闘をきっかけに新しい自分へ踏み出そうとする姿に胸が熱くなりました。一方、立場的には決闘を受けなくてもなんの問題もないミーアが「自分に恨みを持った誰かが自分と同じように人生をやり直して世界改変を行うかもしれない」という理由でルヴィの禍根を残さない形で事を収めようとする姿が印象的。結果的にレッドムーン家に借りを作りつつ、ルヴィの本当の願いを見抜いて叶えてあげる、どちらもWin-Winな形で事件を収めてしまったのは本当に上手かった。

前の巻くらいから薄々思ってたけどミーア姫、自身に政治の才も剣の才もないけど、こと「自分が出来ないことを他人に任せて上手くやらせる」ということにかけて天才的な才能を持っているんですよね……そこに前回の生を踏まえての経験と一度はどん底まで堕ちたために獲得した危機管理能力が加わるものだから普通に有能な政治家なのではないかという気がしてきた。

肝心のフラグ回避はまだこれから……というかもう、もう一頭の月兎馬・花陽とイエロームーン家が地雷な気がしてならないんですが!花陽の世話をしたことで荒嵐からの好感度を上げたことがフラグ回避にどう関わってくるのか。いろいろな意味で、次巻が楽しみです。

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VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた2

 

頭ライブオンな四期生襲来!! 超人気VTuberコメディ第二弾!
1巻発売即大重版を連発した衝撃の話題作第2巻!! 数々のおかしなVTuberが所属する大手運営会社ライブオン。配信事故から大人気になった三期生・心音淡雪は、遂に後輩が出来るとウキウキしながら四期生発表配信を見ていたが―― 「私を貴殿の女にしてもらえないでありますか?」いきなり淡雪に愛の告白をする四期生が現れて!? 更に、「ゴリラさんの雑学でも話したいと思いますですよ?!」「私を甘やかしてください。なぜなら私は赤ちゃんだからです」と、残りも頭ライブオンなヤツばっかり! 挙句の果てに淡雪は『最(高の)ママ』と呼ばれることになり!? ヤバい四期生襲来!! 衝撃のVTuberコメディ第2弾!

清楚系Vtuber・心音淡雪が配信切り忘れ事故をキッカケにストゼロの女(シュワちゃん)として覚醒してからしばらくして、ライブオンにも四期生の新人Vtuber達がやってきた!!濃いキャラだらけの四期生発表配信を見ていたら……そのうちのひとりから熱烈な告白をされて!?

四期生も同期も先輩たちも濃いなあ!!!

相変わらず炎上も内輪もめもないネット文化の楽しい部分だけが切り取られた世界観と2chスレまとめのようなコメント欄でのテンポ良い掛け合いが安定して楽しい。今回はあとがきでも言及されているように淡雪一人の配信シーンが減り、同じ事務所のVtuber達との掛け合いが中心になっていてキャラクターの掘り下げが進んだ印象の一冊でした。わ、わたしはシュワちゃんがキレ芸しながら一人でポンコツゲーム実況するのも結構好きだったんですが…!!!(共感できすぎて)

豊かすぎる生物知識にシモネタを織り込んでくるけどMC能力が高いエーライ、人間社会に心を打ち砕かれ大人な見た目とは裏腹にもともと持っていた赤ちゃんになりたいという願望に忠実になってしまった還、そして淡雪の強火担というかネットストーカー(執着の仕方がヤバいが全面的に無害)の有素という四期生達のキャラの濃さがすごすぎるのですけど、それはそれとして今巻は先輩方や同期も負けてはいなかった。特に唯一の常識人として慕われていたシオン先輩が「母性が溢れすぎて無理やり他人の母になろうとするやべえ女」になってしまった今、ライブオンに救い(ツッコミ)はあるのか。

人気が出て無理な飲酒が減ったせいか、前巻ではどこまでも台風の目状態だったシュワちゃんが割と常識人ポジションになりがちなのが印象的でした。今回はむしろ無害だがどこまでも愛が重い有素や淡雪を「最ママ」認定してしまった還ちゃんなど押しの強い後輩たちと彼女達に負けず劣らず濃い同期・先輩たちに囲まれてツッコミを入れてるシーンのほうが印象に残っているような。

細かいネタの話をするのは色んな意味で野暮なので割愛しますが、カステラ(マシュマロ)に有名2chコピペのパロディ貼ってくるのいちいち笑ってしまうので困る。最近の若者はわかるんでしょうか吉野家コピペとか。全体的にかつての2ch・ニコ動文化全盛期のパロディが多い中で不意打ちで異○羅のキャッチフレーズパロディが始まったのには笑ってしまった。ネタが突然若返った!!!

ましろと淡雪、長い付き合いの二人の友情

いろいろな意味で女性Vtuberハーレムラブコメの主となりつつある淡雪ですが、その幕間幕間で入ってくる一番長い付き合いの同期・彩ましろとの馴れ初めや初期のエピソードがとても良かったです。売れない清楚Vtuberだった頃から彼女の「一番のファン」だったましろがどんどん人気になっていく淡雪の姿を暖かく見守りつつ、それはそれとして後輩や先輩に囲まれている彼女の姿を見てそれとなく張り合ってくる姿が微笑ましかった。ラストのお泊りオフのエピソードなんか完全にラブコメだ……!!ってくらいの甘酸っぱさで、小悪魔の如く淡雪を翻弄するましろとそんな彼女の姿に思わずどぎまぎしてしまう淡雪にニヤニヤが止まりませんでした。

それにしても、この世界でもやっぱりあるにはあるんですねアンチコメ……即淘汰されていくのでやっぱり優しい世界だったけど。

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関連記事の表示をいじった

自分用メモ。

やっぱり基本は「SimilarPosts」

ブログの下の方にある関連記事の表示には長いこと「Similar Posts」というプラグインを使っていました。このプラグインの良いところはどういう基準で「関連記事」を取ってくるか、本文・タイトル・タグの3点の中で比重を決定できるところ。基本的に作者・イラストレーター・シリーズ名だけでタグを作っている分にはタイトルとタグに比重を傾けるだけで概ねシリーズの既刊を関連記事として並べてくれるのです。今はわざと低めにしてるけど、本文の比重高めにしてどんな記事が上がってくるのかチェックしてみるのも面白い。


今はこんな感じで設定してますが、この設定だとタイトルやタグの一致が少ない記事は指定した件数出てこなかったりする。んで、本文一致を高めにすると同じシリーズの記事を差し置いて文章が似通っているだけの全然関係ない記事が拾われてくることがあるのでそれもうちのブログみたいなところだと不本意な結果になる。関連記事の比重にカテゴリを設定できればかなり楽になりそうなんですが……逆にレーベル名までタグで入れてる人とかにはかなりいい感じに出そう。

ifなど複雑な指定は入れられませんが、デザインの設定でカスタムフィールドの内容をかんたんに呼び出せるのもポイント高いです。

「Simplicity2」の関連記事表示機能も悪くない

一方、私が使用しているWP用テーマ「Simplicity2」には関連記事表示機能がデフォルトで付属しています。こちらはカテゴリの一致・タグの一致から選べる形でカテゴリやタグのどちらかで記事内容をかなり細かく細分化しているブログや、逆に日記とかの大まかなラベリングで構わない場合は汎用性高そう。候補に上がった記事の中から毎回ランダムで記事を表示してくれるので特に何もしなくてもブログの記事を広めに誘導入れてくれるのもポイント高い。テーマ付属の機能であるがゆえの手のかからなさも良い感じです。

うちのブログの場合はカテゴリのみ・タグのみの絞り込みだとどうしても表示される記事の範囲が広すぎてしまうので、こちらは使用していません(実は個人サイトの方で使ってたりする)。

「ACF」を使って関連記事の指定が出来るようにした

最近「1巻リンク」や属性タグなど、タグの種類を増やした関係で特に単巻ものやシリーズ1〜2巻の記事での関連記事の精度がやたらと低くなってきました。本当は「タグの一致件数が多い記事を表示」とか「作者・イラストレータータグに一致する記事があればそれを優先」とかになってくれると楽なのですが、そういう重み付けは出来ないようで。

悩んだ結果、「Advanced Custom Fields」を利用して関連記事を表示するためのフィールドを作り、それが設定されていないときはこれまで通りSimilarPostsを表示させることにしました。SimilarPosts、マジで余計なタグを追加してない続刊の記事で使うときは本当に何もしなくて良いので楽なんだ……。

基本的な表示は下記の記事を参考にしてフィードグループと出力用のHTMLを作成。
 関連記事を表示するプラグインを使用することもできますが、あまり融通が利かなかったり、CSSの調整が面倒だったりなので、制作に慣れている方であれば、自分でゼロから設定してしまった方が早い場合があります。  今回は、カスタムフィールドを追加す
戻り値の設定は「投稿ID」で、と記載されていたのですが「投稿オブジェクト」を指定しないとダメでした。

関連記事の指定が無いときは仕様しないので、使用するのは2回目のループタグ内の部分。普段のテンプレートからソースを取ってくると動かないので、コピペしてきた部分を参考に少し変更する必要があります。カスタムフィールドの出力でかなり苦労したのですが、$post->ID となっている部分を $post_field->IDに変更すればおおむねOK。


フィードグループは関連URLを設定するものとは別に、表示切り替え用のフィールドを入れます。切り替え用のフィールドに何も入っていなかったらSimilarPostsを、何か入っていたら関連記事として指定した記事を表示するという形。Simplicity2の場合は「related-entries.php」から関連記事を呼び出しているので、そのテンプレートの関連記事呼び出し部分に上記の分岐を入れました。

特にシリーズ1巻の表示はちょっと外れた感じの関連記事が並ぶことが多かったので、今後はちょっと意識的に手動で設定するようにしていこうとおもいます。乞うご期待!(というほどのものでもない)

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伝説の勇者の伝説1 昼寝王国の野望

 

万年無気力の劣等生×美貌の女剣士を待つ運命は!?新感覚アンチ・ヒロイック・サーガ
超無気力人間ライナ、野望を胸に秘めた青年貴族シオン、ちょっと変な美貌の女剣士フェリス。彼ら三人の若者がつむぎだす壮大な戦国絵巻──にはならない、少しシリアスかなり脱力のアンチ・ヒロイック・サーガ登場!

「ファンタジア・リビルド」で興味を持って、配信でアニメ版を見たのでせっかくだから原作も読もう!!という感じで手を出しました。アニメが予想以上に原作忠実でしかも無印全巻分の内容があったそうでほぼ二周目みたいな感想になっちゃうのですが、いつもより軽めでざっくり流そうと思います。

余談ですが、ついにサ終が決まってしまったファンタジア・リビルドですが、ゲームシステムはなんかこう色々と突っ込みどころが多いですがクロスオーバーが大丈夫ならば原作ファンには結構楽しいものになっていると思いますので今からでもメインストーリーだけでも読んでほしい。私はこの機会に参戦作品の原作をいくつかでも手を出したいです。

本編に至るまでのエピソードを描く前日譚

ライナ・シオン・フェリスの主人公3人が別々の場所で出会い、色々あって戦争が起こり、王になったシオンの命令でライナとフェリスが「伝説の勇者の遺物を探す旅」に出発するまでの、本編の前日譚にあたるお話。もともとドラマガ連載の短編の方が先にあったということでアニメもコミカライズも短編第一話の方を先にやってるんですが、確かにいろいろな意味で基本設定を知った上で読むべき「過去編」という感じのお話だったなぁ。

アニメでざっくりストーリーを知ってる状態で読んだせいもあるけど、1巻は主人公であるはずのライナよりも傍流の王子であるシオンの悩みと憎しみ・葛藤の方がメインのように感じてしまう。っていうかこの巻のライナ、冷静に考えるとちょっと只者ではない所を見せて暴走して投獄されてレポート書いたくらいしか自発的に動いてないな…ってリストアップするといっぱい行動してる気がするから不思議だな…。

母と自分を捨てた父王、自分を邪魔者として排除しようとする兄達、そしてローランド帝国という枠組みそのものへの復讐に逸るシオンが学院で信頼できる仲間や自分を特別扱いしないライナと出会い、その頑なだった心を少しずつ溶かしていく。自分がローランドの王になるための準備を着々と進めながらも、復讐の虚しさにも薄々気づいていて、思い悩む姿が印象的でした。とある仲間の裏切りと仕組まれた「戦争」さえなければもっと別の未来もあったのかもしれないけど、そうはならなかったのがなんともやるせない。

っていうかラストのシオンの匂わせ発言、アニメを最後まで見ていると「あ〜〜〜!!!!!」ってなりますね!!こんな最初からこんなこと考えてたのか、この人は……。

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声優ラジオのウラオモテ #04 夕陽とやすみは力になりたい?

 

素直になれない夕陽とやすみ、大好きな乙女姉さんのピンチに、一時休戦!?
「夕陽と」「やすみの」「「コーコーセーラジオ、修学旅行編!」」  先輩声優めくると花火に、仲良しの極意を学ぼう! ということで始まりました修学旅行!! お揃いのセーラー服に身を包み、仲良くはしゃいでリスナーを安心させよう……なんて簡単にできたら今まで苦労はしてない夕陽とやすみ。 「佐藤って、セーラー服似合わないわね」 「は、腹立つ?……、なんだあいつ……」  めくると花火も巻き込んで、揉めたり照れたり忙しい最中、人気沸騰中でひっぱりだこな乙女の様子が何やらおかしい。大好きな先輩のピンチに、力になりたい夕陽とやすみ、束の間の休戦!?

歯に衣着せぬ物言いで一定の人気を獲得していた「夕陽とやすみのコーコーセーラジオ」。ところが、あまりにも容赦ない物言いが原因でリスナーから「ガチ不仲説」を取り沙汰されるように。そんな噂を跳ね除けるため、仲良し声優コンビとして有名な柚日咲めくる・夜祭花火をゲストに呼んで、『仲良しの極意』を学ぶという一泊二日のロケ(※ただし行き先は都内)が開催されることになって…!?

“不仲営業”って難しい

今回もめちゃくちゃおもしろかった…!!今回は声優というよりは「声優コンビ」としての二人の関係性が一歩先に進む回でしたが、ただ気持ちの強さを育むのではなくて、それをいかに商売として売っていくかという視点が入ってくるのが他作品にはない視点で面白かったです。相変わらず丁々発止な二人の口喧嘩も(ふたりの本心を知っている読者視点から見ると)楽しいし、女同士のイチャイチャだけじゃなくて時折声優業界のシリアスでダークな話題に話を振ってくるバランス感も好き。

歌種やすみと夕暮夕陽が互いには絶対に聞かせたくない「本音」を、周囲があの手この手で言わせてそれを相方どころか全国のリスナーに電波に乗せて発信する展開、冷静に考えるとかなり酷い気がするんですがその関係性を「売り」にするとふたりが決めた以上通らないといけない道なんだよなあ。このシリーズの読者にとっては当たり前の、ふたりが実はお互いを尊敬しあっているという関係性は確かに地文を読めないリスナーは伝わってないわけで。めくるの「本当に仲が悪い二人が煽り合っているだけなら、それは楽しいものではない」という言葉に納得してしまった。

まあそういう細かい建前の話はおいておいて、相方からの本音を聞かされて普通に恥ずかしいし、それが全国の電波に乗って流れてますます恥ずかしくて、私生活でもお仕事中でもギクシャクしてしまうふたりの甘酸っぱさにニヤニヤが止まらなかったです。やらなくてはいけないことでもそういう建前と「恥ずかしい」という感情は別物だから!!でもこれやらなきゃいけないことだから!!カワイイヤッターーーーー!!!

そして、そんな二人の横で相変わらず「厳しい先輩声優」やりつつも「歌種やすみ・桜並木乙女の大ファンな声優オタク」やってるめくる先輩の面倒くさいファンぶりが可愛すぎてひっくり返る。由美子ではなく「歌種やすみ」から個人的なファンサ貰って厳しい先輩声優としての顔が保てなくてすごい勢いで動揺する姿が健康に良すぎる。今回は特に、素の彼女の事を誰よりも知っている夜祭花火がすごい勢いでふたりの知らないところの隠された柚日咲めくるを暴露しまくってくるので特に破壊力が高かったです。いや、もうさ〜〜本当にこの人、“歌種やすみ”のこと好きすぎるんですよね!!!

もう一組の、「学ぶべき先輩コンビ」

ガチ不仲説を跳ね除けるため色々やってみたものの、中々成果が上がらない。そんなもどかしい状況の中、由美子が公私ともに懇意にしている先輩・桜並木乙女が過労で倒れてしまう。心を病んでしまった乙女を立ち直らせるために、かつて彼女のライバルだった元声優・秋空紅葉の元を訪れる由美子と千佳だったが、声優を引退して別の人生を歩んでいる紅葉は、由美子に『自分のようになったらどうする?』と問いかけるのだった……。

後半は声優業界の闇(主にブラック労働的な方向)と、3巻で軽く語られていた乙女の過去のお話。過労については事務所のせいでも乙女のせいでもマネージャーのせいでもない、とちゃんと説明されるわけですけど、それにしてももうちょっと上手くコントロールしてくれなかったのか…とか考えてしまいますね。というか、意識してブラック労働させるよりもめちゃくちゃ気を使っていたはずなのに本人が過労で倒れるまで誰も気づけない方がヤバくない?そのマネージャーさん、確かにいい人なのかもしれないけどスケジュール管理出来てない時点で乙女と相性あんま良くなくない……??

紅葉からの問いかけによって、「桜並木乙女」と「秋空紅葉」の関係性に自分たちを重ねる由美子と千佳。由美子は『このまま仕事がなくなって夕暮夕陽においていかれるかもしれない』恐怖と、千佳は『歌種やすみという声優がいつか自分を追い抜いていくかもしれない』恐怖と向き合うことになる。奇しくも仲間である前に「ライバル」であった乙女と紅葉の関係性、ライバルである前に「仲良し」であった柚日咲めくる・夜祭花火とは違った意味で学ぶ部分の多すぎる先輩コンビなんだよな……周囲にお膳立てされた、仕組まれた流れではなくて、自分達自身で目をそらしていた壁と向き合い、声優コンビとして更に成長していこうとする由美子と千佳の姿が印象的でした。サブタイの通り「乙女の力になりたい」という話でもあったけど、それ以上に乙女の過去を知ることで自分たちが成長するお話になってました。

めちゃくちゃさりげなくラストで次は重大発表!!みたいな終わり方をしてて、そっちも気になる。次巻がどういう展開になるのかもとても楽しみです!(といいながら5巻のあらすじでネタバレを確認してしまうのだった)

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貴サークルは“救世主”に配置されました2

 

GA文庫大賞《金賞》受賞作 同人誌に懸ける青春ファンタジー第2弾!
「実家に帰らせていただきます」 渾身の一冊を描き上げ、魔王復活を阻止することに成功したナイトとヒメ。しかしその反動からか、ナイトはスランプに陥ってしまう。進まないネームにやきもきするヒメ。 そんなとき、ナイトは同じ大学に通うソラフネを愛する“文芸先輩”と出会う。プロの小説家でもある彼女に乞われ、彼女の小説同人誌にイラストを寄稿することに。 ところが“文芸先輩”は、滅びの未来でヒメと対立していた“魔女”であった。彼女の依頼を受けるなど到底認められないヒメ。 果たしてスランプを脱し、再び? 想いを滾らせることはできるのか――同人誌に懸ける青春ファンタジー!

100部販売を完売してちょっぴり燃え尽き症候群状態になっていたナイトは、ヒメからの原稿をやれという圧力を受けてスランプになってしまう。彼女から急かされていた新刊のネームが全く進まない中、大学内で同じ「ソラフネ」の話が出来る通称“文芸先輩”と知己になり、彼女から小説本の表紙と挿絵を依頼される。だがしかし、その先輩は滅びの未来でヒメが対立し、絶対に許せないと思っていたおんな“魔女”であった……。

ナイトとヒメ、二人のすれ違いと成長

私もイベント終わるとしばらくちゃんとしたものは描けなくなるタイプなので序盤のヒメからの重圧がしんどくて仕方がなかった。いや、壁サークル目指すために遊んでられないのは確かにそうなんだけど、スランプを告白しても変わらずネームを描かせようとする姿、いくら彼女自身に同人経験がないとはいっても人の心がなさすぎる。いやほんとうに頑張ってどうにかなる問題ではないんですよ……ええ……。

一方、魔王の復活を阻止した結果、ヒメがずっと繰り返してきていた破滅の未来とは違う時間軸にたどり着いたという事実はヒメにとって「未来がわからない」という他の人間にとっては当たり前の不安と直面する事を意味していた。不安・焦燥からナイトへの締め付けは厳しいものとなり、ふたりのすれ違いは文芸先輩(魔女)の登場によって決定的なものとなっていく。一度はナイトの元から離れようとしたヒメが、ナイトの言葉をきっかけにして「神託の書」の指し示す未来に依存することをやめ、少しずつ自分の気持ちに折り合いをつけていく姿、精神的に成長していく姿ががとても良かったです。

復活したヒメが生き生きとナイトと文芸先輩が二人で作った小説同人誌に「ダメ出し」をしていく姿に思わずニヤニヤしてしまう。いや、いらんところで重圧かけるのはやめてほしいけどヒメはこうでなくっちゃね!!!ある意味同人活動の大変さを知らないからこその無茶振りではあるんだけど、その指摘が的を得ているし作品への愛があってのことだとわかるから憎めないし、そこを克服できればちゃんと良いものが出来るんですよね。それを理解しているからこそ、みんな彼女の言葉に付いてくるんだよな。

そして、同じ作品への愛を通して仇敵である魔女と和解していくヒメの姿にニヤリとしました。やはり萌えは世界を救う。このまま適度に仲の悪いケンカップルとして頑張っていって欲しい。

小説サークルの描写には違和感が残る

ヒメとナイト、二人の成長物語は今回もとてもよかったのですが肝心の文芸先輩の同人活動にかんする描写は若干の違和感を感じてしまったり。いや、確かに「小説本が売れない」というのは定説ではありますし、実際表紙を見たら中身が小説だったので買うのをやめたなんて話もよく聞きますが……。

ジャンルやカップリングによってある程度受ける受けないの傾向はありますが「小説本だからこそ欲しい」という読み手もちゃんといますし、小説の「中身を」宣伝することが出来ればプロ作家である先輩の本が需要ないわけないと思うんですよね。ここでまずやるべきは文芸先輩にSNSアカウントを作らせ、その原稿の息抜きで書いてるというSSを毎日SNSにアップさせることだったと思うんですよね。それなのに宣伝はナイトのアカウントからしかやってないっぽいし、その宣伝も表紙や挿絵のことばっかりっぽくてう〜〜ん…??前巻で宣伝の重要性をあれだけ説いてきたヒメがどうして文芸先輩には何のダメ出しもしないんだ?ナイトのSNSアカウントからしか宣伝してなかったら、ナイトのイラスト目当ての客しか来ないのはある意味当たり前のことだと思うんですが……。

一度目のサークル参加で本が全然出なかったのは展開上仕方なかったとはいっても、二回目のイベント参加も「小説サークルだから売れない」で終わらせられてしまったのはものすごく消化不良でした。いやまあ、これで先輩の本がナイトの本以上に売れてしまったらそれはそれで微妙な展開かもしれないのですが……1巻の同人サークル描写がリアルだっただけに、そのへんの描写には過剰に期待しすぎちゃってたなあ。

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ティアムーン帝国物語4〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜

 
Gilse

「姫殿下、その叡智で我が師を説得していただきたい」
孫娘ベルと、未来改変の一歩を踏み出した元わがまま姫のミーア。帰国した彼女を待ち受けていたのは、忠臣の無茶振りーー偏屈頑固な超変人賢者の説得だった! 理由を聞けば、ある公爵令嬢の妨害工作で、開校目前だった聖ミーア学園の学園長候補が全員逃走。唯一の頼みの綱はその師匠らしく......?  目指すは、来たる大飢饉に備えた「未来の天才児たちによる新種小麦の開発」。優秀な長を手に入れ、帝国に学問の門戸を開くべく、叡智・ミーアが動き出す! 「こうなったら、わたくしが教鞭を取って差し上げますわ!……あらアンヌ、なぜ止めますの?」 保身上等! 自己中最強! 小心者の自称敏腕教師が、孫娘と運命に徹底抗戦する、歴史改変ファンタジー第4巻!

ルードヴィッヒからの呼び出しを受けてティアムーン帝国に戻ったミーア。四大公爵家のひとつ・グリーンムーン公爵家の妨害によって建設中の聖ミーア学園の学園長や講師候補が獲得できなくなっているという。代わりの学園長候補として、ルードヴィッヒの師匠である放浪の賢者ガルヴを説得してほしいと言われるが……。

「自分の幸せ」のためならいつでも全力!!(良い意味で)

賢者ガルウ獲得を巡るお話がとても良かった。「帝国の叡智」の人となりをを計るため「三顧の礼」を求めて扉を閉ざすガルヴと、そんなガルヴの家の前でわざと待ちぼうけを喰らうことによって相手の非を指摘し、断りづらくしてやる!!と意気込むミーア。例によって思惑がすれ違ったままガルヴがミーアの行動を良い方に解釈して先に折れる……といういつものパターンなんだけど、その一方で「ガルヴに反撃の余地を与えないため」にミーアも全力で礼節を尽くして相手を待つ…という展開がとても良かった。

ミーア、とにかく自分が良い思いをするためならなんでもする人間ではあることは一貫しているんだけど、その一方で一貫して「自分の行動のせいで他人が嫌な目をしたら自分も気持ちよくなれない」「他人に悪い思いをさせたらいつかそれは自分に返ってくる」ということを知っている人間なんですよね。だからこそ、自分が気持ちよく生きるために他人を思いやり、全力を尽くすことが出来る。だからこそ、(様々な誤解はあれど)人々が彼女の二度目の生に惹きつけられる。

その一方で、そういうミーアの気質は決して二度目の生だけで育まれたものではなくて……一度目の生でルードヴィッヒが最期までミーアに尽くした本当の理由。そして、師との問答によって「帝国の叡智」ではなく「ただの人間のミーア姫」に仕えることを改めて決意するルードヴィッヒの想いに胸を打たれます。

ティアムーン帝国没落を巡る謎のひとつが、ついに明らかに…!?

学園に戻ったミーアはグリーンムーン家の令嬢・エメラルダから夏の舟あそびに誘われる。護衛としてシオン、キースウッド、アベルの三人を引き連れてグリーンムーン家とつながりの深いガヌドス港湾国に向かうことに。一方、一度目の生での飢饉の際のガヌドス港湾国の動きに違和感を感じていたミーアは、ルードヴィッヒに相手のことを調べさせようとするが……。

一度目の生でミーアを真っ先に裏切ったとされるエメラルダと、その際に食料支援を断ったガヌドス港湾国。楽しいバケーションの裏でルードヴィッヒ達が動き、ティアムーン帝国没落を目論む恐ろしい陰謀の存在が見えてくる!!という展開がアツい。四大公爵家のどこかに潜むといわれている「敵」の影も少しずつ鮮明になってきた。

それはそれとしてアベルとミーアのイチャイチャっぷりがすごくてお前ら早く婚約しろ!!すぎる。そして、良くも悪くもミーアの親戚筋としかいいようがない、人がよくてポンコツで何故か最近距離を置かれがちなミーアにかまってほしくて仕方がないエメラルダの行動にニヤニヤしてしまった。彼女もなんだかんだでお貴族の習わしや家の事情に縛られているだけなんですよね。いやだって自分のメイドのこと、あれだけ下げる発言をしておきつつ名前ちゃんと覚えてるじゃん……毎度名前を呼びかけては言い直すところとか、可愛すぎるじゃん……これこのままだと絶対に近いうちに破裂する爆弾だなとおもうけど!!

実質前後編の前編みたいな終わり方なんだけど物語はここから第三部に突入。波乱の予感しかない終わり方で、続きがどうなるのかとても気になる。楽しかった!!

今回も書き下ろしがよかった

書籍版書き下ろしはミーアがまっさきに手を入れた新月地区の人々を巡る「現在」と、ミーアベルの回想によって描かれる「未来」のお話。ミーアの善行が巡り巡って孫娘のミーアベルが窮地に陥った際に心強い味方として返ってくるの、本当に胸が熱くなるし、それによって救われたミーアベルがおばあさまの教えに従って「現在」の新月地区の人々に少しでも気持ちを返したい、と思う展開がとても良かった。それにしてもルードヴィッヒの晩年、丸くなり過ぎでは?

電子書籍版特典SSはミーアの家の料理人・ムスタの一度目の生でのささやかな後悔と、現在の輝かしい栄光のお話。黄月トマトのシチューに纏わるエピソードは第一巻の一番最初でも印象的に描かれるだけに、彼の中にどんな葛藤があったのか、そしてその彼がどう変わっていったのかを知ることが出来たのはとても良かった。それにしてもこの話のムスタといい今回の本編でのエメラルダやルードヴィッヒといい、一度目の生での記憶を自覚はしていないないものの継承しているっぽい描写がとても気になる。ミーアが幼少期に「時を戻して」やり直していると思っていたけど、ひょっとして世界そのものがどこかの段階でやり直しているのか?

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ティアムーン帝国物語3〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜

 
Gilse

「ボク、お祖母さまにずっとお会いしたかったんです!」
革命鎮圧から半年。優雅に春休み満喫中の元わがまま姫ミーアの前に、未来から、自身の孫娘・ベルが現れた! ようやくギロチンを回避したと思ったのに、今度は未来で帝位の継承権争いが勃発。ミーアは毒殺され、ベルも処刑寸前らしい。発端となった聖女ラフィーナの独裁を止めるため、泣く泣く勝算ゼロの生徒会長選に出馬することに。だが、ミーアの血を受け継ぐベルは、頼りになるどころかへっぽこで……!?己の欲望全開の選挙公約を胸に、Wポンコツ姫が流転する運命に立ち向かう! 保身上等! 自己中最強! スイーツ必須! 歴史改変ファンタジー第3巻!

アベルの国で起こった革命を阻止し未来を描き出す日記帳も消え、平和な毎日を送っていたミーア。人のいない学園でつかの間の休暇を楽しんでいた彼女は未来からやってきた自分の孫娘・ミーアベルと出会う。自分の軽率な行動をきっかけにして、再び暗黒の未来に変わってしまったらしく…!?

ポンコツ姫とポンコツ孫娘の奮闘劇!

ミーアの未来の孫娘・ミーアベルを迎えての新展開。過去生とは全く違う状況、日記の導きもなくなって未来のバッドエンドを回避するカギは孫娘の記憶のみ…という正しいルートがほとんど見えない状態で手探りで右往左往する姿が新鮮で面白かった。それにしてもミーア+アベル=ミーアベルって安直すぎて微笑ましい。

平和な未来のためには絶対に負けられないけど勝ち目などまったくない生徒会選挙、選挙させてしまったら負けるんだからどう考えてもラフィーナ本人を落とすしか切り抜ける方法はないわけだけど、ミーアが全くそんなこと考えてないまま思考がすれ違ったままラフィーナが勝手に勘違いして自爆していくのがもう清々しいし何もかも面白い。いやまあ、思惑がすれ違っているだけで冷静に考えるとミーアのとった行動は最終的には廻り廻ってラフィーナの求めている「対等な関係」に近いナニカだったのでは……と思えなくもないけど……いややっぱりだいぶ違うかな!?ミーアはそんな理由で彼女に手を差し伸べたわけじゃない(っていうか手を差し伸べてすらいない)んだよなあ。

蜘蛛の糸のような細い足場の上で繰り広げられる綱渡りをたまたま飛んできたヘリコプターで渡り切るみたいな展開、安定感があって大変に面白かったですが、その一方でどこまでも根は善人なミーアがおっかなびっくり起こした行動が、少しずつ彼女の周囲に強固な味方を増やしている…という展開が心強かったです。ティオーネをイジメていてミーアにとっちめられた貴族の子供たちが強い味方となって生徒会選挙を共に戦い抜いてくれる展開にはほっこりしてしまった。そしてミーアの親戚である四大公爵家のサフィアス、悪役にしても小物っぽいなあと思っていたら完全にミーアと同じタイプの根は善人なポンコツだったので今後に期待しかない。

次巻以降は未来のエリスの書いたヨイショ本がミーアの日記の代わりを果たすことになるみたいだけど、色々な意味で未来はどう変わってしまっているのかが気になる。というか日記を持ち歩くのはまだ違和感なかったけど、自分がヨイショされまくってる自伝を持ち歩いてるの色々な意味でハードル高いですよね。ミーア姫は強く生きて欲しい。

書き下ろしと特典SSも良かった

今回は本編も面白かったけど、後ろに入っている書き下ろしの中編と電子特典SSがすごく良かった。書き下ろしの中編は前巻で仲間になったディオン隊長の、ミーアベルの経験した未来での最期の記録。そしてディオンに命がけで逃してもらったミーアベルが過去のディオンと出逢うお話。

戦いばかりだったディオンの生が、ミーアによっていかに変化していったのかがなんとなく見て取れる未来のお話でした。そしてそんな彼の忠義に生命を救われたミーアベルが、その記憶は持っていなくても精一杯その忠義に報いようと奮闘する姿が微笑ましい。そんな彼女の精一杯につきあわされて大の苦手なディオンと必要以上に接触することになったミーアは強く生きてほしいですが。

電子特典SSは昔懐かしのゲームブック形式で綴られる、ミーアの平穏な一日。選択肢を選んでいくと色んなキャラクターとのエピソードが読めるシステムになっているのですが、これのルードヴィッヒルートがすごく良かった。一度目の生の時のルードヴィッヒが夢の中で現在のミーアと会話をするという内容なんですけど、ミーアに軽口を叩きながらも滲み出る彼女への強い親愛の情に胸が熱くなってしまった。他のキャラのルートもどれもたいへん可愛かったです。

特典SSは小さい頃にゲームブックを膝に受けた世代なのでページの作りからしてもう懐かしさしかなかったですが正直紙でページをめくれない電子書籍でこの形やられると読みづらくてしょうがないですね。選択肢で該当のページに直接飛ぶくらいできなかったのか。

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女王の化粧師3

 

「女王として、どんな国を作りたい――?」時代に翻弄された女王候補と化粧師の物語第3弾!
紆余曲折を経て、マリアージュの下で化粧師としての居場所を揺るぎないものとしたダイ。 そんなダイに最有力の女王候補アリシュエルからも化粧の依頼が舞い込む。 一方でダイは、花街時代の友人である医師ロウエンから、アリシュエル宛ての伝言を託される。 貴族と平民。身分差があるはずの二人がなぜ――。 困惑しつつもダイはアリシュエルの元を訪れるが!?

休暇を取って街に下りたダイは、花街で懇意にしていた医者・ロウエンと再会し、彼からとある人への伝言を頼まれる。数日後、女王候補の筆頭格であるアリシュエルに招かれ、どこかギクシャクとした家庭環境や意外な素顔の一面を目にすることになり……。

夜会(の準備)楽しいなあ!!!

今回はとにかくもうミズウィーリ家で開催された「夜会」(の準備)の話が好きすぎて!!資金力に乏しいミズウィーリ家ではたった1度催すのが限界で女王選に向けて失敗できない夜会、人員も資金も足りない中でマリアージュがダイの化粧の力を駆使したとある催し──「仮面舞踏会」を思いつく、というお話なんだけど、女王候補として支援者が少ないこと、人員整理するのに致命的に人数が足りないこと、更には貴族たちが「化粧」に偏見を持っていること……などといういくつもの問題を画期的に解決していくという展開がとにかく気持ち良いし、その上でゲストたちが偏見を捨てて素直に「化粧の楽しさを味わえる」イベントになっていくのがめちゃくちゃ楽しくて、それに向けて主催するミズウィーリ家の人たちも忙しくなりながらも楽しく準備している姿を見ているのが楽しくて仕方なかった。そしてそれを企画したのがマリアージュ様というのがまた、2巻までの彼女を見ていると感慨深いものがありますね。

あとがきでも言われてたけどイベント本体はオマケすごくわかります。

楽しい夜会からの報われない恋のお話に、感情が追いつかない

楽しい夜会の後は…というかまあ夜会の前から伏線は張られていたのですが、女王候補の最有力者・アリシュエルと花街の医者・ロウエンをめぐるお話。アリシュエルの幸せを願いって国を離れようとするロウエンと、父親からの過剰な監視を受けて疲弊していくアリシュエル。お互いに深く想い合うがゆえにすれ違ってしまう二人の恋の結末に、胸が苦しくなりました。決して万人に祝福される関係ではなかったのですけど、少しでも何かが噛み合っていたらもっと幸せな結末がどこかにあったと思うんですよね。ロウエンがアリシュエルともう少し良く話し合っていたら、ダイがヒースに二人のことを打ち明けられていたら……しかもそれがすべて、二人のことを思っての行動だったことがまたとてもやるせない。

まあそれはそれとしてどうかんがえてもヤバいのはアリシュエルの父親だったので彼の人には相応しい報いを受けて欲しい…と思わずにいられない。しかしなんかこれ、結構本人はのうのうと生きてそうなのがまた本当にやるせないわけですが……。

成長したマリアージュ様のかっこよさがすごい

楽しいお話も悲しいお話もあって感情のジェットコースター的な意味で盛りだくさんだった3巻ですが、今回はとにかくマリアージュ様の成長で胸がいっぱいになってしまう巻でした。夜会の催しに関してこれまでになく積極的に周囲を引っ張っていこうとする姿には館の女主人としての成長を感じましたし、何よりも一番のライバルであり複雑な感情を抱いているアリシュエルを助け、叱咤する姿がかっこよすぎました。まだまだ軽い癇癪を起こしてダイ達を困らせるような部分もないわけじゃないけど、次期女王としての貫禄が身についてきたと言うか……いやこんなのはアリシュエルだって惚れてしまう。

それにしてもあとがきによるとこの3巻でもまだ序章でしかないのか。女王選のシステムが面白くてこれがメインのお話のような気がしていたけど、確かにタイトルは「女王の」化粧師なのでどう考えても女王になってからが本番なんですよね……次はいよいよ序章である女王選の完結編とのことで、続巻が読めるのを楽しみにしています。

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ヴィクトリア・ウィナー・オーストウェン王妃は世界で一番偉そうである

 

ヴィクトリア・ウィナー・グローリア公爵令嬢。 フレデリック・オーストウェン王子の婚約者である彼女は ある日婚約破棄を申し渡される。 だが、それを「我は婚約破棄を許可しない」の一言で 切って捨てたヴィクトリアが取った行動は―― 「フレッド。……そなたはさっき、我に婚約破棄を申し出たな?」 「ひゃ、ひゃい……」 「では我から言おう。――もう一度、婚約をしよう。我と結婚しろ」 「はいぃ……」 かくしてグローリア公爵令嬢からオーストウェン王妃となったヴィクトリアは その輝かんばかりの魅力で人々を魅了し続ける――!

フレデリック・オーストウェン王子は男爵令嬢であるマリアと恋に落ち、婚約者である公爵令嬢ヴィクトリアに婚約破棄を言い渡した。ところが、当の婚約者・ヴィクトリアはそれを聞き入れない──どころか、どこまでも偉そうに愛を囁いてきて…。

えっこの王妃イケメンすぎ…!?

とにかく偉そうで覇王のような物言いのイケメン王妃様がその偉そうな態度と物言いに相応しい才能を持ってライバル令嬢達を蹴散らし、自分に言い寄る間男も物ともせず、国家を揺るがすトラブルを解決していくお話。

とにかくイケメンすぎる王妃がひたすら偉そうに最初は自分の身の回りから、そのうちに国に関わるような事件までも解決していってしまう姿が爽快。おおむね偉そうな態度とその場の勢いで周囲を圧倒しつつ、その反面しっかりと相手の求めるものをリサーチ・提示して納得させて味方に引き込んでいく手腕がまた見事でとにかく気持ちよかった。常にWin-Winで解決するので誰も損してない。こんなん王子じゃなくても惚れてしまう。

王妃のキャラが強烈で、しかも彼女の行動に誰も彼もが巻き込まれていってしまうため常に本編は慢性的なツッコミ不足ではあるのだけど、そんなツッコミ不在の物語に対してかなり軽めのノリでツッコミを入れてくる地文のテンポがとても良くて、そこもなかなか新鮮でした。いや、その他の登場人物も金のために王にすりよる令嬢やら農家に引力を引かれすぎてる前王の愛人やら猫とふかふかお肉が大好きなライバル令嬢やらなかなかの濃さなんですけど…!!登場人物の中ではヴィクトリアの間男を目指す術士のミカエルだけがツッコミを頑張ってた。

強い王妃×かよわい王、意外なまでにいちゃラブだった

王子フレドリックの婚約破棄騒動から始まる本作ですが、王子が「ざまあ」される展開とかヴィクトリアが王をほっぽってひとりで無双するような展開は一切なく(幾度となく「愛の暴走特急」になってる時はあった)、むしろ最初に婚約破棄を切り出した後はひたすら王と王妃(序盤で結婚した)のいちゃラブになります。ヴィクトリア、世界で一番偉そうだし覇王のような女帝だけど、そんな彼女がなんだかんだと伴侶であるフレドリックの意志を尊重するし、彼の治世をもりたてるために尽力するし、そして夜となれば可愛らしい一面を見せ……見せ…………なんかもう色んな意味で夜の描写も襲い攻めって感じでしたがフレドリック的には可愛い女に映っているのではないかと…はい!!!

そんなヴィクトリア、一見何の弱点もないような「強い女」であると同時に正確に自分の弱点や欠点も把握していて、そこを補うためにフレドリックや周囲の人の力を借りることを厭わない。囚われのフレドリックを取り戻すため、ヴィクトリアがこれまで培ってきた人脈すべてを駆使して奮闘するクライマックスがとても良かったです。

どこまでも破天荒な物語でありながら、その実その破天荒さがきめ細やかなリサーチや正確な自己分析によって補強されているので気持ちよく読めるんですよね。あと誰も不幸にならないので安心して読める。楽しかった!小説家になろうのほうで続編も予定されているようなので、続きをとても楽しみにしています。

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