ページ 32 | 今日もだらだら、読書日記。

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アルバート家の令嬢は没落をご所望です2

さき
 

表向きは才色兼備の大貴族の令嬢、本性はコロッケ好きで変わり者のメアリ・アルバート。従者のアディは唯一の理解者で、いつも一緒だった。実はアディはメアリにずっと片想いしているけれど、メアリはまったく気づかない。そんな中、メアリがアディを置いて留学することになって!?「どうか俺だけを、一人の男として隣に置いてください」長年のアディの想いは実るか否か!?爆笑胸キュンラブコメ、見逃し厳禁の第二巻!!

ゲームの通りに没落を目指していたはずなのに、なぜか没落フラグを回避してしまったメアリ。それでもいつか北の大地で渡り鳥丼屋を開く日を夢見て、経営学を学ぶため隣国に留学することに。従者・アディと離れ、一人でやってきた大学で彼女を待っていたのは乙女ゲーム続編のヒロイン・悪役令嬢「達」で…!?

主人公無関係の所で繰り広げられる転生令嬢達の闘い

乙女ゲーム続編のヒロイン・リリアンヌと彼女のライバルにして没落予定の悪役令嬢・カリーナ。そして記憶を持たぬその他のライバル令嬢達。前世の記憶を持つ二人がメアリの横で繰り広げる闘いが地味に熱い。なぜリリアンヌは無理をしてまで難易度の高い「逆ハーレムエンド」を目指すのか。そして彼女と対立するような姿勢を見せながらどこか攻めが甘いカリーナの思惑は…。割と正統派に悪役令嬢転生モノやってるし、終盤はなかなか痛快などんでん返しが待ってるし……で楽しかったです。まあこの辺全くメインじゃないんですけどね!!

本編的にはメアリになつくライバル令嬢のひとり・気の弱い少女パルフェットとメアリの友情の萌芽がメイン。アリシアとは真逆の、メアリが「苦手なタイプ」である彼女が少しずつ精神的に成長していく姿と、次第に彼女をかけがえのない友人と思うようになるメアリの心の動きが印象的でした。悪役令嬢達の戦いは本当にメアリの関知しない、ストーリーの裏で話が進んでいて笑ってしまった。潔いな!!

急転直下なイチャイチャ展開にニヤニヤが止まらない!

アディ不在&乙女ゲーム続編のヒロイン達に囲まれた大学生活。そこかしこで無意識にアディの姿を探してしまうメアリの姿にニヤニヤしていたら…軽い口約束を発端に言質を取った周囲が一気に外堀を埋めていって、結婚までの展開が早いマジ早い。すったもんだでアディからの気持ちを聞かされ、自らの気持ちをようやく自覚したメアリがこれまでとはうってかわってお花畑状態でノロケ出すのが可愛いすぎるし、これまで何を言っても暖簾に腕押しだったアディが色ボケ状態のメアリに振り回されるのはなんかもう一周回って面白すぎる。アディは今回本当に強く生きてほしい。

アルバート家ほどの貴族のご令嬢が一介の従者に過ぎないアディと何の障害もなくくっつくのには正直ちょっぴり違和感があるんですけど、よく考えれば現在のアルバート家はこれ以上を望むまでもなく大安泰、完全なパワーバランス取れてしまってるわけで。ある意味「没落を目指していた」頃のメアリがここに辿り着くための種を蒔いていたとも言えるんですよね。「メアリがパトリックと結婚しなかったからこそ生まれた益があった」という考え方は実に貴族的で良いなあと思う。

パトリックがいい仕事した…(全方位に)

1巻からメアリとパトリックの「恋愛には至らなかったけど良い関係」、というのがとても好きだったんですけど、今回の二人の関係が本当に好きで好きで……。おそらく同じ視点で、同じ考えを共有できる随一の存在。でもお互いに選んだのは別々の人で、それを後悔するつもりはない。笑顔で「アリシアとアディがいなければ結婚していたと思う」と言い合う場面が、もうひたすらに好きすぎて……。

更に今回は、前巻ではあまり絡みのなかった気がするアディとパトリックの関係がとても美味しかったです。自称「アディ応援団長」を名乗り出したときには噴いてしまったけど、それに違わぬ活躍ぶりが眩しすぎる。この人実はアディの事大好きすぎない?そして式当日はすっかりアディを弄って楽しむポジション代表になってるの面白すぎました。

それにしても、結果論だけど今回は殆どの事件がパトリックを発端にして発生してたわけで、結構な人数が破滅してることを踏まえると色んな意味でこの次期王子が魔性すぎるな……。

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賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 痛 ~愛弟子サヨナと今回はこのくらいで勘弁しといたるわ~

 

担当編集は憤っていた。悪ノリで2巻が出てしまうこの『賢勇者』シリーズを王道ファンタジー路線に戻すべく、彼は時間遡行を繰り返し、未来を変えようとしていたのだ。しかし、何度繰り返しても本作の主人公・シコルスキは、賢勇者というカッコいい肩書きなのに定期的に全裸になる変態であり、ヒロイン・サヨナは昨今のトレンドに反して胸が極薄で、性格がバブみから遠ざかっていくのだった。サブキャラも全員反社会的なサムシングだ。「オレは、嫌なんだ!全文検索で卑猥な単語がジャンジャン引っかかる下品な小説を編集するのは…!うおおおッ!」果たして担当は未来を変えられたか!?その答えは今、君の手の中にある―。

生き別れの姉を探して旅に出て、しばらくして再びシコルスキの元に戻ってきたサヨナ。賢勇者の元には今日も名うての変態達が依頼を持ってきて……。

相変わらず疾走感のあるキレッキレなギャグが最高。

一癖も二癖もある「依頼人」達の変態ぶりは磨きがかかっているし、KADOKAWA及びその関係者にひたすら喧嘩を売っていくスタイルが相変わらずキレッキレでした。隠語として「KADOKAWA」が飛び交ってるのどう考えても悪質で笑ってしまう。

1巻では割と楽しめる話とイマイチな話があるように感じていたのですが、個人的には2巻は最初から最後まで面白かったです。「カクヨ村」の話とサヨナのお見合い写真が窒息するほど好き。その人今ストレートエッなんとかでKADOKAWAじゃなかった気がするんですけどいいんですか!?

前巻のノリを失わず、引きずりすぎない塩梅が絶妙。

前巻の存在だけで八行使うマスコットキャラのネタとかめちゃくちゃ好きだったんですけど、顔見せ程度の出番なのが逆に絶妙だなと思いました。それ以上出しすぎるとしつこく感じただろうし、かといって出てこなかったらちょっと寂しかっただろうなという。

「このネタまたやるかな?」「前巻でフラグっぽかったのどうなった?」みたいな前巻の読者の期待を裏切らず、かといってそこに囚われすぎずに新しいギャグをやっていく流れがとても楽しかったです。2巻の導入が1巻のエピローグと完全に一致するのには笑ってしまった。そして最終章でこれまで登場した変態達が一同に会するという展開が完全にテンプレになってるじゃないですかやだー!!!!(最高)

それにしても、予想外に2巻が出た結果「このシリーズ2巻で打ち切りだから!」「前巻の○ページを見ろ!!」という定番の悪ノリネタが生まれてしまったのがじわじわと趣深いな……。

少しだけ近くなった師弟関係が印象的

復讐のためにシコルスキの弟子となり、一度は彼の元を飛び出し、再び戻ってきたサヨナ。今巻は本願を果たしてしまった彼女が再び自分のやりたいことを見つけるまでの物語でもあります。ちょっとずつ変態達の色に染まりつつも需要に対して足りてなさすぎるツッコミとして頑張るサヨナと、そんな彼女に色々無理難題を突きつけつつ大事な時は彼女の選択を尊重しようとするシコルスキの、以前より少し縮まった関係性が良かったです。

自称「2巻打ち切り」とのことだけどまた(作者と編集部の)気が向いたら続刊出してほしいなあ。

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この素晴らしい世界に祝福を! 3 よんでますよ、ダクネスさん

 

駄女神とともに転生したカズマの異世界生活は、1年が経とうとしていた。「安定」を手に入れたい願いとは裏腹に、魔王軍幹部との対決、機動要塞デストロイヤーの襲来と慌ただしい日々が続き…。そんなカズマは今、国家転覆罪の容疑を掛けられ裁判所の法廷に立っていた。自信満々なアクア弁護人が立ち向かうが健闘むなしく裁判は判決を迎える。「判決は、死刑とする」…俺、また死ぬの!?

街にやってきた機動要塞デストロイヤーをなんとか撃ち落としたカズマ達。これでギルドからの報酬で借金生活脱出…と思ったのもつかの間、デストロイヤーを無力化した際に使用した転送魔法で領主の館を破壊してしまっていたことが発覚。一転して、巨額の借金と反逆罪の疑いを背負う羽目になってしまう。カズマの運命が掛かった裁判の日、現れた領主はダクネスのことを知っているようで……?

キャラは濃い割に影の薄かったダクネス回。

そんなわけで2巻から色々とフラグを立てていたダクネスの素性が明らかになったり、そんな彼女がお見合いをさせられたりするお話。ひどいことなら何をされても悦んでしまうダクネスが人格者の男性・バルターと結婚するのは果たして彼女にとって幸せなのだろうか…などと考えてしまうんですけど、そういう「建前」を全面に出しつつも一貫して自分の利益の為だけにダクネスを嫁にやろうとするカズマさんの歪まぬクズっぷりが清々しかった。これは紛うことなきクズマさんですわ。

それにしてもプライベートのウブでネンネなダクネスを見ていると性的に無理やりな展開は普通に嫌がりそう。ところであの領主が人格者の息子との見合いを勧めてくる理由がとりあえずうちの子にしてから寝取ろうとしてるとかそういう発想しかできないんですが、そう思ったの私だけじゃないよね?

身体が奪われても心までは屈しないぞ!!(ビクンビクン

そんな彼女がひょんなことから魔王軍の幹部・バニルに憑依されてしまい…からの展開が面白すぎてめちゃくちゃに笑ってしまった。身体が乗っ取られても普通に同じく力割り込み会話で参加してくるダクネスさん面白すぎるんですが、めちゃくちゃ冷静に考えるとそれだけの大物に乗っ取られてるのに普通に会話してくるダクネスって普通に「強い」んですよね。

痛みにも屈しないし大悪魔に対抗できるだけの強い精神力を持ったクルセイダーって本当に…本当に……残念な性癖と攻撃が当たらないという欠点さえなければ……!!(袖を拭う)

最後のアレはフラグでは……ない!?

それにしてもラスト、バニルを倒して普通に1巻でアクアが街を壊したときと2巻の領主の館を爆破した分の借金を返して余りあるほどの大金をゲットしてしまったのは何の罠ですか!?これはまた最後にそれ以上の借金が帰ってくるオチだとばかり思っていたのですが……。しかしアクアの前巻での所業が今巻でフラグ回収されたりしてたし、4巻ラストでまた借金背負っている可能性は否定できませんよね。いやそれを期待するのもどうなんだ。

とにかく安定して面白かった。あとほんと、2巻も3巻も綺麗にオチがついていて上手いな…割となろう小説って書籍の縛りなく好き勝手に書いてるから1冊分で綺麗にまとまらないというイメージあったんですけど、前巻のめぐみん、今回のダクネス掘り下げとものすごく綺麗にまとまってるの印象的でした。

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─異能─

 

この世界には確実に主人公側の特別な人間がいる。でも、それは僕じゃない。 自分の凡庸さを自覚している大迫祐樹には成績優秀で野球部エースの赤根凜空と学校一可愛い月摘知海という友人がいる。――自分は二人の間を取り持つモブキャラなのだ。しかしある日大迫は知海と二人で映画に行くことになってしまう。「デートだね」とはにかむ彼女に戸惑いながら帰宅した大迫の前に、見知らぬ少年が現れて問う。「君の願いは、なにかな?」それは異能を秘めたモノたちへのバトルロワイヤルへの招待だった。「僕……の中にも異能があるのか?」だがそれすらも完全な思い違いだったのかもしれない――!! 予想を覆す怒濤の展開。審査員評が完全に割れた事件的怪作、刊行。

自分には不釣り合いと思うほどの美男美女の友人二人に囲まれつつも、平凡な学園生活を送っていた祐樹。ところがある日、異能を持つ者達が殺し合うデスゲームに招待されてしまった。異能など持つはずもない彼の前に現れた『対戦相手』は、意外な人物で……ひとつの街を舞台に繰り広げられる異能系デスゲーム。

先が見えそうで先の読めない展開が面白い!

週に一度、くじ引きで選ばれた異能者ふたりが殺し合いをする。最後に残った一人にはなんでも願いの叶う「賢者の石」が与えられる──という、異能を使ったデスゲーム。そして同じように週1回ペースで発見される、奇妙な死体。誰が「異能者」か、誰が殺人者なのか……謎に明確な答えが与えられないまま、様々な人物の視点から物語は進行する。

割と序盤から先の展開に対する様々な『匂わせ』が行われていて、読んでいくと「このキャラが異能者なのでは?」「このキャラの能力って○○では…」「あっこいつ黒幕っぽいな!」とかわかるようになっている。うっすら思い描いていた展開を裏切らずしかしそれ以上の展開で裏切っていく物語が楽しかった。なんというかこの物語、情報の出し方がめちゃくちゃ上手いんですよね。先の展開がわかるけど同時に読めなくて、先の展開に惹きつけられてしまう。

続々と消えていく異能者達の、多種多様な関係性

章毎に移り変わる「視点」と、そのたびに別の角度から照らされて立体感を帯びていく物語。恋愛、友情、執着…と、ゲームの内外で現在進行系で形作られていく因縁が少しずつ彼らを結んでいく姿が印象的。そして、それは複数視点での群像劇のようでありながらどこまでも「大迫祐樹の物語」であるんですよね。全ての登場人物の“想い”が、これまでの関係性が集約されてラスボスに立ち向かうための“力”となる。そんなクライマックスが最高にアツかった。

物語とはあまり関係がないのですが主人公・祐樹と彼を○○した親友・凜空の関係はもう少し掘り下げが見たかったというか物語開始時点での絶妙に気持ちが双方に向いてるけど噛み合ってない二人の関係、もう少し読みたかった気がします。いやあでも×んでから両想い(違)になる関係性、イイヨネ!!

微妙にスッキリしない終わり方にもだもだ(それが良い)

ゲームを主催していた超越的な存在“和抄造”を倒して、一件落着──と思ったのですが、エピローグでまた謎をぶちこんでくる!!例によって予想はできるけど確信は持てない、すっきりしない終わり方がまた実にこの物語らしいなあと。このまま終わっても全然気にならない(それが良い)感じはありますけど、売れ行きが良かった時に続巻出すのための伏線…だったりするのでしょうか。そういえば、最後に匂わせされた“彼女”だけは、メインキャラの中で唯一物語の語り部になっていないんですよねぇ。電子書籍版の特典短編がまたその疑惑を補強するような内容で気になる。

1巻で綺麗に纏まってるような、次巻を出してこの謎に答えを与えてほしいような。いや、本当に楽しかったです!

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私はご都合主義な解決担当の王女である 2

 

転生腐女子だって幸せな結婚がしたい。だったらその勝負、受けてたちます! お世継ぎ問題回避! のため恋人候補を見つけるべく準舞踏会にやってきた私――王女オクタヴィア(中身は元女子高生@転生腐女子)。 その道中、兄の恋人(男)のシル様と遭遇! なんだかワケありの彼と、主従関係を結んだクリフォードのエスコートで、いざ恋人探し! と思ったのに、そこで転生のきっかけとなった過去の忌々しい記憶と向き合うことになり!?

世継ぎ問題押し付けを回避するため、そして兄にお披露目する「恋人」を見つけるため、準舞踏会にやってきたオクタヴィア。ところが道中、兄・セリウスの目を盗んで一人で準舞踏会やってきたシルが馬車のトラブルに巻き込まれているところに遭遇し、一緒に向かうことに。会場には兄の親友・デレクもやってきていて──一筋縄では行かなそうな舞踏会が幕を開ける……!?

1巻では見えなかった部分の人間関係が興味深い

セリウス王子が不在で王宮以外の場所だからこそ見えてくる、ほぼ建前抜きの関係性が興味深かった。シル様が本当にBL世界の「「「光の受」」」って感じで良い意味で憎めない人なんだよなあ…!デレクもめちゃくちゃいいキャラだしオクタヴィアとのやり取りとかめちゃくちゃ好きなんだけど、正直色々な設定から重ね合わせると胡散臭さがすごい。

根幹から歪んでいた「ご都合主義」世界の真実

予定外のアクシデントにもめげず、自らの恋人候補を探すオクタヴィア。ところが、探し求めていたはずの人物と出会ったその時、オクタヴィアが転生する直前に体験したとある出来事がフラッシュバックする──。

そもそもベースとなったBL小説の世界自体が重厚な設定よりもキャラクターの関係性重視の印象を受けていたので、そこに「女性が複数子供を産んで兄弟に差し出さなければいけない世界」なんて設定が付随するのが違和感ありすぎたんですよね。1巻の時点から匂わせがあったけど、オクタヴィアの転生に際した出来事が想像以上に重くて衝撃。あらゆる意味で「歪んだ」世界観だなと思ってはいたけど成立過程からして歪みまくってたんだな……。それにしても彼女を転生させた超越存在の人間への無関心さと悪趣味さかげんが凄くて、もうこれもう1〜2回ひっくり返す気満々では…!?

同時に、1巻を読んで疑問に感じていた部分の謎が一気に解消されて、読んでいて気持ちいいのなんの。いやストーリーやオクタヴィアの人生的にはシリアスだし重くてしんどい場面なんですけど、ここまで綺麗に疑問と解答が噛み合うともう無条件にテンション上がってしまうな……。

オクタヴィア&クリフォードの主従関係にときめく!

マイペースな一方で常に強くあろうとしていたオクタヴィアが過去のトラウマを呼び起こされ、転生し作り上げてきた鉄壁の防御を剥がされてしまう。年齢相応の少女らしい「弱さ」を見せてしまったオクタヴィアと、交わした約束通りにそんな主人(オクタヴィア)の弱い姿を周囲に見せまいと立ち振る舞うクリフォードがアツい。そして、クリフォードの「信頼」を受けて、流した涙を化粧の奥に隠してふたたび立ち上がるオクタヴィアが最高にかっこいい!最初は無関心のところからはじまったハズのふたりが、様々なやりとりを経てお互いに欠かせない存在になっていくのに胸がジンとしました。

世界を創造してしまうような敵とそれによって既定された『運命』に、それでも立ち向かおうと覚悟を決めたオクタヴィアとそんな彼女の事情は知らねど最後まで付き従うと決めたクリフォード。どう物語をひっくり返していくのか、本当に楽しみです。っていうかもうオクタヴィアはクリフォードと付き合ってることにしちゃったらいいのでは!!??いや色んな意味で彼にもまだまだ裏がありそうですけども!!だめ!!??

それにしても、1巻も舞踏会に行く直前で終わってしまって若干端切れの悪さを感じてしまったんですけど今回もなんで毎回こんな半端なところで切れるのか…せめて舞踏会が終わるまでは一気に読みたかった気がするんですけど……。

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この素晴らしい世界に祝福を! 2 中二病でも魔女がしたい!

 

「…金が欲しいっ!」カズマは異世界で初めての冬を迎えようとしていた。本格的な冬に馬小屋暮らしは辛すぎる。生活拠点の確保が急務だ。そんなカズマに「屋敷に住み込みで悪霊退治をして欲しい」と願ってもないチャンスが訪れる。普段はポンコツ駄女神でも、こと除霊に関してはエキスパートのアクアがいるので、二つ返事で依頼を引き受けたカズマだったが…!?「小説家になろう」で人気を博す異世界コメディ第2巻が登場!

冬までに馬小屋暮らしから脱却したい!と思ってはいるものの、前回アクアがこしらえた借金の返済でいっぱいいっぱいなカズマ一行。他のパーティとメンバー交換をしてみたり、一人でダンジョンに挑戦したり…冒険者としての毎日が続く中でとある屋敷に棲みついた悪霊退治の依頼を受けることになって!?

他のパーティに入ったカズマが有能すぎる件

パーティ交換で他のパーティに入ったカズマが有能すぎて笑ってしまった。1巻の時も思ったけど威力は高くないけど様々な初級スキルを使えてそれを使いこなせる頭脳があり判断力も高いカズマ、特に自分以外にメイン火力がいるようなパーティに入れるとめちゃくちゃ汎用性高いんですよね。

今回は迫りくる不死者を淡々とターンアンデッドしつつ女神的な包容力を覗かせるアクアや爆裂魔法の超絶火力で活躍するめぐみんの見せ場もあって、改めて彼らの「個々の」強さを思い知った気持ち。というかこのパーティメンバーときたらカズマを含めて能力は高いのに、組み合わさることで(普段は)平凡以下のパーティになっちゃうのがどういうことなんだよって感じなんですけど…いや彼らハマると強いんですけど…面白いからいいけどな!!

どこまでも重くならないコミカルな展開が超楽しい!

しょっぱなからパーティ交換の流れに笑い、カズマをふくむ男冒険者達の男子高校生的なドタバタにニヤニヤし、デストロイヤー設計者の日記で死ぬほど笑い…とにかく言及し始めるとキリがないくらいにテンポの良い展開でバンバン笑わされるのが純粋に楽しい。そして絶対そうなるとおもったー!という予想のさらにまっすぐ上を滑空していく感じのオチに更に笑ってしまった。いやあこれ絶対最後にヤバい場所を爆破してしまうエンドだと思ってたけど予想以上にヤバいところ爆破してません!?

意味ありげにフラグだけ立てていったダクネスが気になる

割とそれぞれに戦闘的な意味で見せ場がある中、お色気シーンと意味ありげなフラグだけたてていったダクネスが気になる。次巻は彼女メインの話になるのかな?

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乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…4

 

乙女ゲームの悪役令嬢カタリナに転生した私。乱立する破滅フラグを無事回避し、あとは魔法学園卒業を待つばかり――と安心していたら、突然自慢の義弟キースが行方不明に…!? 「あなたが迷惑ばかりかけたせいよ」とお母様に責められ大反省した私は、仲間たちとキース探しの旅に出ることにしたけれど――。男女問わず恋愛フラグ立てまくりの、悪役令嬢を取り巻く恋のバトルは大混戦中? 大人気★破滅回避ラブコメディ第4弾、オール書き下ろしで登場!!

ジオルドから告白されてしまったカタリナ。ゲーム通り自分は眼中にないと思っていたのに……それ以来、ジオルドからの体当たりのアプローチに動揺するばかりの毎日を送る羽目に。そんなある日、カタリナの義弟・キースが突然「家出」してしまう。ジオルドやマリア・ソラ達と共に彼の行方を追うことになるが、この家出事件にはとんでもない裏がありそうで……。

重い展開を吹き飛ばしていくカタリナの存在が頼もしい

キースの失踪、彼がカタリナの家に引き取られる前に体験した過去、「闇の魔力」の使い手の暗躍。全体的に暗く重くなりがちな物語を吹き飛ばしていくカタリナの明るさが嬉しい。解決法は若干ご都合主義なようにも感じるけど、特に今回はキース周りの話が重たかったのでちょうどいいくらい。

ただ楽しいだけではなくて、つらい過去を持つキースがカタリナの存在にどれだけ救われているか伝わってくるような展開にはホロリとしたし、前巻でのジオルドの告白に端を発したラブコメ展開も楽しかったです。ジオルドの告白が伝わってないわけでもなく、それでも適度にラブコメとそうでないところを使い分けていくあたりはカタリナのキャラクター性のタマモノだよなあと。マイペースなカタリナを振り回しながらも振り回されるジオルドの様子にニヤニヤしました。

めちゃくちゃ読みやすくなってた…!

2巻、3巻が割とカタリナの一人称視点→他キャラクターの一人称視点という順番で同じシーンを繰り返す事が多く、物語がなかなか進まないので文章は読みやすいのにもっさりしていて読みづらいという印象を抱えていたのですが、今巻ではストーリーの進行を阻害するような別キャラ視点も入らず、この作品が持つ本来の軽快なテンポの物語を思う存分楽しむことが出来ました。

キャラクターが順調に増えていたのでカタリナ達を旅に出すことでメインの登場人物が絞られるのもかなり読みやすかったように感じました。とにかく3巻まで感じていた物語の軽妙さを阻害する「重さ」が取り除かれ、何も考えずに楽しめる物語になったのが嬉しい。

全て終わった後にお留守番だったキャラクターたちの視点がまとめて挿入されているのも(テンポが悪くなることを除けば、別キャラの視点自体はこの作品の売りの一つだったと思っていたので)良かったです。旅についていけなくてヤキモキする彼らの様子がめちゃくちゃ可愛い。アランは癒やし。

色々な意味で次巻以降が楽しみ

ジオルド、キースからの告白を受けて当然他のキャラクターたちも動くでしょうし、一方でカタリナはまさかの闇の魔力(?)を手に入れて…!?と色々な意味で続きの気になる展開。次巻は短編集のようですが、6巻以降は舞台を魔法省に移しての新展開となるようですし、色々な意味で楽しみです。

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ヤンキーやめろ。メイドにしてやる

秀章
 

俺の名は久世太一郎。歳は十七歳。 久世家は代々、執事の家系で、俺も執事として、日本有数の名家である鶴ヶ島家の次女、麻白様に仕えている。 ある日俺は、麻白お嬢様から、新たな専属メイドを探すよう申しつけを受けた。 だが、いたずら好きなお嬢様のお眼鏡にかなう者はなかなかいない。 そんな中、俺は買い出しに出かけた先で、ひとりのヤンキー少女と出会う。 ハナと名乗った彼女にメイドの素質を見いだした俺は、麻白お嬢様のメイドになるよう彼女を勧誘する。 「でも、メイドってあれだろ? ご主人様の命令は何でも聞かなくちゃいけなくて、奴隷みたいな」 「主従の間にあるのは単なる利害関係や雇用関係じゃない。信頼関係だ」 しかし、ヤンキー少女ハナと麻白お嬢様との相性は最悪で……!?

鶴ヶ島家の次女・麻白に執事として仕える太一郎。買い出しにでかけた先で偶然出会ったヤンキー娘・ハナを暴漢から救い出す。喋っているうちに、彼女に「メイド」としての資質を見出した太一郎は彼女を新人メイドとして雇い入れることを決意する。ところが、お屋敷でのハナはやる気はあるのになぜか失敗続き。しかも、仕えるべきお嬢様・麻白とはソリが合わないようで……。

メイド服は良いものですね

表紙の足癖の悪そうなハナが可愛すぎて、久しぶりに表紙買いをしてしまった……。もう表紙の時点で(全私に)勝ってるな!!という感じなんですけど、表紙のハナが可愛い!!!と思ったら迷わず買っていいと思います。表紙からご想像の通り、メイドとは縁もゆかりもないヤンキー少女がメイド服を着て少しずつ「メイド」として成長していく物語です。かわいいよ。

ヤンキー娘vsお嬢様vs執事、仁義なき三角関係

直情的で曲がったことや腹芸が大の苦手で仁義に厚いヤンキー娘のハナ。本心が見えづらく心とは裏腹にワガママで冷たい態度を取ってしまうがその内には聡明な頭脳と優しさを隠し持っているお嬢様の麻白。正反対の性格の二人が主人公である執事・太一郎を間に挟んで喧々諤々してるのがめちゃくちゃ可愛い!ふたりからそこはかとなく見え隠れする太一郎への好意とだからこそお互いに譲れないという事態のこじれっぷりが最高に楽しかった。

犬猿の仲な女ふたりの主従関係の萌芽に萌える。

最初は何をやらせても失敗ばかり、お嬢様との関係性も犬猿の仲どころかお互いに嫌い合ってすらいたハナ。彼女の教育で思い悩んでいた太一郎がとある事件に巻き込まれたことから、事態が動き出す。麻白の内面の優しさに触れたハナが、一気に「奉仕者」として成長していく姿が眩しいし、それまで太一郎を間に挟んでいないと成立していなかった麻白とハナの関係が、次第に信頼関係で結ばれていくのが印象的でした。

そして太一郎が不在の中、ハナは独りで麻白のメイドとして麻白主催の晩餐会で彼女の親族と相対することに。荒削りながらも「メイド」としての所作を身に付けたハナの姿が印象的なんですけど、そんな彼女が「お嬢」のピンチとなれば完全に任侠のノリで立ち上がる姿がめちゃくちゃにかっこいい!太一郎と麻白の手によってどん底から救い出された彼女が、太一郎の駆けつけられない麻白の大ピンチを彼女らしい豪胆さで救っていく構図があまりにも完璧だった。自らの大切な居場所を失うことも恐れず繰り出された渾身の任侠キックに、胸が熱くなりました。いやもうこんなん皆無条件で惚れちゃうでしょ……。

そして最後まで読み終わってから最初に戻ると、すっかり遠慮のなくなった二人のじゃれあいがプロローグとして描かれていて本当にニヤニヤが止まらなくなってしまう。いやもうほんとに良い女同士のケンカップルで最高に楽しかったです!!!

ページ数は短いけれど綺麗にまとまっていて、スカッとした読み口なのが印象的でした。いや本当に楽しかったなあ……続きがあるならハナも含めた3人の学園生活編とか期待しちゃいます。読みたいなあ。

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ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編1

 

高度育成高校での2度目の春を迎えた綾小路達Dクラス。持ち受けるは試験だけではなく、個性的な新1年生達。中学時代龍園と悪名を二分した宝泉和臣、同じ中学出身を名乗り櫛田に接近する八神拓也、気分屋で綾小路を引っ張り回す天沢一夏。そして4月最初の特別試験は1、2年生がペアとなる筆記試験。ペアの合計点が基準を下回れば2年生のみ退学となる。さらに南雲が各生徒の能力を表示する新アプリを実装。それが全生徒に公開されたため学力の高い生徒に人気が集中。2年Dクラスは苦境に陥る。またペアを組む必要上、綾小路もホワイトルーム出身の1年生を見抜けなければ即退学の状況となり―!?

進級した綾小路達新2年生を待ち受けていたのは、生徒達個々の評価をアプリから一覧できる新アプリと、一年生とペアを組んで行われる特別試験だった。ペアの平均点で点数を競い、基準点を下回れば2年生のみが退学になる──というこの試験を退学者なしで乗り切るため、堀北は独自の動きを取る1年Dクラスに目を付ける。一方、綾小路も1年生の中に潜む「ホワイトルームからの刺客」を炙り出せなければ退学になる危険があり……。

一年生編から発展した、新たな人間関係が楽しい

11.5巻での堀北会長との一時の別れを経て、改めてクラスを率いて上を目指すことを決意した堀北と、月代を筆頭にした「ホワイトルーム」からの刺客の存在をきっかけにこれまでの傍観者的なスタンスを捨てて“本気”をだすと決めた綾小路。長かった一年を経て別々の理由から改めてAクラスを目指すことを決意したふたりが改めて行動を共にするようになった姿が印象的でした。軽井沢さんが恋愛面でのパートナーとしての立場を確立したこともあってか、綾小路・堀北の恋愛要素のない相棒関係が強調されていたように思えます。

一方でめでたく彼氏彼女の関係に昇格した軽井沢さんが綾小路との二人きりの勉強会で一喜一憂してるのが本当に可愛くて仕方ないんですけど(メロンブックスの特典SSもよかった…)、その一方で重い過去を持つ彼女がかつて綾小路に告白した過去を持つ佐藤に綾小路との関係を聞かれて、どう向き合うかもアツかった。綾小路という譲れないもののために、これまで逃げてきたものと立ち向かう彼女の姿が健気すぎるし、そんな彼女が本当の友人を掴み取ったのだと信じたい(しかし例によって綾小路の視点を紐解くといろいろな意味で「都合の良い女」扱い感が強いのでまじで軽井沢さんは幸せになってくれ……)。

ホワイトルームからの刺客を炙り出せ

新しく登場した下級生の誰もがなんか疑わしいという展開の中、まずは刺客そのものを探すのではなく「いかにホワイトルームの刺客ではない人物と組むか」に徐々に焦点が当たっていくのが印象的。そんな流れから綾小路の選んだ「パートナー」がなんというかマジ綾小路だなと言う感じなんですが……理屈を聞けば納得するんだけどその発想が出てくるところがなんかもう強いよなこの人。

ホワイトルームからの刺客の話、前巻からがっつり伏線張った割にこのあらすじだとあっさり解決してしまうのでは!?と思ったのですが、色々な意味で予想外に先の見えない展開に。一年生全員を敵に回してもおかしくないこの状況から本気を出した綾小路がどうやってひっくり返していくのか、続きが楽しみ。

良くも悪くも「顔見せ」巻のある、仕切り直しの第一巻

新たな展開の始まりを感じる一方で、色々な意味で新一年生の顔みせ&新学年になった各クラストップの動向が中心でこれまで登場したキャラクターたちひとりひとりにはどうしても焦点が当たらない感が強くはありました。これまでは綾小路たち一学年の動向が中心の物語でしたが、南雲率いる生徒会や動きの読めない一年生、そして綾小路を連れ戻そうとする「ホワイトルーム」の動向も含めてかなりキャラクターの多い物語になってきそうな雰囲気で、そのへんをどう捌いていくのかは結構気になるところ。綾小路グループ周りもほとんど出番ないまま、ひと悶着ありそうな雰囲気で終わってしまったな…。

それにしても相変わらず最後の挿し絵(見開きのやつ)がいい仕事しているな最高。
ま〜〜た綾小路さんはコワモテの男をたらしこんで…(違)

画集の話をしよう

ところで同日発売の「トモセシュンサクArtWorks」に特典でついてくる、店舗特典SS集がとてもぶあつくて楽しいです。まだ全部読んでないんですけど後追いのファンとしては特典類をこうやって1冊にまとめてくれるのは嬉しいし、基本的に「原作の同じ場面を他のキャラクター視点で描く」というコンセプトになってるのが凄くありがたい。原作で描かれていない場面の物語、ではないので割と気楽に追いかけられるなあという印象。

それで書き下ろしの「1年後に見えてくるもの ─龍園翔─」が11.5巻の綾小路との会話の龍園視点なんですけどなんなんですかねこの人達なんでこんなに仲良いんですかね……やっぱ龍園の視点から見ても綾小路は龍園の事好きすぎじゃないっすかねって思うし龍園さんも綾小路のことを気に入り過ぎでは……。そしてもうひとつの書き下ろしは11.5巻ラストの軽井沢視点でした。綾小路に恋してしまった軽井沢さんが七転八倒しながら恋する乙女してるのが本当に可愛いんですがそこでその挿し絵(11.5巻ラストのやつ)をお出しするんじゃない。

やっぱり軽井沢さん幸せになってくれ………………(3回目)
ようこそ実力至上主義の教室へ 終・1年生編BOX トモセシュンサク Art Works|Amazon
トモセ シュンサク (著)
KADOKAWA
発行:2020-01-24

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巡る世界の黙示録 少女戦隊ドリーム5

 

これは、美少女戦士(が強制的に僧職系男子と戦わされたり世界を救ったりする予定の)コメディです。 猫耳をつけた怪しい男に「ちょっと世界を救ってみませんか?」と声をかけられたごく普通の女子高生の要。 「冗談じゃない! 」と断るも、強制的に少女戦隊“ドリームピンク"をやるハメに。 ステッキを持たされ、恥ずかしい変身ワードを言わされ、 こうなりゃやけくそで敵を倒してやると覚悟を決めた要の前に現れたのは……へ? お坊さん――!? ツッコんだら負け! 少女戦隊ヒーロー章(ショー)、ついに解禁!

自らをマスコットと言い張る猫耳つけた(生えてはいない)青年・タマの手によって、強引に『少女戦隊ドリーム5』なるユニットの“ドリームピンク”に変身させられてしまった要。ドリーム5の目的は魔王と戦い、それを倒すこと……らしいのだが、目の前に現れた魔王はなんか普通にいい人っぽい普通の青年みたいだし、前任者だというドリームピンクの少女・美優はこっちに攻撃しかけてくるしでなんかキナ臭いぞ!?

誤:ニチアサ系変身ヒロイン戦隊魔法少女バトル

タイトルと表紙だけ見て↑のようなジャンルを想像して読み始めると盛大に一杯食わされる本作。「ドリーム5」言うて実質2人しかいないわ残りの3人の仲間を探す展開も特になく、そもそもふたりしかいないのにどっちもピンクという出オチぶり。

「魔王との戦い」自体がかなり序盤で自称マスコット男によるマッチポンプだったことが発覚するんですけど、もうちょっとこう、その辺をタイトルとかで匂わせることはできなかったんですかね…いや、面白かったんですけどこのラノベ戦国時代を生き抜くには罠の多すぎるタイトルだなって思いました(あらすじで確かにそれとなく不穏な気配は感じるけど)(そもそもかなり前のラノベだけど)。

正:坊主と魔法少女が繰り広げる仏道系調伏バトル

そんなわけで、この物語は僧職の青年・光明と、いきがかりで魔法少女をやることになった少女達が街を脅かす魔障を調伏する仏道系退魔バトルです。何を言っているかわからないとおもうが俺も(略)

光明は剃髪前の半人前の坊主なので見た目的な違和感はないですし、それはそれとして正統派な坊主需要にもこたえられる頭ツルピカなライバル美坊主も登場するので安心(?)。いやなんか、良い意味で「魔法少女×仏教異能バトル」として面白かったのでもっとタイトルとか表紙でその辺推していってもよかったのでは…と思ってしまうのですが(2回目)、駄目だったんでしょうかね…。

主人公・要の等身大な少女像が愛おしい

強い力を持っているが自分に自信が持てない光明が、前向きに物事をとらえられる要に渇を入れられつつ成長していく姿がアツかった。弱腰で悲観的な光明に対してヒロイン二人がわりとサバサバしており、しんどい展開でも物語が重たくなりすぎないバランス感覚も嬉しい。お寺の事情など深くはかかわらないまま、ありのままの光明を評価してくれる要の言葉には胸が熱くなりますし、元ドリームピンクこと美優がいつでも自信満々な姿もぐっとくるものがある。

要が、ヒロインでありながらヒーローの尻を蹴り飛ばす枠なんですけど、その一方でちゃんとピンチになったら光明に守られるし、魔障の引き起こす事件を目の当たりにして足が竦んだり…と、当たり前の女の子としても描かれるところが個人的にものすごくポイントが高く。ヒーローヒロインものとして、恋愛要素薄目の少女小説としてもとても楽しかったです。

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