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恋姫・無双外伝 紫電一閃!華蝶仮面2 ?赤壁は燃えているか?

[原作]BaseSon [著]御門 智 [絵]水月 悠

長坂坡で魏の軍勢と闘っている最中、仲間とはぐれてしまった本郷一刀。華蝶仮面の助力を得て、なんとか逃げ延びたのはよかったが、たどり着いたのはなぜか呉の都!?貂蝉と諸葛亮といういつものメンツが勢ぞろいした所で仕方なく(?)喫茶店で資金を稼ぐ事にしたのだが魏が呉にも戦争をしかけてきて…
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「恋姫無双」で熱血系「特撮美少女モノ」という、外伝ノベライズ第二弾。今回もエロゲのノベライズとは思えないほど素敵に熱い方向に暴走しております。

今回は呉に舞台を移し、有名な「赤壁の戦い」を舞台に華蝶仮面が大活躍。三国志の内容殆ど関係なかった1巻よりも三国志好きが脊髄反射できる内容になってます(多分)。もちろん、怒涛のような「燃え」展開も健在です。矢を筋肉で跳ね返す二号とか!うちのめされ、絶望した少女達がそれを乗り越えて力強く立ち上がる姿とか!巨大ロボいっぱいとか!!無茶苦茶な戦闘力計算式とか足りない分は気合と根性で補うとか!!一触即発状態だった呉勢力と蜀勢力が、一つの目的を前に団結して爆弾解除とか!悪役なのになんかポイントが(百合方向に)ズレてる曹操様とか!!!(あれ?)(特に曹操と鳳統とのやりとりにはコーヒー噴いた)……とにかく、前回以上にアツい展開が目白押しになってます。

主人公の一刀が現実の三国志と照らし合わせて策を先読みしようとするところとかは上手くやっているなあ。ただの高校生が御輿的な役割だとしても何故一国の王としてやっていけるのか、エロゲとはいえ結構無茶な設定だなあと思っていたのですが上手い具合に納得できました。この辺は原作設定の妙だなーと感心してしまいました。ますますいつかやってみたくなってきたよ(笑)そして片っ端からであった女の子とフラグをたてまくる姿は、さすがエロゲの主人公といわざるを得ない。

しかし、呉のギスギスフィーリングっぷりは、もうちょっと掘り下げて読みたかったな?と思わなくも無かったり。「三國無双」シリーズの超アットホームな呉の姿に慣れてると、ギスギスしてる呉はとても新鮮でした。

3巻は舞台が魏になるようなので、巻毎に舞台を変えていくみたいですね。とても楽しみです。


“文学少女”と神に臨む作家 上

[著]野村 美月 [絵]竹岡 美穂

ななせと付き合い始めた心葉はそれなりに幸せな日々を送っていた。ところが、そんな二人の間を流人が裂こうと画策し始める。一方、かつての“井上ミウ”の担当編集をしていた男性も心葉に接触を図る。そんな最悪のタイミングで、遠子先輩から激しい“裏切り”の言葉を向けられ、愕然とする心葉に追い討ちをかけるように事態は動いていって…
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本編完結編となる卒業編にして“文学少女”天野遠子の物語、前編。

そうかぁ?シリーズ最強のヤンデレは流人くんだったのかー。
今まで文学少女界のヤンデレ代表だった朝倉美羽のとってきた行動が子供の悪戯に見えるほど本気で怖いよ本気の流人くん。心葉の行動を読んで常にタイミングバッチリに行動を仕掛けてくる流人くんの姿に、もうホラー的な恐ろしさすら感じる。更に“死にたがり”こと竹田さんがサポートに回って、なんというか最悪のコンビが結成されてしまいました。もうなんていうかあれですね、男のヤンデレって流行ってるんですか?(違う)

流人くんの手の上で思うがままに転がされ、みるみる追い詰められていく心葉が不憫でなりません。やめて流人くん!心葉のヒットポイントはもう0よ!! また、遠子先輩の“裏切り”の言葉もなんというか……もうちょっと言うにしても、タイミングや言い方があるでしょう、としか言いようがない。ただ「読みたい」という以上に深遠な理由があるんだろうけど、あまりにもあのタイミングは心葉がかわいそう過ぎる。

遠子先輩の両親と、彼女を引き取った流人の母親・櫻井叶子の3人がかつてたどった道、そして叶子描く物語『背徳の門』、そして現在の心葉・ななせ・遠子の関係の奇妙な一致がとても不吉な何かを指し示しているようでなりません。物語は次回で完結・最終巻とのことで、「月花を孕く水妖」でのエピローグを信じれば…非常に重いラストが待っているようにも。少しでも3人が幸せになるような結末が訪れますように。

…それにしても、遠子先輩の「本を食べる」性質とか、流人くんの最後の爆弾発言とかって、実際のところどうなんでしょうね。本を食べる遠子先輩という設定からして、ある程度の不思議要素が世界設定に織り込まれているであろう事はなんとなく想像つくんですが…。


彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

秀麗達が藍州に出向いている間に吏部の調査を進めていた清雅は、絳攸を投獄してしまう。師と慕う絳攸を救うため、調査と御史台で開かれる御史大獄での弁護を申し出る秀麗だが、上司である葵皇殻は意味深な言葉を彼女に突きつける。更に、縹家の策略が絳攸を襲い…
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秀麗の就職以降、ずんずん重い方向に驀進する彩雲国物語シリーズ。
楸瑛に続き、絳攸に苦難が降りかかる「紅」家編。黎深・絳攸親子の親離れが描かれます。

今回も、面白かったけどとにかく重いなあ……。劉輝が真の意味で楸瑛・絳攸の二人を手に入れるためには絶対に避けては通れない道だったというのは理解できるのですが、メインである筈の劉輝と秀麗の恋路については話が進むほど先行きが暗くなっていくのはどういうことだろう。二人が頑張れば頑張るほど、二人の距離が決定的に離れていってしまうのが見ていて辛い。

姪バカ担当の黎深さま、癒し担当のうーさままでシリアスでなんだか重苦しいキャラになっちゃって、私どこで息抜きをしたら良いのか……唯一、近頃秀麗に構ってもらえなくて本性全開モードな静蘭がこの作品唯一のギャグキャラとして頑張っておりますが。親友に弟に、挙句の果てには楸瑛や絳攸にまで先を越されてすっかりふてくされ気味で暗黒面全開の元王子様に、様々な意味で笑いが隠せません。特に、「再就職」を果たした楸瑛との手のひらを返したようなやりとりには爆笑しました。「劉輝のため」とかっこいいところを見せた楸瑛の立場全くなし。貴族派はまず先にこの元王子様を追い落としたほうが良いと思うんだ。次代をしょって立つ彩雲国ギャグの星・静蘭に栄光あれ。君が居ないと重苦しい雰囲気がどんどん加速してしまうよ!!

今回は黎深の捻くれまくった親子愛にもじーんとしましたが、やはり最後の、絳攸の夢に登場する二匹の文鳥に関する小噺が良かった。ある意味ベタだけど、彼らが未だに絳攸の原点というか、支えになってくれているという事実に胸が熱くなりました。

しかし黎深様は本当にツンデレだなあ……絳攸の名前をつける際のやりとりとか、彼の姓が「李」である意味・理由とか、そもそも絳攸を拾おうと思った理由とか。不器用すぎる愛情が、とても愛しい。そして次回からはどーんと出番が減りそうな予感なのがとても悲しいです。

ラストで遂に明かされた、秀麗が劉輝からの結婚を拒み続ける理由。もうなんていうか、その理由を踏まえると劉輝は自分で自分の首をキュっと絞めちゃってるんですけど。まだまだ重苦しい展開が続きそうだけど、そろそろ序盤のようなご都合主義全開なスッキリ円満解決的展開が懐かしくなってきたなあ…。


生徒会の二心 碧陽学園生徒会議事録2

[著]葵 せきな [絵]狗神 煌

いつもの通りだらだらとまったりした時間を満喫する碧陽学園生徒会。しかし、そんな堕落した(?)生活に甘んじる桜野くりむではなかった。
「生徒会も、既存の生徒会と同じ活動ばかりしていちゃ駄目だと思うの!」
そんな生徒会長の言葉を全力で受け流しつつも、生徒会の面々は“新たな活動”とやらについて話し合う事になったのだが…
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放課後の生徒会室を舞台に繰り広げられる、ただひたすら登場人物達が駄弁るだけのライトノベル第二段。この物語には剣も魔法も超能力も、明確なストーリーすら存在しない。だがそれがいい。ほのぼのまったりとした空間の中で繰り広げられる、ハイテンションな会話の数々が面白くて、やってることは同じなのに不思議と飽きさせないシリーズです。というか全開よりもギャグのレベル上がってない?

今回は引っ込み思案な少女・真冬が姉の洗脳によりキリングマシーンと化したり、謎の新任美女教師が忽然と登場し、生徒会を最大のピンチに陥れたりします。まあでも次の章には何事も無かったかのように今まで通り(?)の生徒会が展開しているので、いろいろな意味で安心。ほんといろいろな意味でこのシリーズは最後までこのまったりのんびりした空気を保ち続けて欲しいものです。

ストーリーに関しても、キャラに関してもいつも通りなので特に語ることは無いのですが、個人的には毎回最後に挿入される舞台裏的「えくすとら」がツボ。生徒会役員面々の赤裸々な妄想が形となって読めるのが最高です。そして何気に純情少年な鍵の発言にニヤニヤ。エロゲーの濡れ場でクリック連打するなんて真似を自称「目標:ハーレム」な少年がやらかしていると考えると可愛すぎます。やっぱり鍵は総受で。

ちなみに、女性キャラ的にはある意味鍵の最大のライバルと化してきた真冬さんがやはり最高。男性キャラ率が著しく低いこのシリーズで暑苦しい面々を増やすべく、今回も一人奮闘してくれる姿に好感沸きまくりです。今回も彼女の手によって中目黒先輩という新男キャラが登場しますのでご期待ください。

個人的にはエコー・オブ・デス兄さんも忘れないで欲しいです。

「当然です。真冬は、濡れ場より、過程を重視するのです!そこに至る過程が希薄なボーイズラブなど、真のボーイズラブにあらず!」
「真冬ちゃん……。正直、キャラが確定しないのは君の方だよ……」

むしろ真冬さんと1日、熱く語り合いたい。


L 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説

[著]坂照 鉄平 [絵]水城 葵

顔の良さを利用して様々な女を騙し、綱渡りで日々の生計を得る詐欺師・フラットランドはある時、竜の力を持つという“竜徒(ドラグ・ジーン)”同士の争いに巻き込まれ、偶然赤い石<罪人竜の秘宝>を飲み込んでしまう。街の権力者が狙うその石を使って一獲千金でのし上がろうと目論むが、それ以来嘘を吐くと口から火を吹く身体になってしまって…!?
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詐欺師の主人公が知略を巡らし敵を出し抜くサスペンス——かと思いきや、真実はヘタレで嘘が下手糞な詐欺師と世間知らずのツンデレ美少女が繰り広げる、熱血ラブコメでした。いや、タイトルからの先入観って怖いね!!というか、帯だけじゃなくてタイトルも詐欺というか本文と内容どこも関係ねえーー!!あと最近の富士見Fは帯で遊びすぎだと思うのです。(何も言わずに帯を全部広げて見てみるといいよ!)

中盤までは面白いけどどこかフツーだなーというか、アーティアは確かに可愛いんだけど「これどこの炎髪灼眼?」みたいなちょっとツンデレのテンプレすぎという印象が拭えず、全体的にシリアスなのかギャグなのかに偏りきれないストーリー展開もあってイマイチ物語にのめりこめずにいたのですが、終盤で敵に拉致されたアーティアを巡り、ヘタレで卑怯でバカで詐欺師でかっこ悪かったバーンが一念発起するあたりからどーんと面白くなりました。自らの心についた嘘を“息吹”で確かめる場面とか、敵前で思いっきり上げた雄叫び、クライマックスでのハリウッド映画そこのけのアーティアとのイチャつきっぷりに胸を熱くさせられまくり。なんだこの序盤からは想像も出来なかった、青春ど真ん中ストライクな展開は!!というかヘタレで卑怯で不器用な駄目男で、でもいざというときは大好きな女の子のために頑張れる男なんて最高に萌えじゃないかコンチクショー!!!

また、序盤では寒いギャグ担当だとばかり思っていたブロック団長が漢らしすぎました。あの勝手に暴走するギャグキャラからイイ男への変わりっぷりは卑怯だ。またバーンの良き理解者でもあり、舞台である『フロンティア』にすむ人間を物語中で最も体現した女性・カロリアの在り方も非常に良かったです。

色々とツッコミどころは満載だけど、それ以上に魅力的なキャラクター達が突っ走るカンジの物語で、ベタベタな熱血王道ラブコメ展開な中盤以降ではニヤニヤが止まりませんでした。これは2巻が楽しみ。


人類は衰退しました 3

[著]田中 ロミオ [絵]山崎 透

人類は衰退し、妖精さんたちが“新人類”となった世界。衰退してしまった人類の記録を後世に伝えようという「ヒト・モニュメント計画」の一環として、数世紀前に滅んだ都市遺跡の調査の為にクスノキの里に一時的に電気が通う事になりました。里はたちまちお祭り騒ぎになるのですが、一方で電磁波が苦手な妖精さんたちは不吉な言葉とともに姿を消してしまって…
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人類であるところの「妖精さん」と、衰退した旧人類で調停官であるところの「わたし」がおりなす異文化コミュニケーションストーリー第三弾。今回は1巻全部使って長編です。しりあすですよー?

“わたし”と助手さんが数世紀前に滅亡した都市遺跡の外部を調査をしていたら、いつのまにやら遺跡の中に迷い込んでしまって大変な事に…というお話。いつも助けてくれる妖精さんの助けが見込めない上に当の妖精さんからは不吉な助言(?)をされて、後半までひたすらドキドキしっぱなしでした。今までに無いピンチに手に汗握りっぱなし。妖精さんが現れた時には思わず大きなため息が漏れてしまうほどでした。水がみつからないという極限状況で汚水や(自主規制)の利用を真剣に考え始める“わたし”の姿が、なんだかシュール。

そんなこんなで終盤まで妖精さんたちの出番は殆ど無いのが残念なのですが、2巻から登場した新キャラ・助手さんがとても良い味を出してます。出生が原因で殆ど言葉を喋らない助手さんですが、言葉以上に雄弁にスケッチブックで語る彼の姿がとても素敵です。意外な才能を発揮して主人公を助けたと思えば小学生男子そこのけのモンスター図鑑を作り始めたり、子供が見たら泣き出す事間違いなしなシュールな絵本を作ったりと大爆笑。特に絵本は、イラストが微笑ましいだけに、内容とのギャップが……ギャップが!!

『それから、どうなったかというと——』
『ごちそうさまぁっ♪』

ちくしょう、あのライオンさん、可愛いよ!!!(悶)

そんなこんなで、今回もしっかり楽しませてもらいました。個人的にはほのぼの分、妖精さん分が低かったのがちょっと残念なのですが……その辺は4巻に期待しときます。


黄昏色の詠使い6 そしてシャオの福音来たり

[著]細音 啓 [絵]竹岡 美穂

授業が自習になって、ミオやクルーエルと共に名詠術の練習をしていたネイトは、ミオからクルーエルの誕生日がもうすぐだと聞かされる。話を聞いて、母親がかつて自分に見せてくれた夜色名詠術で“贈り物”をしようと決意するネイトだったが、失敗ばかりで…ネイトとクルーエル達の愉快な学園生活と、“第二楽章”へと続くエピソードを描いた短編集。
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女 装 ネ イ ト 萌 え 。 (挨拶)

クルルとネイト、カインツとイブマリーのラブラブっぷりや、本編には出てこない愉快な仲間たちの暴走っぷりも最高だったのですが、とりあえず今回の感想はこれに尽きます。「白奏」サイコー。ネイトは絶対女装が似合う子だと思ってたんだ!!

クラスメイト達に押し切られてイヤイヤ女装させられてしまうくだりも最高ですが、女装したネイトをみた先生方が彼をイブマリーだと勘違いして取り乱す姿が妙に笑えました。しかも潜り込むのは男子禁制の“女の園”で、緊張感も無駄にバッチリ。女装潜入モノの醍醐味を存分に味あわせてもらいました。腕の細さを指摘されて、身体を鍛えようと密かに決意するネイトとか、もう最高です。本当にご馳走様でした。

本編自体が優しくてシリアスな物語が多く、コメディ路線は向いてないんじゃないかなとかちょっぴり心配していたのですが、本編とは打って変わってコメディ全開なストーリーが非常に新鮮で、面白かった。濃ゆい学友達に振り回されるクルルとネイトには同情を禁じえませんが、同時にこれまでずっと重苦しい展開が多かった分、物凄く楽しそうな様子が伝わってくるのが純粋に嬉しかったです。特にエイダは本編のシリアス路線でも、短編のコメディ路線でも大活躍で素敵でした。

個人的にはそんな短編側の濃ゆいメンツに加えて、イ短調のメンバーまでが勢ぞろいするオールスターな黄奏「走れ、そいつはあたしのだ!」が一番お気に入り。「なんでもあり」という言葉から、物凄いドタバタなストーリーが展開されるであろうことは予想が付いたのですが、これは予想以上。目的の為には手段を選ばないエイダ&キリエコンビとイフレティカの3人にも爆笑でしたが、帰ってきた爺ーズと親バカ全開イ短調の皆さんが最高!

本編は“第二楽章”に突入し、ますます重い展開になっていきそうな勢いですが、こういう息抜きな短編もちょくちょくやってほしいなあ。ドラマガ本誌連載の短編はまだストックがあるようなので、第二段を激しく期待しちゃいます。


カミマゴ 羽根としっぽと世界征服

[著]江藤 苑 [絵]ヒナユキウサ

空から降って来た少女には、天使のような翼が生えていた。“人間”に会いに来たという自称“天使”のルーだが、その人類は500年前に絶滅。現在は彼らが残した英知の結晶“マザー”によって生み出された“パラヒューマン”達が製造されて、様々な制約を受けながらも暮らしていた。その現状に不満を抱く敬太はルーを連れて帰り、上手い事利用して自らの野望を叶えようと画策する。
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悪くは無いんだけど、全体的にいろいろな作品の美味しいところをツギハギして作りましたとでもいいたげな違和感がぬぐえない。パクリとかそういうのではなく、無理やりいろいろな要素を持ってきちゃったが為に様々な要素を使いきれず、それぞれに不協和音を起こしている印象でした。コンピューターに支配されている世界システムはデジャヴを感じるレベルでありがちだし、主人公の性格はまんま「殺×愛」のヒソカで、やってることは「デスノート」の月っぽいですよね。

世界征服を目指す冷酷非情な天才少年が純粋無垢な天使の少女と出会い、少しずつ考えを軟化させていくという大筋は良いのだけど、いささか展開が急すぎて、主人公がどうしてそこまでルーに惹かれてしまうのかに説得力が薄い。目的の為にならなんでもする、と思いつめているような様子が描かれている割に、あっさりそれをひるがえすような行動を取り始めるのには、ちょっと興ざめ。いくらなんでも「甘い」とかそういうのを飛び越えてしまってるよなぁ。そんな葛藤も何も無しにあっさりひるがえせるような、軽い気持ちなら世界征服とか言うなと。

ただ、ツギハギだらけで説得力のないストーリーの運び方はかなり微妙なんだけど、キャラの掛け合いがその薄っぺらさ・チープさと絶妙に合っていて、なんかいい。芝居がかってるわ中二病全開だわの掛け合いが、妙にツボにきました。特に敬太とレンの関係は実にオイシイ。なんかこう、腐れ心をガンガンと刺激される何かが、何かが。

というわけで…いろいろとツッコミ所は多かったけど、不思議とつまらなくはなかったです。B級グルメというよりD級グルメ的というか、マク○ナルドや●ーミヤンや松△的な魅力といいますか。これで続きが出たら買うかどうかまでは判らないけど。

…まあなんていうか、レン×敬太でお願いします(何を)


人類は衰退しました2

[著]田中 ロミオ [絵]山崎 透

人間が衰退し、妖精さんが新しい「人類」としてまったりと住まっている世界。調停官の仕事をしている「わたし」はある日、妖精さんが作ったとおぼしき謎の不思議道具の知らせを受け、それの調査をすることになりました。その中から計量スプーンを発見した「わたし」が効果を確かめる為、クッキーを焼こうとしてみたところ、いつのまにか妖精さんサイズに縮んでしまっていて…
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人類であるところの「妖精さん」と、衰退した旧人類で調停官であるところの「わたし」がおりなすほのぼのまったりストーリー第二段。妖精さんと「わたし」のやりとりがメインから外れて、あのなんともいえないまったり会話部分が減量されてしまったのが残念なのですが、今回はSF色が強くなっていて、これはこれで面白かったです。

「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」は、妖精さんの不思議道具で妖精さんサイズになってしまった主人公が元の姿に戻る為に「小さな」「大冒険」を繰り広げるというお話。ミニマムサイズになってしまった「わたし」がわたわたとあまりにも大きくなってしまった自分の家の中を歩き回るあたりはほのぼのと和んでしまう何かを感じるのですが、後半になるにつれブラックなネタが頻出し、最後の場面では思わず手に汗握ってしまいました。この「数字」増やすための解決法がまたバカバカしくて、このシリーズらしくて素敵。…しかし、最後の方は何故どんどん「数字」が減っていくのかイマイチ判らなかったんだけども。

「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」は、遂に復帰する事になった「助手さん」を迎えに行ったら、なぜか何度も何度も同じような事を堂々巡りでやるハメに……という、ループもの。…えーと、1度読むだけでは意味がわからなかったんだけども……とりあえずお菓子食べたいだけのために自らの技術力を無駄遣いする妖精さん達が可愛すぎる。そして、なんだかんだと言いながらしっかりと本能のままにお菓子を作ってしまう「わたし」が可愛いですw

ちょっとSF色が強くなったとはいえ、独特のまったり具合は健在で、地味に続きが楽しみなシリーズです。というか続編は今週発売なのかーーーっ!!!なんというタイミング…。


断章のグリム7 金の卵をうむめんどり

[著]甲田 学人 [絵]三日月 かける

赤ずきんの「泡禍」が起こった後、蒼衣達は暫く平和な日々を満喫していた。帰りに神狩屋に寄って待機しながらお喋りをし、時々小さな「泡禍」を解決する。こんな普通の日々がずっと続けばいいなと考えながら…。蒼衣と雪乃が出会った“普通の”泡禍にまつわる事件を描く、連作短編集。
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蒼衣&雪乃が解決した小さな泡禍にまつわる2編と、生前の風乃が出会った1つの泡禍にまつわるエピソードの3編を収録。

イソップ寓話を題材にした泡禍…ということでどんどんタイトルの断章の「グリム」という単語が怪しくなって来たのは置いておいて。短編ということで題材の配役等に関する謎解きはありませんが、いつも通りの面白さでした。食事時に読むと後悔する、ちょっぴり(?)グロな展開も健在。しかし、蒼衣は謎解きできないと空気な子なので、今回は見事に雪乃さんスペシャルですね。

見所はやはり表題作となる「金の卵をうむめんどり」でしょうか。生前の風乃と、断章保持者になる前の雪乃の姿は必見。ツンでゴスロリでリストカッターではない雪乃の姿が見れるのもかなり美味しいのですが、生前の風乃の飄々とした世捨て人的な退廃的雰囲気がとても素敵でした。この風乃さんはぜひとも再登場希望。また、同時にこの姉の内罰的な一面こそが、1編目で泡禍を「自分への罰だ」と思い込む少女へ向けて怒鳴りつける雪乃に繋がっているんだろうなあ…とか考えると、その辺もなかなか興味深い短編でした。

やはり「Missing」で感じた程の衝撃がは無いのは残念なのですが、地味に面白いシリーズになってきた感じ。短編も普通に面白かったので、今後もちょこちょこ出していって欲しいなあ。