“水瀬 葉月” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:水瀬 葉月 (12 件 / 2 ページ)

ぼくと魔女式アポカリプス 3 Nightmare Crimson Form

[著]水瀬 葉月 [絵]藤原 々々

ドゥオーフの代替魔術師・蘭乱爛崎寝々は死んだ。しかし、彼女の引き起こした事件はまだ終わっていなかった。寝々の死体を奪い、敵として目の前に現れた級友。寝々の復讐(?)の為、澪達を付けねらう狂気の中華姉妹。そして新たな代替魔術師……急転する事態は澪と冥子に新たな選択を迫る!
   個人的お気に入り度数
1巻の読後感想で、草太について下記のような感想を書いた私ですが↓

…ショタな外見で昼行灯な腹黒ってどういうこと!!その外見で数々の女の子達の母性本能を掻き立て、次々と虜にしていくという設定は実にけしからんです。更にその魅力で男まで食い物にしようとは…(以下中略)
草太×澪をかなり濃厚に妄想したのは乙女のヒミツです☆

まさか公式で実現するとは思わなかったです、草太×澪。

せっかく両刀イけるという設定なのに、既に澪が顕化済だったのが実に残念です。
まあとりあえずその組み合わせでエロというだけでも無条件萌えでしたが。

「馬鹿、おま、何を、やめ……ろっ!?」
「へぇ……結構、大きいわりに感度がいいみたいだな。合格点だぞ。はは、ほら、もう乳首が立ってきた。どーだよ、俺のテクは……にしても相手がお前だってのがすげえ変な感じだ」

組み合わせだけでもすでに水瀬葉月グッジョブ!!と叫びたいくらいなのに、やりとりがもうまんまBLノリ。本物のBL小説だったらこのまま身体を重ねるうち、双方にいつのまにか何だか判らない愛情が芽生えて大変な事になっていたところです多分。本当に、澪がそのとき女体だったのが残念でたまらない(落ち着け)

そんなこんなで、たった2Pの未遂エロに心を惑わされたお陰で正直それ以外の内容をほとんど覚えていないのですが、ストーリー本編ではますます救いない展開が続き、主人公たちの追い詰められていく姿が描かれます。かつて傍に居た人間たちとの敵対、人間であるにも関わらず絶対的な力を持つ暗殺姉妹、そして冥子にも見過ごせない変化が……と、どこまでも容赦のない展開にハラハラしっぱなしでした。特に沁姉妹の凶悪さは群を抜いていて、今まで対峙したどんな敵よりも恐ろしく思えてしまいました。やはり最後に一番恐ろしいのは人間ということなのでしょうか。

物語は一応ひと段落という形になってはいるものの、まだ到底「完結」とはいいづらい状況で、あとがきを読む限り打ち切り?臭いのが本当に残念でなりません。現在始まった新シリーズが終了した後でもいいので、続きを書いてほしいなあ。


ぼくと魔女式アポカリプス 2 Cradle Elves Type

[著]水瀬 葉月 [絵]藤原 々々

街を歩いていた澪は突然サンバイザーを掛けたチャイナドレス姿の少女から渾身のドロップキックを戴き、首の骨を折られて半ば「殺され」た。“正義の味方”を自称し、代替魔術師であるという自覚もない彼女・蘭乱爛崎寝々はレンテンシアと冥子を「悪」であると断じ、正義の名の元に正殺しようとするが…!?
   個人的お気に入り度数
前作でもあれだけ鬱々とした展開になった本シリーズですが、2巻では更に痛々しく、欝な展開になってまいりました。前回の戦いの結果として殺してしまった少女の事を未だ受け入れられず、必死にそこから逃避しようとする澪の心の動きが痛々しくもあり、悲しくもあり…。

でもその「死」と向かい合った後の澪は凄く強かった。「普通を嫌う」という、中二病臭い設定が今回のラストであんな台詞として生かされるとは思わなかったです。大切な物の死を最終的に受け入れ、前へと進んだモノ。そしていつまでも進めず、何もかも判らないまま哀しい未来を迎えてしまったもの。一歩間違えたら自らが歩んでいたかもしれない未来を目の前にして、結局救う事が出来なかったラストの救いのなさは本当に秀逸だったと思います。そして志半ばで倒れたレンテンシアの想いがまた切ない…。

物語は3巻で一応の完結(打ち切り…?)という事らしいので、最後1冊、登場人物たちがどのような最後を迎えるのか。ハッピーエンドの可能性は限りなく低そうですが非常に楽しみです。


ぼくと魔女式アポカリプス

[著]水瀬 葉月 [絵]藤原 々々

ぼくこと宵本澪は“普通”を嫌う高校生だ。人生は壮大な暇つぶし、学校では変人扱いされているがそれでも“変人”という型から逃れる事は出来ない—と思っていたが、ある日の放課後、引っ込み思案で普通の少女・砧川冥子に告白されて以来すべてが変わってしまって…
 

主人公の恐ろしいまでの中二病発言に危うく本を投げ出そうかと思ったけど、そこを我慢して読んだら凄く面白かったです。投げないでよかった。後2P主人公の独白が続いていたら多分投げてた気がしますが。

中二病で人生投げまくってる高校生がひょんなことから喪われた種の復活を願う魔術師達と、彼らの依代となった代替魔術師達がお互いが持つ“根源闇滓(ルート・アンシィ)”を奪い合うという血みどろの戦い「聖杯戦争励起節(エキサイテイション)」に巻き込まれてしまうというお話。全体的に物凄い欝展開まっしぐらですが、ストーリー展開自体はかなり王道なもので、例によって主人公も最後には中二病な自分が今まで疎んでいた“普通”の中にこそ大切なものがあったと気づくという展開になっています。

なにはともあれ、魅せ場は。ヒロイン・冥子の扱う「代償魔法」は自らを自傷する事によってその肉体を魔術に使うというものですし、こういう設定のお話ではお約束の、魔術を使う“代償”として自らを削るような展開もあり…で、どうみてもこのシリーズのラストは幸せにはなれないんだろうなあという予感がひしひしとしてきます。表紙に騙されないエロ養分もきちんと完備。特にラストで明かされる、“敵”の魔術師の正体とそれに慟哭する主人公の姿は凄く良かったです。凄くストーリーに引き込まれたし、魅せられたし、泣かされた。

ただ、一つだけ不満を申せばイマイチ強引な設定が多かったというのを感じました。特に冥子と巳沙希が代替魔術師となった原因がどちらも強姦絡みだったのには正直閉口したなあ。なんか、女の子でこういうネタだったら「とりあえず●イプしておけば可哀想だろ!!」って男の欲望が透けて見える気がして、女の読み手としてはよい気分がしませんでしたね。後者はまだいいんだけど、冥子が父親に強姦されて自殺したっていうのはもう、本当に理由がないと言うか安っぽいお涙頂戴のための設定って感じで…正直こっちは学校で虐められてるという設定があるんだから、それ絡みで良かったんじゃないかと思うと言うか、家庭の問題に持ち込む理由があまりないんだよなあ…。

キャラクター的には主人公のトランスセクシャル設定(←ネタバレ)も実にイイですしヒロイン勢もよい味出してますが、色々な意味で草太というキャラクターにツッコミ入れずに居られない。ちょっ…おま…ショタな外見で昼行灯な腹黒ってどういうこと!!その外見で数々の女の子達の母性本能を掻き立て、次々と虜にしていくという設定は実にけしからんです。更にその魅力で男まで食い物にしようとは…そ、そんな上目遣いで腕ハグされたって本当の生意気ショタッ子萌えには通用しないんだからねっ!…………じ、じじじじつにけしからんぜハァハァ(*´д`)



…ぶっちゃけ中盤で草太に代替魔術師容疑がかかった時(ネタバレ)、
草太×澪をかなり濃厚に妄想したのは乙女のヒミツです☆(ちっとも隠せてない)


「好きラノ 2020年下期」投票します。

ブログやtwitterによるラノベ人気投票サイト。2020年下期の人気ライトノベルはこれだ!!
今回も参加させていただきます〜!!
下半期は少し読んだ本の数も控えめだったので投票も少なめで……
紹介文の一部は「2020年読んで面白かったラノベ10選」の記事からそのままコピペしている部分もあるんですがちょっと時期が近かったんで見逃してほしい。

石川 博品「ボクは再生数、ボクは死」→感想
【20下ラノベ投票/9784047363847】
巨大なVR空間でネトゲー廃人な男女ふたりが繰り広げる、血と殺戮の配信ショー。凄くリアルなVR空間を舞台に繰り広げられるインモラルな物語が、現実ではないがゆえに軽薄に進んでいくのが面白かった。どこか滑稽で物悲しくてロマンチックなラストが大好き。
水瀬 葉月「ダークエルフの森となれ -現代転生戦争-」→感想
【20下ラノベ投票/9784049132748】
薄暗い雰囲気を漂わせつつ、好きな人と思うままに生きるため前向きに頑張る近未来学園異能。「ぼくと魔女式アポカリプス」が好きだった15年前のラノベオタクは是非読もう!!!
夕鷺 かのう「竜神さまの生贄になるだけの簡単なお仕事」→感想
【20下ラノベ投票/9784047364349】
初恋をこじらせた聖女と初恋(?)をこじらせた竜神の織りなすドタバタラブコメ具合が楽しい!あと夕鷺作品の戦うヒロインはやっぱりかっこいんです!!って声を大にして言いたい。
翅田 大介「悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。」→感想
【20下ラノベ投票/9784049133813】
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した極道の女が乙女ゲーム世界を斬る。気っ風が良くて裏表がない、あくまでも自分のものさしでしか動かないキリハのキャラクターがどこまでも魅力的で、読んでいて楽しかったです。
佐伯 庸介「グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む」→感想
【20下ラノベ投票/9784049130751】
学園の図書館地下に広がる「迷宮」を舞台に、一度は人生に挫折した少年が死なない迷宮を舞台に他人を救い・導くために迷宮探索に挑む。他人を助ける、と謳いながらその実全く自分の欲望を満たすためという主人公の行動原理・精神性にすごく惹き込まれました。
二月 公「声優ラジオのウラオモテ #03 夕陽とやすみは突き抜けたい?」→感想
【20下ラノベ投票/9784049134919】
アイドル声優の「アイドル」としての部分がメインだった2巻までとはうってかわって、やすみが声優としての壁にぶつかり成長する、王道の成長物語が楽しかった〜!!今季一番おもしろかった一冊は間違いなくこれ。


ダークエルフの森となれ -現代転生戦争-

 

褐色ギャル風ダークエルフとの同棲。そして種の生存をかけた戦争が始まる!
 輝獣と呼ばれる自然脅威から日本を守る騎士候補生として学園生活を過ごす朝倉練介は、誰よりも駆動鉄騎の扱いに長け、優等生の仮面を被り、だがしかし温度のない日常に倦んでいた。  そんなある日、木の上から突如彼に飛びかかってきたのは、一人の黒ギャル女子高生……もとい異世界から転生してきたというダークエルフ、シーナだった。  挑発的な態度、嗜虐にみちた言葉、それでいて明るい、日だまりのような笑顔。そんなシーナに眷属として見初められた練介は、彼女とマンションで同棲を始め、やがて異世界から転生してきた魔術種たちの生き残りをかけたバトルロイヤルに巻き込まれていく。  これは世界から零れ落ちた二人の、大それた神話で――黙示録だ。

思った以上に直球で『ぼくと魔女式アポカリプス』だ〜!!あの薄暗い世界観でありながら、世界がどうなっても好きな女の子とともに生きていくみたいな薄明るさが感じられることに時代の流れを感じる。ロボ要素が1巻時点だとちょっと浮いてる感じだったけど今後どう絡むんだろうな。

現在に向けてアップデートされた懐かしの「学園異能バトル」

「魔術種」達が自らの種の復活を掛けてお互いの「根源魔力」を奪い合う、近未来日本で行われるバトルロイヤル。彼らの戦いに望んで、望まないままに巻き込まれていく人間の「眷属」達。普段は変わらぬ学園生活を送りながら、水面下で行われる異能者達の宴。これが私の読みたかった学園異能だ!!!という感じが凄い。最高。

設定はかつての『ぼくと魔女式アポカリプス』を思い起こさせるものでありながら、あの薄暗い世界観の中にどこか薄明るさがみえるというか、薄暗い中で輝く前向きで熱い展開が印象的でした。あとがきでも触れられている通り、15年前の作品と同じ題材を用いながらも時の流れにあわせて物語の方がアップデートされてるんだなあと(っていうか魔女カリ2006年って…15年前ってマジかよ……)。

魔術種達の生存競争と、それに巻き込まれた少年少女たちのサバイバル。

明るい優等生の仮面をかぶりながら、実は猟奇・スプラッター系の創作や悪役、ダークファンタジーが好き、特にダークエルフが大好きという主人公の練介。自分を圧し殺して生きる毎日に疲れ果てて街を彷徨っていたある日、異世界から転生してきた「本物のダークエルフ」シーナに出会う。彼女の「眷属」になった練介は、魔術種達の生存競争に巻き込まれていく。

自分を圧し殺す日常から異形達が争う非日常へ、練介を連れ出してくれたシーナ。ダークエルフだということで排斥され、孤独に生きてきたシーナを救った、練介のまっすぐな好意。お互いの存在に救われたふたりがお互いの常識をすり合わせしつつ送る非日常な「日常」がとにかく楽しい!ラッキースケベな展開も交えつつも、お互い恋愛ではない別の所から発生した好意だからこその初々しさがあるというか。同棲生活を送るふたりが改めてお互いの「個」に惹かれ合っていく姿が良かった。

そんな中でシーナと同じく異世界から転生してきたスライム種のアグヤヌバとの生存競争が進行していく。アグヤヌバの眷属となった人間と対峙し、人間ではなく「ダークエルフの眷属」として生きる覚悟を今一度突きつけられた練介が「シーナとさえ共に生きることが出来れば世界がどうなろうと構わない」、というどこか破滅的な願望を持ちながら、その一方で「シーナと楽しく生きるために、今までどうでも良いと思っていたこの生活を護りたい」という答えを得ていくのが──日常から外れたところに生きる目的を見出したことで、いつ捨てても構わなかった「退屈な日常」に価値が生まれていくのに、胸が熱くなりました。

メカ要素が今後どう絡んでいくのかが気になる

今回は割とがっつり魔術バトルが中心と言う感じだったんですが、世界観的には人形サイズの装甲メカ「RV式駆動鉄騎」が活躍する近未来でもあるんですよね。今回はあまり目立たない活躍ではああったのですが、エネルギー流体(EF)が魔術側の戦争にとっても重要な役割を果たしそうな気配だったり、どうしてこの世界で魔術種達の戦争が行われているのかなど、色々と謎は多そう。

2巻はメカの活躍が多いということなのでそういう意味でも今後どういう活躍をしていくのか、楽しみです!



それはそれとして「魔女カリ」は良いですよ……短編を含めても4冊なので読みやすいのもいいね……。
救いがない感じの15年前の現代学園異能らしい「ダークエルフ」が読みたかったらよもうな……
水瀬 葉月(著), 藤原 々々(イラスト) 「ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)」
水瀬 葉月(著), 藤原 々々(イラスト) (著)
KADOKAWA
発行:2013-09-26T00:00:00.000Z


今月のまとめと読了記録[2010年2月分]

2月に読んだ本は10冊でした。
新刊の崩せてなさが酷い……今月少なかったのに半分も読めてない。

2010年2月にアクセス多かった感想


バカとテストと召喚獣7.5
⇒感想

バカとテストと召喚獣7
⇒感想

バカとテストと召喚獣6
⇒感想

バカとテストと召喚獣6.5
⇒感想


バカとテストと召喚獣5
⇒感想

レイセン File1:
巫女とヒキコと闇少女
⇒感想

バカとテストと召喚獣
⇒感想

バカとテストと召喚獣4
⇒感想


こ れ は ひ ど い 

思わず8位までの拡大版にしてしまった……バカテス新刊が僅か数日でアクセス数トップに躍り出てくるのはいつものことですが。いつぞやの「生徒会」無双を思い出しますが、今回はこの合間にもバカテス同人の告知ページが挟まったり性別秀吉部門を捏造したとか秀吉&かなたんメインの女装ラノベ特集とか……もうそんなんばっかりです。感想記事以外のアクセスを入れたり、レイセンが入らなかったら、完全バカテス無双だったという恐怖。ありがとうレイセン、君のおかげで地球は救われた!!(大げさすぎる)

2010年2月に読んで面白かった本


 
バカとテストと召喚獣7.5
⇒感想

 
デュラララ!!×2
⇒感想

レイセン File1:
巫女とヒキコと闇少女
⇒感想

いつか天魔の黒ウサギ
紅月光の生徒会室1
⇒感想



普段はアクセス数のほうとおもしろかった本は被らせないようにするのですが、ここんとこ読んだ冊数自体が本当に少ないのでそういうの考えないことに。

とりあえず「バカとテストと召喚獣7.5」は表紙の時点で☆6つつけざるをえないわけですが、それは置いておいても収録されている「ウチと日本と知らない言葉」が素晴らしかったです。バカテスの過去話は本編とはまた一味、趣が違って大好きだ…!

アニメ効果で読み始めた「デュラララ!」もおもしろかった。2巻3巻とどんどん右肩上がりにおもしろくなっていくのですが、個人的には平和島静雄さんに焦点が当たる2巻がお気に入り。というかセルティと静雄のやりとりが可愛くて仕方ないのですがどうしたらいいですか。3巻の正臣や、岸谷親子に振り回されるセルティさんも大好きですが…!

新作という名の続編な「レイセン」はヒデオや鈴蘭をはじめとする既存シリーズキャラたちが見せる新たな関係が興味深い。特に鈴蘭と翔希の今後の関係が気になって仕方ないのですが…うわあああ相変わらずこの子は主人公の見せ場を美味しく戴いていくよ!!「紅月光の生徒会室」は、キャラは好きだけどいつ天本編のハードバトル具合についていけず脱落しそうな私にはこの上もなく美味しいシリーズでした。月光と大兎のデコボコな友人関係(主従関係?)がたまりません。男子高校生美味しいですもぐもぐ。

2010年2月の読了記録


実は、水面下で「ぼくと魔女式アポカリプス」の再読をしたりしていた。
草太×澪の悪友関係がたまらな(強制終了)
続きを読む


電撃文庫RPG Cross of Venus+電撃学園RPG文庫

電撃学園RPG Cross of Venus
[制作]アスキー・メディアワークス
電撃学園RPG文庫
[著]時雨沢 恵一、五十嵐 雄策、おかゆ まさき、水瀬 葉月、橋本 和也、三雲 岳斗、支倉 凍砂、成田 良悟、竹宮 ゆゆこ
[絵]黒星 紅白、しゃあ、とりしも、さそりがため、さめだ 小判、和狸 ナオ、文倉 十、ヤスダ スズヒト、ヤス
B001HBIPOOB001HBIPOO

電撃学園RPG Cross of Venus(通常版)
「電撃学園」に通うごくふつうの高校生である主人公と彼の幼馴染・キズナが肝試しをしようと夜の学園に赴いたら購買でメロンパンを貪っているシャナと遭遇、なしくずしに「絶夢」と呼ばれるなぞの存在との戦いに巻き込まれ、電撃文庫作品の人気ヒロイン達と共に作品世界を回りながら物語の改ざんを阻止ていく…というお話。90年代のなかよし読者としては、高瀬綾の「くるみと七人のこびとたち」とか思い出します。

アクションRPG仕立てな作りのゲームで、難易度・易で20時間前後で(隠しボスを除いて)クリア。全16章で各章1?2時間くらいでクリアできるので手軽といえば手軽なのですが、とにかく終盤に入るまでラスボスの手がかりが殆ど掴めないまま「絶夢」の手先と戦うばかりの展開になるので、ちょっとフラストレーション溜まるかも……個人的には、9?15章が丸々蛇足に見えたのですが、気のせいですか…(ぶっちゃけ1?8章のボリュームをもう少し上げて、全作品世界回り終えたら即ラスボス戦、で十分だったと思う)

全体的に良くも悪くも「電撃文庫ファン向け」のアイテムというか、あまり出来のよくないキャラゲーの域を脱してない。8章×2だから8つの作品世界を2回ずつまわるのかと思ったら、一通りの世界を回った後はそれっきり登場の無い世界もあったりして、結構扱いの違いが顕著です。舞台としては「禁書目録」、敵役としては「シャナ」関連が贔屓目で、逆に「ドクロちゃん」と「とらドラ!」の世界には結局ラスト除いて1回ずつしか行かなかったなぁ…。

ただ、最終章のお話の展開は結構好きです。主人公に生徒会シリーズの杉崎鍵から名前を取って「すぎさき」と名づけたら、反響死滅兄さんみたいなの出てきて爆笑したけど。王道といえば王道なんだけど、崩壊する世界で、大切な人達がヒロインたちに次々に想いを伝えていくという展開は結構泣ける。さ、桜君がいい人になってるよ!!!(失礼)

ただ、ああいう展開にするなら、ラスボス相手に負けたら特殊バッドエンドほしかったよーな……わざわざクリアした後に負けに行った私の立場は。

全体的にやっつけ仕事というか、ファンアイテムだから出せば売れるだろう的思考が透けて見えるというか、「もうちょっとここを頑張ってくれれば…」みたいな部分が多くてその辺は残念なのですが、ファンとしてはそれなりに楽しめる1本でした。個人的には、せめてななめ移動くらいさせてくれよというのと、電撃カードのカットインはもうちょっと頑張ってほしかったくらいかなあ…

あ、でも最後にもう一つだけ言いたい。亜美の扱いが酷すぎる。
仲良し5人の中で唯一セリフも出番も無いと思ってたら、一応サブヒロインのはずなのに、最終章でセリフなしの雑魚中ボス扱いで絶夢の傀儡として量産されてた(←亜美ちゃんスキーは見ないほうが幸せです)ってどうなのー!

電撃学園RPG文庫
電撃学園RPGの初回特典としてついてきた、短編アンソロジー。

もはや学園とか完全スルーして、いつも通りの「キノの旅」な時雨沢恵一といつも通りの「とらドラ!」な竹宮ゆゆこ、「電撃学園」の要素を織り交ぜつつも(多分)いつも通りの「乃木坂春香」を描いている五十嵐雄策、舞台が「電撃学園」なだけでやってることは基本的にいつも通りホロとロレンスのイチャイチャな支倉凍砂、ゲーム本編についての反省とか愚痴とかをテンション高いキャラ会話主体で薦める三雲岳斗とおかゆまさき、未登場作品の自キャラを電撃学園に紛れ込ませて他作品とクロスオーバーさせてる水瀬葉月、橋本和也、そして成田良悟という感じ。どうでもいいけど、現代に紛れ込んだホロが割りと真面目にイヅナにしか見えません。夜はPC、昼は購買の店番しながらゲーム三昧なホロて……


個人的にはクロスオーバー組が全体的に好きだったかも。特に水瀬さんの短編で出てくる、フィア&ホロのやりとりが最高。長い年月を生きるホロの貫禄と母親のような優しさがラストのやりとりであふれてくるような気がしました。成田さんの短編はオタクが電撃学園に紛れ込んじゃったヨ!!という素晴らしい内容。大河にサイン貰おうとするとか、オトコマエすぎます。

あと、三雲さんの短編が……地文なしの「生徒会の一存」になっちゃってるよー!電撃のみならず別会社の作品にまで手が伸びる、いろいろな意味で恐ろしい1編でした…本当に、暫く笑いが止まらなかった。特に直前の橋本さんの短編で、いい子全開な操緒を見ていると、こっちのツッコミキャラ化してる操緒とのギャップが……

しかし、同じような楽屋裏オチをやったドクロちゃんのほうも「サバトちゃんとシャナと大河とルイズを一同に会させて、会話させたい」発言を筆頭に色々大暴走でしたが。最終巻で出たキャラはさすがに出せないと思うよ!!


「私の好きな」ライトノベル・オールタイムベスト・75(草稿)

ラノベオールタイムベスト100の話題を見かけてからずっと「自分のオールタイムベスト100を作りたい」と思っていたのですがいつもの調子で紹介入りで記事化すると地獄のように長い記事になるので体力があれば夏コミで本にしようかな……と思っていたのですが、そのうち普通に「自分のオールタイムベスト100」の流れが界隈に来たので取り急ぎ出します。コミケで紹介本……というのは割と真面目に考えているのでもし覚えていたら夏コミ1日目のFC小説島をチェックしてみてくださいね(まだ本が出るとは言ってない)

なお、100タイトル選ぶつもりで85まで選んだところで「これは無理に100にするよりもここから少し削ってまとめたほうが正しいな……」という気持ちになってきたので75に削って出します。夏コミで本当に本にするなら改めて100にするかもしれないし50くらいまで更に削って出すかもしれない。そして好きな順・刊行順ではなくだいたい私が読んだ年代順です。

1990年代

1:神坂一「スレイヤーズ」「このジャンル」を認識した始まりの一作
2:山本剛「魔導物語」良きノベライズ
3:神坂一「闇の運命を背負う者」
4:新井素子「グリーン・レクイエム」続編の「緑幻想」が特に好き。
5:あかほりさとる「セイバーマリオネットJ」
6:久美沙織「MOTHER2 ギーグの逆襲」MOTHERがBROTHERになってしまう。
7:北条風奈「小説TWINSIGNAL」シンガポール行きたくなる!!!2巻が特に好き。
8:神坂一「ロスト・ユニバース」
9:庄司卓「倒凶十将伝」

2000年代

10:時雨沢恵一「キノの旅」
11:中村恵里加「ダブルブリッド」オールタイムベストスリーには余裕で入る
12:椎野美由貴「バイトでウィザード」
13:甲田学人「Missing」
14:神野オキナ「シックス・ボルト」
15:杉原智則「頭蓋骨のホーリーグレイル」
16:有沢まみず「インフィニティ・ゼロ」
17:鈴木鈴「吸血鬼のおしごと」
18:木ノ歌詠「カラっぽの僕に、君はうたう。 フォルマント・ブルー」
19:川上稔「AHEADシリーズ 終わりのクロニクル」電子書籍化待ってる…
20:賀東招二「フルメタル・パニック!」
21:岩井恭平「消閑の挑戦者」
22:岩井恭平「ムシウタ」
23:三上延「シャドウテイカー」このへんの三上延作品セット買い。
24:後藤リウ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」この本があったから18年待てたんだとおもう
25:藤原祐「レジンキャストミルク」殊子先輩が好きだ
26:風見周「殺×愛 ─きるらぶ─」
27:高殿円「カーリー」
28:土橋真二郎「扉の外」
29:喬林知「まるマシリーズ」三男派
30:虚淵玄「Fate/Zero」
31:林トモアキ「戦闘城塞マスラヲ」
32:井上堅二「バカとテストと召喚獣」
33:水瀬葉月「ぼくと魔女式アポカリプス」
34:菊池たけし「アリアンロッド・リプレイ・ルージュ」TRPGリプレイの中ではこれが一番好き。
35:神坂一「ドアーズ まぜこぜ修繕屋」神坂一挙げすぎってそろそろ思ってるよね。わかるよ。
36:小野上明夜「死神姫の再婚」
37:葵せきな「碧陽学園生徒会シリーズ」正式名称を使うめんどくせえオタク
38:田口仙年堂「吉永さん家のガーゴイル」最後の名乗りのカタルシスよ
39:平坂読「ラノベ部」平坂先生のリレー小説描写は神
40:田口仙年堂「魔王城」電子書籍化して!!!!!!!!
41:杉井光「さよならピアノソナタ」火目の巫女とどっちにするか悩んだ
42:田尾典丈「ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!」
43:うえお久光「紫色のクオリア」
44:壱月龍一「ラ・のべつまくなし」
45:渡島健康「魔王様げ〜む!」

2010年代

46:本田誠「空色パンデミック」こっちも電子書籍化して!!!!!!!!
47:あざの耕平「東京レイヴンズ」
48:海羽超史郎「STEINS;GATE‐シュタインズ・ゲート‐」続編「比翼連理のアンダーリン」が特に好き
49:柳実冬貴「Re(アールイー): バカは世界を救えるか?」
50:森 美紗乃「奥様は貴腐人 旦那様はボイスマイスター」
51:かじいたかし「僕の妹は漢字が読める」異色の萌えディストピアSF
52:和ヶ原聡司「はたらく魔王さま!」
53:大樹連司「ボンクラーズ、ドントクライ」甘酸っぱくてほろ苦い青春の三角形。
54:夕鷺かのう「(仮)花嫁のやんごとなき事情」
55:渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」
56:榎宮祐「ノーゲーム・ノーライフ」
57:賀東招二「甘城ブリリアントパーク」続きが読みたい……
58:壁井 ユカコ(GoRA)「K -Lost Small World-」男二人の依存関係とすれ違いと
59:ツカサ「銃皇無尽のファフニール」
60:羊太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」
61:望公太「最強喰いのダークヒーロー」
62:speakeasy(さがら総・橘公司・渡航)「クオリディア・コード」前日譚も本編も全部違う味わいがある
63:望公太「ラノベのプロ!」良い幼馴染ラノベだった
64:瀧ことは「腐男子先生!!!!!」書籍版完結してよかった……
65:師走トオル「ファイフステル・サーガ」
66:瘤久保慎司「錆喰いビスコ」3巻までしか読んでないんだけどその3冊がメチャクチャに好き
67:衣笠彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ」

2020年〜

68:二月公「声優ラジオのウラオモテ」
69:七夕さとり「悪役令嬢レベル99 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜」
70:有象利路「サキュバスとニート」このへんの有象利路作品も著者セット枠。
71:紫大悟「魔王2099」
72:七斗七「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」
73:鏡 貴也「伝説の勇者の伝説」令和になってから読んだ。
74:南野 海風「魔術師クノンは見えている」
75:とくめい「アラサーがVTuberになった話。」


このラノベの男男間の巨大/複雑感情が好きだ2022決定盤

タイトル通りの記事です。

このラノベの男同士のクソデカ感情いいよね!!というタイトルを独断と偏見で25タイトル紹介します。長年まとめ記事作るよ作るよって言い続けて気がついたら10年経ってたよ……関連記事の方に昔の同系統のまとめをリンクしておりますので良かったら併せてどうぞ。一応関係性で「親友・相棒」「ライバル・共闘」「因縁・敵対」の3つに分けてます。

関係性のみに焦点を絞っているので内容があまり女子読者向けじゃないものや未完のまま数年止まっているものも含まれます。予めご注意ください。

親友・相棒

楽山 「俺の召喚獣、死んでる」→感想
「友人を馬鹿にされて、僕が笑って許すようにみえるのか?」
苦学生でありとある事情から自分の召喚獣の正体を隠して戦わざるをえない主人公フェイルとそのチームメイトであり名家の子息でもあり一番の理解者でもあるシリル。フェイルが巻き起こす常識外の行動にダメ出しやお説教をしたりする反面その実力を誰よりも信頼していて、他人がフェイルを理不尽な理由でバカにするのは許せないシリルの姿にニヤニヤしてしまいました。
有象 利路「サキュバスとニート」→感想
「和友とオレの間に割り込むのは姐さんといえどもマジでキレますよ」
引きこもりの主人公・和友と彼の高校時代の親友でありコンビニ店長の琥太朗。高校時代の女房役(野球的な意味で)でもあった彼がとある事件によって夢を失って絶望した和友のことを影に日向に心配しつつ、本人の居ない所で彼に対して強い執着を見せる姿が大変良かったです。
大樹 連司「ボンクラーズ、ドントクライ」→感想
そんな彼を裏切る算段を僕は立てている。たかが、桐香なんて存在のために。
男二人だけの映画研究会にやってきた新入部員。友達同士の気軽なだけの部活動はその日から姿を変えていく。新入部員・桐香に恋心を抱いてしまった主人公の肇が彼女に振り向いてもらえないことに絶望し、その一方で親友・藤岡との楽しいだけだった関係性を「恋心」なんてものによって壊されてしまうことを恐れる、という葛藤が印象的でした。
壱月龍一「ラ・のべつまくなし」→感想
「……あいつが書いて、オレが編集やって……なんて。まあ、俺らの夢っつーかなんつーか、はは、超青臭いっすけど」
純文学からライトノベル作家に転向した主人公の矢文学と、彼の学生時代からの親友で編集者志望の北見圭介。ふたりの夢は、コンビを組んで最高の作品を送り出すこと。腐女子のヒロインがうっかり誤解しちゃうくらい仲の良い男二人の、熱い友情が美味しかったです!(あとブンガクくんの作風絶対わたしの好みだから現実に降臨してほしい〜〜)
井上 堅二「Lady!? Steady,GO!!」→感想
「お前にできないことは俺がやる。俺に出来ないことはお前がやる」「そうしたら、俺たちにできないことは何もないだろう?」
名家の分家に生まれて下男のような扱いを受ける圭と、本家の長男でありながら「出来損ない」と見捨てられた燐之介。完璧な人間でありながら大きな欠落を抱える燐之介と平凡だがその欠落を補って支えることが出来る圭という2人の関係性がとても良かったです。最大の問題は2巻が出なかったことだけど2人の関係性としては1巻で綺麗にまとまってるので……。
瘤久保 慎司「錆喰いビスコ」→感想
「俺が矢で、お前が弓だ。俺たちは弓矢だ!そういう、二人だった!」
お尋ね者の賞金首・赤星ビスコと心優しき町医者・猫柳ミロ。一見正反対のふたりが同じ目的のためにコンビを組んで旅を始め、やがてかけがえのない相棒となっていく。相棒ならではのお互いに気を使わない関係と、深い「愛」によって結ばれた関係性が良かった。アニメは原作1巻分だけなので、2巻以降も読んでほしい。
羊 太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」→感想
「……行こうか。頼りにしてるぜ、相棒」「抜かせ、誰が相棒だ。寝言は寝て言え」
かつて特務分室で汚れ仕事や裏仕事を行っていたグレンと、特務分室時代の相棒であったアルベルト。現在は別々の組織に身を置く彼らですが、それでも手を組めば最強という構図が最高。グレンの甘い理想とは相容れないと思う反面、かつての自分が切り捨てた理想を背負い続けるグレンに期待せずにいられない姿がよかったです。
鏡 貴也「伝説の勇者の伝説」→感想
「……引き戻すぞ。おまえがどこにいても、引き戻す」
『複写眼』という異能を持ち子供の頃から過酷な環境で生きてきたライナと、後ろ盾のない母から生まれて兄王達に命を狙われ続けてきたシオン。生まれも育ちも違うふたりは、やがて「悪魔」と「勇者」という世界の行く末を握る運命に翻弄されていく。仲の良い親友であるふたりが運命に引き裂かれながらも手を伸ばさずにはいられない姿が印象的でした。本編のシリアスな彼らも、短編でのコミカルな掛け合いも良。
井上 堅二「バカとテストと召喚獣」→感想
「確かに点数は低いが、秀吉やムッツリーニのように、お前にも秀でている部分がある。だから俺はお前を信頼している」
学園でも有名なバカの主人公・明久と、問題児ばかりのFクラスをあの手この手でまとめ上げる雄二。考え方も得意分野も正反対で普段は喧嘩してばかりの悪友ふたりが共通の目的のためとなれば最高のコンビネーションを発揮するのがたまりません。相手が落ち込んでいれば何も言わずに背中をぶん殴るような言葉で言わなくても通じ合う関係性が最高。

ライバル・共闘

紫 大悟「魔王2099」→感想
「君は……まだ僕を勇者と呼んでくれるんだな……」
魔術と科学が融合した近未来都市新宿で500年ぶりに目覚めた不老不死の魔王ベルトールと、望まぬ形で人としての枠を超えた不老の勇者グラム。すでに時代から忘れら去られたグラムの「勇者」としての役割を、宿敵であったはずの「魔王」ベルトールこそが求めるという関係性が良かった。あくまで不倶戴天の敵同士である彼らの一時共闘が美味しい!
九岡 望「地獄に祈れ。天に堕ちろ。」→感想
「……共同戦線だ。あーあ」「手ぇ組むぞ、畜生が!」
生き残った妹のために死者を狩る聖職者嫌いの死者ミソギと、死んだ姉に心を囚われたまま死んだように死者を狩る死者嫌いの聖職者アッシュ。絶対に相容れないふたりが亡者の街・東凶を舞台に共同戦線を張るというお話。何もかも相容れないふたりが自分の想いを貫くためにある時はぶつかり合い、ある時は共闘する展開が良かった!
望公太「最強喰いのダークヒーロー」→感想
ルイ=ミシェル・ヴィレット。(中略)いかなる者にも最悪の蔑称を授ける阿木双士郎をして、『王子』と呼ぶ他なかった男である。
ソードウォウ最弱の選手でありながら、強敵も味方も手のひらの上で転がす奇策な作戦で勝ち続ける双士郎と、そんな双士郎に救われて以来、その奇策を全部良い方に解釈して持ち上げていくルイ(強くて善人)という関係性がコミカルで良かった。双士郎が、ルイだけ微妙に転がしきれてない感じが楽しいんですよねえこれ…。
渡航(Speakeasy)「クオリディア・コード」→感想
昔も今もこの先も、きっと違う方向を向いて、違う道を選ぶのだろう。それでも、今は確かに、並び立っていた。
異形によって脅かされている世界を守るため、そして大切な少女達を守るために戦うふたり。性格も考えも正反対で本来ならば手を取り合うこともなかったであろう壱弥と霞が、自分にない部分に憧れ、誰よりも強く信頼し合っているという関係性が良かった。ノベライズ版はアニメと内容ほぼ同じなのですが、特に3巻の壱弥・霞の心象描写がとても濃厚で良いので副読本としても是非!(過去話も良いです)
師走 トオル「ファイフステル・サーガ」→感想
今でこそカレルは王家の味方だが、数十年後に余計な野心を抱かないという保証はどこにもないのだ。
来るべき魔王の襲来に立ち向かおうとする英雄達が時に手を組み、時には対立しながら人間たちをまとめようとしていく物語。アレンヘムの傭兵団の若き団長・カレルとフーデルス王国の摂政・ヴェッセルの関係が良かった!序盤から手を組んでいる彼らなのですが、それぞれお互いの国の思惑の下で動いていて、完全な味方ではないんですよね。稀に覗かせる剣呑な雰囲気がとても良かったです。
柳実 冬貴「Re:バカは世界を救えるか?」→感想
その闇の中で、心路は──(略)現実世界で唯一負の感情を抱くことのできる、好敵手の声をはっきりと聞いた。
他者の異能の「劣化コピー」を作る異能を持つ主人公・佐藤光一と、他人の異能を完全にコピーできる秋雨心路。最初は相容れない敵同士だった彼らが、少しずつ「好敵手」へと変化していく課程がたまらない。能力の代償として感情が薄れていく心路の心を唯一揺さぶることが出来るのが光一というのがまた。
賀東 招二「甘城ブリリアントパーク」→感想
(『汚いことをしなければならない』か。ならば、それをするのはぼくだよ)
ポンコツ遊園地の支配人代行となった主人公・可児江西也と遊園地のキャスト代表を務めるマスコット・モッフル。犬猿の仲だが遊園地の未来を誰よりも真剣に考えている彼らの目的が一致するがゆえの共闘が大変美味しいのですが、特に原作1巻終盤に起こったとある事件をきっかけにしたある種の「共犯関係」が、とても良かった。アニメ版とは全く違う展開ですが、どちらも良いので両方見てほしい。
渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」→感想
俺はもうとっくに気づいている。葉山隼人が、けしてただの善人ではないことを。
渡航が描く「お互いに相容れないからこそ誰よりも深く理解し合う」男男間複雑感情が大好きなので、例によって葉山隼人と比企谷八幡の関係性も大好きです。普段は優等生の仮面を被っている葉山隼人がそんな表の顔が通用しない比企谷八幡にだけは時折素顔で接しているのがたまらない。
田尾 典丈「ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!」→感想
「これから何があっても、みんなを愛し続けてほしい。それが、俺の望みだ。任せたぜ、初めての、親友」
とあるギャルゲーのヒロインたちが現実世界に投影され、彼女達が抱える問題をゲームの1ファンである都築武紀が解決する物語。クリア後のハーレム展開を謳歌していた武紀が明確に「全員を幸せにする現実のハーレムエンド」を目指して行動し始めるのが4巻のゲーム主人公・正樹との対決でした。同じヒロインを愛する主人公同士として・親友として次元を超えた友情を築いていく展開が熱い。

因縁・敵対

落葉 沙夢「─異能─」→感想
あいつは俺を赤根凛空ではなく、友人のアカとして扱ってくれていた。その存在は俺にとって小さくなかった。
複数の人物の視点から事件が描かれる群像劇形式のサバイバル異能バトル。過酷な展開の中でうっすら語られる「主人公」の祐樹とその友人・赤根凛空の関係性が印象的でした。物語で起こった惨劇を考えるとお互いにさっぱりしすぎと感じる部分もあるんですが、描写が短くてもお互いにリスペクトしあっていたことが伝わるふたりの独白が良かったなあ。
水瀬葉月「ぼくと魔女式アポカリプス」
「宵本澪っていうクソッタレな友達は──どうやら、俺が思ってたよりも少しだけお人好しらしい。」
絶滅寸前の魔術種達が生き残りを掛けて行う生存競争に巻き込まれた「死者」達が繰り広げる異能系サバイバルバトル。『普通』に埋没したくなくて学園生活からはみ出していた主人公・澪と可愛いショタの皮をかぶった女に見境ないクズ・草太の友人関係が独特で面白かった。二人の出会い話がどっかに合ったと思うんだけど収録されてないんだよな……。
衣笠 彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ」→感想
ああ、それだ龍園。おまえにも見えたんだろう?恐怖という感情は、己の中に確かに存在する、ということを。
Dクラスの黒幕として暗躍する綾小路と黒幕の存在を追うCクラスのリーダー・龍園。1年生2学期をたっぷり使って水面下で行われる長いかくれんぼ、その末に待つ直接対決がとても良かった。この直接対決の後の微妙に共闘的な関係になっていく綾小路と龍園の関係性も美味しいけど、やっぱりとりあえずは原作4〜7巻をよろしくお願いします!!ってなりますね!
賀東 招二「フルメタル・パニック!」
「カシム、カシムと……。馴れ馴れしいんだ、クソ野郎」
主人公である相良宗介に強く執着する、序盤にして最悪の強敵ガウルン。自分が恋い焦がれてやまない「殺人聖者・カシム」に宗介を引き戻すために自身の命すらも厭わない様はめちゃくちゃなインパクトがありました。フルメタ、なんだかんだで彼以上にヤバい敵出てこなかった気がするの凄いよね……。
ツカサ「銃皇無尽のファフニール」→感想
切れ長の目が画面の向こうから俺を射る。それだけで感覚が引き戻される。彼の部下だった長く暗い日々へと。
男性で唯一ドラゴンの力を持った“D”の少年・物部悠。同じ異能を持つ少女達が集まる学園・ミッドガルに入学するが……ミッドガル入学する前、軍事組織ニブルでの元上司であるロキ少佐がミッドガルに入学した後も悠に対して強い執着を覗かせていく展開が大変美味しかったです。いやこれ、俗に言う「元彼」概念なんですよね……美味い……。
羊 太郎「ロクでなし魔術講師と追想日誌」→感想
「今は、曲がりなりにも母屋を同じくする同志だけど……いつか、必ず僕らは決別する。……互いの信じる正義ゆえに」
相棒概念の所でも取り上げたロクアカですが、どうしてもジャティスの話したかったなどと供述しており……アルベルトと同じく元特務分室での同僚であったジャティスが特務分室を離れて犯罪者となり、事ある毎にグレンと衝突していく本編での展開も大変美味しいのですが、そんなジャティスがグレンを初めて宿敵として認めた追想日誌5巻がとてもよかったです。あとほんと本編は次巻が楽しみ…!!
月夜涙「回復術士のやり直し 〜即死魔法とスキルコピーの超越ヒール〜」
変だな。一周目では、あいつに怯えて、逃げたい、怖いとばかり思っていたのに、二周目の今はあいつに会いたくて仕方ない。
人生をやり直しながら1周目の人生で自分を虐待した勇者達に復讐を行ってきた【癒】の勇者ケヤル。その復讐も残るは【砲】の勇者で少年性愛者ブレットを残すのみとなるが、その復讐は国を巻き込み人類の存亡を掛けた戦争へと発展していく。メインは凌辱メインのエッチな復讐劇なのですが、その合間でケヤルとブレッドが見せる互いへの執着と、裏の裏までを読み合う心理戦が大変良かったです。ブレットの行方を追う回が「想い人を探す」なのとか最高。


読み放題が来た今こそ読みたい「ちょっと古め」のラノベ20選。

先週末からBOOK☆WALKERで角川文庫・ライトノベル 読み放題というサービスがはじまりました。
しかも、2020年の1/31までは無料で読み放題になるそうです。

というわけで、対象作品の中で私が完結(最新巻)まで読んでいるタイトルの中からちょっと古め(2000年代中心)完結済(多分)作品のなかからおすすめラノベを20作品リストアップしました。なんで「ちょっと古め」の「完結作品」なのかと申しますとそういうやつはリアルタイムで巻数が増えないため後回しにされがちだと思うからです。私がそうです。新作は多分他にまとめる人がいると思うのでそっちで探してください(「錆喰いビスコ」と「ファイフステル・サーガ」が個人的におすすめです)

何か気に入ったものがあれば手を出してみていただけると比較的古産なラノベ読みとしては冥利に尽きます。

※なお、この記事は書影を引っ張るためにKindleへのリンクを併用しています。Kindleの方の読み放題タイトルではありませんのでご注意ください。

1巻完結 / 3〜5巻 / 6巻以上

1巻完結

入間人間「多摩湖さんと黄鶏くん」→感想
バカップルがイチャイチャとゲームするだけの小説。
ゲームの内容がいちいちフェチくて二次創作心をくすぐる。みんな頼むから読んで推しカプで「キスババ抜き」やってくれ!!!
うえお久光「紫色のクオリア」→感想
愛する少女と共に在る未来を目指し、少女は時空を駆ける。
女の子三人がイチャイチャするほのあたたかい序章と、ハードな時空改変SFである本編に圧倒される。

3〜5巻

岩井恭平「消閑の挑戦者(1巻まで)」→感想
『天才』達が挑む、究極の超能力×頭脳ゲーム!!
既刊3巻。主人公・小槙と彼女のパートナーである祥が常にすれ違いながら様々な天才達に挑んでいく。「超飛躍」という頭脳を活性化させる異能を用いて行われるハイレベルな頭脳バトルがたまらない。
土橋真二郎「扉の外(全3巻)」
閉鎖空間で熟成されていく「人間の悪意」にゾクゾクが止まらない。
とにかく薄気味悪い人間関係と、どこまでも後味の悪い展開で初読時は本当に「これは無理!!」と思ったのですが未だに不思議と惹きつけられてやまない作品。色んな意味で煮凝りのような濃さを感じるデビュー作。
杉井光「火目の巫女(全3巻)」→感想
異形と戦う少女達の、儚くも悲しい宿命の物語。
過酷な宿命の中で様々な少女たちとの出会いと別れを繰り返しながらひとり残されていく主人公・伊月の姿が、悲しくも美しい。長い時を生きる帝・豊月との関係も良かった。
平坂読「ラノベ部(全3巻)」→感想
「ラノベ」にまつわる高校生たちの楽しい日常。
軽妙な会話劇が楽しい文系部活ラノベ。全3巻なので手軽に読める。個人的にいちばん好きなのはリレー小説ですよろしくおねがいします。
水瀬葉月「ぼくと魔女式アポカリプス(全4巻)」→感想
喪われた魔術種達の生存競争に巻き込まれたヒトたちの物語。
絶望的な戦いの中で、己を削りながらも手を取り合って生きようとする少年少女の姿が印象的。自傷、トランスセクシャル、同性愛と性癖てんこ盛りな展開も好きです。FGOのアガルタやセイレムが好きなら是非…。
秋山瑞人「イリヤの空、UFOの夏(全4巻)」→感想
不思議な少女と過ごす忘れられない夏の想い出。
過酷な宿命を背負った少女・伊里野と普通の少年・浅羽。二人を待つ過酷な運命と、あっさりと終わっていく二人の「UFOの夏」にしんみり。読んだら6月24日に「おっくれってるー!!」って言いたくなる。
柳実冬貴「Re:バカは世界を救えるか?(全5巻)」→感想
微妙な異能を手に入れた中二病の少年の、世界を救うための戦い。
非日常を求めてやまない中二病の少年が本物の異能と非日常の世界に巻き込まれていく。終盤に行くに連れインフレしていく世界観と、そんな戦いの中で本物のヒーローになっていく主人公の姿がアツかった。ヒロインたちとのやりとりも可愛いですが男の友情もあります!!!
三上延「シャドウテイカー(全5巻)」
未知の存在からの侵蝕に抗う少年少女を描くホラー系異能バトル。
背筋を這うようなホラー展開と、徐々に記憶を失っていく幼馴染の少女を救うため奔走する主人公の姿が印象的。というか三上先生の異能バトルはだいたい幼馴染大勝利ラノベなので幼馴染ストはこの機会に読んでほしい。
林トモアキ「戦闘城塞マスラヲ(全5巻)」→感想
これは長い物語(サーガ)の “はじまり”。
引きこもりの青年が、目付きの悪さとハッタリだけを武器にしてツワモノ揃いのバトルロイヤルを勝ち抜いていく。少しずつ人間として成長していくヒデオの姿に胸が熱くなる。林トモアキ作品は全著作に濃厚なリンクがあるので薦めるの難しいんですけど、個人的に入門編として推したいのはこれか「お・り・が・み」かなと思います。
神坂一「ロストユニバース(全5巻)」→感想
「スレイヤーズ」の著者が贈る過去の遺産技術を巡るスペースオペラ。
もうまず主人公がキメキメでライトセ●バーとマント構えて出てくる所から大好きすぎるんですけど、テンポの良い掛け合いと意外に重たい展開がいかにも神坂作品という感じで好き。なにかとスレイヤーズとのリンクを思わせる(が特に直接的なリンクはない)用語の数々にもニヤリとしちゃう。

6巻以上

風見周「殺×愛-きるらぶ-(全8巻)」
最後の人類になる少年と彼を殺しに来た少女の、世界を賭けた恋。
世界を救うため×騙して利用するために偽りの「恋人ごっこ」をしていたはずが、お互い本気で好きになって…という王道展開と、ご都合主義とも思えるハッピーエンド展開がたまらなく好き。主人公の行動にモヤッとする部分もあったけれど、自分勝手と自覚しながら足掻き続ける終盤がやっぱり好みでした。
藤原祐「レジンキャストミルク(全8+2巻)」→感想
心に“欠落”を抱えた少年と心を持たされた“人形”の少女の物語。
明るく楽しく描かれる「日常」の学園生活と、欠落の代わりに異能を得た少年少女が傷つけ合う「非日常」の戦闘パートの落差がたまらない。もうほんとうにこの漢字やら英語のルビを振りまくった文章とバトル展開が好きすぎて。殊子先輩が好きです…………。
中村恵里加「ダブルブリッド(全11巻)」→感想
『二重雑種』の女と無骨な青年が織りなす「ちとにくとほねのものがたり」。
お酒が大好きでちょっと不思議なアヤカシのおねえさんと石頭系武骨な警察男子がアヤカシ対策専門部署という閑職でほのぼのする話かと思ったら互いを傷つけあわずにはいられない人間とアヤカシが織りなすちとにくとほねの物語です(ツイッターの自分のつぶやきが上手いこと言ってたのでそのまま転載)
葵せきな「生徒会の一存(2巻まで)」
ハーレム願望の主人公+ヒロインたちの軽妙なやりとりが秀逸。
とにかく生徒会室で軽い会話をしてるだけのお話なんだけど、気軽に読めてぷっと笑える短編ラノベならコレという気持ち。「全員を幸せにするために」ハーレムを目指す杉崎の姿も個人的には好感度高く、そんな彼が大きな壁にぶつかる「新生徒会の一存」もおすすめ。
あかほりさとる「セイバーマリオネットJ(全12巻)」→感想
心を持ったマリオネットと少年の、人類の未来を賭けた恋。
ハーレムラブコメではあるんだけど、その一方で“人間の女性が居ない”歪んだ世界の姿と、女性を復活させるために“人間の心を持った機械”を愛すことが出来るかを試され続ける主人公・小樽の姿が衝撃的。どこか物悲しいエピローグが忘れられなくて、定期的に読み返してしまうシリーズの一つ。
田尾典丈「ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!(全8巻+外伝4巻)」→感想
全員が幸せになれるルートを、地道に模索していく姿が印象的。
ヒロイン全員と幸せになるためハーレムルートを目指す!という展開と、それを実現するために問題点を洗い出して割と地道な努力を重ねていく展開が熱かった。現実産ヒロインの高橋愛子さん推しなんですけどそれはそれとしてゲームの真主人公との男の友情も大変美味しかった…。
椎野美由貴「バイトでウィザード(全14巻)」
現代魔法使い「ブラック家業怖い」ラノベ。
魔術師の一族に生まれて大きな力を持ってしまった主人公が、一族の長にいいように使われて使い潰されていくのがマジブラック企業怖いなんですけど!敵の尖兵となってしまった恋人を救うため、自らの生命を掛けて戦いに挑む主人公の姿も印象的でしたがやっぱり「ブラック家業ラノベ」のインパクトが強い。
田口仙年堂「吉永さん家のガーゴイル(2巻まで)」
最終巻でのタイトル伏線回収がアツすぎる。
ふくびきの景品として吉永さんの家にやってきたしゃべる石像・ガーゴイル。最初は杓子定規に家族に近寄るものを攻撃していた彼が、少しずつ人間の機微を学び、様々な体験を経て心を得て成長していく。最後に吉永家の一員となった彼の少しだけ変化した『名乗り』にホロリとしてしまう。読み放題は2巻までなんですけどなんとかして最後まで読んでください全15巻+外伝3巻です。