インディホラーゲームメーカー「チラズアート」さんの人気ゲーム5作品ををノベライズした短編集第二弾。前巻の感想で「『地獄銭湯』とか読みたいな〜〜」といってたら表題作になっててひゃっほうしましたやったね!
船橋三兄弟ついに揃ってしまったか……。
前巻の「夜勤事件」から引き続き、原作ゲームの展開を知ってても普通に怖くて面白かった。ゲームだけだと分かりづらい部分、語られることのない登場人物たちの心象描写などを中心に描かれていくのが良いですね。個人的にホラーとして一番楽しんで読んだのは『事故物件』で、幼馴染家族が巻き込まれた理不尽な怪奇現象を追ううちに主人公自身も同じ怪異に巻き込まれて少しずつ正気を蝕まれていく恐怖、これ以上進んではいけないと思っていてもなにかにせかされるように先に進んでしまう恐ろしさ、そして後味の悪いラストも含めてとても良かったです。主人公が助かった理由がちゃんと明示されてるのポイント高い。
とある事件をきっかけにイジメ専門の探偵になった主人公がとある村の少女達が巻き込まれた失踪事件を追う『行方不明』、配達員をしている主人公が配達に行ったマンションで怪異に巻き込まれ、その裏にあった事件の真相にたどり着いてしまう『例外配達』はホラー仕立てな味もありつつ普通にひとこわヒューマンドラマな感じでとても楽しく読みました。特に行方不明、主人公の亡くなった息子である匠まわりの展開がちょっと追加されていて普通に泣ける話になっている……あと主人公のバディ的な役割で登場する船橋次男のキャラが次男感強くて地味に良い。「夜勤事件」に出てくる船橋長兄はちょっと反省したほうがいい。
『ヒトカラ』は分岐ルートであることを活かした展開〜とあとがきで書かれていたけど、個人的には要所要所で分岐ルートが入ってくるせいでストーリーに没入しづらく、あまり好みではなかったかも。確かにメインのルートだと犯人のやってた事がイマイチわからないまま終わる気がするし、かといってルートによってはホラーにならずに終わったりするので難しい話ではあると思うのですが……。
表題作である『地獄銭湯』は去年発売されたリメイク版をベースにしたストーリー。改めてみるとこのゲームに出てくるお客さんの変人度凄いな。『閉店事件』にも変な客いっぱいいたけどこっちは本当にヤバい客しかいない。変な客が登場するたびに最初に提示された禁止事項を読んで「こんなの守らない人めったに居ないでしょ」って思ってた主人公のことを思い出してしまい、なんともいえない気持ちになる。
原作ゲーム(リメイク版)のほう割と実況動画とか見てても長尺になりがちで、ミニゲームもいろいろはいっているのでその辺は抑えめにノベライズしてくれるのかなり嬉しかった。というかゲームだと突然発生する理不尽ミニゲームみたいなのがしっかりストーリーの中に組み込まれてるの凄い。オリジナル版とリメイク版で結構設定自体が変わってたよな、あちらのほうが謎が多かったよなオリジナル版の方ベースでも読みたかったな……と思ってあらためて考察とか読み漁ってたんだけど、「まいな」と「えれな」の扱いとか大きく変わった部分もあるけど、基本的にはほぼほぼ変わってない感じっぽい?
オリジナル版はバグの関係でもう実況動画とかで見直すしか手段が無いんですね(そういやそんな話をリメイク版の実況動画でみた記憶あるけどあんまりちゃんと聞いてなかった)。アレがきっかけでホラーゲーム実況見始めたので、久しぶりに見に行ってみたいな。