父であるリューラから、自分の得た能力とその代償を聞かされたライナ。だが親子の再会を噛みしめる暇もなく、突然現れた襲撃者によってリューラが瀕死の重傷を負わされてしまう。同時刻、フェリスの元に現れた“ライナ”は彼女に「好きだ」と言って……。
ひとつまえの「堕ち伝」からこの展開やるの!!??
刊行順で読むとこの2冊前に出たのがルシルの過去を描いた「堕ち伝5」になるんですけど、フェリスの兄だった少年がどんな思いでフェリスを守るために『ルシル』になったのか、ルシルという存在にどのような意味があるのかをしっかり説明しておいてその直後(一つ前に「大伝7」が挟まってはいる)に今度はそのフェリスに「ライナのために○○○になれ」という選択を突きつけてくるの酷くない!?ルシルはキレていいしなんならいますぐリューラを殴りに行っていい。その前段階のライナ(に扮したリューラ)から告白されてわたわたするフェリスはめちゃくちゃに可愛いし、リューラの差し出した選択肢に対して「ライナは絶対にそんなことにならない」と返してくるフェリスは最高にかっこいいんだけど、もうこれ絶対に最後の最後でこの選択肢が眼前に突きつけられるやつな気がするんですよね……鬼畜すぎる……。前巻で明かされたライナに突きつけられた能力の「代償」もなかなかに酷くて、大幅パワーアップは果たしたものの最良の形でエンディングを迎えるためにはもう一度たりともその能力を使うことが出来ない状態になってしまった。とはいえ戦況がそれを許さないんだろうし、ヴォイスがけしかけてくるんだろうしで本当に幸せな結末が見えないんだよなあ……。(ぶっちゃけ2回めの「代償」はリューラに向くようにセットされてるんじゃないかなあ……あとシオンとフェリスは最後まで選ばれないんだろうなあ……という予感はあるけどそれはそれで最高に残酷なんだよなあ……)
久しぶりのラブコメ展開が楽しい が……
ライナが王とは名ばかりで実質ヴォイスが支配しているスフェルイエット民国から支配権を奪い取ろうと画策するライナ達はヴォイスが国の外にいるのを好機としてスフェルイエット民国へ。久しぶりに戦争も異能バトルもなくてフェリス・キファ・ライナの3人がワイワイやってる姿がめちゃくちゃ楽しい。更に、これまで他の人間と深い付き合いを避けてきたライナが、リューラの言葉を受けて自分にわかりやすく好意を向けてくるキファを改めて意識する展開にニヤニヤしてしまう。それどころじゃないけどトアレを含めた4人で微妙に恋の鞘当て的なことをやってる姿には微笑ましくなってしまいました。ここにミルク(without女神)がいないのが残念だな。その一方で、リューラは『未来視』の少女から自分を操る黒幕の存在・自分を介してライナに掛けられた呪いの話を聞かされる。リューラ色んな意味でいろんな人物の黒幕という感じだったし(前巻で彼のカウンターだと判明したティーアを除き)ラスボス感バリバリだったのに更に黒幕が!?そしてその言葉が真実だと示すかのようにスフェルイエット民国に到着したライナには親友の姿をした不穏な影が……というかまたこういう所で終わるんです!?毎回切り方が凶悪すぎる!!