ページ 174 | 今日もだらだら、読書日記。

▼ 最近の記事

連射王(上)

[著]川上 稔

野球部に所属する高校生・高村コウは、何に対しても本気になりきれない事に悩んでいた。野球は「楽しい」が勝つため・レギュラーになる為一生懸命なチームメイトに共感することが出来ず、距離を感じる毎日。ある日、電車待ちの時間つぶしに立ち寄ったゲームセンターでコウは一人のゲーマーがシューティングゲームに“本気”で向き合うところを目撃する…。
 

シューティングゲームに青春を賭ける、熱き漢達の物語。

主人公が野球部での事や人間関係に悩みながら『大連射』というSTGをワンコインクリアする所までを描きます。「シューティング」というジャンルからして非常に漢らしいのですが、主人公はコンティニューをしない主義だったり、自分がクリアできていないポイントから先のプレイは見ないように心がけていたりと物凄くストイック。まさに『漢』の世界です。古きよき昔のアーケードゲーマーと言う感じ。

とにかくSTGの楽しさが伝わってくるような、そんな作品でした。ゲームをプレイしているときの爽快感やボスを倒した時の喜びなど…このジャンルのゲームは殆どプレイした事無いのに読み終わるとゲーセンに行ってコッソリとシューティングやってみようかな、と思ってしまうほど。また、主人公を間接的にSTGに引き込んだゲーマー・竹さんのシューティング解説が妙に実用的で面白い。

なんか凄く本当の「ゲーマー」達の姿を見た、という感じがします。ただお金を使い込むんじゃなくて、ただストイックに自分の目的を果たす為に色々と攻略法を考え、スティックの持ち方から何から考えて(時には熟練者にアドバイスを貰って)ラスボスを倒す。知らない人から見たら“たかがゲーム”なんでしょうが、どこか爽やかなまでに健全な、男達の勝負の世界がありました。

都市シリーズや終わりのクロニクルのような面白世界設定も異能力もありませんが、十分すぎるくらいに熱くさせてくれる青春物語です。下巻も楽しみ。

→下巻の感想はこちら。

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とらドラ4!

[著]竹宮 ゆゆこ [絵]ヤス

夏休みに亜美の家の別荘に泊まりに行くことになった竜児と大河…そして北村と実乃梨。旅行の直前に“結婚して新居の犬小屋で犬の子供を生む”という悪夢を見た二人は今度こそお互いの恋路を進展させようとする。見事大河の応援を勝ち取った竜児は、大河から必勝の策を授かるが!?
 

今まで“竜児の憧れの人”というポジションで完全に脇役だったみのりんが一気に前に出てきて大活躍。正直今までただの面白発言キャラだと思っていたのですが、今回の話でかなり意外な一面が見え隠れしたりして、一気にツボにきました。こ、これは確かに可愛いよ!!

竜児も今回の件で自分から一歩踏み出すと言う事を覚えてひとつまた成長した感じ。
ほんと、竜児はラノベキャラ最強の「婿に貰いたい理想の主夫」だよ!!是非私の部屋を掃除してください、ええもう心ゆくまでお願いします(*´д`) 目の前の海に行くよりも、ホコリの溜まった別荘を掃除したがったり、幸せそうに別荘の掃除をやらかしているシーンは本気で忘れられませんw

みのりんと竜児が急接近した裏で、亜美と大河のちょっと微妙な感情表現がまた良い。最終的に竜児は大河とくっついて欲しいのですが、実は個人的にキャラとして一番魅力的だなと思うのは亜美だったりします。特に今回、洞窟での会話が挿絵もあいまってめちゃくちゃツボ。大河や実乃梨には決して持ち得ない、“大人”(社会人)としての視点を持っているからか。色々とやりすぎな部分もありますが、一番共感できるのは彼女なんですよね…まあ周囲には居て欲しくないタイプなんですが(笑)

ラストの大河は少しずつ自分の本当の気持ちに気付いてしまった感じでしょうか。実乃梨と竜児の大接近もあったことだし、突然北村と急接近しちゃいそうな感じもしますが。しかし北村と実乃梨、最終巻あたりで何気にくっついちゃいそうな予感がするのは私だけ?

大河が凄く控えめなので特有の破壊力みたいなものはあまりなかったのですが、今回は今まで以上にキャラクターが魅力的で、3巻までの破壊力を補って余りあるものがあったと思います。破壊力の方は4巻以降に期待!(笑)

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とある魔術の禁書目録12

[著]鎌池 和馬 [絵]灰村 キヨタカ

学園都市中の学校が衣替えで騒がしくなっている頃、当麻は御坂美琴に大覇星祭での約束—順位の低かった方が何でもいう事を聞くという罰ゲーム—を果たすよう迫られていた。仕方なく(?)美琴に付き合う当麻だったが、そこで御坂妹や“ラストオーダー”と鉢合わせて…!?
 

久しぶりの美琴メインの話!と思いきや、肝心の美琴は散々空回りしてシスターズ達においしいところを持っていかれるという不遇ぶり。でもヤキモチを焼く美琴は本当に可愛いのでオールOKだと思いますよ。というか色々と理由をつけて(殆ど)カップル専用の携帯通話無料サービスに申し込みにいくくだりなんて、本当に可愛いです。美琴に幸あれ!!

御坂シスターズを初め、今回は既刊に出てきたキャラクターが殆ど(出番の多さ少なさあれ)総登場。使いきりのキャラクターかと思いきや、さりげなくまたストーリーに絡んできたりするから面白いですね。ただ、あんまり印象薄くて、誰だか思い出せない人が何人か居ましたけど。個人的には御坂妹VSラストオーダーとか、すっかりドジっ子というかお色気担当の神裂とその仲間達の下りが非常にツボでした。個人的には吹寄さんにもう少しスポットを…絶対美味しいキャラっぽいのにもったいない…!!

さて、そして今回はモロに13巻に続く!な内容なのですが、次巻では“一方通行”が大活躍しそうな予感。当麻がその場のノリに任せて「その幻想を打ち砕く!!」と叫ぶ展開も非常に好きですが、初登場以来の“一方通行”の変化は物凄く目を見張るものがあって、読んでいて非常に楽しい。当麻とは別の形で凄く心を熱くさせるキャラだと思います。何はともあれ続編に期待!!です。

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化物語 上

[著]西尾 維新 [絵]VOFAN

地獄のような春休みの冗談と、悪夢のようだったゴールデンウィークが明けた5月初め、僕は階段から落ちてきたクラスメイト・戦場ヶ原ひたぎを受け止めた。3年間クラスが一緒で、病弱で、存在感がまるでない少女、戦場ヶ原ひたぎ。受け止めた彼女にはまるで“重さ”と呼べるものがなかった…!?
 

なんかこれは凄い。予想以上になんか凄い。
怪異(物の怪)に憑かれた少女達を救うため、春休みに“吸血鬼”という怪異に憑かれた主人公・阿良々木が奮闘する姿を描いた短編集なのですが、とにかく各キャラクターが濃い。そして主人公のツッコミが激しい(笑)ライトノベルのツッコミ主人公と言えば即座にキョンを思い出す昨今ですが、キョンが静かなるツッコミなら阿良々木は偉くテンションの激しいツッコミ。各話ヒロイン達との掛け合いは最早テンションの高いギャグ漫画を読んでいるよう。こういうノリが小説と言う媒体で表現できるとは正直思わなかったです。これは面白い!!

そしてキャラクターは主人公含め全員が魅力的ですが、やはりズバ抜けているのがメインヒロイン・戦場ヶ原ひたぎ。文房具を武器として持ち歩く超攻撃的サドデレヒロイン…かと思いきや、2話以降では阿良々木に告白とも取れる愛の言葉をぶつけてみたり、嫉妬してみたり…と可愛い一面を見せまくります。素晴らしい暴言と攻撃性はそのまま、すっかりデレデレヒロインへ進化!?自らを“メンヘル処女”と称してしまうあたりも非常に素敵です。まさに戦場ヶ原ひたぎ、蕩れー!!

ただ会話が面白いギャグ小説かと序盤ではおもわせておいて、根っこにある部分は重い。新興宗教にハマって家庭を捨てた母親を持つひたぎ。母親の家にたどり着けないまま迷い続ける真宵、そして母親の形見の“猿の手”を持ちひたぎに憧れる後輩・神原駿河。全てが綺麗に解決した訳じゃないけど、より良い解決法を探して奮闘する主人公に好感持てました。

シリアスパートとギャグパートのテンションの高低が激しくて、シリアスパートに入るとちょっと違和感拭えなかったりするけどこれはこれでアリかと。下巻も楽しみです!



閑話休題。
今回講談社BOX初めて購入したんだけど、個人的には奇をてらいすぎな装丁はちょっと微妙…。こうなるとちっとも値段的にも装丁的にも“ライト”じゃないですよねえ。購入した後、気になる本は電車の中で読むのが基本な私には「外箱から取り出して中身を取り出す」のが物凄い羞恥プレイだったのと、外した外箱を潰さないように持ち帰るのが非常にホネでした。値段1000円くらいで、普通の新書版文庫として出してくれればいいのに…。

あと、これはあまり関係ないけど
購入した書店に置いてあるBOXシリーズ、何冊か酷い箱潰れ起こしてました(´д`;)
危うく手にとるところだった。ヤバかった…。

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閣下とマのつくトサ日記!?

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

美形揃いの魔族の中でも抜群の美形、しかしてその弱点はあまりにも“陛下LOVE”な事!?近頃、愛がすっかり暴走気味な王佐・ギュンターが妄想にまかせて書いた通称「陛下ラブラブ日記」がクチコミで広まり、遂には書籍として出版したいと編集者までやってきた!?ギュンターの日記として語られる、“マ王”シリーズ初の短編集。
 

陛下ラブラブ日記の割りに陛下分が低い気がするんですが(笑)個人的には「明日マ」でちょっと掲載されていたような暴走日記で1冊占められているのかと色々と楽しみだったのですが、良くも悪くも普通の短編集で少しがっかり。いえ、普通に面白かったんですけど、出来ればギュンター本人の文体で読みたかったかなと。そっちの方が地の文でユーリにヤキモチ焼いたり、アニシナ様への恐怖が滲んでみたり…と面白おかしそうな予感がします。特に1話目に至ってはいつもの本編と全く同じユーリの一人称で、もう“日記”じゃないじゃん。

すっかり同棲状態のヴォルフに辟易したユーリが、ヴォルフに出て行ってもらうため迎賓館のモンスターを退治しにいく話と、グウェンダル&アニシナ様のお話、そしてコンラッドがユーリの魂を人間界に預けに行った時のお話。個人的には2つ目のアニシナ様大暴走の話が面白かったです。結局なんだかんだ言われつつも振り回されて、どこまでも不幸なグウェンダルに乾杯(笑)

ラストのコンラッドの短編ではスザナ・ジュリアが死んで落ち込んでいた頃の、本編とは全く違う姿が見れて面白かったです。しかしユーリがスザナ・ジュリアの魂を持っている(←ネタバレ)っていう設定はちょっと露骨に腐女子狙い設定という感じで、露骨な設定を忌み嫌う腐女子の私にはイマイチだったかなあ。なんというか、こういう設定をつけてしまうとコンラッドがやたらとユーリをかばいだてするのはその設定があればこそ…みたいな、そういう色眼鏡をかけてしまいますよ。ユーリが女の子なら恋愛関係にもつれ込んで色々と面白い葛藤とかが入るんでしょうが男同士だし…ねえ(笑)

全く関係ないけど、陛下トトの詳細な順位が気になります。

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2006年に読んだ本まとめ その2

昨日の記事の続きです。
どちらから読んでも大丈夫ですが、記事へのリンクははっておきますね。

2006年に読んだ本まとめ その1

■ 笑った


ネコのおとネコのおと (※リレー小説/富士見書房)
2006年最大の馬鹿小説企画。物凄い勢いで脱線するストーリーや、後ろの先生に丸投げとかいう阿呆な展開も非常に秀逸なのですが、やはり注目すべきは富士見ミステリー文庫の自虐ネタ。電撃を目の仇にしてみたり、ミステリー文庫なのに「読者は富士ミスにミステリーなんか求めてない」と言い切るその姿勢が素敵です。腹抱えて笑わせていただきました。特にラスト2篇はネコミミメイドの吉田先生が非常に熱い展開を魅せてくれましたw

撲殺天使ドクロちゃんです撲殺天使ドクロちゃんです (※トリビュートノベル/メディアワークス)
ドクロちゃん知らなくても好きな作家さんが数人居れば楽しめると思います。いつのまにかリレー小説的になってきたり、やる気の無い楽屋オチが突然やってきたり、ディズ●ーやドラ■もんが乱入したりと無茶苦茶な内容。一人だけいつも通りのほのラブやって浮きに浮いてるハセガワ先生や、一人世界が間違ってるCLAMP先生も素敵です。しかし個人的に一番ウケたのはやはり「後書きノリ」な時雨沢先生。若本声のドクロちゃん…!

9S〈ないんえす?〉SS9S〈ないんえす?〉SS (葉山 透〔著〕/メディアワークス)
本編も架橋に入り、シリアス展開目白押しなナインエスシリーズの短編集。正直「れじみる。」とどっちにするかギリギリまで悩みましたがレジンキャストミルクは別項で取り上げたのでコチラに。ていうかどっちもお料理話が偉いツボで!どっちも似たような展開なだけに選べない…!完璧キャラとして描かれるヒロイン・由宇の意外な欠点が垣間見える珠玉の短編集です。特にこの話ではその「完璧」な部分が物凄く逆効果になった感じだけど。


■ ノベライズ

機動戦士ガンダムSEED DESTINY 5機動戦士ガンダムSEED DESTINY 5 選ばれた未来
   (後藤 リウ[著] /矢立肇、富野由悠季[原作]/角川書店)
説明が足りな過ぎるアニメの副読本としては最高の一品。穴だらけの原作アニメの納得行かない部分を全て美味い事補完してくれたことは、一人の種ファンとして感謝の念に絶えません。ていうかコレを読むたび、どれだけ本来の種キャラが魅力的で、その魅力をアニメが表現しきれてないか思い知って切なくなるんですがね。キラではなくシンがちゃんと主人公してるところもポイント高し。

DEATH NOTEDEATHNOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺害事件 (西尾 維新[著]/大場 つぐみ・小畑 健[原作]/集英社)
あれだけ個性的なキャラクターを殆ど違和感無しに描いてしまう所からまず凄いです。そして全編から漂う、西尾さんのLへの愛(笑)。ナオミとLの軽妙な会話には思わずニヤニヤしてしまいます。そしてラストの“原作を知れば知るほどハマってしまう”トリックはまさに流石としかいいようがありません。

ノエルと白亜の悪夢アリアンロッドリプレイ ルージュ: ノエルと白亜の悪夢 (菊池 たけし著 / F.E.A.R.著/富士見書房)
とりあえず雰囲気掴みということで借りた一冊なのに、よもやここまでドはまりしてしまうとは…。TRPGの楽しさが伝わってくるような、楽しさ満載の2巻までと打って変わってドシリアス展開の3巻では、手に汗握りながら最後まで一気に読み進めてしまいました。みっしょん06を読み終わったときの喪失感ときたらもう…。ノベライズに入るかどうか微妙だけど、面白かった!


■ 心に残った名場面・迷場面

メイド刑事(デカ) 2メイド刑事(デカ) 2 (早見 裕司著/GA文庫)
「でも、あの炎の中から、どうやって?」
「理屈じゃないんです」


炎に包まれても至近距離で爆発受けても、御主人様への忠誠心さえあれば燃え盛る豪火だって熱くないんです!!問い掛けられても華麗にスルーがメイド刑事の心意気!!

ムシウタbug 4th.ムシウタbug 4th. 夢並ぶ箱舟 (岩井 恭平〔著〕/角川書店)
「なんで“さくら”が襲われてるのか、事情は知らねぇが——」
「とりあえず、どっちもくたばってクダサイ


最近のbugシリーズは霞王のためにあるといって過言ではないと思います!はすっぱ不良言葉と半端な外国お嬢様言葉の乱れうちに萌え!(笑)

グロリアスドーン 1グロリアスドーン 1 (庄司 卓著/ホビージャパン)
「ちょ、待て。恵子、恵子!当たってる!当たってる!」
「うるさい!当ててんのよ!有り難く思いなさい!」
「当ててる…」


シリアスなクライマックスでこのセリフが来るとは夢にも思わなかったです。っていうかこれどこのタカy(殴)ドリル発言も非常にいかしてました。

極北からの声極北からの声 (賀東 招二著/富士見書房)
そして——おお、神よ。
艦の医務室でぼろぼろのぬいぐるみを抱いていた優しい幼な子の瞳は、無垢なる輝きを完全に失い、無感動な殺人者のそれへと変貌していた。


とりあえずカシムの存在そのものに10000万票くらい入れてしまいそうです。2006年最萌え大賞。カシム可愛いよカシム!!!


それでは、改めて今年も宜しくお願い致します。

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2006年に読んだ本まとめ その1

あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。


遅まきながら2006年の総括してみます。
5作品くらいを適当に選出しようと思ったのですが
ラノサイ杯と殆ど変わらない結果になる予感がするので
幾つかジャンルにわけて各項3作品ずつ纏めてみました。

だって「ムシウタ」と「フルメタ」と「SEED DESTINY」は外せないから!
そうするとあと2つしか選べないから!!(致命的!)

ぶっちゃけbooklines.netさんのまとめを見て「これだ!!」と思い立った訳ですが。
えっと、勝手にパクっちゃってスイマセン…!

※書影クリックでbk1の商品ページ、タイトルクリックで感想に飛びます。

■ 燃えた


とある魔術の禁書目録9?10とある魔術の禁書目録9&10 (鎌池和馬/メディアワークス)
[9巻感想/10巻感想]
新キャラ・吹寄さんの出番の少なさには泣きましたが男3人の熱い奮闘ぶりは文句なしにシリーズ最高峰。いつもとは少し違った、静かな雰囲気のラストシーンもなかなか良かったです。白井黒子さんの魅力満載な8巻も捨てがたかったですが、熱さでいったら絶対にこっち推し。

燃えるワン・マン・フォース燃えるワン・マン・フォース (賀東 招二著/富士見書房)
何が何でもフルメタだけは外せません。傭兵としての自分と現在の宗介のせめぎあい、今まで自分が載っていた最新鋭機・M9にオンボロサベージで挑んでいく展開等、熱いバトルが目白押し。かなめとのL・O・V・E分もあります(笑)

今年は文庫でもアーバレスト後継機の姿が拝めるのかな?

星のプリンキピア 下アストロ!乙女塾! 星のプリンキピア 下
   (本田 透〔著〕/集英社)
あかほりばりのハーレムラブコメだったこのシリーズ、3巻・4巻は普通に熱いバトルを繰り広げます。2巻までのノリがダメだった方にもオススメ。円・晶・茜の姉妹愛や精神的に成長したヒカルの姿にひたすら燃えたり感動したり。

しかし皆さん、ホノカも忘れないで上げてください(主張)


■ 泣いた

終わる世界、終わらない夏休み終わる世界、終わらない夏休み 桜井深優の終末
 (あきさか あさひ著/エンターブレイン)
前編もよかったけどやっぱり後編「桜井深優の終末」が格別でした。深優の恋心に物凄い共感して、ラストの演説でボロ泣き。色々ツッコミ所は多かったけど、その青臭さがまたたまりません。2006年で文句なしに一番泣いた作品!

ムシウタ 07.ムシウタ 07. (岩井 恭平〔著〕/角川書店)
06の戌子の最後にも散々泣かされましたが、07での大人顔負けの愛恋のジャーナリスト魂にはまさに感嘆としか言いようが無いです。前半のどこかコミカルなシーンが印象深い分、ラストの悲しすぎる展開にはボロ泣き。

虫憑きですらない二人の“魔王”の対決は必見です。

“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト)“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト) (野村 美月[著]/エンターブレイン)
遠子先輩の思わずおなかがすいてしまうような“薀蓄”の数々も魅力的なのですが、雨宮蛍と黒崎の決して結ばれない悲しい恋心に涙。毎回序盤で空腹中枢を、結末で涙腺を刺激してくれるシリーズ。2006年最大の収穫はこのシリーズに出会えた事かも。


■ ダーク&鬱展開

レジンキャストミルク 5レジンキャストミルク 5 (藤原 祐〔著〕/メディアワークス)
ダークといえばこれしかないでしょう。あれだけ日常を守りたいと願っていた晶が遂に芹菜(日常)と訣別し、硝子(非日常)と結ばれ、最強の虚界渦を目覚めさせるシーンは最高でした。またその突き放し方が容赦ないのです。

今後どうなるのか、続編が非常に楽しみ。

殺×愛(きるらぶ) 5殺×愛 5—きるらぶ FIVE— (風見 周[著]/富士見書房)
「泣いた」に分類してもいいと思うのですが…現在の所「レジンキャスト?」と並び立つダークシリーズ。4巻までの全てが上手く行くのではないかと錯覚させられるほのぼのラブ展開から、来夏の一言をきっかけにドン底まで崩壊していく5巻は必読です。…というかある意味これ、芹菜を取った「レジンキャストミルク」と受け取れなくも無いですね…。こちらも続編に期待です。

バイトでウィザードバイトでウィザード 沈めよ恋心、と雨は舞い降りた
  (椎野 美由貴〔著〕/角川書店)
一段落した本編最新刊より、コチラの方が断然ダークだった気がする。逢いたくて仕方ないのに、いつまでもすれ違い続ける京介と礼子の姿にヤキモキ。報われなさ過ぎる展開に、本家家長への怒りを募らせたり、着々と死へと突き進む京介にハラハラしたり…ていうか本当にこれ、本編の続きあるんですか。あそこで終らせるのが一番綺麗な気がするんだけども…


■ L・O・V・E(By富士ミス)

涼宮ハルヒの憤慨涼宮ハルヒの憤慨 (谷川 流〔著〕/角川書店)
長門が書いた部誌の原稿にニンマリし、「禁則事項」発言でニヤニヤし、そしてハルヒ&キョンの成長ぶりに萌え萌えするのが正しい楽しみ方だと信じて疑いません。少しずつ角がとれてきたハルヒの可愛さもさることながら、そのハルヒをどこか暖かい気持ちで見守っているキョンの姿に燃え。アニメも面白かった!!

カーリーカーリー 二十一発の祝砲とプリンセスの休日
  (高殿 円著/エンターブレイン)
「これ、ラブコメ違う」ってツッコミが各所から発生しそうですがこの巻の見所は誰がなんと言おうとヤキモチ焼きまくるヘタレカーリーだから仕方ないんだっ!!シャーロットと仲の良いアヒルを密かに焼き鳥にしようと目論んだり、シャーロットとのヒンドゥー語レッスンでは教えるフリしてシャーロットに愛の言葉を吐かせまくって萌え萌えしてる、そんな貴方にときめきます。寄宿舎編は終了とのことでパーフェクトヘタレ女装美少年カーリーたんが拝めないのは死ぬほど残念ですが、是非続編をお願いします!!

とらドラ! 3とらドラ3! (竹宮 ゆゆこ〔著〕/メディアワークス)
1も捨てがたかったんですが、「竜児は、私のだああああー!」発言がツボだったのでこちらに。このくっつきそうでくっつかない、もどかしい関係が猛烈にツボポイント直撃。

3巻では泳げない事や貧乳を気にしている大河の、普段は見られない弱気な姿が非常に可愛かったです。


「笑った」「ノベライズ」「名場面・迷場面」はこちらからどうぞ。

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狼と香辛料

[著]支倉 凍砂 [絵]文倉 十

ロレンスが行商で立ち寄った村を去ろうとした時、荷馬車に可愛らしい娘が寝転がっていた少女には犬のような耳と尻尾が生えていた。自らを豊作の神・“賢狼”ホロと名乗った彼女は故郷へ戻りたいといい、なしくずしにロレンスにくっついてくるのだが…
 

いい具合に今年最後に読んだラノベとなりました。今年ラノベ界を最も騒がせたライトノベルでシメてみます。

適当なバトルモノなんかよりももっと熱い、手に汗握る商人同士の騙しあい…駆け引きもさることながら、何よりもロレンスとホロが繰り広げる言葉の駆け引きが非常にツボ。ホロを必死にやりこめようと頭を働かせて、それでもやっぱりホロが一枚上手…という駆け引きには思わずニヤケ笑いが止まらなくなりそうでした。老獪なのに、それとは正反対の少女のような心をもっているホロの魅力を存分に堪能させていただきました。ホロ可愛いよホロ。

「経済をテーマにした小説」と聞いていたのでMissingのような薀蓄が大目のもっと堅い話を想像していたのですが、予想以上に軽妙なストーリー展開でかなり楽しく読むことが出来ました。特にホロを助け出そうとロレンスが必死に策を巡らすシーンは物凄く熱くて、手に汗握りながら読んでしまいました。

しかしここまで頭脳戦で拳にも負けない頭脳バトルを繰り広げてきたのに、結局ラストは力押し…っていうのが個人的には気に食わなかったです。ここまできたらなんとしても口先三寸で丸め込んでほしかったなあ。やりとりとかは好きだったので、ラストだけが非常に不満でした。っていうか本音をぶっちゃければ何でオチがダブルブリッd(うわーなにをするー)

なんだか半端じゃなく高い評価から自分の中でいつの間にか期待を掛けすぎていた所為か、最初に予想していたより「物凄く」面白くは無かったかも。つまらなかった訳でもなく続編も普通に読む気満々ではありますが。

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“文学少女”と繋がれた愚者(フール)

[著]野村 美月 [絵]竹岡 美穂

図書館にある本のページの一部が切り取られるという事件が発生。勿論“文学少女”の遠子先輩がそんな事件を放っておくはずが無く、図書館で犯人を捕まえるが犯人は心葉のクラスメイトの芥川という少年だった。遠子先輩は彼を文芸部が新入部員獲得のため文化祭で行う劇に勧誘し、心葉は願わずして芥川の苦悩や過去を知る事に…
 

芥川というクラスメイトを通して、今まで心葉が考えまいとしてきた心の傷“美羽”との一件を乗り越えようとする物語。なんか本当にこの芥川というクラスメイト、何をやっても裏目に出てばかりでかわいそうでした。芥川自身はただ誠実にあろうとしているだけなのに、その行動が誤解され、ますますどん底へ落ちていく姿がなんとも悲しい。

そして今回は出番自体はいつも通り控えめですが劇中でヒロインをやることになったツンデレ少女・琴吹ななせが良い所をドーンと持っていってきます。知らずに心葉のトラウマに触れてしまって大後悔したり文芸部の面々に(という名目で心葉に…)クッキーを作ってさりげなく心葉の反応をみようとする姿が非常に愛らしいです。勝手に勘違いしてキレちゃうのも彼女の魅力のうち!可愛いなあ(´д`*)

そしてななせ以上に出番は少ないけど、美味しい所を抑えているのが竹田さん。1巻とは違いところどころで現れる彼女の本心の描写が短いながらも非常に印象的でした。それでもあまりにも小さいけれど些細な変化が少しだけ伺えて、その辺はちょっと嬉しくなってしまったり。

遠子先輩が送る、名作語りは今回も必見。今回は小学校の教科書に取り上げられた作品が幾つか取り上げられており、遠子先輩の語りで当時読んだ時の感覚をふっと思い出して懐かしくなったりしていました。本を読むのは好きな割りに先生の語りが長くてなかなか話が先に進まない現国の授業はあまり好きじゃなかった記憶がありますが、遠子先輩が現国の先生になればきっと現国好きが急増するだろうに。ていうか図書室に「文学少女」シリーズと過去取り上げた文芸作品を全部並べておいて見るとかどうでしょう!?近頃の読書離れにストップかけられるかも!!(笑)

“普通のモノの味がわからない”という遠子先輩がななせのクッキーを美味しそうに食べるシーン。味が判らないのに想像力の翼だけでここまでの感想を述べられる遠子先輩に改めて感心すると共に、こんなに美味しそうに食べているのに味が判らないなんて…と悲しく思わずにいられません。

遠子先輩の母親のことや“朝倉美羽”のことなど、少しずつ明かされてきた秘密に次回以降も目が離せなさそうです。


[追記]遠野先輩遠子先輩
どこかのオンラインブックマーク?で指摘されてたので光の速さで修正しました。どちら様か存じませんがご指摘ありがとう…ございま…す_| ̄|○
原稿でテンパってる時期とは言えこの間違いは流石に恥ずかしいですね。
ちょっと穴に潜って反省してきます。

ていうか、遠野先輩ってどこの直視の魔眼?

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天使のレシピ

[著]御伽 枕 [絵]松竜

高校二年生の春。俺はある“呪い”にかけられた。彼女が「おはよう」というと、また呪いが最新のものに更新される…。“羽根”をなくした人間達の恋愛模様と、罪を犯して羽根を無くし、彼らの橋渡しをする天使達の物語。

 

普通に恋愛がテーマの短編として書けばいいのに、うっかり「天使」だの「羽根」だのという不思議要素を絡ませてしまったがために一部の魅力が台無しになってしまった印象を受けます。うーん、「劣化版・しにがみのバラッド。?L・O・V・Eバージョン?」とでも言えばいいのでしょうか。どうにも天使達が現れる基準が掴み辛いんですよね、ラストの短編以外では「不思議現象」が起きている訳でもないですし。1話目の「呪い」なんかは絶対不思議要素の所為でああなったと考えるより「これが恋なんです!!」というオチにした方が面白いと思うし。

完全に天使要素を排除するか、全てラストのように恋愛の所為で不思議現象が起きてしまってそれを正常化する、みたいな展開の方が良かったのでは…。

ストーリーとしては天使が出張ってこない「恋愛実験」が凄く面白かった。ヒトの感情をよく理解できない芸術家少年・伊織と内気な少女・綾乃の微妙にトンチンカンな会話が微笑ましくて非常にツボ。逆にラストの「ソラヲトベ」はちょっとダメでした。何故ラストで二人が引き離されなくてはいけないのか理由が不明瞭だし、ちょっと読み辛い印象を受けました。

二人の天使が引き離された理由等、魅力的な設定は多々あるのにそれが全く生かしきれていないのが凄く残念です。「二四〇九階の彼女」もそうだったけど、どうも「キノ」とか「しにがみ」みたいな傑作短編シリーズの真似しようとして墜落した感じがしてダメでした。

「恋愛実験」が凄くツボだっただけに、もったいない気がする。
っていうかやっぱ、普通の恋愛小説にした方が売れるんじゃないの。


追記。
「トランキライザー・キス」のヒロインは女のこちらから見ても正直キモイです。
特に女のオタク・特に腐女子はヘンなところでピュアな話が好きなので、
これは女性向けライトノベルレーベルで出しても微妙ながします。
女性向の世界は基本的にファンタジーだからネ!!

どっちかっていうとラノベ好きよりは“性コミ”こと少女コミック読者辺りにウケそうな予感。
あ?…まあ、18禁乙女ゲームとかならありそうな展開かな。
自分にはどっちの属性もないのでなんとなくですけど。

敢えて触れなかったけど、この短編が一番ダメだったな。
ヒロインの自分勝手さが猛烈に鼻につくんですよね。
全面的に気分の悪い話でした。

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