唯一の家族であるセリカ・守るべき生徒達の間で揺れ動くグレンと、そんなグレンの背中を押して上げられるまでに成長した生徒達の姿が印象的でした。その一方でルミアが狙われる理由や敵の正体がいよいよ明らかになり、最初から最後まで衝撃の展開すぎて気が抜けない。3巻連続で続きが気になりすぎる、酷い引きだ…!!!
動揺するグレンと、彼の背中を押してくれる生徒達の成長がアツい!
問題は山積しているものの、なにはともあれミラーノからフェジテに帰還したグレンと生徒達。ところが、セリカが書き置きを残して姿を消してしまっていた。セリカを追いかけたいグレンだが、そのころフェジテにはアルザーノの首都を陥落させた死者の軍団が迫ってきており……。ミラーノでの魔術祭典から続く一連の事件では生徒達やイヴの精神的支柱であり続けたグレンだけど、そんなグレンだからこそ心を許して甘えられる相手は自分を拾ってどんなときでも影に日向に自分の隣にいてくれたセリカ以外にありえなかったんだなあと。普段の「ロクでなし」でも頼れる「正義の見方」でもない、ありのままのグレンの姿と、そんなグレンがセリカの失踪を受けて動揺する姿が衝撃的。
今セリカを追わなければ二度と彼女と会うことは叶わない、でも生徒達やフェジテの人々を見殺しには出来ない……二律背反の思いの中で思い悩むグレンの背中を押してくれる生徒達の成長した姿が本当にアツかった。フェジテを取り巻く状況が最悪であることに変わりはないんだけど、それでも彼らに背中を預けられると思えてしまうのは、このシリーズがこれまでの物語で堅実に「生徒達の成長」を描き続けてきたからなんですよね。かつての事件で学園が戦場になったときとは別人のように落ち着いて行動出来る彼らの姿に確かな成長を感じて、ぼろぼろと泣いてしまいました。
明らかになった真実と、衝撃のラスト(※1冊ぶり3回目)
生徒達に見送られて、システィーナやルミアと共に「タウムの天文神殿」に向かうグレン。ところが、天文神殿はかつてとは大きく姿を変えていた。更にイヴやアルベルトから、王家に関する不穏な事実を聞かされて……。あとがきでも言われてましたけど正直セリカと天空神殿の話とかルミアの正体に関する話とかガッツリ記憶から抜けてて、原作読み直しの必要性をひしひしと感じましたね。いや、その変うろ覚えで読んでも十分面白いんですけど。短編集除いても天空神殿の話って12冊も前か……ルミアの鍵とフェジテ最悪の三日間がだいたい8冊前…思えば遠くにきたものだ……。
ルミアが禁忌の子供とされた一連の事件の真相、禁忌教典とは何なのか、天の智慧研究会のトップ・フェロードの正体とその目的──など、これまで伏せられてきた多くの謎が一気に明かされます。いや、フェロードの正体まわり予想以上にえげつないですね!?ルミアだけでなく、無関係かと思われていたシスティーナの方にも因縁が被さってくる展開が大変にえげつない。というかグレンも出自を考えるとなにか関係してくるような気がしてならないんですよね…今回セリカとのアレコレでそれとなく掘り返されてましたしその辺の設定。
圧倒的な敵の姿に翻弄され、更にはルミアまで奪われ……絶体絶命の中、なんとかその場を離脱したグレンとシスティーナ。彼らがたどり着いたのは六千年近く前の超古代。これからどうなってしまうのか……ってまた酷いところで続いた!!次巻が楽しみです!!!