今日もだらだら、読書日記。

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吸血鬼作家、VRMMORPGをプレイする。2〜日光浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません〜

 

王都クエスト後、功績を認められた蓮華は多額の報酬ゲット! 知らぬ間にテイムした骸骨【あいぼう】アインと新装備を揃え、平穏な時を過ごしていた。 そこへ、ついに吸血鬼用コクーン試作機完成の知らせが! わくわくしてシステムメニューを初めて開くと、『配信』の項目が目に入る。 なんと、今までのプレイ内容がすべて全世界中に垂れ流されていたらしい! まぁ今更いいかと、配信者であるヴィオラのサポートの下、視聴者と会話したり、助言をもらったり、さらにゲームを満喫! そのまま新エリア東の森攻略へ三人で出発するが、探索中にどことなく違和感を覚えて……? 超初心者ゲーマー吸血鬼のドタバタVRMMO放浪記第二弾!

王都クエストを無事にクリアした蓮華はゲームログインもままならないまま吸血鬼用に改造してもらったコクーンの試作品完成の知らせを受け、息子・洋士に連れられて東京へ。いよいよNPC扱いから脱却する日がやってきたが……『配信』という見慣れないメニューを発見して!?

配信バレしても変わらない空気感が引き続き良かった

機械オンチな吸血鬼作家の主人公(鎌倉時代から生きてる)がアナログ原稿脱却のためにVRMMOを始める物語、シリーズ第二巻。王都クエストの報酬受取、スケルトンくんが正式に相棒に、念願のPC化→配信のアレコレバレ、東京での息子との同居、装備周り更新、ヴィオラさんとのリアル邂逅、そして初めてのダンジョン探索と……と、とにかくイベントが多い巻だった。いろいろな意味で配信の存在に気づいていない蓮華をコメント欄や周囲がなんだかんだで見守っていく展開が面白かったので配信バレでどうなる!?と思ったけど、コメント欄とのやりとりが増えたくらいで良くも悪くも配信の存在を気にせず進んでいくスタイルで良かった。蓮華に直接絡みに行く方向性になった配信のコメント欄/これまでと変わらず本人が居ない前提でこっそりとレスが進む掲示板……と切り分けられているのも上手いなあ。

ここにきて(というか蓮華がPC化したことで)浮上してきたゲーム本編シナリオに関する謎とそれに関する考察、遅れて始まった他国でのメインクエストの話も盛り上がり、更には吸血鬼以外の種族の存在、蓮華自身の過去も匂わせてきて……色々と気になるところで終わって、続きが気になりすぎる。

それにしても、最初の登場人物紹介を見ると蓮華やヴィオラだけじゃなくて他のゲーム内で知り合った面々もリアル人類であるとは確定してないんですよね。全員人外の可能性もあるわけなのか。というかナナさんとか自覚あるなしは解らないけどあの終わり方からして明らかに純粋な人類ではなさそうというか……ガンライズさんいろいろな意味でどうなってしまうんです。

洋士さんがお父さんのこと好きすぎる。

マイペースなお父さんに振り回されてやれやれしつつもほっとけない、苦労人の息子・洋士さん…………と思っていたら、序盤の東京に移動中のやりとりから少しずつ様子がおかしくなり、「あれひょっとしてこのひと蓮華の配信見てますよね?」「っていうかひょっとして父親のこと大好きでは?」とか思いつつ読み進めていたのですが…………「短編 . それぞれの一日」と電子書籍版特典SSの「洋士、散在する」を読んで無事ひっくり返りました。いやこの人、父親(蓮華)のこと大好きじゃないですかーーー知ってたけどここまでだとは知らなかったなぁ!!!!!?? この人予想以上にガチ勢だし予想以上にファザコンを拗らせてるし予想以上に父親のことしか考えてないぞ!?

いや、いろいろな意味でお互いに腹を割って話せずに遠慮しあった結果として感情を拗らせてしまった感が凄くて洋士さんも被害者……と思わなくもないし、蓮華の辛い時期(詳細不明)を見守ることしかできずに歯がゆい思いを抱いていた彼が配信で楽しくしている父親を見て「守りたい、この笑顔」になってしまったのも仕方ないといえば仕方ない気がするのですが……。

蓮華もそのへんの遠慮してた部分はちゃんと話すよみたいな終わり方だったので(というかあそこで次巻に続くするの結構鬼畜じゃないですか!?)、腹を割って話し合って遠慮しなくて良い関係性になれるといいね……と願わずにはいられない短編と書き下ろしでした。

いやこれどうせヴィオラさんのストーカーも洋士さん(もしくは洋士さんの手の者)なんでしょう!?とか一周回ってヴィオラさんとは蓮華好き仲間として通じ合えるのではないかとか色々思う所はあったんですが個人的にはクリスマスと年越しは絶対に親子水入らずのホームパーティーを楽しみにしてるとおもうのでお父さんなんとかしてあげてください。腹壊してでも父さんの作ったクリスマスディナーと年越しそばを食べる気満々だとおもうよ。というか洋士もうてっとり早くあっちにキャラ作ったほうがいいのでは!?

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吸血鬼作家、VRMMORPGをプレイする。〜日光浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません〜

 

九百年生きた吸血鬼【ヴァンパイア】なのに血は嫌い! 壊滅的な機械音痴で、メールを打つにも二時間かかる吸血鬼作家――蓮華はこのままではいけないと、“脱”アナログ原稿のため、VRMMO『GoW』を開始する。が、気付けば、数百年ぶりの日光浴と料理の虜に! おまけにNPC扱いされたことで、誰も知らないヒントを手に入れたり、うっかり国を揺るがす大事を招いたりと、次々と異常事態発生。いつの間にか注目の的になって……? 「有名になってるんですか? お恥ずかしい限りで……」 常識人の仲間・ヴィオラに手取り足取りされつつ、本人は何も気づかず大波乱を巻き起こしていく。超初心者ゲーマー吸血鬼のドタバタVRMMO放浪記スタート!

吸血鬼なのに血が苦手&作家なのに壊滅的なデジタルオンチである蓮華は担当編集からの頼みでVRMMO『GoW』をプレイすることに。このゲームの中であればアナログで作成した原稿がデジタルデータとして自動変換されるらしい。編集と落ち合うまでの間、吸血鬼という性質から現実では満喫しきれない趣味の料理や日光を堪能しようとゲームをはじめるが、チュートリアルが発生しない・システム画面が開かないなどの様々な「不具合」が発生して……!?

一見噛み合わなそうな設定が完璧に状況に噛み合ってて気持ちいい

面白かった〜〜!!アナログ原稿派の吸血鬼作家がVRMMOをする設定(※VR世界で執筆したらデジタルデータになるので編集者に懇願された)も、なぜかゲームにログインされたらNPC扱いされてしまう理由(※吸血鬼なので心音が判定できなかった)も、デジタルオンチな主人公が動画配信をする理由(※デフォルトで配信ONになってる上にNPC扱いされてるお陰でシステムメニューそのものが出ない)もしっかりと周囲の設定に噛み合う理由付けがされていて読んでいてストレスがない。一見無茶と思える設定を「ファンタジー」だからではなくしっかりと納得行く形で説明してくれる話って、それだけで本当に読んでいて気持ちいいですね。

リアルでの技能・経験がゲーム内の各種技能の「熟練度」へのとっかかりになる世界=それなら千年を生きる人外のものがやったら初手最強じゃん?という発想がまず強かった。鎌倉時代から生きているのでリアルの戦闘経験もガッツリある、睡眠もしないのでログイン時間も長いし魔術の鍛錬に必要な瞑想の時間もがっつり取れる……というチートぶりに笑ってしまう。

そしてその様子を本人のあずかり知らぬところで「配信」という形で見ているゲームユーザー達が時にザワつきながらも彼のプレイを邪魔しないように見守っている流れが楽しかった。ユーザー側の存在としてはおそらく突き抜けて強いであろうことを加味しても、メインクエストを予想外の形で動かしてしまったりもしたわけだしクレーム入れに行く人が居てもおかしくないとおもうのですが、そういう人がいないの優しい世界だ。

ゲームをやっている主人公の様子が楽しそうなの良かった

吸血鬼でありながら血液を摂取するのが苦手で、そのせいで他の吸血鬼よりもずば抜けて日光に弱く、しかも本来なら不要のはずの料理を趣味とする……という吸血鬼の中では変わり者な主人公・蓮華。不老不死の存在であるかわりに日常生活で制約の多い彼がVRMMOの世界に来て、リアルでは浴びることが出来ない日光を楽しみ、人間のように料理を楽しみ、寿命の違いで諦めかけていた他の知的生命体とのコミュニケーションをも楽しむ……という姿が印象的でした。どんな状況にあってもとにかく楽しそうなのが良かった。

どうみても人間としておかしいムーブをしていることも多かったり、普通のユーザーは取っ掛かりを得ることも難しい魔術を早々に習得したことも含めてかなり異彩を放っている反面、遭遇したアンデッドに慌てふためいたりその後武器を破損した代わりにスケルトンの手を「お借りした」り……と、どこかシリアスになりきれない感じが凄く良かったです。いや良い意味で配信者向けの人格してるよな……。

「息子」でありながら実質保護者みたいな吸血鬼の洋士、蓮華と同じく人間の世界にひとり隠れて暮らすエルフの少女でゲーム内では弓の達人であるヴィオラ、そして終盤の大規模レイドで知り合った一般ユーザー達……と、少しずつ広げられていく人間関係も魅力的で、今後どうなっていくのか気になる。

あと、ゲーム内にオフィスがあったりVRビジネス街がある……という設定がめちゃくちゃ面白そうだったんですが、今回は担当編集者とゲーム内で落ち合えないまま終わってしまったので次巻ではそのへんの設定の掘り下げが来るのも期待したいです。いやめちゃくちゃ面白そうだよねVRMMO世界の中にあるVRビジネス街……私もそういうところでリモートワークしてえ。

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VRゲームで攻略などせずに勉強だけしてたら伝説になった1

三阪
 

ゲーム内の体感時間は現実の3倍…… 「これで、みんなより長い時間勉強できる!!」 受験ガチ勢のプレイ?が、波乱を巻き起こす! 体感時間が増えるフルダイブ型VRMMO『new world』の登場は、全世界で注目された。 剣と魔法のファンタジーを舞台に数多のプレイヤーが心を躍らせるなか、受験ガチ勢の女子高生、伊奈野は体感時間に目をつけ、ゲーム内にデータを持ち込んで理想の勉強スタイルを実現させる。 しかし、彼女の勉強内容に興味を持つNPC、予期せぬイベントで想定外の活躍、 ──ただ受験勉強がしたいという思いとは裏腹に、彼女はゲーム内で伝説を作っていく。 「やるしかないね。私は、受験生なんだから」

新発売のフルダイブ型VRMMO『new world』を購入した受験生・画智是伊奈野(がちぜ・いなの)。その目的は「ゲーム内の体感時間が現実の3倍になる」ことを利用してゲーム内で受験勉強をすることだった!?早速静かな図書館をみつけてひたすら勉強に熱中するが、NPCが彼女のやっていることに興味をもちはじめ……。

「勉強オタク」な主人公による無自覚ゲーム無双

受験勉強するためにVRMMOをはじめた主人公がそのあまりにも特異なゲーム内ムーブで未発見の称号・ユニークスキルを次々と取得し、無自覚のままにゲーム世界の台風の目と化していく物語。とにかく主人公が初志貫徹でゲームに興味なさすぎて凄い。本来の彼女は結構なゲーマーだと言うので意識的にゲームに興味を持たないようにしている印象はあるんだけど、取得した称号くらいはチェックしてあげてよぉ!!

最近ちょくちょく見かける、VRMMO内でユーザーが特定のフラグを立てるとゲーム全体の方向性が変化していってしまう、ユニークNPC(このゲームの場合は「英雄」)が特定の手順を踏んだユーザーを固定の「相棒」と認識するタイプのゲームのようなんだけど(主人公がゲーム自体に興味がなさすぎるせいでゲームの全体像が正直ちゃんと掴めない)、ゲーム世界に変化を与えるトリガーが「NPCに知識を与える」で、そこが主人公の目的である「勉強」に結びついているの面白かったです。ゲームの内容について興味がない・干渉しない主人公ではあるけど、NPCに「勉強を教える」のは自身の学習理解を深める事ができるので拒まない。その行動が実はゲーム自体に重大な影響を与えていって……という設定、上手かった。

あと、海外鯖の存在とか、こまごまと仕込まれるMMORPGあるあるネタがアツかったです。自分が海外鯖プレイしてたわけじゃないけど鯖によってゲームの進行状況が違ったり独自のマップ・設定あるの面白いんですよね。予想外すぎる主人公の動きにわたわたしてる運営の姿にニヤニヤするんですが、主人公のせいで日本鯖だけめちゃくちゃ独自路線歩むことになったのご愁傷さますぎる。そして海外鯖だと英雄を監禁して奴隷化・経験値装置化してる云々の設定で笑ってしまった。マイ○ラの村人……というかアイアンゴーレムトラップ的なやつや……いやでも明らかにAI入ってるNPCにそれをやるのはなかなか鬼畜では……。

序盤からしばらくはマジでずっと勉強しているだけで、コンセプト的にも結構主人公自身の動きは少なくてこのままだとぐだるのでは!?とちょっとだけ不安にもなったんですが、サーバー混雑で海外鯖に逃げる羽目になる展開(※無自覚だが概ね主人公のやらかしが原因)辺りからはメインストーリーの進行で否応なしにゲーム内イベントに巻き込まれたり、今までの場所を追われて理想の勉強場所を求めて彷徨う羽目になったり……といい感じに展開にメリハリ利かせてきて飽きずに読めました。細かい部分は違うけど基本的には同じ世界観を持つ海外鯖での知識・経験がメインである日本鯖での行動に影響を与えていく、相乗効果的な展開も面白かった。次巻はまさかのダンジョン経営展開!?らしいし、例によって身近にいたユニーク持ちプレイヤーとの邂逅もありそうで、どうなっていくのか楽しみです。

余談ですが初回盤封入特典?の「ゲーム(ほぼギャンブル)ガチ勢伊奈野」でめちゃくちゃ笑ってしまった。本編内でもさりげなく触れられていたけど、主人公の本来のゲームスタイルヤバすぎる。ほぼほぼギャンブル中毒じゃん!!これ読むと、正直受験終わって真面目にこのゲームやろうとしたらいい感じにズッコケそうだし、称号通知全スルーとかは意図的に見ないようにしてるのかなってなるわな……(「ゲーム内環境ちょっと整えるだけ」で数時間飛んでしまうのがゲーマーであるからして)

面白かったけどちょっと荒削りにも感じた

ストーリーの方向性や設定自体はかなり好みなんだけど、細かい部分で色々引っかかってしまい、ノリきれない部分がありました。勉強の仕方が割とこう……大学受験生っぽくないなとか(そのへんは世代の違いかも)、VRゲーム買うのを許してくれる程度に娘の趣味に理解ある親なら素直にゲーム内で勉強してるって話せばいいのになーとか、そういう本当に細かいところなんですけど。あと「主人公がゲームに興味がなさすぎる」というこの作品の利点が一周回って悪い方にも作用してて、こちらに伝わってくるゲーム内の世界観がフワッフワで結構読む時に戸惑う。全体的なアイデアや展開は面白かったので、こういう細かい荒削りな部分に躓いてしまうの色々と勿体ないな……。

なにより、主人公の淡々としたムーブに対してなにかと「彼女は気づいていないが……これがまた後の伝説になるのである」のノリで逐一主人公のやったことを持ち上げてくる地文がちょっと苦手で、読みづらかった。まあ地文が解説してくれないとなにもわからないまま進んでいってしまう話ではあるのですが……。

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おたくの原稿どうですか? 池袋のでこぼこシェアハウス

 

アニメ化もされた大人気少年マンガ「超絶テニス燃くん」の熱烈なオタクである女子大生・美影は、訪れた原画展のメッセージコーナーで奇妙な付箋を見つける。池袋のシェアハウス入居者を募るメッセージの条件は、『「ちょテニ」の同人活動をしている人』というものだった。集まったのは、嗜好も性別も年齢もバラバラの4人。BL好きの美影、夢女子のOL・舞、コスプレイヤーの大学生・直輝、神絵師・メシウマ太郎ことヒデは、冬コミで「ちょテニ」合同アンソロジーを出すべく奮闘することに。友達ともただの同居人とも言えない奇妙な関係を通じて、それぞれの人生は少しずつ変化していく。オタクライフに青春を捧げる男女4人の群像劇。

「超絶テニス燃くん」の原画展のメッセージコーナーにこっそり貼られていたシェアハウス入居者募集のメッセージ。入居条件は「ちょテニ」の同人活動をしていて、なおかつ次のコミケでシェアハウスメンバーで出すアンソロジーに参加すること。集まったのは、個性も立場もぜんぜん違う4人で……。

同じ作品が好き同士の同居なんて上手く行かなくない!?と勝手に不安になりながら読んでいたのですが、同じ作品が好きでも楽しみ方が別な4人だからこそお互いの苦手な部分にはそれなりにスルーしたり配慮したりして相手の「好き」を尊重し、かといって遠慮しすぎることもない適度な距離感で付き合っていく。そのうちにお互いに作品を通してだけではない絆が生まれていって……という展開がとても良かったです。

シェアハウスの住民4人それぞれの視点から描かれていく群像劇なんだけど、大なり小なり同人活動やオタクをやっていれば感じたことがありそうな様々な葛藤やジレンマが印象的でした。普通の小説書きの腐女子である美影が同ジャンルの神作家であるヒデさんの正体を知って理由もなく尻込みする気持ちも、オタク活動に理解のない家族を持った直輝のジレンマも、夢女子OLの舞がオタク活動を楽しみながらも感じている将来への漠然とした不安も、そして商業作家を目指して一度は夢折れたヒデの作家としての葛藤も……完全に理解できるといえば嘘になるけど大なり小なり同じオタクとしては「わかる」部分がある。そして、根がありふれたものだからこそ、真正面からその悩みに直面して立ち向かおうとしている彼らを応援したくなる。そして、それぞれの悩みに対して、直接的に力になるというよりはそれとなく寄り添うことで力になっていく……という同居人達との距離感が心地よかった。(それはそれとして舞さんが騙されそうになった回、詐欺師との対峙に全員でついて行ってしまう彼らの仲の良さにはニヤリとしてしまったんですけど)

個人的に好きだったのは陽キャな初心者コスプレイヤー・直輝くんのエピソードで、尊敬している家族が自分の好きなコンテンツをバカにしてくるというジレンマに苦しみながらもコスプレすること/自らを着飾ることで好きな自分に近づいていくというマインドセットが印象的で。コスプレ周りの描写も良かったけど、父親から与えられたスーツに関する描写がすごく好きで、そこに自分を奮い立たせるためにこっそり同人グッズを忍ばせていくのにほっこりする。

あと、ラストのヒデさんのエピソードもめっちゃ良かったな……人間同士の心の機微がわからなくてそこが一次創作活動において欠点だといわれてしまった彼がシェアハウス生活を通して「絆」を感じたその瞬間に胸が熱くなってしまったし、商業作家時代の同期である現在は人気漫画家となった熊野とのやりとりが好き。

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2024年に読んで面白かったラノベ15選

2024年は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。

そしてコミックマーケット105で当スペースに遊びに来てくださったかた、ありがとうございました!長年密かな目標にしてきたラノベ評論(?)の本を出すことが出来て満足です。新刊の方は準備が整い次第自家通販と、あとDL版の頒布を予定しておりますのでもしよかったらチェックしてみてください。(リンク先「入荷お知らせメールを受け取る」ボタンを押しておいていただけると通販開始時にBOOTHから通知が届きます。)

B5/60P/1100円 好きなラノベ100シリーズについて好き勝手無節操に語る本です。 収録作品一覧はサンプル2枚目をご確認ください。 評論・紹介というよりは感想・思い出語りの側面が強いと思います。 ▼ 詳しい説明はこちらから。 誤字脱字など修正したダウンロード版と同時頒布開始予定です。 今暫くお待ちいただけますと...
ラノベの同人誌、次はコミケか文フリかわかりませんがまた作れるなら今度はテーマを決めて2〜30作品紹介するくらいの形にしたいですね……何かやってほしいネタとかあったらこっそり教えてくれたら検討するかもしれません(予定は未定)(このままだとこの男同士のクソデカ感情が凄い2025とかになりそう)

そんなわけで、毎年恒例・年はまたぎましたが2024年に読んで面白かったラノベのまとめになります。今年も10作品くらいで綺麗にまとめようかと思ったんですが思った以上に面白かった新作が多く……最近は新作の生き残りも色々厳しいと聞くので敢えて絞らずに面白かったな〜とおもった作品まとめて紹介する形にしています(そのぶん、長編作品紹介を少し減らしています)

新作/今年1巻から読んで面白かったシリーズ

羊太郎「これが魔法使いの切り札 1.黎明の剣士」→感想
意味ありげな設定の数々に想像が掻き立てられる最新作
「ロクアカ」羊太郎先生が贈る新作魔法学園物。傭兵から平穏な暮らしを求めて魔法学院に入学したリクスが魔法ではなく物理や対話でトラブルを解決していくのが爽快で、彼らを取り巻く《宵闇の魔王》や《黎明の剣士》にまつわるエピソードが気になりすぎるお話でした。そしてロクアカのオタクとしてはいろんな用語に反応せざるをえなくて(スターシステムかもしれないけど)今後が楽しみ!
零余子「夏目漱石ファンタジア」→感想
TS夏目漱石と野口英世のバディめっちゃ推せる
瀕死の夏目漱石が死んだ許嫁・樋口一葉の身体に脳を移植されて蘇り、正体を隠しながら作家の自由を求めて闘うという文豪SFバトルもの。野口英世との急造バディぶりが大変に楽しく、明治の偉人・文豪要素とSF設定と歴史蘊蓄がカオスに混じり合う物語がめちゃくちゃ面白かったです!!
駄犬「悪の令嬢と十二の瞳 〜最強従者たちと伝説の悪女、人生二度目の華麗なる無双録〜」→感想
精神年齢で変化していく価値観の描写がリアル
処刑されて人生やり直す事になった令嬢が対抗できるだけの武力を整えなきゃ!!とハー◯マン軍曹のごとく孤児達を鍛える物語。やることなすこと微妙に思惑からズレていくセリーナの行動にニヤニヤしつつ、人生やりなおしても変わらなかった彼女の価値観が精神の加齢によって変わっていくのが良い意味でリアルでした。笑って、最後にはちゃんと泣かせてくる物語が最高に面白かった!
東崎惟子「少女星間漂流記」→感想
宇宙を放浪する少女ふたりのSF短編ロードノベル
地球を追われて安寧の地を求めて宇宙を旅する少女ふたりのロードノベル。一筋縄ではいかない各星々の生態が興味深く、タイプの違う二人の少女がトラブルに巻き込まれても上手いことなんとかしながら、でも時折年相応の若さをのぞかせるのが印象的でした。あと女女のクソデカ感情的な意味でも良かったですね。
としぞう「脇役に転生した俺でも、義妹を『攻略』していいですか?」→感想
妹の問題に家族として真摯に向き合っていく展開が超良かった
ギャルゲーのヒロインの義兄に転生した主人公がひとりの家族として彼女の傷を癒やしていく物語。下心でも生前の推し的なやつでもなくあくまで「家族」として真摯に彼女と向き合う主人公がとても好感度高かったし、転生前知識があくまで問題解決のヒント程度になっているのも丁寧で凄く良かったし、幼馴染ラブコメとしても良かった!兄妹物の不謹慎ラブコメに見えるタイトルで損してるな〜と思ったのでもっと読まれてほしい一冊。
せひらあやみ「異世界召喚されたVチューバーですが、皆様コメントで助けてください!」→感想
色々な意味でハードモードな巻き込まれ系異世界召喚ロマンス!
兄がやっていたVtuberのガワで異世界に召喚されてしまった主人公が問題児だらけの兄の動画視聴者達や信頼できない異世界の人々に翻弄されつつスパチャで兄の借金返済を目指すお話。兄の動画ジャンルが男性向けなので、異世界ロマンス始まると低評価の嵐になる展開に笑ってしまったし、誰も信頼できないハードモード異世界召喚展開が楽しかったです!
田口 仙年堂「この先、絆があるぞ」→感想
実在のゲームを題材にした高校生達の青春小説!
ゲーム実況が趣味の陰キャ高校生がクラスの陽キャ男子と「エルデンリング」のマルチプレイをすることに!?というお話。ふたりの関係性が少しずつ変わっていく展開、仲良くなるにつれ起きる変化や葛藤がとにかく心地よくて、原作ゲームは一切わからないんだけど面白かったです!田口先生の長編青春小説読みてえ〜〜〜と言い続けてはや10年(マジで!?)、最高の青春物語が出たので読んでほしい。
犬童灰舎「やさぐれ執事Vtuberとネガティブポンコツ令嬢Vtuberの虚実混在な配信生活」→感想
「芸術家肌Vtuber集団」というありそうでなかったスタイル、面白かった
歌い手、イラストレーター、役者……理由あって道半ばでVtuberに転身した主人公達が新しい場所で夢を追って歩き出す物語。いろいろな意味でこれまでのVtuberものとは違った方向に我が強いVtuberユニット「リバユニ」の在り方が面白く、次に彼らが何をするのかワクワクしながら読みました。2巻では更に外部にも活動の幅を広げてきて、今度どうなっていくのか楽しみだなあ。
わだくちろ「職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。」→感想
台風の目の中でもマイペースにゲームを楽しむ主人公の姿が強すぎる
クラフトしたくてVRMMOをはじめた主人公が、知らないうちにゲーム内に様々な革命を巻き起こしていく物語。いつのまにやらゲーム内の台風の目と化しているのに、一切気にせず嫌な相手はブロックしてマイペースにゲームを進める主人公が強すぎて好きだし、それにガチ勢の皆がひたすら振り回されていくのが楽しい。本当のスローライフってこういう事言うんだな……。
服部 大河「はじめよう、ヒーロー不在の戦線を。」→感想
「主人公」とは何なのか、と考えさせられる物語
最強の「主人公」であり幼馴染の少女・小日向茜に未来を託された主人公が否応なしに宇宙怪獣との戦いに巻き込まれていく物語。主人公らしい行動を取ることで真価を発揮する人型兵器の設定が面白く、戦いで生命を落とした幼馴染・茜とそれを巡る少年少女達の様々な葛藤が印象的でした。あとこの主人公の親友がウマい2024。
賀東招二「フルメタル・パニック! Family」→感想
加齢の仕方がリアルな、あのキャラたちの「戦後」。
フルメタキャラ達の20年後の姿を描く物語。かっこよく終わったはずの物語が全然綺麗に片付いてないのが良くも悪くもリアルで、いまだ日常に順応できない宗介や加齢による衰えの描写など往年の彼らを知っていると衝撃的な部分も多いけど、それでも「日常」という戦いに前向きに挑み続ける彼ら家族の姿を見られるのは嬉しく感じました。あとアラフォー世代だと衰えの描写がリアルすぎてな……。
諸星悠「空戦魔導士候補生の教官」→感想
一筋縄ではいかない教官と伸びしろは高い問題児達の物語!
今更読んだ!!序盤は誤字脱字の多さやカナタ教官のわかりにくい真意、なかなか実力を認められない状況にもだもだすることが多かったけどその真意が明かされる度に面白さが増していく物語でした。特に終盤は全方向に安心できない要素ばかりで、手に汗握りながらも辿り着いた結末に胸が熱くなる思いでした。面白かった! 同年始まった諸星先生の新作の方も1巻面白かったし2巻は個人的に……だったけど多分また尻上がりに面白くなるやつだと思うので3巻が読みたい……よろしくお願いします。

今年2巻以降が出て特に面白かったシリーズ(こちらは厳選)

有象 利路「組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い2」→感想
現代異能バトルとイチャイチャラブコメの温度差が最高
かつて異能バトルで鎬を削りあう宿敵同士だったふたりが現在はイチャイチャバカップル新婚夫婦に……という物語。元々ギャグとシリアスの温度差で私の中で定評がある作者が章毎にすごい勢いで温度差出してくるのでもう屈服するしかないんですよね……ラブコメの横でちゃんと異能バトルやってるの点数高かったです。個人的に3巻の温度差が特にひどくて笑った。シリアスからシモの話題につなげるのは反則ではーー!!
紫大悟「魔王2099 4.終極防衛都市・ワシントン」
アニメも原作続巻もめちゃくちゃ良かった
『終世魔王ベルトール』によって支配された絶望の未来を変えるためベルトール達が奮闘する第四巻、かつての六魔侯のゆくえを探して悪魔はびこる渋谷に向かう第五巻、どちらも面白かった〜!レギュラーキャラ達の活躍もさることながら、どちらもゲストキャラ(新キャラ?)が良い味出してましたし、毎回舞台を変える度に方向性が変わってくの改めて面白いなこのシリーズ。そしてアニメもよかった……。
衣笠 彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編」→感想
いろいろな意味で先が読めなさすぎる2年生編クライマックス
無事に2年生編が完結していよいよ最終学年に突入する「よう実」なんですけどその終盤での出来事が色々と凄すぎてもう…!!元々匂わされていた展開だらけではあったけど、本当にそこまでやるか!?の展開をしっかりやってくるのこのシリーズらしくて強すぎる。クラスポイント争奪戦も綾小路の真ヒロイン争奪戦もあらゆる意味で先が見えなくなってきた3年生編、楽しみです。

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【C105告知】好きなラノベを100作語る本できました

12/29〜30に開催される「コミックマーケット105」にて、好きなラノベを語る本を頒布します。
12/30(2日目) 東3ホール ウ-31b「CELESTE BLUE」となりますよろしくお願いします。


タイトル:「いまのわたしをつくっているラノベ100」
仕様・ページ数:B5/オンデマ印刷/60P
価格:1000円(会場頒布価格)

後日、通販を予定しています(書店委託はまだ未定)。また、ダウンロード版を出そうかなと思っています(誤字が酷くて修正したいので少し後になります……)

本の内容について

ラノベオールタイムベスト100の話題を見かけてからずっと「自分のオールタイムベスト100を作りたい」と思っていたのですがいつもの調子で紹介入りで記事化すると地獄のように長い記事にな...
今年の5月に公開した「私の好きな」ライトノベル・オールタイムベスト・75(草稿)」という記事でリストアップした75作品を追加・調整して100作品にしてその作品について無節操に語るというコンセプトの本です。もう少しライトノベルの歴史が見えるようなグループ分けとかテーマ切りぶぶんを作りたかったのですが色々と時間が足りず、無節操に語る感じになっています。一応古い作品〜新しい作品という形で紹介していますが、ジャンル分けの関係で前後したり、自分が読んだタイミングに準拠して後ろの方にズレたりします。紹介・評論……というよりは「感想」という感じの本です。なんなら思い出語りもあります。本文を推敲する時間が足りず、誤字脱字が大幅にありますが温かい目で見ていただけると嬉しいです(一応DL版を予定していますが、その時までに直せるものは直したいと思います)

だいぶ前に話題になった「#私を構成する5つのマンガ」からオマージュしたタイトルになってます。最初はオールタイムベストと言ってたんですが割と有名なライターさんが出したラノベの本とタイトルもろかぶりだし……

掲載作品一覧

元々が「私のライトノベルオールタイムベスト」なので、コンセプトとして敢えて下記の作品が入っています。紹介本なら出来れば入手可能な本・最新刊or完結済シリーズに絞るべきとも思ったのですが自分の「好き」を優先しています。

・打ち切り確定済み、未電子書籍化・現在入手困難の本があります。
・途中までしか読んでないけど好きというシリーズでも今読んだ時点でメッチャ好き!という観点で言及があります。

この辺は次回以降はあんま入れないようにしたいですね……今回はカオスを楽しんでいただけると嬉しいです。作品リストは続きを読むからどうぞ。
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ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編12.5

 

『2年生編』ついに──閉幕!!!
大きな衝撃と共に『学年末特別試験』は終了。だが── 「私も含めて、何よりも気になっていることを解消したいと思う」 「綾小路が、わざと退学者を出してるってことか?」 「俺はあの勝負に納得なんてしてねえ」 「私の責任です。私はこれから、このクラスでリーダーを続けていく自信が──」 「私は絶対にAクラスにしてみせる。どんな方法を使ってもね」 「私たちが残された時間で逆転できる可能性は──」 各クラスは新たな火種を抱えたまま2年生最後の春休みを迎えることになり──! 「久しぶりだな清隆。元気そうで何よりだ、学校生活は順調か?」 「春休みが終わるまでには必ず。それじゃあ、今日はこれで失礼します」

各クラスに大きな衝撃を与えた『学年末特別試験』が終了。多くの生徒が釈然としないまま春休みに突入する高度育成高校。ついにAクラスに昇格した堀北クラスだが、綾小路を中心に生徒達の多くは疑心に囚われたままになっていた。一方、綾小路は兼ねてからの「計画」を実行に移すために動き出して……。

軽井沢…坂柳……堀北……一之瀬……一之瀬ェ!!!

2年生編の諸々に決着を付ける完結編であると同時に3年生編への準備回でもある春休みのエピソード。学年末試験の後始末、軽井沢との映画デート、一之瀬との「約束」、そして予想外にぶち込まれた三者面談──これまでの巻でも語られてきた予定通りの物語ではあったけど、予想を大きく超える展開も多くて楽しかった!何よりも、ここから見えてきた3年生編の勢力図が予想外過ぎて楽しみすぎる。

軽井沢と綾小路のお別れデートはもう、予想は出来ていたけどツラかったなぁ。いずれこうなることは見えていたけど、デートに向かおうとして少しだけ足が動かなくなった綾小路、一人称から僅かに漏れ出る未練……あと一歩なにかが違えばなんとかなっていた気がしなくもないのが辛いんですよね。そのなにかがどうにもならなかった結果がこれだし、正直綾小路の一人称なんてどこまで信用して良いのかわかりませんが。でも、軽井沢の一人称と重ねるように連ねられた綾小路の一人称、どこかに本心が混ざっていたことを期待してしまうな。(でも綾小路だからなあ……)

ちなみに12.5巻と同日発売の1年生編ガイドブックに付き合いたての軽井沢と綾小路のゲロ甘SSが掲載されているので是非読んでほしい。よう実フェスタの特典冊子で、あまりのいちゃこらぶりに読んでひっくり返ったやつ。これをこのタイミングで出してくるの酷くない!?

そして軽井沢とは対象的に、綾小路の予想を大きく超える形で再起した一之瀬と、彼の事情を知りながらも綾小路と「いつかの再会」を誓って学園を去る坂柳……いろいろな意味で今回はこのふたりのヒロインに全部持っていかれた感が凄い。壮絶なヒロインレースの裏で仄かな恋心を自覚した堀北は太刀打ちできるのか!?例によって1年生編11.5に引き続きまた最後の挿絵がめちゃくちゃに凶悪で最高に興奮した。(こういう挿絵きそ〜〜ってやつがピンポイントできたよね)

余談ですがこれまで以上に綾小路への対抗心を燃やすであろう龍園、さりげなく名前呼びから苗字呼びに戻ってて好感度の低下が著しそうな気配しかしない平田……綾小路との男子生徒との関係性も色々と不安になる展開の中、石崎だけがマジで態度変えないで付き合ってくれるの癒やしでしたね。綾小路が「平穏な学園生活」を送れるのなら彼らの横がいい……と内心で吐露しているのが印象的で。綾小路グループの崩壊は綾小路の実力開示がそもそものきっかけだったし、自分の実力や本心をある程度見せているのに同じ態度で接してくれる石崎達Cクラスって本当に居心地良いんだろうなあ。

激動の2年生編終了→3年生編が楽しみすぎ

学年末試験の結果を経て上位クラスに躍り出た堀北・龍園クラス、そして下位クラスに転落した坂柳・一之瀬クラス。2年生編開始時の構図を思い出すと本当にどうしてこうなったとしかいいようがないくらいの激動の一年間でした。一方外野では星ノ宮先生と茶柱先生の対立が浮き彫りになり、綾小路父・高円寺父が密談を交わしていて……三者面談周りの話は堀北クラスのお荷物でなかった高円寺を動かすためのお膳立てを外部が丁寧に立てましたといわんばかりの展開だったし、坂柳の「またお会いしましょう」発言も含めて3年生編ではこれまで以上に外部の思惑が絡んできそう。綾小路父が何もしないとかいってるの逆に信用できないでしょマジで。でも外部が動いてる分、ホワイトルームに戻るしか道のなかった綾小路の進路にも何かが見えかけている気がするわけで……。

そして作中期間半年前後かけて匂わせ続けてきた綾小路のクラス移動大作戦。移動先は概ね予想通りの感じなんだけど予想以上にハンデを背負った状態で、知り合いもあまり居ない状態で再スタート。ただ、Aクラスに上がって盤石だと思われていた堀北クラスは本人達も知らぬ間に最大の功労者を失い、龍園クラスにも色々脆そうな部分が示唆され、脱落寸前だと思われていた一之瀬クラスはリーダーの再起によりこれまで以上の強敵になりそうで……綾小路の目論見通り、本当にどのクラスが最後に勝っても全くおかしくない、文字通りの四つ巴状態になってるの凄い。

いろいろな意味で3年生編どうなってしまうのか先が見えなくて楽しみすぎる!!

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フルメタル・パニック! Family2

 

懐かしき戦友との再会は……弾丸とともに――!?
家族四人での平和な日常を目指す相良家が、新たな引っ越し先で再会したのは……かつて宗介と最強の戦闘チームを組んでいたクルツ&マオ。 しかし、そんな彼らの元に物騒なトラブルが舞い込まないハズもなく――!? 衝撃づくしの「フルメタ」新シリーズ、待望の第二弾!

かなめを狙う追手をやりすごしながら、日本で潜伏生活を続ける相良一家。横浜の団地で高校時代の同級生・風間がやっている配信を見ていた宗介だったが、なぜか過労で倒れた風間の代わりに「Vtuberの中の人」としてゲーム実況をやる羽目になり…!?

宗介・風間(+小野D)の20年後の関係性に胸が熱くなった

アラフォーになった宗介とかなめと子供達の騒がしくも楽しい日常生活を描くシリーズ第二巻。前巻ではかなめ側の人間関係がクローズアップされがちだったんですが、今回は宗介側の人間関係がメインで描かれていました。

個人的には宗介が風間の代わりにVtuberの中の人をやる「神奈川県横浜市戸塚区の1DKの団地」がめっちゃ好き。何も知らない相良軍曹がテッサそっくりなガワのVtuberの中の人をやる時点でもう何も起きないわけがなく……案件なわけですが、宗介が上手くできないところまで組み込んで一種のイベントとして「企画」を立て、その上で宗介に声を掛けてきているのが上手すぎる。いやほんと風間、良い意味で「食えない大人」になったな。

フルメタ本編では宗介の破天荒な行動に振り回されるばかりという印象だった風間(や小野D)が20年の時代を過ぎてもなんだかんだと友人関係を続けているというのがとてもよかったし、何より、大人になった宗介が当時の風間が自分と友だちになってくれたことをめちゃくちゃ恩義に感じていること、そして「命の恩人」という言葉で胸が熱くなってしまう。最終巻のボイスメッセージのことだよねこれ……。

宗介って学生時代は同級生たちの事を弱者・守るべき対象だと思っている面があったとおもうんだけど、20年の時を経て戦闘能力だけが強さではないことに気づいた宗介が尊敬できる隣人として彼らと友人関係を続けている姿が見れたのが本当に良かったです。

伝説のウルズチーム、最後のロックンロール!

そして今回のメインはクルツ&マオ夫妻と娘のクララが登場しててんやわんやする「和歌山県東牟婁郡櫛本町の古民家」「三重県志摩市のもとやま国際ホテル」の2編。これがまた良かった。アラフォーである宗介よりも更に加齢の影響を感じるクルツ・マオ夫妻。若い頃のような無茶はもう出来ないとぼやきながらも久しぶりに最強のコンビネーションを見せる三人が、でもこんな風に三人で戦うことはもうないだろう──と薄々感じている姿が印象的でした。いや、1巻から宗介の衰えの描写はちょくちょく登場していたわけなんですけど、あのクルツくんが「老眼」て………。

加齢や病気で失われたものが沢山あるけど、同時に新たに手に入れたもの(知識とか経験とか財力とか)もたくさんあって……今回はそれを駆使してかなめを狙う悪者の親玉を追い詰めて無茶やりつつも気持ちよく勝つお話になっているのがめちゃくちゃ楽しかった!そして彼らの大活躍の裏でかっこよく登場しようとしてるのに全然かっこよくキメられないテッサおばさんおもしれえ女すぎる。彼女がどんな20年を歩んだのか、続巻を楽しみに待ちたいです。

それはそれとして、宗介の衰えの描写とかはまぁ順当というか年を取る上でどうしようもない部分ではあるのでいいんだけど、ふたりの子供達が時折見せる天才性と戦闘に対するセンス、それを内心で心配する宗介が印象的……というか不穏で……。1巻のかなめとソフィアの話もあるし、なんというかまだまだウィスパード周りの話が実は一件落着してないのではないかみたいな不気味さあるよなあ……。

あと、Vtuber回で夏美がぼそっと漏らした「父さんはまだ山奥から帰ってきてない」、戦争終わった後の帰ってこれない兵士の話だぁ……と頭を抱えてしまったスパ●ボプレイヤーの私。

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はじめよう、ヒーロー不在の戦線を。

 

世界を救う方法は──“主人公”を演じること。
「主人公らしさ」を力に変える兵器・スターゲイザー。前搭乗者の死により新たな“主人公”に選ばれた嗣道は、やる気も適正も皆無で……。ラブコメ、スポコン、デスゲーム――なんでもありの『主人公化計画』始動!?

主人公性人形兵器「スターゲイザー」を狩り、宇宙怪獣と戦い続けた少女・小日向茜は自らの命と引き換えに宇宙怪獣オフィケウスを封印し、死んだ。彼女の幼馴染・高橋嗣道は彼女の死を受け入れられず引きこもり生活を続けていたが、スターゲイザーの設計者である少女・山田麒麟から三ヶ月後にオフィケウスが復活すること、茜が「スターゲイザー」の次期操縦者として自分を選んでいたと聞かされて……?

“主人公性人形兵器”という設定が美味しすぎる

一人の少女が世界を救い消えた後……彼女の意志を受け継いだ「登場人物達」がその喪失に心を囚われ、嘆き、不器用に足掻きながらも再び世界を守る「主人公」になるため自らの足で立ち上がっていく物語。

主人公らしい行動を取れば取るほど強くなる「主人公性人型兵器」という設定がまず大勝利すぎる。乗機の機能を開放するために必要な主人公らしい行動というのが「教室の後ろの窓際の席で転校生を見初める」「屋上で昼食を食べる」みたいなベタな学園青春ラブコメシチュエーションから「他人のために生命を賭ける」みたいなシリアスなものまでなんでもござれで、とにかく楽しかった。機能拡充のために無理やり学園青春ラブコメやなんちゃってデスゲームやらされてる展開が面白すぎるし、勿論終盤のアツい展開にも関わってくるし……主人公性開放をタテにしてあらすじとおりの「なんでもあり」、色んなジャンルの展開を拾っていけるのうまい設定だなあ。

そして主人公らしい行動には恩恵を与えるけど主人公らしからぬ行動には重いペナルティを与える主人公性人形兵器のスターゲイザーさん、普通に面倒くさい主人公属性ゴリ推しオタクの人じゃないですかーーー!!!気弱で普通の主人公が目の前に脅威を前に立ち向かえずに一度逃げ出そうとするとか最高に主人公性高い行動だと思うんですけど(いや本当に逃げ出してしまったら主人公性皆無だけど)、それを敵前逃亡とみなして解釈違い起こすスターゲイザーさんとは解釈が合わない。スターゲイザーさん、主人公の解釈が昭和で止まってるんだよなぁ……。あと私なら非常時に学校の制服で否応なしにロボに乗るシチュエーションには百万点あげます(聞いてない)

少年少女達がそれぞれ前に踏み出していく展開がアツい

永遠に皆の中で輝き続ける最強の主人公・小日向茜、押しかけヒロインなのに嗣道が茜しか見てないせいで色々不遇なヒロイン・山田麒麟、黒幕系悪友枠の土門孝之介、茜に救われ彼女の一番近くにいた嗣道に対して風当たりが強めな御子柴蛍と貴山蓮。そして気弱流され系のように思えて誰よりも「主人公」としてのスピリットを持っている最弱の主人公・高橋嗣道……誰も彼もが魅力的なキャラクターばかりで、そんな登場人物たちが自らの存在全てを掛けてぶつかり合う展開が本当に面白かった!登場人物たちが小日向茜の喪失をどうやって受け入れていくのか……最強の主人公であった彼女ですら倒せなかった最悪の宇宙怪獣にどうやって立ち向かっていくか……誰よりも強かった小日向茜の本当の想いはどこにあったのか……「主人公」とは一体何なのか。宇宙怪獣vs人形兵器とのアツい戦い含め、あらすじから期待していたやってくれそうな展開全てに百点満点で応えてくれるの、とにかく気持ちよさしかない。

個人的にはもうひとつの主人公性人形兵器を狩りダークヒーロー的な立ち位置になっていく貴山蓮とのライバル関係もめちゃくちゃよかったんですが、なにより嗣道への激重感情が隠しきれてない悪友・土門孝之介の暗躍にめちゃくちゃ滾りましたね!!嗣道ならこのくらい乗り越えるから大丈夫と信頼というには歪んだ執着で一歩間違えたら死ぬ試練を課してくるの人の心がなくて最高なんだよなあ!!一応彼の行動原理も「茜から託された」という大義名分があるわけですけど、やっぱどっちかって言うと嗣道への激重感情で暴走してる感じがするのたまらん。

1巻で綺麗にまとまっている物語ではあったけど、逆に続けようとすればいくらでも続けられそうな物語でもあり……続巻があるなら読んでみたい。楽しみにしてます!

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バズれアリス 3 【追放聖女】応援(いいね)や祈り(スパチャ)が力になるので動画配信やってみます!【異世界⇒日本】

 

「聖女アリスの生配信」コラボ企画で魔王を超えろ!
追放先の迷宮で異世界──現代日本に繋がる鏡を発見し、レストランを営む青年・誠の協力で配信者デビューを果たした聖女アリス。同じ聖女であるセリーヌと可愛いの化身シェフ・ラビットがメンバーに加わり、彼女の配信の人気はますます盤石なものになりつつあった。しかし突如届いた「魔王復活」の知らせにより、セリーヌは単身王都へ帰ることになってしまう。メンバー唯一の頭脳派の離脱──この大きすぎる穴を埋めるべく、残された脳筋アリスとその仲間達はある人気配信者とのコラボ企画を実施することに……!? 「聖女」兼「配信者」がバズって戦う異文化交流コメディ、第3回配信開始!

もうひとりの聖女・セリーヌや謎の美少女(?)シェフ・ラビットちゃんを加えて盛り上がる「聖女アリスの生配信」チャンネル。順調に登録者数を増やしていたが、ある日突然エヴァーン王国が復活した魔王に襲われ、セリーヌが一時離脱する事に。更に現実世界ではシェフ・ラビットちゃんの正体を勘ぐる声が聞こえ始める。セリーヌが抜けた穴を埋めるため、誠はとある配信者に声を掛けるが……!?

やっぱり真ヒロインはシェフ・ラビットちゃん(アラサーバ美肉男性)なんだよな

魔王復活、正体バレの危機……2つの世界で同時多発的におきた事態を打開するため、停滞していた物語が一気に動き出すシリーズ第3巻。降って湧いてくる苦難を千切っては投げちぎってはなげしながら登録者数を一気に集めていく展開がとにかくアツくて面白かったし、「異世界」が実在するという衝撃の真実よりも「シェフ・ラビットちゃんの正体(性別)バレ」の方が重い議題になってるの現代のネット配信の闇すぎて笑った。いやイメージ商売だからそこが重要議題になるのわかるんですけどね……!?(そしてネットの反応がまたわかりすぎて更に草ァ!!!)

今回セリーヌが抜けた穴を埋める形で運営に参画した天下一ゆみみがチャンネル運営とリスナーの間の緩衝材として良い仕事してたなぁ。彼女じゃないと成立しないような流れや案件が多々あったし(同時に火種も持ち込んだ感あるけど)、なによりもシェフ・ラビットちゃんの正体バレ周りのアレコレに関しては「ラビットちゃんの強火ファン」である彼女の言葉だからこそファンの心に届いた部分も大きかったように思うんですよね。彼女が本気で怒り、そして率先して受け入れたからこそリスナー達の早期理解に繋がったというか。

そして例によって腐敗っぷりが凄まじいファッ◯ン・エヴァーン・クソ王国のクソムーブにかかれば魔王ですら無辜の怪物になっちゃうわけなんですけど、だからってたどり着いたのが全人類バ◯◯化計画だったのそれで良いのか、いや結構真面目におぞましいこと言ってるんだけど「その言葉」に言い換えられちゃうと途端に残念な現代のオタクミームに汚染されてる人感出てくるのはなんでなんでしょうか……いやでも魔王が影響受けたであろう流れ的に実際「そういうこと」なんだろうな……ところで今回は口絵から何から最初から最後までシェフ・ラビットちゃんが真ヒロインの風格。

なんか酷い所で次巻に続いたァ!?

セリーヌの離脱とゆみみの運営加入、誠とアリスの関係性の進展、その思いを受け止めたアリスがこれまでの生活を捨ててでも一歩前に踏み出す覚悟と決意をして……そして攫われたお姫様(シェフ・ラビットちゃん)を救うために魔王と対決する──トントン拍子に物語が進行するクライマックスみたいな展開で、このまま綺麗に全部問題を片付けて終わってしまうのか!?と思ったんですけどまだまだ物語は終わらない模様というか、最後の最後でとんでもない爆弾投げつけてきたというか続きが気になりすぎるんですけど!?続巻を明日出してくだs(1記事ぶり今月2度目)

……しかし、次で綺麗に終わりそうな気もするし、まだまだ引っ張れそうな気もする終わり方だったな。終わらせようとすれば次で綺麗に終われるのは事実なんだけど、なにげに迷宮踏破も終わってないしエヴァーン王国のアレコレは全ての元凶が残ってるわけで色々と手札切りきってない感じは……。

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